JP2006274966A - 内燃機関の燃焼状態検出装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼状態検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内燃機関のモータリング圧力推定の信頼性を向上させ、燃焼状態を判定する。
【解決手段】本発明は、内燃機関の燃焼室の筒内圧力検出する圧力検出手段と、内燃機関のクランク角度を検出するクランク角度検出手段と、検出されるクランク角度に基づいて燃焼室の容積を算出する容積算出手段と、算出した容積に基づいて燃焼室の温度を算出する温度算出手段と、算出した燃焼室容積および燃焼室温度を含む演算式により内燃機関のモータリング圧力を推定する推定手段と、圧縮行程において圧力検出手段で検出される圧力を補正式に従って補正する補正手段と、補正手段によって補正された圧力と、推定手段によって推定された圧力との誤差を最小にするよう補正式のパラメータを同定する同定手段と、燃焼行程において補正手段で補正された圧力と、推定手段によって推定される圧力との関係に基づいて燃焼状態を判定する判定手段と、を備える燃焼状態検出装置を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の失火検出技術に関する。
特許文献1には、内燃機関の燃焼室の筒内圧力を所定クランク角度ごとに検出し、サンプリング期間にサンプリングされた筒内圧力検出信号と燃焼室容積に基づいて筒内圧力検出信号のバイアス量を設定し、設定されたバイアス量に基づいてサンプリングされた筒内圧力信号を補正し、補正された筒内圧力と燃焼室容積に基づいてモータリング圧力(失火時の圧力)の推移を推定することが記載されている。燃焼サイクルにおいて、この推定圧力とセンサで検出される圧力とを比較し、失火の有無の判定が行なわれる。
特開平3-246374号
従来技術によると、モータリング圧力は、圧力検出信号をバイアス量により補正して筒内圧力を求め、この筒内圧力と燃焼室容積に基づいて推定される。しかしながら、この手法では、内燃機関の過渡運転時における筒内圧力の急変時において、ある点でのバイアス量で検出圧力が補正されることに起因し、さらに筒内圧力センサの組み込み状態、センサ取り付け部の温度変化によるセンサの出力特性の変化、経年劣化などによる特性の変化に起因して、バイアス量による圧力検出値の補正の信頼性に難点があり、したがってこうして補正された圧力値から推定されるモータリング圧力の信頼性に難点があり、失火判定の信頼性に問題があった。
本発明は、内燃機関の燃焼室の筒内圧力検出する圧力検出手段と、内燃機関のクランク角度を検出するクランク角度検出手段と、クランク角度検出手段で検出されるクランク角度に基づいて燃焼室の容積を算出する容積算出手段と、算出した容積に基づいて燃焼室の温度を算出する温度算出手段と、算出した燃焼室容積および燃焼室温度を含む演算式により内燃機関のモータリング圧力を推定する推定手段と、内燃機関の圧縮行程において、圧力検出手段で検出される圧力を補正式に従って補正する補正手段と、補正手段によって補正された圧力と、推定手段によって推定された圧力との誤差を最小にするよう補正式のパラメータを同定する同定手段と、内燃機関の燃焼行程において、前記補正手段で補正された圧力と、前記推定手段によって推定される圧力との関係に基づいて燃焼状態を判定する判定手段と、を備える燃焼状態検出装置を提供する。
この発明によると、筒内圧力検出手段の検出出力と、燃焼室容積および燃焼室温度を含む演算式に従って推定されるモータリング圧力との誤差が最小になるように、この検出出力を補正する補正式のパラメータが同定される。このパラメータは、圧縮行程において同定されその直後の燃焼行程における検出出力の補正に用いられるので、検出出力の信頼性を高めることができる。
本発明の一実施形態では、推定手段は、容積および温度に基づいて基本モータリング圧力を計算するモータリング圧力計算手段と、比熱比に応じた補正パラメータを用いて基本モータリング圧力を補正するモータリング圧力補正手段と、を含む。
本発明の一実施形態では、温度算出手段は、比熱比を用いて温度を算出する。また、温度算出手段は、少なくとも燃料カット状態とそれ以外の状態において異なる比熱比を使用する。
本発明の一実施形態では、同定手段は、吸気弁の閉鎖から燃焼行程に移行するまでの期間において同定を実行する。
また、本発明の一実施形態では、判定手段は、内燃機関の失火を判定する。
次に図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態である燃焼状態検出装置の全体的構成を示すブロック図である。電子制御ユニット10は、中央演算装置(CPU)を備えたコンピュータである。電子制御ユニットは、コンピュータ・プログラムを格納する読取専用メモリ(ROM)およびプロセサに作業領域を提供し、データおよびプログラムを一時記憶するランダムアクセス・メモリ(RAM)を備えている。入出力インタフェイス11は、エンジンの各部から検出信号を受け取って、A/D(アナログ・ディジタル)変換を行って次の段階に渡す。また、入出力インタフェイス11は、CPUの演算結果に基づく制御信号をエンジンの各部に送る。図1では、電子制御ユニットをこの発明に関連する機能を示す機能ブロックで示している。
まず図2を参照して、この発明の一実施形態におけるセンサ出力補正手法の原理を説明する。図2は、クランク角度-180度から180度の領域における気筒の燃焼室の圧力を示しており、およそクランク角度-180度から0度の範囲が圧縮行程であり、0度から180度までが膨張(燃焼)行程である。曲線1は、エンジンの1つの気筒のモータリング圧力(失火時の圧力)の推移を示し、曲線3は、同じ気筒において正常な燃焼が行われたときの筒内圧力の推移を示す。クランク角0度が上死点であり、モータリング圧力は上死点でピークとなり、燃焼時の筒内圧力(曲線3)は、上死点を過ぎた点火時点付近でピークとなる。
この実施形態では、圧縮行程において上死点に達する前の期間、たとえば図2に”a”で示す期間において、圧力検出手段(図1の筒内圧力センサ12)の検出出力を補正する補正式のパラメータを同定する。黒色のドット5は、筒内圧力センサ12による検出出力を示す。筒内圧力センサ12は、エンジンの燃焼室という過酷な環境に置かれており、温度の影響、経年変化などによって特性が変化する。この実施形態では、筒内圧力センサ12の検出出力がほぼモータリング圧力の曲線1上にくるよう、検出出力を補正する。こうして補正された検出出力を白色のドット7で示す。
検出出力の補正は、筒内圧力センサの検出出力PS(θ)に、補正式 PS = PS(θ)k1 + C1 を適用することによって行われる。k1 は補正係数であり、C1 は定数である。θはクランク角度である。この補正式の2つのパラメータk1およびC1は、圧縮行程の、たとえば図2に”a”で示す期間において、モータリング圧力の推定値PMと、筒内圧力センサの検出出力を上述の補正式によって補正した値PSとの差(PM−PS)の二乗が最小になるよう、最小二乗法により演算して算出される。
このように補正されるセンサ出力を利用して、気筒の燃焼状態を判定することができる。燃焼(膨張)行程において混合気の燃焼開始後、たとえば図2に”b”で示す期間において、筒内圧力センサ12の出力を補正して得られる検出出力7(白色のドット)と、状態方程式で算出されるモータリング圧力PM(曲線1)との関係に基づいて、燃焼状態、たとえば、失火が生じたかどうかを判定する。例えば、PS/PMが予め定めたしきい値より小さいとき、失火が生じたと判定することができる。
再び図1を参照すると、筒内圧力センサ12は、圧電素子であり、エンジンの各気筒(シリンダ)の点火プラグ付近に設けられている。圧力センサ12は、気筒内の圧力に応じた電荷信号を出力する。この信号をチャージアンプ31により電圧信号に変換して出力し、ローパスフィルタ33を介して入出力インタフェイス11に出力する。入出力インタフェイス11は、圧力センサ12からの信号をサンプリング部13に送る。サンプリング部13は、この信号を所定の周期、たとえば10kHz分の1の周期でサンプリングし、サンプル値をセンサ出力検出部15に渡す。
センサ出力補正部17は、上述の補正式 PS = PS(θ)k1 + C1 に従って、センサ出力PS(θ)を補正する。センサ出力補正部17は、クランク角15度ごとに補正されたセンサ出力値PSを失火判定部27に渡す。
一方において、燃焼室容積計算部19は、クランク角θに応じた気筒の燃焼室の容積Vcを次の数式により計算する。
Figure 2006274966
上の式で、mは、図3の関係から計算される、ピストン8の上死点からの変位を示す。rをクランク半径、l(エル)をコンロッド長とすると、λ=l/r である。Vdeadは、ピストンが上死点にあるときの燃焼室の容積、Apstnは、ピストンの断面積である。
燃焼室温度計算部16は、燃焼室の容積Vcに基づいて燃焼室の現在の温度Tcを算出する。本実施形態では、センサ出力の補正パラメータを同定する処理と失火を判定する処理は、図2に示したように、圧縮行程および燃焼行程の間の任意の区間で実行される。圧縮行程および燃焼行程では、燃焼室と外部との間で熱量のやり取りや吸排気が無い状態で混合気が圧縮される。従って、これらの行程中、燃焼室では容積の変化に応じた断熱変化が生じる。
図4は、断熱変化における混合気の温度推移を示す図である。断熱変化における容積Vおよび温度Tの関係は、一般にT・Vκ-1=constという公式で定義される。ここでκは気体に応じた比熱比(またはポリトロープ指数)である。本実施形態において、圧縮行程および燃焼行程における燃焼室の容積Vcと温度Tcとの関係は、ピストンの下死点における容積(つまり未圧縮状態の容積)V0と、吸気温度センサまたはエンジン水温などから得られる吸気温度T0を用いて次式にように表すことができる。
TcVc κ-1=T0V0 κ-1 (3)
ここで、比熱比κは、エンジンの運転状態によって変更される。例えば、対象の気筒が燃料カット状態のとき、燃焼室への吸気は混合気ではなく空気になるので、他の運転状態の比熱比とは異なる値を設定する必要がある。一般に、燃料カットは、主に燃費向上を目的として燃料の噴射を停止する処理のことである。具体的にはエンジンの高回転時、スロットル弁の全閉時、吸気管内圧力の低下時、またはトラクションコントロールの実行時などに行われる。本実施形態では、比熱比κは、燃料カット状態では空気の値(κ=1.4)に設定され、その他の運転状態ではガソリンと空気の混合気の比熱比としてκ=1.3に設定される。混合気の比熱比は燃料の種類により使い分けることが望ましく、例えば、ディーゼルエンジンでは軽油、CNGエンジンではメタン、水素エンジンでは水素の比熱比を使用する。また、混合気の比熱比は、燃料と空気の割合に応じてさらに設定を細分化することも可能である。
燃焼室温度Tcは、(3)式を変形して次式から求められる。
Figure 2006274966
このように求められた燃焼室温度Tcをモータリング圧力の推定に用いることにより、燃焼室内の断熱変化を反映した高精度な推定が可能となる。また、エンジンの運転状態に応じて比熱比κを変更することにより、エンジンの実際の運転状態に則したモータリング圧力の推定が可能となる。
一般に燃焼室の状態方程式は、次の(5)式で表されることが知られている。
Figure 2006274966
(5)式で、Gは、例えばエアフローメータ、またはエンジン回転数および吸気圧に基づいて得られる吸入空気量である。Rは気体定数、kは補正係数、Cは定数である。
本実施形態では、予めセンサ取り付け部の温度変化等の影響を受けない水晶圧電式の圧力センサを用いて燃焼室の圧力を実測し、この実測値を(5)式と対応させることによりkの値k0およびCの値C0を求めておく。これを(5)式に代入して得られる次の(6)式を用いてモータリング圧力を推定する。
Figure 2006274966
モータリング圧力推定部20は、基本モータリング圧力計算部21およびモータリング圧力補正部22から構成される。基本モータリング圧力計算部21が(5)式の中の基本項目である基本モータリング圧力GRTc/Vcを計算する。モータリング圧力補正部22は、上述のようにして予め求められているパラメータk0およびC0を用いて、基本モータリング圧力を補正する。このパラメータk0およびC0は、吸気管圧力またはエンジン回転数などエンジンの負荷状態を表すパラメータに従って参照することができるテーブルとして用意されている。ただし、パラメータk0およびC0は、混合気と空気の比熱比の相違や、燃料の気化熱の影響により、エンジンの吸気が混合気の場合と空気の場合で異なる挙動を取る。ゆえに、このテーブルは、空気のみを吸気する燃料カット状態用のものと、混合気を吸気するその他の運転状態用のものの2種類をエンジンの運転状態に応じて使い分ける。
パラメータ同定部23は、圧縮行程においてモータリング圧力推定部20が算出するモータリング圧力推定値PMとセンサ出力補正部17が出力する筒内圧力センサ12に基づく筒内圧力PMとの誤差(PM-PS)が最小になるよう、最小二乗法によりセンサ出力を補正する補正式のパラメータk1およびC1を同定する。センサ出力検出部15は、たとえば10kHz分の1の周期で圧力センサの出力をサンプリングし、クランク角度に同期したタイミングでサンプル値の平均値をセンサ出力値PS(θ)として、パラメータ同定部23に渡す。パラメータ同定部23は、気筒の圧縮行程において補正式のパラメータを同定する演算を実行する。モータリング圧力補正部から得られるクランク角度に応じたモータリング圧力推定値PM(θ)と、同じクランク角度におけるセンサ出力値PS(θ)に補正式PS = PS(θ)k1 + C1 を適用した値PSとの差の二乗、すなわち(PM(θ) - PS(θ)k1 - C12 が最小になる k1 および C1を既知の最小二乗法により求める。
PMの離散値をy(i)で表し、筒内圧力センサから得られる筒内圧力PSのサンプル値(離散値)をx(i)で表すと、X(i)T=[x(0), x(1), …,x(n)]、Y(i)T=[y(0), y(1), …,y(n)]と表される。誤差の離散値の二乗の和は、次の式(7)で表される。サンプル値は、10kHz分の1の周期でとられ、iの値は、たとえば100までとする。
Figure 2006274966
このFの値を最小にするkおよびCを求めるには、F(k,C)のkおよびCに関する偏微分が0となるkおよびCを求めればよい。これを数式で表すと、次のようになる。
Figure 2006274966
式(8)および(9)の右辺を整理すると、次のようになる。
Figure 2006274966
これを行列で表現すると、次のようになる。
Figure 2006274966
この式を逆行列を使って変形すると、次のようになる。
Figure 2006274966
ここで、右辺の逆行列は、次の式で表される。
Figure 2006274966
センサ出力補正部17は、こうして同定されたパラメータを用いて燃焼行程においてセンサ出力を補正する。
失火判定部27は、点火時点以後の期間b(図2)において、筒内圧力センサ12で検出されセンサ出力補正部17で補正された筒内圧力の値PS、および同じ時刻にモータリング圧力推定部20で算出されるモータリング圧力推定値PMに基づいて失火の有無を判定する。この実施例では、失火判定部27は、PS/PMが予め定めたしきい値αより小さいとき、失火が生じたと判定する。
図5は、15クランク角度ごとに実行される処理の流れを示すフローチャートである。圧縮行程において上死点以前にあるかどうかを判定し(S101)、上死点前であれば、センサ出力補正式のパラメータを同定する処理に入り、パラメータk1およびC1を更新する(S115)。ステップS115 の処理については図7を参照して後述する。
ステップS101で圧縮上死点前でないならば、失火MILオンフラグが1になっているかどうかを点検する(S103)。このフラグが1になっていることは、すでに何度か失火の判定が行われ、失火の警告が出されていることを意味する。このフラグが1になっていなければ、失火判定処理に移る(S105)。失火判定処理については図6を参照して後述する。この結果、失火が判定されて、失火フラグが1になると(S107)、失火回数のカウントが進められる(S109)。失火判定処理(S105)が走ると、判定サイクルのカウント、すなわちサイクル数がカウントアップされる(S111)。所定サイクル数において何回失火があったかに基づいて、失火MIL(失火警告)を発生することができるよう、サイクル数をカウントする。失火MILオンフラグが1になっているときは、サイクル数カウントおよび失火カウントをリセットして処理を終える(S113)。
次に図6を参照して図5の失火判定処理(S105)の詳細を説明する。まず、ピストンの上死点の位置から現在の位置までの変位(距離)mを先に示した式(1)により計算する(S131)。次いでこの変位mを用いて、式(2)によりシリンダの現在の容積Vcを計算する(S133)。エンジンの吸気管に設けられた温度センサから吸気温度T0を読み込み(S135)、式(4)により燃焼室の現在の温度Tcを計算する(S136)。ここで、式(4)の比熱比κは、混合気の値を設定し、例えば1.3である。続いて式(6)により、モータリング圧力の推定値PMを計算する(S137)。ここで、式(6)のパラメータk0およびC0は、混合気用のテーブルから吸気管圧力やエンジン回転数に応じて検索される。
次に、筒内圧力センサの出力に基づく実際の筒内圧力を読み込み(S139)、上述した補正式により補正する(S141)。続いて、エンジンの回転数NEおよび吸気管の絶対圧PBに基づいて失火判定のためのしきい値のマップを検索する(S143)。モータリング圧力は、エンジンの負荷状態によって異なるため、負荷状態に応じた判定しきい値を予めマップとして用意しておき、このマップを検索するようにしている。
次いで判定ステージを選択する(S145)。これはエンジンの状態に応じて最も適切なタイミングで失火判定を行うためであり、たとえばエンジンの吸排気バルブにタイミングを変更可能な可変バルブ機構を備えたものであれば、タイミングが高回転用に制御されているか、アイドル状態か、ファイアモード(エンジン始動直後に、排気系の触媒を活性化するために高温の排気を排気系に送るモード)かどうか、などに応じて判定ステージが選択される。それぞれのステージマップには、失火判定をしてよい期間(図2の期間bの中での特定の期間)が設定されている。図6のステップS147では、この特定の期間を判定ゲートと呼んでいる。
判定ゲートにあれば、補正された筒内圧力の実測値PSと推定モータリング圧力PMとの比PS/PMがステップS143で検索した判定しきい値より大きいかどうか判定する(S149)。比PS/PMがしきい値より大きいとは、正常に点火が行われていると判定され、処理を終える。比PS/PMがしきい値以下であるときは、失火を生じたと判定し、失火フラグが1にセットされる(S151)。失火は、ある予め決められた期間に判定値を超える回数発生すると、失火確立と判定され、失火警報(失火MIL)がオンにされる。
次に、図7を参照してパラメータ同定処理の流れを説明する。パラメータの同定処理は、圧縮行程の終わり近く、すなわち上死点の近傍で行われる。ピストンが圧縮行程の終わり近くにある状態を同定ステージと呼ぶ。同定ステージにあるとき、後述する計測ステージで取り込んだデータを用いて、既に述べた式(1)にしたがってピストン位置を計算し、式(2)にしたがってシリンダ容量Vcを計算する(S162)。続いて吸入空気量Gおよび吸気温度T0を読み込む(S163)。
次に、エンジンの運転状態が燃料カット中か否かが確認される(S164)。燃料カット中の場合、比熱比κは空気の比熱比1.4が設定され(S165)、モータリング圧力計算のパラメータk0およびC0が燃料カット用のテーブルから検索される(S172)。燃料カット中でない場合、混合気の比熱比1.3が設定され(S166)、パラメータk0およびC0が通常運転用のテーブルから検索される(S174)。但し、混合気の比熱比は、燃料の種類や混合の割合によって変更することができる。続いて式(4)により燃焼室の現在の温度TCを計算する(S167)。さらにステップS162、S163、およびS167で求めた各パラメータと、S172またはS174で検索したk0およびC0を用いて、(6)式からモータリング圧力PMを計算する(S168)。
次に、筒内圧力センサの出力に基づく実際の筒内圧力を読み込み(S169)、(7)式の偏微分を解いてパラメータk1およびC1を同定する(S170)。次いで誤差の分散および標準偏差を計算して収束判定を行う(S171)。これは、先に式(6)で示した状態方程式が、同定されたパラメータにより収束するかどうかを判定するための計算であり、後に図8を参照して説明する。
ステップS161において、同定ステージにないときは、パラメータ同定の演算に使用するデータを集める計測ステージにあるかどうかを判定し(S173)、このステージにあればデータをバッファに取り込み(S175)、前回の演算結果をリセットして(S177)、処理を終える。計測ステージにないときも前回の演算結果をリセットして処理を終える。
図8に移り、同定されたパラメータk1およびC1を用いた補正式 PS = PS(θ)k1 + C1で計算される筒内圧力センサによる筒内圧力PSと、燃焼室の気体状態方程式から演算されるモータリング圧力推測値PMとの差の分散、および標準偏差またはそれらの近似値を計算する。基本的な考え方は、標準偏差が予め定めた値以下であるときには、モータリング圧力推定値PMと実測値PSとの誤差が収束すると判定し、同定されたパラメータk1、C1を適正なパラメータとして採用するものである。誤差が収束しないときは、筒内圧力センサに異常が生じるなどしてノイズを発生している、演算がオーバーフローしているなどの障害が発生している可能性がある。
式(6)によりモータリング圧力の推定値PMを計算し(S181),誤差E(i)=PM-PSを計算する(S183)。誤差E(i)に基づいて、既知の演算手法により分散またはその近似値σを計算する(S189)。
こうして計算された分散の平方根として標準偏差STDVを計算し(S191)、標準偏差が予め定めたしきい値以上であるときは(S193)、誤差が収束しないと判定し、収束不良フラグ(F_収束_NG)を1にセットする(S195)。収束不良フラグが1になる回数をカウントアップし(S199)、カウントが100以上になると(S201)、筒内圧力センサの異常を示すフラグを1にセットする。図8の収束判定の処理は、同定処理において演算される(1サイクルに1回)。ステップS199でのカウントアップは、クランク角度15度ごとのカウントアップである。
ステップS193で標準偏差がしきい値に達しないときは、誤差が収束するものとし、収束不良フラグを0にセットして(S197)、処理を終了する。
失火警報は、具体的には、運転席のパネルに警告灯を点灯する、エンジンスタート時に音声で異常を運転者に告げ、修理を促す、車両を異常モードの運転に強制的に切り替え、修理を強制する、などの方法で発せられる。
図9は、この発明の第2の実施形態の機能ブロック図であり、図1と同じ構成要素は、同じ参照番号で示してある。この実施形態は、図1の機能ブロック図からモータリング圧力補正部22を省略した形態であり、基本モータリング圧力計算部21で計算された基本モータリング圧力が燃焼室の気体状態方程式に基づくモータリング圧力推定値として用いられる。
以上にこの発明を具体的な実施例について説明したが、この発明はこのような実施例に限定されるものでなく、また、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのいずれに対しても使用することができる。
この発明の第1の実施形態の機能ブロック図である。 モータリング圧力曲線および点火を生じたときの圧力曲線を表す図である。 ピストン位置を計算するための概念図である。 断熱変化における混合気の温度推移を示す図である。 失火検知処理のメインフローを示すフローチャートである。 失火判定処理の流れを示すフローチャートである。 パラメータ同定処理の流れを示すフローチャートである。 収束判定の処理の流れを示すフローチャートである。 この発明の第2の実施形態の機能ブロック図である。
符号の説明
10 電子制御ユニット(ECU)
12 筒内圧力センサ
15 センサ出力検出部
16 燃焼室温度計算部
17 センサ出力補正部
19 燃焼室(シリンダ)容積計算部
20 モータリング圧力推定部
21 基本モータリング圧力計算部
22 モータリング圧力補正部
23 パラメータ同定部

Claims (5)

  1. 内燃機関の燃焼室の筒内圧力検出する圧力検出手段と、
    前記内燃機関のクランク角度を検出するクランク角度検出手段と、
    を備えた内燃機関の燃焼状態検出装置であって、
    前記クランク角度検出手段で検出されるクランク角度に基づいて燃焼室の容積を算出する容積算出手段と、
    前記容積に基づいて燃焼室の温度を算出する温度算出手段と、
    前記容積および前記温度を含む演算式により前記内燃機関のモータリング圧力を推定する推定手段と、
    前記内燃機関の圧縮行程において、前記圧力検出手段で検出される圧力を補正式に従って補正する補正手段と、
    前記補正手段によって補正された圧力と、前記推定手段によって推定された圧力との誤差を最小にするよう前記補正式のパラメータを同定する同定手段と、
    前記内燃機関の燃焼行程において、前記補正手段で補正された圧力と、前記推定手段によって推定される圧力との関係に基づいて燃焼状態を判定する判定手段と、
    を備える燃焼状態検出装置。
  2. 前記推定手段は、
    前記容積および前記温度に基づいて基本モータリング圧力を計算するモータリング圧力計算手段と、
    比熱比に応じた補正パラメータを用いて前記基本モータリング圧力を補正するモータリング圧力補正手段と、を含む請求項1に記載の装置。
  3. 前記温度算出手段は、比熱比を用いて前記温度を算出し、少なくとも燃料カット状態とそれ以外の状態において異なる比熱比を使用する、請求項1乃至請求項2に記載の装置。
  4. 前記同定手段は、吸気弁の閉鎖から燃焼行程に移行するまでの期間において同定を実行する、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装置。
  5. 前記判定手段は、前記内燃機関の失火を判定する、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装置。


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