JP2006272373A - 鋳型及びこれを用いた鋳造装置並びに多結晶シリコンインゴットの製造方法 - Google Patents

鋳型及びこれを用いた鋳造装置並びに多結晶シリコンインゴットの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価に、一方向凝固性の良好な組織を有する多結晶シリコンインゴットを得るための鋳型及びこれを用いた鋳造装置並びに多結晶シリコンインゴットの製造方法を提供する。
【解決手段】底面部材101aから成る底部と、底面部材101aの外周部に立設した側面部材101bから成る側部と、を有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型101であって、側面部材101bと底面部材101aとの間の熱の移動を規制する熱規制構造の一例である櫛形スリット105を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池用シリコン基板などに用いられる多結晶シリコンインゴットを製造するのに適した鋳型及びこれを用いた鋳造装置並びに多結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。
太陽電池はクリーンな石油代替エネルギー源として小規模な家庭用から大規模な発電システムまでの広い分野でその実用化が期待されている。これらは使用原料の種類によって結晶系、アモルファス系、化合物系などに分類され、なかでも現在市場に流通しているものの多くは結晶系シリコン太陽電池である。この結晶系シリコン太陽電池はさらに単結晶型と多結晶型に分類されている。単結晶シリコン太陽電池は基板の品質がよいために変換効率の高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造コストが高いという短所を有する。
これに対して多結晶シリコン太陽電池は従来から市場に流通してきたが、近年、環境問題への関心が高まる中でその需要は増加しており、より低コストで高い変換効率が求められている。こうした要求に対処するためには多結晶シリコン基板の低コスト化、高品質化が必要であり、高純度のシリコンインゴットを歩留よく製造することが求められている。
多結晶シリコン太陽電池に用いる多結晶シリコン基板は一般にキャスティング法と呼ばれる方法で製造される。このキャスティング法は、窒化珪素や酸化珪素等の離型材を塗布した黒鉛や石英などからなる鋳型内に、溶融シリコン融液を注湯して鋳型上部から加熱し、また下部から冷却し一方向凝固させることによって形成したり、シリコン原料を鋳型内に入れていったん溶解した後、再び底部より一方向凝固させたりして、シリコンインゴットを形成する方法である。このシリコンインゴットの端部を除去し、所望の大きさに切断して切り出し、切り出したシリコンインゴットを所望の厚みにスライスして太陽電池を形成するための多結晶シリコン基板を得る。
このような特性に優れた多結晶シリコンインゴットを得るためには、一様な凝固速度、一様な成長方向で、凝固界面が一面となるように結晶を冷却固化させることが理想とされる。このような一方向凝固組織を有するシリコンインゴットを鋳造するために、様々な鋳造装置や鋳造方法が公開されている。
従来の鋳造装置を図9に示す。
この鋳造装置は、加熱機能を有する上部室201と、冷却機能を有する下部室202とを断熱材による隔壁203で仕切られ、この隔壁203の中央部に上部室201と下部室202の間を鋳型208が通過するための連通経路205が配置されている。また、鋳型208は、断熱材210と熱伝導性が良い材質から成る置台206を介して昇降機207に置載されている。また、連通経路205の周囲を囲む位置に冷却板211が設置されている(例えば、特許文献1参照)。
図9において、上部室201で鋳型208内のシリコン209をヒータ204により溶解し、凝固の進行に伴って、置台206の上に置載された鋳型208が、昇降機207により、冷却板211に囲まれたれ連通経路205に下降されて、熱伝導率が良い置台206を冷却域に露出することによって、鋳型底部からシリコン融液の冷却を可能としている。
このように、置台206の下降量や下降速度、また断熱材210厚みや上部室201内の温度や、冷却板211の温度をコントロールすることにより、凝固速度や固液界面の温度勾配を制御している。
特開2002−293526公報
上述した図9に示すような鋳造装置を用いれば、凝固速度:X(m/s)と、固液共存域の温度勾配:G(K/s)をそれぞれ独立に制御して、G/X比が大きくなるように調整できるので、鋳型底部から上方にかけて、凝固方向が一様な柱状組織を有するシリコンインゴットを得られるようになるが、装置が大型、複雑化し、装置導入の初期投資に費用が嵩らむことになり、製造コストの増加を招く。また、凝固中に置台を昇降機によって、昇降移動をするので、駆動シリンダー部のリークが懸念される。また、冷却域に通じる、鋳型移動口のサイズを容易に改造したり、変更することができないので、種々のインゴットサイズに柔軟に対応できなかったりするという課題が残る。
また、特許文献1の実施形態の事例に記載されているように、従来の鋳型は、石英などの一体成型品を用いることが多い。このような一体成型鋳型は、鋳型の底と側面が同質材料から成るので、図6に示すように冷却手段からの負の熱は、殆ど抵抗なく鋳型側面に伝熱され、側壁からインゴット内部に向かって成長する組織を有する、一方向凝固性が悪いものとなってしまう。
本発明はかかる事情に鑑み、安価に、一方向凝固性の良好な組織を有する多結晶シリコンインゴットを得るための鋳型及びこれを用いた鋳造装置並びに多結晶シリコンインゴットの製造方法を提供することを目的としている。
発明者は、上記目的を鋳型形状および構造の改良だけで達成するよう努め、その成果を以下に示す本発明として具現化した。
本発明の鋳型は、底面部材から成る底部と、前記底面部材の外周部に立設した側面部材から成る側部と、を有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、前記側面部材と前記底面部材との間の熱の移動を規制する熱規制構造を設けた。
本発明の鋳型は、前記構成において、前記熱規制構造は、前記底面部材の外周部、又は前記側面部材の鋳型内表面側に設けられたスリット構造であって、前記スリット構造を介して、前記側面部材と、前記底面部材の外周部とが相互に当接しているようにした。
本発明の鋳型は、前記構成において、前記熱規制構造は、前記底面部材の外周部と前記側面部材の鋳型内表面側との間に設けられるとともに、前記底面部材よりも熱伝導率の小さい材質によって構成された介在部材とした。
本発明の鋳型は、前記構成において、前記底面部材は、前記側面部材よりも、厚み方向における熱伝導率が高い材質を用いて構成されているようにした。
本発明の鋳型は、前記構成において、前記底面部材は、前記側面部材よりも、厚みを薄くした。
本発明の鋳造装置は、本発明の鋳型と、前記鋳型を載置する台座と、台座の下部にシリコン融液を冷却するための冷却手段と、を備えている。
本発明の鋳造装置は、前記構成において、前記台座は、前記鋳型を構成する前記底面部材を載置する台座主部と、前記鋳型の前記側面部材を載置する台座外周部とを含み、前記台座主部は、前記台座外周部より、熱伝導率が高い材質を用いて構成されている。
本発明の鋳造装置は、前記構成において、前記冷却手段の大きさは、前記台座主部の大きさと略同寸とした。
本発明の多結晶シリコンインゴットの製造方法は、本発明の鋳型の内部にシリコン融液を保持・凝固させるようにした。
本発明の多結晶シリコンインゴットの製造方法は、本発明の鋳造装置を用いた多結晶シリコンインゴットの製造方法であって、前記台座上に載置された前記鋳型の内部にシリコン融液を保持する工程と、前記冷却手段によって前記台座を介して前記鋳型を下方から冷却する工程と、を備えている。
上述したように、本発明の鋳型は、底面部材から成る底部と、前記底面部材の外周部に立設した側面部材から成る側部と、を有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、前記側面部材と前記底面部材との間の熱の移動を規制する熱規制構造を設けた。このように鋳型の底面部材と側面部材の間に熱規制構造を設けることにより、底面部材から側面部材への熱流を制御することが可能となり、鋳型コーナー部における凝固方向の一様性の悪さを改善することができるから、形成する多結晶シリコンインゴットの一方向凝固性を改善することができるものとなる。
また、熱規制構造として、前記底面部材の外周部、又は前記側面部材の鋳型内表面側に設けられたスリット構造とし、前記スリット構造を介して、前記側面部材と、前記底面部材の外周部とが相互に当接しているように構成したので、該底面部材と側面部材の接触部の熱抵抗が増長され、冷却手段により側面部材から底面部材を介在して逃げる熱量を抑制することができる。これにより、鋳型側面部の下方の温度低下を抑えられるので、鋳型側面部からの結晶成長を抑え、一方向凝固性を大いに改善できる。また、底面部材の外周部、又は側面部材の鋳型内表面側にスリット構造を加工すればよいので、製造コストが大幅に削減できる。
また、熱規制構造として、前記底面部材の外周部と前記側面部材の鋳型内表面側との間に設けられるとともに、前記底面部材よりも熱伝導率の小さい材質によって構成された介在部材を設けるように構成したので、底面部材から側面部材への熱流を制御することが可能となり、これにより、鋳型側面部の下方の温度低下を抑えられるので、鋳型側面部からの結晶成長を抑え、一方向凝固性を大いに改善できる。
また、底面部材は、前記側面部材より、熱伝導率が高い材質から成るようにしたり、あるいは厚みを薄くするようにしたりしているので、鋳型内のシリコン融液から冷却手段へ流れる熱は、熱抵抗の小さい鋳型底部の領域から抜熱されるようになり、良好な一方向凝固性を得ることができる。
本発明の鋳造装置は、本発明の鋳型と、前記鋳型を載置する台座と、台座の下部にシリコン融液を冷却するための冷却手段と、を備えるようにしているので、この鋳造装置を用いて製造されたシリコンインゴットは、鋳型コーナー部における凝固方向の一様性の悪さを改善されているので、形成する多結晶シリコンインゴットは、下方部における一方向凝固性が良好なものとなる。
また、前記台座は、前記鋳型を構成する前記底面部材を載置する台座主部と、前記鋳型の前記側面部材を載置する台座外周部とを含み、前記台座主部は、前記台座外周部より、熱伝導率が高い材質を用いて構成されている。あるいは、前記冷却手段の大きさは、前記台座主部の大きさと略同寸とした。このような構成としたので、凝固中に冷却手段から抜熱する際に、鋳型の底面部材以外の領域から抜熱することを抑え、鋳型底面の領域から均等に整流化した熱が奪われるので、均一な熱流が得られやすく、凝固速度の制御が従来に比べて容易となる。そして、鋳型側面底部から結晶が成長したりせず、一方向凝固性が大いに改善される。
本発明の多結晶シリコンインゴットの製造方法は、本発明の鋳型の内部にシリコン融液を保持・凝固させるようにした。あるいは、本発明の鋳造装置を用いて、前記台座上に載置された前記鋳型の内部にシリコン融液を保持する工程と、前記冷却手段によって前記台座を介して前記鋳型を下方から冷却する工程と、を備えている。このような本発明の鋳型を用いるようにしたことから、シリコン融液を凝固させる際に、鋳型コーナー部における凝固方向の一様性の悪さが改善されているので、特に鋳型底部のコーナー部位において、鋳型側面からの結晶成長が抑制される。また、鋳型の底部からの抜熱によって鋳型内の溶融シリコンを一方向凝固させる際に、凝固界面がより水平方向に近付いて、凝固が進行する。このような効果により、極めて一方向凝固性に優れた多結晶シリコンインゴットを得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す図は、本発明の一例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
(第一実施形態)
図1は、本発明の鋳型の第一実施形態を示す図であり、(a)は組み立て前の図で、(b)は組み立て後の図である。図中の101aは底面部材、101bは側面部材を示す。また、図2は、この鋳型101を用いた鋳造装置の概略断面構造を示す図であり、103は断熱材、104は冷却手段、107は加熱手段である。
図1に示すように、本発明に係る鋳型は、例えば、四角形形状を有する底面部材101aから成る底部と、四枚の側面部材101bから成る側部とから構成され、底面部材101aの外周部に側面部材101bが立設されている。そして、側面部材101bと底面部材101aとの間の熱の移動を規制する熱規制構造として、底面部材101aの外周部が当接する側面部材101bの内面部に、スリット構造として櫛形スリット105が設けられている(詳細後述)。
鋳型部材の材質としては、黒鉛などのカーボン材や石英やシリカなどの二酸化珪素などを用いることができる。
これらの鋳型部材を組み立てるには、例えば、底面部材101aと側面部材101bは、ボルト(不図示)などで固定することによって分割可能に組み立てられたり、底面部材101aと側面部材101bが丁度嵌まる枠部材(不図示)で固定することによって分割可能に組み立てられる。鋳型の側部は四枚の側面部材101bを組み合わせて形成するだけではなく、予め、四角形の筒形状に成型した側面部材101bを使用しても構わない。
鋳型101内面には、例えば、窒化珪素(Si)、炭化珪素(SiC)、酸化珪素(SiO)などの離型材(不図示)が形成され、凝固したシリコンインゴットと鋳型が融着するのを防ぐことができる。
また、図2の鋳造装置に示すように、鋳型101の外周は、断熱材103によって囲繞され、断熱材103により鋳型101の側部からの抜熱を抑制することができる。断熱材103としては、グラファイトフェルトなどの主成分をカーボンとする材質が望ましい。
鋳型101の上方には加熱手段107が配置される。この加熱手段107により鋳型101の内部に保持したシリコン融液に対し上部から熱を供給することによって、その凝固を制御し、一方向凝固を行うことができる。具体的には、例えば、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイルなどを用いることができる。鋳型101の下方には冷却手段104が設けられている。冷却手段104は鋳型101の内部に保持したシリコン融液に対して、その下方から抜熱するという作用を有しており、上述の加熱手段107によって同時に加熱することによって、シリコン融液の下部から上部へと向けて一方向凝固を行うことができる。冷却手段104としては、例えばステンレス(SUS)などの金属板を用いることができ、内部に水などの冷媒を循環させるなどして、鋳型101の内部のシリコン融液から効果的に抜熱できるように構成されている。冷却手段104は底面部材101aの大きさとほぼ同寸か若干小さいほうが好ましい。底面部材101aより大きい場合には冷却手段104が側面部材101bと接することにより、側面部材101bからの抜熱を抑制することができないので好ましくない。
次に、図3を用いて本発明の鋳型の特徴的な構造について説明する。図3は側面部材101bの平面図である。熱規制構造の一例である、櫛形スリット105は、側面部材101bが底面部材101aの外周部と当接する箇所の鋳型内表面側に設けられている。この櫛形スリット105を設けることによって、底面部材101aと側面部材101bとの接触面積が少なくなり、この領域における熱伝導しにくさ(熱抵抗)が増長されるので、側面部材101bから底面部材101aを介して逃げる熱量を抑制することができる。したがって、鋳型底面部を冷却しても底面部材101aと側面部材101bとの接触部の熱抵抗が高く、鋳型側面部の温度低下を抑えられるので、鋳型コーナー部における凝固方向の一様性の悪さを改善することができる。その結果、図5の本発明の鋳型を用いた結晶成長の模式図に示すように、鋳型101の鋳型側面部から結晶成長することを抑制でき、多結晶シリコンインゴットの一方向凝固性を改善することができるものとなる。
この櫛形スリットは、図3中に示す記号H,L1、L2で規定される凹凸形状なるものを基本ユニットとして、底辺に少なくとも1箇所以上、好ましくは底辺の全域に加工する。
図中のHの長さは、底面部材101aの厚みと同寸法、底面部材101aの厚みの半分より長くするのが望ましい。底面部材101aの厚み以上にすると、シリコン融液が漏れる可能性が高くなるので好ましくない。また、底面部材101aの厚みの半分より短くすると、底面部材101aと側面部材101bとの接触部での熱抵抗が小さくなり、底面部材101aを冷却した際に側面部材101bから底面部材101aを介して逃げる熱量を抑制するという本発明の目的に合わないので好ましくない。
図中のL1およびL2の長さは特に限定しないが、L1とL2が略同寸法で、各寸法が1mm〜2mmであるように加工する。
また、櫛形スリット105は、図3に示した形状に何ら限定されることなく、底面部材101aと側面部材101bが接触する部位と、接触しない部位が交互に配列されていれば、本発明の効果を有効に奏しうる。例えば、図4の(a)に示すように、鋸形状にスリットを加工したり、また、図4の(b)に示すように、斜めに矩形スリットを加工しても構わない。さらに、櫛形スリット105のスリットの間は完全に反対側まで貫通している必要はない。また、熱規制構造として、底面部材101aの外周部にスリット構造を設け、側面部材101bの内面側と相互に当接するようにしても構わない。
以上説明したように、本発明の第一実施形態に係る鋳型は、底面部材101aの外周部、又は側面部材101bの鋳型内表面側に上述のような簡単なスリット構造を加工するだけで良いので、製造コストも大幅に削減できる。
(第二実施形態)
次に、本発明の鋳型の第二実施形態について説明する。基本的な構造は第一実施形態と共通するので、異なった部分について説明する。図7(a)は第二実施形態に係る鋳型の縦断面図で、図7(b)は図7(a)のA−A矢視方向断面図である。
図7に示すように、底面部材101aの外周部と側面部材101bの鋳型内表面側との間に底面部材101aよりも熱伝導率の小さい材質によって構成された介在部材106を設けた。この介在部材106は、底面部材101aよりも熱伝導率が小さく、熱的劣化が小さいものであれば特に限定はされないが、加工性がよく比較的安価な、炭素繊維フェルトを用いるのが好ましい。このように底面部材101aと側面部材101bが当接する底面部材の外周部に介在部材106を設置することによって、底面部材101aと側面部材101bとの接触部の熱抵抗が増長されるので、鋳型コーナー部における凝固方向の一様性の悪さを改善することができ、さらに鋳型側面部の温度低下を抑えられるので、鋳型側面部から結晶が成長せずに一方向凝固性を大いに改善できる。その結果、図5の本発明の鋳型を用いた結晶成長の模式図に示すように、鋳型101の鋳型側面部から結晶成長することを抑制でき、多結晶シリコンインゴットの一方向凝固性を改善することができるものとなる。
なお、この介在部材106の表面には充分な量の離型材を塗布してから鋳型101を組み立てるようにすることが望ましい。介在部材106の箇所からシリコン融液の漏洩を防ぐことができるからである。
以上、本発明の第一実施形態と第二実施形態について説明したが、以下、共通の内容について説明する。
底面部材101aは、側面部材101bより熱伝導率が高いほうが好ましい。底面部材101aと側面部材101bの熱伝導率の差が大きくなり、冷却手段104による側面部材101bから底面部材101aを介して逃げる熱量や、逆に加熱手段107による側面部から底面部へ流入する熱量を抑制することができ、短時間で一方向性の良いシリコン結晶を成長させることができるため、高品質のシリコンインゴットを低コストで得ることができる。例えば、鋳型の底面部材101aを石英ガラス(熱伝導率:約2.5W・m−1・K−1)とし、鋳型の側面部材101bを溶融シリカ(熱伝導率:約0.6〜1.5W・m−1・K−1)とすればよい。
さらに、底面部材101aは、側面部材101bより厚みが薄いほうが好ましい。底面部材から放熱される熱量が側面部材から放熱される熱量よりも大きくなるので、鋳型側面からの抜熱量が抑制され、鋳型側面から結晶が成長せずに一方向凝固性を大いに改善することができる。
次に、図8に本発明の鋳造装置の一実施形態を示す。図8(a)は縦断面図であり、図8(b)は、図8(a)のB−B矢視方向断面図である。
図8に示されるように、本発明の鋳造装置は、本発明の第一実施形態に係る櫛形スリット105を有する本発明の鋳型101と冷却手段104の間に、鋳型を載置する台座102が設けられている。この鋳造装置を用いて製造されたシリコンインゴットは、鋳型コーナー部における凝固方向の一様性の悪さが改善されているので、形成する多結晶シリコンインゴットは、下方部における一方向凝固性が良好なものとなる。このような台座102は鋳型101の底面部材101aの大きさに合わせたサイズのものとすることが望ましい。通常と異なる大きさの鋳型101を用いた際に、側面部材101bと冷却手段104が直接接触しないようにすることができ、冷却手段104の大きさを変える必要がなく、製造コストの増加を防ぐことができる。
また、台座102としては、鋳型101を構成する底面部材101aを載置する台座主部102aと、鋳型101の側面部材101bを載置する台座外周部102bとを含み、台座主部102aは、台座外周部102bより、熱伝導率が高い材質を用いて構成することが望ましい。
このような材料は、高温下での熱伝導率を基準に選ぶことが望ましく、台座102の台座主部102aとして、例えばグラファイト(熱伝導率:約50W/mk)やSiC(熱伝導率:約35W/mk)などの材料を用いることができ、台座102の台座外周部102bとしては、例えばグラファイトフェルト(熱伝導率:約0.6W/mk)やCCM(日本カーボンの登録商標)などの炭素繊維強化炭素材料(C/C材)(熱伝導率:約1W/mk)といった材料を用いることができる。
このように鋳型101の底面部材101aと冷却手段104との間に熱伝導性がよい台座主部102aを介在させるために、冷却手段104から抜熱する際に、鋳型101の底面部材101a以外の領域から抜熱されることを防止し、鋳型の底面部材101aの領域から均等に整流化した熱が奪われるので、従来に比べて一方向凝固性が大いに改善される。また、台座主部102aを底面部材101aと略同寸とすれば、鋳型101の底面部材101a以外の領域から抜熱されることを防止する効果をさらに高めることができるので望ましい。
さらに冷却手段104の大きさは、台座主部102aと略同寸であるほうが好ましく、冷却手段104から抜熱する際に、鋳型101の底面部材101a以外の領域から抜熱されることがなく、鋳型の底面部材101aの領域から均等に整流化した熱が奪われるので、従来に比べて一方向凝固性が大いに改善される。
本発明の鋳型を用いた本発明の多結晶シリコンインゴットの製造方法は、上述したように鋳型101の内部にシリコン融液を保持・凝固させるようにしたので、特別な一方向凝固炉を用いなくても、一方向凝固性が大いに改善された多結晶シリコンインゴットを得ることができる。また、本発明の鋳造装置を用いた本発明の多結晶シリコンインゴットの製造方法は、台座102上に載置された鋳型101の内部にシリコン融液を保持する工程と、冷却手段104によって台座102を介して鋳型101を下方から冷却する工程と、を備えているので、シリコン融液を凝固させる際に、鋳型コーナー部における凝固方向の一様性の悪さが改善されており、特に鋳型底部のコーナー部位において、鋳型側面からの結晶成長が抑制される。また、鋳型101の底部からの抜熱によって鋳型内の溶融シリコンを一方向凝固させる際に、凝固界面がより水平方向に近付いて、凝固が進行する。このような効果により、極めて一方向凝固性に優れた多結晶シリコンインゴットを得ることができる。
なお、本発明の実施形態は上述の例にのみ限定されるものではなく、底面部材101aと側面部材101bの接触部の熱抵抗の増加を図るという、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
例えば、鋳型内で保持されるシリコン融液は、鋳型内にシリコン原料を投入し、加熱融解して形成してもいいし、別途溶解装置によりシリコン融液を形成し、鋳型内に注湯しても構わない。
以下、本発明の実施例について説明する。図1及び図3に示す本発明の第一実施形態に係る鋳型を用いて、図7に示す本発明の鋳造装置を構成し、以下に示す条件で本発明の多結晶シリコンインゴットの製造方法を実施し、多結晶シリコンインゴットを作製した。
鋳型101は、黒鉛製の厚み8mmの底面部材101aを略同寸のグラファイト製の台座主部102aに載置し、黒鉛製の厚み15mmの側面部材101bを図2に示すように組み立て、グラファイトフェルト製の台座周辺部に載置し、断熱材103を側面部材101bの外周部に囲繞して、本発明の鋳型を準備した。
この本発明の鋳型を加熱手段を有する真空容器内に配置し、高純度石英製の溶融坩堝(不図示)内で加熱溶融して得たシリコン融液を鋳型内に注湯した。その後、台座主部102aと略同寸法の冷却手段104を台座主部102aに接触させて、鋳型底部から徐々に降温させて一方向凝固を行い、多結晶シリコンインゴットを得た。このとき、底面部材101aと当接する側面部材101bの底辺には、図3の示すような櫛形スリット105が設けられ、Hが4mm、L1とL2が2mmである。また、鋳型の内寸法は340mm×340mm×330mmである。
比較として、厚み15mmの石英製の一体成型鋳型を用いて、上述の同様の方法で、同サイズの多結晶シリコンインゴットを作製した。
以上得られたシリコンインゴットの端部を除去した後、インゴットの中央断面を切断して、断面の成長組織を観察した。
その結果、本発明の実施例から得られたシリコンインゴットは図5に見られるような底部から上部にかけて成長する柱状組織を有した、一方向凝固性に優れたものであったが、従来例から得られたシリコンインゴットは、図6に見られるような側壁からインゴット内部に向かって成長する組織を有する、一方向凝固性が悪いものであった。
以上のように、本発明の鋳型および鋳造装置を用いることにより、安価に一方向凝固性が優れた多結晶シリコンインゴットを得られることを確認できた。
本発明の第一実施形態に係る鋳型を組み合わせる方法を説明した図であり、(a)は組み立て前の図であり、(b)は組み立て後の図である。 一般的な鋳造装置を示す縦断面図である。 本発明の鋳型に係る側面部材の一実施形態を示す概略平面図である。 本発明の鋳型に係る側面部材の他の実施形態を示す概略平面図である。 本発明に係る鋳型の鋳型内部の熱流および結晶組織を示した図である。 従来の鋳型の鋳型内部の熱流および結晶組織を示した図である。 本発明の第二実施形態に係る鋳型を示す図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は(a)のA−A矢視方向断面図である。 本発明の鋳造装置の一実施形態を示す図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は(a)のB−B矢視方向断面図である。 従来の鋳造装置の概略図である。
符号の説明
101:鋳型
101a:底面部材
101b:側面部材
102:台座
102a:台座主部
102b:台座外周部
103:断熱材
104:冷却手段
105:櫛形スリット
106:介在部材
107:加熱手段
201:上部室
202:下部室
203:隔壁
204:ヒータ
205:連通経路
206:置台
207:昇降機
208:鋳型
209:シリコン
210:断熱材
211:冷却板

Claims (10)

  1. 底面部材から成る底部と、前記底面部材の外周部に立設した側面部材から成る側部と、を有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、
    前記側面部材と前記底面部材との間の熱の移動を規制する熱規制構造を設けた鋳型。
  2. 前記熱規制構造は、前記底面部材の外周部、又は前記側面部材の鋳型内表面側に設けられたスリット構造であって、
    前記スリット構造を介して、前記側面部材と、前記底面部材の外周部とが相互に当接している請求項1に記載の鋳型。
  3. 前記熱規制構造は、前記底面部材の外周部と前記側面部材の鋳型内表面側との間に設けられるとともに、前記底面部材よりも熱伝導率の小さい材質によって構成された介在部材である請求項1に記載の鋳型。
  4. 前記底面部材は、前記側面部材よりも、厚み方向における熱伝導率が高い材質を用いて構成された請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鋳型。
  5. 前記底面部材は、前記側面部材よりも、厚みを薄くした請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の鋳型。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の鋳型と、前記鋳型を載置する台座と、台座の下部にシリコン融液を冷却するための冷却手段と、を備えた鋳造装置。
  7. 前記台座は、前記鋳型を構成する前記底面部材を載置する台座主部と、前記鋳型の前記側面部材を載置する台座外周部とを含み、
    前記台座主部は、前記台座外周部より、熱伝導率が高い材質を用いて構成された請求項6に記載の鋳造装置。
  8. 前記冷却手段の大きさは、前記台座主部の大きさと略同寸である請求項7に記載の鋳造装置。
  9. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の鋳型の内部にシリコン融液を保持・凝固させる多結晶シリコンインゴットの製造方法。
  10. 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の鋳造装置を用いた多結晶シリコンインゴットの製造方法であって、
    前記台座上に載置された前記鋳型の内部にシリコン融液を保持する工程と、
    前記冷却手段によって前記台座を介して前記鋳型を下方から冷却する工程と、を備えた多結晶シリコンインゴットの製造方法。

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006335582A (ja) * 2005-05-31 2006-12-14 Daiichi Kiden:Kk 結晶シリコン製造装置とその製造方法
JP2015020941A (ja) * 2013-07-23 2015-02-02 日本坩堝株式会社 シリコン鋳造用容器

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