JP2006282495A - 鋳型及びこれを用いた多結晶シリコンインゴットの製造方法 - Google Patents

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洋平 坂井
Hiroshi Matsui
宏史 松居
Junichi Atobe
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Abstract

【課題】安価に、一方向凝固性の良好な組織を有する多結晶シリコンインゴットを得るための鋳型及びそれを用いた多結晶シリコンの製造方法を提供する。
【解決手段】底部と側部とを有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型1であって、鋳型1の内側の表面と鋳型1の外側の表面との間に一定の温度差を付与したとき、側部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsと、底部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つ。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池用シリコン基板などに用いられる多結晶シリコンインゴットを製造するのに適した鋳型及びこれを用いた多結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。
太陽電池はクリーンな石油代替エネルギー源として小規模な家庭用から大規模な発電システムまでの広い分野でその実用化が期待されている。これらは使用原料の種類によって結晶系、アモルファス系、化合物系などに分類され、なかでも現在市場に流通しているものの多くは結晶系シリコン太陽電池である。この結晶系シリコン太陽電池はさらに単結晶型と多結晶型に分類されている。単結晶シリコン太陽電池は基板の品質が良いために変換効率の高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造コストが高いという短所を有する。
これに対して多結晶シリコン太陽電池は従来から市場に流通してきたが、近年、環境問題への関心が高まる中でその需要は増加しており、より低コストで高い変換効率が求められている。こうした要求に対処するためには多結晶シリコン基板の低コスト化、高品質化が必要であり、高品質のシリコンインゴットを歩留良く製造することが求められている。
多結晶シリコン太陽電池に用いる多結晶シリコン基板は一般に鋳造法と呼ばれる方法で製造される。この鋳造法は、離型材を塗布した石英などからなる鋳型内に高温で加熱溶解させたシリコン融液を注湯して鋳型底部より一方向凝固させたり、シリコン原料を鋳型内に入れて一旦溶解した後、再び底部より一方向凝固させたりして、シリコンインゴットを形成する方法である。このシリコンインゴットの端部を除去し、所望の大きさに切断して切り出し、切り出したシリコンインゴットを所望の厚みにスライスして太陽電池を形成するための多結晶シリコン基板を得る。
このような特性に優れた多結晶シリコンインゴットを得るためには、一様な凝固速度、一様な成長方向で、シリコン融液を冷却固化させることが理想とされる。鋳型内でシリコン融液を冷却固化する多結晶シリコンの鋳造法においては、融液の抜熱を鋳型底部から行い、シリコンの結晶を鋳型底部から上方へ向けて一方向に成長させることが好ましい。シリコン結晶が鋳型側部から鋳型中央に向けて成長した一方向性の悪いシリコンインゴットでは、固化したシリコン結晶に取り囲まれるように内部に取り残されたシリコン融液が固化する際に凝固膨張するため、周囲のシリコン結晶が割れてしまう問題がある。また、鋳型上面を常時加熱し融液が内部に取り残されないように凝固させれば、前述のシリコンインゴットの割れの問題は回避できるが、鋳型側部から成長したシリコン結晶と、鋳型底部から成長したシリコン結晶の境界部分では、結晶品質が低下したり、凝固偏析現象によって融液から排斥される不純物が、前述の境界部分に集中するなどして、インゴット品質が低下する問題がある。
そのため、一方向凝固組織を有するシリコンインゴットを鋳造するために、様々な鋳造装置や鋳造方法が公開されている。
従来におけるシリコン鋳造装置を図12に示す。
この鋳造装置は、加熱機能を有する上部室101と、冷却機能を有する下部室102とを断熱材による隔壁103で仕切られ、この隔壁103の中央部に上部室101と下部室102の間を鋳型108が通過するための連通経路105が配置されている。また、鋳型108は、断熱材110と熱伝導性が良い材質から成る置台106を介して昇降機107に置載されている。また、連通経路105の周囲を囲む位置に冷却板111が設置されている(例えば、特許文献1参照)。
図12において、上部室101で鋳型108内のシリコン109を溶解し、凝固の進行に伴って、置台106の上に置載された鋳型108が、昇降機107により、冷却板111に囲まれた連通経路105に下降されて、熱伝導率が良い置台106を冷却域に露出することによって、鋳型底部からシリコン融液の冷却を可能としている。
このように、置台106の下降量や下降速度、また断熱材110厚みや上部室101内の温度や、冷却板111の温度をコントロールすることにより、凝固速度や固液界面の温度勾配を制御している。
特開2002−293526公報
上述した図12に示すような凝固装置を用いれば、凝固速度:X(m/s)と、固液共存域の温度勾配:G(K/s)をそれぞれ独立に制御して、G/X比が大きくなるように調整できるので、鋳型底部から上方にかけて、凝固方向が一様な柱状組織を有するシリコンインゴットを得られるようになるが、装置が大型、複雑化し、装置導入の初期投資に費用が嵩らむことになり、製造コストの増加を招く。
また、凝固中に置台を昇降機によって、昇降移動をするので、駆動シリンダー部のリークが懸念される。
また、冷却域に通じる、鋳型移動口のサイズを容易に改造したり、変更することができないので、種々のインゴットサイズに柔軟に対応できなかったりするという課題が残る。
また、特許文献1の実施形態の事例に記載されているように、従来の鋳型は、シリカなどの一体成型品を用いることが多い。このような一体成型鋳型は、鋳型の底と側面が同質材料から成るので、冷却板からの負の熱は、殆ど抵抗なく鋳型側面に伝熱される。このような鋳型を用いた場合、上述したような凝固速度や温度勾配を独立に制御可能とする特別な一方向凝固炉を用いない限り、鋳型の側壁に近い部分の凝固組織は底面に垂直な柱状組織が成長し、鋳型底部の全領域から、上部に向けて柱状組織を有する一方向凝固多結晶シリコンインゴットを得るのは難しくなる。
本発明は係る事情に鑑み、安価に、一方向凝固性の良好な組織を有する多結晶シリコンインゴットを得るための鋳型及びそれを用いた多結晶シリコンの製造方法を提供することを目的としている。
以上の目的を解決するために、本発明の請求項1に係る鋳型は、底部と側部とを有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、前記鋳型の内側の表面と該鋳型の外側の表面との間に一定の温度差を付与したとき、前記側部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsと、前記底部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つようにした。
本発明の請求項2に係る鋳型は、本発明の請求項1に記載の鋳型であって、前記熱量Qsは、前記鋳型の開口部側の方が前記底部側よりも小さくなるようにした。ここで、本文中、側面部及び/又は側面部材の下端を0%、側面部及び/又は側面部材の上端を100%としたときに、50%未満の領域における放熱量の平均をQsb、Qsb、50%以上100%の領域における放熱量の平均をQst、Qstとした。
本発明の請求項3に係る鋳型は、底面部材から成る底部と、前記底面部材の外周部に立設した側面部材から成る側部と、を有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、前記側面部材の内面と該側面部材の外面との間に一定の温度差ΔTを付与したときに、該側面部材を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qsと、前記底面部材の内面と該底面部材の外面との間に前記温度差ΔTを付与したときに、該底面部材を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つようにした。
本発明の請求項4に係る鋳型は、前記熱量Qsは、前記鋳型の開口部側の方が前記底部側よりも小さくなるようにした。
本発明の請求項5に係る鋳型は、請求項3又は請求項4に記載の鋳型であって、前記側面部材の熱伝導率λsと、前記底面部材の熱伝導率λbとの間にλs<λbの関係が成り立つようにした。
本発明の請求項6に係る鋳型は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の鋳型であって、前記側面部材の厚みdsと、前記底面部材の厚みdbとの間にds>dbの関係が成り立つようにした。
本発明の請求項7に係る鋳型は、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の鋳型であって、前記側面部材は、前記底面部材の外周部と当接する箇所に、スリット構造が設けられているようにした。
本発明の請求項8に係る鋳型は、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の鋳型であって、前記底面部材の外周部と前記側面部材との間に、前記底面部材よりも熱伝導率の小さい介在部材が設けられているようにした。
本発明の請求項9に係る鋳型は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の鋳型であって、内側の表面に離型材が形成されて成るとともに、前記離型材は、前記側部における厚みtsと、前記底部における厚みtbとの間に、ts>tbの関係が成り立つようにした。
本発明の請求項10に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法は、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の鋳型の内部にシリコン融液を保持・凝固させて製造するようにした。
以上のように、本発明の鋳型は、底部と側部とを有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、前記鋳型の内側の表面と該鋳型の外側の表面との間に一定の温度差を付与したとき、前記側部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsと、前記底部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つようにした。
又は、本発明の鋳型は、底面部材から成る底部と、前記底面部材の外周部に立設した側面部材から成る側部と、を有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、前記側面部材の内面と該側面部材の外面との間に一定の温度差ΔTを付与したときに、該側面部材を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qsと、前記底面部材の内面と該底面部材の外面との間に前記温度差ΔTを付与したときに、該底面部材を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つようにした。
このような本発明の鋳型を用いることによって、鋳型側面からの抜熱量が抑制されるため、鋳型側面から結晶が成長することを抑制でき、一方向凝固性が大いに改善できる。したがって、鋳型側面から成長したシリコン結晶と鋳型底面から成長したシリコン結晶の境界部分で、結晶品質が低下したり、凝固偏析現象によって融液中へ排斥される不純物が前述の境界部分に集中したりするなどして多結晶シリコンインゴット品質が低下する問題を抑制することができる。
また、側面からの抜熱を抑制しつつ、底面からの抜熱を促進させることにより、鋳型内のシリコン融液を鋳型底部から冷却固化させることができるため、従来に比べシリコン融液の冷却固化時間が長くなることなく、一方向性の良い高品質の多結晶シリコンインゴットを得ることが可能となる。
さらに、凝固界面が凹面になるのを防止することができ、多結晶シリコンインゴット上端での最終凝固の不均一性がなくなるためシリコンの凝固膨張による残留応力が生じにくく、インゴットのクラック発生を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の鋳型を説明する図であり、図1(a)は、鋳型の一例を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)のA−a矢視方向の断面図である。
図1(a)に示されるように、鋳型1を構成する鋳型部材は、鋳型1の底部を構成する底面部材2と鋳型1の側部を構成する側面部材3とからなる。側面部材3は、図1(a)に示されるように四つの面からなる角筒型形状であってもよいし、加えて角にR形状があってもよく、また円筒形状であっても構わない。さらに、この側面部材3は一体型構造であってもよいし、四枚の部材を組み合わせた組立構造であっても構わない。
これらの鋳型部材を組み立てるには、例えば、底面部材2と側面部材3は、ボルト(不図示)などで固定することによって分割可能に組み立てられたり、底面部材2と側面部材3が丁度嵌まる枠部材(不図示)などで固定したりすることによって分割可能に組み立てられる。
鋳型部材の材質としては、石英、溶融シリカなどの二酸化珪素や黒鉛など、耐熱性に富む材質を用いることができる。
鋳型1の内表面には、離型材4を含む層が設けられている。このような離型材4によって、鋳型1の内部のシリコン融液を凝固した後に鋳型1の内壁とシリコンインゴットとが融着することがなく、シリコンインゴットにひびや割れを発生させることなく取り出すことができる。このような離型材の層としては、窒化珪素、炭化珪素、酸化珪素などの各粉体、又は混合粉を適当な有機バインダーと溶剤とから構成される溶液中に混合・攪拌してスラリーとした離型材を、へらや刷毛、スプレーなどを用いて鋳型1の内面に塗布・乾燥して被覆したものを用いることができる。乾燥方法としては、自然乾燥又は、ホットプレート、オーブンなどの従来周知の方法を用いることができる。バインダーには、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)、MC(メチルセルロース)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、EC(エチルセルロース)、HPC(ヒドロキシフ゜ロピルセルロース)、ワックスなどが一般的に使用される。また、有機バインダー溶液を混合してスラリー状にした離型材を被覆するような場合、その後の加熱で有機バインダーの熱分解性生成物がシリコン融液中に混入することを防止するために、前述の乾燥処理の後脱脂処理が行われる。鋳型1の内表面への離型材の塗布は、スラリーを塗布するだけではなく、プラズマ溶射等を用いて直接、離型材4の層を設けても良い。
図2に本発明の鋳型を適用可能な、多結晶シリコンインゴット鋳造用のシリコン鋳造装置を示す。(図中、1は鋳型、2は底面部材、3は側面部材、4は離型材、5は断熱材、6は鋳型加熱手段、7は冷却手段、10はシリコン融液である。)
鋳型1の内部はシリコン融液が保持され、凝固させて多結晶シリコンインゴットを得ることができる。このようなシリコン融液は、外部の溶融坩堝(不図示)内で溶融させたシリコンを注湯するようにしてもよいし、この鋳型1の内部にシリコン原料を保持して外部から加熱溶融してシリコン融液とするようにしてもよい。
鋳型1の側部には、外周を囲繞するように鋳型断熱材5が設けられる。この鋳型断熱材5を設ける目的は、シリコン融液を鋳型1に保持したときに、鋳型1の側部からの抜熱を抑制し、後述する鋳型加熱手段6と冷却手段7とによる一方向凝固を行いやすくするためである。鋳型断熱材5としては、グラファイトフェルトなどカーボンを主成分とする材質が望ましく、特にその表面をカーボンの粉体でコーティング処理を行ったものを用いれば、シリコン融液が付着したときに、劣化するという問題を減少させることができるので望ましい。
鋳型1の上方には鋳型加熱手段6が配置される。この鋳型加熱手段6により鋳型1の内部に保持したシリコン融液に対し上部から熱を供給することによって、その凝固を制御し、一方向凝固を行うことができる。具体的には、例えば、抵抗加熱式のヒーターや誘導加熱式のコイルなどを用いることができる。
そして、鋳型1の下方には冷却手段7が設けられている。冷却手段7は鋳型1の内部に保持したシリコン融液10に対して、その下方から抜熱するという作用を有しており、上述の鋳型加熱手段6によって同時に加熱することによって、シリコン融液10の下部から上部へと向けて一方向凝固を行うことができる。冷却手段7としては、例えばステンレス(SUS)などの金属板を用いることができ、内部に水などの冷媒を循環させるなどして、鋳型1の内部のシリコン融液から効果的に抜熱できるように構成されている。
以下、本発明に係る鋳型の詳細な構成について説明する。
本発明に係る鋳型は、図1(b)に示すように鋳型1の内側の表面と鋳型1の外側の表面との間に一定の温度差ΔTを付与したとき、側部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsと、底部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つように構成されている。
このような本発明の鋳型によれば、図2に示すような多結晶シリコンインゴットの鋳造工程、すなわち、鋳型1内でシリコン融液10を冷却固化する工程中又は固化した高温のシリコンの結晶を冷却する工程中に、鋳型1の内表面から外表面に向けて単位時間、単位面積当たりに放熱される熱量において、側部を通って放熱される熱量よりも底部を通って放熱される熱量の方が大きくすることができる。
これによって、鋳型1の側部からの抜熱量が抑制され、鋳型1の内側面から結晶が成長せずに一方向凝固性が大いに改善できるため、鋳型1の内側面から成長したシリコン結晶と鋳型1の内底面から成長したシリコン結晶の境界部分で、結晶が微細化して品質が低下する問題や、凝固偏析現象によって融液から排斥される不純物が前述の境界部分に集中するなどしてインゴット品質が低下するといった問題を抑制することができる。また、底面からの抜熱を促進し、鋳型1内のシリコン融液を鋳型1の内底面から冷却固化させることができるため、シリコン融液の冷却固化時間が長くなることなく、一方向性の良い高品質のシリコンインゴットを得ることが可能となる。また、凝固界面が凹面になるのを防止することができ、シリコンインゴット上端での最終凝固の不均一性がなくなるためシリコンの凝固膨張による残留応力が生じにくく、インゴットのクラック発生を抑制することができる。
この場合、特に側部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsは、鋳型の開口部側の方が底部側よりも小さくした方が好ましい。図4は本発明に係る鋳型の一例で、1は鋳型、2は底面部材、3は側面部材、4は離型材、T1は内面側温度、T2は外面側温度、Qb1は底面部材を通過する単位時間・単位面積あたりの熱量、Qst1は開口部側の鋳型側部を通過する単位時間・単位面積あたりの熱量、Qsb1は底部側の鋳型側部を通過する単位時間・単位面積あたりの熱量である。
このように、鋳型1の内側の表面と鋳型1の外側の表面との間に一定の温度差Δtを付与したとき、側部の開口部側および底部側を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qst、Qsbのうち、鋳型の開口部側の熱量Qstの方が底部側の熱量Qsbよりも小さいようにした。
この結果、開口部側の熱量Qstと底部側の熱量Qsbの差異により、鋳型の側部において、底部側からの一方向性の抜熱を促進させることができる。さらに、鋳型底部における熱量Qbは、鋳型側部の熱量Qsよりも抜熱量が少ないため、ここでも鋳型底部から開口部にかけての一方向性を確保できるため、これらの相乗作用によって、底部からの冷却を促し、一方向性凝固をより促進させることができるからである。それゆえ、上述の効果に加え、より高品質なインゴットを短時間で得ることができる。以降、説明簡略化のために、上記の作用効果を抜熱バランスがよいと呼ぶこととする。
例えば、シリカ等を鋳型部材として使用した場合、溶融シリカ(熱伝導率:約0.6〜1.0W・m−1・K−1)の気孔率を変化させることによって上記構成を得ることができる。
さらに、炭素繊維強化炭素材料(熱伝導率:約110〜170W・m−1・K−1)を使用した場合は、炭素繊維の織り込み方を変化させることによって、熱伝導率を変化させることも可能である。
上述のように、本発明の鋳型は、鋳型形状として存在している場合の、所定条件における側部を通過する熱量Qsと、底部を通過する熱量Qbとを規定している。このようにすることで、結晶シリコンインゴットの鋳造工程における、底部と側部とから放熱される熱量を正確に最適化することができる。そこで、鋳型がこのような規程を満たしているかどうか確認するためには、鋳型形状で測定を行う必要があり、実際に鋳型を作製するに当たっては、次に示すような構成とすることでより簡略化することができる。
図3に本発明に係る側面部材及び底面部材を熱が通過する様子を示す模式的な概念図を示す。図3(a)は側面部材又は底面部材で熱が通過する様子を示し、図3(b)は、図3(a)の部材を組み立てて鋳型としたときに鋳型内部から外部へと熱が通過する様子を示す。図中、2は底面部材、3は側面部材、3aは開口部側の側面部材、3bは底部側の側面部材、T1は内面側温度、T2は外面側温度、Qbは底面部材を通過する単位時間・単位面積あたりの熱量、Qsは側面部材を通過する単位時間・単位面積あたりの熱量、Qstは開口部側の側面部材を通過する単位時間・単位面積あたりの熱量、Qsbは底部側の側面部材を通過する単位時間・単位面積あたりの熱量である。
図3に示すように、側面部材3の内面と外面との間に一定の温度差ΔTを付与したときに、側面部材3を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qsと、底面部材2の内面と外面との間に側面部材3に付与したのと同じ温度差ΔTを付与したときに、底面部材2を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つようにすれば、多結晶シリコンインゴットの鋳造工程に上述した機能を有する本発明の鋳型を構成することができるのでより一層望ましい。すなわち、鋳型形状に組み立てる以前の、側面部材3、底面部材2の状態の場合で、本発明の鋳型を構成することができるかどうかを判断することができるというメリットがある。
以上のような構成を有する本発明の鋳型を実現するためには、以下に示す方法を用いることが効果的である。なお、以下に示す方法の一つに限らず、複数の方法を同時に併用することが望ましい。
まず、鋳型1の側部を構成する側面部材3及び底部を構成する底面部材2を選択する場合において、側面部材3の熱伝導率λsと、底面部材2の熱伝導率λbとの間にλs<λbの関係が成り立つような材質を選択することが望ましい。このようにすれば、底部から放熱される熱量が側部から放熱される熱量よりも大きくなる本発明の構成を形成する効果が高い。
このような側面部材3と底面部材2としては、例えば、二酸化珪素を主成分とする材質から選択する場合、側面部材3を溶融シリカ(熱伝導率:約0.6〜1.0W・m−1・K−1)とし、底面部材2を石英ガラス(熱伝導率:約2.5W・m−1・K−1)とすればよく、ガスバーナーによる溶接などを用いて鋳型1の形状に組み立てることができる。また、炭素系の材料を主成分とする材質から選択する場合、底面部材2を黒鉛(熱伝導率:約110〜170W・m−1・K−1)とし、側面部材3を炭素繊維強化炭素材料(熱伝導率:約1〜30W・m−1・K−1)とすればよい。このように同じ成分の材質から選択することが、部材同士の溶接が容易である等の理由から望ましい。
また、側面部材3の厚みdsと、底面部材2の厚みdbとの間にds>dbの関係が成り立つようにすることで、底部から放熱される熱量が側部から放熱される熱量よりも大きくなる本発明の構成を形成する効果が高い。実際の厚みは、鋳造の工程で用いるシリコン融液、シリコンインゴットを安定して保持できる厚みとすればよく、例えば、溶融シリカを用いて構成する場合、側面部材3の厚みds、底面部材2の厚みdbは4mm以上とし、上述のds>dbとなるような範囲から選択すればよい。なお、dsとdbのそれぞれの厚みの上限は20mmとすればよい。これ以上の厚みだと部材の取り扱いが不便となるためである。
なお、側面部材3の厚みdsと底面部材2の厚みdbとの間には、1.2db<ds<3dbの関係が成り立つようにすることが望ましい。側面部材3の厚みdsが底面部材2の厚みdbの1.2倍以下では、側面と底面の抜熱量の差が小さく、十分な一方向性の良いシリコンインゴットを得ることが難しく、一方、側面部材3の厚みdsが底面部材2の厚みdbの3倍以上では、鋳型1の側面部材3の厚みが必要以上に厚くなり、取り扱いが不便になるためである。
また、上述のように底面部材2と側面部材3の熱伝導率を変えた材質を用いて構成する場合、厚みの差を組み合わせることによってさらに効果を奏する。例えば、底面部材2は厚みdbを小さくするとともに熱伝導率λbの高い材質を用い、側面部材3は厚みを大きくするとともに熱伝導率λsの低い材質を用いるようにすれば、鋳型1の底部から放熱される熱量が鋳型1の側部から放熱される熱量よりも大きくする効果がより一層高くなる。
ここで、側面部材を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsは、鋳型の開口部側の方が底部側よりも小さくした方が好ましい。図5に本発明に係る一実施形態を示す鋳型を示す。図5において、1は鋳型、2は底面部材、3は側面部材、3aは開口部側の側面部材、3bは底部側の側面部材、4は離型材である。
図中、側面部材3は、開口部側に設けられた側面部材3aと底部側に設けられた側面部材3bとから構成されているが、これに限定されることなく、通過する熱量の異なる複数種類の側面部材3を用いてもよい。
より好ましい形態として、図3に示すように、開口部側の側面部材3a、底部側の側面部材3bの内面と外面との間に一定の温度差ΔTを付与したときに、開口部側の側面部材3a、底部側の側面部材3bを通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qst、Qsbとすると、Qst<Qsbの関係を有していることが好ましい。
そして、底面部材2の内面と外面との間に側面部材3に付与したのと同じ温度差ΔTを付与したとき、底面部材2を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qbとの間で、Qs<Qbの関係が成立しているため、Qst<Qsb<Qbの関係が成り立つようにすれば、多結晶シリコンインゴットの鋳造工程に上述した機能を有する本発明の鋳型を構成することができるのでより一層望ましい。
上述した、側面部材3の開口部側と、底部側とで抜熱量を変化させた鋳型1を実現するためには、以下に示す方法を用いることが効果的である。なお、以下に示す方法の一つに限らず、複数の方法を同時に併用することが望ましい。
第一の方法として、側面部材3の熱伝導率を変化させることが挙げられる。鋳型1の側部を構成する開口部側の側面部材3a、底部側の側面部材3b及び底部を構成する底面部材2を選択する場合において、開口部側の側面部材3aの熱伝導率λstと、底部側の側面部材3bの熱伝導率λsbと、底面部材2の熱伝導率λbとの間にλst<λsb<λbの関係が成り立つような材質を選択することが望ましい。このようにすれば、底部から放熱される熱量が側部から放熱される熱量よりも大きく、抜熱バランスの適した鋳型を効果的に作製することができる。図5に示すような鋳型1開口部側の側面部材3a、底部側の側面部材3bと底面部材2としては、例えば、二酸化珪素を主成分とする材質から選択する場合、開口部側の側面部材3a、底部側の側面部材3bを熱伝導率が異なる2種類の溶融シリカ(熱伝導率:約0.6〜1.0W・m−1・K−1)とし、底面部材2を石英ガラス(熱伝導率:約2.5W・m−1・K−1)とすればよく、ガスバーナーによる溶接などを用いて鋳型1の形状に組み立てることができる。そして、炭素系の材料を主成分とする材質から選択する場合、底面部材2を黒鉛(熱伝導率:約110〜170W・m−1・K−1)とし、開口部側の側面部材3a、底部側の側面部材3bを熱伝導率が異なる2種類の炭素繊維強化炭素材料(熱伝導率:約1〜30W・m−1・K−1)とすればよい。このように、同じ成分の材質から選択することが、部材同士の溶接が容易である等の理由から望ましい。また、炭素系の材料を主成分とする材質から選択した場合には、ボルト(不図示)などで固定してもよい。
第二の方法として鋳型部材の厚みを変化させることが挙げられる。鋳型1の開口部側の側面部材3aの最大厚みdstと、底部側の側面部材3bの最大厚みdsbと、底面部材2の厚みdbとの間にdst>dsb>dbの関係が成り立つようにすることで、底部から放熱される熱量が側部から放熱される熱量よりも大きくなる本発明の構成を形成する効果が高い。実際の厚みは、鋳造の工程で用いるシリコン融液、シリコンインゴットを安定して保持できる厚みとすればよく、例えば、溶融シリカを用いて構成する場合、開口部側の側面部材3aの最大厚みdstと、底部側の側面部材3bの最大厚みdsb、底面部材2の厚みdbは4mm以上とし、上述のdst>dsb>dbとなるような範囲から選択すればよい。なお、dstとdsbとdbのそれぞれの厚みの上限は20mmとすればよい。これ以上の厚みだと部材の取り扱いが不便となるためである。
第三の方法として、上述した方法を組み合わせ、さらに効果を向上させることができる。例えば、底面部材2は厚みdbを小さくするとともに熱伝導率λbの高い材質を用い、開口部側の側面部材3a、底部側の側面部材3bは厚みを大きくするとともに熱伝導率λst、λsbの低い材質を用いるようにすれば、鋳型1の底部から放熱される熱量が鋳型1の側部から放熱される熱量よりも大きくする効果がより一層高くすることができる。このような、複数の組み合わせによる場合であっても、開口部側の熱量Qst、底部側の熱量Qsbは、上述した各々の領域で複数の部材の熱伝導率を各々の体積と比較すれば各部材を通過する熱量を算出することができる。
図6に本発明に係る他の実施形態を示す鋳型を示す。図6において、1は鋳型、2は底面部材、3は側面部材、3aは開口部側の側面部材、3bは底部側の側面部材、4は離型材、である。また、図6において、Dstは開口部側の側面部材の厚み、Dsbは底部側の側面部材の厚み、Hstは開口部側の側面部材の高さ、Hsbは底部側の側面部材の高さである。図中、側面部材3は、開口部側に設けられた側面部材3aと底部側に設けられた側面部材3bとから構成されているが、これに限定されることなく、熱量の異なる複数種類の側面部材3を用いてもよい。
図6に示される側面部材の構造であれば、開口部側の側面部材3aの鋳型内面側の下部分を切り抜いて、底部側の側面部材3bを組み込んでも構造であるため、鋳型側部の上部は開口部側の側面部材3aからなり、鋳型側部の下部は開口部側の側面部材3aと底部側の側面部材3bとから構成される。このため、図6に示される側面部材の構造であれば、Qst<Qsb≦Qbであってもよく、多結晶シリコンインゴットの鋳造工程に上述した機能を有する本発明の鋳型を構成することができるのでより一層望ましい。Qsb=Qbの場合、鋳型側部の下部は開口部側の側面部材3aと底部側の側面部材3bとから構成されるため、鋳型側部の下部における熱量は、鋳型底面部材2における熱量Qbよりも小さくすることが可能である。
この結果、上述の効果に加え、鋳型1内部のシリコン融液は、その冷却過程において、抜熱バランスを制御することができる。
また、図6の場合であっても、熱伝導率、厚みについて、上述した関係式λst<λsb≦λb、dst>dsb≧dbを満たすことができる。したがって、底部側の側面部材3bを石英ガラス、黒鉛とし、開口部側の側面部材3aを溶融シリカ、炭素繊維強化炭素材料を使用することもできる。
さらに、開口部側の側面部材3aの最大厚みをDst、最大高さをHst、底部側の側面部材3bの最大厚みをDsb、最大高さをHsbとしたとき、厚みの比Dsb/Dstは0.6以下とすることが望ましい。この範囲内であれば、鋳型底面からの抜熱と鋳型側面からの抜熱のバランスが一層良くなるため、上述した効果を向上することができる。
しかしながら、この範囲より大きい場合、鋳型側面からの抜熱がDsb/Dst≦0.6の場合と比較して大きくなり、上述した抜熱バランスが不十分になるおそれがある。
一方、高さの比Hsb/Hstは0.7以下とすることが望ましい。この範囲内であれば、鋳型側面からの抜熱を適度に保つことができ、鋳型底面からの抜熱と鋳型側面からの抜熱のバランスを一層向上させ、上述した効果をさらに得ることができる。しかしながら、この範囲より大きい場合、鋳型側面からの抜熱が促進されるため、上述した抜熱バランスが不十分になるおそれがある。
また、開口部側の側面部材3aの厚みに関しては、脆弱性の観点より2mm以上有することが好ましい。
そして、図7(a)、(b)は本発明の鋳型に係る側面部材の一実施形態を示す概略図を示す。図中、3aは開口部側の側面部材、3bは底部側の側面部材である。側面部材3を鋳型内面方向から見た場合、図7(a)のように開口部側の側面部材3aの幅と底部側の側面部材3bの幅が同じであっても良く、図7(b)のように底部側の側面部材3bの幅が開口部側の側面部材3aの幅よりも小さくても構わない。これらの鋳型1の作製には、上述したように、ガスバーナーで溶接したり、ボルトによって固定すれば鋳型1を組み立てることができる。
さらに、鋳型1の内側の表面に形成される離型材4としては、側部における離型材4の層の厚みtsと、底部における離型材4の層の厚みtbとの間に、ts>tbの関係が成り立つように形成することが望ましい。このようにすれば、底部から放熱される熱量が側部から放熱される熱量よりも大きくなる本発明の構成を形成する効果が高い。上述したように、離型材4の層は、離型材の粉末を混合したスラリーを鋳型1の内面に塗布・乾燥して被覆することによって得ることができるが、この離型材のスラリーを塗布・乾燥する回数を多くすることによって離型材4の層の厚みを増加させることができる。
そして、離型材のスラリーの塗布は、鋳型1を組み立てた状態で塗布・乾燥させることによって離型材4の層を形成してもよいし、底面部材2と側面部材3の状態で塗布・乾燥して離型材4の層を形成させてから組み立てるようにしてもよい。またあらかじめ離型材4の層を形成してから、組み立てを行い、さらにスラリーを塗布・乾燥させても構わない。
離型材4の層の厚みは、鋳造の工程で用いるシリコン融液、シリコンインゴットを安定して離型できる厚みとすればよく、例えば、窒化珪素と二酸化珪素を混合した離型材4を用いて構成する場合、側面部材3に設ける離型材4の層の厚みts、底面部材2に設ける離型材4の層の厚みtbは0.3mm以上とし、上述のts>tbとなるような範囲から選択すればよい。なお、離型材4の層の厚みtsとtbのそれぞれの厚みの上限は2mm、より好ましくは1.5mmとすればよい。これ以上の厚みだと離型材4の層そのものの強度が低下し、鋳造中に離型材層が剥離してシリコン融液内に混入するなどの問題が生じる恐れがあるためである。
以上のようにして本発明に係る鋳型を形成することができる。以下、図を用いてさらに好ましい構成について説明する。
上述したように、底面部材2と側面部材3を用いて本発明の鋳型1を構成する場合、底面部材2から外部へ流れる熱量を大きくしているため、底面部材2と側面部材3との接続部において、凝固組織は側面部から成長が進行して底面に垂直な柱状組織が成長しがちとなる。
そこで、側面部材3と底面部材2との相互の部材間における熱の移動量を規制するようにするとよい。これによって、底面部材2と側面部材3の熱伝導率の差が大きくなり、冷却手段7による側部から底部を介して逃げる熱量や、逆に側部から底部へ流入する熱量を抑制することができ、短時間で一方向性の良いシリコン結晶を成長させることができるため、高品質のシリコンインゴットを低コストで得ることができる。
なお、具体的な方法としては、側面部材3の外周部と底面部材2とが当接する箇所において実質的に熱伝導に寄与する接触面積を減少させたり、側面部材3の外周部と底面部材2とが当接する箇所との間に熱伝導率が低い部材を介在させたりすることによって実現することができる。
次に、熱移動量を規制する構造の実施態様の一例について説明する。図8は本発明の鋳型に係る熱移動量を規制する構造に関して好ましい実施形態を示す図であり、(a)は鋳型部材の展開図、(b)は斜視図である。図8に示すように、底面部材2の外周部が当接する側面部材3の内面部に、櫛形スリット8に例示されるスリット構造を設けた構成となっている。これによって、側面部材3の外周部と底面部材2とが当接する箇所との実質的に接触する面積を減少させることができ、鋳型1の側部から鋳型1の底部を介在して逃げる熱量を抑制することができる。この櫛形スリット8について図9を用いて詳細に説明する。櫛形スリット8は、図9中に示す記号H、L1、L2で規定される凹凸形状を基本ユニットとして、底辺に少なくとも1箇所以上、好ましくは底辺の全域に加工することが望ましい。図中のHの長さは底面部材2の厚みと同寸法、もしくは底面部材2の厚みから1mm程度短くするのが望ましい。Hの長さを底面部材2の厚み以上にすると、シリコン融液が漏れる可能性が高くなるので好ましくない。また、Hの長さを底面部材2の厚みより1mmより小さくすると、底面部材2と側面部材3との接触部での界面抵抗が小さくなり、冷却手段7により側部から底部を介在して逃げる熱量を抑制するという本発明の目的に合わないので好ましくない。このように底面部材2の外周部が当接する側面部材3の内面部に、櫛形スリット8を設けることによって、底面部材2と側面部材3との接触部の実質的に熱伝導に寄与する接触面積が減少し、熱抵抗が増長されるので、側部から底部を介して逃げる熱量を制御することが可能となる。その結果、鋳型1の底面と側面とのコーナー部における凝固方向の一様性を改善することができる。また、鋳型1側部の温度低下を抑えられるので、鋳型1の側部から結晶成長を抑制して一方向凝固性の改善に寄与するものとなる。また、側面部材3の底辺に櫛形スリット8を加工すればよいので、多大な製造コストも必要としない。
なお、図中のL1およびL2の長さは特に限定しないが、L1とL2が略同寸法で、各寸法が1mm〜2mmであるように加工すると、鋳型1の底面部材2と側面部材3との安定性が保たれるとともに、相互の部材間の熱伝導が一様となるので好ましい。
また、櫛形スリット8の形状は何ら限定されることなく、底面部材2と側面部材3が接触する部位と、接触しない部位が交互に配列されていれば、本発明の効果を有効に奏しうる。例えば、図10の(a)に示すように、スリット構造を鋸歯状スリット8aに加工したり、また、図10の(b)に示すように、斜め矩形状スリット8bに加工したりしても構わない。
次に、熱移動量を規制する構造の実施態様の別の例について説明する。図11に本発明の鋳型1のその他の実施形態を示す。(a)は縦断面図であり、(b)はB−b矢視方向の断面図である。図11に示される例では、底面部材2の外周部と側面部材3との間に、底面部材2よりも熱伝導率の小さい介在部材9が設けられ、側面部材3と底面部材2との相互の部材間における熱の移動量を規制するようにすることができる。
この介在部材9は、底面部材2よりも熱伝導率が小さく、熱的劣化が小さいものであれば特に限定はされないが、加工性がよく比較的安価な部材を用いるのが好ましい。具体的には、例えば、底面部材2を石英ガラス(熱伝導率:約2.5W・m−1・K−1)で構成した場合には、底面部材2よりも熱伝導率が低い溶融シリカ(熱伝導率:約0.6〜1.0W・m−1・K−1)を用いることができる。また、熱伝導率の低い多孔質セラミックス等を好適に利用することができる。なお、介在部材9の厚み(底面部材2と側面部材3との間隔に該当)は、介在部材9自身の熱伝導率によって変わり、熱伝導率が小さいときは厚みを小さくすることができる。具体的には、上述の溶融シリカを用いた場合、4mm以上とすることが望ましい。なお、上限は材質にかかわらず8mm以下とすることが望ましいが、これは底面部材2の外周部に位置する介在部材9の領域が厚くなりすぎると、この領域からは抜熱性が悪いため、形成されるシリコンインゴットの一方向凝固性が悪化する可能性があるからである。
また、この介在部材9の表面に充分な量の離型材4を塗布しておけば、介在部材9を挟み込んだ箇所からシリコン融液が漏洩することを防止できる。
このように底面部材2と側面部材3が当接する底面部材2の外周部に熱伝導率の小さい介在部材9を設置することによって、底面部材2と側面部材3との接触部の熱抵抗が増長されるので、鋳型1の底面部材2と側面部材3を独立させることにより、側部から底部を介して逃げる熱量を制御することが可能となり、鋳型1の底面と側面とのコーナー部における凝固方向の一様性の悪さを改善することができ、また、鋳型1側部の温度低下を抑えられるので、鋳型1の側部から結晶成長を抑制して一方向凝固性の改善に寄与するものとなる。
以上説明したような本発明の鋳型の内部にシリコン融液を保持・凝固させて製造する本発明の多結晶シリコンインゴットの製造方法は、鋳型側面からの抜熱量が抑制されるため、鋳型側面から結晶が成長することを抑制でき、形成される多結晶シリコンインゴットの一方向凝固性が大いに改善できる。したがって、鋳型側面から成長したシリコン結晶と鋳型底面から成長したシリコン結晶の境界部分で、結晶品質が低下したり、凝固偏析現象によって融液中へ排斥される不純物が前述の境界部分に集中したりするなどして多結晶シリコンインゴット品質が低下する問題を抑制することができる。
また、鋳型側面からの抜熱を抑制しつつ、鋳型底面からの抜熱を促進させることにより、鋳型内のシリコン融液を鋳型底部から冷却固化させることができるため、従来に比べシリコン融液の冷却固化時間が長くなることなく、一方向性の良い高品質の多結晶シリコンインゴットを得ることが可能となる。
さらに、凝固界面が凹面になるのを防止することができ、多結晶シリコンインゴット上端での最終凝固の不均一性がなくなるため、シリコンの凝固膨張による残留応力が生じにくく、インゴットのクラック発生を抑制することができる。
なお、本発明の実施形態は上述の例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
鋳型の内側の表面と外側の表面との間に一定の温度差を付与したとき、側部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsと、底部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qs<Qbの関係が成り立つもの、側部の開口部側を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qstと、側部の底部側を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsbと、底部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qbとの間に、Qst<Qsb<Qbの関係が成り立つものであれば、本発明に係る鋳型としての効果を奏するものであり、上述した材質や構造に限るものではない。
本発明の鋳型に係る一実施形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−a方向の断面図である。 本発明の鋳型を適用可能な、多結晶シリコンインゴット鋳造用のシリコン鋳造装置の断面模式図である。 本発明の鋳型に係る側面部材及び底面部材を熱が通過する様子を示す模式的な概念図である。
(a)本発明に係る側面部材又は底面部材で熱が通過する様子を示している。
(b)本発明に係る図3(a)の部材を組み立てて鋳型としたときに鋳型内部から外部へと熱が通過する様子を示している。
本発明の鋳型に係る一例を示す断面図である。 本発明の鋳型に係る一実施形態を示す断面図である。 本発明の鋳型に係る他の実施形態を示す断面図である。 (a)、(b)は本発明の鋳型に係る側面部材の一実施形態を示す概略図である。 本発明の鋳型に係る好ましい実施形態を示す図であり、(a)は展開図、(b)は斜視図である。 本発明の鋳型に係る側面部材の一実施形態を示す概略図である。 本発明の鋳型に係る好ましい実施形態を示す図であり、(a)、(b)は本発明の鋳型に係る側面部材の他の実施形態を示す概略図である。 本発明に係る鋳型の他の実施形態を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)のB−b方向の断面図である。 従来のシリコン鋳造装置を示す断面模式図である。
符号の説明
1:鋳型
2:底面部材
3:側面部材
3a:開口部側の側面部材
3b:底部側の側面部材
4:離型材
5:鋳型断熱材
6:鋳型加熱手段
7:冷却手段
8:スリット構造の一例である櫛形スリット
8a:スリット構造の一例である鋸歯状スリット
8b:スリット構造の一例である斜め矩形状スリット
9:介在部材
10:シリコン融液

Claims (10)

  1. 底部と側部とを有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、
    前記鋳型の内側の表面と該鋳型の外側の表面との間に一定の温度差を付与したとき、
    前記側部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qsと、
    前記底部を通過する単位時間・単位面積当たりの熱量Qbとの間に、
    Qs<Qbの関係が成り立つ鋳型。
  2. 前記熱量Qsは、前記鋳型の開口部側の方が前記底部側よりも小さい請求項1に記載の鋳型。
  3. 底面部材から成る底部と、前記底面部材の外周部に立設した側面部材から成る側部と、を有するとともに、内部にシリコン融液を保持・凝固させる鋳型であって、
    前記側面部材の内面と該側面部材の外面との間に一定の温度差ΔTを付与したときに、該側面部材を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qsと、
    前記底面部材の内面と該底面部材の外面との間に前記温度差ΔTを付与したときに、該底面部材を通過する単位時間、単位面積当たりの熱量Qbとの間に、
    Qs<Qbの関係が成り立つ鋳型。
  4. 前記熱量Qsは、前記鋳型の開口部側の方が前記底部側よりも小さい請求項3に記載の鋳型。
  5. 前記側面部材の熱伝導率λsと、前記底面部材の熱伝導率λbとの間に
    λs<λbの関係が成り立つ請求項3又は請求項4に記載の鋳型。
  6. 前記側面部材の厚みdsと、前記底面部材の厚みdbとの間に
    ds>dbの関係が成り立つ請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の鋳型。
  7. 前記側面部材は、前記底面部材の外周部と当接する箇所に、スリット構造が設けられている請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の鋳型。
  8. 前記底面部材の外周部と前記側面部材との間に、前記底面部材よりも熱伝導率の小さい介在部材が設けられている請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の鋳型。
  9. 内側の表面に離型材が形成されて成るとともに、
    前記離型材は、前記側部における厚みtsと、前記底部における厚みtbとの間に、
    ts>tbの関係が成り立つ請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の鋳型。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の鋳型の内部にシリコン融液を保持・凝固させて製造する多結晶シリコンインゴットの製造方法。

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