JP2006272132A - 化学物質の製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1回目の混合反応に伴ってガスが発生する反応系であっても、ガスの気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができ、2回目の混合反応までに反応液中のガスを十分に脱ガスすることができるので、高品質な化学物質を製造することができる。
【解決手段】反応に伴ってガスが発生する化学物質を製造する化学物質の製造方法において、複数の溶液L1、L2を密閉系の第1混合装置12で1回目の混合反応を行う第1混合工程と、第1混合工程で混合反応された反応液LMから発生するガスの気泡98を、気液界面84を備えた脱ガス装置14で脱ガス処理する脱ガス工程と、脱ガス工程で脱ガス処理された反応液LMに添加溶液L3を添加して第2混合装置13で2回目の混合反応を行う第2混合工程と、を備え、第1混合工程から脱ガス工程に反応液LMを直ちに送液すると共に、脱ガス工程での脱ガス終了後に第2混合工程に送液する。
【選択図】 図1
【解決手段】反応に伴ってガスが発生する化学物質を製造する化学物質の製造方法において、複数の溶液L1、L2を密閉系の第1混合装置12で1回目の混合反応を行う第1混合工程と、第1混合工程で混合反応された反応液LMから発生するガスの気泡98を、気液界面84を備えた脱ガス装置14で脱ガス処理する脱ガス工程と、脱ガス工程で脱ガス処理された反応液LMに添加溶液L3を添加して第2混合装置13で2回目の混合反応を行う第2混合工程と、を備え、第1混合工程から脱ガス工程に反応液LMを直ちに送液すると共に、脱ガス工程での脱ガス終了後に第2混合工程に送液する。
【選択図】 図1
Description
本発明は化学物質の製造方法及び装置に係り、特に液液反応でガスの気泡が発生する反応系において化学物質を製造するのに好適な化学物質の製造方法及び装置に関する。
液液反応でガスの気泡が発生する反応系を取り扱う場合、反応開始時及び反応進行過程での反応を安定させるためには、バッチプロセス及び連続フロープロセスの何れの場合にも気泡を積極的に脱ガスする必要がある。
ガスを発生する反応系としては、例えば磁気記録媒体の磁性層に含有される磁性粒子の製造がある。そして、粒子サイズが小さく単分散性に優れた磁性粒子を製造するために、金属微粒子形成の反応を開始させる液体同士の混合を均一且つ効率的に行わなくてはならず、反応によって発生するガス(例えば水素ガス)が混合を邪魔しないように速やかに除去する必要がある。
しかし、ガスの発生を伴う反応系は連続処理が難しく、殆ど先行技術がないのが実情である。これは、連続処理の場合、気泡が混入していると連続処理の流れが不安定になって混合場や反応場が不均一になると共に、反応の平衡が反応促進側に進みにくくなるだけでなく、後工程への送液が不安定になり、製造される化学物質の品質が均一になりにくいためである。
従来の脱ガス機能を備えた製造装置としては、特許文献1があり、化学反応を行う反応槽内の下部に混合用の攪拌機を設けると共に、反応槽内の上部に消泡翼を設け、反応液中を浮上してくるガスの気泡を消泡翼の勢断力で破壊することで機械的に消泡することが開示されている。
特開平9−10507号公報
しかしながら、特許文献1の製造装置は、タンクから溶液を反応槽に送液して反応槽で一定時間撹拌してから排出する場合、反応槽内では、撹拌機での混合反応操作と脱ガス操作が同時進行することになる。これにより、反応槽内に気泡が多少なりとも蓄積されてくるので、攪拌機による反応液同士の混合を気泡が邪魔し、攪拌効率が低下する。この攪拌効率の低下により、反応を開始するための混合が均一に行われないために反応開始時及び反応進行過程での反応が不安定になる。
また、磁性粒子の製造のように、1 回目の混合反応での反応液に対して添加液を添加して2回目の混合反応を行わなくてはならない場合、1 回目の混合反応で発生したガスの気泡を十分に脱ガスしてから2回目の混合反応を行わないと、微細で且つ単分散性の良い磁性粒子を製造できないという問題がある。
本発明は係る事情に鑑みてなされたもので、1 回目の混合反応に伴ってガスが発生する反応系であっても、ガスの気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができると共に、2回目の混合反応までに反応液中のガスを十分に脱ガスすることができるので、高品質な化学物質を製造することができる化学物質の製造方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1 は前記目的を達成するために、反応に伴ってガスが発生する化学物を製造する化学物質の製造方法において、複数の溶液を密閉系の第1混合部で混合反応を行う第1混合工程と、前記第1混合工程で混合反応された反応液から発生するガスの気泡を、気液界面を備えた脱ガス部で脱ガス処理する脱ガス工程と、前記脱ガス工程で脱ガス処理された反応液に添加溶液を添加して第2混合部で混合反応を行う第2混合工程と、を備え、前記第1混合工程から前記脱ガス工程に反応液を送液すると共に、前記脱ガス工程での脱ガス終了後に前記第2混合工程に送液することを特徴とする化学物質の製造方法を提供する。
本発明の請求項1によれば、1回目の混合反応を行う第1混合工程の密閉系の第1混合部と、混合により反応が開始されて発生するガスの気泡を反応液から除去する気液界面を有する脱ガス部とを分離した。そして、第1混合工程で混合した反応液を脱ガス工程に送液するようにしたので、第1混合部では反応に伴って発生するガスの気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができる。これにより、反応開始時の反応を安定化させることができる。
また、反応の進行に伴って発生するガスの気泡は、脱ガス部において気液界面から効率良く脱ガスされる。これにより、反応進行過程での反応も安定化できると共に、脱ガス部での反応液の流れが安定する。従って、脱ガス工程から第2混合工程への送液量を安定化できるので、正確な混合比率で混合できると共に、気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができる。
ここで、第1混合部から反応液を脱ガス部に送液する時間であるが、取り扱う反応速度により方式を選択することが好ましい。例えば、反応速度が速く混合終了後直ちにガスの気泡が発生する場合には、第1混合部で混合終了後0.1〜5秒以内に反応液を直ちに脱ガス部に送液することが好ましく、0.1〜3秒以内であることがより好ましい。
また、本発明の化学物質の製造方法は、第1混合部に仕込んだ液体をバッチ混合し、混合が終了したら第1混合部で混合された反応液の全てを脱ガス部に仕込んで脱ガスし、脱ガスの終了した反応液を第2混合部に仕込むバッチ方式に使用してもよく、あるいは液体を貯留するタンク等を用意して、タンクから第1混合部、脱ガス部、第2混合部の順に連続して流す連続フロー方式に使用してもよい。
請求項2は請求項1において、前記第1混合工程と前記脱ガス工程を一組とした混合・脱ガスユニットが複数段直列に設けられることを特徴とする。
反応系によっては、このように第1混合工程と前記脱ガス工程を一組とした混合・脱ス工程を複数段直列に設けるようにしてもよい。
請求項3は請求項1又は2において、前記第1混合工程では、周期律表の8、9及び10族から選ばれる2種以上の金属イオンを含有する第1の溶液と、還元剤を含有する第2の溶液とを混合し、前記第2混合工程では、前記第1混合工程で混合された反応液に周期律表の11、12、13、14及び15族から選ばれる1種以上の金属イオンを含有する第3の溶液を添加して混合し、前記化学物質として磁性粒子を製造することを特徴とする。
請求項3は、化学物質として磁性粒子を製造するための好ましい溶液を規定したものであり、本発明の効果を有効に発揮させることができるので、微細で単分散性に優れた磁性粒子を製造できる。
請求項4は請求項1〜3の何れか1において、前記第1混合工程と第2混合工程のうちの少なくとも第1混合工程では瞬時混合を行うことを特徴とする。
これは、第1混合工程において混合開始から混合終了までの時間が長いと、混合後半部では発生したガスが混合効率を低下させる問題があるが、瞬時混合を行えばそのような問題もない。
請求項5は請求項1〜4の何れか1において、前記脱ガス部は、前記反応液による液体部と該反応液から除去されたガスが溜まる空間部とにより前記気液界面を形成する通路であって、前記通路を流れる反応液中のガスの気泡を前記空間部に除去することを特徴とする。
請求項5は、脱ガス部を、反応液による液体部と反応液から除去されたガスが溜まる空間部との気液界面を有する通路として構成したので、反応の進行に伴って発生するガスの気泡を気液界面から連続的に効率よく除去することができる。また、通路にすることで脱ガスのための路長を長く確保することができるので、確実に脱ガスすることができる。
請求項6は請求項5において、前記空間部の圧力を減圧することを特徴とする。
このように、空間部の圧力を減圧することで、反応液中のガスの気泡が空間部に抜けくなる。
請求項7は請求項5又は6において、前記通路は、前記反応液が連続して流れる上昇通路と下降通路とを有し、前記上昇通路から前記下降通路に流れが反転する部分に前記気
界面を形成することを特徴とする。
界面を形成することを特徴とする。
請求項7によれば、上昇通路から下降通路に反応液の流れが反転する部分に気液界面が形成されているので、上昇通路を反応液と共に上昇した気泡は気液界面に滞留し、反応のみが下降通路を下降する。気液界面に滞留する気泡は次第に気泡が破れて空間部にガスとして溜まる。このように、通路中に反応液の上昇通路を設けることで、気泡の浮上力と反応液の上昇力との両方を利用することができるので、気泡をより効果的に浮上分離させることができる。
請求項8は請求項5〜7の何れか1において、前記脱ガス部を流れる反応液を加熱又は冷却して反応温度を制御することを特徴とする。
脱ガス部を流れる反応液を加熱又は冷却して反応温度を制御することにより、気温や室内の温度に左右されずに常に反応条件を一定にできるので、発生するガス量も気温に影響されずに一定に維持することができる。これにより、精度の良い脱ガス処理を行うことができると共に、設計した脱ガス装置内での脱ガス量が季節や室内の温度によらずに精度よく再現されるので、装置の形状や容量を固定できる。
請求項9は請求項5〜8の何れか1において、前記脱ガス部を流れる反応液に超音波
付与することを特徴とする。
付与することを特徴とする。
通路の壁面に付着した気泡は脱ガスされにくいが、脱ガス部を流れる反応液に超音波付与して反応液を振動させることにより壁面に付着した気泡は剥離され易くなるので、より効果的に気泡を脱ガスすることができる。
請求項10は請求項5〜9の何れか1において、前記下降通路を流れる反応液の流速
、前記気泡の上昇速度よりも遅いことを特徴とする。
、前記気泡の上昇速度よりも遅いことを特徴とする。
下降通路を流れる反応液にもガスの気泡が発生するが、下降通路では気泡の浮上力と応液の流れとが逆向きになり、気泡が気液界面に浮上分離しにくくなる。従って、下降通路を流れる反応液の流速を、気泡の上昇速度よりも遅くすれば、下降通路でも気泡を効率的に浮上分離させることができる。
請求項11は請求項1〜10の何れか1において、前記脱ガス部は、内部が透視可能
あることを特徴とする。
あることを特徴とする。
脱ガス部の内部が透視可能なので、脱ガス状態を的確に把握できる。
本発明の請求項12は前記目的を達成するために、反応に伴ってガスが発生する化学物質を製造する化学物質の製造装置において、複数の溶液で混合反応を行う密閉系の第1混合部と、前記第1混合部で混合された反応液に添加溶液を添加して混合反応を行う第2混合部との間に、前記第1混合部で混合反応された反応液から発生するガスの気泡を該反応液から除去するための気液界面を有する脱ガス部を配設したことを特徴とする化学物質の製造装置を提供する。
請求項12は、本発明を装置として構成したものであり、第1混合部では反応に伴って発生するガスの気泡に邪魔されずに混合を均一に行うことができるので、反応開始時及び反応進行過程での反応を安定化させることができる。また、反応の進行に伴って発生するガスの気泡は、脱ガス部において気液界面から効率良く脱ガスされるので、反応進行過程での反応も安定化できると共に、脱ガス部での反応液の流れが安定するので、2回目の混合反応を行う第2混合部へ安定した送液を行うことができる。これにより、第2混合部でも気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができる。
請求項13は請求項12において、前記第1混合部と第2混合部のうちの少なくとも第1混合部は、滞留時間が5秒以下の混合室に、前記複数の液体の少なくとも一つの液体を1MPa以上の高圧ジェット流で供給して他の液体と瞬時混合する高圧混合装置であることを特徴とする。
第1混合部と第2混合部のうちの少なくとも第1混合部は、滞留時間が5秒以下の混室に、前記複数の液体の少なくとも一つの液体を1MPa以上の高圧ジェット流で供給して他の液体と瞬時混合する高圧混合装置としたので、第1混合部で瞬時混合を行うことができる。
請求項14は請求項12又は13において、前記脱ガス部は、前記反応液による液体部と該反応液から除去されたガスが溜まる空間部とにより前記気液界面を形成する通路でって、前記反応液の入口と出口を有する脱ガス容器と、前記脱ガス容器の底部から立設されると共に上端が前記気液界面よりも下に位置する複数の堰板と、前記堰板同士の間に設けられ上端が前記気液界面よりも上に位置すると共に下端が前記脱ガス容器の底部から離間した邪魔板とで構成され、前記脱ガス容器内には、前記反応液が連続して流れる上昇通路と下降通路とが形成されると共に、前記上昇通路から前記下降通路に流れが反転する部分に前記気液界面が形成されることを特徴とする。
請求項14は、脱ガス部を、反応液と空間部との気液界面を有する通路として構成する好ましい態様を示したものであり、上記の如く脱ガス容器内に堰板と邪魔板とにより通路を構成したものである。
請求項15は請求項14において、前記空間部は前記邪魔板によって仕切られないことを特徴とする。
このように、空間部を邪魔板で仕切らないようにすることで、空間部全体の圧力を均等化することができる。この場合、空間部に対応する部分に邪魔板を設けないようにしてもよく、或いは邪魔板の空間部に対応する部分に連通孔を形成するようにしてもよい。
請求項16は請求項14又は15において、前記堰板の高さが前記脱ガス容器の入口
ら出口にいくに従って低くなっていることを特徴とする。
ら出口にいくに従って低くなっていることを特徴とする。
これは、脱ガス容器内に形成される通路のうち、入口側に近いほど反応液からのガス生量が多く、出口側にいくほどガス発生量は少なくなる。この為、通路の入口側ほど気液界面までの通路長を長く確保する必要がある。従って、堰板の高さを脱ガス容器の入口から出口にいくに従って低くすれば、ガスの発生量に即して気液界面までの通路長を形成でき、いたずらに通路長を長くする必要がない。
請求項17は請求項14〜16の何れか1において、前記空間部の圧力を調整する圧
調整手段が設けらていることを特徴とする。
調整手段が設けらていることを特徴とする。
圧力調整手段により空間部の圧力を調整することで、通路を流れる反応液から気泡が抜け易い空間部圧力を形成することができる。
請求項18は請求項12〜17の何れか1前記脱ガス部には、前記脱ガス部には、前記反応液を加熱又は冷却して反応温度を制御する温度調整手段が設けられることを特徴とする。
脱ガス部を流れる反応液を加熱又は冷却して反応温度を制御することにより、気温や室内の温度に左右されずに常に反応条件を一定にできるので、発生するガス量も気温に影響されずに一定に維持することができる。これにより、精度の良い脱ガス処理を行うことができると共に、設計した脱ガス装置内での脱ガス量が季節や室内の温度によらずに精度よく再現されるので、装置の形状や容量を固定できる。
請求項19は請求項12〜18の何れか1において、前記脱ガス部には、前記反応液に超音波を付与する超音波付与手段が設けられることを特徴とする。
通路を流れる反応液に超音波を照射することで脱ガス効率を向上することができる。
請求項20は請求項14〜19の何れか1において、前記脱ガス容器内に形成された
昇通路の底部には、滞留を防止する流れを形成する撹拌機が設けられていることを特徴とする。
昇通路の底部には、滞留を防止する流れを形成する撹拌機が設けられていることを特徴とする。
例えば磁性粒子の製造のように反応によって金属微粒子が生成される場合には、脱ガス容器の底部に金属微粒子が沈降し易くなるが、上昇通路の底部に滞留を防止する流れを形成する撹拌機を設けることで沈降しにくくできる。
請求項21は請求項14〜20の何れか1において、前記上昇通路に対する前記下降通路の通路断面積を異なるようにしたことを特徴とする。
例えば、通路を流れる反応液の流速が上昇通路よりも下降通路の方が遅くなるようにすれば、下降通路で発生した気泡も気液界面に浮上分離し易くなる。
請求項22は請求項14〜21の何れか1において、前記脱ガス容器の内面、前記堰板の表面、前記邪魔板の表面には、前記ガスの気泡が付着しにくい表面加工が施されていることを特徴とする。
脱ガス容器の内面、堰板の表面、邪魔板の表面にガスの気泡が付着しにくい表面加工を施したので、気泡が付着しにくくなり、脱ガスされ易くなる。
請求項23は請求項14〜22の何れか1において、前記反応液の流れが前記下降流から前記上昇通路に反転する脱ガス容器の底部形状が円弧状に形成されることを特徴とする。
下降通路から上昇通路に反転する脱ガス容器の底部形状を円弧状に形成したので、通路中を反応液がスムーズに流れると共に、上述したように反応によって微細粒子が生成される場合でも、容器底部に微細粒子が堆積されにくくできる。
請求項24及び25は、本発明の化学物質の製造方法及び装置によって製造された磁性粒子であり、請求項26は、その磁性粒子を磁性層に含有する磁気記録メディアである。
以上説明したように、本発明の化学物質の製造方法及び装置によれば、1回目の混合反応に伴ってガスが発生する反応系であっても、ガスの気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができると共に、2回目の混合反応までに反応液中のガスを十分脱ガスすることができるので、高品質な化学物質を製造することができる。従って、本発明は例えば磁気記録媒体の磁性層に含有される磁性粒子の製造に有効である。
以下、添付図面に従って、本発明に係る化学物質の製造方法及び装置の好ましい実施態様について説明する。
図1は本発明の化学物質の製造装置10の全体構成図である。
本発明の化学物質の製造装置10は、液相反応法(液液反応)において、反応の進行に伴ってガスを連続的に発生させる反応であればバッチ方式と連続フロー方式の何れにも適用できるが、本実施の形態では磁気記録媒体の磁性層に含有する金属微粒子を連続フロー方式で製造する例で以下に説明する。
図1に示すように、化学物質の製造装置10は、主として、第1の溶液L1と第2の溶液L2とを混合して反応を開始する密閉系の第1混合装置12と、第1混合装置12で混合反応された反応液LMに対して第3の溶液L3を添加して混合反応を行う第2混合装置13との間に、第1混合装置12で混合反応された反応液LMから発生するガスの気泡を該反応液LMから除去する脱ガス装置14を配設して構成される。
第1の溶液L1としては、周期律表の8、9、及び10族から選ばれる2種類以上の金属イオンを含有する溶液を好適に使用することができ、Fe,Pt,Co,Ni,Pdの金属イオンが好ましい。第2の溶液L2としては、還元剤溶液を好適に使用することができる。第3の溶液L3としては、周期率表の11、12、13、14、及び15族から選ばれる1種以上の金属イオンを含有する溶液を好適に使用することができ、Cu,Ag,Au,Al,Zn、Snの金属イオンが好ましい。
また、液相反応法の中でも金属微粒子の粒子サイズを制御し易い逆ミセル法が好ましく、第1〜第3の溶液L1、L2、L3を界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒を使用して逆ミセル溶液として調製することが好ましい。使用する界面活性剤としては油溶性界面活性剤が用いられる。具体的には、スルホン酸塩型(例えば、エーロゾルOT(和光純薬製)、4級アンモニウム塩型(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、エーテル型(例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル)等が挙げられる。また、界面活性剤を溶解する非水溶性有機溶媒として好ましいものは、アルカン、エーテル及びアルコール等が挙げられる。アルカンとしては、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が好ましい。エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が好ましい。アルコールとしては、エトキシエタノール、エトキシプロパノール等が好ましい。また、還元剤溶液中の還元剤としては、アルコール類;ポリアルコール類;H2 ;HCHO、S2 O6 2-、BH4 - 、N2 H5 + 、H2 PO3 - 等を含む化合物を単独で使用することができるが2種以上を併用することが好ましい。
第1の溶液L1と第2の溶液L2は、第1の混合装置12の近傍に配設された第1の調製タンク16と第2の調製タンク18とで別々に調製される。即ち、第1の調製タンク16では、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と周期律表の8、9、10族から選ばれる2種類以上の金属イオンを含有する金属塩水溶液とを攪拌機16aで混合して第1の溶液L1の逆ミセル溶液を調製する。第2の調製タンク18では、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを攪拌機18aで混合し、第2の溶液L2の逆ミセル溶液を調製する。また、第1の調製タンク16と第2の調製タンク18のそれぞれの外周には、加熱ジャケット20、20が設けられ、初期反応を行う適切な温度まで加熱される。
また、第3の溶液は、第2の混合装置13の近傍に配設された第3の調製タンク15で調製される。即ち、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と周期律表の11、12、13、14、及び15族から選ばれる1種以上の金属イオンを含有する金属水溶液とを攪拌機15aで混合して第3の溶液L3の逆ミセル溶液を調製する。第3の調製タンク15の外周には、加熱ジャケット20が設けられ、適切な温度まで加熱される。
第1及び第2の調製タンク16、18で調製された第1及び第2の溶液L1、L2は、それぞれの供給配管22、24を介して第1の混合装置12に供給ポンプ26、28で供給される。第1の混合装置12では、この2つの溶液L1、L2を瞬時に混合して第1の混合装置12から速やかに排出し、配管30を流れて脱ガス装置14に送液する。かかる第1の混合装置12での混合により反応が開始され、反応の進行に伴って反応液LMからガスが連続的に発生する。第1混合装置12で反応を開始した反応液LMは、脱ガス装置14において反応が進行すると共に、発生するガスが気液界面を介して連続的に脱ガスされる。脱ガスが終了した反応液LMは配管32を流れて第2混合装置13に送液されると共に、第3の調製タンク15から供給ポンプ17で第3の溶液L3が第2混合装置13に添加される。第2の混合装置13では、脱ガス装置14で脱ガスされた反応液LMと第3の溶液L3とを混合して、初期反応で形成した金属微粒子の結晶格子に異種金属原子を連続的に導入(ドーピング)する。これにより、多元系合金の金属微粒子が製造される。生成された金属微粒子を含む生成液は配管19を介して製品タンク21に送液される。この場合、第2混合装置13で混合された生成液にキレート剤溶液と還元剤溶液を混ぜた第4の溶液L4を添加混合することが好ましい。従って、製品タンク21には、攪拌機21aが設けられると共に、外周にはジャケット20が設けられ、必要に応じて生成液を加熱又は冷却する。
化学反応によりガスを発生させる反応系は、発生するガスにより混合が邪魔されることなく第1及び第2の溶液Ll、L2を第1混合装置12で効率良く混合でき、更には反応の進行に伴って発生するガスを脱ガス装置14で連続的に効率良く脱ガスし、第2混合装置13への反応液中にガスの気泡を残存させないことが重要になる。
本発明の化学物質の製造装置10によれば、複数の溶液L1、L2を混合して反応を開始するための密閉系の混合装置12と、混合により反応が開始されて発生するガスの気泡を反応液LMから除去する気液界面を有する脱ガス装置14とを分離し、混合装置12で混合した反応液LMを脱ガス装置14に送液するようにしたので、混合装置12では反応に伴って発生するガスの気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができる。これにより、混合効率を上げることができるので、未反応物がなくなり、金属微粒子の収率を上げることができる。
また、反応の進行に伴って発生するガスの気泡は、脱ガス装置14において連続的に効率良く脱ガスされるので、反応進行過程での反応も安定化できると共に、連続的に脱ガスすることにより脱ガス装置14での反応液LMの流れが安定するので、後工程へ安定した送液を行うことができる。これにより、第2混合装置13には、反応液LMが常時安定した送液量で送液されるので、第3の調製タンク15から規定の添加量で添加される第3の溶液L3との間で正確な比率での混合反応を行うことができる。また、第2混合装置13へ送液される反応液LM中には気泡が残存しないので、第2混合装置13では気泡に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができる。これにより、混合効率を上げることができるので、未反応物がなくなり、金属微粒子の収率を上げることができる。
尚、本発明において、例えば反応速度が速く、第1混合装置12での混合終了後直ちにガスの気泡が発生する場合、第1混合装置12で混合を終了してから脱ガス装置14でガスを開始するまでの時間としては、0.1秒〜5秒程度が好ましく、0.1秒〜3秒程度がより好ましい。
以下、本発明における第1及び第2の混合装置12、13と脱ガス装置14の好ましい態様について説明する。尚、第1及び第2の混合装置12、13のうち、少なくとも第1混合装置12については、下記に説明するタイプの混合装置を使用することが好ましく、説明も第1混合装置12の例で説明する。
(A)混合装置について
第1混合装置12は、瞬時混合を行い混合した反応液LMを直ちに排出できる方式のものが好ましく、例えば高圧混合方式を好適に使用することができる。以下にワンジェット型、T字型・Y字型、ツージェット対向型の3種類の高圧混合方式について説明する。尚、瞬時混合を行うことが可能であれば、高圧混合方式に限らずどのような混合方式でもよく、例えばスタティックミキサー等も使用できる。
第1混合装置12は、瞬時混合を行い混合した反応液LMを直ちに排出できる方式のものが好ましく、例えば高圧混合方式を好適に使用することができる。以下にワンジェット型、T字型・Y字型、ツージェット対向型の3種類の高圧混合方式について説明する。尚、瞬時混合を行うことが可能であれば、高圧混合方式に限らずどのような混合方式でもよく、例えばスタティックミキサー等も使用できる。
a)ワンジェット型
図2は、ワンジェット型の第1混合装置12の概念を示した断面図である。
図2は、ワンジェット型の第1混合装置12の概念を示した断面図である。
図2に示すように、第1混合装置12は、第1及び第2の溶液L1と溶液L2とを混合して反応させる筒状の混合室38(混合場)が形成された混合器40の一端側開口に、第1の溶液L1を混合室38に導入する第1の導管42が接続されると共に、他端側開口に混合室38で混合され反応する反応液LMの排出管44が接続される。また、混合器40の側面側で第1の導管42の出口近傍に、第2の溶液L2を混合室38に導入する第2の導管46が接続される。第1の導管42と第2の導管46の先端内部には、それぞれ第1のオリフィス48と第2のオリフィス50が形成され、これにより、第1の導管42と第2の導管46には乱流の液体を噴射する第1のノズル52と第2のノズル54が形成される。図2では、第1の導管42から第1の溶液L1を導入し、第2の導管46から第2の溶液L2を導入するようにしたが、両液を逆にすることができる。また、排出管44の接続位置は、混合器40の他端側近傍であれば、混合器40の側面部に接続してもよい。
また、混合器40の外周には、水やオイル等の熱容量が比較的大きな熱媒体が流れるジャケット56が巻回され、ジャケットの熱媒体流入口56Aと熱媒体流出口56Bとが示しない熱媒体供給装置に接続される。混合反応温度は、第1及び第2の溶液L1、L2の種類等によって、初期反応に適した所定温度に適宜設定することが好ましい。
尚、複数種の金属原子の数だけ第1の溶液L1を調製し、これら複数の溶液と第2の溶液L2を混合させる場合には、これらの溶液のうちの1つを1MPa以上の高圧ジェット流とすればよい。従って、混合器40の側面側に複数の第1の溶液L1を噴出するノズル位置を複数設けても良く、或いは1つのノズル位置から複数の第1の溶液L1を順番に噴出するようにしてもよい。従って、直進流の高圧ジェット流のノズルは基本的に1本であるが、直進流に対して直交する直交流のノズルは複数本あってもよい。
ブロック状のオリフィス材58に、第1及び第2のオリフィス48、50を穿設加工する方法としては、金属、セラミックス、ガラス等のオリフィス材58に100μm程度の噴出孔を精密に開ける加工方法として公知のマイクロ切削加工、マイクロ研削加工、噴射加工、マイクロ放電加工、LIGA法、レーザー加工、SPM加工等を好適に使用できる。
オリフィス材58の材質としては、加工性が良く、硬度がダイヤモンドに近い材質のものが好ましい。従って、ダイヤモンド以外の材質としては、種々の金属や金属合金に焼入れ、窒化処理、焼結処理等の硬化処理したものを好適に使用することができる。また、セラミックスも硬度が高く、ダイヤモンドよりも加工性が優れているので好適に使用できる。尚、本実施の形態では、第1のノズル52及び第2のノズル54の絞り構造としてオリフィスの例で説明するが、乱流の液体を噴射する機能を有するものであれば、オリフィスに限らず他の方法を用いることができる。
また、第1の導管42と第2の導管46には、図示しない加圧手段が設けられ、第1の溶液L1と第2の溶液L2とが第1及び第2のノズル52、54に加圧供給される。但し、第2のノズル54から混合室38に噴出する圧力は、第1のノズル52から混合室38に噴出する高圧ジェット流の圧力よりも小さくする。液体に高圧力をかける加圧手段としては、種々の手段が知られており何れの手段も使用可能であるが、比較的入手し易く安価な手段としてはプランジャーポンプや増圧ポンプのような往復ポンプを使用することが好ましい。また、往復ポンプほど高圧を発生することはできないが、ロータリポンプの中にも高圧発生型のものがあるので、このようなポンプを使用することもできる。
そして、第1のノズル52から第1の溶液L1が1MPa以上の高圧ジェット流で且つ混合室38に流入する時のレイノルズ数が10000以上の乱流として混合室38に噴出され、第2のノズル54から圧力が第1の溶液L1よりも低い第2の溶液L2が第1の溶液L1に対して略直交する直交流として混合室38に噴出する。この場合、第2の溶液L2が第1の溶液L1に対して900の角度で完全に直交しなくても、直交する速度ベクトル成分を主成分とするものであればよい。これにより、第1の溶液L1と第2の溶液L2とを適切な混合反応温度条件下で瞬時に且つ効率的に混合し、反応した反応液LMは排出管44から直ちに排出される。この場合、混合室38での滞留時間は5秒以下であることが好ましい。この結果、微小サイズで単分散性のよい金属微粒子が形成される。
かかる混合反応は、図3に模式的に示すように、乱流の高速な高圧ジェット流の第1の溶液L1に、第1の溶液L1に対して略直交方向から噴出される第2の溶液L2を同伴させるように巻き込むことにより、第1の溶液L1と第2の溶液L2とが混ざり合って発生する大きな渦粘性を利用することで高性能な混合効率を得るものであり、第1混合装置12の上記した混合室38、第1及び第2のノズル52、54、排出管44は次の関係を有するように形成される。
即ち、混合室38に渦粘性が形成されることが必要であり、混合室38の筒径D1が第1のノズル52のオリフィス径D 2、第2のノズル54のオリフィス径D3よりも大径に形成される。特に直進流Aである第1の溶液L1の作る渦粘性は混合効率を良くする上で重要であり、第1のノズル52のオリフィス径D2に対する混合室38の筒径D1の寸法比は、1.1倍〜50倍の範囲が好ましく、更に好ましくは1.1倍〜20倍の範囲である。また、直進流Aに対して直交する直交流Bである第2の溶液L2が直進流Aの溶液L1に巻き込まれ易くするためには、直交流Bの圧力を直進流Aの圧力よりも低くして、噴出流速が直進流Aの噴出流速以下になるようにすることが好ましい。具体的には直進流Aの噴出流速に対する直交流Bの噴出流速の流速比は、0.05倍〜0.4倍、更に好ましくは0.1倍〜0.3倍がよい。
また、直進流Aが小径な第1のノズル52からそれよりも大径な混合室38に噴出されることにより形成される渦粘性Cが最大になる以前の位置で直交流Bを混合室38に噴出させることが必要であり、第1のノズル52と渦粘性Cの最大位置との間に第2のノズル54を配置することが必要である。従って、渦粘性Cが最大になる位置を知る必要があるが、渦粘性Cが最大になる混合室38の位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されて流動解析ソフトとして良く知られているアールフロー社製の数値解析ソフト、R −F lowを用いて予めシミュレーションを行うことによって把握することができる。この場合、図3から分かるように、渦粘性Cが最大になる位置はピンポイントではなく領域を有するので、渦粘性Cの最大位置を渦粘性Cの略中心部であるポイントPとすればよい。従って、ポイントP以前に第2のノズル54を位置決めすればよいが、より好ましくは渦粘性C の形成初期の段階で直交流Bを噴出できるように第2のノズル54を位置決めするのが好ましい。
また、上記の数値解析ソフトで解析すると、渦粘性Cが出現する街域の中心ポイントPは直進流Aの流速と関係があり、直進流Aの最大流速(通常は第1のノズル位置での流速)が1/10に減少する位置に略相当する。従って、直進流Aの最大流速が1/10に減少する位置を計算して、そのポイント以前に直交流Bを噴出できるように第2のノズル4を位置決めすれば、ポイントPを計算する必要もない。
また、最大の渦粘性Cを混合室38に形成するために必要な混合室38の長さL(図2参照)を確保する必要があるが、あまり長すぎると反応液LMが混合室38で滞留や逆流が生じ易くなり、金属微粒子の粒子サイズの微粒子化や単分散性に悪影響を及ぼす。従って、混合室38の長さLは第1のノズル52から渦粘性Cの最大位置であるポイントPまでの距離の2倍〜5倍が好ましく、更に好ましくは2倍〜3倍がよい。
更に、小径な第1のノズル52や第2のノズル54からそれよりも大径な混合室38に高速流で液体が噴出されると、キャビテーションを起こし易く、このキャビテーションにより混合室38に気液界面が形成されて混合効率を低下させる。従って、渦粘性Cを利用して混合効率を上げるためには、混合室38に気液界面が形成されないようにすることが必要である。従って、図2のように、排出管44の口径D4 を第3のオリフィス60で絞って混合室38の管径D1 よりも小さくし、混合室38の圧力を上げた状態で混合することが必要である。これにより、キャビテーションを解消できるので、混合効率が一層向上する。尚、排出管44内の混合に寄与しない部分での滞留時間を極力短くする為、混合室38内の出口を絞ると共に、少なくとも混合室38の管径D1 よりも小さな内径の排出管38を極力短くして配管30に接続するとよい。このように、第1混合装置12から脱ガス装置14までの距離を短くすることで、第1混合装置12での反応で発生したガスが排出管44や配管30で滞留することなく直ちに脱ガス装置14での脱ガスを開始できる。
また、第1のノズル52から混合室38へ噴出される噴出流形状は第1のノズル52に設けた第1のオリフィス48により規制され、この噴出流形状は混合性能に影響する。従って、混合反応の目的に応じて、糸線状、円錐状、スリット状、扇状等の噴出流形状を形成する第1のオリフィス48を適宜使用することが好ましい。例えば、ミリ秒オーダーの非常に反応速度の速い反応の場合には、瞬時にできるだけ狭い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させることが必要であり、糸線状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス48が好ましい。また、反応速度が比較的遅い場合には、できるだけ広い範囲で渦粘性Cが最大になるように直進流Aと直交流Bを噴出させて、直進流Aが作る同伴界面積を増やす方がよく、この場合には薄膜な噴出流形状を形成する第1のオリフィス48が好ましい。また、ミリ秒オーダーの非常に速い反応速度と比較的遅い反応速度との中間的な反応速度の場合には、円錐状の噴出流形状を形成する第1のオリフィス48が好ましい。
図4〜図7は糸線状、円錐状、スリット状、扇状の各噴出流形状を形成するための第1のオリフィス48を図示したものであり、それぞれの図における(a)はオリフィスを先端側から見た図、(b)はオリフィスの縦断面図、(c)はオリフィスの横断面図である。
図4は、糸線状の直進流A を混合室38に噴出するための第1のオリフィス48であり糸線状に形成される。図5は、円錐状の直進流A を混合室38に噴出するための第1のオリフィス48であり、先端部が開いたラッパ管状に形成される。図6は、薄膜の直進流Aを混合室38に噴出するための第1のオリフィス48であり矩形なスリット状に形成される。図7は、扇状な薄膜の直進流Aを混合室38に噴出するための第1のオリフィス48であり、先端部が扇状に拡径して形成される。
尚、ワンジェット混合方式の第1混合装置12は上述した図2に限定するものではなく、第1の溶液L1と第2の溶液L2とをそれぞれのノズルから該ノズルの口径よりも大径な混合場に噴出して混合反応させると共に混合反応液LMを混合場の径よりも小径な排出口から排出する静的混合装置を使用し、溶液L1と溶液L2の少なくとも一つの溶液を1MPa以上の高圧ジェット流で且つ混合場に流入する時のレイノルズ数が10000以上の乱流として混合場に噴出し、該高圧ジェット流が流れ方向に対して形成する渦粘性が最大になる以前の位置に、残りの溶液を前記高圧ジェット流よりも低い圧力で添加することのできるものであればよい。
b)T字型・Y字型
図8及び図9は、T字型・Y字型の第1混合装置12の断面図であり、図8はT字管、図9はY字管の場合である。
図8及び図9は、T字型・Y字型の第1混合装置12の断面図であり、図8はT字管、図9はY字管の場合である。
図8及び図9に示すように、T字管やY字管のような非常に細い配管の交点(混合場)で、第1の溶液L1と第2の溶液L2とを1MPa以上の高圧ジェット流で衝突させることにより両液を瞬時に混合させ、反応した反応液LMを排出管から短時間で排出する。即ち、第1の添加配管62から第1の溶液L1を1MPa以上の高圧ジェット流で混合場64に噴出させると共に、第2の添加配管66から第2の溶液L2を1MPa以上の高圧ジェット流で混合場64に噴出させて両溶液を衝突させる。衝突によるエネルギーで混合され、反応した反応液LMを排出管68から短時間で排出する。尚、第1の溶液L1と第2の溶液L2の圧力は1MPa以上であれば、同じでも異なっていてもよい。また、第1の添加配管62、第2の添加配管66、及び排出管68の外周にはジャケット70が巻回され、混合場64における第1及び第2の溶液L1、L2との混合反応温度が制御される。尚、図8、図9の符号70Aはジャケット70の熱媒体入口であり、符号70Bは熱媒体出口である。
これにより、第1の溶液L1と第2の溶液L2とは適切な混合反応温度条件下で瞬時に且つ効率的に混合して反応し、反応液LMが直ちに排出管68から排出されるので、微小サイズで単分散性の良い金属微粒子を形成することができる。この場合、滞留時間は5秒以下であることが好ましい。
C)ツージェット対向型
図10は、T字型に渦粘性の概念を加味した混合法であり、図2と同じ部材には同符号を付して説明する。この混合法は、第1の溶液L1と第2の溶液L2を対向する方向から1MPa 以上の高圧ジェット流で、該L1溶液とL2溶液を噴出するノズル径よりも大径な混合室38(混合場)に噴出して衝突させ、両溶液に発生する渦粘性を利用して混合し、反応液LMを混合室38の径よりも小径な排出管44から排出するものである。
図10は、T字型に渦粘性の概念を加味した混合法であり、図2と同じ部材には同符号を付して説明する。この混合法は、第1の溶液L1と第2の溶液L2を対向する方向から1MPa 以上の高圧ジェット流で、該L1溶液とL2溶液を噴出するノズル径よりも大径な混合室38(混合場)に噴出して衝突させ、両溶液に発生する渦粘性を利用して混合し、反応液LMを混合室38の径よりも小径な排出管44から排出するものである。
図10の第1混合装置12は、第1の溶液L1と第2の溶液L2とを混合して反応させる筒状の混合室38が形成された混合器40の一端側開口に、第1の溶液L1を混合室38に導入する第1の導管42が接続されると共に、他端側開口に第2の溶液L2を混合室38に導入する第2の導管46が接続される。また、混合器40の中央部開口には、混合室38で混合されて反応した反応液LMを該混合室38から排出する排出管44が接続される。
第1の導管42と第2の導管46の先端内部には、それぞれ第1のオリフィス48と第2のオリフィス50が設けられ、これにより、第1の導管42と第2の導管46には乱流の直進流A1、A2を噴射する第1のノズル52と第2のノズル54が形成される。尚、本実施の形態では、第1のノズル52から第1の溶液L1を噴出し、第2のノズル54から第2の溶液L2を噴出する例で説明するが、逆にしてもよい。
また、混合器40の外周にはジャケット56が巻回され、図2で説明したと同様に、混合器40内における第1及び第2の溶液L1,L2との混合反応温度が制御される。
また、混合室38の管径D1、第1のノズル52のオリフィス径D2 、第2のノズル54のオリフィス径D3 、及びこれらの寸法関係はワンジェット型と同様である。更に、第1及び第2のオリフィス48、50を形成する方法、オリフィス材58の材質、加圧手段もワンジェット型で説明したのと同様である。また、直進流A1、A2の形状もワンジェット型で説明した糸線状、円錐状、スリット状、扇状の各噴出流形状を形成することができる。
そして、図11に示すように、第1のノズル52と第2のノズル54から第1の溶液L1と第2の溶液L2とを1MPa以上の高圧ジェット流で混合室38の一方端と他方端から噴出し、対向する乱流の直進流A1、A2として混合室38で衝突させる。この2本の直進流A1、A2によって形成させる2つの渦粘性C、Dをオーバーラップさせることにより溶液L1と溶液L2とを適切な混合反応温度条件下で瞬時に混合され、反応した反応液LMは排出管44から直ちに排出される。この場合、混合室38での滞留時間は5秒以下であることが好ましい。これにより、微小サイズで単分散性の良い金属微粒子を形成することができる。
かかる混合反応は、対向する乱流の高速な2本の直進流A1、A2によって混合室38に形成されるそれぞれの渦粘性C、Dが最大になった時点で、重なる部分Eが極力大きくなるようにオーバーラップさせることで高性能な混合効率を得るものである。従って、直進流A1、A2は、混合室38に噴出直後で衝突することなく、且つ直進流A1、A2によって混合室38に形成される2つの渦粘性C、Dがオーバーラップする部分Eを極力大きくすることが好ましい。このためには、対向する第1のノズル52と第2のノズル54の離間距離L(図10参照)を、換言すると混合場の長さを適切に設定することが好ましい。このように、第1のノズル52と第2のノズル54の離間距離Lを適切に設定することで、最大になった渦粘性C、D同士のオーバーラップする部分Eを確実に大きくすることができ、2つの渦粘性C、D同士を略完全にオーバーラップさせることも可能である。従って、渦粘性C、Dが最大になる位置を知る必要があるが、渦粘性C、Dが最大になる混合室38の位置は、流動解析ソフトとして既に日本で市販されて流動解析ソフトとして良く知られているアールフロー社製の数値解析ソフト、R −Flowを用いて予めシミュレーションすることで、第1のノズル52から渦粘性Cまでの距離、及び第2のノズル54から渦粘性Dまでの距離を把握することができる。この場合、図11から分かるように、渦粘性C、Dが最大になる位置はピンポイントではなく嶺域を有する。従って、第1のノズル52と第2のノズル54の離間距離Lは、渦粘性C、Dの最大位置を渦粘性C、Dの略中心部であるポイントP1,P2とし、ポイントP1とポイントP2とを一致させたときの第1のノズル52からポイントP1までと第2のノズル54からポイントP2までの合計値とすればよい。また、ポイントP1、P2を把握する別の方法としては、上記の数値解析ソフトで解析すると、直進流A1、A2による渦粘性C,Dが最大になるポイントP1、P2は直進流A1、A2の流速と関係があり、直進流A1、A2 の最大流速(通常は第1又は第2のノズル位置での流速)が1/10に減少する位置に略相当する。従って、直進流A1、A2の最大流速が1/10に減少する位置を計算して、ポイントP1、P2を把握してもよい。このように、渦粘性C、Dが最大になった位置で渦粘性C、D同士をオーバーラップさせることで、直進流A1と直進流A2の液液界面での接触効率を大きくして混合反応性能を向上させる効果の他に、直進流A1と直進流A2が衝突することによる液液摩擦に伴う発熱を抑制する効果もある。
(B)脱ガス装置について
本発明における脱ガス装置14は、反応の進行に伴って発生するガスの気泡を反応液LMから効率よく脱ガスして、反応の進行や反応液LMの流れを阻害しないようにできればどのような装置でもよいが、次に説明する脱ガス装置14を好適に使用することができる。
本発明における脱ガス装置14は、反応の進行に伴って発生するガスの気泡を反応液LMから効率よく脱ガスして、反応の進行や反応液LMの流れを阻害しないようにできればどのような装置でもよいが、次に説明する脱ガス装置14を好適に使用することができる。
a)上下蛇行流方式
図12及び図13に示す上下蛇行流方式の脱ガス装置14は、反応液LMによる液体部80と、該反応液LMから除去されたガスが溜まる空間部82との気液界面84を有する通路86として形成される。即ち、入口88Aと出口88Bを有する脱ガス容器88内には、脱ガス容器88の底部から複数の堰板90、90…が間隔を開けて立設されると共に、堰板90上端は気液界面84よりも下に位置するように形成される。また、堰板90同士のそれぞれの間には、脱ガス容器88の天井板から複数の邪魔板92が垂下するように設けられ、邪魔板92の下端は脱ガス容器88の底部から離間するように形成される。これにより、図13に示すように、脱ガス容器88内には、反応液LMが連続して流れる上昇通路86Aと下降通路86Bとが交互に連続して形成されると共に、上昇通路86Aから下降通路86Bに流れが反転する部分に気液界面84が形成される。上昇通路86Aと下降通路86Bとから成る通路86全体の長さは脱ガスを十分に行えるに足る長さであることが必要である。また、脱ガス容器88の入口88Aには流入管94が接続され、この流入管94がフランジを介して配管30(図1参照)に接続される。一方、脱ガス容器88の出口88Bには流出管96が接続され、この流出管96がフランジを介して配管32(図1参照)に接続される。この流出管96の接続位置は堰板90の上端よりも少し上側位置になるように接続し、堰板90上端よりも高い気液界面84高さを確保することが必要である。但し、流出管96にバルブを設けて、流出管96からの流出量を流入管94からの流入量により絞る場合には、流出管96を脱ガス容器88の下部位置に接続してもよい。
図12及び図13に示す上下蛇行流方式の脱ガス装置14は、反応液LMによる液体部80と、該反応液LMから除去されたガスが溜まる空間部82との気液界面84を有する通路86として形成される。即ち、入口88Aと出口88Bを有する脱ガス容器88内には、脱ガス容器88の底部から複数の堰板90、90…が間隔を開けて立設されると共に、堰板90上端は気液界面84よりも下に位置するように形成される。また、堰板90同士のそれぞれの間には、脱ガス容器88の天井板から複数の邪魔板92が垂下するように設けられ、邪魔板92の下端は脱ガス容器88の底部から離間するように形成される。これにより、図13に示すように、脱ガス容器88内には、反応液LMが連続して流れる上昇通路86Aと下降通路86Bとが交互に連続して形成されると共に、上昇通路86Aから下降通路86Bに流れが反転する部分に気液界面84が形成される。上昇通路86Aと下降通路86Bとから成る通路86全体の長さは脱ガスを十分に行えるに足る長さであることが必要である。また、脱ガス容器88の入口88Aには流入管94が接続され、この流入管94がフランジを介して配管30(図1参照)に接続される。一方、脱ガス容器88の出口88Bには流出管96が接続され、この流出管96がフランジを介して配管32(図1参照)に接続される。この流出管96の接続位置は堰板90の上端よりも少し上側位置になるように接続し、堰板90上端よりも高い気液界面84高さを確保することが必要である。但し、流出管96にバルブを設けて、流出管96からの流出量を流入管94からの流入量により絞る場合には、流出管96を脱ガス容器88の下部位置に接続してもよい。
このように構成された上下蛇行流方式の脱ガス装置14によれば、第1混合装置12で混合された反応液LMは、流入管94から脱ガス装置14内に流入する。そして、反応液LMが上昇通路86Aと下降通路86Bを交互に流れながら、反応の進行に伴って発生するガスの気泡98は通路86内を気液界面84に向けて浮上し、気液界面84から空間部82に除去される。この場合、反応液LMの流れが下降通路86Bから上昇通路86Aに反転する脱ガス容器88の底部形状が円弧状に形成されることが好ましい。これにより、反応液LMの流れが脱ガス容器88の底部で滞留することなくスムーズに流れるので、気泡98や反応生成物である金属微粒子が底部に滞ることがない。別の態様としては、図14に示すように、上昇通路86Aの底部に滞留を防止する流れを発生させる捜拝機100を設けるようにしてもよい。この撹拌機100を設ければ、反応液LMが下降通路86Bから上昇通路86Aに反転する際に大きな力の反転流を形成できるので、気泡98や金属微粒子が脱ガス容器88の底部に滞ることを防止できる。
また、無駄に通路86の長さを長くしないためには、堰板90の高さが脱ガス装置14の入口88Aから出口88Bにいくに従って低くなるようにすることが好ましい。これは、脱ガス容器88に形成される通路86のうち、入口側に近いほど反応液LMからのガス発生量が多く、出口側にいくほどガス発生量は少なくなるためである。従って、通路86の入口側ほど気液界面84までの通路長を長く確保する必要があり、堰板90の高さを脱ガス容器88の入口88Aから出口88Bにいくに従って低くすれば、ガスの発生量に即して気液界面84までの通路長を適切に形成できる。これにより、通路86長を無駄に長くすることが防止されるので、短時間で効率的な脱ガスを行うことができる。
また、図12及び図13に示すように、脱ガス装置14には、気泡発生に伴い変化する空間部82の圧力を調整する圧力調整手段102を設けることが好ましい。この場合、圧力調整手段102で空間部82全体の圧力が均一になるように調整する場合には、邪魔板92の空間部82に対応する部分に連通孔92Aを形成するとよい。
この圧力調整手段102は、主として、空間部82の圧力を測定する圧力センサ106と、空間部82に溜まったガスを排出するバルブ108付きのガス抜き管110と、ガス抜き管110に接続される減圧手段112と、空間部82に窒素ガス等の不活性ガスを供給するバルブ114付きのガス供給配管116と、制御装置118とで構成される。減圧手段112としては、真空ポンプやアスピレータを使用することができる。そして、制御装置118は、圧力センサ106で測定される空間部82の圧力値に基づいてガス抜き管110及び/又はガス供給配管116のバルブ108、114を調整することで空間部82の圧力を適切に調整する。即ち、脱ガス装置14の通路86を流れる反応液LM中の気泡98が気液界面84を介して空間部82に脱ガスされ易いように空間部82の圧力を調整する。脱ガスされ易くするには空間部82の圧力を減圧する方がよいが、減圧し過ぎると反応液LMが沸騰してしまい流れが乱れるので良くない。従って、減圧し過ぎた場合には、空間部82に窒素ガス等の不活性ガスを供給して調整する。どの程度減圧するかは、発生するガスの気泡量や気泡の大きさによる浮上力等により異なるので、脱ガス状態をモニタリングしながら減圧度を調整するとよい。従って、通路86を流れる反応液LMから気泡98が抜ける状態が観察できることが好ましく、脱ガス容器88を透明な容器で形成することが好ましい。
この脱ガスにおいて、空間部82の圧力を一定に精度良く保ちながら、発生するガスを反応液LMからスムーズ(液の流れを乱さないように)に連続脱ガスし、反応液LMの流れを安定化させることが、反応の安定化及び均一化を図る上で非常に重要である。
このことから、圧力調整手段102に使用するバルブ108,114は10ミリ秒以下、より好ましくは5ミリ秒以下のレベルの応答速度で開閉するバルブ108,114を使用することが好ましい。5ミリ秒以下のレベルの応答速度で開閉するバルブ108,114としては、サーボバルブを使用することができる。これにより、予め設定した空間部82の圧力設定値に対して圧力センサ106の測定値が振れたときに、非常に速い開閉速度でバルブ108,114が開閉するので、空間部82の圧力変動がないようにできる。また、バルブ108,114の応答速度が10ミリ秒以上の場合には、バルブバルブ108,114を含めたガス抜き管110内のどこかにガスの放出速度を遅くする抵抗体(図示せず)を設け、圧力制御をし易くするようにしてもよい。抵抗体としては、オリフィスやフィルタ等を好適に使用することができる。
また、反応が空気中の酸素を嫌う反応であったり、反応に伴って発生するガスが水素ガスのように酸素があると危険な場合がある。この場合には、ガス供給配管116から窒素ガス等の不活性ガスを供給できるので、反応装置10を運転する前にガス供給配管116から脱ガス容器88内に不活性ガスをパージして脱ガス容器88内の空気を不活性ガスで置換することが好ましい。
尚、本実施の形態では、邪魔板92の空間部82に対応する部分に連通孔92Aを形成したが、連通孔92Aを形成せずに、邪魔板92同士で区画される空間部82ごとに圧力調製手段102を設けて圧力を各空間部82ごとに個別に調整できるようにしてもよい。これは、上述したように、脱ガス装置14の入口側に近いほど反応液LMからのガス発生量が多く、出口側にいくはどガス発生量は少なくなるので、入口側の空間部82ほど脱ガスされたガスを空間部82から速く除去して空間部82の圧力が上がらないようにすることが必要になる。従って、邪魔板92同士で区画される空間部82ごとに圧力を調整できるようにすれば、ガス発生量に応じて各空間部82の圧力を適切に制御し、各空間部82ごとに気泡98が脱ガスされ易い圧力を形成できる。
また、反応液LM中からの気泡98の脱ガスを促進するには、図13に示すように、流入管94の途中に脱ガス装置14に流入する反応液LMを加熱又は冷却する温度調整手段120を設けることが好ましい。この場合、脱ガス容器88、堰板90、及び邪魔板92の内部にヒーターや冷却コイルを埋め込む等により脱ガス装置14の全体を加熱又は冷却するようにしてもよい。反応液LMをどの程度加熱又は冷却するかは、気泡98が抜ける状態を観察しながら温度調整手段120等の温度を適宜設定すればよい。
これにより、脱ガス装置14内を流れる反応液LMを加熱又は冷却して反応温度を制御することにより、気温や室内の温度に左右されずに常に反応条件を一定にできるので、発生するガス量も気温に影響されずに一定に維持することができる。従って、精度の良い脱ガス処理を行うことができると共に、設計した脱ガス装置内での脱ガス量が季節や室内の温度によらずに精度よく再現されるので、装置の形状や容量を固定できる。
また、反応液LM中からの気泡98の脱ガスを促進するには、図13に示すように、超音波発生器122を設けることも好ましい方法である。超音波発生器122を設ける場所は特に限定されないが、例えば図13のように脱ガス装置14の底部外側に設けるとよい。超音波の振動周波数は1kHz 〜10MHz の範囲が好ましく、1kHz 〜1MHz の範囲がより好ましく、20kHz 〜200kHz の範囲が特に好ましい。超音波の出力は1W〜10kWの範囲が好ましく、10W〜5kWの範囲がより好ましく、100W〜2kWの範囲が特に好ましい。このように,反応液LMに超音波振動を付与することで、反応液LM中の気泡98の脱ガスを促進できるだけでなく、脱ガス容器88の内壁面、堰板90の表面、邪魔板92の表面に付着した気泡98を脱離させ易くなる。この場合、脱ガス容器88の内壁面、堰板90の表面、邪魔板92の表面に、テフロン(商標)加工等のように気泡98が付着されにくくする表面加工を施すと更によい。
また、反応液LM中からの気泡98の脱ガスを促進するには、図15に示すように、上昇通路86Aの幅W1よりも下降通路86B の幅W2を大きくして、上昇通路86Aの通路断面積よりも下降通路86Bの通路断面積を大きくすることが好ましい。即ち、上昇路86Aでは、反応液LMの流れ方向と気泡98の浮上方向が同じなので、気泡98が気液界面84において浮上分離され易いが、下降通路86Bでは、反応液LMの流れ方向と気泡98の浮上方向が逆なので、気泡98が気液界面84において浮上分離され難い。従って、下降通路86Bでは、反応液LMの下降流速度が気泡98の上昇速度よりも小さくする必要がある。この場合、気泡98の上昇速度は気泡径によって異なるので、気泡径の大きさ、即ち浮上速度に応じて下降通路86B の下降流速度を適宜設計することが必要である。尚、図14、図15では圧力調整手段102は省略されている。
図16は、脱ガス装置14を、入口ユニット124、中間部ユニット126、出口ユニット128にそれぞれユニット化することで、通路86全体の長さを簡単に調整できるようにしたものである。
図16に示すように、入口ユニット124は、箱体130の内部に上述した堰板90が立設されると共に、箱体124の一方側面の下部に流入管94が接続され、他方側面の下部に出口ダクト132が横向きに突設される。中間ユニット126は、箱体134の内部に上述した堰板90が立設されると共に、箱体134の一方側面の下部に入口ダクト136が横向きに突設され、他方側面の下部に出口ダクト138が横向きに突設される。出口ユニット128は、箱体140の一方側面の下部に入口ダクト142が突設され、他方側面の上部に流出管96が接続される。各ユニット124、126、128には、上述した空間部82の圧力を均等化するための連通孔92A が形成される。また、各ユニット124、126、128における入口ダクト136,142と出口ダクト132,238とは水密状態で嵌合される。
そして、これら入口ユニット124、中間部ユニット126、出口ユニット128により脱ガス装置14を組み立てるには、入口ユニット124の出口ダクト132と中間ユニット126の入口ダクト136を嵌合すると共に、中間ユニット126の出口ダクト18と出口ユニット128の入口ダクト142を嵌合する。この嵌合によって合わさる各ユニット124、126、128の側面が、上述した邪魔板92になる。これにより、簡単に脱ガス装置14を製作することができると共に、中間ユニット126の数を変えるだけで脱ガス装置14内の通路86全体の長さを任意に調整することができる。尚、各ユニット124、126、128に連通孔92Aを形成する場合には、何れかのユニットに上述した圧力調整手段を設ければよい。また、連通孔92Aを形成しない場合には、各ユニットごとに空間部82の圧力を調整するための圧力調整手段102を設ければよい。また、温度調整手段120、超音波付与手段122、撹拌機100等を設けたり、ユニット底部を円弧状に形成する等のように、脱ガスを促進する各種の手段や形状を設ければ更によい。
b)気体透過方式
図17に示すように、気体透過方式の脱ガス装置14は、脱ガス容器88の一方側面の上部に流入管94が接続されると共に、地方側面の下部に流出管96が接続される。そして、脱ガス容器88内には、液体は通さずに気体を通す気体透過部材で形成された脱ガス管150が逆S字状に収納されると共に、脱ガス管150の一端が流入管94に接続され、他端が流出管96に接続される。また、脱ガス管150の複数箇所が、保持具152を介して脱ガス容器88の内壁面に支持される。
図17に示すように、気体透過方式の脱ガス装置14は、脱ガス容器88の一方側面の上部に流入管94が接続されると共に、地方側面の下部に流出管96が接続される。そして、脱ガス容器88内には、液体は通さずに気体を通す気体透過部材で形成された脱ガス管150が逆S字状に収納されると共に、脱ガス管150の一端が流入管94に接続され、他端が流出管96に接続される。また、脱ガス管150の複数箇所が、保持具152を介して脱ガス容器88の内壁面に支持される。
この気体透過方式の脱ガス装置14を製作する上で、最も重要なポイントは如何に気体透過性の良い気体透過部材を使用するかであり、近年の高分子技術の進歩により例えばゴアテックス膜(商標)のような気体透過性のよい膜が市販されており、このような膜を使用することができる。また、近年のマイクロマシンニング技術の進歩により、液体は通さないが気体は通す極めて微細な孔を金属やプラスチック樹脂等の硬質樹脂に開けることが可能になってきており、このような技術を使用して気体透過部材を製作することも可能である。いずれにしても、この気体透過方式の脱ガス装置14は、技術の進歩如何にかかわらず、液液反応により発生するガスだけを透過させる気体透過部材であればどのようなものでもよい。この場合、脱ガス管150の全てを気体透過部材で形成することに限定さ
ず、脱ガス管150の少なくとも上部が気体透過部材で形成されていればよい。これにより、脱ガス容器88内には、反応液LMによる液体部80と、反応液LMから除去されたガスが溜まる空間部82との気液界面が気体透過部材で形成された脱ガス管150で仕切られた構造の脱ガス装置14が形成される。
ず、脱ガス管150の少なくとも上部が気体透過部材で形成されていればよい。これにより、脱ガス容器88内には、反応液LMによる液体部80と、反応液LMから除去されたガスが溜まる空間部82との気液界面が気体透過部材で形成された脱ガス管150で仕切られた構造の脱ガス装置14が形成される。
このように構成された気体透過方式の脱ガス装置14によれば、第1混合装置12で混合された反応液LMは、流入管94から脱ガス装置14に流入する。そして、反応液LMが脱ガス管150内を流れながら、反応に伴って発生するガスは反応液中を気泡98となって上昇し、気体透過部材で形成された脱ガス管150を透過して空間部82へ脱ガスされる。
かかる脱ガスにおいて、脱ガス管150を形成する気体透過部材の気体透過性能にもよるが、空間部82の圧力を調整する圧力調整手段を設け、空間部82内を減圧することが好ましい。圧力調整手段102の構成は上下蛇行流方式の脱ガス装置で説明したと同様であるので、説明は省略する。
以上説明したように本発明の化学物質の製造装置10によれば、第1混合装置12と脱ガス装置14とを分離して、反応に伴って発生するガスの気泡98に邪魔されずに混合を均一且つ効率的に行うことができるので、反応開始時及び反応進行過程での反応を安定化させることができると共に、後工程へ安定した送液を行うことができる。
また、本発明の化学物質の製造装置10によれば、第1混合装置12として高圧混合方式を使用することにより、瞬時混合を行うことができると共に、混合による反応の開始によりガスが発生した反応液LMを直ちに脱ガス装置14に送ることができる。これにより、第1混合装置12において、ガスの気泡により混合が邪魔されることがない。
また、本発明の化学物質の製造装置10によれば、脱ガス装置14として、反応液LMによる液体部80と反応液LMから除去されたガスが溜まる空間部82との気液界面84を有する通路86を形成し、通路86を流れる反応液中のガスの気泡98を空間部82に連続的に除去するようにしたので、気泡98の浮上力を利用した効率的な脱ガスを行うことができる。
従って、本発明の化学物質の製造装置10は、ガスを発生する反応を反応液LMの流れの中で行わせるフロー方式での反応系に好適である。特に磁気記録媒体の磁性層に含有する磁性粒子の連続製造に本発明の製造装置10を採用すれば、ガスの発生を伴う反応の均一化が可能となる。また、連続的に脱ガスすることで反応の平衡が反応促進側に進むと考えられ、反応性が向上するので迅速な反応を可能とし、結果的に磁性粒子の微小化を図ることができる。また、脱ガスのための液温制御を行う場合、ガスを連続処理の流れの中で効率的に除去することができるので、液温制御の精度を向上させることができる。これにより、微小サイズで単分散性の良い磁性粒子を製造することができると共に、この磁性粒子を磁性層に含有することで高精度な磁気記録メディアを製造することができる。
高純度の窒素ガス中で下記の操作を行った。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH4 ) 3 (C2 O4 ) 3 )(和光純薬製)0.46gと塩化白金酸カリウム(K2 PtCl4 )(和光純薬製)0.46gとを、H2 O(脱酸素処理済み)24mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)14.0gをデカン(和光純薬製)80mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第1の溶液L1の逆ミセル溶液を調製した。
NaBH4 (和光純薬製)0.50gをH2 O(脱酸素処理済み)12mlに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT5.4gをデカン(和光純薬製)40mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第2の溶液L2の逆ミセル溶液を調製した。
塩化銅(CuCl2 ・6H2 O)(和光純薬製)0.09gをH2 O(脱酸素処理済み)2mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)3.5gをデカン(和光純薬製)20mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第3の溶液L3の逆ミセル溶液を調製した。
アスコルビン酸(和光純薬製)0.88gとキレート剤(DHEG)0.33gをH2 O(脱酸素処理済み)12mlに溶解した水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)5.4gとオレインアミン(東京化成製)2mlとをデカン(和光純薬製)40mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して第4の溶液LM4の逆ミセル溶液を調製した。
従来法による金属微粒子の製造方法では、バッチ式で1つのタンクで上記4つの逆ミセル溶液(LM1,2,3,4)を次のように混合した。逆ミセル溶液(L1)を22°Cでオムニミキサー(ヤマト科学製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(L2)を瞬時に添加した。3分後、更に、逆ミセル溶液(L3)を約2.4ml/分の速度で約10分かけて添加した。添加終了5分後に、オムニミキサーからマグネチックスターラー攪拌に変更して、40°Cに上温させた後、逆ミセル溶液(L4)を添加して、120分間熟成した。これにより、得られた金属微粒子を従来法サンプルと呼ぶ。
これに対し、本発明の化学物質の製造装置10では、逆ミセル溶液(L1)と逆ミセル溶液(L2)とを図2の第1混合装置12で瞬時に混合した。混合終了と同時に第1混合装置12から反応液LMを取り出し、図12の上下蛇行流型の脱ガス装置14により反応副生ガスを除去しながら、10分後に図1に示す第2混合装置13へ反応液LMを送った。この第2混合装置13に逆ミセル溶液(L3)を添加して瞬時に混合した。第2混合装置13からの液を製品タンク21に回収し、逆ミセル溶液(L3)添加終了5分後に、攪拌翼21aによるゆるやかな攪拌に変更し、40°Cに昇温した後、逆ミセル溶液(L4)を添加して、120分間熟成した。これにより、得られた金属微粒子を本発明法サンプルと呼ぶ。
そして、従来法サンプル及び本発明法サンプルともに、室温まで冷却後、オレイン酸(和光純薬製)2mlを添加、混合して、大気中に取り出した。逆ミセルを破壊するため、H2 O200mlとメタノール200mlとの混合液を添加して水相と油相とに分離した。油相側に金属ナノ粒子が分散した状態が得られた。油相側をH2 O600mlとメタノール200mlとの混合液で5回洗浄した。その後、メタノールを1300ml添加して金属ナノ粒子にフロキュレーションを起こさせて沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン(和光純薬製)20mlを添加して再分散した後、メタノール100mlを添加して金属ナノ粒子を沈降させた。この処理を2回繰り返して、最後にオクタン(和光純薬製)5mlを添加して、FeCuPtの多元系合金で粒径がナノレベルの金属微粒子を含む金属ナノ粒子分散液を得た。
得られた従来法の金属ナノ粒子と本発明法の金属ナノ粒子について、収率、組成、体積平均粒径と粒径分布(変動係数)、及び保磁力の測定を行った。尚、組成及び収率は、ICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)で測定し、体積及び平均粒径と粒径分布は、TEM撮影した粒子を計測して統計処理により求めた。また、保磁力の測定は、東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製のDATA処理装置を使用し、印加磁場790kA/m(10kOe)の条件で行った。測定用金属ナノ粒子は、調製した金属ナノ粒子分散液から金属ナノ粒子を捕集し、十分に乾燥させ、電気炉において550°Cで30分加熱後のものを使用して測定した。
従来法の金属ナノ粒子と本発明法の金属ナノ粒子の上記測定結果を表1に示す。
10…製造装置、12…第1混合装置、13…第2混合装置、14…脱ガス装置、15、16、18…調製タンク、20…加熱ジャケット、22、24…供給配管、17、26、28…供給ポンプ、30、32…配管、34…製品タンク、36…加熱・冷却ジャケット、38…混合室、40…混合器、42…第1の導管、44…排出管、46…第2の導管、48…第1のオリフィス、50…第2のオリフィス、52…第1のノズル、54…第2のノズル、56…ジャケット、58…オリフィル材、60…第3のオリフィス、62…第1の添加配管、64…混合場、66…第2の添加配管、68…排出管、70…ジャケット、80…液体部、82…空間部、84…気液界面、86…通路、86A…上昇通路、86B…下降通路、88…脱ガス容器、90…堰板、92…邪魔板、92A…連通孔、94…流入管、96…流出管、98…気泡、100…攪拌機、102…圧力調整手段、106…圧力センサ、108…バルブ、110…ガス抜き管、112…減圧手段、114…バルブ、116…ガス供給配管、118…制御装置、120…温度調整手段、122…超音波付与手段、124…入口ユニット、126‥中間ユニット、128…出口ユニット、130、134、140…箱体、132、138…出口ダクト、136、142…入口ダクト、150…脱ガス管、L1…第1の溶液、L2…第2の溶液、L3…第3の溶液、LM…反応液
Claims (26)
- 反応に伴ってガスが発生する化学物質を製造する化学物質の製造方法において、
複数の溶液を密閉系の第1混合部で混合反応を行う第1混合工程と、
前記第1混合工程で混合反応された反応液から発生するガスの気泡を、気液界面を備えた脱ガス部で脱ガス処理する脱ガス工程と、
前記脱ガス工程で脱ガス処理された反応液に添加溶液を添加して第2混合部で混合反応を行う第2混合工程と、を備え、前記第1混合工程から前記脱ガス工程に反応液を送液すると共に、前記脱ガス工程での脱ガス終了後に前記第2混合工程に送液することを特徴とする化学物質の製造方法。 - 前記第1混合工程と前記脱ガス工程を一組とした混合・脱ガス工程を複数段直列に設けることを特徴とする請求項1の化学物質の製造方法。
- 前記第1混合工程では、周期律表の8、9及び10族から選ばれる2種以上の金属イオンを含有する第1の溶液と、還元剤を含有する第2の溶液とを混合し、
前記第2混合工程では、前記第1混合工程で混合された反応液に周期律表の11、12、13、14及び15族から選ばれる1種以上の金属イオンを含有する第3の溶液を添加して混合し、前記化学物質として磁性粒子を製造することを特徴とする請求項1又は2の化学物質の製造方法。 - 前記第1混合工程と第2混合工程のうちの少なくとも第1混合工程では瞬時混合を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1の化学物質の製造方法。
- 前記脱ガス部は、前記反応液による液体部と該反応液から除去されたガスが溜まる空間部とにより前記気液界面を形成する通路であって、前記通路を流れる反応液中のガスの気泡を前記空間部に除去することを特徴とする請求項1〜4の何れか1の化学物質の製造方法。
- 前記空間部の圧力を減圧することを特徴とする請求項5の化学物質の製造方法。
- 前記通路は、前記反応液が連続して流れる上昇通路と下降通路とを有し、前記上昇通路から前記下降通路に流れが反転する部分に前記気液界面を形成することを特徴とする請求項5又は6の化学物質の製造方法。
- 前記脱ガス部を流れる反応液を加熱又は冷却して反応温度を制御することを特徴とする請求項5〜7の何れか1の化学物質の製造方法。
- 前記脱ガス部を流れる反応液に超音波を付与することを特徴とする請求項5〜8の何れか1の化学物質の製造方法。
- 前記下降通路を流れる反応液の流速は、前記気泡の上昇速度よりも遅いことを特徴とする請求項5〜9の何れか1の化学物質の製造方法。
- 前記脱ガス部は、内部が透視可能であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1の化学物質の製造方法。
- 反応に伴ってガスが発生する化学物質を製造する化学物質の製造装置において、
複数の溶液で混合反応を行う密閉系の第1混合部と、前記第1混合部で混合された反応液に添加溶液を添加して混合反応を行う第2混合部との間に、前記第1混合部で混合反応された反応液から発生するガスの気泡を該反応液から除去するための気液界面を有する脱ガス部を配設したことを特徴とする化学物質の製造装置。 - 前記第1混合部と第2混合部のうちの少なくとも第1混合部は、滞留時間が5秒以下の混合室に、前記複数の溶液の少なくとも一つの溶液を1MPa以上の高圧ジェット流で供給して他の溶液と瞬時混合する高圧混合装置であることを特徴とする請求項12の化学物質の製造装置。
- 前記脱ガス部は、前記反応液による液体部と該反応液から除去されたガスが溜まる空間部とにより前記気液界面を形成する通路であって、
前記反応液の入口と出口を有する脱ガス容器と、
前記脱ガス容器の底部から立設されると共に上端が前記気液界面よりも下に位置する複数の堰板と、
前記堰板同士の間に設けられ、上端が前記気液界面よりも上に位置すると共に下端が前記脱ガス容器の底部から離間した邪魔板とで構成され、
前記脱ガス容器内には、前記反応液が連続して流れる上昇通路と下降通路とが形成されると共に、前記上昇通路から前記下降通路に流れが反転する部分に前記気液界面が形成されることを特徴とする請求項12又は13の化学物質の製造装置。 - 前記空間部は前記邪魔板によって仕切られないことを特徴とする請求項14の化学物質の製造装置。
- 前記堰板の高さが前記脱ガス容器の入口から出口にいくに従って低くなっていることを特徴とする請求項14又は15の化学物質の製造装置。
- 前記空間部の圧力を調整する圧力調整手段が設けられていることを特徴とする請求項14〜16の何れか1の化学物質の製造装置。
- 前記脱ガス部には、前記反応液を加熱又は冷却して反応温度を制御する温度調整手段が設けられることを特徴とする請求項12〜17の何れか1の化学物質の製造装置。
- 前記脱ガス部には、前記反応液に超音波を付与する超音波付与手段が設けられることを特徴とする請求項12〜18の何れか1の化学物質の製造装置。
- 前記脱ガス容器内に形成された上昇通路の底部には、滞留を防止する流れを形成する攪拌機が設けられていることを特徴とする請求項14〜19の何れか1の化学物質の製造装置。
- 前記上昇通路に対する前記下降通路の通路断面積を異なるようにしたことを特徴とする請求項14〜20の何れか1の化学物質の製造装置。
- 前記脱ガス容器の内面、前記堰板の表面、前記邪魔板の表面には、前記ガスの気泡が付着しにくい表面加工が施されていることを特徴とする請求項14〜21の何れか1の化学物質の製造装置。
- 前記反応液の流れが前記下降通路から前記上昇通路に反転する脱ガス容器の底部形状が円弧状に形成されることを特徴とする請求項14〜22の何れか1の化学物質の製造装置。
- 請求項1〜11に記載の何れか1の化学物質の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする磁性粒子。
- 請求項12〜23に記載の何れか1の化学物質の製造装置を用いて製造されたことを特徴とする磁性粒子。
- 請求項24又は25に記載の磁性粒子が磁性層に含有されていることを特徴とする磁気記録メディア。
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