JP2006252908A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アノード極の反応界面に水とアルコールを安定に供給することにより、経時安定性に優れた燃料電池の提供。
【解決手段】 水とアルコールを含む液体を燃料として用い、アノード極とカソード極とで電解質膜を挟んで構成される燃料電池であって、前記アノード極の燃料供給方向上流側に、アルコールの拡散速度が水の拡散速度よりも遅い拡散制御層を設ける。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃料電池に関する。
近年、携帯用電子機器及び無線通信機器の急激な普及に伴って、携帯用電源供給装置や無公害自動車用エネルギー源として燃料電池が注目され、その開発に力が注がれている。
燃料電池は、電極であるアノード極およびカソード極と、これらの間に設けられた電解質等から構成され、燃料として水素ガスからなる気体燃料又はアルコール(例えばメタノールやエタノール)水溶液等の液体燃料を用い、酸化剤として酸素ガス又は空気を用い、これらを電気化学的に反応させて生ずるエネルギーを直接電気エネルギーに変換させる発電システムである。これには、500〜700℃の高温で作動する溶融炭酸塩電解質型燃料電池、200℃付近で作動する燐酸電解質型燃料電池、常温から100℃以下で作動するアルカリ電解質型燃料電池及び高分子電解質型燃料電池等が含まれる。
液体を燃料として用いた燃料電池としては、燃料気化層を有する燃料気化供給型や毛管力を利用した方法など種々のタイプが知られている。
以下、高分子電解質型燃料電池を例に挙げて説明する。
高分子電解質型燃料電池は、さらに細分すれば、水素ガスを燃料として使用する水素イオン交換膜燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell)と、アルコール水溶液として液状のメタノールと水を直接燃料としてアノード極に供給して使用する直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell)等がある。
高分子電解質型燃料電池は、化石エネルギーを代替することができる未来型清浄エネルギー源として、出力密度及びエネルギー転換効率が高く、常温で作動が可能であり、また小型化が可能なので、無公害自動車、家庭用発電システム、移動通信装備の携帯用電源、医療機器、及び軍事用装備等の分野に非常に幅広い応用の可能性を有する。
このような高分子電解質型燃料電池は、電解質膜にプロトン伝導性固体高分子膜を用い、この電解質膜を介して、拡散層である多孔性カーボンペーパー上に触媒を担持させた炭素粒子を塗布してなるカソード極とアノード極を接合し、アノード側には燃料を供給するための流路溝を有するアノード極側セパレータが設けられ、カソード側には酸化剤ガスとしての空気を供給するための流路溝を有するカソード側セパレータが設けられた構造を取っている。(特許文献1参照)
また、燃料気化層を有する燃料気化供給型では、アノード極の燃料供給上流側にアノード極に接した状態で燃料気化層を設ける。
アノード極とカソード極は、各々の反応物の供給及び拡散のための拡散層と反応物の酸化/還元反応が生じる触媒層とを有する電極である。
アノード極の拡散層は、アノード極の触媒層を支持するとともに、セパレータに電子を受け渡す電極としての役割を持つ。アノード触媒層は触媒の作用により電気化学反応を生じさせて起電力を生じる作用を担う。
電解質膜はアノード極の触媒層で生じた水素イオンをカソード側に拡散させる一方、電子を通しにくいという作用効果を有し、この効果により起電力を発生する。
カソード極の拡散層は、燃料電池の還元反応のためのカソード極の触媒層を担持すると共に、セパレータから電子を受け取る電極としての機能を有する。
セパレータは、燃料電池ユニットを積層したときに、互いに隣接するカソード極とアノード極とでそれぞれ生じる燃料や酸化剤の流れや化学反応を分離する機能を有する。また、発生した電気を外部回路に流す導体となる。
一般に、水素を燃料として使用する水素イオン交換膜燃料電池は、エネルギー密度が大きいという長所を有しているが、水素ガスの取扱に注意を要し、燃料ガスである水素を生産するためにメタンやメタノール及び天然ガス等を改質するための燃料改質装置等の付帯設備を必要とする問題点がある。
これに対し、直接メタノール型燃料電池は水素ガス等を用いた気体型燃料電池に比べてエネルギー密度は低いが、取扱容易性、低い運転温度、付加的な燃料改質装置が不要であること等の長所に基づいて、小型及び汎用の移動用電源に適するシステムとして認められている。
次に、燃料電池の起電力発生に寄与する化学反応やその問題点について、アルコールとしてメタノールを用いた、直接メタノール型燃料電池を例に挙げて説明する。以下の説明でアノード拡散層とアノード触媒層を併せてアノード極、カソード拡散層とカソード触媒層を併せてカソード極という場合がある。なお電池では一般に定義されているように、燃料電池においてもアノード極が外部回路に対してマイナスの電位を持つ電極であり、カソード極が外部回路に対してプラスの電位を持つ電極として働く。
直接メタノール型燃料電池のアノード極では、メタノール酸化反応が起こって水素イオンと電子とを生成し、生成した水素イオンは電解質膜を通ってカソード極に移動する。カソード極に移動した水素イオンは酸素と反応する、すなわち、還元が生ずる。アノード極から外部回路を経由してカソード極に移動する電子に基づく起電力(electromotive force)が燃料電池のエネルギー発生源になる。下記反応式はアノード極とカソード極で生ずる反応及び燃料電池ユニットで生ずる全反応を示す。
アノード極における反応とアノード側の起電力は、
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- Ea=0.04V
カソード極における反応とカソード側の起電力は、
3/2O2+6H++6e-→ 3H2O Ec=1.23V
従って、燃料電池ユニット全体の反応と起電力は、
CH3OH+3/2O2→ CO2+2H2O Ecell=1.19V
上記直接メタノール燃料電池は、アノード側の電極に電池特性が左右される。即ち、アノード極における酸化反応は、主にアノード極に含まれる触媒層と電解質膜との界面で進行するため、該界面へのメタノールと水の反応物の安定供給は、反応効率と経時安定性の面で重要な因子となる。
また、直接メタノール型燃料電池の全性能は、アノード極の反応速度が遅いためアノード極の触媒層の性能により大きく影響を受ける。従って、実用化のためにはメタノール酸化反応のための優れた触媒の開発と反応制御が非常に重要である。
アノード極上の酸化反応における問題として触媒毒が知られている。すなわち、メタノールが白金表面に電気的に吸着(electroadsorption)し酸化されて水素イオン及び電子を発生させる間に、一酸化炭素が白金に線形に結合して白金の触媒作用を減殺する触媒毒が生ずる。白金にルテニウムを組み合わせることにより、白金触媒の一酸化炭素の触媒毒作用に対する耐性が向上することが報告された。その報告のなかで、望ましい原子比率は50:50であった(例えば、非特許文献1参照。)。こうした一酸化炭素に対する耐性向上は、メタノールが白金に吸着する化学ポテンシャルにおいて、ルテニウムが水分子を吸着する能力に基づいている。こうした二機能メカニズムは、遷移金属の相互作用による触媒活性の促進を説明するものであり、次のように表される。
Pt−CO+Ru−OH → Pt+Ru+CO2+H++e-
直接メタノール型燃料電池においては、アノード極の触媒層は白金−ルテニウム(Pt−Ru)二元合金触媒を用いて主として開発されており、一部は既に商用化されている。従って、多くの研究が、白金を基本とする二元系アノード触媒(Pt−Mo,Pt−W,Pt−Sn,又はPt−Os等)と、白金−ルテニウムを基本とした3元系触媒(Pt−Ru−Os,Pt−Ru−Ni等)に集中しているのが実情である。
国際公開第2001/092151号パンフレット D.Chu and S.Gillman,J,Electrochem.Soc.1996,143,1685
特許文献1は、拡散層である多孔性カーボンペーパー上に触媒を担持させた炭素粒子を塗布することにより触媒層を形成させ、アノード極を作製するという工程をとる。
したがって、拡散層、触媒層内の空孔を燃料であるアルコールや水が、毛管現象により拡散していく。その際、アルコールの拡散速度は、水の拡散速度より速い。従って、反応界面には、アルコールが先に到達するため、アルコールが未反応の状態で触媒層を通過して電解質膜へ移動し、電解質膜の劣化を引き起こしていた。このことが燃料電池の経時安定性を低下させる要因になっていることがわかった。
また、非特許文献1に開示された触媒の工夫によっても、燃料電池を長時間運転しつづけた場合にメタノールの酸化反応の制御が難しく、未反応のメタノールや不完全な分解物が触媒層を通過して、電解質膜へ移動し、電解質膜の劣化を引き起こしていた。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化反応を効率よく進行させて、経時安定性に優れた燃料電池を提供することにある。
上記の本発明の目的は以下の構成によって達成することが出来る。
(請求項1)
水とアルコールを含む液体を燃料として用い、アノード極とカソード極とで電解質膜を挟んで構成される燃料電池であって、前記アノード極の燃料供給方向上流側に、アルコールの拡散速度が水の拡散速度よりも遅い拡散制御層を設けたことを特徴とする燃料電池。
(請求項2)
前記拡散制御層が前記アノード極と接触していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
(請求項3)
前記アノード極と前記拡散制御層の間に燃料気化層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
(請求項4)
前記拡散制御層は多孔質体を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
(請求項5)
前記拡散制御層は有機高分子材料を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
(請求項6)
前記拡散制御層は無機材料の多孔質体と有機高分子材料を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
(請求項7)
前記有機高分子材料は、溶解度パラメーターSP値が13以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の燃料電池。
(請求項8)
前記アルコールは、メタノールであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池。
本発明者は、水とアルコールを含む液体を燃料として用い、アノード極とカソード極とで電解質膜を挟んで構成される燃料電池であって、前記アノード極に燃料を供給する供給方向の上流側に、アルコールの拡散速度が水の拡散速度よりも遅い拡散制御層を設けたことにより、アノード極の反応界面に水とアルコールを安定に供給できるので、未反応のアルコールや不完全な分解物が触媒層を通過して、電解質膜へ移動し、電解質膜の劣化を引き起こすことを防止し、酸化反応を効率よく進行させて、経時安定性を向上させることができると考え、本発明に至った。
本発明に係る燃料電池は、アノード極の反応界面に水とアルコールを安定に供給できるので、経時安定性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係る燃料電池の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る燃料電池の単セルIの基本構成を示す概略図である。符号1は電解質膜、符号2はアノード極触媒層、符号3はカソード極触媒層、符号4はアノード極拡散層、符号5はカソード極拡散層、符号6はアノード極側セパレータ、符号7はカソード極側セパレータ、符号8は燃料流路、符号9は酸化剤流路、符号10は拡散制御層を表す。
ここでは便宜上、拡散層4とその上に設けられたアノード極側触媒層2を含めてアノード極と称し、拡散層5とその上に設けられたカソード極側触媒層3を含めてカソード極と称する。
図1に示すように電解質膜1をアノード極とカソード極とにより接合した接合体の外側に、アノード極側セパレータ6とカソード極側セパレータ7とを配置している。これらを接合することにより、単セルIを形成している。
次に、燃料供給部を改良した本発明の実施の形態の別の例を図2によって説明する。図2は、本発明に係る燃料気化層を有する燃料電池の単セルIIの基本構成を示す概略図である。燃料気化層を設けることにより、燃料供給が容易になる。
前述の図1と同じ機能を担う構成要素には同一の符号を付した。
図2において燃料電池セルIIは、図1に示す燃料電池セルIと比べて、アノード極側セパレータ6がない代わりに、燃料浸透層12と燃料気化層11を備えている点で異なっている。
図1、図2ともこれらの各構成要素を接合することにより、単セルI及びIIを形成している。この単セルを複数個、場合によっては図示していない冷却板を介して積層することにより、燃料電池スタックが構成される。
本発明は、アノード極の燃料供給方向上流側に、アルコールの拡散速度が水の拡散速度よりも遅い拡散制御層10を設けたことに特徴がある。このことによりアノード極の反応界面に水とアルコールを安定に供給できるので、未反応のメタノールや不完全な分解物が触媒層を通過して、電解質膜へ移動し、電解質膜の劣化を引き起こすことを防止し、酸化反応を効率よく進行させて、経時安定性を向上させることができる。
また、図1の実施形態では、拡散制御層がアノード極と接触して設けられており、このような構成により、層構成をシンプルにできる。
また、図2の実施形態では、アノード極と拡散制御層の間に燃料気化層を設けられており、このような構成により、燃絵の供給が容易になるという効果が得られる。
以下、各構成要素について説明する。
(拡散制御層)
本発明のアルコールの拡散速度が水の拡散速度より小さい拡散制御層は、移動相(ここでは、アルコールや水)と固定相の種類と組み合わせによって分類される液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーに用いられる固定相と同じ機能を発揮する層を用いることによって実現できる。これらの分析手法に用いられる固定相の材料を全て使用可能である。固定相に使用される材料をそのまま用いたり、高分子バインダーとともに混合したものを使用しても良い。
基本的には、拡散制御層中をアルコールと水が拡散する際に、アルコールや水が接触する拡散制御層内の構成材料とアルコール、水との相互作用の違いにより、アルコールの拡散速度が水の拡散速度より小さくなるように制御される。
たとえば、アルコールは拡散制御層内の構成材料に吸着しやすく、逆に水はほとんど吸着しないようにすれば、アルコールと水を拡散制御層に拡散すると、アルコールは構成材料にくっ付き、水はくっ付かないので、アルコールの拡散速度が水の拡散速度より小さくなり、水の方が、アルコールよりも先に拡散制御層の外に流れ出ることになる。従って、その後、カーボンで構成されたアノード極を拡散する際に、アルコールの拡散速度が、水の拡散速度より速くなる分をキャンセルでき、アノード極の反応界面に水とアルコールを安定に供給できる。
固定層の材料としては、物質の吸着という観点から多孔質体が好ましい。多孔質体の平均孔径は1nm〜10μmの範囲、また体積を基準とした気孔率は50〜80%の範囲とすることが燃料供給速度の観点から望ましい。
多孔質体の材料の中では、水とアルコールを燃料として用いた時にアルコールの拡散速度を任意に設計可能な多孔質材料であるゼオライトが好ましい。
また、固定層の材料としては、軽量化と薄膜化という観点から有機高分子材料が好ましい。溶解度パラメーターSP値(以下、SP値と記す)が13以上の高分子材料は好ましく用いることができ、このような高分子材料では、クロマトグラフィーに用いられる材料を含まなくても単独で使用可能である。SP値が13以上の高分子材料として、無水マレイン酸、エチルホルムアミド、メタノール、エタノールエチレングリコール、グリセロール、ホルムアミド、水のいずれかの溶媒に膨潤もしくは溶解して分散するポリマーであれば何でも良く、例えばナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルフォン酸、ゼラチンなどがある。このようなSP値13以上の高分子材料は、多孔質体として用いることもできるが、非多孔質体として用いることも出来る。SP値は13以上20以下がさらに好ましい。
また固定相に使用される材料と高分子バインダーとともに混合したものを使用する場合の固定相に使用される材料と高分子バインダーとの混合比率であるが、これは特に制限を加えない。高分子バインダーについても特に制限を加えないが、SP値が13以上の高分子材料は好ましく用いることができる。SP値が13以上の高分子材料として、前述と同様に、無水マレイン酸、エチルホルムアミド、メタノール、エタノールエチレングリコール、グリセロール、ホルムアミド、水のいずれかの溶媒に膨潤もしくは溶解して分散するポリマーであれば何でも良く、例えばナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルフォン酸、ゼラチンなどがある。
また、この場合、混合する固定相としては、前述のゼオライトのような無機材料が、成分の吸着力の差を利用して燃料の拡散速度を効率よく制御できるので好ましい。
(電解質膜)
本発明においては、電解質膜1は、アノード極の触媒層で生じた水素イオンをカソード極側に拡散させる一方、電子を通しにくいという機能を有する膜である。
電解質膜1はプロトン伝導性固体高分子膜が好ましく、公知のプロトン伝導性ポリマーを用いることが出来る。プロトン伝導性ポリマーとしては、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂等が挙げられる。ナフィオン112(商品名、デュポン社製)、ナフィオン117(商品名、デュポン社製)やDOW膜(商品名、ダウ・ケミカル社製)等として入手出来る。
その他にスルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレン等のスルホアルキル化プラスチック系電解質等が有る。なお、これらの電解質材料のスルホン酸当量としては0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂程度、好ましくは0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂である。スルホン酸当量が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂より小さい場合はイオン伝導抵抗が大きくなり、2.0ミリ当量/g乾燥樹脂より大きい場合には水に溶解しやすくなる。
又、フッ素系電解質材料として、例えば、
一般式 CF2=CF−(OCF2CFX)m−Oq−(CF2)n−A
(式中、m=0〜3、n=0〜12、q=0又は1、X=F又はCF3、A=スルホン酸型官能基)で表されるフロロビニル化合物とテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン又はパーフロロアルキルビニルエーテルの如きパーフロロオレフィンとの共重合体が挙げられる。フロロビニル化合物の好ましい例としては、例えば、CF2=CFO(CF2)aSO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)aSO2F、CF2=CF(CF2)bSO2F、CF2=CF(OCF2CF(CF3))cO(CF22SO2F(ここに、a=1〜8、b=0〜8、c=1〜5の整数)を用いることも出来る。
(触媒層)
本発明に係るアノード極触媒層2、カソード極触媒層3について以下に説明する。触媒層は、電極反応の反応場となる層であり、主成分は、触媒金属あるいは触媒金属担持カーボンと高分子電解質である。また、拡散層がない場合は、外部回路へ電子を受け渡すまたは受け取る役割を果たす層である。
触媒金属としては、公知の触媒金属を用いることが出来る。例えば、貴金属触媒として、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、金、銀、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マガジン、バナジウム又はこれらの多元合金を用いることができ、白金及び白金合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらの貴金属触媒をカーボン粒子に担持させた貴金属触媒担持カーボン粒子を用いることが出来る。
カーボン粒子としては、活性炭、カーボンブラック、グラファイト及びそれらの混合物を好ましく採用することが出来る。例えばカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等が挙げられ、Denka BLACK(電気化学工業社製)、Valcan XC−72(キャボット社製)、Black Pearl 2000(同前)、Ketjen Black EC300J(ケェチェンブラック・インターナショナル社製)等市販のものを採用することが出来る。又、そのカーボン粒子に親水化処理をしても良い。特に、カルボキシル化合物で処理してカルボキシル化したもの、又はスルホン化合物で処理してスルホン化したものが好ましい。
貴金属触媒をカーボン粒子に担持させるには、例えばカーボンブラック分散液に白金やルテニウム等の貴金属触媒の塩を加え、ヒドラジン等を用いて還元し、濾過、乾燥することで得られる。又、更に熱処理を行っても良い。市販のValcan XC−72に白金或いは白金−ルテニウム触媒を担持させたもの(田中貴金属(株)製)等を用いることも出来る。
触媒層用の電解質材料としては、プロトン伝導性高分子電解質膜に用いられる様なイオン導電性を有する電解質であれば特に制限は無く、例えば、フッ素系電解質材料、部分フッ素系電解質材料、炭化水素系電解質材料等が挙げられる。この触媒層における貴金属触媒担持カーボンと高分子電解質の比率は、必要とされる電極特性に応じて適宜決められるべきもので、特に限定されるものではないが、貴金属触媒担持カーボン/高分子電解質の質量比率で5/95〜95/5が好ましく、40/60〜85/15がさらに好ましい。又、触媒層には、種々の添加物を加えることも出来る。例えば、電子伝導性向上のための炭素などの導電剤や、結着性向上のための高分子バインダー、撥水性向上のための撥水性付与剤等の添加物などがあるが、特に限定されることなく用いることが出来る。撥水性付与剤としては、テフロン(登録商標)の様なポリテトラフロロエチレン(PTFE)、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体等の含フッ素樹脂が挙げられる。
触媒層を形成するための触媒インクは、触媒金属又は触媒金属担持カーボン、プロトン伝導性高分子電解質等を含む溶液と、有機溶媒−水の混合溶媒を添加して、超音波分散機を用いて均一に分散させた分散液の形態で供給されることが好ましい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、芳香族系あるいはハロゲン系の種々の溶媒が挙げられ、単独あるいは混合物として用いることが出来る。
(拡散層)
拡散層4、5は、アノード極側触媒層2及びカソード極側触媒層3への燃料及び酸化剤などの反応物の供給、反応により生成する水及び二酸化炭素などの反応生成物の排出、ならびに発生した電子を外部回路へ受け渡すまたは受け取る機能を有する層である。
この拡散層は、必ずしも必要ではないが、あれば、触媒層を支持する機能を担保することができ、また、より効果的に反応物質の供給と電子の授受を行うことが出来る。
拡散層4、5は、多孔質かつ電子伝導性を有する材料が用いられる。
拡散層4、5の主成分としては、上記の触媒層に用いられるカーボン粒子、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材、ナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等の導電性物質と、上記の撥水性付与剤、バインダーとしても機能する上記のプロトン伝導性ポリマー等である。拡散層を形成するための拡散層用インクについても、上記と同様に、導電性物質とバインダーとしても機能するプロトン伝導性ポリマー及び必要に応じて撥水性付与剤等を含む溶液と、有機溶媒−水の混合溶媒を添加して、超音波分散機を用いて均一に分散させた分散液の形態で供給されることが好ましい。
拡散層に用いる基材としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば、特に限定されることなく用いることが可能である。拡散層に用いる基材としては、例えば、導電性無機物質を主とするものが挙げられ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材、前述のナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等が挙げられる。拡散層に用いる基材の導電性無機物質の形態は特に限定されず、例えば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた拡散層の基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。例えば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるもの等、特に限定されること無く用いられる。また編物であっても構わない。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法等による不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布等が好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布を用いるのが好ましい。拡散層用基材に炭素繊維からなる無機導電性繊維を用いた場合、炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示される。なかでも、PAN系炭素繊維が好ましい。さらに、拡散層に用いる基材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液等を用いて撥水化処理を行うことができる。
(セパレータ)
セパレータ6、7は、燃料と空気を供給するための流路を形成するとともに、複数の単電池を積層する場合の仕切り板としての役割もある。
従って、セパレータには、ガスの不透過性、流路形成のための成形性、耐腐食性、機械強度などが要求され、材料としては、セラミック、金属、樹脂、炭素材料を用いることができる。
樹脂の種類は特に問わないが、適当なガラス転移温度、強度、加工性を有するものが好ましい。汎用樹脂やエンジニアリングプラスチックなどを使い分けることができる。熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂のどちらを用いても良い。樹脂にカーボン類や、グラスファイバーなどのフィラーが混合されていても良い。
具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、エステル樹脂、液晶ポリマー、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテルなどを用いることができる。
金属としては、モリブデン、ステンレス、チタンなどが挙げられる。
セラミックとしては、金属の酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、ケイ化物、リン化物またはこれらの複合化合物が好ましく用いられる。
セラミックを構成する上記金属としては、希土類元素、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどが好ましく用いられる。希土類元素としては、イットリウム、ランタン、セリウム、サマリウムが好ましい。セラミックスとしては、具体的には、炭化チタン、ホウ化チタン、窒化チタン、ケイ化タングステンまたは窒化タンタルおよびこれらの複合化合物、酸化物セラミックとの複合化合物、リン酸クロムなどのリン酸塩およびこれらの複合化合物である。
(燃料浸透層)
燃料浸透層12の形態は、液体燃料を毛管力で浸透しうるものであれば特に限定されるものではなく、粒子やフィラーからなる多孔質体や、抄紙法等で製造した不織布、繊維を織った織布等を用いることができる。材質は、耐食性の観点からカーボンが好ましい。
以下に、燃料浸透層12として多孔質体を用いた場合について説明する。液体燃料を燃料浸透層12側に引き込むための毛管力としては、まず燃料浸透層12となる多孔質体自体の毛管力が挙げられる。このような毛管力を利用する場合、多孔質体である燃料浸透層12の孔を連結させた、いわゆる連続孔とし、その孔径を制御すると共に、燃料浸透層12の側面から少なくとも他の一面まで連続した連通孔とすることにより、液体燃料を横方向でも円滑に毛管力で供給することが可能となる。
燃料浸透層12となる多孔質体の平均孔径は、後述する液体燃料の導入管125内の液体燃料を引き込み得るものであればよく、特に限定されるものではないが、導入管125の毛管力を考慮した上で、0.01〜150μm程度とすることが好ましい。また、多孔質体における孔の連続性の指標となる、体積を基準とした気孔率は、20〜90%程度とすることが好ましい。孔径を0.01μmより小さくすると、燃料浸透層12の製造が困難となり、また150μmを超えると毛管力が低下してしまう。また、体積を基準とした気孔率が20%未満となると連続孔の量が減り、閉鎖された孔が増えるため、毛管力を十分に得ることができなくなる。逆に、孔の体積が90%を超えると、連続孔の量は増加するものの、強度的に弱くなると共に製造が困難となる。実用的には、平均孔径は0.5〜100μmの範囲、また体積を基準とした気孔率は30〜75%の範囲とすることが望ましい
(燃料気化層)
燃料電池セル内に導入された液体燃料は、燃料気化層11で気化されてアノード極4に到達する。このためには、その燃料供給方向上流側に隣接して位置する層(この実施形態では拡散制御層10)の毛管力より燃料気化層11の毛管力の方が小さくなるように設定することが重要である。
燃料気化層11に求められる条件は、拡散制御層10中の液体燃料が気化した気体が拡散する空間があればその形態は特に限定されない。例えば、粒子やフィラーからなる多孔質体や、抄紙法等で製造した不織布、繊維を織った織布等を用いることができる。材質は、耐食性の観点からカーボンが好ましい。
燃料気化層11を多孔質体で形成する場合、先にも述べたようにその平均孔径は、拡散制御層10中の液体燃料を引き込まず、気化した燃料が拡散し得るものであればよく、特に限定されるものではないが、拡散制御層10の毛管力を考慮した上で、5μm以上とすることが好ましい。また、多孔質体の体積を基準とした気孔率は20〜90%程度とすることが好ましい。
(各層の接合)
上記の各層を、塗布法やホットプレス法や圧着法により接合することにより、単セルI、IIを作製する。実施例で例を示す。
本実施形態では、特にアノード極では、アノード極とセパレーターの間に導電性の低い拡散制御層があるので、セパレーターではなく、拡散層あるいは触媒層から外部回路に電流を取り出している。
拡散制御層を導電性の部材で形成できる場合は、セパレータ、燃料浸透層、燃料拡散層を導電性の材料で形成してセパレータから外部回路に電流を取り出すようにしてもよい。また、カソード極側は、セパレータを導電性の材料で形成して、セパレータから外部回路に電流を取り出すようにしてもよい。
本発明の燃料電池に採用できる燃料としては、水とアルコールを含む液体であれば何でも良く、アルコールとしてはメタノール、エタノールが挙げられるが、特にメタノールが好ましい。メタノールを用いた場合、本発明の効果が顕著に発揮される。
以下、実施例により本発明の燃料電池について更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本実施例では、図2の燃料気化層を有する燃料電池の単セルIIを例に挙げて説明する。
(実施例1)
以下の方法により拡散制御層を作製し、それを拡散制御層10Aとする。拡散制御層10Aは以下の方法によって作製される。
100mlの水に30gのゼラチンを入れ一昼夜放置して、その後攪拌しながら温浴によって60℃まで暖める。均一に溶解したら、1%ホルマリン水溶液10mlを添加後、燃料浸透層12として用いるカーボン多孔質板(平均孔径5μm、体積を基準とした気孔率40%)の片面に塗布し、電熱式熱風乾燥機によって約100℃の熱風を5分間吹き付けて乾燥させる。塗布と乾燥を数回繰り返すことにより、ゼラチン層の厚みが約30μmになり本発明の拡散制御層10Aが形成される。
32mm×32mmのカーボンクロス上にPt−Ru触媒を担時したカーボンブラックの触媒層を塗布して、アノード極側拡散層4及びアノード極側触媒層2を形成する。同じく32mm×32mmカーボンクロス上にPt触媒を担時したカーボンブラックの触媒層を塗布してカソード極側拡散層5とカソード極側触媒層3が形成される。
このようにして作製したアノード極及びカソード極を、アノード極側触媒層2とカソード極側触媒層3がパーフルオロスルホン酸膜からなる電解質膜1と接するように挟持した。電解質膜1の形状は前記アノード極側触媒層2と同じで32mm×32mm、厚さは50μmである。これらを、120℃で5分間、10MPaの圧力でホットプレスして接合し、電解質膜ー電極接合体を作製した。
得られた電解質膜ー電極接合体と、燃料気化層11としてのカーボン多孔質板(平均孔径85μm、体積を基準とした気孔率73%)と、前述の拡散制御層10Aを設けた燃料浸透層12であるカーボン多孔質板と、カソード側に酸化剤ガスを供給する深さ2mm、幅1mmの溝を2mmで10本設けたカソード側セパレータ7を積層し、アノード側とカソード側の両側からアノード側ホルダー(不図示)とカソード側ホルダー(不図示)により挟み込んで各層を圧着させて、反応面積10cm2の図2に示す燃料気化層を有する燃料電池IIを作製した。
次に図3によって燃料電池の構成と運転について説明する。前述のような燃料電池の単セルは通常複数個積層して燃料電池スタックとして用いる。また燃料電池として運転するためには、このような燃料電池スタックに、燃料容器やその燃料を燃料電池スタックに導く導入管等からなる、燃料供給装置が必要である。
図3は前述の燃料電池スタックとそれを燃料電池システムとして運転するための構成を示したものである。
実施例1では、前述のように作製した燃料電池の単セルIIを10個積層して、これを燃料電池スタック110とした。この燃料電池スタック110を図3に示すように燃料電池システム120として構成した。
以下、本発明の燃料電池の単セルIIを用いた燃料電池システム120の構成と運転について説明する。負圧対策機構126を設けた燃料容器121には、燃料であるメタノール30%水溶液122が収容されている。この燃料容器121を燃料浸透材123を介して前述の燃料電池システム120の接続部124に接続した。燃料収容容器121内の燃料は、接続部124から導入管125を経て、燃料浸透層12から、毛管力により燃料電池の単セルII内部に供給される。これらの各構成要素は外囲器としてのレシーバ127内に収容されている。各燃料電池の単セル間を直列に接続すると共に両端の燃料電池ユニットから電流を外部に導くリード線部128が設けられている。こうした構造の燃料電池システム120に、酸化剤ガスとして大気圧の空気を100ml/minでカソード極側セパレータに流して、80℃で発電を行った。
(実施例2)
以下の方法により拡散制御層を作製し、それを拡散制御層10Bとする。拡散制御層10Bは以下の方法によって作製される。
粉砕した天然ゼオライト(平均粒径0.1μm)10gを水100mlに超音波発生装置を用いて分散する。テトラエチルシリケート20mlをゆっくり添加し1時間混合後、燃料浸透層として用いるカーボン多孔質板(平均孔径5μm、体積を基準とした気孔率40%)の片面にこの分散液を塗布し、電熱式熱風乾燥機によって約100℃の熱風を5分間吹き付けて乾燥させる。塗布と乾燥を数回繰り返すことにより、天然ゼオライト層の厚みが約50μmになり本発明の拡散制御層10Bが形成される。拡散制御層の平均孔経は0.1μm、体積を基準とした気孔率は、75%であった。
拡散制御層として上記の方法で作製した拡散制御層10Bを用いた以外は実施例1と同様に燃料電池の単セルIIを作製し、それを用いた燃料電池スタックから、燃料電池システムを構成して、実施例1と同様の条件で運転した。
(実施例3)
以下の方法により拡散制御層を作製し、それを拡散制御層10Cとする。
拡散制御層10Cの作製には、粉砕した天然ゼオライト(平均粒径0.1μm)10gを水100mlに超音波発生装置を用いて分散する。この分散液とポリビニルアルコール(ゴーセノールLW−300)15gを水50mlに溶解した溶液とを1時間、3本ロールで混合後、燃料浸透層11として用いるカーボン多孔質板(平均孔径5μm、体積を基準とした気孔率40%)の片面にこの分散液を塗布し、電熱式熱風乾燥機によって約100℃の熱風を5分間吹き付けて乾燥させる。塗布と乾燥を2回繰り返すことにより、天然ゼオライト層の厚みが約50μmになり本発明の拡散制御層10Cが形成される。拡散制御層の平均孔経は、0.08μm、体積を基準とした気孔率は、50%であった。
拡散制御層として上記の方法で作製した拡散制御層10Cを用いた以外は実施例1と同様に燃料電池の単セルIIを作製し、それを用いた燃料電池スタックから、燃料電池システムを構成して、実施例1と同様の条件で運転した。
(比較例)
燃料浸透層12として用いるカーボン多孔質板(平均孔径5μm、体積を基準とした気孔率40%)への拡散制御層10の塗布を行わず、即ち、拡散制御層10がない点以外は、実施例1と同様にして燃料電池システムを作成し、運転を行った。
実施例1から3までと比較例の運転の結果を表1に示す。
Figure 2006252908
実施例1から実施例3の場合、発電を10時間と1週間継続して行った際にも、出力は低下することはなく安定していた。信頼性の高い小型の燃料電池であることが確認された。しかし比較例では10時間後と1週間後に電圧、電流の低下が生じた。また、比較例では、長時間運転後わずかにメタノール臭を感じた。
以上説明したように、本発明による拡散制御層をアノード極の燃料供給方向上流側に設けることによって、アノード極の反応界面に水とアルコールを安定に供給できるので、未反応のメタノールや不完全な分解物が触媒層を通過して、電解質膜へ移動し、電解質膜の劣化を引き起こすことを防止し、酸化反応を効率よく進行させて、経時安定性が向上していることが判る。
本発明に係る燃料電池の単セルIの基本構成を示す概略図である。 本発明に係る燃料気化層を有する燃料電池の単セルIIの基本構成を示す概略図である。 本発明に係る気化層を有する燃料電池の単セルIIを積層して燃料電池スタックとし、それに燃料供給装置等、発電に必要な構成要素を設けて燃料電池システムとして用いる様子を示す図である。
符号の説明
I 燃料電池の単セル
II 燃料気化層を有する燃料電池の単セル
1 電解質膜
2 アノード極側触媒層
3 カソード極側触媒層
4 アノード極側拡散層
5 カソード極側拡散層
6 アノード極側セパレータ
7 カソード極側セパレータ
8 燃料流路
9 酸化剤流路
10 拡散制御層
11 燃料気化層
12 燃料浸透層
110 燃料気化層を有する燃料電池スタック
120 燃料気化層を有する燃料電池システム

Claims (8)

  1. 水とアルコールを含む液体を燃料として用い、アノード極とカソード極とで電解質膜を挟んで構成される燃料電池であって、前記アノード極の燃料供給方向上流側に、アルコールの拡散速度が水の拡散速度よりも遅い拡散制御層を設けたことを特徴とする燃料電池。
  2. 前記拡散制御層が前記アノード極と接触していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記アノード極と前記拡散制御層の間に燃料気化層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
  4. 前記拡散制御層は多孔質体を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  5. 前記拡散制御層は有機高分子材料を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  6. 前記拡散制御層は無機材料の多孔質体と有機高分子材料を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  7. 前記有機高分子材料は、溶解度パラメーターSP値が13以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の燃料電池。
  8. 前記アルコールは、メタノールであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料電池。
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