JP6715633B2 - パイル布帛およびその製造方法および繊維製品 - Google Patents

パイル布帛およびその製造方法および繊維製品 Download PDF

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Description

本発明は、吸水拡散性に優れたパイル布帛およびその製造方法および繊維製品に関する。
従来、パイル布帛はソフトな風合いや優れた外観品位を有するため種々のものが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかしながら、吸水拡散性に優れたパイル布帛はこれまであまり提案されていない。
特開平2−200850号公報 特開平11−269740号公報 特開平3−27149号公報 特開平4−2838号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、吸水拡散性に優れたパイル布帛およびその製造方法および繊維製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、パイル布帛においてループパイル糸を捲縮繊維で構成しかつねじれを付与することにより、吸水拡散性に優れたパイル布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「地組織部と、該地組織部の少なくとも一方の面から伸び出たループパイル糸を有するパイル布帛であって、前記ループパイル糸が捲縮繊維からなり、かつねじれを有し、親水化剤を付与してなることを特徴とするパイル布帛。」が提供される。
その際、前記ループパイル糸において、ねじれが1回以上であることが好ましい。また、前記ループパイル糸のパイル長が2mm以上であることが好ましい。また、前記ループパイル糸が、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびポリ塩化ビニル繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、前記ループパイル糸が異型断面糸であることが好ましい。また、前記ループパイル糸が、単糸数12本以上のマルチフィラメントからなることが好ましい。また、前記地組織部に、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維が含まれることが好ましい。また、パイル布帛が経編物であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記のパイル布帛を用いてなる、下着、スポーツウエア、アウトドアウエア、裏地、紳士衣服、婦人衣服の群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。
また、本発明によれば、ループパイル糸用糸条として、捲縮率が10%以下かつ30T/m以上のトルクを有する仮撚捲縮加工糸を用いて、地組織部と、該地組織部の少なくとも一方の面から伸び出たループパイル糸とを有するパイル布帛であって、前記ループパイル糸が捲縮繊維からなり、かつねじれを有するパイル布帛を製造した後、親水化剤を付与することを特徴とするパイル布帛の製造方法が提供される。
本発明によれば、吸水拡散性に優れたパイル布帛およびその製造方法および繊維製品が得られる。
本発明のパイル布帛の一例を模式的に示す図である。 比較例1で得られたパイル布帛を模式的に示す図である。 比較例2で得られたパイル布帛を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明の布帛は、図1に模式的に示すように、地組織部と、該地組織部の少なくとも一方の面から伸び出たループパイル糸とを有しており、かつ前記ループパイル糸がねじれを有している。前記ループパイル糸がねじれを有していない場合は、優れた吸水拡散性が得られないおそれがあり好ましくない。
ここで、前記ループパイル糸は、図1に模式的に示すように、地組織部の面と直交する方向に対して傾斜を有して伸び出ていることが優れた吸水拡散性を得る上で好ましい。前記ループパイル地組織部の面に対して垂直に伸び出ていると吸水拡散性が低下するおそれがある。
また、ねじれの回数としては1回以上(より好ましくは2〜10回)であることが好ましい。ねじれの回数は端部(根元)から端部(先端)までをn数5で測定しその平均を求めるものとする。なお、図1ではねじれ回数が3回のものを図示しているがこれに限定されるものではない。
前記ループパイル糸において、パイル長としては優れた吸水拡散性を得る上で2mm以上(より好ましくは2〜10mm)であることが好ましい。なお、かかるパイル長の測定は、張力をかけずにループパイル糸を直線状にした後、端部(根元)から端部(先端)までの距離を測定するものとする。
また、前記ループパイル糸が捲縮繊維からなることが、優れた吸水拡散性を得る上で肝要である。前記ループパイル糸が非捲縮繊維からなる場合は、優れた吸水拡散性が得られないおそれがあり好ましくない。
前記ループパイル糸を構成する繊維は特に限定されないが、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびポリ塩化ビニル繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでもポリエステル繊維が好ましい。
かかるポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどからなるポリエステル繊維が好ましい。なお、かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。
ループパイル糸を構成する繊維ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、艶消し剤、抗菌剤、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。例えば、ポリマー中に含まれるポリマー中に艶消し剤を含ませ、セミダルポリエステルまたはフルダルポリエステルとすると、布帛に防透性や赤外線・紫外線遮蔽性を付加することができ好ましい。また、抗菌剤としては、天然系抗菌剤や無機系抗菌剤だけでなく、国際公開第2011/048888号パンフレットに記載されたような、エステル形成性スルホン酸金属塩化合物またはエステル形成性スルホン酸ホスホニウム塩化合物を共重合させたポリエステルに酸性処理を施したものでもよい。
前記ループパイル糸を構成する繊維の形態としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、優れた吸水性を得る上で長繊維(マルチフィラメント)が好ましい。特に、前記繊維が、単繊維繊度が3.0dtex以下(より好ましくは0.0001〜2.6dtex)であると、優れた吸水性が得られ好ましい。特に、フィラメント数が30本以上(より好ましくは30〜200本)のマルチフィラメントであると、さらに優れた吸水性が得られ好ましい。その際、マルチフィラメントの総繊度としては20〜200dtex(より好ましくは20〜150dtex)の範囲内であることが好ましい。国際公開第2005/095686号パンフレットに記載されたような、ナノファイバーと称される単糸繊維径1μm以下の超極細繊維であってもよい。
前記ループパイル糸を構成する繊維としては、吸水性を向上させる上で、マルチフィラメントに仮撚捲縮加工が施された仮撚捲縮加工糸、空気加工糸、2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸、サイドバイサイド型潜在捲縮繊維などであってもよい。なかでも仮撚捲縮加工糸が好ましい。
前記ループパイル糸を構成する繊維の単繊維横断面形状は特に限定されず、丸だけでなく、三角、扁平、国際公開第2008/001920号パンフレットに記載されたようなくびれ付き扁平、中空、特開2010−065324号公報に記載されたようなフィン(好ましくは8〜12フィン)付中空などの異型断面形状でもよい。
前記ループパイル糸が、撥水糸または撥水加工が施された糸など撥水性のある繊維でもよい。ここで、「撥水性のある繊維」とは接触角が120度以上の繊維である。なお、接触角は、蒸留水を使用して繊維の単糸表面上に500plの蒸留水を滴下したときの繊維と水滴との接触角をθ/2法にて測定するものとする。
かかる撥水性のある繊維として、撥水性ポリエステル繊維としては、シリコーン系化合物もしくはフッ素系化合物、炭化水素系化合物を共重合もしくはブレンドしてなるポリエステル繊維、シリコーン系、炭化水素系、フッ素系いずれかの撥水剤を用いて撥水加工が施されたポリエステル繊維であることが好ましい。その際、共重合もしくはブレンド量としてはポリエステル重量対比5〜25wt%であることが好ましい。また、撥水加工が施されたポリエステル繊維において、撥水剤の含有量としては、加工前のポリエステル繊維重量対比0.4重量%以上(より好ましくは0.4〜10重量%)であることが好ましい。
その際、前記のフッ素系撥水剤は、パーフルオロオクタン酸およびパーフルオロオクタンスルホン酸の濃度が0〜5ng/gのフッ素系撥水剤であることが好ましい。かかるフッ素系撥水剤としては、N−メチロール基を含有しないモノマーのみから構成されたパーフルオロアルキルアクリレート共重合体や市販されているものなどが例示される。市販されているものでは、旭硝子(株)製のフッ素系撥水撥油剤であるアサヒガードEシリーズAG−E061、住友スリーエム(株)製のスコッチガードPM3622、PM490、PM930などが好ましく例示される。
なお、撥水性ポリエステル繊維を製造する方法としては特に限定されず公知の方法でよい。シリコーン系化合物もしくはフッ素系化合物を共重合もしくはブレンドしてなるポリエステル繊維の製造方法としては、例えば、特開2010−138507号公報に記載された方法などが例示される。一方、撥水加工の方法としては、例えば、フッ素系撥水剤に必要に応じて制電剤、メラミン樹脂、触媒などを混合して得られた加工剤を、パッド法やスプレー法などによりポリエステル繊維に付与する方法が例示される。
本発明のパイル布帛において、地組織部を構成する繊維は特に限定されないが、優れた吸水拡散性を得る上で、前記のようなポリエステル繊維からなり、フィラメント数が30本以上(より好ましくは70〜200本)、単繊維繊度が3.0dtex以下(より好ましくは0.0001〜1.6dtex)のマルチフィラメントに仮撚捲縮加工などの捲縮を付与したものが好ましい。特に、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維が地組織部に含まれることが好ましい。
ここで、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維が、製造条件または繊度において互いに異なる2種以上の仮撚捲縮加工糸を含む複合糸であることが好ましい。
仮撚捲縮加工糸には第1ヒーター域で仮撚をセットした、いわゆるone heater仮撚捲縮加工糸と、該糸をさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することによりトルクを減らした、いわゆるsecon heater仮撚捲縮加工糸とがある。また、施撚の方向により、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とがある。本発明においてこれらの仮撚捲縮加工糸を用いることができる。特に、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを用いて複合糸を構成すると、低トルクの複合糸が得られ好ましい。
かかる複合糸は例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、糸条を第1ローラ、セット温度が90〜220℃(より好ましくは100〜190℃)の熱処理ヒーターを経由して撚り掛け装置によって施撚することによりone heater仮撚捲縮加工糸を得てもよいし、必要に応じてさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することによりsecond heater仮撚捲縮加工糸を得てもよい。仮撚加工時の延伸倍率は、0.8〜1.5の範囲が好ましく、仮撚数は、仮撚数(T/m)=(32500/(Dtex)1/2)×αの式においてα=0.5〜1.5が好ましく、通常は0.8〜1.2位とするのがよい。ただし、Dtexとは糸条の総繊度である。用いる撚り掛け装置としては、デイスク式あるいはベルト式の摩擦式撚り掛け装置が糸掛けしやすく、糸切れも少なくて適当であるが、ピン方式の撚り掛け装置であってもよい。また、施撚の方向により、仮撚捲縮加工糸が有するトルクをS方向かZ方向か選択することができる。次いで、2種以上の仮撚捲縮加工糸を合糸することにより前記複合糸が得られる。
かかる複合糸には、インターレース加工により交絡が付与されていることが好ましい。交絡(インターレース)の個数は、ソフトな風合いやストレッチ性を損なわないために30〜90個/mの範囲内であることが好ましい。該個数が90個/mよりも大きいとソフトな風合いやストレッチ性が損なわれるおそれがある。逆に、該個数が30個/mよりも小さいと複合糸の集束性が不十分となり、製編織性が損なわれるおそれがある。なお、交絡処理(インターレース加工)は通常のインターレースノズルを用いて処理したものでよい。
かくして得られた複合糸のトルクとしては、30T/m以下(好ましくは18T/m以下、より好ましくは10T/m以下、特に好ましくはノントルク(0T/m))であることが肝要である。トルクは小さいほど好ましくノントルク(0T/m)が最も好ましい。このようにノントルクとするには、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向の仮撚捲縮加工糸とを合糸する際、トルクの方向が異なること以外は同じトルクを有する2種の仮撚捲縮加工糸を使用するとよい。
本発明のパイル布帛において、布帛組織としては特に限定されず、織物、編物いずれでもよいが、経編物が好ましい。
前記のようなパイル布帛は、例えば、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、ループパイル糸用糸条として低捲縮かつ高トルクの仮撚捲縮加工糸を用いて常法により、地組織部と、該地組織部の少なくとも一方の面から伸び出たループパイル糸とを有するパイル布帛を製編織する方法が好ましい。その際、低捲縮かつ高トルクの仮撚捲縮加工糸として、捲縮率が10%以下(より好ましくは0.1〜4.0%)かつ30T/m以上(より好ましくは30〜90T/m)のトルクを有する仮撚捲縮加工糸を用いることが特に好ましい。
ここで、低捲縮かつ高トルクの仮撚捲縮加工糸は以下の製造方法で製造することができる。すなわち、例えば、半(部分)延伸されたポリエステル糸条を第1ローラ、セット温度が90〜220℃(より好ましくは100〜190℃)の熱処理ヒータを経由して撚り掛け装置によって施撚することにより1ヒーター仮撚捲縮加工方式の仮撚捲縮加工糸を得てもよいし、必要に応じてさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することにより2ヒーター仮撚捲縮加工方式の仮撚捲縮加工糸を得てもよい。仮撚加工時の延伸倍率は、0.8〜1.5の範囲が好ましく、仮撚数は、仮撚数(T/m)=(32500/(Dtex)1/2)×αの式においてα=0.5〜1.5が好ましく、通常は0.8〜1.2位とするのがよい。ただし、Dtexとは糸条の総繊度である。用いる撚り掛け装置としては、デイスク式あるいはベルト式の摩擦式撚り掛け装置が糸掛けしやすく、糸切れも少なくて適当であるが、ピン方式の撚り掛け装置であってもよい。その際、2ヒーター仮撚捲縮加工方式の第1ヒーター温度150〜170℃、第2ヒーター温度160℃〜180℃、仮撚り数2500〜3000T/mとすることが好ましい。
本発明のパイル布帛には、通常の染色加工、減量加工、起毛加工、カレンダー加工、エンボス加工、蓄熱加工、吸水加工、抗菌加工などの後加工を適宜施してもよい。なかでも、優れた吸水性を得る上で吸水加工を施すことが好ましい。かかる吸水加工を施す方法としては、布帛にPEGジアクリレートおよびその誘導体やポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体などの親水化剤を染色時に同浴加工することが好適に例示される。
本発明のパイル布帛は、ループパイル糸が捲縮繊維からなり、かつねじれを有するので吸水拡散性に優れ、下着、スポーツウエア、アウトドアウエア、裏地、紳士衣服、婦人衣服などの繊維製品に好適に用いられる。
その際、前記ループパイル糸が肌側に位置するように用いることが好ましいが、表面に使用してもよい。
本発明の実施例および比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)捲縮率
糸サンプルに0.044cN/dtexの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3300dtexのカセを作成した。該カセの一端に0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの2個の荷重を負荷し、1分間経過後の長さS0(cm)を測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去した状態で100℃の沸水中にて20分間処理した。沸水処理後0.0177cN/dtexの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥し、再び0.0177cN/dtexおよび0.177cN/dtexの荷重を負荷し、1分間経過後の長さをS1(cm)測定した。次いで、0.177cN/dtexの荷重を除去し、1分間経過後の長さを測定してS2(cm)を求めし、次の数式で捲縮率を算出した。なお、本実施例および比較例では10回の測定値の平均値で表した。
捲縮率(%)=((S1−S2)/S0)×100
(2)トルク
試料(捲縮糸)約70cmを横に張り、中央部に0.18mN×表示テックス(2mg/de)の初荷重を吊るした後、両端を引揃える。
糸は残留トルクにより回転しはじめるが初荷重が静止するまでそのままの状態で持ち、撚糸を得る。こうして得た撚糸を17.64mN×表示テックス(0.2g/de)の荷重下で25cm長の撚数を検撚器で測定する。得られた撚数(T/25cm)を4倍にトルク(T/m)を算出する。
(3)吸水速度(滴下法)
JIS L1096 6.26吸水速度A法(滴下法)により測定した。
(4)吸水拡散径
JIS L1096 6.26により、パイル面から滴下し、表裏の拡散径を測定した。
(5)ねじれの回数
端部(根元)から端部(先端)までのねじれの回数をn数5で測定しその平均を求めた。
[実施例1]
地組織部用として、セミダルポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸110dtex/72filからなる糸種1、セミダルポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸110dtex/72filからなる糸種2を用意した。
一方、セミダルポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(単糸繊維の断面形状:偏平断面)を得た。次いで、該ポリエステル糸条を用いて、仮撚数2633T/m、ヒーター温度(第1ヒーター160℃、第2ヒーター170℃)、糸速140m/分の条件で2ヒーター仮撚捲縮加工方式の同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度84dtex/36filの仮撚捲縮加工糸(捲縮率2.5%、トルク53.6T/m)を得てループパイル糸用糸種3とした。
次いで、22G経編トリコット機を使用して、糸種1、糸種2、糸種3を用いて表1に示す編組織の編地(パイル長5mmのパイル布帛)を得た。
次いで、該編地を染色工程で親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)と同浴処理を行うことにより、該編地に吸水性を付与した。
得られた編地は、パイル糸が地組織部の面と直交する方向に対して傾斜を有して伸び出ており、かつ捩れを有しており、鎖状の外観を呈していた。また、吸水拡散径はパイル面を裏面とした場合、表面の吸水拡散径が2倍以上であり、パイル面にほとんど水分が残らなかった。
次いで、該編地(パイル布帛)を、ループパイル糸が肌側に位置するようにTシャツ(スポーツウエア―)を得て着用したところ、汗冷えを防ぐことができた。
[比較例1]
地組織部用として、セミダルポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸110dtex/72filからなる糸種1、セミダルポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸110dtex/72filからなる糸種2を用意した。
一方、セミダルポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条145dtex/36fil(単糸繊維の断面形状:丸断面)を得た。次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数3568T/m、ヒーター温度(第1ヒーター200℃、第2ヒーター200℃)、糸速140m/分の条件で2ヒーター仮撚捲縮加工方式の同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度84dtex/36filの仮撚捲縮加工糸(捲縮率22.0%、トルク5.0T/m)を得てループパイル糸用糸種3とした。
次いで、22G経編トリコット機を使用して、糸種1、糸種2、糸種3を用いて表1に示す編組織の編地(パイル長5mm)を得た。
次いで、該編地を染色工程で親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)と同浴処理を行うことにより、該編地に吸水性を付与した。
得られた編地は、パイル糸が捲縮を有するものの、図2に模式的に示すように塊状になっており、地組織部の面に対して伸び出ているものではなかった。また、パイル面を裏面とした場合、裏面に水を滴下したところ、裏面に水が残った。
次いで、該編地(パイル布帛)を、ループパイル糸が肌側に位置するようにTシャツ(スポーツウエア―)を得て着用したところ、汗が残り不快であった。
[比較例2]
地組織部用として、セミダルポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸110dtex/72filからなる糸種1、セミダルポリエチレンテレフタレート仮撚捲縮加工糸110dtex/72filからなる糸種2を用意した。
一方、セミダルポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条145dtex/36fil(単糸繊維の断面形状:丸断面)を得た。次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数3148T/m、ヒーター温度(第1ヒーター130℃、第ヒーター170℃)、糸速140m/分の条件の条件で2ヒーター仮撚捲縮加工方式の同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度84dtex/36filの仮撚捲縮加工糸(捲縮率3.2%、トルク5.0T/m)を得てループパイル糸用糸種3とした。
次いで、22G経編トリコット機を使用して、糸種1、糸種2、糸種3を用いて表1に示す編組織の編地(パイル長5mm)を得た。
次いで、該編地を染色工程で親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)と同浴処理を行うことにより、該編地に吸水性を付与した。
得られた編地は、パイル糸が図3のようにねじれたパイルを有するものではなかった。また、パイル面を裏面とした場合、裏面に水を滴下したところ、裏面に水が残った。
次いで、該編地(パイル布帛)を、ループパイル糸が肌側に位置するようにTシャツ(スポーツウエア―)を得て着用したところ、汗が残り不快であり、ループがひっかかりやすく、物性面でも十分なものが得られなかった。
[実施例2]
地組織部用として、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸との複合糸に交絡が交絡の個数50個/mの範囲内で付与され、かつ30T/m以下のトルクを有する複合仮撚捲縮加工糸66dtex/72filからなる糸種1、および糸種1と同じ糸種2を用意した。
一方、セミダルポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(単糸繊維の断面形状:偏平断面)を得た。次いで、該ポリエステル糸条を用いて、仮撚数2633T/m、ヒーター温度(第1ヒーター160℃、第2ヒーター170℃)、糸速140m/分の条件で2ヒーター仮撚捲縮加工方式の同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度84dtex/36filの仮撚捲縮加工糸(捲縮率2.5%、トルク53.6T/m)を得てループパイル糸用糸種3とした。
次いで、28G経編トリコット機を使用して、糸種1、糸種2、糸種3を用いて表1に示す編組織の編地(パイル長5mmのパイル布帛)を得た。
次いで、該編地を染色工程で親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)と同浴処理を行うことにより、該編地に吸水性を付与した。
得られた編地は、パイル糸が地組織部の面と直交する方向に対して傾斜を有して伸び出ており、かつ捩れを有しており、鎖状の外観を呈していた。また、吸水拡散径はパイル面を裏面とした場合、表面の吸水拡散径が2倍以上であり、パイル面にほとんど水分が残らなかった。
次いで、該編地(パイル布帛)を、ループパイル糸が肌側に位置するようにTシャツ(スポーツウエア―)を得て着用したところ、汗冷えを防ぐことができた。
Figure 0006715633
本発明によれば、吸水拡散性に優れたパイル布帛およびその製造方法および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
1:地組織部
2:ループパイル糸
3:地組織部
4:ループパイル糸
5:地組織部
6:ループパイル糸

Claims (10)

  1. 地組織部と、該地組織部の少なくとも一方の面から伸び出たループパイル糸を有するパイル布帛であって、前記ループパイル糸が捲縮繊維からなり、かつねじれを有し、親水化剤を付与してなることを特徴とするパイル布帛。
  2. 前記ループパイル糸において、ねじれが1回以上である、請求項1に記載のパイル布帛。
  3. 前記ループパイル糸のパイル長が2mm以上である、請求項1または請求項2に記載のパイル布帛。
  4. 前記ループパイル糸が、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびポリ塩化ビニル繊維からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載のパイル布帛。
  5. 前記ループパイル糸が異型断面糸である、請求項1〜4のいずれかに記載のパイル布帛。
  6. 前記ループパイル糸が、単糸数12本以上のマルチフィラメントからなる、請求項1〜5のいずれかに記載のパイル布帛。
  7. 前記地組織部に、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維が含まれる、請求項1〜6のいずれかに記載のパイル布帛。
  8. パイル布帛が経編物である、請求項1〜7のいずれかに記載のパイル布帛。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のパイル布帛を用いてなる、下着、スポーツウエア、アウトドアウエア、裏地、紳士衣服、婦人衣服の群より選ばれるいずれかの繊維製品。
  10. ループパイル糸用糸条として、捲縮率が10%以下かつ30T/m以上のトルクを有する仮撚捲縮加工糸を用いて、
    地組織部と、該地組織部の少なくとも一方の面から伸び出たループパイル糸とを有するパイル布帛であって、前記ループパイル糸が捲縮繊維からなり、かつねじれを有するパイル布帛を製造した後、親水化剤を付与することを特徴とするパイル布帛の製造方法。
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