JP2006225468A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量性と剛性のバランスに優れ、更に、寸法安定性や流動性、及び熱源リサイクル性にも優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体の提供。
【解決手段】(A)(A−1)ダイスウェル比が1.5〜2.5、Mw/Mnが7〜13、アイソタクチックペンタッド分率が96%以上、MFRが20〜100g/10分であるプロピレン単独重合体(a)又は該プロピレン単独重合体(a)を含むプロピレンブロック共重合体(b)と(A−2)ダイスウェル比が1.0〜1.5であるプロピレン樹脂からなるポリプロピレン樹脂100重量部に対して、(B)繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、繊維長が1〜20mmの炭素繊維0.5〜100重量部、及び(C)芳香族カルボン酸金属塩等からなる群より選ばれた造核剤0.01〜5重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)(A−1)ダイスウェル比が1.5〜2.5、Mw/Mnが7〜13、アイソタクチックペンタッド分率が96%以上、MFRが20〜100g/10分であるプロピレン単独重合体(a)又は該プロピレン単独重合体(a)を含むプロピレンブロック共重合体(b)と(A−2)ダイスウェル比が1.0〜1.5であるプロピレン樹脂からなるポリプロピレン樹脂100重量部に対して、(B)繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、繊維長が1〜20mmの炭素繊維0.5〜100重量部、及び(C)芳香族カルボン酸金属塩等からなる群より選ばれた造核剤0.01〜5重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、機械的強度と軽量性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体に関する。更に詳しくは、機械的強度、寸法安定性、流動性と軽量性のバランス、及び熱源リサイクル性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体に関する。
ポリプロピレンは、成形加工がしやすく、また、軽量性と機械物性のバランスにも優れているため、生活資材、自動車内外装部品等の各種工業部品等に幅広く使用されている。特に、バンパー、インストルメントパネル、ドアトリム、ピラー等の自動車内外装部品として、近年は、着実にその使用範囲を拡大してきている。
工業部品用ポリプロピレンは、剛性や耐熱性といった機械的強度を向上させるために、タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機フィラーを配合する工夫がなされており、タルクが最も代表的な無機フィラーとして幅広く使用されている。しかし、タルクのアスペクト比は、最大でも100未満であるため、要求される機械的強度を発現させるためには多量の配合が必要であり、タルクを配合したポリプロピレン組成物は、比重が大きくなってしまうため、その補強効率は十分とはいえない。
工業部品用ポリプロピレンは、剛性や耐熱性といった機械的強度を向上させるために、タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機フィラーを配合する工夫がなされており、タルクが最も代表的な無機フィラーとして幅広く使用されている。しかし、タルクのアスペクト比は、最大でも100未満であるため、要求される機械的強度を発現させるためには多量の配合が必要であり、タルクを配合したポリプロピレン組成物は、比重が大きくなってしまうため、その補強効率は十分とはいえない。
このため、より高い剛性が要求される用途では、アスペクト比の高い、ガラス繊維やウイスカー、炭素繊維、といった繊維状フィラーを配合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このうち、炭素繊維は、ガラス繊維やウイスカーに比べて、より高度な補強効率(即ち、剛性と軽量性のバランス)が得られるだけでなく、有機物であるために、熱源リサイクルを目的とした焼却処理の際に、焼却残渣としての燃え残りが発生せず、熱源リサイクル性にも優れた補強材である。
本発明者らは、この様な観点で、結晶性と衝撃性に優れた、特定の構造を有するポリプロピレンと、特定の構造を有する炭素繊維を複合化したポリプロピレン系樹脂組成物を提案した(例えば、特許文献2参照。)が、その後の検討で、その剛性と軽量性のバランスと寸法安定性の両立は必ずしも十分ではないことがわかっている。
また、本発明者らは、特定の構造を有するポリプロピレン、炭素繊維、無機フィラーからなる、剛性と寸法安定性に極めて優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提案している(例えば、特許文献3参照。)が、極めて高い剛性と良好な寸法安定性を実現する反面、無機フィラー配合による比重の増加や焼却残渣の発生、及び寸法変化の異方性を伴うため、軽量性や寸法精度、熱源リサイクル性の観点で、もう一段の改良をする必要があった。
特開2001−81246号公報
特願2003−436850号
特願2004−046554号
本発明者らは、この様な観点で、結晶性と衝撃性に優れた、特定の構造を有するポリプロピレンと、特定の構造を有する炭素繊維を複合化したポリプロピレン系樹脂組成物を提案した(例えば、特許文献2参照。)が、その後の検討で、その剛性と軽量性のバランスと寸法安定性の両立は必ずしも十分ではないことがわかっている。
また、本発明者らは、特定の構造を有するポリプロピレン、炭素繊維、無機フィラーからなる、剛性と寸法安定性に極めて優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提案している(例えば、特許文献3参照。)が、極めて高い剛性と良好な寸法安定性を実現する反面、無機フィラー配合による比重の増加や焼却残渣の発生、及び寸法変化の異方性を伴うため、軽量性や寸法精度、熱源リサイクル性の観点で、もう一段の改良をする必要があった。
本発明は、この様な従来技術の欠点を解消し、軽量性と剛性のバランスに優れ、更に、寸法安定性や流動性、及び熱源リサイクル性にも優れたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、軽量性と剛性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関して鋭意検討した結果、分子構造及び結晶構造を制御した複数のポリプロピレンと特定の構造を有する炭素繊維及び造核剤とを複合化することにより、軽量性と剛性のバランス、及び寸法安定性、外観に優れたポリプロピレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、 下記(A)ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、(B)炭素繊維0.5〜100重量部、及び(C)造核剤0.01〜5重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)ポリプロピレン樹脂:下記(A−1)成分5〜95重量%と(A−2)成分5〜95重量%を含有するポリプロピレン樹脂
(A−1)ダイスウェル比が1.5〜2.5、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が7〜13、アイソタクチックペンタッド分率が96%以上、メルトフローレート(JIS K7210に準拠し230℃で測定、以下MFRと記す)が20〜100g/10分であるプロピレン単独重合体(a)、又は、該プロピレン単独重合体(a)40〜99重量%とプロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなる、プロピレン含量が20〜80重量%、MFRが0.001〜6g/10分のプロピレン共重合体1〜60重量%とを含むプロピレンブロック共重合体であって、MFRが5〜80g/10分であるプロピレンブロック共重合体(b)
(A−2)ダイスウェル比が1.0〜1.5、MFRが10〜100g/10分であるプロピレン樹脂
(B)炭素繊維:繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、繊維長が1〜20mmの炭素繊維
(C)造核剤:芳香族カルボン酸金属塩、有機リン酸エステル金属塩、及びロジン酸金属塩からなる群より選ばれた造核剤
(A)ポリプロピレン樹脂:下記(A−1)成分5〜95重量%と(A−2)成分5〜95重量%を含有するポリプロピレン樹脂
(A−1)ダイスウェル比が1.5〜2.5、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が7〜13、アイソタクチックペンタッド分率が96%以上、メルトフローレート(JIS K7210に準拠し230℃で測定、以下MFRと記す)が20〜100g/10分であるプロピレン単独重合体(a)、又は、該プロピレン単独重合体(a)40〜99重量%とプロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなる、プロピレン含量が20〜80重量%、MFRが0.001〜6g/10分のプロピレン共重合体1〜60重量%とを含むプロピレンブロック共重合体であって、MFRが5〜80g/10分であるプロピレンブロック共重合体(b)
(A−2)ダイスウェル比が1.0〜1.5、MFRが10〜100g/10分であるプロピレン樹脂
(B)炭素繊維:繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、繊維長が1〜20mmの炭素繊維
(C)造核剤:芳香族カルボン酸金属塩、有機リン酸エステル金属塩、及びロジン酸金属塩からなる群より選ばれた造核剤
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン単独重合体(a)が、多段重合によって製造されたポリプロピレン単独重合体であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、プロピレン単独重合体(a)が、MFRが200〜1000g/10分のプロピレン重合体を50〜95重量%含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、造核剤としての金属塩が、アルミニウム、又はナトリウムのいずれかの金属塩であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、(A)ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、MFRが0.1〜15g/10分、密度が0.850〜0.910g/cm3のエチレン系エラストマー、又はスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種の熱可塑性エラストマー(D)を1〜50重量部含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、密度と曲げ弾性率の関係が、下記関係式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形、圧縮成形、押出成形、及び射出圧縮成形からなる群より選ばれる成形加工方法により成形されてなる成形体が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、密度と曲げ弾性率の関係が、下記関係式(1)を満足することを特徴とする成形体が提供される。
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
また、本発明の第9の発明によれば、第7又は8の成形体からなる車両用部品、住設部品、又は家電部品が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、軽量性と剛性のバランスに優れ、更に、寸法安定性や流動性、及び熱源リサイクル性にも優れたポリプロピレン系樹脂組成物であり、各種工業部品分野等の用途において、有用な材料となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物
(1)構成成分
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)炭素繊維、(C)造核剤、必要に応じて、(D)熱可塑性エラストマーの成分を含有する。以下に、各成分について詳細に説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物
(1)構成成分
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)炭素繊維、(C)造核剤、必要に応じて、(D)熱可塑性エラストマーの成分を含有する。以下に、各成分について詳細に説明する。
(A)ポリプロピレン系樹脂
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で用いる(A)ポリプロピレン樹脂は、(A−1)ポリプロピレン単独重合体(a)、又は、該(a)とプロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなるプロピレン共重合体とを含むプロピレンブロック共重合体(b)のいずれかの樹脂と、(A−2)プロピレン樹脂との樹脂組成物である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で用いる(A)ポリプロピレン樹脂は、(A−1)ポリプロピレン単独重合体(a)、又は、該(a)とプロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなるプロピレン共重合体とを含むプロピレンブロック共重合体(b)のいずれかの樹脂と、(A−2)プロピレン樹脂との樹脂組成物である。
(a)プロピレン単独重合体
本発明で用いるプロピレン単独重合体(a)は、ダイスウェル比が1.5〜2.5、好ましくは1.5〜2.4、より好ましくは1.55〜2.35である。ダイスウェル比が上記範囲を逸脱した場合、フローマークなどの射出成形時の外観が悪化するばかりでなく、成形収縮率、線膨張係数といった寸法変化の異方性が増大したり、造核剤成分による高剛性化効果が劣ったりするため好ましくない。
ここで、ダイスウェル比は、ポリプロピレンを190℃の加熱シリンダに装填した後、6分間加熱保持し、直径1mm、長さ8mmのオリフィスから0.1g/分の速度で押し出して、そのストランド径を測定し、ストランド直径/オリフィス直径により算出して求める値である。
本発明で用いるプロピレン単独重合体(a)は、ダイスウェル比が1.5〜2.5、好ましくは1.5〜2.4、より好ましくは1.55〜2.35である。ダイスウェル比が上記範囲を逸脱した場合、フローマークなどの射出成形時の外観が悪化するばかりでなく、成形収縮率、線膨張係数といった寸法変化の異方性が増大したり、造核剤成分による高剛性化効果が劣ったりするため好ましくない。
ここで、ダイスウェル比は、ポリプロピレンを190℃の加熱シリンダに装填した後、6分間加熱保持し、直径1mm、長さ8mmのオリフィスから0.1g/分の速度で押し出して、そのストランド径を測定し、ストランド直径/オリフィス直径により算出して求める値である。
また、成分(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は、7〜13、好ましくは8〜12、より好ましくは8.5〜11.5である。Mw/Mnが上記範囲を逸脱した場合、フローマークなどの射出成形時の外観が悪化したり、成形収縮率、線膨張係数といった寸法変化の異方性が増大したりするばかりでなく、本発明で配合される造核剤成分の効果が十分に得られないため、好ましくない。
ここで、Mw/Mnは、GPCにより測定する重量平均分子量と数平均分子量の比である。具体的には、GPCを用いて次の条件で測定するものである。
装置 :Waters社製HLC/GPC 150C
カラム温度:135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
流量 :1.0ml/min
カラム :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
注入量 :0.15ml(濾過処理無し)
溶液濃度 :5mg/3.4ml
試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し140℃で1〜3時間溶解させる。
検量線 :ポリスチレン標準サンプルを使用する。
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
ここで、Mw/Mnは、GPCにより測定する重量平均分子量と数平均分子量の比である。具体的には、GPCを用いて次の条件で測定するものである。
装置 :Waters社製HLC/GPC 150C
カラム温度:135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
流量 :1.0ml/min
カラム :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
注入量 :0.15ml(濾過処理無し)
溶液濃度 :5mg/3.4ml
試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し140℃で1〜3時間溶解させる。
検量線 :ポリスチレン標準サンプルを使用する。
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
さらに、成分(a)のアイソタクチックペンタッド分率は96%以上、好ましくは98.0〜99.5%、より好ましくは98.5〜99.5%である。アイソタクチックペンタッド分率が98%未満の場合、軽量性と剛性や耐熱性のバランスが劣るため、好ましくない。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率とは、Macromolecules,6,925(1973 年)記載の方法、すなわち13C−NMR を使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。換言すれば、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレンモノマー単位が5個接続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、ピークの帰属に関しては、Macromolecules,8,687(1975 年)に記載の方法に基づいて行った。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmm ピークの強度分率としてアイソタクチックペンタッド単位を測定する。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率とは、Macromolecules,6,925(1973 年)記載の方法、すなわち13C−NMR を使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。換言すれば、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレンモノマー単位が5個接続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、ピークの帰属に関しては、Macromolecules,8,687(1975 年)に記載の方法に基づいて行った。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmm ピークの強度分率としてアイソタクチックペンタッド単位を測定する。
さらにまた、成分(a)のMFRは、20〜100g/10分、好ましくは24〜80g/10分、より好ましくは25〜75g/10分である。MFRが20g/10分未満の場合、流動性が劣る為好ましくなく、100g/10分を超えると衝撃性や機械的強度が劣る為好ましくない。
ここで、MFRは、JIS−K7210に準拠し、230℃、21.18N荷重で測定する値である。
ここで、MFRは、JIS−K7210に準拠し、230℃、21.18N荷重で測定する値である。
本発明で用いるプロピレン単独重合体(a)の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のポリプロピレン用の重合触媒を用いた重合方法の中から、適宜選択される。
上記プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各号参照)、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照)等を例示することができる。
上記プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各号参照)、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照)等を例示することができる。
重合方法としては、上記プロピレンの重合触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法、またはこれらを組み合わせた方法等の製造プロセスを適用して、プロピレンを単独重合またはプロピレンと少量のα−オレフィンとを共重合することにより得られる。スラリー重合法、気相重合法が好ましい。
単段重合でも同一又は異なる重合条件で逐次に重合する多段重合であってもよい。上記したダイスウェル比、分子量分布(Mw/Mn)、溶融特性(MFR)を有するプロピレン単独重合体を得るためには、多段重合する方法が好ましい。多段重合法としては、以下に示す工程(1)、工程(2)を含む多段重合法又は工程(1)、工程(2)による2段重合法を例示することができる。
単段重合でも同一又は異なる重合条件で逐次に重合する多段重合であってもよい。上記したダイスウェル比、分子量分布(Mw/Mn)、溶融特性(MFR)を有するプロピレン単独重合体を得るためには、多段重合する方法が好ましい。多段重合法としては、以下に示す工程(1)、工程(2)を含む多段重合法又は工程(1)、工程(2)による2段重合法を例示することができる。
工程(1):プロピレンを、分子量調節剤としての水素の存在下で重合する。分子量が大きすぎる重合体の生成を抑制するためである。水素は、1段目の重合工程で得られる重合体のMFRが、200〜1000g/10分、好ましくは、300〜900g/10分となるように添加される。水素濃度としては、通常0.5〜40%、好ましくは1〜30%の範囲から選択される。また重合温度は、通常40〜90℃、圧力は2×105〜35×105Paの範囲から選択される。この工程(1)で得られる重合体の量は、通常全重合量の50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%となるように調整される。工程(1)で製造される重合体の量が50重量%未満の場合、工程(2)で製造される高分子量のポリプロピレン重合体が多くなりすぎ、本発明の樹脂組成物の寸法安定性や外観が劣るため、好ましくない。
工程(2):高分子量のポリプロピレン重合体を得るための工程である。本工程で得られるポリプロピレン重合体の分子量及び量によって、特にプロピレン単独重合体(a)のダイスェル比を制御することができる。高分子量のポリプロピレン重合体を重合するために、なるべく低濃度の水素雰囲気下、若しくは実質上水素の存在しない状態で重合することが好ましい。重合は、工程(1)で生成したポリプロピレン及び触媒の存在下、引き続いて行われる。重合温度は、通常40〜90℃、圧力は2×105〜35×105Paの範囲から選択される。この工程(2)で得られる重合体の量は、全重合量の5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%となるように調整される。
工程(1)及び工程(2)又は必要に応じてこれらに他の工程を結合して、結果として得られる重合体全体の物性値を前記した範囲に調整できれば、いかなる組合せを採用しても良い。
工程(1)及び工程(2)又は必要に応じてこれらに他の工程を結合して、結果として得られる重合体全体の物性値を前記した範囲に調整できれば、いかなる組合せを採用しても良い。
(b)プロピレンブロック共重合体
本発明で用いることのできるプロピレンブロック共重合体(b)は、前述のプロピレン単独重合体(a)部分と、プロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなる、プロピレン含量が20〜80重量%、MFRが0.001〜6g/10分のプロピレン共重合体部分とを含むブロック共重合体である。
炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどを例示することができる。
本発明で用いることのできるプロピレンブロック共重合体(b)は、前述のプロピレン単独重合体(a)部分と、プロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなる、プロピレン含量が20〜80重量%、MFRが0.001〜6g/10分のプロピレン共重合体部分とを含むブロック共重合体である。
炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどを例示することができる。
プロピレン共重合体部分中のプロピレン含量は、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜70重量%である。プロピレン含量が上記範囲を逸脱した場合には、共重合体部分の分散性が悪化したり、低温脆性が悪化したりするため好ましくない。
ここで、プロピレン含量の測定法は、13C−NMR法を用いた、従来公知の常法によって測定することができる。
ここで、プロピレン含量の測定法は、13C−NMR法を用いた、従来公知の常法によって測定することができる。
プロピレン共重合体部分のMFRは、0.001〜6g/10分、好ましくは0.005〜3g/10分、より好ましくは0.01〜3g/10分である。共重合体部分のMFRが上記範囲を逸脱した場合、共重合体部分の分散性が悪化したり、衝撃性が低下したりするため好ましくない。
プロピレン共重合体部分のMFR(MFRb)は、プロピレン単独重合体(a)のMFR(MFRa)と割合(Wa(重量%))及びプロピレンブロック共重合体のMFR(MFR)とプロピレン共重合体部分の割合(Wb(重量%))から対数加成式を用いて以下の式により算出することができる。
100×LOG(MFR)=Wa×LOG(MFRa)+Wb×LOG(MFRb)
プロピレン共重合体部分のMFR(MFRb)は、プロピレン単独重合体(a)のMFR(MFRa)と割合(Wa(重量%))及びプロピレンブロック共重合体のMFR(MFR)とプロピレン共重合体部分の割合(Wb(重量%))から対数加成式を用いて以下の式により算出することができる。
100×LOG(MFR)=Wa×LOG(MFRa)+Wb×LOG(MFRb)
また、プロピレンブロック共重合体(b)のMFRは、5〜80g/10分、好ましくは10〜70g/10分、より好ましくは15〜65g/10分である。プロピレンブロック共重合体のMFRが上記範囲を逸脱した場合、流動性、外観、衝撃性などが劣るため、好ましくない。
さらに、プロピレンブロック共重合体(b)のダイスウェル比は、1.5〜2.4であることが好ましい。
プロピレンブロック共重合体(b)における、プロピレン単独共重合体(a)とプロピレン共重合体との割合は、プロピレン単独共重合体は40〜99重量%、好ましくは55〜90重量%、より好ましくは60〜88重量%であり、プロピレン共重合体は1〜60重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは12〜40重量%である。
プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体の組成比率が上記範囲を逸脱した場合には、剛性と衝撃性のバランスなどが劣るため好ましくない。
プロピレン単独重合体とプロピレン共重合体の組成比率が上記範囲を逸脱した場合には、剛性と衝撃性のバランスなどが劣るため好ましくない。
プロピレンブロック共重合体(b)は、一連のプロピレン単独重合体(a)を製造する工程、プロピレン共重合体を製造する工程を含む(前後は問わない)製造方法で得ることができる。プロピレン単独重合体(a)を製造する工程は、前述した通りである。プロピレン共重合体を製造する工程は、所定のプロピレン含量、MFRとなるように、プロピレンとα−オレフィンの供給割合、分子量調節剤の供給量を調整することにより製造することができる。
(A−2)プロピレン樹脂
本発明で用いるプロピレン樹脂(A−2)は、MFRが10〜100g/10分、好ましくは15〜95g/10分、より好ましくは20〜90g/10分である。MFRが上記範囲を逸脱すると、流動性、外観、衝撃性などが劣るため好ましくない。
また、(A−2)成分のダイスウェル比は、1.0〜1.5、好ましくは1.1〜1.4、より好ましくは1.15〜1.35である。ダイスウェル比が上記範囲を逸脱した場合、流動性や外観などが劣ったり、工業的な経済性が損なわれたりするため、好ましくない。
本発明で用いるプロピレン樹脂(A−2)は、MFRが10〜100g/10分、好ましくは15〜95g/10分、より好ましくは20〜90g/10分である。MFRが上記範囲を逸脱すると、流動性、外観、衝撃性などが劣るため好ましくない。
また、(A−2)成分のダイスウェル比は、1.0〜1.5、好ましくは1.1〜1.4、より好ましくは1.15〜1.35である。ダイスウェル比が上記範囲を逸脱した場合、流動性や外観などが劣ったり、工業的な経済性が損なわれたりするため、好ましくない。
本発明で使用される(A−2)成分は、プロピレン単独重合体であっても良く、プロピレンブロック共重合体であっても良いが、プロピレンブロック共重合体が好ましい。プロピレンブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体部分と、プロピレンと炭素数2〜8(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなるプロピレン共重合体部分とを含むものである。炭素数2〜8(3を除く)のα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンなどを例示することができる。
(A−2)成分がプロピレンブロック共重合体の場合、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率は、剛性や耐熱性の観点から、90%以上であることが好ましく、5重量%以下のα−オレフィンが共重合されたプロピレン共重合体であってもよい。さらに、プロピレンブロック共重合体に含まれる、プロピレン共重合体部分のMFRやプロピレン含量については、共重合体部分の分散性や衝撃性などを考慮して、共重合体部分のMFRは、0.0001〜10g/10分、プロピレン含量は15〜85重量%の範囲であることが好ましい。
(A−2)成分のプロピレンブロック共重合体におけるプロピレン単独重合体部分とプロピレン共重合体部分との割合については、プロピレン単独重合体部分が30〜95重量%、プロピレン共重合体部分が5〜70重量%であることが好ましい。
(A−2)成分のプロピレンブロック共重合体におけるプロピレン単独重合体部分とプロピレン共重合体部分との割合については、プロピレン単独重合体部分が30〜95重量%、プロピレン共重合体部分が5〜70重量%であることが好ましい。
(A−1)成分と(A−2)成分の配合割合は、(A−1)成分が5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%であり、(A−2)成分は5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%である。(A−1)成分と(A−2)成分の配合比率が上記範囲を逸脱した場合には、剛性、軽量性、成形性、といった組成物の性能や、本組成物の生産性などが劣るため好ましくない。
(B)炭素繊維
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される(B)炭素繊維は、繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、好ましくは3μm〜12μm、より好ましくは4μm〜10μmである。繊維径が2μm以下の場合、繊維の剛性が著しく低下し、15μmを超えると、繊維のアスペクト比(長さ(L)と太さ(D)の比:L/D)が低下してしまうため、剛性や耐熱性などの十分な補強効率が得られず好ましくない。
ここで繊維径は、繊維を繊維方向に垂直に裁断し、その断面を顕微鏡観察して直径を計測し、100本以上の繊維の直径の数平均を算出することにより求めることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される(B)炭素繊維は、繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、好ましくは3μm〜12μm、より好ましくは4μm〜10μmである。繊維径が2μm以下の場合、繊維の剛性が著しく低下し、15μmを超えると、繊維のアスペクト比(長さ(L)と太さ(D)の比:L/D)が低下してしまうため、剛性や耐熱性などの十分な補強効率が得られず好ましくない。
ここで繊維径は、繊維を繊維方向に垂直に裁断し、その断面を顕微鏡観察して直径を計測し、100本以上の繊維の直径の数平均を算出することにより求めることができる。
また、(B)炭素繊維は、繊維長が1〜20mm、好ましくは2〜15mm、より好ましくは3〜10mmである。繊維長が1mm未満の場合、アスペクト比が低く十分な補強効率が得られず、繊維長が20mmを超えると、加工性や外観が著しく悪化してしまうため好ましくない。
ここで、繊維長は、ノギス等を用いて計測し、100本以上の繊維の繊維長の数平均を算出することにより求めることができる。
ここで、繊維長は、ノギス等を用いて計測し、100本以上の繊維の繊維長の数平均を算出することにより求めることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される(B)炭素繊維としては、上述の形状を満たせば、特に制限なく、従来公知の炭素繊維が使用できる。炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリルを原料としたPAN系炭素繊維や、ピッチを原料としたピッチ系炭素繊維などを例示する事ができる。これらの炭素繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップドカーボンファイバーとして用いることができ、又必要に応じて、各種サイジング剤を用いて収束処理されたものであっても良い。収束処理に用いるサイジング剤は、ポリプロピレン樹脂との溶融混練において融解する必要があるため、200℃以下で溶融するものであることが好ましい。
このようなチョップドカーボンファイバーの具体例としては、PAN系炭素繊維では、東レ(株)社製商品名『トレカチョップ』、三菱レーヨン(株)社製商品名『パイロフィル(チョップ)』、東邦テナックス(株)社製商品名『ベスファイト(チョップ)』等を挙げる事が出来、ピッチ系炭素繊維では、三菱化学産資(株)社製商品名『ダイアリード』、大阪ガスケミカル(株)社製商品名『ドナカーボ(チョップ)』、呉羽化学(株)社製商品名『クレカチョップ』等を挙げることが出来る。
これらの炭素繊維成分は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成するその他の成分と共に、押出機などの溶融混練装置を用いて複合化されるが、この溶融混練の際には、炭素繊維成分の過剰な折損を防止するような複合化方法を選択する事が好ましい。これを実現するための方法としては、例えば、押出機による溶融混練では、炭素繊維成分以外の成分を十分に溶融混練した後、炭素繊維成分をサイドフィード法等により、樹脂成分の完全溶融位置よりも川下側の位置からフィードし、繊維の折損を最小限に抑えながら、収束繊維を分散させる方法等を例示することができる。
(C)造核剤
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される(C)造核剤は、芳香族カルボン酸金属塩、有機リン酸エステル金属塩、ロジン酸金属塩からなる群より選ばれた造核剤であって、ポリプロピレンに対して造核作用をもつ物質である。この造核作用とは、造核剤の添加により、ポリプロピレンの結晶化度と剛性が向上する作用のことである。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される(C)造核剤は、芳香族カルボン酸金属塩、有機リン酸エステル金属塩、ロジン酸金属塩からなる群より選ばれた造核剤であって、ポリプロピレンに対して造核作用をもつ物質である。この造核作用とは、造核剤の添加により、ポリプロピレンの結晶化度と剛性が向上する作用のことである。
上記芳香族カルボン酸金属塩としては、例えば、p−t−ブチル安息香酸アルミニウムなどを例示することができる。
また、上記有機リン酸エステル金属塩としては、例えば、下記の一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を例示することができる。
一般式(I):
また、上記有機リン酸エステル金属塩としては、例えば、下記の一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を例示することができる。
一般式(I):
一般式(II):
一般式(I)、(II)中、R1は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は亜鉛原子を示し、p及びqは、1または2を示す。
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニルホスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−チオビス−(4−t−オクチルフェニル)ホスフェート]、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、カルシウム−ビス−(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート)、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム(4,4?−ジメチル−5,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)ホスフェート、カルシウム−ビス[(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)ホスフェート]、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−m−ブチル−6−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)ホスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]およびアルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]およびこれらの二種以上の混合物等を挙げることができる。特にナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートが好ましい。
また、上記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−ビス(4−メチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−ビス(4−エチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−ビス(4−i−プロピルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−ビス(4−t−オクチルフェニル)ホスフェート、カリウム−ビス(4−t−ブチルフエニル)ホスフェート、カルシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、マグネシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェートおよびこれらの二種以上の混合物等を挙げることができる。特にナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェートが好ましい。さらに、特開平9−77919号公報、特開平9−100371号公報に記載のものも好適に使用できる。
上記ロジン酸金属塩としては、例えば、ロジン酸ナトリウム塩、ロジン酸カリウム塩、ロジン酸マグネシウム塩等を例示する事ができる。なお、ロジン酸金属塩は、ロジン酸と金属化合物の反応生成物であり、ロジン酸金属塩と未反応のロジン酸との混合物、及び未反応のロジン酸を含まないロジン酸金属塩の両方を意味する。ロジン酸と反応して金属塩を形成する金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩する化合物を挙げる事ができ、具体的には前記金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸酸化物、水酸化物などを挙げる事ができる。ロジン酸としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン、前記天然ロジンの精製物、前記変性ロジンの精製物などを例示する事ができる。天然ロジンには、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などの樹脂酸が、通常複数種含まれている。
また、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調整に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、などを挙げる事が出来る。
また、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調整に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、などを挙げる事が出来る。
ロジン酸金属塩の好ましい例としては、下記一般式(III)及び(IV)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(III):
一般式(III):
一般式(IV):
一般式(III)、(IV)中、R7、R8、及びR9は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示し、Mは1〜3価の金属イオン、rはその金属イオンMの価数と同一の整数であり、1〜3の整数である。
R7〜R9のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基などの炭素原子数が1〜8のアルキル基を挙げる事ができ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
R7〜R9のシクロアルキル基として具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの炭素原子数が5〜8のシクロアルキル基を挙げる事ができ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していても良い。
R7〜R9のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などの炭素原子数が6〜10のアリール基を挙げる事ができ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していても良い。
以上のR7〜R9においては、R7がイソプロピル基であり、R8及びR9がメチル基である化合物がより好ましい。
R7〜R9のシクロアルキル基として具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの炭素原子数が5〜8のシクロアルキル基を挙げる事ができ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していても良い。
R7〜R9のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などの炭素原子数が6〜10のアリール基を挙げる事ができ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していても良い。
以上のR7〜R9においては、R7がイソプロピル基であり、R8及びR9がメチル基である化合物がより好ましい。
また、Mは1〜3価の金属イオンであり、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1価の金属イオン、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛等の2価の金属イオン、アルミニウムなどの3価の金属イオンを挙げる事ができる。これらの内1価または2価の金属イオンである事が好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンである事が好ましい。
化合物(III)として、具体的には、例えば、デヒドロアビエチン酸リチウム、デヒドロアビエチン酸ナトリウム、デヒドロアビエチン酸カリウム、デヒドロアビエチン酸ベリリウム、デヒドロアビエチン酸マグネシウム、デヒドロアビエチン酸カルシウム、デヒドロアビエチン酸亜鉛、デヒドロアビエチン酸アルミニウムなどのデヒドロアビエチン酸金属塩などを挙げる事ができ、中でも、デヒドロアビエチン酸ナトリウム、デヒドロアビエチン酸カリウム、デヒドロアビエチン酸マグネシウムが好ましく用いられる。
化合物(IV)として、具体的には、例えば、ジヒドロアビエチン酸リチウム、ジヒドロアビエチン酸ナトリウム、ジヒドロアビエチン酸カリウム、ジヒドロアビエチン酸ベリリウム、ジヒドロアビエチン酸マグネシウム、ジヒドロアビエチン酸カルシウム、ジヒドロアビエチン酸亜鉛、ジヒドロアビエチン酸アルミニウムなどのジヒドロアビエチン酸金属塩などを挙げる事ができ、中でも、ジヒドロアビエチン酸ナトリウム、ジヒドロアビエチン酸カリウム、ジヒドロアビエチン酸マグネシウムが好ましく用いられる。
この様な造核剤の内、芳香族カルボン酸金属塩、有機リン酸エステル金属塩が特に好ましく使用される。
(D)熱可塑性エラストマー
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、必要に応じて、熱可塑性エラストマー(D)を使用することができる。(D)成分は、MFRが0.1〜15g/10分、密度が0.850〜0.910g/cm3のエチレン系、及び/又は、スチレン系のエラストマーである。
熱可塑性エラストマーのMFRが0.1g/10分未満の場合、熱可塑性エラストマーの分散性が劣り、15g/10分を超えると、耐衝撃性や低温脆性が劣る為、夫々好ましくない。熱可塑性エラストマーの密度が上記範囲を逸脱した場合、耐衝撃性や生産性などが劣るため好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、必要に応じて、熱可塑性エラストマー(D)を使用することができる。(D)成分は、MFRが0.1〜15g/10分、密度が0.850〜0.910g/cm3のエチレン系、及び/又は、スチレン系のエラストマーである。
熱可塑性エラストマーのMFRが0.1g/10分未満の場合、熱可塑性エラストマーの分散性が劣り、15g/10分を超えると、耐衝撃性や低温脆性が劣る為、夫々好ましくない。熱可塑性エラストマーの密度が上記範囲を逸脱した場合、耐衝撃性や生産性などが劣るため好ましくない。
エチレン系エラストマーとは、エチレンと他のα−オレフィンを1種以上共重合した共重合体であり、エチレンと共重合するα−オレフィンの炭素数は、一般的には3〜8である。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体などを例示することができる。
また、スチレン系エラストマーとは、下記構造を有するスチレン系水添ブロック共重合ゴムであって、そのポリスチレン構造を有するAセグメントの含量が1〜25重量%であることが好ましい。
A−B 又は、A−B−A
(但し、Aはポリスチレン構造セグメントを示し、Bはエチレン・ブテン又はエチレン・プロピレンの構造セグメントを示す)
上記Aセグメントの含量が1重量%未満では、事実上スチレン系エラストマーとはいえず、25重量%を超えると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が著しく低下し、十分な分散が得られないため、好ましくない。
A−B 又は、A−B−A
(但し、Aはポリスチレン構造セグメントを示し、Bはエチレン・ブテン又はエチレン・プロピレンの構造セグメントを示す)
上記Aセグメントの含量が1重量%未満では、事実上スチレン系エラストマーとはいえず、25重量%を超えると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が著しく低下し、十分な分散が得られないため、好ましくない。
これら熱可塑性エラストマー成分は、1種類のみを単独で使用しても、例えば、エチレン系エラストマーとスチレン系エラストマーを併用するといったように、2種類以上を併用して使用してもよい。
(E)その他の成分
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、上述した(A)〜(D)成分のほかに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、その他の成分が含まれていてもかまわない。その他の成分としては、炭酸カルシウム、マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、モンモリロナイト等のスメクタイト類、ウイスカー、ガラス繊維、等に代表される補強用フィラー、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系、ラクトン系などの各種酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、紫外線吸収剤、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤等を挙げることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、上述した(A)〜(D)成分のほかに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、その他の成分が含まれていてもかまわない。その他の成分としては、炭酸カルシウム、マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、モンモリロナイト等のスメクタイト類、ウイスカー、ガラス繊維、等に代表される補強用フィラー、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系、ラクトン系などの各種酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、紫外線吸収剤、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤等を挙げることができる。
(2)構成成分の配合比率
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)炭素繊維、(C)造核剤、及び、必要に応じて用いる(D)熱可塑性エラストマーの配合比率は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分は、0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部であり、(C)成分は、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。更に(D)成分を配合する場合には、(A)成分100重量部に対して、(D)成分を1〜50重量部となるように配合される。
各成分の配合比率が上記範囲を逸脱した場合には、本発明の目的である、軽量性と剛性のバランス、寸法安定性、外観、流動性などが劣るため好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)炭素繊維、(C)造核剤、及び、必要に応じて用いる(D)熱可塑性エラストマーの配合比率は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分は、0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部であり、(C)成分は、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。更に(D)成分を配合する場合には、(A)成分100重量部に対して、(D)成分を1〜50重量部となるように配合される。
各成分の配合比率が上記範囲を逸脱した場合には、本発明の目的である、軽量性と剛性のバランス、寸法安定性、外観、流動性などが劣るため好ましくない。
(3)ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述した各配合成分を、上述の配合比率で配合することにより製造することができる。各成分は、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール練機などの従来公知の溶融混練装置を用いて複合化されるが、工業的な経済性などを考慮する場合、2軸押出機が最も好ましく使用される。
この際、本発明の高価である軽量性と剛性のバランスに優れた樹脂組成物とするためには、炭素繊維成分が過剰な折損を起こさないような工夫を施すことが好ましく、2軸押出機を用いた溶融混練の場合、炭素繊維以外の成分を予め十分に溶融混練した後、炭素繊維成分をサイドフィード法等により、樹脂成分の完全溶融位置よりも川下側の位置からフィードし、繊維の折損を最小限に抑えながら、収束繊維を分散させる方法等を好ましい方法として例示することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述した各配合成分を、上述の配合比率で配合することにより製造することができる。各成分は、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール練機などの従来公知の溶融混練装置を用いて複合化されるが、工業的な経済性などを考慮する場合、2軸押出機が最も好ましく使用される。
この際、本発明の高価である軽量性と剛性のバランスに優れた樹脂組成物とするためには、炭素繊維成分が過剰な折損を起こさないような工夫を施すことが好ましく、2軸押出機を用いた溶融混練の場合、炭素繊維以外の成分を予め十分に溶融混練した後、炭素繊維成分をサイドフィード法等により、樹脂成分の完全溶融位置よりも川下側の位置からフィードし、繊維の折損を最小限に抑えながら、収束繊維を分散させる方法等を好ましい方法として例示することができる。
上記の様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物の内、その密度と曲げ弾性率が、下記関係式(1)を満足するものは、軽量性と剛性のバランスが特に優れ、更に、寸法安定性や外観にも優れているため、各種工業部品用途、とりわけ、自動車部品、家電部品、住設部品の材料として好適に使用できる。
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
2.ポリプロピレン系樹脂組成物の成形体
上記の様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、及び押出成形からなる群より選ばれた成形加工方法により腑型され、所望の形状を有した成形体とされる。特に、成形体表面がシボ外観となるような金型を用いて成形体とすることにより、外観に優れた成形体を得る事ができる。この様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物の成形体の内、特に、その密度と曲げ弾性率が、下記関係式(1)を満足するものは、軽量性と剛性のバランスが特に優れ、更に、寸法安定性や外観にも優れているため、各種工業部品用途、とりわけ、自動車部品、家電部品、住設部品として好適に使用される。
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
上記の様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、及び押出成形からなる群より選ばれた成形加工方法により腑型され、所望の形状を有した成形体とされる。特に、成形体表面がシボ外観となるような金型を用いて成形体とすることにより、外観に優れた成形体を得る事ができる。この様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物の成形体の内、特に、その密度と曲げ弾性率が、下記関係式(1)を満足するものは、軽量性と剛性のバランスが特に優れ、更に、寸法安定性や外観にも優れているため、各種工業部品用途、とりわけ、自動車部品、家電部品、住設部品として好適に使用される。
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す)
以下に本発明を、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
なお、実施例で用いた物性測定法及び用いた材料は以下の通りである。
なお、実施例で用いた物性測定法及び用いた材料は以下の通りである。
1.物性測定法
(1)MFR(単位:g/10min):JIS−K7210に準拠し、230℃、21.18N荷重で行った。
(2)引張破断伸度(単位:%):JIS−K7113に準拠して、1号形試験片にて、引張速度10mm/minの条件で測定した。
(3)密度(単位:g/cc、又はkg/m3):JIS−K7112に準拠して、水中置換法にて測定した。
(4)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7171に準拠して23℃下で測定した。
(5)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:J/m):JIS−K7110に準拠し、23℃、及び−30℃で測定した。
(6)荷重たわみ温度(単位:℃):JIS−K7191−2に準拠して、0.45MPaの条件で測定した。
(7)フローマーク発生距離:型締め圧170トンの射出成形機で、短辺に幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて、350mm×100mm×2mmtなる成形シートを成形温度を220℃として射出成形した。フローマークの発生を目視で観察し、ゲートからフローマークが発生した部分までの距離を測定し、下記の基準で判定した。
○:発生距離が200mmを超える
△:発生距離が100mmを超え、200mm以下
×:発生距離が100mm以下
(8)Mw/Mn:GPC装置(Waters社製HLC/GPC 150C)を用いて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnとして算出した。測定条件は、移動相溶媒としてオルソジクロロベンゼンを、標準物質として、標準ポリスチレンを使用し、カラム及び試料注入部の設定温度を135℃として測定した。
(1)MFR(単位:g/10min):JIS−K7210に準拠し、230℃、21.18N荷重で行った。
(2)引張破断伸度(単位:%):JIS−K7113に準拠して、1号形試験片にて、引張速度10mm/minの条件で測定した。
(3)密度(単位:g/cc、又はkg/m3):JIS−K7112に準拠して、水中置換法にて測定した。
(4)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7171に準拠して23℃下で測定した。
(5)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:J/m):JIS−K7110に準拠し、23℃、及び−30℃で測定した。
(6)荷重たわみ温度(単位:℃):JIS−K7191−2に準拠して、0.45MPaの条件で測定した。
(7)フローマーク発生距離:型締め圧170トンの射出成形機で、短辺に幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて、350mm×100mm×2mmtなる成形シートを成形温度を220℃として射出成形した。フローマークの発生を目視で観察し、ゲートからフローマークが発生した部分までの距離を測定し、下記の基準で判定した。
○:発生距離が200mmを超える
△:発生距離が100mmを超え、200mm以下
×:発生距離が100mm以下
(8)Mw/Mn:GPC装置(Waters社製HLC/GPC 150C)を用いて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnとして算出した。測定条件は、移動相溶媒としてオルソジクロロベンゼンを、標準物質として、標準ポリスチレンを使用し、カラム及び試料注入部の設定温度を135℃として測定した。
2.材料
(A)ポリプロピレン樹脂
製造例1〜4で製造したポリプロピレンと、市販ポリプロピレン(日本ポリプロ社製ノバテックPP)を用いた。使用したポリプロピレン樹脂の各種インデックスを表1に示す。
(A)ポリプロピレン樹脂
製造例1〜4で製造したポリプロピレンと、市販ポリプロピレン(日本ポリプロ社製ノバテックPP)を用いた。使用したポリプロピレン樹脂の各種インデックスを表1に示す。
(製造例1:(A−1)成分の製造)
(i)チーグラー触媒の製造
充分に窒素置換した内容積が10Lの反応器に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン4000mlを導入し、次いでMgCl2を8モル、Ti(O−n−C4H9)4を16モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を960ml導入し、40℃で3時間反応させた。生成した固体成分1をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、充分に窒素置換した内容積が10Lの反応器に、脱水および脱酸素したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分1をMg原子換算で4.8モル導入した。次いでSiCl48モルを混合したn−ヘプタン500mlを30℃で、30分間かけてフラスコへ導入し、70℃を保ちながら3時間反応させた。反応終了後、反応生成物をn−ヘプタンで洗浄した。次いでフタル酸クロライド0.48モルを混合したn−ヘプタン500mlを70℃で、30分間かけてフラスコへ導入し、90℃を保ちながら1時間反応させた。反応終了後、反応生成物をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、SiCl4200mlを導入して80℃で6時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し固体成分2を得た。このもののチタン含量は1.3重量%であった。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、脱水および脱酸素したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分2を100グラム導入し、(t−C4H9)Si(CH3)(OCH3)224ml、Al(C2H5)334グラムを30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分を得た。このもののチタン含量は1.1重量%であった。
(ii)ポリプロピレンの製造
内容積200リットルのステンレス製オートクレーブに、n−ヘプタン60リットル、上記固体触媒成分5g及びトリエチルアルミニウム15gを加え、75℃に昇温し、水素とプロピレンを供給してMFRが750g/10分のプロピレン単独重合体(1段目重合部)を全重量の70重量%製造した。1段目重合の終了後、水素をパージした。次いで、1段目重合部の存在下、プロピレンのみを供給し、2段目重合部として重量平均分子量350万のプロピレン単独重合体を全重量の30重量%製造した。この2段重合法で得られたプロピレン単独重合体(PP1)全体のMFRは42.2g/10分、アイソタクチックペンタッド分率は98.6%、ダイスウェル比は2.13、Mw/Mnは10.4であった。
(i)チーグラー触媒の製造
充分に窒素置換した内容積が10Lの反応器に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン4000mlを導入し、次いでMgCl2を8モル、Ti(O−n−C4H9)4を16モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を960ml導入し、40℃で3時間反応させた。生成した固体成分1をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、充分に窒素置換した内容積が10Lの反応器に、脱水および脱酸素したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分1をMg原子換算で4.8モル導入した。次いでSiCl48モルを混合したn−ヘプタン500mlを30℃で、30分間かけてフラスコへ導入し、70℃を保ちながら3時間反応させた。反応終了後、反応生成物をn−ヘプタンで洗浄した。次いでフタル酸クロライド0.48モルを混合したn−ヘプタン500mlを70℃で、30分間かけてフラスコへ導入し、90℃を保ちながら1時間反応させた。反応終了後、反応生成物をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、SiCl4200mlを導入して80℃で6時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し固体成分2を得た。このもののチタン含量は1.3重量%であった。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、脱水および脱酸素したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分2を100グラム導入し、(t−C4H9)Si(CH3)(OCH3)224ml、Al(C2H5)334グラムを30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分を得た。このもののチタン含量は1.1重量%であった。
(ii)ポリプロピレンの製造
内容積200リットルのステンレス製オートクレーブに、n−ヘプタン60リットル、上記固体触媒成分5g及びトリエチルアルミニウム15gを加え、75℃に昇温し、水素とプロピレンを供給してMFRが750g/10分のプロピレン単独重合体(1段目重合部)を全重量の70重量%製造した。1段目重合の終了後、水素をパージした。次いで、1段目重合部の存在下、プロピレンのみを供給し、2段目重合部として重量平均分子量350万のプロピレン単独重合体を全重量の30重量%製造した。この2段重合法で得られたプロピレン単独重合体(PP1)全体のMFRは42.2g/10分、アイソタクチックペンタッド分率は98.6%、ダイスウェル比は2.13、Mw/Mnは10.4であった。
(製造例2:(A−1)成分の製造)
製造例1と同様にして2段重合でポリプロピレン単独重合体を製造した後、引き続いて、プロピレンとエチレン、及び水素を供給して、ポリプロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとエチレンの共重合を行い、ポリプロピレンブロック共重合体(PP2)を得た。得られたポリプロピレンブロック共重合体のMFRは21g/10分、ダイスウェル比は1.5、Mw/Mnは9.6、単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率は98.6%、共重合体部分のプロピレン含量は50重量%、MFRは0.42g/10分、共重合体部分の含有量は15重量%であった。
製造例1と同様にして2段重合でポリプロピレン単独重合体を製造した後、引き続いて、プロピレンとエチレン、及び水素を供給して、ポリプロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとエチレンの共重合を行い、ポリプロピレンブロック共重合体(PP2)を得た。得られたポリプロピレンブロック共重合体のMFRは21g/10分、ダイスウェル比は1.5、Mw/Mnは9.6、単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率は98.6%、共重合体部分のプロピレン含量は50重量%、MFRは0.42g/10分、共重合体部分の含有量は15重量%であった。
(製造例3:(A−2)成分の製造)
第2段目の重合を行わなかったこと、及びプロピレンと水素の供給量と、重合時間を変更した以外は、製造例1と同様にしてポリプロピレン単独重合体(PP3)を得た。得られたポリプロピレン単独重合体のMFRは45g/10分、アイソタクチックペンタッド分率は98.5%、ダイスウェル比は1.2、Mw/Mnは4であった。
第2段目の重合を行わなかったこと、及びプロピレンと水素の供給量と、重合時間を変更した以外は、製造例1と同様にしてポリプロピレン単独重合体(PP3)を得た。得られたポリプロピレン単独重合体のMFRは45g/10分、アイソタクチックペンタッド分率は98.5%、ダイスウェル比は1.2、Mw/Mnは4であった。
(製造例4:(A−2)成分の製造)
製造例1で製造した固体触媒成分及び重合装置を用い、単独重合体部分のMFRが100g/10分となるように、ポリプロピレン単独重合体を1段階で重合した後、引き続いて、プロピレンとエチレン、及び水素を供給して、ポリプロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとエチレンの共重合を行い、ポリプロピレンブロック共重合体(PP4)を得た。得られたポリプロピレンブロック共重合体のMFRは60g/10分、ダイスウェル比は1.3、Mw/Mnは5、単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率は98.6%、共重合体部分のプロピレン含有量は57重量%、MFRは0.17g/10分、共重合体部分の含有量は8重量%であった。
製造例1で製造した固体触媒成分及び重合装置を用い、単独重合体部分のMFRが100g/10分となるように、ポリプロピレン単独重合体を1段階で重合した後、引き続いて、プロピレンとエチレン、及び水素を供給して、ポリプロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとエチレンの共重合を行い、ポリプロピレンブロック共重合体(PP4)を得た。得られたポリプロピレンブロック共重合体のMFRは60g/10分、ダイスウェル比は1.3、Mw/Mnは5、単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率は98.6%、共重合体部分のプロピレン含有量は57重量%、MFRは0.17g/10分、共重合体部分の含有量は8重量%であった。
(B)炭素繊維
下記の市販のチョップド炭素繊維(CF1〜CF2)を使用した。
CF1:繊維径7μm、繊維長6mm(PAN系炭素繊維、東レ製TS12(商品名))
CF2:繊維径10μm、繊維長6mm(ピッチ系炭素繊維、三菱化学産資製K223SE(商品名))
下記の市販のチョップド炭素繊維(CF1〜CF2)を使用した。
CF1:繊維径7μm、繊維長6mm(PAN系炭素繊維、東レ製TS12(商品名))
CF2:繊維径10μm、繊維長6mm(ピッチ系炭素繊維、三菱化学産資製K223SE(商品名))
(C)造核剤
以下に示す造核剤を使用した。
KA1:芳香族カルボン酸金属塩(シェル化学製ALPTBBA(商品名))
KA2:有機リン酸エステル金属塩(旭電化工業製NA11(商品名))
KA3:タルク(松村産業製ハイフィラー#7(商品名))
KA4:ソルビトール系(新日本理化製ゲルオールMD(商品名))
以下に示す造核剤を使用した。
KA1:芳香族カルボン酸金属塩(シェル化学製ALPTBBA(商品名))
KA2:有機リン酸エステル金属塩(旭電化工業製NA11(商品名))
KA3:タルク(松村産業製ハイフィラー#7(商品名))
KA4:ソルビトール系(新日本理化製ゲルオールMD(商品名))
(D)熱可塑性エラストマー
下記の市販のエラストマー(EL1〜EL3)を使用した。
EL1:密度0.864g/cm3、MFR1.4g/10分、エチレン含量75重量%のエチレン・オクテン共重合体(デュポンダウエラストマー製EG8180(商品名))
EL2:密度0.862g/cm3、MFR1.0g/10分、エチレン含量69重量%のエチレン・ブテン共重合体(三井化学製A0550S(商品名))
EL3:密度0.900g/cm3、MFR9.0g/10分、スチレン含量13重量%のSEBS(シェル製G1657(商品名))
下記の市販のエラストマー(EL1〜EL3)を使用した。
EL1:密度0.864g/cm3、MFR1.4g/10分、エチレン含量75重量%のエチレン・オクテン共重合体(デュポンダウエラストマー製EG8180(商品名))
EL2:密度0.862g/cm3、MFR1.0g/10分、エチレン含量69重量%のエチレン・ブテン共重合体(三井化学製A0550S(商品名))
EL3:密度0.900g/cm3、MFR9.0g/10分、スチレン含量13重量%のSEBS(シェル製G1657(商品名))
(実施例1〜12)
表2に示す配合組成により、炭素繊維以外の成分を配合し、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガノックス1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガフォス168)0.05重量部、ステアリン酸亜鉛0.3重量部とともに混合した後、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)の根元ホッパーから投入し、さらに押出来先端から3バレル根元側に設置したサイドフィーダーを用いて炭素繊維成分が所定の濃度となるようにサイドフィードし、スクリュー回転数300rpm、押出レート15kg/hで溶融混練し、ペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたペレットを用いて、金型温度40℃、シリンダ温度220℃の条件で射出成形し、プロピレン系樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。評価結果を表3に示す。
表2に示す配合組成により、炭素繊維以外の成分を配合し、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガノックス1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガフォス168)0.05重量部、ステアリン酸亜鉛0.3重量部とともに混合した後、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)の根元ホッパーから投入し、さらに押出来先端から3バレル根元側に設置したサイドフィーダーを用いて炭素繊維成分が所定の濃度となるようにサイドフィードし、スクリュー回転数300rpm、押出レート15kg/hで溶融混練し、ペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたペレットを用いて、金型温度40℃、シリンダ温度220℃の条件で射出成形し、プロピレン系樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。評価結果を表3に示す。
(比較例1〜13)
表4に示す配合組成により、実施例と同様の方法によりプロピレン系樹脂組成物を得、各種物性を評価した。評価結果を表5に示す。各種配合成分の構造や、その組合せに起因した、軽量性、剛性、耐熱性のバランス不良や、射出成形時の外観不良が確認された。
表4に示す配合組成により、実施例と同様の方法によりプロピレン系樹脂組成物を得、各種物性を評価した。評価結果を表5に示す。各種配合成分の構造や、その組合せに起因した、軽量性、剛性、耐熱性のバランス不良や、射出成形時の外観不良が確認された。
表5から明らかなように、造核剤を使用しない比較例1〜4は、対応する実施例1〜6と比べて曲げ弾性率、荷重たわみ温度が低く、剛性が不足するものであった。
比較例5〜13はポリプロピレンの構造が本発明の規定を満足しないので、フローマークが劣るばかりでなく、本発明で規定している特定の造核剤を用いても、剛性の向上が不十分で、曲げ弾性率、荷重たわみ温度と軽量性のバランスが劣った。
比較例5〜13はポリプロピレンの構造が本発明の規定を満足しないので、フローマークが劣るばかりでなく、本発明で規定している特定の造核剤を用いても、剛性の向上が不十分で、曲げ弾性率、荷重たわみ温度と軽量性のバランスが劣った。
特定の構造を有する、ポリプロピレン、炭素繊維、造核剤、及びエラストマーから構成される、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体は、軽量性、剛性、耐熱性、成形外観、及び熱源リサイクル性、といったバランスに優れているため、各種工業部品分野、特に自動車部品、家電部品、住設部品、等の用途において、有用な材料である。特に軽量性と剛性のバランスに優れている事は、自動車部品として用いた場合には、車両の軽量化を実現し、これは燃費向上、ひいては、有限なエネルギー資源の節約や地球環境の保護にも貢献することとなる。また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体は、高度な剛性、耐熱性を有している為、無機フィラーを配合する必要が事実上無く、この結果、焼却の際の灰分発生がなく、熱源として有効利用可能な素材である。この事は、従来、埋立て処理をしていた複合樹脂を、焼却という形で熱源化する事に貢献し、地球環境への多大なる負荷となっている埋立てゴミ量の大幅削減にも貢献する技術であると言えるため、その工業的価値は極めて大きい。
Claims (9)
- 下記(A)ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、(B)炭素繊維0.5〜100重量部、及び(C)造核剤0.01〜5重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(A)ポリプロピレン樹脂:下記(A−1)成分5〜95重量%と(A−2)成分5〜95重量%を含有するポリプロピレン樹脂
(A−1)ダイスウェル比が1.5〜2.5、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が7〜13、アイソタクチックペンタッド分率が96%以上、メルトフローレート(JIS K7210に準拠し230℃で測定、以下MFRと記す)が20〜100g/10分であるプロピレン単独重合体(a)、又は、該プロピレン単独重合体(a)40〜99重量%とプロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のα−オレフィンを共重合してなる、プロピレン含量が20〜80重量%、MFRが0.001〜6g/10分のプロピレン共重合体1〜60重量%とを含むプロピレンブロック共重合体であって、MFRが5〜80g/10分であるプロピレンブロック共重合体(b)
(A−2)ダイスウェル比が1.0〜1.5、MFRが10〜100g/10分であるプロピレン樹脂
(B)炭素繊維:繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、繊維長が1〜20mmの炭素繊維
(C)造核剤:芳香族カルボン酸金属塩、有機リン酸エステル金属塩、及びロジン酸金属塩からなる群より選ばれた造核剤 - プロピレン単独重合体(a)が、多段重合によって製造されたポリプロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- プロピレン単独重合体(a)が、MFRが200〜1000g/10分のプロピレン重合体を50〜95重量%含むことを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 造核剤としての金属塩が、アルミニウム、又はナトリウムのいずれかの金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- (A)ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、MFRが0.1〜15g/10分、密度が0.850〜0.910g/cm3のエチレン系エラストマー、又はスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種の熱可塑性エラストマー(D)を1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 密度と曲げ弾性率の関係が、下記関係式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す) - 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形、圧縮成形、押出成形、及び射出圧縮成形からなる群より選ばれる成形加工方法により成形されてなる成形体。
- 密度と曲げ弾性率の関係が、下記関係式(1)を満足することを特徴とする請求項7記載の成形体。
FM>42ρ−36000 …(1)
(式中、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)、ρは密度(単位:kg/m3)を表す) - 請求項7又は8に記載の成形体からなる車両用部品、住設部品、又は家電部品。
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