JP2006219726A - 転がり軸受の軌道輪の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工作機械等の高速回転軸を支持する用途に適した転がり軸受を提供する。
【解決手段】SUJ2からなる素材を内輪の形状に加工した後、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を2回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行う。これにより、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を6μm以下とする。
【選択図】図1
【解決手段】SUJ2からなる素材を内輪の形状に加工した後、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を2回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行う。これにより、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を6μm以下とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、転がり軸受の軌道輪の製造方法に関する。
近年、各種の工作機械は、加工効率および生産性向上のために、マシニングセンタを中心に、主軸の回転速度および周辺機器の送り速度等の高速化が進んでおり、更なる高速化の要求も高まっている。現在、工作機械の高速回転軸を支持する軸受としては、内外輪が軸受鋼製で転動体がセラミックス製のものが使用されている。
転がり軸受の軌道輪には、遠心力や発熱による膨張で引っ張り応力が作用するが、高速化に伴ってこの引っ張り応力が大きくなると、軌道面に微小な表面損傷が発生し易くなる。そして、軌道面に微小な表面損傷が発生した状態で転がり軸受を使用し続けると、軌道輪の靱性が不十分な場合には割れに至ることが考えられる。よって、軌道輪の靱性を高くすることが求められている。
転がり軸受の軌道輪には、遠心力や発熱による膨張で引っ張り応力が作用するが、高速化に伴ってこの引っ張り応力が大きくなると、軌道面に微小な表面損傷が発生し易くなる。そして、軌道面に微小な表面損傷が発生した状態で転がり軸受を使用し続けると、軌道輪の靱性が不十分な場合には割れに至ることが考えられる。よって、軌道輪の靱性を高くすることが求められている。
軌道輪の靱性を高くする方法としては、(1) 熱処理の焼戻し温度を高くする方法、(2) 靱性向上作用を有する元素であるニッケル(Ni)を含有する鋼を使用する方法、(3) 靱性低下成分であるリン(P)や珪素(Si)の含有量が極力少ない鋼を使用する方法、(4) 熱処理で生じさせるオーステナイト結晶粒(焼入れによりオーステナイトはマルテンサイト化されるため、焼入れ直前のオーステナイト結晶粒という意味で「旧オーステナイト結晶粒」とも称される。)を小さくする方法が挙げられる。
これらの方法のうち(1) の方法では、高温で焼戻しすることにより硬さが低下して、転動疲労寿命が短くなる場合がある。(2) の方法では、ニッケルの含有率を1質量%以上にする必要があり、材料コストが高価になる。(3) の方法では、リンや珪素を除去するために材料コストが高価になる。(4) の方法は、(1) 〜(3) の方法と比較してコストおよび軸受性能の点で期待されている方法である。
下記の特許文献1には、前記(4) の方法の一例として、オーステナイト結晶粒を「JIS G0551」で規定された粒度番号10を超える範囲にすることが記載されている。その方法として、845℃で浸炭窒化処理して冷却(一次焼入れ)を行った後に、800℃程度に加熱して冷却(二次焼入れ)を行うか、845℃で浸炭窒化処理した後に焼入れを行わずに、一旦A1 変態点未満の比較的高温まで冷却した後に、800℃程度に加熱して冷却(焼入れ)を行うことが記載されている。
しかしながら、この方法では、浸炭窒化を行うため、熱処理時間が長く、芯部のオーステナイト結晶粒が大きくなって靱性低下が生じる恐れがある。
特開2003−226919号公報
本発明は、上記特許文献1の方法とは異なる熱処理方法でオーステナイト結晶粒を小さくして、軌道輪の靱性を高くすることにより、工作機械等の高速回転軸を支持する用途に適した転がり軸受を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、炭素(C)含有率が0.6質量%以上1.2質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上0.5質量%以下、クロム(Cr)含有率が1.0質量%以上2.0質量%以下であり、残部鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後に、この加工された素材をAC1変態点以上の温度に所定時間保持した後にAr1変態点以下の温度に冷却する加熱冷却工程を2回以上繰り返した後、焼戻し工程を行うことを特徴とする転がり軸受の軌道輪の製造方法を提供する。
本発明の方法により、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を6.0μm以下とすることができる。この方法では、浸炭窒化を行わないため、熱処理時間が短く、芯部のオーステナイト結晶粒が大きくなることが防止されて、軌道面の靱性低下が生じない。
本発明はまた、本発明の方法で製造され、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が6.0μm以下とされた軌道輪を、回転輪として備えたことを特徴とする転がり軸受を提供する。
本発明はまた、本発明の方法で製造され、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が6.0μm以下とされた軌道輪を、回転輪として備えたことを特徴とする転がり軸受を提供する。
以下、本発明で使用する鋼の各成分の具体的な限定理由について説明する。
[炭素(C)含有率:0.6質量%以上1.2質量%以下]
Cは、マトリックスに固溶して鋼に硬さを付与するとともに、Cr等の炭化物形成元素と結合して炭化物や炭窒化物を形成し、耐摩耗性を向上させるために有効な元素である。Cの含有率が0.6質量%未満であると、転がり軸受の軌道輪として要求される硬さが確保できない。
Cの含有率が1.2質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物や炭窒化物が形成され易くなる。これに伴って、転動疲労寿命や強度が著しく低下する。また、鍛造性、加工性、および被削性が低下して、コストの上昇を招く場合がある。
[炭素(C)含有率:0.6質量%以上1.2質量%以下]
Cは、マトリックスに固溶して鋼に硬さを付与するとともに、Cr等の炭化物形成元素と結合して炭化物や炭窒化物を形成し、耐摩耗性を向上させるために有効な元素である。Cの含有率が0.6質量%未満であると、転がり軸受の軌道輪として要求される硬さが確保できない。
Cの含有率が1.2質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物や炭窒化物が形成され易くなる。これに伴って、転動疲労寿命や強度が著しく低下する。また、鍛造性、加工性、および被削性が低下して、コストの上昇を招く場合がある。
[珪素(Si)含有率:0.1質量%以上1.2質量%以下]
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要であるだけでなく、マトリックスに固溶してマルテンサイトを強化し、焼戻し軟化抵抗性を高くするため、転動疲労寿命向上に有効な元素である。Siの含有率が0.1質量%未満であると、これらの効果が実質的に得られない。
Siの含有率が1.2%を超えると、被削性、鍛造性、および加工性が著しく低下する。
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要であるだけでなく、マトリックスに固溶してマルテンサイトを強化し、焼戻し軟化抵抗性を高くするため、転動疲労寿命向上に有効な元素である。Siの含有率が0.1質量%未満であると、これらの効果が実質的に得られない。
Siの含有率が1.2%を超えると、被削性、鍛造性、および加工性が著しく低下する。
[マンガン(Mn)含有率:0.1質量%以上0.5質量%以下]
Mnは、Siと同様に製鋼時の脱酸剤として作用することに加え、マトリックスに固溶してフェライトを強化し、焼入れ性を向上させる元素である。また、残留オーステナイトの生成を促進する作用を有する。Mnの含有率が0.1質量%未満であると、これらの効果が実質的に得られない。
Mnの含有率が0.5%を超えると、熱処理後に多量の残留オーステナイトが残存して、十分な硬さが得られなくなる場合があるだけでなく、加工性や被削性が著しく低下する。
Mnは、Siと同様に製鋼時の脱酸剤として作用することに加え、マトリックスに固溶してフェライトを強化し、焼入れ性を向上させる元素である。また、残留オーステナイトの生成を促進する作用を有する。Mnの含有率が0.1質量%未満であると、これらの効果が実質的に得られない。
Mnの含有率が0.5%を超えると、熱処理後に多量の残留オーステナイトが残存して、十分な硬さが得られなくなる場合があるだけでなく、加工性や被削性が著しく低下する。
[クロム(Cr)含有率:1.0質量%以上2.0質量%以下]
Crは、マトリックスに固溶して、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素である。また、Cと結合して微細な炭化物を形成することで耐摩耗性を向上させる。Crの含有率が1.0質量%未満であると、これらの効果が実質的に得られない。
Crの含有率が2.0質量%を超えると、製鋼過程で巨大炭化物が生成して、転がり疲労寿命や強度を著しく低下させる場合がある。また、加工性や被削性が低下して、コストの著しい上昇を招く場合がある。
Cr含有率の好ましい範囲は1.3質量%以上1.6質量%以下である。
Crは、マトリックスに固溶して、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗性を向上させる元素である。また、Cと結合して微細な炭化物を形成することで耐摩耗性を向上させる。Crの含有率が1.0質量%未満であると、これらの効果が実質的に得られない。
Crの含有率が2.0質量%を超えると、製鋼過程で巨大炭化物が生成して、転がり疲労寿命や強度を著しく低下させる場合がある。また、加工性や被削性が低下して、コストの著しい上昇を招く場合がある。
Cr含有率の好ましい範囲は1.3質量%以上1.6質量%以下である。
[不可避不純物]
不可避不純物としては、硫黄(S)、リン(P)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、酸素(O)が含まれる。これらの元素の含有率は、軸受材料として使用できる清浄度(「JIS G 4805」で規定されている範囲)を満足するものとする。
不可避不純物としては、硫黄(S)、リン(P)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、酸素(O)が含まれる。これらの元素の含有率は、軸受材料として使用できる清浄度(「JIS G 4805」で規定されている範囲)を満足するものとする。
本発明の方法によれば、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を6.0μm以下として、軌道輪の靱性を高くすることができる。
本発明の転がり軸受は、本発明の方法で得られた靱性の高い軌道輪を回転輪として備えることで、工作機械等の高速回転軸を支持する用途に適したものとなる。
本発明の転がり軸受は、本発明の方法で得られた靱性の高い軌道輪を回転輪として備えることで、工作機械等の高速回転軸を支持する用途に適したものとなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態では、高炭素クロム軸受鋼第2種(SUJ2)からなる素材を内輪(回転輪)の形状に加工した後、図1に示す熱処理または図2に示す熱処理を行う。
図1の熱処理では、840℃(AC1変態点以上の温度)に30分保持した後に油冷する(Ar1変態点以下の温度に冷却する)加熱冷却工程を2回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行う。加熱冷却工程は3回以上繰り返してもよい。
本発明の実施形態では、高炭素クロム軸受鋼第2種(SUJ2)からなる素材を内輪(回転輪)の形状に加工した後、図1に示す熱処理または図2に示す熱処理を行う。
図1の熱処理では、840℃(AC1変態点以上の温度)に30分保持した後に油冷する(Ar1変態点以下の温度に冷却する)加熱冷却工程を2回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行う。加熱冷却工程は3回以上繰り返してもよい。
図2の熱処理では、加熱冷却工程として、840℃に30分保持した後に300℃(Ar1変態点以下の温度)まで冷却し、再度840℃まで加熱して、840℃に30分保持後に油冷する。その後、170℃で120分保持する焼戻し工程を行う。加熱冷却工程は3回以上繰り返してもよい。
図1または図2の熱処理を行うことにより、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を6.0μm以下にすることができる。この内輪を回転輪として備えた転がり軸受は内輪の軌道面の靱性が高くなることで、高速回転軸を支持する用途に適したものとなる。
図1または図2の熱処理を行うことにより、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を6.0μm以下にすることができる。この内輪を回転輪として備えた転がり軸受は内輪の軌道面の靱性が高くなることで、高速回転軸を支持する用途に適したものとなる。
炭素(C)含有率が1.0質量%、珪素(Si)含有率が0.25質量%、マンガン(Mn)含有率が0.4質量%、クロム(Cr)含有率が1.5質量%であるSUJ2からなる素材を、旧オーステナイト結晶粒径測定用、シャルピー衝撃値測定用、転動疲労寿命測定用の各試験片形状に切り出した。これらに対して表1に示す各方法で熱処理を行い、各試験用の試験片を得た。なお、この素材のAC1変態点は751℃であり、Ar1変態点は720℃である。
No. 1では、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を2回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 2では、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を3回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 3では、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を4回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 2では、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を3回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 3では、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を4回繰り返した後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 4では、800℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行った後に、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行い、次いで、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 5では、840℃に30分保持した後に300℃まで冷却する加熱冷却工程を1回行った後に、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行い、次いで、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 5では、840℃に30分保持した後に300℃まで冷却する加熱冷却工程を1回行った後に、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行い、次いで、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 6では、840℃に30分保持した後に300℃まで冷却する加熱冷却工程を2回繰り返した後に、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行い、次いで、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 7では、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行った後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 8では、800℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行った後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 7では、840℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行った後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
No. 8では、800℃に30分保持した後に油冷する加熱冷却工程を1回行った後に、170℃で120分保持する焼戻し工程を行った。
旧オーステナイト結晶粒径の平均値の測定は、「JIS G 0551」に基づいて行った。すなわち、エッチング液により試験片の表面を腐食してオーステナイト組織を現出させ、その部分を走査型電子顕微鏡で拡大して所定範囲の結晶粒径を測定し、その平均値を算出した。その結果を表1に「γ粒径(μm)」で示す。
シャルピー衝撃値の測定は、「JIS Z 2242」に基づいて、「JIS Z 2202」のUノッチ試験片を用いた方法で行った。そして、各サンプルの測定値をNo. 7の測定値で除算し、No. 7に対する比を算出した。その結果を表1に「シャルピー衝撃値(比)」で示す。
シャルピー衝撃値の測定は、「JIS Z 2242」に基づいて、「JIS Z 2202」のUノッチ試験片を用いた方法で行った。そして、各サンプルの測定値をNo. 7の測定値で除算し、No. 7に対する比を算出した。その結果を表1に「シャルピー衝撃値(比)」で示す。
転動疲労寿命の測定は、森式スラスト転がり寿命試験機を用い下記の条件で行った。
荷重:8900N
回転速度:1000min- 1
潤滑油:♯68タービン油
寿命試験は、表1のNo. 1〜8の各サンプルについて10個ずつ行い、剥離が発生した時点までの寿命(総回転数)を調べた。その結果をワイブル分布のグラフ(累積破損確率−寿命)にプロットし、このグラフからL10寿命を求めた。そして、得られた各サンプルのL10寿命をNo. 7のL10寿命で除算し、No. 7に対する比を算出した。その結果を表1に「L10寿命(比)」で示す。
荷重:8900N
回転速度:1000min- 1
潤滑油:♯68タービン油
寿命試験は、表1のNo. 1〜8の各サンプルについて10個ずつ行い、剥離が発生した時点までの寿命(総回転数)を調べた。その結果をワイブル分布のグラフ(累積破損確率−寿命)にプロットし、このグラフからL10寿命を求めた。そして、得られた各サンプルのL10寿命をNo. 7のL10寿命で除算し、No. 7に対する比を算出した。その結果を表1に「L10寿命(比)」で示す。
また、表1の結果を、シャルピー衝撃値(比)を縦軸とし、旧オーステナイト結晶粒径(平均値)を横軸としたグラフにまとめた。
表1に示すように、本発明の実施例に相当するNo. 1〜6は、旧オーステナイト結晶粒径の平均値が3.7〜5.8μmであり、比較例に相当するNo. 7および8は、旧オーステナイト結晶粒径の平均値が8.0〜12.0μmであった。また、本発明の実施例に相当するNo. 1〜6は、比較例に相当するNo. 7および8と比較して、シャルピー衝撃値が高く、L10寿命は同等程度であった。すなわち、No. 1〜6の方法で熱処理をすることにより、転動疲労寿命を低下させずに靱性を高くできることが分かる。
表1に示すように、本発明の実施例に相当するNo. 1〜6は、旧オーステナイト結晶粒径の平均値が3.7〜5.8μmであり、比較例に相当するNo. 7および8は、旧オーステナイト結晶粒径の平均値が8.0〜12.0μmであった。また、本発明の実施例に相当するNo. 1〜6は、比較例に相当するNo. 7および8と比較して、シャルピー衝撃値が高く、L10寿命は同等程度であった。すなわち、No. 1〜6の方法で熱処理をすることにより、転動疲労寿命を低下させずに靱性を高くできることが分かる。
また、図3のグラフから、旧オーステナイト結晶粒径を6.0μm以下とすることにより、シャルピー衝撃値が著しく高くなることが分かる。この結果から、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒径の平均値を6.0μm以下とすることで、好ましくは4.0μm以下とすることで、軌道面の靱性を良好にできることが分かる。
Claims (2)
- 炭素(C)含有率が0.6質量%以上1.2質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.2質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上0.5質量%以下、クロム(Cr)含有率が1.0質量%以上2.0質量%以下であり、残部鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後に、
この加工された素材をAC1変態点以上の温度に所定時間保持した後にAr1変態点以下の温度に冷却する加熱冷却工程を2回以上繰り返した後、焼戻し工程を行うことを特徴とする転がり軸受の軌道輪の製造方法。 - 請求項1記載の方法で製造され、軌道面の表層部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が6.0μm以下とされた軌道輪を、回転輪として備えたことを特徴とする転がり軸受。
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JP2008297620A (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Nachi Fujikoshi Corp | 高炭素クロム軸受鋼の焼入方法および高炭素クロム軸受鋼ならびに軸受部品および転がり軸受 |
JP2013072104A (ja) * | 2011-09-27 | 2013-04-22 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 靭性、耐磨耗性に優れる鋼 |
KR101336770B1 (ko) | 2011-10-21 | 2013-12-04 | 주식회사 청림열처리 | 열처리 방법 |
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