JP2006299313A - 転がり支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 圧延機用転がり軸受のように、高負荷下及び高面圧下で且つ異物混入下で使用される転がり支持装置の転がり疲れ寿命を長くする。
【解決手段】 内輪1、外輪2、及びころ3の少なくとも一つを、C:0.1〜0.6%、Cr:0.3〜2.0質量%、Si:0.1〜0.6質量%、Mn:0.3〜2.0質量%、Mo:2.0質量%以下、Ni:5.0質量%以下、O:12ppm以下、残部:Fe及び不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、表面硬化熱処理を含む熱処理を施して作製する。そして、その転がり面1A,2A,3Aをなす表層部は、γR を20〜45体積%とし、その芯部は、1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を30μm以下で且つ60μm以上の旧オーステナイト結晶粒を5個以下とし、硬さをHv330以上とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 内輪1、外輪2、及びころ3の少なくとも一つを、C:0.1〜0.6%、Cr:0.3〜2.0質量%、Si:0.1〜0.6質量%、Mn:0.3〜2.0質量%、Mo:2.0質量%以下、Ni:5.0質量%以下、O:12ppm以下、残部:Fe及び不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、表面硬化熱処理を含む熱処理を施して作製する。そして、その転がり面1A,2A,3Aをなす表層部は、γR を20〜45体積%とし、その芯部は、1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を30μm以下で且つ60μm以上の旧オーステナイト結晶粒を5個以下とし、硬さをHv330以上とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、転がり軸受、ボールねじ、リニアガイド等の転がり支持装置に関するものである。
鉄鋼設備で使用される転がり軸受は、高負荷下及び高面圧下等の苛酷な使用環境下で用いられることが多いため、このような苛酷な使用環境下においても転がり疲れ寿命を長くすることが要求されている。
このため、このような苛酷な使用環境下で用いられる転がり軸受では、Ni(ニッケル)やMo(モリブデン)が添加されたSNCM815等の肌焼鋼に対して、剪断応力に耐え得る有効硬化層深さが得られる条件で長時間の浸炭焼入れ及び焼戻しが施された転動部材が用いられている。
このため、このような苛酷な使用環境下で用いられる転がり軸受では、Ni(ニッケル)やMo(モリブデン)が添加されたSNCM815等の肌焼鋼に対して、剪断応力に耐え得る有効硬化層深さが得られる条件で長時間の浸炭焼入れ及び焼戻しが施された転動部材が用いられている。
また、特許文献1では、高負荷下及び高面圧下で且つ異物混入下で生じる表面損傷を抑制するために、内輪、外輪、及び転動体のうち少なくとも一つを、単位面積当たりに存在する非金属介在物(酸化物系介在物)の数や大きさを規定した鋼で作製するとともに、その表面層の残留オーステナイト量を20体積%以上45体積%以下とすることが提案されている。
さらに、特許文献2〜特許文献4では、高負荷下及び高面圧下で且つ清浄環境下で生じる非金属介在物を起点とする内部損傷を抑制するために、軸受鋼中の単位面積や単位体積当たりに存在する非金属介在物(酸化物系介在物やTi系介在物)の数や大きさを規定することが提案されている。
ところで、近年、特に圧延機用転がり軸受では、その使用環境のさらなる高負荷化が進み、特に高い剪断応力が加わることから、上述した異物混入による表面損傷に加えて、上述した内部損傷とは異なる形態の独特の損傷が生じることで、転がり疲れ寿命を長くできないことが問題となっている。
特開平3ー56640号公報
特開平6−145883号公報
特開2004−84869号公報
特開平7−109541号公報
ところで、近年、特に圧延機用転がり軸受では、その使用環境のさらなる高負荷化が進み、特に高い剪断応力が加わることから、上述した異物混入による表面損傷に加えて、上述した内部損傷とは異なる形態の独特の損傷が生じることで、転がり疲れ寿命を長くできないことが問題となっている。
しかしながら、上述した特許文献1〜4に記載の技術では、非金属介在物を起点とする内部損傷や異物混入による表面損傷を抑制することはできるが、上述した独特の損傷を抑制することは難しい。このため、上述した特許文献1〜4に記載の技術には、圧延機用転がり軸受のように、上述した独特の損傷が生じる転がり支持装置の転がり疲れ寿命を長くするという点でさらなる改善の余地がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、圧延機用転がり軸受のように、高負荷下、高面圧下、及び異物混入下等の苛酷な使用環境下で用いられる転がり支持装置の転がり疲れ寿命を長くすることを課題としている。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、圧延機用転がり軸受のように、高負荷下、高面圧下、及び異物混入下等の苛酷な使用環境下で用いられる転がり支持装置の転がり疲れ寿命を長くすることを課題としている。
このような課題を解決するために、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、圧延機用転がり軸受で生じる独特の損傷は、表面よりも深い位置(芯部)において、粗大化した結晶粒を起点とする亀裂が進展することで生じていることを発見した。また、結晶粒の粗大化に加えて、熱処理時に発生する引っ張り残留応力が芯部の疲労強度を低下させる要因となっていることも発見した。
そこで、本発明者は、芯部において、マルテンサイト組織を構成する旧オーステナイト結晶粒を微細化し、且つ、引っ張り残留応力の発生を抑制することで、上述した独特の損傷を抑制可能であることを見出して、本発明をなすに至った。また、本発明者は、旧オーステナイト結晶粒を微細化する方法として、鋼からなる素材にNb(ニオブ)やAl(アルミニウム)等の粒成長ピン止め効果を有する元素を添加する方法ではなく、鋼の熱処理を工夫する方法を採用することで、素材のコストを上昇させることなく、上述した独特の損傷を抑制可能であることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る請求項1に記載の転がり支持装置は、互いに対向配置される軌道面を有する第一部材及び第二部材と、前記第一部材及び前記第二部材の間に転動自在に配設され、前記軌道面に対する転動面を有する転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記第一部材及び前記第二部材のうち一方が他方に対して相対運動する転がり支持装置において、前記第一部材、前記第二部材、及び前記転動体のうち少なくとも一つは、鋼からなる素材を所定形状に加工した後、熱処理が施されて得られ、その転がり面をなす表層部は、残留オーステナイト量が20体積%以上45体積%以下となっているとともに、その芯部は、1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が30μm以下で、1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒が5個以下で、硬さがHv330以上となっていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る請求項2に記載の転がり支持装置は、互いに対向配置される軌道面を有する第一部材及び第二部材と、前記第一部材及び前記第二部材の間に転動自在に配設され、前記軌道面に対する転動面を有する転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記第一部材及び前記第二部材のうち一方が他方に対して相対運動する転がり支持装置において、前記第一部材、前記第二部材、及び前記転動体の少なくとも一つは、C含有率が0.1質量%以上0.6質量%以下、Cr含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、Si含有率が0.1質量%以上0.6質量%以下、Mn含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、Mo含有率が2.0質量%以下、Ni含有率が5.0質量%以下、O含有率が12ppm以下、残部がFe及び不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、表面硬化熱処理を含む熱処理が施されて得られ、その転がり面をなす表層部は、残留オーステナイト量が20体積%以上45体積%以下となっているとともに、その芯部は、1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が30μm以下で、1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒が5個以下で、硬さがHv330以上となっていることを特徴としている。
さらに、本発明に係る請求項3に記載の転がり支持装置は、圧延機の回転部分を支持するために使用される転がり軸受であることを特徴としている。
なお、本発明において「転がり支持装置」とは、例えば、転がり軸受、ボールねじ、リニアガイドを指す。ここで、転がり支持装置が転がり軸受の場合には、第一部材及び第二部材は内輪及び外輪を指す。また、転がり支持装置がボールねじの場合には、第一部材及び第二部材はねじ軸及びナットを指す。さらに、転がり支持装置がリニアガイドの場合には、第一部材及び第二部材は案内レール及びスライダを指す。
なお、本発明において「転がり支持装置」とは、例えば、転がり軸受、ボールねじ、リニアガイドを指す。ここで、転がり支持装置が転がり軸受の場合には、第一部材及び第二部材は内輪及び外輪を指す。また、転がり支持装置がボールねじの場合には、第一部材及び第二部材はねじ軸及びナットを指す。さらに、転がり支持装置がリニアガイドの場合には、第一部材及び第二部材は案内レール及びスライダを指す。
また、本発明において「転がり面」とは、他の部材と転がり接触する面を指し、例えば、第一部材及び第二部材の軌道面や、転動体の転動面を指す。
さらに、本発明において「表層部」とは、表面から所定深さ(例えば0.1μm)までの部分を指し、「芯部」とは、素材と含有成分に差がない部分を指す。
さらに、本発明において「旧オーステナイト結晶粒」とは、焼入れ前のオーステナイト結晶粒を指し、焼入れ及び焼戻し後にマルテンサイト組織を腐食させることで現出できるものである。
本発明に係る転がり支持装置は、以下に示す特定の鋼からなる素材を所定形状に加工した後、以下に示す表面硬化熱処理を含む熱処理を施して、転動部材(第一部材、第二部材、転動体)における芯部の構成と表層部の構成とを特定することで完成させることができる。
さらに、本発明において「表層部」とは、表面から所定深さ(例えば0.1μm)までの部分を指し、「芯部」とは、素材と含有成分に差がない部分を指す。
さらに、本発明において「旧オーステナイト結晶粒」とは、焼入れ前のオーステナイト結晶粒を指し、焼入れ及び焼戻し後にマルテンサイト組織を腐食させることで現出できるものである。
本発明に係る転がり支持装置は、以下に示す特定の鋼からなる素材を所定形状に加工した後、以下に示す表面硬化熱処理を含む熱処理を施して、転動部材(第一部材、第二部材、転動体)における芯部の構成と表層部の構成とを特定することで完成させることができる。
以下、本発明における各数値限定の理由について詳細に説明する。
<C含有率:0.1質量%以上0.6質量%以下>
C(炭素)は、基地をマルテンサイト化することにより、鋼に必要な強度と寿命を付与する作用を有する。ここで、表層部のC含有率は、表面硬化熱処理として浸炭処理や浸炭窒化処理を行う場合に添加することができるため、素材をなす鋼のC含有率は、完成状態の転動部材の芯部に必要な強度を付与できる量とする必要がある。よって、素材をなす鋼のC含有率は0.1質量%以上とする。
一方、素材をなす鋼のC含有率が多過ぎると、製鋼時に粗大な炭化物が生成して疲労特性を低下させるおそれがある。よって、素材をなす鋼のC含有率は0.6質量%以下とする。
<C含有率:0.1質量%以上0.6質量%以下>
C(炭素)は、基地をマルテンサイト化することにより、鋼に必要な強度と寿命を付与する作用を有する。ここで、表層部のC含有率は、表面硬化熱処理として浸炭処理や浸炭窒化処理を行う場合に添加することができるため、素材をなす鋼のC含有率は、完成状態の転動部材の芯部に必要な強度を付与できる量とする必要がある。よって、素材をなす鋼のC含有率は0.1質量%以上とする。
一方、素材をなす鋼のC含有率が多過ぎると、製鋼時に粗大な炭化物が生成して疲労特性を低下させるおそれがある。よって、素材をなす鋼のC含有率は0.6質量%以下とする。
<Cr含有率:0.3質量%以上2.0質量%以下>
Cr(クロム)は、焼入れ性及び焼戻し軟化特性を向上させることで、基地を強化して転がり疲れ寿命を向上させる作用を有する。また、Crは、高硬度で微細な炭化物や炭窒化物を生成して、耐摩耗性を向上させる作用も有する、さらに、Crは、表面硬化熱処理として浸炭処理や浸炭窒化処理を行う場合に表層部のC含有率が増加させて、浸炭特性や浸炭窒化特性を向上させる作用も有する。これらの作用を得るために、Cr含有率は0.3質量%以上とする。
一方、Cr含有率が多過ぎると、上述した効果が飽和するだけでなく、表層部に不動態膜が形成されて浸炭特性や浸炭窒化特性を阻害するおそれがある。よって、Cr含有率は2.0質量%以下とする。
Cr(クロム)は、焼入れ性及び焼戻し軟化特性を向上させることで、基地を強化して転がり疲れ寿命を向上させる作用を有する。また、Crは、高硬度で微細な炭化物や炭窒化物を生成して、耐摩耗性を向上させる作用も有する、さらに、Crは、表面硬化熱処理として浸炭処理や浸炭窒化処理を行う場合に表層部のC含有率が増加させて、浸炭特性や浸炭窒化特性を向上させる作用も有する。これらの作用を得るために、Cr含有率は0.3質量%以上とする。
一方、Cr含有率が多過ぎると、上述した効果が飽和するだけでなく、表層部に不動態膜が形成されて浸炭特性や浸炭窒化特性を阻害するおそれがある。よって、Cr含有率は2.0質量%以下とする。
<Si含有率:0.1質量%以上0.6質量%以下>
Si(ケイ素)は、製鋼時に脱酸剤及び脱硫剤としての作用を有する。この作用を得るために、Si含有率は0.1質量%以上とする。
一方、Si含有率が多過ぎると、素材の鍛造性及び被削性等の機械加工性が低下する。よって、Si含有率は0.6質量%以下とする。
Si(ケイ素)は、製鋼時に脱酸剤及び脱硫剤としての作用を有する。この作用を得るために、Si含有率は0.1質量%以上とする。
一方、Si含有率が多過ぎると、素材の鍛造性及び被削性等の機械加工性が低下する。よって、Si含有率は0.6質量%以下とする。
<Mn含有率:0.3質量%以上2.0質量%以下>
Mn(マンガン)は、Siと同様に、製鋼時に脱酸剤及び脱硫剤としての作用を有する他、焼入れ性を向上させる作用を有する。これらの作用を得るために、Mn含有率は0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上とする。
一方、Mn含有率が多過ぎると、非金属介在物が多く生成されて転がり寿命特性が低下するおそれがあるとともに、素材の鍛造性及び被削性等の機械加工性が低下する。よって、Mn含有率は2.0質量%以下とする。
Mn(マンガン)は、Siと同様に、製鋼時に脱酸剤及び脱硫剤としての作用を有する他、焼入れ性を向上させる作用を有する。これらの作用を得るために、Mn含有率は0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上とする。
一方、Mn含有率が多過ぎると、非金属介在物が多く生成されて転がり寿命特性が低下するおそれがあるとともに、素材の鍛造性及び被削性等の機械加工性が低下する。よって、Mn含有率は2.0質量%以下とする。
<Mo含有率:2.0質量%以下,Ni含有率:5.0質量%以下>
Mo(モリブデン)やNi(ニッケル)は、焼入れ性を向上させることにより、基地を強化して転がり疲れ寿命を向上させる作用を有する。特に、圧延機用転がり軸受のように、軌道輪の肉厚が大きい場合には、Mo及びNiの少なくとも一つの元素を添加する必要がある。
一方、Mo含有率やNi含有率が多過ぎると、熱間加工性の劣化や製造コストの上昇を招く。よって、Mo含有率は2.0質量%以下とし、Ni含有率は5.0質量%以下とする。
Mo(モリブデン)やNi(ニッケル)は、焼入れ性を向上させることにより、基地を強化して転がり疲れ寿命を向上させる作用を有する。特に、圧延機用転がり軸受のように、軌道輪の肉厚が大きい場合には、Mo及びNiの少なくとも一つの元素を添加する必要がある。
一方、Mo含有率やNi含有率が多過ぎると、熱間加工性の劣化や製造コストの上昇を招く。よって、Mo含有率は2.0質量%以下とし、Ni含有率は5.0質量%以下とする。
<O含有率:12ppm以下>
O(酸素)は、硬質な酸化物系介在物を形成して、転がり疲れ寿命を低下させる。このため、O含有率は出来る限り少なくする必要がある。よって、O含有率は12ppm以下、好ましくは9ppm以下とする。
O(酸素)は、硬質な酸化物系介在物を形成して、転がり疲れ寿命を低下させる。このため、O含有率は出来る限り少なくする必要がある。よって、O含有率は12ppm以下、好ましくは9ppm以下とする。
<表層部の構成について>
異物混入下で生じる表面損傷を抑制するために、転動部材の転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量は、20体積%以上、好ましくは25体積%以上とする。
一方、転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量が45体積%を超えると、塑性変形を起こし易くなる。よって、転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量は45体積%以下とする。
また、表層部に転動部材として必要な硬さを付与するために、熱処理後の表層部のC含有率は0.5質量%以上とすることが好ましく、0.9質量%以上とすることがより好ましい。
一方、表層部のC含有率が多過ぎると、巨大炭化物の生成や異常組織が発生するため、熱処理後の表層部のC含有率は1.8質量%以下とすることが好ましく、1.2質量%以下とすることがより好ましい。
異物混入下で生じる表面損傷を抑制するために、転動部材の転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量は、20体積%以上、好ましくは25体積%以上とする。
一方、転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量が45体積%を超えると、塑性変形を起こし易くなる。よって、転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量は45体積%以下とする。
また、表層部に転動部材として必要な硬さを付与するために、熱処理後の表層部のC含有率は0.5質量%以上とすることが好ましく、0.9質量%以上とすることがより好ましい。
一方、表層部のC含有率が多過ぎると、巨大炭化物の生成や異常組織が発生するため、熱処理後の表層部のC含有率は1.8質量%以下とすることが好ましく、1.2質量%以下とすることがより好ましい。
<芯部の構成について>
上述した結晶粒を起点とする損傷を抑制するために、芯部の1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径は30μm以下とし、1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒は5個以下とする。
ここで、芯部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が30μmを超えると、上述した粗大な結晶粒を起点とする損傷が生じ易くなる。また、芯部の1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒が5個を超えると、上述した粗大な結晶粒を起点とする損傷が生じ易くなる。
上述した結晶粒を起点とする損傷を抑制するために、芯部の1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径は30μm以下とし、1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒は5個以下とする。
ここで、芯部の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が30μmを超えると、上述した粗大な結晶粒を起点とする損傷が生じ易くなる。また、芯部の1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒が5個を超えると、上述した粗大な結晶粒を起点とする損傷が生じ易くなる。
なお、芯部の1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径と、1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒の下限値は、いずれも熱処理時に著しいコストの上昇を招かない範囲で出来る限り少なくすることが好ましい。
また、芯部の硬さは、熱処理時に発生する引っ張り残留応力に耐えうる疲労強度を付与するために、Hv330以上とする必要がある。一方、芯部の硬さが硬過ぎると、芯部で割れが生じ易くなる。よって、芯部の硬さは、Hv595以下とすることが好ましい。
また、芯部の硬さは、熱処理時に発生する引っ張り残留応力に耐えうる疲労強度を付与するために、Hv330以上とする必要がある。一方、芯部の硬さが硬過ぎると、芯部で割れが生じ易くなる。よって、芯部の硬さは、Hv595以下とすることが好ましい。
<熱処理について>
上述した特定の鋼を用いて、上述した構成の転動部材を得るための熱処理としては、特に限定されないが、例えば、下記に示す三つの方法が挙げられる。
第一の方法としては、浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、焼入れ又は空冷を行い、さらに、オーステナイト変態点以上の温度への加熱を二回以上繰り返し行った後、焼戻しを行う方法が挙げられる。
具体的には、まず、850〜1050℃程度で浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、焼鈍を行うか、オーステナイト温度域直上から焼入れを行う(工程1)。これにより、表層部に転動部材として必要な硬さが付与される。
上述した特定の鋼を用いて、上述した構成の転動部材を得るための熱処理としては、特に限定されないが、例えば、下記に示す三つの方法が挙げられる。
第一の方法としては、浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、焼入れ又は空冷を行い、さらに、オーステナイト変態点以上の温度への加熱を二回以上繰り返し行った後、焼戻しを行う方法が挙げられる。
具体的には、まず、850〜1050℃程度で浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、焼鈍を行うか、オーステナイト温度域直上から焼入れを行う(工程1)。これにより、表層部に転動部材として必要な硬さが付与される。
次に、オーステナイト変態点以上の温度へ加熱を行った後、焼入れ又は空冷を行う処理を、二回以上繰り返し行う(工程2)。このとき、工程1で焼入れを行った場合の工程2の加熱温度は、工程1の焼入れ前の温度よりも低く、且つ、オーステナイト変態点以上とする必要がある。また、工程2の最後の処理は、表層部に転動部材として必要な硬さを得るために、オーステナイト変態点以上の温度へ加熱を行った後、空冷ではなく焼入れとする必要がある。
これにより、転動部材の芯部及び表層部において、旧オーステナイト結晶粒の核発生が促進されて、工程1で粗大化した旧オーステナイト結晶粒が微細化する。なお、工程2の処理回数を4回以上とすると、旧オーステナイト結晶粒の微細化効果が飽和するとともに、熱処理コストが上昇するため、3回以下とすることが好ましい。
次に、150〜220℃程度で2時間程度の焼戻しを行う(工程3)。これにより、表層部に転動部材として必要な硬さを付与するとともに、異物混入下での表面損傷を抑制する効果を有する残留オーステナイト量を本発明の範囲内にすることができる。
第二の方法としては、浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、オーステナイト変態点以下まで過冷してオースフォーミングを行い、さらにオーステナイト変態点以上に加熱して焼入れ及び焼戻し処理を行う方法が挙げられる。
第二の方法としては、浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、オーステナイト変態点以下まで過冷してオースフォーミングを行い、さらにオーステナイト変態点以上に加熱して焼入れ及び焼戻し処理を行う方法が挙げられる。
具体的には、まず、850〜1050℃程度で浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、オーステナイト変態点以下まで過冷してオースフォーミングを行う。これにより、オースフォーミング後の組織が微細化するとともに、多量の格子歪みが発生するため、転動部材の芯部及び表層部において、旧オーステナイト結晶粒の核発生が促進されて、旧オーステナイト結晶粒が微細化する。
次に、オーステナイト変態点以上に加熱して、焼入れ及び焼戻しを行う。これにより、表層部に転動部材として必要な硬さを付与するとともに、異物混入下での表面損傷を抑制する効果を有する残留オーステナイト量を本発明の範囲内にすることができる。
第三の方法としては、浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後に、数段階のステップを経て、温度を低下させた後、焼入れ処理及び焼戻し処理を行う方法が挙げられる。
第三の方法としては、浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後に、数段階のステップを経て、温度を低下させた後、焼入れ処理及び焼戻し処理を行う方法が挙げられる。
具体的には、まず、850〜1050℃程度で浸炭処理又は浸炭窒化処理を行った後、ステップを経て温度を低下させる。これにより、転動部材の芯部及び表層部において、旧オーステナイト結晶粒の核発生が促進されて、旧オーステナイト結晶粒が微細化する。
次に、オーステナイト変態点以上に加熱して、焼入れ及び焼戻しを行う。これにより、表層部に転動部材として必要な硬さを付与するとともに、異物混入下での表面損傷を抑制する効果を有する残留オーステナイト量を本発明の範囲内にすることができる。
次に、オーステナイト変態点以上に加熱して、焼入れ及び焼戻しを行う。これにより、表層部に転動部材として必要な硬さを付与するとともに、異物混入下での表面損傷を抑制する効果を有する残留オーステナイト量を本発明の範囲内にすることができる。
本発明に係る転がり支持装置によれば、転動部材(第一部材、第二部材、転動体)の少なくとも一つにおいて、その転がり面をなす表層部の残留オーステナイトと、その芯部の1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径及び所定粒径の個数とを特定したことにより、異物混入による表面損傷が抑制されるとともに、芯部における粗大な結晶粒を起点とする損傷が抑制される。
よって、本発明に係る転がり支持装置は、圧延機用転がり軸受のように、高負荷下、高面圧下、及び異物混入下等の苛酷な使用環境下で用いられた場合であっても、転がり疲れ寿命を長くできる。
また、本発明に係る転がり支持装置の転動部材の少なくとも一つを、特定の鋼からなる素材を所定形状に加工した後、表面硬化熱処理を含む熱処理を施すことで作製し、その転がり面をなす表層部及び芯部を特定の構成とすることにより、素材のコストを上昇させることなく、転がり疲れ寿命を長くできる。
また、本発明に係る転がり支持装置の転動部材の少なくとも一つを、特定の鋼からなる素材を所定形状に加工した後、表面硬化熱処理を含む熱処理を施すことで作製し、その転がり面をなす表層部及び芯部を特定の構成とすることにより、素材のコストを上昇させることなく、転がり疲れ寿命を長くできる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、図1に示す構成の円筒ころ軸受(呼び番号NU228:内径140mm,外径250mm,幅42mm)を、以下に示す方法で作製した。この円筒ころ軸受(転がり支持装置)10は、図1に示すように、内輪(第一部材)1と、外輪(第二部材)2と、円筒状の複数のころ(転動体)3と、保持器4と、からなる。
内輪1、外輪2、及びころ3は、以下の手順で作製した。
まず、表1に示す各含有率のC,Cr,Si,Mn,Mo,Niが添加され、且つ、O含有率が12ppm以下の鋼からなる素材を、鍛造や旋削等により所定形状に加工した。
本実施形態では、図1に示す構成の円筒ころ軸受(呼び番号NU228:内径140mm,外径250mm,幅42mm)を、以下に示す方法で作製した。この円筒ころ軸受(転がり支持装置)10は、図1に示すように、内輪(第一部材)1と、外輪(第二部材)2と、円筒状の複数のころ(転動体)3と、保持器4と、からなる。
内輪1、外輪2、及びころ3は、以下の手順で作製した。
まず、表1に示す各含有率のC,Cr,Si,Mn,Mo,Niが添加され、且つ、O含有率が12ppm以下の鋼からなる素材を、鍛造や旋削等により所定形状に加工した。
次に、これらに表2に示す各条件の熱処理を施した後、研削等の仕上げ加工を施すことで完成させた。なお、表2中に(1)で示す熱処理方法は、図2に示す熱処理を指す。同様に、表2中に(2)で示す熱処理方法は図3に示す熱処理方法を、表2中に(3)で示す熱処理方法は図4に示す熱処理方法を、表2中に(4)で示す熱処理方法は図5に示す熱処理方法をそれぞれ指す。
ここで、本実施形態で作製した円筒ころ軸受10は、通常の圧延機用転がり軸受(例えば、呼び番号850RV1133:内径850mm,外径1180mm,幅650mm,ころ直径80mm)と比較して極めて小さい。よって、本実施形態では、円筒ころ軸受10を構成する転動部材(内輪1、外輪2、ころ3)において、上述した呼び番号850RV1133用の転動部材に100時間浸炭処理を施した場合と同様の有効硬化層深さと結晶粒度が得られるように工程1を行った。具体的には、RXガス(空気とプロパンガスの混合ガス)の雰囲気中において所定時間加熱保持した後、プロパンガスをさらに導入して所定時間加熱保持することにより、浸炭処理を行った。
次に、得られた内輪1、外輪2、及びころ3のうち破壊試験用のサンプルに対して、転がり面(軌道面1A,2Aと転動面3A)をなす表層部(表面から0.1μmの深さまでの部分)の残留オーステナイト量(γR )と、芯部(浸炭層が形成されていない部分)の単位面積(1mm2 )当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径、最大粒径、及び粒径が60μm以上の結晶粒の個数と、をそれぞれ測定した。
これらの結果は、表2に併せて示した。また、得られた内輪1、外輪2、及びころ3の転がり面をなす表層部のC含有率は、いずれも0.5質量%以上1.8質量%以下であった。
なお、前記表層部の残留オーステナイト量(体積比)は、表面から0.1μmの深さまでの部分でX線回折装置により測定した。
これらの結果は、表2に併せて示した。また、得られた内輪1、外輪2、及びころ3の転がり面をなす表層部のC含有率は、いずれも0.5質量%以上1.8質量%以下であった。
なお、前記表層部の残留オーステナイト量(体積比)は、表面から0.1μmの深さまでの部分でX線回折装置により測定した。
また、前記芯部に存在する旧オーステナイトの結晶粒径は、以下のように測定した。まず、内輪1、外輪2、及びころ3をそれぞれ切断し、これらの切断面をピクリン酸溶液(ピクラール:ラウリルベンゼンスルフォン酸=1:1)を用いて腐食させることで、芯部の組織を現出させた。そして、この組織を走査型電子顕微鏡で観察し、結晶粒界をトレースして画像処理することにより、1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒径の平均粒径と、最大粒径と、粒径が60μm以上の結晶粒の個数と、をそれぞれ算出した。
さらに、前記芯部の硬さは、浸炭層が形成されていない部分でビッカース硬さ試験法を用いて算出した。
さらに、前記芯部の硬さは、浸炭層が形成されていない部分でビッカース硬さ試験法を用いて算出した。
次に、得られた内輪1、外輪2、及びころ3のうち寿命試験用のサンプルと、鋼製の保持器4と、を用いて、円筒ころ軸受10を組み立てた。そして、この円筒ころ軸受10について、高負荷下及び高面圧下で使用することを想定した以下に示す条件で寿命試験を行った。
この寿命試験は、内輪1、外輪2、及びころ3の少なくとも一つに損傷が生じるまで内輪1を回転させることで行い、損傷が生じるまでの回転時間を寿命とした。また、この寿命試験は、各サンプルについてそれぞれ20回の寿命試験を行って、ワイブル分布関数に基づくL10寿命を計算し、No.11のL10寿命を1とした時の比を、表2に併せて示した。
<寿命試験条件>
ラジアル荷重:P/C=0.6
回転速度:1000min-1
潤滑油:Ro68
この寿命試験は、内輪1、外輪2、及びころ3の少なくとも一つに損傷が生じるまで内輪1を回転させることで行い、損傷が生じるまでの回転時間を寿命とした。また、この寿命試験は、各サンプルについてそれぞれ20回の寿命試験を行って、ワイブル分布関数に基づくL10寿命を計算し、No.11のL10寿命を1とした時の比を、表2に併せて示した。
<寿命試験条件>
ラジアル荷重:P/C=0.6
回転速度:1000min-1
潤滑油:Ro68
表2に示すように、内輪1、外輪2、及びころ3を本発明の構成(転がり面をなす表層部の構成、芯部の構成)とした実施例No.1〜No.9では、本発明の構成外の比較例No.10〜13と比較して、長寿命であり、No.11の6.8倍以上の寿命が得られた。
このうち、同一鋼種を用いて異なる熱処理を施したNo.2とNo.3では、工程2におけるオーステナイト変態点以上の温度までの加熱回数が多いNo.3のほうが、長寿命が得られていた。
このうち、同一鋼種を用いて異なる熱処理を施したNo.2とNo.3では、工程2におけるオーステナイト変態点以上の温度までの加熱回数が多いNo.3のほうが、長寿命が得られていた。
続いて、内輪1、外輪2、及びころ3を、以下の手順で作製した。
まず、表1に示す鋼種Aからなる素材を、鍛造や旋削等により所定形状に加工した。次に、これらに表2に(1)で示す熱処理を焼戻し温度を種々変更して施した後、研削等の仕上げ加工を施すことで完成させた。
次に、得られた内輪1、外輪2、及びころ3のうち破壊試験用のサンプルに対して、上述と同様の方法で、転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量(γR )と、芯部の1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径、最大粒径、及び粒径が60μm以上の結晶粒の個数と、をそれぞれ測定した。これらの結果は、表3に示した。
まず、表1に示す鋼種Aからなる素材を、鍛造や旋削等により所定形状に加工した。次に、これらに表2に(1)で示す熱処理を焼戻し温度を種々変更して施した後、研削等の仕上げ加工を施すことで完成させた。
次に、得られた内輪1、外輪2、及びころ3のうち破壊試験用のサンプルに対して、上述と同様の方法で、転がり面をなす表層部の残留オーステナイト量(γR )と、芯部の1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径、最大粒径、及び粒径が60μm以上の結晶粒の個数と、をそれぞれ測定した。これらの結果は、表3に示した。
次に、得られた内輪1、外輪2、及びころ3のうち寿命試験用のサンプルと、鋼製の保持器4と、を用いて、上述と同様の円筒ころ軸受10を組み立てた。そして、この円筒ころ軸受10について、高負荷下及び高面圧下で且つ異物混入下で使用することを想定した以下に示す条件で寿命試験を行った。
この寿命試験は、上述と同様の条件に加えて、潤滑油中にFeC3 系の鉄粉を800ppm混入させた条件で行った。そして、上述と同様に、この寿命試験も、各サンプルについてそれぞれ20回の寿命試験を行って、ワイブル分布関数に基づくL10寿命を計算し、No.21のL10寿命を1とした時の比を、表3に併せて示した。
この寿命試験は、上述と同様の条件に加えて、潤滑油中にFeC3 系の鉄粉を800ppm混入させた条件で行った。そして、上述と同様に、この寿命試験も、各サンプルについてそれぞれ20回の寿命試験を行って、ワイブル分布関数に基づくL10寿命を計算し、No.21のL10寿命を1とした時の比を、表3に併せて示した。
表3に示すように、内輪1、外輪2、及びころ3を本発明の構成(転がり面をなす表層部の構成、芯部の構成)とした実施例No.21〜No.23では、転がり面の表層部の構成が本発明の構成外の比較例No.24〜26と比較して、長寿命であった。
以上の結果から、内輪1、外輪2、及びころ3を本発明の構成 (転がり面をなす表層部の構成、芯部の構成)とすることにより、高負荷下及び高面圧下で且つ異物混入下で使用される円筒ころ軸受10の転がり疲れ寿命を長くできることが分かった。すなわち、本実施形態の結果から、高負荷下、高面圧下、及び異物混入下等の苛酷な使用環境下で用いられる圧延機用転がり軸受においても、転がり疲れ寿命を長くできることが確認できた。
以上の結果から、内輪1、外輪2、及びころ3を本発明の構成 (転がり面をなす表層部の構成、芯部の構成)とすることにより、高負荷下及び高面圧下で且つ異物混入下で使用される円筒ころ軸受10の転がり疲れ寿命を長くできることが分かった。すなわち、本実施形態の結果から、高負荷下、高面圧下、及び異物混入下等の苛酷な使用環境下で用いられる圧延機用転がり軸受においても、転がり疲れ寿命を長くできることが確認できた。
1 内輪(第一部材)
1A 軌道面(転がり面)
2 外輪(第二部材)
2A 軌道面(転がり面)
3 ころ(転動体)
3A 転動面 (転がり面)
4 保持器
10 円筒ころ軸受(転がり支持装置)
1A 軌道面(転がり面)
2 外輪(第二部材)
2A 軌道面(転がり面)
3 ころ(転動体)
3A 転動面 (転がり面)
4 保持器
10 円筒ころ軸受(転がり支持装置)
Claims (3)
- 互いに対向配置される軌道面を有する第一部材及び第二部材と、前記第一部材及び前記第二部材の間に転動自在に配設され、前記軌道面に対する転動面を有する転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記第一部材及び前記第二部材のうち一方が他方に対して相対運動する転がり支持装置において、
前記第一部材、前記第二部材、及び前記転動体のうち少なくとも一つは、
鋼からなる素材を所定形状に加工した後、熱処理が施されて得られ、
その転がり面をなす表層部は、残留オーステナイト量が20体積%以上45体積%以下となっているとともに、
その芯部は、1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が30μm以下で、1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒が5個以下で、硬さがHv330以上となっていることを特徴とする転がり支持装置。 - 互いに対向配置される軌道面を有する第一部材及び第二部材と、前記第一部材及び前記第二部材の間に転動自在に配設され、前記軌道面に対する転動面を有する転動体と、を備え、前記転動体が転動することにより、前記第一部材及び前記第二部材のうち一方が他方に対して相対運動する転がり支持装置において、
前記第一部材、前記第二部材、及び前記転動体のうち少なくとも一つは、
C含有率が0.1質量%以上0.6質量%以下、Cr含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、Si含有率が0.1質量%以上0.6質量%以下、Mn含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、Mo含有率が2.0質量%以下、Ni含有率が5.0質量%以下、O含有率が12ppm以下、残部がFe及び不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、表面硬化熱処理を含む熱処理が施されて得られ、
その転がり面をなす表層部は、残留オーステナイト量が20体積%以上45体積%以下となっているとともに、
その芯部は、1mm2 当たりに存在する旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が30μm以下で、1mm2 当たりに存在する60μm以上の旧オーステナイト結晶粒が5個以下で、硬さがHv330以上となっていることを特徴とする転がり支持装置。 - 圧延機の回転部分を支持するために使用される転がり軸受であることを特徴とする請求項1又は2に記載の転がり支持装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005119924A JP2006299313A (ja) | 2005-04-18 | 2005-04-18 | 転がり支持装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005119924A JP2006299313A (ja) | 2005-04-18 | 2005-04-18 | 転がり支持装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006299313A true JP2006299313A (ja) | 2006-11-02 |
Family
ID=37467964
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005119924A Withdrawn JP2006299313A (ja) | 2005-04-18 | 2005-04-18 | 転がり支持装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006299313A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008248349A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Nsk Ltd | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
JP2008260993A (ja) * | 2007-04-11 | 2008-10-30 | Nsk Ltd | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
JP2008266683A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Nsk Ltd | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
JP2008298192A (ja) * | 2007-05-31 | 2008-12-11 | Nsk Ltd | 転がり軸受構成部材の製造方法および転がり軸受 |
-
2005
- 2005-04-18 JP JP2005119924A patent/JP2006299313A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080305 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090901 |