JP2006218426A - 塗装方法、塗装制御装置及び塗装設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塗料の配合条件などの変更が生じた場合でも、塗膜の色、質感などの視覚的特性を安定して維持することができる塗装方法、塗装制御装置及び塗装設備を提供すること。
【課題手段】 塗装ブース内に配置された自動塗装機を用いて、前記塗装ブース内の被塗物に塗料を噴霧することによる塗装方法であって、新たに配合設計された塗料を用いて被塗物に塗装を行う際に、新たに配合設計された塗料の塗膜の色及び質感を含む視覚的特性を目的変数とし、塗料の配合条件に係る要因と、少なくとも1つの塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因とを説明変数として、データベースに格納されているデータを用いて重回帰分析を行うことによって重回帰式を作成し、得られた重回帰式を用いることにより、塗装作業における目的変数と説明変数との関係を演算し、その結果に基づいて塗装操業を制御及び/又は監視する。
【選択図】図5

Description

本発明は、自動車などの車両、家庭電化製品、建材などの塗装方法、塗装制御装置及び塗装設備に関し、さらに詳しくは、塗料の配合条件の変更に対応する塗料条件、塗装条件を求め、塗装操業を制御することにより、色、質感、光輝感などの視覚的特性が安定した塗膜を得ることができる塗装方法、塗装制御装置及び塗装設備に関する。
乗用車などの車両、冷蔵庫や洗濯機などの家庭電化製品、外壁材などの建材には、通常、塗料が表面に塗装される。この塗装は、下地の鋼板などの保護を行うとともに、美観に優れた外観に仕上げることに重点が置かれている。したがって、製造ラインにおける塗装工程では、塗膜に、ブツ(塗膜表面の突起物)、色違い(目標色と塗装色との相違)、タレ(塗膜が垂れた局部的に厚い部分)、ハジキ(塗面の一部のくぼみや塗料の付かない部分)、ワキ(ピンホ−ル)などの塗装欠陥発生の防止とともに、特に上塗り段階では、塗膜の色、質感などの視覚的特性の安定化に細心の注意が払われている。
例えば、乗用車などの上塗り塗装の場合、被塗物は、温度、湿度などが管理された上塗り塗装ブース内を所定のラインスピードで移動し、その間に、塗装ブース内に設置されている自動塗装機を用いることによって塗装される。自動塗装機には、例えば、ベル型塗装機と呼ばれる回転霧化式静電塗装機が装備されており、ベル型塗装機を用いて、所定の塗料条件及び塗装条件で塗料を噴霧することにより塗装が行われている。なお、塗料条件には、塗料に含まれる溶媒の配合割合、固形分の配合割合、粘度などがあり、塗装条件には、上記のベル型塗装機の場合には、塗装雰囲気の温度と湿度と風速、塗装機の移動速度、被塗物の移動速度、塗装機の塗装ガンと被塗物間の距離、印加電圧、塗料の吐出量、ベル型塗装機のベルカップ回転数、シェーピングエア温度、シェーピングエア湿度、シェーピングエア圧、シェーピングエア流量などが含まれる。
色、質感などの塗色の視覚的特性は、上記のように様々な要因の影響を受ける。したがって、被塗物に対しては、所定のラインスピードに維持されるという制約条件の中で、所定の塗膜厚を確保するとともに、目標の色、質感を得ることができるように、塗料組成に応じて、塗料条件及び塗装条件が細かく管理された下で塗装が行われている。
近年、自動車業界においては、自動車のユーザが車に対して好印象を持つようにするとともに、好みに応じて塗装色を選択することができるようにするために、様々な塗色の塗装が行われている。特に、鱗片状金属顔料を使用したメタリック色、鱗片状基材が二酸化チタンで被覆されたパール顔料を配合したパール色が用いられるようになった。これらの塗色の場合には、上記の塗料条件、塗装条件のわずかな変更、変化であっても、色、質感などが微妙に変化することがあり、目標の色、質感を得るために、特に入念な管理、細かい調整が行われている。
塗料条件、塗装条件の管理、調整では、目標の色、質感などが得られない場合には、塗料の配合の変更が行われる。塗料の配合の変更とは、例えば、設定されている塗料の配合条件、すなわち固形分としての樹脂の種類とその配合割合、着色材の種類とその配合割合、光輝性顔料の種類とその配合割合などのうち、少なくとも1つの条件の変更することが含まれる。塗料の配合が変更されると、その配合の変更に合わせて、塗料条件、塗装条件を新たに設定しなければならない。
上記の塗料の配合条件の変更、配合条件の変更に対応する塗料条件及び塗装条件の新たな設定は、熟練した塗料技術者、塗装技術者などが、試行錯誤を繰り返して初めて決まるものである。したがって、塗料条件及び塗装条件の新たな設定には、多くの時間、工数及び費用が必要である。また、予定の期間内に新たな条件が決まらない場合、新たに設定された条件では、目標の色、質感が得られない場合には、不良品の発生を招くことがあるばかりではなく、極端な場合には、塗装ラインを停止しなければならないという事態が起こる可能性もある。そのための損失には、生産量の減少、場合によっては、納期遅れによる受注先への賠償金の支払い、信用の低下など計り知れないものが生じる可能性がある。
上記のような事態が生じることを防止するために、塗膜の仕上がり肌を予測するシミュレーションにより、塗装環境の変動に対し、一定の水準の仕上がり肌が得られるように、簡単に塗装条件を変更することができる塗装方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に開示されている方法は、連続又はタクトで搬送される被塗物に対し、霧化塗装機を駆動する自動機又は塗装ロボットで吹付け塗装を行う方法を対象としており、塗装ブース雰囲気の温度及び湿度の検出信号と、塗膜の仕上がり肌の検出信号と、予めプログラムされている塗料条件、塗装条件、塗装環境条件などと仕上がり肌との関係式に基づいて、塗装条件を制御するようになっている。
特許文献1に開示されている方法では、関係式を用いて、標準時と条件変動時における仕上がり肌を表すL.W.値を求め、変動時のL.W.値が目標の値となるように、シミュレーションにより塗料条件、塗装条件を求めるようになっている。上記の関係式は、塗料粒子などの霧化特性値とL.W.値との関係の実験式及び塗料条件、塗装条件とL.W.値との関係の実験式を基に構成されている。しかし、後者の実験式は、指数関数を用いて、全ての要因がべき乗(累乗)の積の形で表されており、L.W.値に対する各要因の寄与度が明確ではなく、精度的に必ずしも十分とは言えず、ラインスピードの変更への対応までは考慮されていないという問題点がある。
L.W.値などの塗膜の仕上がり肌を対象としているものではないが、重回帰式を用いて、ベル型塗装機で塗装される塗膜の厚さを高精度に推定する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2に開示されている方法は、塗装機の移動速度、塗装ガンと被塗物との距離、印加電圧、塗料の吐出量、シェーピングエア圧、ベルカップ回転数の6つの変数を説明変数とし、膜厚を目的変数とした重回帰式を作成し、重回帰式を用いて塗装のシミュレーションを行うことによって、膜厚を演算し推定するようになっている。この方法では、塗膜の厚さを推定することはできるが、塗膜の色、質感など視覚的特性値を推定し制御することはできない。
特開2000−246167号公報 特開平9−75839号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされてものであって、新たに塗料の配合設計が行われ、塗料の配合条件などに変更が生じた場合でも、塗膜の色、質感などの視覚的特性を安定して維持することができる塗装方法、塗装制御装置及び塗装設備を提供することを目的としている。
本発明に係る塗装方法(1)は、塗装ブース内に配置された自動塗装機を用いて、前記塗装ブース内の被塗物に塗料を噴霧することによる塗装方法において、新たに配合設計された塗料を用いて被塗物に塗装を行う際に、新たに配合設計された前記塗料の塗膜に関する色及び質感を含む塗色の視覚的特性を目的変数とし、前記塗料の配合条件に係る要因と、少なくとも1つの塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因とを説明変数として、データベースに格納されているデータを用いて重回帰分析を行うことによって得られた重回帰式を用いることにより、塗装作業における前記目的変数と前記説明変数との関係を演算し、その結果に基づいて塗装操業を制御及び/又は監視することを特徴としている。
また、本発明に係る塗装方法(2)は、上記塗装方法(1)において、前記重回帰分析を行う際に、前記データベースに格納されているデータによって重回帰分析が可能か否かを判断し、不足しているデータがある場合には、新たに配合設計された前記塗料を用いてテストパネルを作製し、不足しているデータを補充して重回帰分析を行うことを特徴としている。
また、本発明に係る塗装方法(3)は、上記塗装方法(1)又は(2)において、前記配合条件に係る要因が、前記塗料の樹脂成分の配合割合、着色材の配合割合及び光輝性顔料の配合割合のうちの少なくとも1つを含み、前記塗料条件に係る要因が、前記塗料の粘度、固形分の配合割合及び希釈用溶媒の配合割合のうちの少なくとも1つを含み、前記塗装条件に係る要因が、前記塗料の吐出量、塗装雰囲気の温度、塗装雰囲気の湿度、塗装雰囲気の風速、前記自動塗装機の移動速度、前記被塗物の移動速度、塗装ガンと前記被塗物間の距離、印加電圧、ベルカップ回転数、霧化エア圧、霧化エア流量、シェーピングエア圧、シェーピングエア温度、シェーピングエア湿度及びシェーピングエア流量のうちの少なくとも1つを含み、前記塗色の視覚的特性が、マンセル表色系の色度、L*a*b*表色系の色度、L*C*h表色系の色度、ハンターLab表色系の色度、XYZ表色系の色度、分光反射率、IV値、SV値及びフリップフロップ値のうちの少なくとも1つを含むことを特徴としている。
本発明に係る塗装制御装置は、上記塗装方法(1)〜(3)のいずれかの塗装方法の制御に用いられる塗装制御装置であって、データベースとしての役割をする重回帰式用データ記憶部、演算・制御部、入力部及び出力部を備え、新たに配合設計された塗料を対象に、塗膜の色及び質感を含む塗色の視覚的特性を目的変数とし、前記塗料の配合条件に係る要因と、少なくとも1つの塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因とを説明変数として、前記重回帰式用データ記憶部に格納されているデータを用いて重回帰分析を行うことによって得られた重回帰式を用いることにより、塗装作業における前記目的変数と前記説明変数との関係を演算し、その結果に基づいて塗装操業を制御及び/又は監視する機能を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る塗装設備は、塗装ブース内で、複数の被塗物を移動させながら塗装を行う自動塗装設備であって、上記塗装制御装置を備え、該塗装制御装置に格納されている重回帰式を用いて、目的変数値と説明変数値との関係を演算し、前記目的変数値に係る塗色の視覚的特性値と、前記説明変数値に係る塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因の値とが許容範囲内に入るように、前記塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因の値を算出し、その結果に基づいて塗装操業を制御及び/又は監視するように構成されていることを特徴としている。
なお、本明細書で用いる「塗色の視覚的特性」とは、塗膜の色、光輝感を含む質感、分光反射率等の測定可能な塗色の視覚的特性を意味する。また、以下の説明においては、「塗色の視覚的特性」を「視覚的特性」と略記することがある。さらに、「所定の配合の塗料」とは、規格、仕様等により、塗料を構成する成分及びその配合割合が規定された塗料を意味する。
上記塗装方法(1)によれば、新たに配合設計された塗料を用いて被塗物に塗装を行う場合でも、その塗色の視覚的特性値を満足する適切な塗料条件及び/又は塗装条件を、重回帰式を用いることにより、正確かつ速やかに求めることができる。特に、重回帰式を利用するために、多くのテストパネルを用いた試験を必要としないので、適切な塗料条件及び/又は塗装条件を効率的かつ経済的に求めることができるという優れた効果がある。また、常時、塗装ラインにおける塗膜の視覚的特性値と塗装操業条件との関係を分析することができる。したがって、従来のように、高い能力を備えた一部の塗装技術者に頼ることなく、新たに配合設計された塗料の実操業への適用を、迅速かつ確実に行うことができるとともに、塗装の操業状態を常時監視することができる。
また、上記塗装方法(2)によれば、データベースに蓄積されているデータのうち、不足するデータを補充して重回帰式を作成するので、効率的に高精度の重回帰式を求めることができる。
また、上記塗装方法(3)によれば、塗色の視覚的特性値別に、対象となる多くの塗料条件、塗装条件に係る要因を用いて重回帰分析を行うので、それらの要因のうち、視覚的特性値との相関が強い要因を求めることができる。したがって、重相関係数又は説明率がより高い重回帰式を求めることができる。
上記塗装制御装置によれば、上記塗装方法(1)〜(3)のいずれかを実施することができる機能を備えているので、塗装方法(1)〜(3)のいずれかによって得られる効果と同様な効果を得ることができる。
上記塗装設備によれば、上記塗装制御装置を備え、上記塗装方法(1)〜(3)のいずれかを実施可能に構成されているので、塗装方法(1)〜(3)のいずれかによって得られる効果と同様な効果を得ることができる。
はじめに、本発明の実施の形態に係る塗装方法を具体的に説明する。実施の形態に係る塗装方法は、塗装ブース内に配置された自動塗装機を用いて、塗装ブース内を移動する被塗物に塗料を噴霧することによって塗装する方法を対象としている。通常塗装ブース内は、温度が所定の条件に制御されており、水性塗料が用いられる場合には温度に加えて湿度も制御されている。そのような条件下で、所定の塗料条件及び塗装条件で、所定の視覚的特性値を満足する塗膜が得られるように、条件を制御しながら塗装されている。また、塗料の噴霧には、主にベル型塗装機と呼ばれる回転霧化式静電塗装機が用いられている。なお、本発明の実施の形態に係る塗装方法は、温度及び湿度が制御されていない塗装ブース内における塗装にも適用可能である。
実施の形態に係る塗装方法の場合、上記のような実際の塗装操業において、塗料の配合条件が変更された際に、その新たな配合の塗料を塗装することによって得られる塗膜の色、質感などの視覚的特性値が、塗装作業において目標の値になるような塗料条件、塗装条件を求め、その結果に基づいて塗装操業を制御・監視することを対象としている。すなわち、実施の形態に係る方法は、塗料の配合条件の変更に対応した塗料条件、塗装条件を、速やかに、かつ確実に求めて塗装操業に反映させることにより、得られる視覚的特性値を制御し、監視する役割を発揮する。
そのために、塗装された塗膜の色及び質感を含む視覚的特性の1つを目的変数とし、塗料の配合条件に係る要因と、少なくとも1つの塗料条件及び塗装条件に係る要因を説明変数として、データベースに格納されているデータを用いて予め重回帰式を作成し、得られた重回帰式を用いることにより、実操業における目的変数と説明変数との関係、すなわち、視覚的特性値と塗料の配合条件、塗料条件及び塗装条件に係る要因の値との関係を演算し、その演算結果を基に、新たな配合条件の塗料に対応する少なくとも1つの塗料条件及び塗装条件に係る要因の適正値を選択することにより、塗装操業を制御及び/又は監視することができるようになっている。
なお、実施の形態に係る塗装方法に用いられる重回帰式の場合、塗料の配合条件の変更に応じて、塗料条件、塗装条件のうち、少なくとも1つの適切な条件が選択されなければならない。したがって、重回帰式は、変更される塗料の配合条件の係る要因を含み、塗料の配合条件の変更に対応して、視覚的特性値の制御を行うことができる、少なくとも1つの塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因を含む式となっている。
上記の塗料の配合条件に係る主な要因には、塗料に固形分として含まれるそれぞれの樹脂の配合割合、着色材(着色顔料、染料など)の配合割合、光輝性顔料の配合割合、添加剤の配合割合などがある。また、塗料条件に係る要因には、塗料の粘度、塗料の固形分の配合割合、希釈用溶媒の配合割合などが含まれる。また、塗装条件に係る要因には、塗料の吐出量、塗装雰囲気の温度、塗装雰囲気の湿度、塗装雰囲気の風速、自動塗装機の移動速度、被塗物の移動速度、塗装ガンと被塗物間の距離、印加電圧、ベルカップ回転数(以下、ベル回転数と略記する)、霧化エア圧、霧化エア量、シェーピングエア圧、シェーピングエア温度、シェーピングエア湿度及びシェーピングエア流量などが含まれる。なお、自動塗装機としてエア霧化型塗装機が用いられる場合には、ベル型塗装機のベル回転数に代えて、霧化エア圧力又は霧化エア流量が塗装条件に含まれる。
目的変数Yは視覚的特性であり、前述のように、視覚的特性には、塗膜の色、光輝感を含む塗色の質感、分光反射率などが含まれる。それらのうち、塗膜の色は、マンセル表色系、L*a*b*表色系、L*C*h表色系、ハンターLab表色系及びXYZ表色系の色度のうち、少なくとも1つを用いて表すことができる。また、塗色の質感は、例えば光輝感で表され、光輝感は、塗膜の正反射方向の光輝感を表すIV値、すかし方向の光輝感を表すSV値、この両者の関係から光輝性顔料の配向状況を表すフリップフロップ値(FF値)によって表すことができる。さらに、色度は、市販されている測色計等によって測定された値を用いることが可能であり、分光反射率は、分光光度計によって測定された値を用いることができる。
図1は、一般的に用いられている塗装設備10の要部の構成を示す模式的平面図である。以下、図面を参照して、実施の形態に係る塗装方法をさらに具体的に説明する。被塗物11は、塗装ブース12内を矢印Aの方向に移動する。塗装ブース12内には、ベル型などの自動塗装機13が配置されており、図1に示した自動塗装機13は、水平部塗装用の塗装機13aと垂直部塗装用の塗装機13bとで構成されている。この自動塗装機13はロボット型の自動塗装機であってもよい。自動塗装機13は、回転式の霧化器であるベル型塗装機を備えており、ベル型塗装機から被塗物11に塗料を吹き付けて塗装するようになっている。塗装後の被塗物11は、塗装ブース12から出て乾燥炉などに送られる。
図2は、ベル型塗装機20の要部の断面構造及びその制御系の1例を模式的に示す図である。ベル型塗装機20の塗装ガン21は、塗料供給ノズル22の塗料吐出口22a、高速で回転するベルカップ23、エアガイド24、シェーピングエア用の環状のエア吹出し口24aなどで構成されている。塗料が塗料吐出口22aから供給されると、回転するベルカップ23の遠心力と、エア吹出し口24aから噴射されるシェーピングエアによって霧化され、霧化された塗料が被塗物11に吹き付けられて塗装される。また、制御系25は、自動塗装機制御装置26、シェーピングエア調節器26a(圧力、流量の調節)、ベルカップ23の回転数調節器26b、塗料供給量調節器26c及び自動塗装機制御装置26に接続された入出力手段27を備えている。
実施の形態に係る塗装方法は、上記のような塗装設備10、自動塗装機13を用いる塗装方法である。その制御・監視を行うために、色、質感などの視覚的特性(目的変数)と、塗料条件及び塗装条件に係る要因(説明変数)との関係について重回帰分析を行い、重回帰式を求め、得られた重回帰式を用いて塗装操業を制御することを基本としている。この重回帰式の基本形は、下記の(1)式で表される。
Y=k・f(x)+k・f(x)+・・・・・+k・f(x)+e (1)
(1)式において、Yが目的変数、f(x)〜f(x)が説明変数、k〜kが回帰係数、eが残差である。x〜xは、すでに説明した塗料の配合条件、塗料条件及び塗装条件に係るそれぞれの要因であり、重回帰分析にはすべての要因が対象になる。ただし、目的変数との相関が強いいくつかの要因が明らかになっており、その他の相関が弱い要因を用いる必要がない場合、塗装操業の安定性などの観点から、変化させることが可能な範囲が狭く制限され、目的変数との相関が弱い要因がある場合には、それらの要因を説明変数から除外して重回帰分析を行うことができる。
重回帰分析に用いられる要因xに係る説明変数は、xの関数の形、すなわちf(x)で表される。具体的には、説明変数としては、各要因の値そのまま、2乗、3乗、平方根、逆数、対数などを用いる。関数に関しては、それぞれの要因毎に理論的、経験的又は実験的に最適な関数形を選択することが好ましい。なお、それぞれの要因単独では目的変数との相関が小さく、要因間の加減乗除のいずれかが目的変数との相関が大きい場合には、要因同士を組み合わせた値を説明変数として用いることができる。
重回帰式を作成する場合、基本的には、塗料の配合条件、塗料条件及び塗装条件に係る要因すべてを説明変数として重回帰分析を行う。しかし、前述のように、目的変数との相関が強いいくつかの要因が明らかになっている場合には、それらの要因に絞って重回帰分析を行うことができる。本実施の形態に係る塗装方法の場合、塗料の配合条件に係る要因と、例えば、ベル回転数又はベル回転数とシェーピングエア圧とを要因とを説明変数として、視覚的特性を目的変数として重回帰分析を行うことにより、重相関係数(R)、説明率(R)の高い重回帰式を作成することができる。そのため、後に説明する実施の形態の場合には、説明変数値として、塗料の配合条件のほかに、ベル回転数又はベル回転数及びシェーピングエア圧を要因として重回帰分析を行う例を説明する。
ただし、高い重相関係数、説明率などが得られる目的変数と説明変数との関係には多くの組み合わせがあり、それぞれのケースで目的変数に対して重要な影響を及ぼす要因が異なる可能性がある。したがって、それぞれのケースで適切な要因を説明変数として選択することが好ましい。むろん、目的変数との相関が強い要因が明瞭ではない場合には、対象となる要因すべてを説明変数として重回帰分析を行う。その上で、重回帰式の精度をより向上させるために、目的変数との相関が強い説明変数を選択し、さらに重回帰分析を行うことが好ましい。
図3は、実施の形態に係る塗装方法で用いられる重回帰式を作成する手順を示すフローチャートである。重回帰式の作成は、パーソナルコンピュータなど、重回帰分析を行うことができる装置(以下、シミュレータと記す)又は後に説明する本発明の実施の形態に係る塗装制御装置などを用いて実施することができる。なお、重回帰分析には、汎用のソフトウエアを用いることが可能であり、該当するソフトウエアには、例えば、Lotus社製Lotus1−2−3(登録商標)、Microsoft社製Excelシリーズ、統計計算専用ソフトである日本科学技術研修所社製JUSE−QCAS(登録商標)などがある。
ステップS1では、新たに配合設計された塗料の配合条件を入力する。塗料の配合条件としては、前述のように、固形分である各樹脂、着色材、光輝性顔料、添加剤等の配合割合の目標値及び/又は範囲(例えば、許容範囲)を入力する。その他、溶剤の配合割合等のデータを必要に応じて適宜入力する。
ステップS2では、新たに配合設計された塗料に関する視覚的特性値の目標値及び/又は範囲(例えば、許容範囲)を入力する。入力する視覚的特性値は、前述のように、FF値、マンセル表色系、L*a*b*表色系、L*C*h表色系、ハンターLab表色系、XYZ表色系のなどの値である。
次に、ステップS3へ進み、塗料条件及び塗装条件に係る要因のうち、重回帰分析に必須の要因を指定し、必要に応じてその要因の値の範囲を指定する。ここで指定する要因は、重回帰式に含める必要がある要因であり、視覚的特性値の制御に有効な、例えば、ベル回転数、シェーピングエア圧などである。なお、重回帰分析に必須の要因がない場合又は不明な場合には、ステップS3をスキップして、ステップS2からステップS4へ進む。
ステップS4では、シミュレータなどにデータベースとして、予め重回帰分析に必要なデータが保存されている場合には、そのデータベースに保存されているデータで重回帰分析が可能か否かを判断する。この重回帰分析に利用可能か否かの判断は、例えば、ステップS1及びS2で入力されたデータに設けられている条件の範囲内のデータ又はその範囲に近い値のデータの有無、及びステップS3で入力された塗料条件、塗装条件のうち必須の要因に関するデータの有無等によって判断することができる。ステップS4で、データベースに存在するデータで重回帰式の作成が可能と判断した場合には、ステップS5へ進む。
ステップS5では、例えば前述の重回帰分析用ソフトウエアのいずれかを用いて重回帰分析を行い、重回帰式を作成する。なお、重回帰式の決定に当たっては、塗料の配合条件に係る要因と、視覚的特性値との相関の強い少なくとも1つの塗料条件又は塗装条件に係る要因とを含み、重相関係数、説明率が高い重回帰式を選ぶようにする。上記の視覚的特性値との相関の強い塗料条件又は塗装条件に係る要因は、新たに配合設計された塗料に関する視覚的特性値を、所定の範囲に制御するのに必要な要因である。
ステップS6では、得られた重回帰式をシミュレータなどの記憶部に格納する。なお、重回帰式を保存する場合には、得られた重回帰式と関連付けて、その重回帰式の作成に用いたデータを保存することが好ましい。
次に、ステップS7へ進み、シミュレーションを行うか否かを判断する。図示していないが、シミュレーションを行うか否かは、予め入力されたシミュレーションの要否に関する情報に基づくものであり、シミュレーションが要求されていると判断した場合には、ステップS8へ進む。ステップS8では、シミュレーションに必要な塗料の配合条件等のデータが入力される。次に、ステップS9で、ステップS5で得られた重回帰式を用いてシミュレーションを行い、ステップS10に進んで、シミュレーションの結果、必要に応じて重回帰式を出力する。このシミュレーションによって、得られた重回帰式の精度を予め確認する。
ステップS7で、シミュレーションが要求されていないと判断した場合には、ステップS10へ進み、必要に応じてステップS5で得られた重回帰式を出力して、一連の動作を終了する。
ここで、ステップS4で、データベースに存在するデータでは、特定のデータが不足しているために重回帰式を作成することができないと判断した場合には、ステップS11へ進み、不足しているデータ項目(塗料条件、塗装条件に係る要因のうちの少なくとも1つ)を抽出する。不足しているデータ項目の抽出は、例えば、ステップS4における判断と同様でよい。すなわち、ステップS1及びS2で入力されたデータに設けられている条件の範囲内のデータ又はその範囲に近い値のデータの有無、及びステップS3で入力された塗料条件、塗装条件のうち必須の要因に関するデータ有無等によって抽出することができる。
不足しているデータ項目(要因)が抽出された場合には、ステップS11へ進んで、その結果を出力する。その後、不足しているデータを補うために、図4に示すステップS21へ進む。
図4は、重回帰分析に必要なデータを補うための手順を示すフローチャートである。不足しているデータを補うためには、対象としている新たに配合設計された塗料を用いて、所定の塗料条件、塗装条件で塗装することによりテストパネルを作製し、得られたテストパネルの視覚的特性値を測定する。
はじめに、図4に示したステップS21で、テストパネルを作製する。なお、新たに配合設計された塗料は上塗り用塗料であるとする。その場合、テストパネルは、例えば、下塗り及び中塗りが行われた基材に対して、所定の塗料条件及び塗装条件で上塗り塗料を塗装し、塗膜を乾燥させることによって作製する。
塗料は、通常、着色材である顔料、光輝性顔料、塗膜の構成成分である樹脂や架橋材、補助成分であるレオロジーコントロール剤、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、体質顔料などと、有機溶剤又は水などの溶媒とで構成されている。塗料を設計する場合には、要求される塗料の性能に応じて、塗料の構成成分と配合割合とが決定される。なお、実操業における制約された操業条件の中で、塗膜の質感などの視覚的特性値を微調整するために、条件を変更することができる要因は限られており、前述のように、例えば、視覚的特性値に対する影響が大きい要因に、塗料の吐出量、自動塗装機としてベル型塗装機を使用する場合のベル回転数、シェーピングエア圧などがある。
テストパネルは、所定の配合の塗料に対して、上記の塗料条件及び塗装条件に係る要因のうち、ケース毎に一部の要因の条件(水準)を変化させ、それぞれ複数の条件で作製する。その際、変化させるそれぞれの要因は、基準値を設定し、基準値に対して3水準以上設定して塗装を行い、テストパネルを作製することが好ましい。しかし、多くの要因についてそれぞれ3水準以上の条件とすると、テストパネルの作製数が著しく多くなる。したがって、塗料の配合条件以外の要因に関しては、前述のように、目的変数としての色、質感などの各視覚的特性に応じて、予め把握されている視覚的特性との相関の強い要因を選択し、その要因の水準を変化させることにより、効率的に重回帰式を作成することが好ましい。なお、塗料の配合条件に関しては、変更する要因の水準を少なくとも3水準とすることが好ましい。
次に、ステップS22では、ステップS21で得られたそれぞれのテストパネルについて、それぞれ重回帰式における目的変数となる塗膜の色や質感を表す視覚的特性値を測色によって求める。これらの視覚的特性値に関しては、すでに説明したとおりである。ただし、視覚的特性値は、色や質感を数値として表すことができる心理物理量であれば、その他の値も利用可能であり、前述の特性値のみに限定されるものではない。
次に、ステップS23へ進み、ステップS21でテストパネルを作製した際の塗料の配合条件、塗料条件及び塗装条件及びステップS22で得られたテストパネルの塗膜の測定結果を、シミュレータや後に説明する塗装制御装置などに設けられている重回帰式用データ記憶部に格納し、データベースのうち不足しているデータを補充する。なお、各要因と視覚的特性に関するデータは、数値をそのまま格納してもよいが、塗料条件及び塗装条件については、必要に応じて基準値に対する比の形で保存することが好ましい。なお、保存するデータは、必ずしもテストパネルで得られたデータだけでなくてもよい。実操業におけるデータなど、テストパネル以外から得られるデータであっても、塗料の配合条件に関するデータの信頼性があり、目的変数値としての視覚的特性値のデータ、塗料条件及び塗装条件に係る要因のデータが揃っている場合には、重回帰分析用のデータとして利用することができる。
ステップS21〜S23によって、重回帰分析を行うのに必要なデータが整ったことになるので、図3に示したステップS4へ戻り、ステップS4以降の手順を実行する。
なお、ステップS8及びS9におけるシミュレーションでは、入力された塗料の配合条件に係る要因のデータ、各塗料条件、塗装条件に係る要因のデータを基に、重回帰式によって目的変数値である視覚的特性値を計算する。むろん、視覚的特性値を固定し、その特性値に対応する塗料条件及び塗装条件に係る要因の値を算出することもできる。
図5は、実施の形態に係る塗装方法で用いられる重回帰式を用いて、新たに配合設計された塗料について、目標の視覚的特性値が得られる塗料条件及び塗装条件に係る要因を推定する手順を示すフローチャートである。なお、重回帰式は、上記のステップS1〜S12及びS21〜S23に示した手順によって得られているものとし、図5に示したフローチャートは、実際の塗装操業に適用する場合の1例を示すものとする。また、以下の手順を実行するために用いられる装置は、基本的には、図2に示した自動塗装機20及び前述のシミュレータ又は後に図6を参照して説明する塗装制御装置である。
新たに塗料の配合設計が行われた場合には、ステップS31で、塗料の配合条件に係る要因のデータを入力する。塗料の配合条件に係る要因のデータは、図3に示したステップS1に関連して説明したものに対応するデータである。次に、ステップS32で、対象としている塗料に関する視覚的特性値の目標値及び/又は範囲を入力する。目標値でも、範囲でも差し支えないのは、目標値から範囲又は範囲から目標値を決定することが可能な場合があるからである。入力された視覚的特性値に関するデータを基に、通常は、視覚的特性値の許容範囲のほぼ中央値を視覚的特性値として設定する。ただし、必要に応じて上限側又は下限側に近い値を設定してもよい。
次に、ステップS33へ進み、説明変数として塗料条件及び塗装条件に係る要因のうち、目標の視覚的特性値を得るために変更する要因xを指定する。例えば、設定した目的変数としての視覚的特性値がFF値で、FF値を制御するのにもっとも有効な要因が、経験的、実験的又は理論的にベル回転数と確認されている場合には、変更する要因として、ベル回転数を指定する。
次に、ステップS34で、変更する要因xの値を求めるために、ステップS32で入力されたデータに基づいて設定された視覚的特性値の目標値及び変更する要因x以外の要因のデータを用いて、重回帰式により、説明変数f(x)を計算し、さらに要因xの値を求める。なお、図5には示していないが、要因x以外の塗料条件及び塗装条件に係る要因の値は、固定された値に設定されている。これらの要因の固定された値は、塗装操業において予め決定されている要因の値、すなわち制約条件に適合する範囲内の値を意味し、設定された制約条件の範囲内であれば、値を適宜選択することができる。また、これらの要因に関するデータは、予めシミュレータなどに格納しておいてもよく、その都度入力してもよい。ステップS34の後、ステップS35へ進む。
ステップS35では、ステップS34で求められた要因xの値が、制約条件として許容されている範囲内か否か判断する。求められた要因xの値が、許容範囲を超えていると判断した場合には、ステップS36へ進み、xの値を許容範囲内の値(例えば、許容範囲内の超えている側の値)に固定する。次に、ステップS37へ進み、変更する別の要因を指定した後、ステップS34へ戻り、ステップS34以降の手順を繰り返す。
一方、ステップS35で、求められた要因xの値が、許容範囲内であると判断した場合には、その要因xの値を用いることにより、実操業において得られる視覚的特性値が、目標値又はその範囲を満足するはずであるので、ステップS38へ進み、すべての塗料条件及び塗装条件を決定する。このすべての塗料条件及び塗装条件の値は、重回帰式による計算に用いた値とすればよい。次に、ステップS39へ進み、ステップS38で決定された値を塗装操業へフィードフォワードする。ステップS39でフィードフォワードされた条件を用いることにより、塗装操業を制御し、所定の視覚的特性値を備えた塗膜を得ることができる。
なお、図5を参照して説明した手順は、本実施の形態に係る塗装方法が実施可能なことを示す1例であり、重回帰式を用いることにより、塗装操業を制御可能であれば、ステップの順序が相違してもよく、特定のステップが省かれてもよく、別のステップを含んでいてもよい。
また、視覚的特性値には、FF値をはじめ、マンセル表色系、L*a*b*表色系、L*C*h表色系、ハンターLab表色系、XYZ表色系のなどの値がある。新たに配合設計された塗料に関する視覚的特性値を満足する塗料条件、塗装条件に係る要因を選択する場合、1つの視覚的特性値について最適な塗料条件、塗装条件に係る要因を求め、その結果を利用するようにしてもよい。ただし、それぞれの視覚的特性値に対する塗料条件、塗装条件に係る要因の影響が相違する可能性もある。したがって、それぞれの視覚的特性値に関する重回帰式を用いて、それらの視覚的特性値を満足する塗料条件、塗装条件に係る要因の値を求め、それらの視覚的特性値を満足するか否かを確認し、もっとも適切な条件を選択することがより好ましい。
図5では、塗装操業を制御する場合の例を示したが、上記重回帰式は、視覚的特性値と塗料の配合条件と、塗料条件及び/又は塗装条件との関係を表す式であるので、実操業における塗装操業の監視にも利用することができる。すなわち、視覚的特性値が変動した場合、塗料の配合条件の変動、塗料条件及び/又は塗装条件の変動などの視覚的特性値に影響している要因を推定するという利用法により、塗装操業の監視に役立てることができる。
図6は、本発明の実施の形態に係る塗装制御装置の構成を示すブロック図である。以下に示す塗装制御装置30は、図3、図4を参照して説明した重回帰式作成用のシミュレータとしての機能及び図5を参照して説明した塗装方法を実施するための機能を含む例である。塗装制御装置30は、重回帰式用データ記憶部31、実操業用データ記憶部32、演算・制御部33、入力部34及び出力部35を備えている。また、重回帰式用データ記憶部31と演算・制御部33との間、実操業用データ記憶部32と演算・制御部33との間が信号の送受信可能に接続され、演算・制御部33と入力部34、出力部35との間がそれぞれ信号の送信、受信可能に接続されている。さらに、重回帰式用データ記憶部31には、重回帰分析用データ記憶部31a及び重回帰式記憶部31bが設けられ、実操業用データ記憶部32には、操業データ記憶部32a及び制約条件記憶部32bが設けられている。なお、実操業用データ記憶部32は、必要に応じて設けられるものであり、例えば、重回帰分析用データ記憶部31に必要なデータを記憶させるようにしてもよい。
重回帰式作成用の塗料配合条件及び視覚的特性値に関するデータ及び塗料条件、塗装条件に係る要因に関するデータ、実操業の際に発生する視覚的特性値に関するデータ及び塗料条件、塗装条件に係る要因に関するデータは、入力部34及び演算・制御部33を介して、それぞれ対応する記憶部に格納される。また、重回帰分析用データ記憶部31aには、主としてテストパネルによるテスト結果が記憶され、操業データ記憶部32aには、実操業において得られる各視覚的特性値、塗料条件と塗装条件に係る各要因のデータの実測値が格納され、制約条件記憶部32bには、少なくとも、所定の配合の塗料毎に設定されている視覚的特性値の許容範囲と目標値、塗料条件及び塗装条件の許容範囲と目標値が格納されるようになっている。なお、重回帰分析用データ記憶部31aと操業データ記憶部32aとが、分離されておらず統合された形であってもよい。また、それぞれのデータが、所定の配合の塗料別に格納されるようになっていてもよい。
重回帰式を作成する場合には、演算・制御部33が、図3、図4を参照して説明した手順に従って、重回帰分析用データ記憶部31aに格納されているデータを用いて重回帰式を作成し、得られた重回帰式を重回帰式記憶部31bに格納する。
図5を参照して説明した新たに配合設計された塗料に関する実操業における塗装操業の制御は、実操業用データ記憶部32の操業データ記憶部32a、制約条件記憶部32bに格納されているデータを用いて、演算・制御部33によって実行される。演算・制御部33の演算によって算出された所定の視覚的特性値に制御可能な各要因の値は、出力部35に出力されるとともに、必要に応じて直接自動塗装機20の制御部25の入出力手段27(図2参照)に送信され、自動塗装機20の制御に利用される。
上記の実施の形態に係る塗装制御装置30の場合には、重回帰分析用データ記憶部31aを含む例、すなわちシミュレータとしての機能を備えた例を示したが、別の実施の形態では、重回帰分析用データ記憶部31aが省かれ、シミュレータとしての機能がないものであってもよい。その場合には、重回帰式を別のシミュレータを利用して作成し、得られた重回帰式が重回帰式記憶部51bに格納される装置構成とする。
図6に示した塗装制御装置30に含まれる上記の機能は、通常のパーソナルコンピュータなどを用いることにより実現することができる。
本実施の形態に係る塗装設備は、自動塗装機20を含む基本的な全体構成が図1に示されている設備である。この塗装設備10は、温度及び湿度が制御されない塗装ブース、又は温度若しくは温度及び湿度が制御された塗装ブース内において、複数の被塗物11を移動させながら塗装を行う自動塗装設備10であり、通常、被塗物11を一定の速度で搬送するコンベア部、被塗物11に塗料を噴霧する自動塗装機13、移動する被塗物11に対して自動塗装機13を適正な位置に移動させるレシプロケータ又はロボット、塗装操業を制御する自動塗装機制御装置26を備えている。また、塗装設備10に含まれる自動塗装機13の1例は、図2に示したベル型塗装機20であり、塗装制御装置の1例は図6に示した構成のものである。さらに、図5を参照して説明した塗装操業の制御が、塗装制御装置30によって実行されるようになっている。なお、塗装設備10は、基本的には商業規模の設備を対象としているが、自動塗装機13とレシプロケータ等から構成される試験研究用の小規模な設備として構成されたものであってもよい。
実施例1では、メタリック色の上塗り塗料の配合条件を変更することを前提として、重回帰式を用いる塗装方法における視覚的特性値の制御精度を確認した。具体的には、説明変数として、メタリック色の塗料の配合条件に係る要因を含む重回帰式を作成し、得られた重回帰式を用いることにより目標の視覚的特性値が得られる塗装条件を選定し、その選定された条件を用いて重回帰式による視覚的特性値の推定を行うとともに、選定された条件で塗装したテストパネルを作製し、その視覚的特性値を実測して、両者の視覚的特性値を比較することにより制御精度を確認した。
まず、脱脂及びりん酸亜鉛処理が施された鋼板(材質:JISG3141、大きさ:縦横400mm×300mm、厚さ0.8mm)に、カチオン電着塗料:商品名「エレクロン9400HB」(関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂及び硬化剤としてのブロックポリイソシアネート化合物を含む塗料)を、硬化後の塗膜厚さが20μmになるように電着塗装し、170℃で20分間加熱して架橋硬化させることにより電着塗膜を形成した。
さらに、電着塗膜面に、中塗り塗料:商品名「ルーガベーク中塗りグレー」(関西ペイント株式会社製、ポリエステル・メラミン系樹脂及び有機溶剤を含む塗料)を、硬化後の塗膜厚さが30μmになるようにエアスプレーによって塗装し、140℃で30分間加熱して架橋硬化させることにより、中塗り塗膜を形成した。上記の手順により、表面に、電着塗膜及び中塗り塗膜が形成された鋼板を作製し基材とした。
表1に、基材に塗装した上塗り塗料の配合条件、ベル型塗装機を用いて塗装した際のベル回転数及び得られた塗膜のFF値の測定結果をまとめて示した。塗料を調製する際には、水酸基含有アクリル樹脂、メチル化メラミン樹脂、光輝性顔料の順に配合し、十分に攪拌・混合を行った後、塗装に適正な粘度に希釈することにより、固形分約25質量%を含む水性塗料とした。塗料としては、樹脂A、B、Cそれぞれの配合割合を4水準、光輝性顔料D、Eそれぞれの配合割合を3水準とし、それらの配合を組み合わせることにより17種類の上塗り塗料を調製した。なお、樹脂A、B、C及び光輝性顔料D、Eの構成は、下記のとおりである。
樹脂(比は質量比):
A 水酸基含有アクリル樹脂/メチル化メラミン樹脂(固形分80質量%):8/2
B 水酸基含有アクリル樹脂/メチル化メラミン樹脂(固形分90質量%):8/2
C 水酸基含有アクリル樹脂/メチル化メラミン樹脂(固形分100質量%):8/2
光輝性顔料:
D 鱗片状アルミニウムフレーク顔料(固形分65質量%、平均粒径14.1μm)
E 鱗片状アルミニウムフレーク顔料(固形分70質量%、平均粒径19.4μm)
上記の水酸基含有アクリル樹脂は、固形分55質量%、酸価50、数平均分子量50000である。
次に、ベル型塗装機を使用して、調製した水溶剤型塗料を基材に塗装した。塗装に当たっては、塗装条件に係る要因のうち、ベル回転数を3水準とした条件で塗装した。その他の塗料条件及び塗装条件に係る要因は、すべて固定した条件とした。塗装後の基材を、温度140℃、30分間の条件で加熱して塗膜を硬化させることにより、表1に示した条件のテストパネル17枚を作製した。
得られたテストパネルについて、塗膜の色や質感を表す視覚的特性値として、光輝感を表す値であるFF値を測定した。FF値の測定には、メタリック感測定器、ALCOPE(商品名、関西ペイント社製)を用いた。ALCOPEは、レーザー式メタリック感測定装置であり、金属に感度がある近赤外線(波長780nm)のレーザーを測定面に対して45度の角度から照射し、正反射光に対して45度の角度で受光した場合の反射率SV、10度の角度で受光した場合の反射率IVを検出する機能を備えた装置である。FF値は、下記の(1)式より算出した。FF値を表1に合わせて示した。
FF値=0.2×(IV−SV)/(IV+SV) (1)
Figure 2006218426
次に、樹脂A、B、C及び光輝性顔料D、Eそれぞれの配合割合と、ベル回転数とを説明変数とし、実測FF値を目的変数として重回帰分析を行った。なお、本発明に係る塗装方法の場合、FF値に関する重回帰式には、ベル回転数は2乗した値を説明変数として用いることにより、重回帰式の重相関係数、説明率を向上させ得る場合があることが本発明者らにより確認されているので、ベル回転数に関しては、ベル回転数は1乗の場合のほか2乗した値の場合についても重回帰分析をおこなった。また、重回帰分析には、ベル回転数は、基準値(「基準」を付けて表示)を25,000rpmとし、基準値に対する実際の値(「実」を付けて表示)の比の形で使用した。
上記の条件で重回帰分析を行った結果、下記の(2)式が得られた。
FF値=−0.20×(樹脂A配合割合/100)+0.08×(樹脂B配合割合/100)−0.41×(光輝性顔料D配合割合/20)+0.225×(実ベル回転数/基準ベル回転数)+1.88 (2)
(2)式として示した重回帰式には、樹脂C及び光輝性顔料Eに関する項が含まれていない。その理由は、樹脂の配合はA+B+C=100、光輝性顔料の配合はD+C=20と一定値に設定したためである。また、ベル回転数に関しては、上記の条件の場合、FF値に対する影響が1乗の場合も2乗の場合も明瞭な相違がなかったため、1乗すなわち1次の形の項を選択した。
次に、(2)式の精度を確認する試験を行った。表2に示した条件で、6枚のテストパネルを作製した。テストパネルの作製方法は、上記の重回帰式を求めるためにテストパネルを作製した方法と同じである。得られたテストパネルのFF値を測定するとともに、(2)式によりFF値を計算した。
表2に、樹脂、光輝性顔料それぞれの配合割合、ベル回転数、FF値の実測値及び計算値(推定値)をまとめて示す。
Figure 2006218426
表2から明らかなように、FF値の実測値と計算値とは、その差が極めて小さく、(2)式により、FF値を高精度で推定可能であり、塗料の配合条件が変更された場合でも、視覚的特性値を高精度に制御可能なことが確認された。
実施例2では、着色顔料を含む上塗り塗料の配合条件を変更することを前提として、重回帰式を用いる塗装方法における視覚的特性値の制御精度を確認した。表3に、調製した塗料19種類に関する樹脂A、B、Cの配合割合及び着色顔料F、Gの配合割合をまとめて示した。塗料としては、樹脂A、B、Cそれぞれの配合割合を4水準、着色顔料F、Gそれぞれの配合割合を3水準とし、それらの配合を組み合わせることにより19種類の上塗り塗料を調製した。なお、樹脂A、B、Cは実施例1で用いたものと同じである。着色顔料F、Gは、下記のとおりである。
F:シゲトピロロピロール顔料(P.R.255)
G:ジメチルキナクリドン顔料(P.R.209)
テストパネルの作製方法は、上塗り塗料の配合を上記のように変更したこと、一部のテストパネルでは、シェーピングエア圧(SA圧)を変更して塗装したこと、測色方法が下記のように異なること以外は、実施例1の場合と同じであるので重複する説明を省略する。なお、テストパネルを作製した際のベル回転点数及びシェーピングエア圧は、表3に示したとおりである。また、測色は測色計「SMカラーコンピュータ」(商品名、スガ試験機社製)を使用し、視野:10度、照明:D65の条件で測定し、テストパネルNo.1を基準板として、L*a*b表色系における色値Δaを算出した。結果を表3に合わせて示した。
Figure 2006218426
次に、樹脂A、B、C及び着色顔料F、Gそれぞれの配合割合と、ベル回転数及びシェーピングエア圧とを説明変数とし、色値Δaを目的変数として重回帰分析を行った。なお、本発明に係る塗装方法の場合、色値Δaに関する重回帰式には、ベル回転数及びシェーピングエア圧は2乗した値を説明変数として用いることにより、重回帰式の重相関係数、説明率を向上させ得る場合があることが本発明者らにより確認されているので、ベル回転数及びシェーピングエア圧に関しては、1乗の場合のほか2乗した値の場合についても重回帰分析を行った。
重回帰分析には、ベル回転数及びシェーピングエア圧は、基準値(「基準」を付けて表示)に対する実際の値(「実」を付けて表示)の比の形で使用した。基準値は、ベル回転数:25000rpm、シェーピングエア圧:1.96×10Paとした。
上記の条件で重回帰分析を行った結果、下記の(3)式が得られた。
色値Δa=0.11×(樹脂A配合割合/100)−0.440×(樹脂B配合割合/100)+1.90×(顔料F配合割合/10)+2.13×(実ベル回転数/基準ベル回転数)+1.50×(実SA圧/基準SA圧)−4.50 (3)
(3)式として示した重回帰式には、樹脂C及び着色顔料Gに関する項が含まれていない。その理由は、樹脂の配合はR+R+R=100(ただし、R〜R:樹脂A〜Cの配合割合)、着色顔料の配合はR+R=10(ただし、R、R:着色顔料G、Fの配合割合)と一定値に設定されているためである。また、ベル回転数及びシェーピングエア圧に関しては、上記の重回帰分析条件の場合、色値Δaに対する影響が1乗の場合より2乗の場合の方が強かったため、2乗すなわち2次の形の項とした。
次に、(3)式の精度を確認する試験を行った。表4に示した条件で、6枚のテストパネルを作製した。テストパネルの作製方法は、上記の重回帰式を求めるためにテストパネルを作製した方法と同じである。得られたテストパネルの色値Δaを測定するとともに、(3)式により色値Δaを計算した。
表4に、樹脂、着色顔料それぞれの配合割合、ベル回転数、シェーピングエア圧、色値Δaの実測値及び計算値(推定値)をまとめて示す。
Figure 2006218426
表4から明らかなように、樹脂A、B、Cの配合割合を、樹脂の固形分100質量部に対して、それぞれ0〜50質量%、35〜70質量%、0〜35質量%、着色顔料F、Gの配合割合を、樹脂の固形分100質量部に対して、それぞれ1.75〜6.5質量%、3.5〜8.25質量%と大幅に変化させた場合でも、Δaの計算値と実測値との差の絶対値が、0.01〜0.17と極めて小さいことが確認された。すなわち、A、B、Cなどの樹脂及びF、Gなどの着色顔料の配合割合を大幅に変化させた場合であっても、目標の色値Δaを設定し、重回帰式を用いることによって適正なベル回転数、シェーピングエア圧などの塗装条件を選択することにより、実操業において得られる色値Δaなどの視覚的特性値を高精度に制御可能なことが確認された。
本発明に係る塗装方法は、本発明に係る塗装設備、塗装制御装置を用いることによって実施可能であり、例えば、自動車の車体等の工業製品に対する塗装に用いられる塗料が新たに配合設計された場合にも、適切な塗装操業の条件を容易に求めることができる。また、その条件で操業することによって、塗膜の色、質感などの視覚的特性値を高精度に制御し維持することができる。
一般的に用いられている塗装設備の要部の構成を示す模式的平面図である。 ベル型塗装機の要部の断面構造及びその制御系の1例を模式的に示す図である。 実施の形態に係る塗装方法で用いられる重回帰式を作成する手順を示すフローチャートである。 重回帰分析に必要なデータを補うための手順を示すフローチャートである。 実施の形態に係る塗装方法で用いられる重回帰式を用いて、新たに配合設計された塗料について、目標の塗色の視覚的特性値を得ることができる塗料条件及び塗装条件に係る要因を推定する手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る塗装制御装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
10 塗装設備
11 被塗物
12 塗装ブース
13 自動塗装機
20 ベル型塗装機
21 ベル型塗装機の塗装ガン
25 制御系
26 自動塗装機制御装置
30 塗装機制御装置
31 重回帰式用データ記憶部
32 実操業用データ記憶部
33 演算・制御部

Claims (5)

  1. 塗装ブース内に配置された自動塗装機を用いて、前記塗装ブース内の被塗物に塗料を噴霧することによる塗装方法において、新たに配合設計された塗料を用いて被塗物に塗装を行う際に、新たに配合設計された前記塗料の塗膜に関する色及び質感を含む塗色の視覚的特性を目的変数とし、前記塗料の配合条件に係る要因と、少なくとも1つの塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因とを説明変数として、データベースに格納されているデータを用いて重回帰分析を行うことによって得られた重回帰式を用いることにより、塗装作業における前記目的変数と前記説明変数との関係を演算し、その結果に基づいて塗装操業を制御及び/又は監視することを特徴とする塗装方法。
  2. 前記重回帰分析を行う際に、前記データベースに格納されているデータによって重回帰分析が可能か否かを判断し、不足しているデータがある場合には、新たに配合設計された前記塗料を用いてテストパネルを作製し、不足しているデータを補充して重回帰分析を行うことを特徴とする請求項1に記載の塗装方法。
  3. 前記配合条件に係る要因が、前記塗料の樹脂成分の配合割合、着色材の配合割合及び光輝性顔料の配合割合のうちの少なくとも1つを含み、前記塗料条件に係る要因が、前記塗料の粘度、固形分の配合割合及び希釈用溶媒の配合割合のうちの少なくとも1つを含み、前記塗装条件に係る要因が、前記塗料の吐出量、塗装雰囲気の温度、塗装雰囲気の湿度、塗装雰囲気の風速、前記自動塗装機の移動速度、前記被塗物の移動速度、塗装ガンと前記被塗物との間の距離、印加電圧、ベルカップ回転数、霧化エア圧、霧化エア流量、シェーピングエア圧、シェーピングエア温度、シェーピングエア湿度及びシェーピングエア流量のうちの少なくとも1つを含み、前記塗色の視覚的特性が、マンセル表色系の色度、L*a*b*表色系の色度、L*C*h表色系の色度、ハンターLab表色系の色度、XYZ表色系の色度、分光反射率、IV値、SV値及びフリップフロップ値のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装方法。
  4. 前記請求項1〜3のいずれかの項に記載の塗装方法の制御に用いられる塗装制御装置であって、データベースとしての役割をする重回帰式用データ記憶部、演算・制御部、入力部及び出力部を備え、新たに配合設計された塗料を対象に、塗膜の色及び質感を含む塗色の視覚的特性を目的変数とし、前記塗料の配合条件に係る要因と、少なくとも1つの塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因とを説明変数として、前記重回帰式用データ記憶部に格納されているデータを用いて重回帰分析を行うことによって得られた重回帰式を用いることにより、塗装作業における前記目的変数と前記説明変数との関係を演算し、その結果に基づいて塗装操業を制御及び/又は監視する機能を備えていることを特徴とする塗装制御装置。
  5. 塗装ブース内で、複数の被塗物を移動させながら塗装を行う自動塗装設備であって、請求項4に記載の塗装制御装置を備え、該塗装制御装置に格納されている重回帰式を用いて、目的変数値と説明変数値との関係を演算し、前記目的変数値に係る塗色の視覚的特性値と、前記説明変数値に係る塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因の値とが許容範囲内に入るように、前記塗料条件及び/又は塗装条件に係る要因の値を算出し、その結果に基づいて塗装操業を制御及び/又は監視するように構成されていることを特徴とする塗装設備。
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