JP2008126095A - 積層塗膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜外観(発色性)のバラツキが少なく、安定した意匠性を有する積層塗膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】中塗り塗膜を有する被塗物に、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜を順次形成する積層塗膜の形成方法であって;メタリックベース塗膜が呈する色相、マイカベース塗膜が呈する色相およびカラークリヤー塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相であり;マイカベース塗膜は、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が−18〜−30%になるように塗膜形成された塗膜であり;メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値は、20〜60である、積層塗膜の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車車体または自動車部品などの上に形成することができる積層塗膜の形成方法に関する。
自動車などの基材の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜を形成して、基材を保護すると同時に美しい外観を付与している。そして自動車に形成された塗膜の外観は、その自動車の高級感などといった外観価値に大きく関与する。そのため、自動車塗装の分野においては、様々なニーズに応じた塗膜外観を有する塗膜を形成することができる塗料組成物および塗装方法の確立が求められている。
このような自動車車体などの上塗り塗装においては、アルミフレークやマイカなどの光輝性顔料を用いた塗装が知られている。ところが、これらの光輝性顔料を用いて積層塗膜を形成する場合、一定の塗膜外観を再現性良く得ることが困難であるという問題がある。その理由は、これらの光輝性顔料を用いる場合は、被塗物の形状などに由来する塗膜の膜厚などの僅かな条件の変化によって、色調などの塗膜外観が異なってしまい、広範囲に安定した発色を得ることが困難であるためである。すなわち、大型で凹凸のある被塗物を塗装する場合、塗装した部位によって塗装膜厚にばらつきが生じ、そしてこの膜厚のばらつきにより色相が違ってくるという問題が生じる。
特開2001−314807号公報(特許文献1)には、被塗装物表面に対して(1)着色成分および/または光輝材を含有している第1塗料を塗布して第1塗膜を形成する工程、(2)第1塗膜を焼き付け硬化せずに、その上に、着色成分を含有している第2塗料を塗布して第2塗膜を形成する工程、(3)さらに第2塗膜を焼き付け硬化せずに、その上に、クリア塗料を塗布してクリア塗膜を形成する工程を含む多層塗膜形成方法が記載されている。この方法により形成される多層塗膜は、第1塗膜に光輝材が含まれ、そして第2塗膜に着色顔料が含まれているが、しかしながらマイカベース塗膜形成を含まない点において本発明とは工程が異なるものである。
特開2002−273332号公報(特許文献2)には、(1)基材に隠ぺい膜厚が10μm以下の光輝性ベース塗膜を形成する工程、(2)カラークリヤーベース塗膜を形成する工程、(3)クリヤートップ塗膜を形成する工程;順次施す光輝性塗膜形成方法が記載されている。この方法により形成される光輝性塗膜もまた、光輝性ベース塗膜、カラークリヤーベース塗膜およびクリヤートップ塗膜によって構成される点において、本発明とは工程が異なるものである。
特開2003−236465号公報(特許文献3)には、カラーベース塗膜を形成し、焼付け硬化させた後、ベースカラー塗膜、マイカベース塗膜およびクリヤー塗膜を順次形成するマイカ塗膜の形成方法において、カラーベース塗膜が呈する色相と、前記ベースカラー塗膜が呈する色相および前記マイカベース塗膜が呈する色相が同系色であり、且つ、マイカベース塗膜を形成するマイカベース塗料が、透明性顔料と非透明性顔料とを質量比で3/1〜20/1の比で含有することを特徴とする高意匠マイカ塗膜の形成方法が記載されている。この方法によって形成される塗膜は、透明性顔料と非透明性顔料を含有するマイカベース塗料を用いてマイカベース塗膜を形成する点および塗装工程中カラークリヤー塗膜形成を含まない点において、本発明とは異なるものである。
特開平11−276983号公報(特許文献4)には、被塗物の中塗り塗膜上に、着色顔料を含有した着色ベース塗膜層を形成し、その上に反射色と吸収色で色相が異なる着色マイカ顔料を含有したマイカベース塗膜層を形成し、さらにその上にクリヤ塗膜層を形成する積層塗膜の形成方法において、前記着色ベース塗膜層の色相を前記マイカベース塗膜層の着色マイカ顔料の吸収色と同系色にすることを特徴とする積層塗膜の形成方法が記載されている。この方法は、着色マイカ顔料を用いることを特徴としている点および塗装工程中カラークリヤー塗膜形成を含まない点において、本発明とは異なるものである。
特開2001−314807号公報(特許文献1) 特開2002−273332号公報(特許文献2) 特開2003−236465号公報(特許文献3) 特開平11−276983号公報(特許文献4)
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、自動車車体や自動車部品などの上に形成することができる上塗り積層塗膜において、塗膜外観(発色性)のバラツキが少なく、安定した意匠性を有する積層塗膜の形成方法を提供することにある。
本発明は、
中塗り塗膜を有する被塗物に、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜を順次形成する積層塗膜の形成方法であって、
このメタリックベース塗膜が呈する色相、このマイカベース塗膜が呈する色相およびこのカラークリヤー塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相であり、
このマイカベース塗膜は、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が−18〜−30%になるように塗膜形成された塗膜であり、
このメタリックベース塗膜、このマイカベース塗膜およびこのカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値は、20〜60であり、および
このメタリックベース塗膜を形成するメタリックベース塗料組成物は、平均粒径6〜40μmの非透明性鱗片状光輝性顔料を、顔料質量濃度(PWC)5〜25質量%の量で含有し、
このマイカベース塗膜を形成するマイカベース塗料組成物は、透明性鱗片状光輝性顔料を、顔料質量濃度(PWC)0.25〜15質量%の量で含有し、
このカラークリヤー塗膜を形成するカラークリヤー塗料組成物は、着色顔料を、顔料質量濃度(PWC)0.01〜10質量%の量で含有する、
積層塗膜の形成方法、を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
上記積層塗膜の形成方法において、さらに上記カラークリヤー塗膜は、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値に対して変動幅が−16〜−30%になるように塗膜形成された塗膜であり、および
得られる積層塗膜の15°L*値は、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が0〜−47%であるのが好ましい。
本発明はさらに、これらの積層塗膜の形成方法により形成される積層塗膜の上に、さらにトップクリヤー塗料組成物を用いてトップクリヤー塗膜を形成する、4層からなる積層塗膜の形成方法も提供する。
本発明はさらに、これらの積層塗膜の形成方法により形成される積層塗膜も提供する。
本発明による積層塗膜は、メタリックベース塗膜の上にマイカベース塗膜およびさらにカラークリヤー塗膜を有することによって、安定した意匠性を示すという利点を有している。本発明の積層塗膜はまた、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜の色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において同系色または少なくとも隣り合った色相であり、そしてこれらの塗膜に基づく15°L*値が特定の範囲にあるという特徴を有している。これにより、深み感があり意匠性に優れた塗膜を、塗膜外観(発色性)のバラツキが少ない状態で提供できることとなっている。つまり本発明は、深み感があり意匠性に優れた塗膜を、塗膜外観(発色性)のバラツキが少ない状態で提供する手段を見いだした発明である。
本発明に至るまでの過程
自動車などの基材の塗装において、例えばレッドなどの着色積層塗膜(ベース塗膜およびカラークリヤー塗膜を含む。)を形成する場合、下地のベース塗膜の色相は、その上に設けられる着色されたカラークリヤー塗膜と同色系のレッドメタリック色とすることがある。ベース塗膜の色相をこのように設定する目的は、ベース塗膜の上に形成されるカラークリヤー塗膜の膜厚が変動した場合における、積層塗膜の色相変動を少なくするためである。
ところが、このような積層塗膜の色相変動を少なくすることを目的として、ベース塗膜の色相と積層塗膜の色相とを近づけすぎると、積層塗膜における深み感がなくなるという不利益がある。この積層塗膜における深み感は、塗膜外観の意匠性に大きく関与している。深み感を有する塗膜は、高級感が感じられ意匠性に優れるものである。
本発明は、深み感を有する意匠性に優れる積層塗膜を、塗膜外観(発色性)のバラツキが少ない状態で調製することができる方法を確立することを目的としている。そして本発明者らは、それぞれ同系色の色相を有するメタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜を形成する際に、いわゆるハイライトの明度である15°L*値の変動が、得られる積層塗膜の塗膜外観に大きく関与することを見いだした。これにより、塗膜の15°L*値を特定の範囲に調節することによって、本発明の目的を達成できることをも見いだした。以下、本発明の方法について順次説明する。
メタリックベース塗料組成物
本発明の積層塗膜の形成方法においては、メタリックベース塗膜を形成するためにメタリックベース塗料組成物が用いられる。メタリックベース塗料組成物として、非透明性鱗片状光輝性顔料、着色顔料、塗膜形成性樹脂および硬化剤などが含まれるものが好ましく用いられる。
非透明性鱗片状光輝性顔料
メタリックベース塗料組成物に非透明性鱗片状光輝性顔料が含まれることによって、ハイライトの明度が高いメタリックベース塗膜を形成することができる。非透明性鱗片状光輝性顔料において、「非透明性」とは、塗料固形分中の顔料濃度(PWC)を25質量%にした場合に得られる塗膜の白黒隠ぺい膜厚が30μm未満となることを意味する。この白黒隠ぺい膜厚は、塗料組成物の隠ぺい力の測定に用いられる隠ぺい率測定紙(規格:JIS K5600)を用いて測定することができる。白黒隠ぺい膜厚の測定方法は次の通りである。隠ぺい率測定紙が有する2×2cm角の白黒の市松模様上に、乾燥膜厚が20〜300μmの膜厚勾配ができるようにスプレー塗装し、その後焼き付けを行い硬化させる。次いで、目視により、白黒の市松模様が透けて見えない限界の塗膜部位を判定し、その部位の膜厚を実測し、この膜厚を白黒隠ぺい膜厚とする。
非透明性鱗片状光輝性顔料の具体例としては、アルミニウム顔料、着色アルミニウム顔料、銅顔料、亜鉛顔料、鉄顔料、ニッケル顔料、スズ顔料などが挙げられる。これらの中でも、アルミニウム顔料、着色アルミニウム顔料が好ましく用いられる。ここで着色アルミニウム顔料とは、有機または無機の着色顔料を、アルミニウム顔料にコーティングしたものである。着色顔料のコーティング層は、約80〜約600nmの厚さを有する。着色顔料のコーティングは、例えば、着色顔料と高分子物質とを水中に分散させ、アルミニウム顔料の表面上に析出させて着色層を生成させた湿式法によるものなどが挙げられる。
本発明においては、このような非透明性鱗片状光輝性顔料として、最長方向における平均粒径が6〜40μmであるものを用いるのが好ましく、平均粒径が10〜30μmであるのがより好ましい。平均粒径が40μmを超える場合は、鱗片状光輝性顔料の先端が塗膜表面から突出していることがあり、得られる塗膜の仕上がり外観が低下してしまうおそれがある。一方平均粒径が6μm未満である場合は、下地隠ぺい性が低下するおそれがある。また、非透明性鱗片状光輝性顔料は、厚さが0.1〜2μmであるものが好ましく用いられる。
本明細書において顔料の「平均粒径」とは、一般に粒子の粒度(粒径が粗いか細かいか)を表わすために用いられるものであり、レーザー光散乱法による測定値であるメジアン径(D50)で表示した。
非透明性鱗片状光輝性顔料は、メタリックベース塗料組成物中、顔料質量濃度(PWC)5〜25質量%の量で含まれるのが好ましく、7〜20質量%の量で含まれるのがより好ましい。顔料質量濃度(PWC)が5質量%未満である場合は、メタリックベース塗膜において下地隠ぺい性が低下するおそれがある。また顔料質量濃度(PWC)が25質量%を超える場合は、得られる積層塗膜の塗膜外観が劣ることとなるおそれがある。なお、非透明性鱗片状光輝性顔料の顔料質量濃度は、後述する非透明性鱗片状光輝性顔料以外の顔料の量も併せた計算式、
PWC(質量%)=(非透明性鱗片状光輝性顔料の合計質量)/(非透明性鱗片状光輝性顔料およびそれ以外の顔料と、全樹脂固形分との合計質量)×100
から算出される。なお全樹脂とは、塗膜形成性樹脂および硬化剤を意味する。
本発明において、非透明性鱗片状光輝性顔料は市販のものを用いてもよく、例えば、アルミニウム顔料としては東洋アルミニウム社製「アルペースト」シリーズ、旭化成社製「アルペースト」シリーズなどが挙げられ、着色アルミニウム顔料としては、東洋アルミニウム社製「着色アルミニウム」シリーズ、昭和アルミニウム社製「着色アルミニウム」シリーズなどが挙げられる。
着色顔料
メタリックベース塗料組成物に含有され得る着色顔料として、有機系、あるいは無機系の各種着色顔料などが挙げられる。着色顔料としては、例えば、有機系のアゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料など、無機系の黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタンなどが挙げられる。さらに、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、アルミ粉、タルクなどの体質顔料を添加することができる。また、上記着色顔料を1種または2種以上を組み合わせて用いることで、所望の色相のメタリックベース塗膜を形成することができる。
メタリックベース塗料組成物が着色顔料を含有する場合、メタリックベース塗料組成物に含まれる着色顔料の含有量は、顔料質量濃度(PWC)5〜40質量%であるのが好ましい。この範囲の量で着色顔料を含有することによって、メタリックベース塗膜が呈する色相、マイカベース塗膜が呈する色相およびカラークリヤー塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相となる塗膜を得ることができる。下限を下回ると下地隠ぺい性が低下するおそれがあり、上限を上回ると外観が低下するおそれがある。着色顔料の顔料質量濃度(PWC)は好ましくは7〜35質量%である。なお、着色顔料の顔料質量濃度は、前述の非透明性鱗片状光輝性顔料も併せた計算式、
PWC(質量%)=(着色顔料の合計質量)/(着色顔料およびそれ以外の顔料と、全樹脂固形分との合計質量)×100
から算出される。
塗膜形成性樹脂および硬化剤
メタリックベース塗料組成物に含まれる塗膜形成用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂などが挙げられ、特に、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂が好ましく用いられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。また硬化剤として、アミノ樹脂および(ブロック)ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
好ましく用いられるアクリル樹脂としては、アクリル系モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体を挙げることができる。上記共重合に使用し得るアクリル系モノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルなどのエステル化物、アクリル酸またはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−メチロールアクリルアミドなどがある。これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニルなどがある。
好ましく用いられるポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられ、例えば、多塩基酸と多価アルコールを加熱縮合して得られた縮合物が挙げられる。多塩基酸としては、例えば、飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸などが挙げられ、飽和多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸などが挙げられ、不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、二価アルコール、三価アルコールなどが挙げられ、二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられ、三価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
塗膜形成用樹脂と硬化剤の割合は、両者の合計に対し、固形分換算で塗膜形成用樹脂が90〜50質量%、硬化剤が10〜50質量%であるのが好ましく、塗膜形成用樹脂が85〜60質量%、硬化剤が15〜40質量%であるのがより好ましい。硬化剤が10質量%未満である場合(塗膜形成用樹脂が90質量%を超える場合)は、塗膜中の架橋が十分でないおそれがある。一方、架橋剤が50質量%を超える場合(塗膜形成用樹脂が50質量%未満である場合)は、塗料組成物の貯蔵安定性が低下するとともに硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くなるおそれがある。
他の成分
メタリックベース塗料組成物は、上記成分の他に、脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリアミドワックスまたは酸化ポリエチレンを主体としたコロイド状分散体であるポリエチレンワックスなどの沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコンや有機高分子などの表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)などを適宜添加することができる。これらの添加剤は、通常、樹脂成分100質量部(固形分基準)に対して15質量部以下の割合で配合することにより、塗料組成物または塗膜の性能を改善することができる。
メタリックベース塗料組成物の調製
メタリックベース塗料組成物は、上記構成成分を、通常、溶媒に溶解または分散した態様で提供される。溶媒としては、樹脂成分を溶解または分散するものであればよく、有機溶媒および/または水を使用し得る。有機溶媒としては、塗料分野において通常用いられるものを挙げることができる。例えば、ヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエテルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブなどのエステル類、アルコール類などを例示できる。環境面の観点から有機溶媒の使用が規制されている場合には、水を用いることが好ましい。この場合、適量の親水性有機溶媒を含有させてもよい。
メタリックベース塗料組成物の調製は方法は特に限定されず、顔料などの配合物をミル、ニーダーまたはロールなどを用いて混練、分散するなどの当業者に周知の方法を用い得る。
メタリックベース塗料組成物の固形分含有量は、製造時は30〜70質量%であるのが好ましく、そしてメタリックベース塗料組成物の塗装時は20〜55質量%であるのが好ましい。
マイカベース塗料組成物
マイカベース塗膜は、マイカベース塗料組成物を用いて形成される。マイカベース塗料組成物として、透明性鱗片状光輝性顔料、着色顔料、塗膜形成性樹脂および硬化剤などが含まれるものが好ましく用いられる。
透明性鱗片状光輝性顔料
マイカベース塗料組成物に透明性鱗片状光輝性顔料が含まれることによって、得られるマイカベース塗膜のハイライト明度がある程度高く、かつ、マイカベース塗膜のハイライトの明度の値が、メタリックベース塗膜のハイライトの明度の値より低い塗膜を形成することができる。
透明性鱗片状光輝性顔料において、「透明性」とは、塗料固形分中の顔料濃度(PWC)を25%にした場合に得られる塗膜の白黒隠ぺい膜厚が100μm以上となることを意味する。透明性鱗片状光輝性顔料の具体例としては、マイカフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカフレーク顔料、アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料などが挙げられる。これらの中でも、マイカフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、アルミナフレーク顔料および金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料がより好ましく用いられる。
マイカフレーク顔料とは、天然の白雲母や合成雲母から構成される顔料である。そして金属酸化物被覆マイカ顔料は、天然の白雲母や合成雲母の表面に二酸化チタン、酸化鉄やその他にクロム、コバルト、錫、ジルコニウムなどの金属酸化物の薄膜をコーティングした顔料である。
アルミナフレーク顔料とは、酸化アルミニウム(A123)から構成される顔料である。そして金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、酸化アルミニウム(A123)の表面をFe23、TiO2、SnO2、ZrO2などの金属酸化物により被覆したものである。表面平滑性を高く、粒度分布をシャープにすることで、反射した光による散乱を少なくすることができる。
金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、フレーク状のシリカ(二酸化珪素)からなる基体を、シリカとは異なる金属酸化物で被覆したものである。ここで被覆する金属酸化物の例としては、酸化鉄(一酸化鉄、三酸化二鉄、ヘマタイト)、二酸化チタン(アナターゼ型、またはルチル型)がある。金属酸化物被覆層の厚みは、50〜200nmが好ましく、より好ましくは60〜180nmである。
金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料は、ガラスフレークの表面に二酸化チタンを被覆した光輝性顔料である。顔料の厚みは、0.1〜5μm、好ましくは0.1〜3μmである。厚みが0.1μm未満では、塗料調製時において光輝性顔料に変形・破壊が発生し、塗料組成物が経時変色するおそれがあり、5μmを超えると塗膜外観が低下する恐れがある。
上記の顔料の中で金属酸化物で被覆された顔料は干渉光輝性顔料といわれることがある。これらの金属酸化物で被覆された顔料は、被覆する金属酸化物の種類・量(被覆厚)を調整することで、所望の色を得ることができる。
透明性鱗片状光輝性顔料として、最長方向における平均粒径が10〜30μm、厚さ0.1〜2μmであるものを用いるのが好ましい。
透明性鱗片状光輝性顔料は、マイカベース塗料組成物中、顔料質量濃度(PWC)0.25〜15質量%の量で含まれるのが好ましく、0.5〜10質量%の量で含まれるのがより好ましい。顔料質量濃度(PWC)が0.25質量%未満である場合は、優れた意匠性を有する積層塗膜が得られないおそれがある。また顔料質量濃度(PWC)が15質量%を超える場合は、積層塗膜の塗膜外観が低下するおそれがある。透明性鱗片状光輝性顔料の顔料質量濃度は、後述するその他の顔料も併せた計算式、
PWC(質量%)=(透明性鱗片状光輝性顔料の合計質量)/(透明性鱗片状光輝性顔料およびその他の顔料と、全樹脂固形分との合計質量)×100
から算出される。
透明性鱗片状光輝性顔料は市販のものを用いてもよい。例えば、ホワイトの干渉色を有する金属酸化物被覆マイカ顔料として、メルクジャパン社製「シラリック T60−10 W3」(商品名)、日本光研社製「パールグレイスSME 90−9」(商品名)、グリーンの干渉色を有する金属酸化物被覆マイカ顔料として、メルクジャパン社製「イリオジン ウルトラ 7235 W2」(商品名)、ブルーの干渉色を有する金属酸化物被覆マイカ顔料として、メルクジャパン社製「イリオジン ウルトラ 7225 W2」(商品名)、エローの干渉色を有する金属酸化物被覆マイカ顔料として、メルクジャパン社製「イリオジン ウルトラ 7205 W2」(商品名)などが挙げられる。さらに、干渉光を有する金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料(アルミナホワイト、ブルー、レッド、グリーン、ゴールド)なども挙げられる。
着色顔料
着色顔料として、メタリックベース塗料組成物の記載で挙げた着色顔料を用いることができる。そしてマイカベース塗料組成物中に含まれる着色顔料の顔料質量濃度(PWC)を0.5〜15質量%とすることによって、メタリックベース塗膜が呈する色相、マイカベース塗膜が呈する色相およびカラークリヤー塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相となる塗膜を得ることができる。
塗膜形成性樹脂、硬化剤およびマイカベース塗料組成物の調製
マイカベース塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂および硬化剤としては、具体的には、上述のメタリックベース塗膜の記載で挙げた塗膜形成性樹脂および硬化剤を使用できる。メタリックベース塗料組成物で用いられるものと同じ種類の塗膜形成樹脂および硬化剤を用いるのがより好ましい。さらに、メタリックベース塗料組成物中に含まれうる他の成分なども同様に用いることができる。これらの成分の好ましい割合およびマイカベース塗料組成物の調製などについても、メタリックベース塗料組成物と同様である。
本発明で用いるマイカベース塗料の塗料形態としては、有機溶媒型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型のいずれでもよい。
マイカベース塗料組成物の固形分含有量は、製造時は10〜60質量%であるのが好ましく、一方、塗装時は15〜55質量%であるのが好ましい。
カラークリヤー塗料組成物
カラークリヤー塗膜は、カラークリヤー塗料組成物を用いて形成される。このカラークリヤー塗料組成物には、着色顔料、塗膜形成性樹脂および硬化剤などが含まれる。
着色顔料として、メタリックベース塗料組成物の記載で挙げた着色顔料を用いることができる。そしてカラークリヤー塗料組成物中に含まれる着色顔料の顔料質量濃度(PWC)を0.01〜10質量%とすることによって、クリヤー性を保ちつつ、メタリックベース塗膜が呈する色相、マイカベース塗膜が呈する色相およびカラークリヤー塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相となる塗膜を得ることができる。
カラークリヤー塗料組成物中に含まれる塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、メタリックベース塗料組成物で用いることができるアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂などの塗膜形成性樹脂を用いることができる。これらの樹脂はアミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート樹脂などの硬化剤と組み合わせて用いることができる。透明性などの点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組合わせが好ましい。またカラークリヤー塗膜が積層塗膜の最上面塗膜として用いられる場合は、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂などが好ましいものとして挙げられる。
カラークリヤー塗料組成物の塗料形態としては、有機溶媒型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型のいずれでもよい。
カラークリヤー塗料組成物の固形分含有量は、製造時は30〜60質量%であるのが好ましく、35〜55質量%であるのがより好ましい。カラークリヤー塗料組成物の塗装時の固形分含有量は、20〜55質量%であるのが好ましく、30〜55質量%であるのがより好ましい。
トップクリヤー塗料組成物
本発明で用いるトップクリヤー塗料の塗料形態としては、有機溶媒型、水性型(水溶性、水分散性、エマルション)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、塗膜形成性樹脂および硬化剤などを含有するものなどが挙げられる。また必要により、硬化触媒、表面調製剤などを用いることができる。上記塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などを用いることができる。これらは、アミノ樹脂および/または(ブロック)イソシアネート樹脂などの硬化剤と組み合わせて用いられる。透明性あるいは耐酸エッチング性などの点から、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み合わせ、あるいは、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂などを用いることが好ましい。さらに、トップクリヤー塗料には、所望により、その他の添加剤を含有させることができる。具体的には、上述のメタリックベース塗膜の記載で挙げたものを使用できる。
積層塗膜の形成方法
本発明の積層塗膜の形成方法によって得られる積層塗膜の概略図を図1に示す。被塗物1は、所望により電着塗膜3を有してもよい。本発明の積層塗膜は、中塗り塗膜5上に、メタリックベース塗膜7を形成し、次いでマイカベース塗膜9およびカラークリヤー塗膜11を順次形成することにより形成される。さらに、トップクリヤー塗膜13を形成してもよい。
被塗物
本発明の積層塗膜の形成に用いられる被塗物としては特に限定されず、例えば、金属、プラスチック、発泡体などが挙げられる。これらの被塗物のうち、カチオン電着塗装可能な金属基材が特に好適に使用される。金属基材としては特に限定されず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛などの金属単体、並びに、これらの金属単体を含む合金および鋳造物が挙げられ、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バスなどの自動車の車体および部品が挙げられる。
これらの金属基材を被塗物として用いる場合は、リン酸塩、クロム酸塩などで予め化成処理されているのが特に好ましい。そしてこのような化成処理がなされた金属基材上に電着塗膜が形成されているのが好ましい。電着塗料組成物としては、カチオン型およびアニオン型の何れも使用することができるが、カチオン型電着塗料組成物を用いることにより防食性においてより優れた塗膜を形成することができるため好ましい。カチオン型電着塗料組成物は通常用いられる塗料組成物を用いることができる。
中塗り塗膜
本発明に用いる被塗物は、所望により有する電着塗膜上に、中塗り塗膜が形成されている。中塗り塗膜は、下地欠陥を隠ぺいし、上塗り塗装後の表面平滑性を確保(外観向上)し、塗膜物性(耐衝撃性、耐チッピング性など)を付与する機能を有する。中塗り塗膜は、中塗り塗料組成物を用いて形成される。中塗り塗料組成物は、有機系、無機系の各種着色顔料、体質顔料など、塗膜形成性樹脂および硬化剤などを含む。
中塗り塗料組成物に用いられる着色顔料としては、例えば上述のメタリックベース塗料組成物で記載されたものなどが用いられ得る。標準的には、カーボンブラックおよび二酸化チタンを主要顔料としたダークグレー系、ライトグレー系あるいはホワイト系中塗り塗料組成物が用いられる。各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー中塗り塗料組成物であってもよい。
中塗り塗料組成物に用いられる塗膜形成性樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば上述のメタリックベース塗料組成物で記載されたものを用いることができる。顔料分散性あるいは作業性の点から、アルキド樹脂および/またはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組合わせが好ましい。
所望により電着塗膜が形成された被塗物に、中塗り塗料組成物を塗装した後、未硬化の状態で、メタリックベース塗膜の形成を行ってもよい。また、メタリックベース塗膜の形成の前に、焼き付け硬化を行ってもよい。焼き付け硬化を行う場合は、硬化温度100〜180℃、好ましくは120〜160℃で、10〜30分間焼き付けることができる。
メタリックベース塗膜
中塗り塗膜を有する被塗物に、メタリックベース塗料組成物を塗装して、メタリックベース塗膜を形成する。被塗物が自動車車体である場合には、エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、或いは、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」あるいは「メタベル」などと言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法によりメタリックベース塗膜を形成することが好ましい。これらの塗装により、塗膜外観および意匠性をより高めることができる。
本発明におけるメタリックベース塗膜の膜厚は、所望の用途により変化するが、乾燥膜厚が10〜35μmとなるように塗装するのが好ましい。上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラあるいは流れなどの不具合が起こることがあり、下限を下回ると、下地が隠ぺいできず膜切れが発生することがある。
メタリックベース塗料組成物の塗装後、塗膜を焼き付け硬化させてもよく、また焼き付け硬化させることなく、未硬化のメタリックベース塗膜上に次のマイカベース塗膜の形成を行ってもよい。メタリックベース塗膜を焼き付け硬化する場合は、硬化温度100〜180℃、好ましくは120〜160℃で、10〜30分間焼き付けるのが好ましい。
マイカベース塗膜
こうして形成されたメタリックベース塗膜の上に、上記マイカベース塗料組成物を用いてマイカベース塗膜を形成する。マイカベース塗膜は、上記のメタリックベース塗膜と同様に形成することができる。なお、メタリックベース塗膜の形成後、焼き付け硬化を行っていない場合は、マイカベース塗膜はウェットオンウェットで形成されることとなる。
ここでウェットオンウェットとは、第1の塗料組成物(ここではメタリックベース塗料組成物)を塗装して塗膜を形成した後、塗膜を焼き付け硬化させないで、その上に第2の塗料組成物(ここではマイカベース塗料組成物)を塗装して塗膜を形成することをいう。この場合、第2の塗料組成物を塗装する前に、第1の塗料組成物により得られた塗膜をセッティングやプレヒートしてもよい。セッティングは、一般に、室温で1〜8分塗膜を放置することにより行う。又、プレヒートは、一般に、40〜80℃で2〜10分間塗膜を加熱することにより行う。
マイカベース塗膜の膜厚は、所望の用途により変化するが、乾燥膜厚が10〜35μmとなるように塗装するのが好ましい。上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラあるいは流れなどの不具合が起こることがあり、下限を下回ると、下地が隠ぺいできず膜切れが発生することがある。
本発明の積層塗膜の形成方法においては、こうして得られるメタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜は、メタリックベース塗膜が呈する色相およびマイカベース塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相であるという関係にある。
マンセル表色系とは、色の3属性に基づいた色彩を表現する体系(表色系)の一種である。なおマンセル表色系は、JIS Z 8721(3属性による色の表示方法)として規格化されている。ここで3属性とは、色相、明度および彩度の3つを意味する。3属性のうち「色相」とは、色の種類を表すものである。この色相では、色を、赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫(P)の基本の5色、そしてそれぞれの中間色である黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(PB)、赤紫(RP)を加えた、合計10色に分割する。そしてこれらの色をさらに5で分割し、計50色相で色の種類を表現する。この50色相に分割した色を順番に並べたものを色相環という。本明細書における「マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相」とは、マンセル表色系にて50色相に分割された色において、同じ色相または隣り合った色相として判断される色相を意味する。
本発明の積層塗膜の形成において、メタリックベース塗膜が呈する色相およびマイカベース塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相であることによって、深み感がありそしてそれぞれの塗膜の膜厚の変動を受け難い積層塗膜が得られることとなる。
なお「メタリックベース塗膜が呈する色相およびマイカベース塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相である」とは、例えばメタリックベース塗膜の色相が、マンセル表色系の色相で「5R」に分類される場合、マイカベース塗膜の色相が2.5R〜7.5Rに分類される状態を意味する。
本発明における、メタリックベース塗膜が呈する色相、そしてマイカベース塗膜が呈する色相は、メタリックベース塗料組成物およびマイカベース塗料組成物をそれぞれ単独で塗装し、焼き付け硬化することにより得られる塗膜を用いて、色相を測色する。測色に用いる塗膜は、例えば、白黒隠ぺい試験紙上に乾燥膜厚が15μmとなるように塗料組成物を塗装し、焼き付けることによって調製することができる。ここで白黒隠ぺい試験紙とは、40mm間隔の白黒市松模様を焼き付けたものとし、その明度は白色部でL*値80以上、黒色部でL*値12以下のものである。これらの塗膜におけるマンセル表色系の色相の測色は、「ミノルタ分光測色計CM−2002」(商品名、ミノルタ社製)の色差計を用いて行うことができる。
本発明の積層塗膜の形成方法において、マイカベース塗膜は、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が−18〜−30%になるように塗膜形成された塗膜であることも特徴とする。
ここでL*は、JIS Z8729に準拠して求められる。L*は、L*a*b*表色系(CIE 1976)による、被測定物の色を表すのに用いられる指標である。この表色系では、L*は明度を表す。明度L*は、その数値が増加するにしたがい被測定物質の色相が白色度が、その数値が低下するにしたがい黒色度が増すことを意味する。L*値は、「CM512m−3」(ミノルタ社製変角色差計)を用いて測定することができる。
15°L*値は、測定対象である塗膜に対して垂直位置にある受光部を0°とした場合に、15°となる角度から光源を照射して受光されるL*値を意味する。図2は、これらの光源照射角度を概略説明する図である。
メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅−18〜−30%である状態とは、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる2層の塗膜が、メタリックベース塗膜単独の場合と比べて明度が低い状態である。メタリックベース塗膜の色相およびマイカベース塗膜の色相が同系色であって、そしてメタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の明度が上記範囲で変動することとなるマイカベース塗膜を形成することによって、膜厚の変動による塗膜外観の変化を低減することができ、かつ、深み感のある意匠性に優れた積層塗膜を形成することができる。
メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して、変動幅が0〜−18%(但し−18%を除く)である場合は、得られる積層塗膜の深み感が低くなり意匠性に劣ることとなる。また、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅−30%より小さい場合(変動幅の絶対値は大きくなる場合、例えば−32%である場合など)は、塗膜の色の変化が感じられることとなり、膜厚の変動による塗膜外観の変化が生じるおそれがある。またメタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して、変動幅0を超える場合は、得られる積層塗膜の外観が劣ることとなる。
メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が−18〜−30%となる、マイカベース塗膜の形成方法として、透明性鱗片状光輝性顔料の顔料質量濃度(PWC)が0.25〜15質量%であるマイカベース塗料組成物を用いて、乾燥膜厚が6〜15μmとなるように塗膜を形成する方法などが挙げられる。
マイカベース塗料組成物の塗装後、塗膜を焼き付け硬化させてもよく、また焼き付け硬化させることなく、次のカラークリヤー塗膜の形成を行ってもよい。マイカベース塗膜を焼き付け硬化する場合は、硬化温度100〜180℃、好ましくは120〜160℃で、10〜30分間焼き付けるのが好ましい。
カラークリヤー塗膜
こうして形成された、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の上に、上記カラークリヤー塗料組成物を用いてカラークリヤー塗膜を形成する。カラークリヤー塗膜は、上記のメタリックベース塗膜と同様に形成することができる。なお、マイカベース塗膜の形成後、焼き付け硬化を行っていない場合は、カラークリヤー塗膜はウェットオンウェットで形成されることとなる。ウェットオンウェットで塗装する場合、上記マイカベース塗膜は、カラークリヤー塗料組成物を塗装する前に、セッティングやプレヒートを行ってもよい。プレヒートは、上述のメタリックベース塗膜の場合と同様の条件で行うことができる。
カラークリヤー塗膜の膜厚は、所望の用途により変化するが、乾燥膜厚が10〜60μmとなるように塗装するのが好ましい。上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラあるいは流れなどの不具合が起こることがあり、下限を下回ると、下地が隠ぺいできず膜切れが発生することがある。
カラークリヤー塗料組成物の塗装後の焼き付けは、硬化温度100〜180℃、好ましくは120〜160℃で、10〜30分間焼き付けるのが好ましい。
本発明の積層塗膜の形成方法においては、カラークリヤー塗膜が呈する色相は、メタリックベース塗膜が呈する色相およびマイカベース塗膜が呈する色相と、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相である。塗膜の色相の測色は上記と同様に行うことができる。これらの塗膜がこのような色相を有することによって、深み感がありそしてそれぞれの塗膜の膜厚の変動を受け難い積層塗膜が得られることとなる。
本発明の積層塗膜の形成方法においてカラークリヤー塗膜は、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が−16〜−30%になるように塗膜形成された塗膜であることも特徴とする。
メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜の15°L*値に対して変動幅−16〜−30%である状態とは、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる3層の塗膜が、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる2層の塗膜と比べて明度が低い状態である。上記のようにメタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜の色相が同系色であって、そして明度が上記範囲で変動するカラークリヤー塗膜を形成することによって、膜厚の変動による塗膜外観の変化を低減することができ、かつ、深み感のある意匠性に優れた積層塗膜を形成することができる。15°L*値の変動幅が−16〜−30%の範囲を外れる場合の不利益は上記と同様である。
メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が−16〜−30%となる、カラークリヤー塗膜の形成方法として、着色顔料の顔料質量濃度(PWC)が0.01〜10質量%であるカラークリヤー塗料組成物を用いて、乾燥膜厚が10〜60μmとなるように塗膜を形成する方法などが挙げられる。
こうして得られる、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値は、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が0〜−47%であるのが好ましい。変動幅がこの範囲内であることによって、塗膜外観のバラツキの少ない塗膜を得ることができる。この変動幅は−37〜−47%の範囲であるのがより好ましい。
また、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値は、20〜60であることが好ましい。積層塗膜の15°L*値が20〜60であることによって、深み感を有する意匠性に優れた積層塗膜が得られることとなる。積層塗膜の15°L*値が20未満である場合は、光輝性成分の量が少ない塗色しか設計することができず、積層塗膜の意匠性が低下するおそれがある。また積層塗膜の15°L*値が60を超える場合は、メタリック塗膜とカラークリヤー塗膜との明度差が大きくなりすぎて、カラークリヤー塗膜の膜厚変動による色相差が大きくなるというおそれがある。
トップクリヤー塗膜
本発明の積層塗膜の形成方法においては、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の上に、さらにトップクリヤー塗膜を形成することもできる。トップクリヤー塗膜を形成することによって、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜を保護することができる。
トップクリヤー塗膜は、トップクリヤー塗料組成物を用いて形成することができる。トップクリヤー塗料組成物として、塗膜形成性樹脂および硬化剤を含むものが好ましく用いられる。塗膜形成性樹脂および硬化剤として、カラークリヤー塗料組成物で用いることができるものを用いることができる。トップクリヤー塗料組成物の調製は、カラークリヤー塗料組成物と同様に調製することができる。
トップクリヤー塗料組成物の塗装方法として具体的には、先に述べたμμベル、μベルなどの回転霧化式の静電塗装機により塗装するのが好ましい。
トップクリヤー塗料により形成されるトップクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜70μm程度が好ましく、より好ましくは20〜50μm程度である。上限を超えると、塗装時にワキあるいはタレなどの不具合が起こることもあり、下限を下回ると、下地の凹凸が隠ぺいできないおそれがある。
トップクリヤー塗膜を形成した後、塗膜を硬化させる硬化温度を100〜180℃、好ましくは120〜160℃に設定することで高い架橋度の硬化塗膜を得られる。上限を超えると塗膜が固く脆くなるおそれがあり、下限未満では硬化が充分でないおそれがある。硬化時間は硬化温度により変化するが、120℃〜160℃で10〜30分が適当である。トップクリヤー塗膜は、上記カラークリヤー塗膜の上に、ウェットオンウェットで塗装することが好ましい、上記カラークリヤー塗膜は、トップクリヤー塗料組成物を塗装する前に、セッティングやプレヒートを行うことこができる。プレヒートは、上述のメタリックベース塗膜と同様の条件で行うことができる。
本発明で形成される積層塗膜の膜厚は、多くの場合30〜300μmであり、好ましくは50〜250μmである。上限を超えると、冷熱サイクルなどの膜物性が低下するおそれがあり、下限を下回ると膜自体の強度が低下するおそれがある。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1 赤系メタリックベース塗料組成物の製造
ステンレス容器に、日本ペイント社製アクリル樹脂(酸価20mgKOH/g、水酸基価75、数平均分子量5000、固形分60%)83.2部に、予め、ペリンドマルーン6436(マイルス社製酸化鉄赤色顔料)13.6部を粒度が5μm以下となるように顔料分散して得られた顔料分散ペースト96.8部を秤量し、次いでユーバン128(三井化学社製ブチル化メラミン樹脂、商品名、固形分60%)を44.7部、アルミペースト7640NS(東洋アルミニウム社製アルミニウム顔料、非透明性鱗片状光輝性顔料、商品名、平均粒径18μm)を9.7部および架橋性樹脂粒子(日本ペイント社製アクリル系粘性付与剤、平均粒径55nm、固形分25%)15.3部を秤量し、卓上攪拌機で攪拌して、赤系の溶剤型メタリックベース塗料組成物を調製した。これを塗装粘度に調整して用いた。メタリックベース塗料組成物中に含まれる非透明性鱗片状光輝性顔料のPWCは23.3質量%であった。
製造例2 赤系マイカベース塗料組成物の製造
ステンレス容器に、日本ペイント社製アクリル樹脂(酸価20mgKOH/g、水酸基価75、数平均分子量5000、固形分60%)83.2部に、予め、シンカシャレッドRT−355(チバスペシャリティーケミカルズ社製赤色顔料)6.2部、ペリンドマルーン6436(マイルス社製酸化鉄赤色顔料)0.4部をそれぞれの粒度が5μm以下となるように顔料分散して得られた顔料分散ペースト90.6部を秤量し、次いでユーバン128(三井化学社製ブチル化メラミン樹脂、商品名、固形分60%)を44.7部、イリオジン7215WII(メルク社製マイカ顔料、透明性鱗片状光輝性顔料、商品名)0.8部および架橋性樹脂粒子(日本ペイント社製アクリル系粘性付与剤、平均粒径55nm、固形分25%)9.2部を秤量し、卓上攪拌機で攪拌して、赤系の溶剤型マイカベース塗料組成物を調製した。これを塗装粘度に調整して用いた。マイカベース塗料組成物中に含まれる透明性鱗片状光輝性顔料のPWCは7.4質量%であった。
製造例3 赤系カラークリヤー塗料組成物の製造
ステンレス容器に、マックフローO−1800クリヤー(日本ペイント社製酸・エポキシ硬化系クリヤー塗料、商品名)に、予め、ペリンドマルーン6436(マイルス社製酸化鉄赤色顔料)を顔料濃度(PWC)が0.7質量%となるように顔料分散して得られた、赤系の溶剤型カラークリヤー塗料組成物を製造し、塗装粘度に調整して用いた。
製造例4 トップクリヤー塗料組成物の製造
マックフローO−1800クリヤー(日本ペイント社製酸・エポキシ硬化系クリヤー塗料、商品名)を、塗装粘度に調整して用いた。
各塗料組成物から形成される塗膜のマンセル値の測定
上記製造例により得られたメタリックベース塗料組成物、マイカベース塗料組成物およびカラークリヤー塗料組成物をそれぞれ用いて、白黒隠ぺい試験紙上に乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、焼き付けた。得られた硬化塗膜を、「ミノルタ分光測色計CM−2002」(商品名、ミノルタ社製)の色差計により測色し、マンセル色相での色配置を測定した。ここで白黒隠ぺい試験紙とは、40mm間隔の白黒市松模様を焼き付けたものとし、その明度は白色部でL*値80以上、黒色部でL*値12以下のものである。測定結果を表1に示す。
Figure 2008126095
実施例1
リン酸亜鉛処理した厚さ0.8cm、20cm×30cmのSPCC−SD鋼板(ダル鋼板)に、カチオン電着塗料「パワートップU−50」(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた。次に、得られた電着塗膜上に、グレー色の中塗り塗料「オルガTO−H−880−3グレー」(日本ペイント社製、ポリエステル・メラミン樹脂系塗料)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で20分間焼き付けて、中塗り塗膜が形成された被塗物を作成した。
得られた中塗り塗膜上に、製造例1のメタリックベース塗料組成物を、乾燥膜厚が15μmとなるように、2分間隔の2ステージで「オートREA」(ランズバーグ社製エアー静電塗装機)により塗装した。10分間のインターバルの後、140℃で20分間焼き付けた。「CM512m−3」(ミノルタ社製変角色差計)を用いて、得られたメタリックベース塗膜に対して垂直位置にある受光部を0°とした場合に、15°となる角度から光源を照射して測定されるL*値を測定した。測定結果を表2に示す。
次いで、得られたメタリックベース塗膜の上に、製造例2のマイカベース塗料組成物を、乾燥膜厚が9μmとなるように、同様に静電塗装した。次に7分間のセッテイングの後、140℃で20分間焼き付けた。得られた塗膜の15°L*値を上記と同様に測定した。測定結果を表2に示す。
次いで、得られたマイカベース塗膜の上に、製造例3のカラークリヤー塗料組成物を、乾燥膜厚が37μmとなるように、μμベルにより回転霧化型静電塗装した。140℃で20分間焼き付け、評価用塗膜を作成した。得られた塗膜の15°L*値を上記と同様に測定した。測定結果を表2に示す。
なお、表2〜4中において、「変動幅1」とは、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値(15°L*(2))についての、メタリックベース塗膜の15°L*値(15°L*(1))に対する変動幅であり、下記式より算出される。
変動幅1={(15°L*(2))-(15°L*(1))}/(15°L*(1))×100
また「変動幅2」とは、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値(15°L*(3))についての、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値(15°L*(2))に対する変動幅であり、下記式より算出される。
変動幅2={(15°L*(3))-(15°L*(2))}/(15°L*(2))×100
「変動幅3」とは、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値(15°L*(3))についての、メタリックベース塗膜の15°L*値(15°L*(1))に対する変動幅であり、下記式より算出される。
変動幅3={(15°L*(3))-(15°L*(1))}/(15°L*(1))×100
積層塗膜の外観評価
こうして得られた積層塗膜の外観を、目視判定により評価した。評価基準は下記の通りである。
○:深みが感じられる塗膜であり、かつ、塗膜全体が均一な色を有している。
△:深み感がやや弱い塗膜である、または塗膜の膜厚の変動によって色相の変化が感じられる。
×:深み感がなく、塗膜の膜厚変動によって色相が変化している。
実施例2〜6および比較例1〜7
メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜の膜厚を、表2〜4に記載の膜厚に変更したこと以外は、実施例1と同様に行い、15°L*値、外観評価なども同様に行った。結果を表2〜4に示す。実施例2〜6および比較例1〜7においては、実質的に各塗膜の塗装膜厚を変化させることによって、各塗膜の色相を変化させ、そして各塗膜層に生じた色相の変化のみを評価した。
Figure 2008126095
Figure 2008126095
Figure 2008126095
表3〜5に示されるとおり、実施例により得られた積層塗膜は、深み感を有し意匠性に優れており、かつ、膜厚変動による積層塗膜の色相変動が少ないものであった。一方、比較例1、4および5については、L*値の変化が小さいため、得られた積層塗膜は深み感が少なく意匠性に劣るものであった。また比較例2、3、6および7については、L*値の変化が大きく、得られた積層塗膜は膜厚変動による色相の変化が感じられるものであった。
本発明による積層塗膜は、メタリックベース塗膜の上にマイカベース塗膜を有することによって、安定した意匠性を示すという利点を有している。本発明の積層塗膜の形成方法は、自動車の車体などのような、大きくかつ複雑な形状を有する被塗物の工業的塗装に特に適している。
実施例で調製された積層塗膜の模式的断面図である。 光源照射角度を概略説明する図である。
符号の説明
1…被塗物、3…電着塗膜、5…中塗り塗膜、7…メタリックベース塗膜、9…マイカベース塗膜、11…カラークリヤー塗膜、13…トップクリヤー塗膜。

Claims (4)

  1. 中塗り塗膜を有する被塗物に、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜を順次形成する積層塗膜の形成方法であって、
    該メタリックベース塗膜が呈する色相、該マイカベース塗膜が呈する色相および該カラークリヤー塗膜が呈する色相が、マンセル表色系の色相環の色配置において、同系色または少なくとも隣り合った色相であり、
    該マイカベース塗膜は、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が−18〜−30%になるように塗膜形成された塗膜であり、
    該メタリックベース塗膜、該マイカベース塗膜および該カラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値は、20〜60であり、および
    該メタリックベース塗膜を形成するメタリックベース塗料組成物は、平均粒径6〜40μmの非透明性鱗片状光輝性顔料を、顔料質量濃度(PWC)5〜25質量%の量で含有し、
    該マイカベース塗膜を形成するマイカベース塗料組成物は、透明性鱗片状光輝性顔料を、顔料質量濃度(PWC)0.25〜15質量%の量で含有し、
    該カラークリヤー塗膜を形成するカラークリヤー塗料組成物は、着色顔料を、顔料質量濃度(PWC)0.01〜10質量%の量で含有する、
    積層塗膜の形成方法。
  2. さらに、前記カラークリヤー塗膜は、メタリックベース塗膜、マイカベース塗膜およびカラークリヤー塗膜からなる積層塗膜の15°L*値が、メタリックベース塗膜およびマイカベース塗膜からなる塗膜の15°L*値に対して変動幅が−16〜−30%になるように塗膜形成された塗膜であり、および
    得られる積層塗膜の15°L*値は、メタリックベース塗膜の15°L*値に対して変動幅が0〜−47%である、
    請求項1記載の積層塗膜の形成方法。
  3. 請求項1または2記載の積層塗膜の形成方法により形成される積層塗膜の上に、さらにトップクリヤー塗料組成物を用いてトップクリヤー塗膜を形成する、4層からなる積層塗膜の形成方法。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の積層塗膜の形成方法により形成される積層塗膜。
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