JP2006200114A - アクリル繊維、その製造方法および炭素繊維 - Google Patents

アクリル繊維、その製造方法および炭素繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維中へのカーボンナノファイバーの分散性が良好であり、カーボンナノファイバーに由来する諸物性を充分に発揮できるアクリル繊維、その製造方法および炭素繊維を提供する。
【解決手段】アクリロニトリル系重合体と、カーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの分散剤と、溶剤とからなる紡糸原液を紡糸口金から吐出し、固化させることによって、アクリロニトリル系重合体と、カーボンナノファイバーと、分散剤とを含有するアクリル繊維とし、このアクリル繊維を焼成して炭素繊維を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノファイバーを含有するアクリル繊維、その製造方法、およびこのアクリル繊維を焼成して得られる炭素繊維に関するものである。
アクリル繊維は、保温性、収縮性、形態安定性、耐候性等において優れた特徴を発揮し、衣料用またはインテリア用として広く用いられている。加えて、アクリル繊維にフィラーを含有させることで機能を付与することは古くから様々な方法で行われている。
非特許文献1においては、アクリル繊維に多層カーボンナノチューブを含有させ、アクリル繊維の機械的物性の向上を図っている。しかし、該方法では、カーボンナノチューブの分散が不充分であり、カーボンナノチューブの含量によっては、逆に機械的物性の低下を招く場合があった。
ところで、アクリル繊維を前駆体とする炭素繊維は、その優れた力学的性質により、航空宇宙用途を始め、スポーツ、レジャー用途の高性能複合材の補強繊維素材として広い範囲で利用されている。さらに、産業用途への広がりが進む中で、さらに高性能な炭素繊維が求められている。
高弾性炭素繊維としては、前駆体繊維に微粒子を含有させ、これを焼成して得られるものが開示されている(特許文献1)。しかし、微粒子が異物として働き、前駆体繊維の紡糸工程または焼成工程で単糸切れが発生しやすく、製造工程の安定性を低下させたり、引張強度等の機械的物性を低下させたりする場合があった。
特開平4−272236号公報 M.C.Weisenberger等,Journal of Nanoscience and Nanotechnology,2003年,vol.3,p.535−539
本発明の目的は、繊維中へのカーボンナノファイバーの分散性が良好であり、カーボンナノファイバーに由来する諸物性を充分に発揮できるアクリル繊維、その製造方法および炭素繊維を提供することにある。
本発明のアクリル繊維は、カーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの分散剤とを含有することを特徴とするものである。
本発明のアクリル繊維の製造方法は、アクリロニトリル系重合体と、カーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの分散剤と、溶剤とからなる紡糸原液を紡糸口金から吐出し、固化させることを特徴とする。
本発明の炭素繊維は、本発明のアクリル繊維を焼成して得られるものである。
本発明のアクリル繊維は、繊維中へのカーボンナノファイバーの分散性が良好であり、カーボンナノファイバーに由来する諸物性を充分に発揮できる。
本発明のアクリル繊維の製造方法によれば、繊維中へのカーボンナノファイバーの分散性が良好であり、カーボンナノファイバーに由来する諸物性を充分に発揮できるアクリル繊維を製造することができる。
本発明の炭素繊維は、繊維中へのカーボンナノファイバーの分散性が良好であり、カーボンナノファイバーに由来する諸物性を充分に発揮できる。
<アクリル繊維>
本発明のアクリル繊維は、カーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの分散剤とを含有するものである。
(アクリロニトリル系重合体)
アクリル繊維の原料であるアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルのホモポリマー、またはアクリロニトリルと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリル単位は、50質量%以上であることが好ましい。本発明のアクリル繊維を炭素繊維の前駆体繊維として用いる場合は、炭素化を良好に行うために、アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリル単位は、90質量%以上であることが好ましく、炭素繊維にしたとき、他のモノマー単位に起因する欠陥点を少なくし、炭素繊維の品位および性能を向上させるために、アクリロニトリル単位は、95質量%以上であることがより好ましい。
他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の不飽和モノマー類;p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。
他のモノマーとしては、炭素化工程における環化反応を促進するために、カルボン酸基を有するモノマーまたはアクリルアミド系モノマーが好ましい。
カルボン酸基を有するモノマーとしては、メタクリル酸またはイタコン酸が好ましい。アクリロニトリル系重合体中のカルボン酸基の量は、1.0×10-5当量以上3.0×10-4当量以下が好ましい。カルボン酸基の量が1.0×10-5当量未満では、熱反応性が低くなり、耐炎化工程のコストが増大するおそれがある。カルボン酸基の量が3.0×10-4当量を超えると、熱反応性が著しく高くなり、繊維表層部のみ耐炎化反応が起こり、繊維中心部の耐炎化が不充分となって炭素繊維の性能が低くなるおそれがある。かかる観点から、カルボン酸基の量は、5.0×10-5当量以上2.0×10-4当量以下がより好ましい。本発明におけるカルボン酸基の量(当量)は、アクリロニトリル系重合体1g当たりのカルボン酸基の数である。
アクリルアミド系モノマーとしては、アクリルアミドが好ましい。また、溶剤に対するアクリロニトリル系重合体の溶解性の向上、凝固糸の緻密性の向上の観点から、アクリルアミド単位は、アクリロニトリル系重合体中に1質量%以上含まれることが好ましい。アクリルアミド単位の含有量は、好ましくは4質量%未満である。
アクリロニトリル系重合体の重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法等の公知の重合法を採用することができる。また、カーボンナノファイバーを重合溶媒にあらかじめ分散させておく場合でも、カーボンナノファイバーが重合に大きな影響は及ぼさないため、公知の重合法をそのまま採用できる。
得られたアクリロニトリル系重合体から、未反応モノマー、重合触媒残渣、その他の不純物等を極力除く処理を施すことが好ましい。
アクリロニトリル系重合体の重合度は、アクリル繊維を紡糸する際の延伸性、炭素繊維の性能発現等の点から、極限粘度〔η〕で1.0以上が好ましく、特に1.6以上が好ましい。アクリロニトリル系重合体の重合度が高すぎると、溶媒への溶解または紡糸が困難となる傾向があるため、極限粘度〔η〕は、4.0以下が好ましい。
(カーボンナノファイバー)
カーボンナノファイバーは、高分子材料に導電性を付与する、および/または高分子材料の機械的物性を向上させる目的で添加するフィラーとして有用な材料である。また、本発明のアクリル繊維を炭素繊維の前駆体繊維として用いる場合は、炭素結晶成長を促進させる効果を有する。その機構は明らかではないが、C/Cコンポジット(炭素繊維と炭素マトリックスとからなる複合材料)の作製時における応力黒鉛化と同様であると思われる。
カーボンナノファイバーとしては、中心部が中空状になったいわゆるカーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、カーボンナノコイル等が挙げられる。
カーボンナノファイバーの製造方法としては、例えば、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、紡糸法、CVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧下で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等が挙げられる。
カーボンナノファイバーとしては、さらに洗浄法、遠心分離法、濾過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノファイバーが、各種機能を充分に発現することから好ましい。また、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミル等のボール型混練装置等を用いて粉砕されたもの、化学的または物理的処理によって短く切断されたものであってもよい。
カーボンナノファイバーの平均直径は、少量で効果を発現することから、1μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。平均直径が1μmを超えると、カーボンナノファイバーが異物となり、繊維の機械的物性を損なうおそれがある。
カーボンナノファイバーのアスペクト比は、紡糸工程におけるカーボンナノファイバーの配向および補強効果の観点から5〜1000が好ましい。
カーボンナノファイバーの含有率は、補強効果を得るために、アクリル繊維(100体積%)中、0.01体積%以上が好ましく、0.1体積%以上がより好ましい。カーボンナノファイバーの含有率は、アクリル繊維の特性が損なわないために、アクリル繊維(100体積%)中、50体積%以下が好ましい。
(分散剤)
溶媒へのカーボンナノファイバーの均一分散は、分散剤を用いる化学的方法により達成される。分散剤としては、導電性重合体、ジエタノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ジエタノールアミン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムでは、直径100nm以下のカーボンナノファイバーについては分散が不充分な場合があるので、分散剤としては、導電性重合体が好ましい。
導電性重合体によるカーボンナノファイバーの分散機構は、現在のところ明確ではないが、導電性重合体の共役系π電子とカーボンナノファイバーの芳香族系π電子との相互作用によって、導電性高分子がカーボンナノファイバーに巻き付くようにして、カーボンナノファイバー1本1本を独立させていると考えられる。
溶媒との混合後、超音波照射およびホモジナイザーを併用して処理(超音波ホモジナイザー処理)することがさらに好ましい。
導電性重合体としては、スルホン酸基のアンモニウム塩(−SO3 -+ )および/またはカルボン酸基のアンモニウム塩(−COO-+)を有するπ共役系高分子が好ましい。アンモニウム塩のアンモニウムイオン(M+ )は、下記式(1)で示されるものである。
Figure 2006200114
(式(1)中、R48〜R51は各々独立に水素、炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基、フェニル基、ベンジル基、−R135 OH、−CONH2 または−NH2 であり、R48〜R51のうち少なくとも一つが炭素数5以上の基であり、R135 は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。)
また、π共役系高分子とは、フェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、カルバゾリレン等を繰り返し単位として含むものである。スルホン酸基のアンモニウム塩および/またはカルボン酸基のアンモニウム塩を有するπ共役系高分子は、単なるπ共役系高分子に比べ、主に有機溶剤等への溶媒への溶解性が特段に向上し、導電性、成膜性にも優れる。
導電性重合体としては、具体的には、無置換および置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレンおよびカルバゾリレンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を繰り返し単位として含むπ共役系高分子の骨格または該高分子中の窒素原子上に、スルホン酸基のアンモニウム塩および/またはカルボン酸基のアンモニウム塩、あるいはスルホン酸基のアンモニウム塩および/またはカルボン酸基のアンモニウム塩で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している導電性重合体が挙げられる。この中でも特にチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、イソチアナフテンを含む骨格を有する導電性重合体が好ましい。
好ましい導電性重合体は、下記式(3)〜(11)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、重合体全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する導電性重合体である。
Figure 2006200114
(式(3)中、R1 、R2 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR1 、R2 のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基である。)
Figure 2006200114
(式(4)中、R3 、R4 は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR3 、R4 のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基である。)
Figure 2006200114
(式(5)中、R5 〜R8 は各々独立にH、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR5 〜R8 のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基である。)
Figure 2006200114
(式(6)中、R9 〜R13は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR9 〜R13のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基である。)
Figure 2006200114
(式(7)中、R14は、−SO3 -+ 、−R83SO3 -+ 、−COO-+および−R83COO-+からなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R83は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。)
Figure 2006200114
(式(8)中、R52〜R57は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR52〜R57のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基であり、Htは、NR82、S、O、SeおよびTeよりなる群から選ばれたヘテロ原子基であり、R82は水素および炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、もしくは置換、非置換のアリール基を表し、R52〜R57の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよく、このように形成される環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよく、nはヘテロ環と置換基R53〜R56を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
Figure 2006200114
(式(9)中、R58〜R66は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR58〜R66のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基であり、nは置換基R58およびR59を有するベンゼン環と置換基R61〜R64を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
Figure 2006200114
(式(10)中、R67〜R76は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR67〜R76のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基であり、nは置換基R67〜R69を有するベンゼン環とベンゾキノン環に挟まれた縮合環の数を表し、0または1〜3の整数である。)
Figure 2006200114
(式(11)中、R77〜R81は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR77〜R81のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基であり、Xa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、およびトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、pはドープ率であり、その値は0.001〜1である。)
また、好ましい導電性重合体としては、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸アンモニウムまたは/および置換アンモニウムも挙げられる。この導電性重合体は、導電性重合体の骨格にはスルホン酸基のアンモニウム塩は導入されていないが、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩が付与している構造を有している。この重合体は、3,4−エチレンジオキシチオフェン(バイエル社製 Baytron M)をトルエンスルホン酸鉄(バイエル社製 Baytron C)等の酸化剤で重合することにより製造されるポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートをアミン類または/およびアンモニウム類と反応させることにより製造することが可能である。また、この重合体は、バイエル社製 Baytron Pとアミン類または/およびアンモニウム類とを反応させることにより製造することが可能である。
以上の導電性重合体のうち、下記式(12)で表される繰り返し単位を、重合体全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含む導電性重合体がさらに好ましい。
Figure 2006200114
(式(12)中、yは0<y<1の任意の数を示し、R15〜R32は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R15〜R32のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基である。)
ここで、重合体の繰り返し単位の総数に対するスルホン酸基のアンモニウム塩および/またはカルボン酸基のアンモニウム塩を有する繰り返し単位の含有量が50%以上の導電性重合体は、有機溶媒、含水有機溶媒等の溶媒への溶解性が非常に良好なため、好ましい。スルホン酸基のアンモニウム塩および/またはカルボン酸基のアンモニウム塩を有する繰り返し単位の含有量は、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。
また、芳香環に付加する置換基は、導電性および溶解性の面からアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等が好ましく、特にアルコキシ基を有する導電性重合体が最も好ましい。これらの組み合わせの中で最も好ましい水溶性導電性重合体を下記式(13)に示す。
Figure 2006200114
(式(13)中、R33は、スルホン酸基、カルボキシル基、およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの基であり、そのうち少なくとも一つがスルホン酸基のアンモニウム塩、カルボン酸基のアンモニウム塩からなる群より選ばれた基であり、R34は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、テトラコシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基、フルオロ基、クロロ基およびブロモ基からなる群より選ばれた1つの基を示し、Xは0<X<1の任意の数を示し、nは重合度を示し3以上である。)
他の導電性重合体としては、化学重合または電解重合等の各種合成法によって得られる重合体が挙げられる。例えば、下記式(14)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの化合物を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた導電性重合体である。
Figure 2006200114
(式(14)中、R36〜R41は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 -+ 、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 -+ 、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−COO-+、−COOH、−R35COOH、−R35COO-+、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、M+ はアンモニウムイオンであり、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R36〜R41のうち少なくとも一つが−SO3 -+ 、−R35SO3 -+ 、−COO-+、−R35COO-+からなる群より選ばれた基である。)
また、好ましい導電性重合体としては、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩からなる群より選ばれ、そのうち少なくとも一つがスルホン酸基置換アニリンのアンモニウム塩、カルボン酸基置換アニリンのアンモニウム塩である化合物を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた導電性重合体が挙げられる。
また、特に好ましい導電性重合体としては、下記式(15)で示されるアンモニウム塩類および/または下記式(16)で示されるアミン類と、スルホン酸基および/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性重合体とを、溶液中で反応させることにより得られた導電性重合体が挙げられる。
Figure 2006200114
(式(15)中、R148〜R151は各々独立に水素、−R135 OH、炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基、フェニル基、ベンジル基、−CONH2 または−NH2 あり、かつR148〜R151のうち少なくとも一つが炭素数5以上の基であり、R135 は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、Xk z- は水酸化物イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、アミド硫酸イオン、亜硫酸イオン、ホスフィン酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン、トリポリリン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、吉草酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、酪酸イオン、蟻酸イオン、トリメチル酢酸イオン、ブロモ酢酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、マロン酸イオン、アスコルビン酸イオン、アニス酸イオン、アントラニル酸イオン、安息香酸イオン、ケイ皮酸イオン、フェニル酢酸イオン、フタル酸イオン、アニリンスルホン酸イオン、チオカルボン酸イオン、メチルスルフィン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、およびトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも1種の陰イオンを示し、zはXk のイオン価数であり、1〜3の整数を示し、jは1〜3の整数を示す。)
Figure 2006200114
(式(16)中、R145〜R147は各々独立に水素、炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基、フェニル基、ベンジル基、−R135 OH、−CONH2 または−NH2 であり、かつR145〜R147のうち少なくとも一つが炭素数5以上の基であり、R135 は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。)
好ましいアンモニウム塩類としては、塩化ベンザルコニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム等のハロゲン化アルキルジメチルベンジルアンモニウム;塩化アルキルジエチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム等のハロゲン化アルキルジエチルベンジルアンモニウム;塩化トリオクチルメチルアンモニウム等のハロゲン化テトラアルキルアンモニウム;水酸化トリメチルベンジルアンモニウムが挙げられる。
また、好ましいアミン類としては、ベンジルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジ−n−プロピルアニリン、ジ−iso−プロピルアニリン等類が挙げられる。
本発明における導電性重合体の原料としては、スルホン酸および/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性重合体が、溶媒への溶解性、導電性、成膜性の点で好適である。
スルホン酸および/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性重合体としては、例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平01−301714号公報、特開平05−504153号公報、特開平05−503953号公報、特開平04−32848号公報、特開平04−328181号公報、特開平06−145386号公報、特開平06−56987号公報、特開平05−226238号公報、特開平05−178989号公報、特開平06−293828号公報、特開平07−118524号公報、特開平06−32845号公報、特開平06−87949号公報、特開平06−256516号公報、特開平07−41756号公報、特開平07−48436号公報、特開平04−268331号公報、特開平09−59376号公報、特開2000−172384号公報、特開平06−49183号公報、特開平10−60108号公報に示された水溶性導電性重合体が好ましい。
スルホン酸および/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性重合体としては、具体的には、無置換および置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレンおよびカルバゾリレンからなる群より選ばれた少なくとも1種以上を繰り返し単位として含むπ共役系高分子の骨格または該高分子中の窒素原子上に、スルホン酸基および/またはカルボキシル基、あるいはスルホン酸基および/またはカルボキシル基で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している水溶性導電性重合体が挙げられる。この中でも特にチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、イソチアナフテンを含む骨格を有する水溶性導電性重合体が好ましい。
好ましいスルホン酸基および/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性重合体は、下記式(17)の繰り返し単位を、重合体全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する水溶性導電性重合体である。
Figure 2006200114
(式(17)中、R177〜R181は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、かつR177〜R181のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOHおよび−R35COOHからなる群より選ばれた基であり、Xa-は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、およびトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、pはドープ率であり、その値は0〜1である。)
以上のスルホン酸および/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性重合体のうち、下記式(18)で表される繰り返し単位を、重合体全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含む水溶性導電性重合体がさらに好ましい。
Figure 2006200114
(式(18)中、yは0<y<1の任意の数を示し、R115〜R132は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R115〜R132のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOHおよび−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
ここで、重合体の繰り返し単位の総数に対するスルホン酸基および/またはカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量が50%以上の水溶性導電性重合体は、水、含水有機溶媒等の溶媒への溶解性が非常に良好なため、好ましい。スルホン酸基および/またはカルボキシル基を有する繰り返し単位の含有量は、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。
また、芳香環に付加する置換基は、導電性および溶解性の面からアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等が好ましく、特にアルコキシ基を有する水溶性導電性重合体が最も好ましい。これらの組み合わせの中で最も好ましい水溶性導電性重合体を下記式(19)に示す。
Figure 2006200114
(式(19)中、R133 は、スルホン酸基、カルボキシル基、およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの基であり、R134 は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、テトラコシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基、フルオロ基、クロロ基およびブロモ基からなる群より選ばれた1つの基を示し、Xは0<X<1の任意の数を示し、nは重合度を示し3以上である。)
他の水溶性導電性重合体としては、化学重合または電解重合等の各種合成法によって得られる重合体が挙げられる。例えば、本発明者らが提案した特開平7−196791号公報、特開平7−324132号公報に記載の合成方法が適用される。すなわち、下記式(20)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性重合体である。
Figure 2006200114
(式(20)中、R136〜R141は各々独立に、H、−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−OCH3 、−CH3 、−C25、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R352 、−NHCOR35、−OH、−O- 、−SR35、−OR35、−OCOR35、−NO2 、−COOH、−R35COOH、−COOR35、−COR35、−CHOおよび−CNからなる群より選ばれ、ここで、R35は炭素数1〜24のアルキル、アリールまたはアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレンまたはアラルキレン基であり、R136〜R141のうち少なくとも一つが−SO3 -、−SO3 H、−R35SO3 -、−R35SO3 H、−COOHおよび−R35COOHからなる群より選ばれた基である。)
特に好ましい水溶性導電性重合体としては、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/または置換アンモニウム塩を塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性重合体が挙げられる。
本発明における導電性重合体としては、その質量平均分子量が、GPCのポリエチレングリコール換算で、2000以上、300万以下のものが導電性、成膜性および膜強度に優れており好ましく用いられ、質量平均分子量3000以上、100万以下のものがより好ましく、5000以上、50万以下のものが最も好ましい。
導電性重合体はこのままでも使用できるが、公知の方法によって酸によるドーピング処理方法を実施して、外部ドーパントを付与したものを用いることができる。例えば、酸性溶液中に、導電性重合体を含む導電体を浸漬させる等の処理をすることによりドーピング処理を行うことができる。ドーピング処理に用いる酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸およびこれらの骨格を有する誘導体等の有機酸;ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸およびこれらの骨格を有する誘導体等の高分子酸を含む水溶液、あるいは、水−有機溶媒の混合溶液である。これらの無機酸、有機酸、高分子酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
分散剤の量は、カーボンナノファイバー100質量部に対し0.5質量部以上200質量部以下が好ましい。
アクリル繊維には、カーボンブラック、酸化チタン微粒子等の、公知のアクリル繊維用の添加剤が含まれていてもよい。
<アクリル繊維の製造方法>
本発明のアクリル繊維の製造方法は、アクリロニトリル系重合体と、カーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの分散剤と、溶剤とからなる紡糸原液を紡糸口金から吐出し、固化させる方法である。
まず、アクリロニトリル系重合体(好ましくは不純物の除去処理を施したアクリロニトリル系重合体)と、カーボンナノファーバーと、分散剤とを溶剤に溶解または分散させ、紡糸原液とする。
溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶剤;塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウム等の無機化合物の水溶液等が挙げられる。溶剤としては、アクリル繊維中に金属を含有せず、また、工程が簡略化される点で、有機溶剤が好ましい。これらのうち、凝固糸および湿熱延伸糸の緻密性が高いという点で、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
カーボンナノファイバーの効果を充分に発揮させるには、カーボンナノファイバーは、繊維中に均一に分散された状態で存在している必要がある。繊維中に均一に分散させるためには、紡糸原液の段階でカーボンナノファイバーを均一に分散させることが肝要である。そのような紡糸原液を得るためには、紡糸原液溶媒にカーボンナノファイバーを均一分散させてからアクリロニトリル系重合体を溶解する方法、重合溶媒にカーボンナノファイバーを分散させてから重合を行う方法、あるいはアクリロニトリル系重合体溶液とカーボンナノファイバー溶液とを混合する方法のいずれを選択してもよい。こうして得られた紡糸原液にさらに剪断撹拌機またはスタティックミキサー等を用い剪断を加えることでより分散性の向上した紡糸原液を得ることができる。
さらに、カーボンナノファイバーを均一分散させた紡糸原液を、分散不良部または異物を除くために濾過することが好ましい。濾過目開きとしては、最終段で50μm以下が好ましい。
この紡糸原液を用いて、公知の紡糸法によりアクリル繊維を紡糸する。紡糸法としては、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法が挙げられ、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法が好ましい。
湿式紡糸または乾湿式紡糸の場合について詳しい説明を行う。
湿式紡糸の場合は、紡糸原液をノズル孔より直接凝固浴中に吐出し凝固糸とし、乾湿式紡糸の場合は紡糸原液をノズル孔より一旦空気中に吐出しその後直ちに凝固浴にて凝固糸とする。凝固浴は、凝固糸引き取り及び後の延伸に十分な余裕がある条件に設定することが好ましく、これらの要件を満たすよう凝固浴濃度、温度を設定することが好ましい。
凝固浴には、紡糸原液に用いられる溶剤を含む水溶液が好適に使用され、含まれる溶剤の濃度を適宜調節する。また、凝固浴の温度は、凝固糸の緻密性の観点からは温度が低い方が好ましいが、温度を下げすぎると凝固糸の引き取り速度が低下し生産性が低下する点を考慮し、湿式紡糸では、50℃以下が好ましく、さらに好ましくは20℃以上40℃以下である。乾湿式紡糸では、30℃以下が好ましく、さらに好ましくは0℃以上20℃以下である。
得られた凝固糸を沸水中で凝固糸に含まれている溶媒を洗浄しながら延伸する湿熱延伸を行う。乾燥緻密化後にさらに延伸を加える場合、このときの延伸倍率は、特に大きな倍率を必要としないので2倍以上5倍以下であれば十分である。乾燥緻密化後に延伸を加えない場合はここで必要なだけの延伸倍率に設定する必要がある。また、湿熱延伸方法として、2段以上の多段延伸方法を用いることも可能である。また、湿熱延伸より前に空気中延伸を行うことも可能である。空気中延伸および湿熱延伸の手順は、本発明による特段の制限はなく、公知の方法を適用することができる。
湿熱延伸における延伸浴温度は、単糸同士が融着しない範囲でできるだけ高温にすることが効果的である。この観点から、延伸浴の温度は70℃以上の高温とすることが好ましい。湿熱延伸を多段で行う場合は、最終浴を90℃以上の高温にすることが好ましい。
延伸、洗浄後の繊維は油剤処理を行うことが好ましい。油剤処理方法については本発明による特段の制限はなく、公知の方法を適用することができる。油剤の種類は特に限定されないが、アミノシリコン系油剤が好適に使用される。
油剤処理後、乾燥緻密化が行われる。乾燥緻密化の温度は、繊維のガラス転移温度を超えた温度で行う必要があるが、実質的には含水状態から乾燥状態によって異なることもあり、100〜200℃程度の加熱ローラーによる方法が好ましい。
合計延伸倍率が低いと繊維の配向が低下して、アクリル繊維及び炭素繊維の性能が低下する傾向があるという点で不利であり、高いと糸切れが生じる傾向があり生産上不利である。この観点から、乾燥緻密化後さらに延伸を施すのが好ましい。この延伸の方法は加熱ローラー間で行う乾熱延伸、加熱板上で行う熱板延伸、加圧蒸気中で行うスチーム延伸等を採用することができる。特に、高い延伸倍率を実現できるスチーム延伸が好ましい。また、同じ観点からこの延伸を含む合計延伸倍率は、8倍以上20倍以下が好ましく、10倍以上15倍以下がより好ましい。
最終的に得られるアクリル繊維の単糸繊度は、目的・用途に応じ設定することができる。アクリル繊維を炭素繊維用前駆体繊維として用いる場合、アクリル繊維の単糸繊度は、炭素繊維の機械物性の観点から、0.4dtex以上2.0dtex以下が好ましく、0.6dtex以上1.5dtex以下がより好ましい。
<炭素繊維>
本発明の炭素繊維は、本発明のアクリル繊維を焼成して得られるものである。焼成は、耐炎化、炭素化等の公知の技術により行う。
本発明の炭素繊維は、例えば、前駆体繊維(アクリル繊維)を耐炎化炉に導入し、200〜300℃に加熱された空気等の酸化性気体を前駆体繊維に吹き付けることによって、前駆体繊維を耐炎化して耐炎繊維を得た後、この耐炎繊維を炭素化炉に導入し、不活性雰囲気中、最高温度が1200〜2000℃の温度で炭素化して炭素繊維を得る。さらに、2000〜3000℃の温度で黒鉛化して高弾性炭素繊維としてもよい。
このようにして得られた炭素繊維には、表面処理を施すことが好ましい。表面処理方法としては、該炭素繊維を陽極とする電解酸化処理が工業的観点から好ましい。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明における最良の実施形態の一例であって、本発明は、これら実施例により限定されるものではない
実施例における「%」、「部」はそれぞれ質量%、質量部を表す。
アクリル繊維および炭素繊維の各種物性の測定方法および評価方法をまず説明する。
「カルボン酸基の量」
アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリル単位、アクリルアミド単位、メタクリル酸単位の比を 1H−NMRにより測定し、アクリロニトリル系重合体1g当たりのカルボン酸基の個数(当量)を求めた。
「アクリル繊維の弾性率」
アクリル繊維の弾性率は、JIS−L1013に記載の方法に従い測定した。
「炭素結晶サイズLc」
炭素繊維束を50mm長に切断して30mgの試料を採取し、これを精秤した。この試料を、繊維軸が正確に平行になるようにそろえた後、試料調製用治具を用いて巾が1mmであり、かつ厚さが均一な繊維束に整えた。試料に酢酸ビニル/メタノール溶液を含浸させて形態が崩れないように固定した後、広角X線回折試料台に固定した。X線源としてはリガク社製の回転対陰極型X線発生装置を用いた、また、測定には、40kV−100mAの出力のCuKα線(Niフィルター使用)を用いた。リガク社製のゴニオメーターを用い、透過法によりグラファイトの面指数(002)に相当する2θ=26°近傍の回折ピークをシンチレーションカウンターにより検出した。上記回折ピークにおける半値巾から下式を用いて、結晶サイズLcを求めた。
Lc=Kλ/(β0 cosθ)
Kはシェラー定数0.9であり、λはX線の波長(ここではCuKα線を用いており、15.418nm)であり、θはBraggの回折角である。また、β0 は真の半値巾であり、次式により求めた。
β0 =βE −β1
βE は見かけの半値巾であり、β1 は装置定数であり、ここでは1.05×10-2radである。
「炭素繊維の断面TEM像」
炭素繊維から、(株)日立製作所製FB−2000集束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて約100nmの厚さの薄片を作製した。該薄片について、日本電子(株)製JEM−3000F電界放射型透過電子顕微鏡を用いて加速電圧300kVの条件で断面TEM像を観察した。
(合成例1)
導電性重合体:
2−アミノアニソール−4−スルホン酸を4mol/Lのトリエチルアミン水溶液に溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウムを加え反応させた。反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)を得た。5%ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)水溶液に14%塩化ベンザルコニウム水溶液を滴下し、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、スルホン酸がベンザルコニウム塩となったポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)(質量平均分子量10000)を得た。
(実施例1)
合成例1の導電性重合体2.5部、カーボンナノファイバー(ILJIN社製、CVD法により製造された直径約10〜20nm、長さ10〜50μm、純度95%の多層カーボンナノチューブ)0.75部をN,N−ジメチルアセトアミド100部に室温にて混合後、超音波ホモジナイザー処理(SONICS社製 vibra cell 20KHz)を1時間実施し、カーボンナノファイバーが均一に分散したN,N−ジメチルアセトアミド溶液を得た。この溶液について、調製後24時間経過した溶液状態を目視により観察したところ、変化は見られず均一な分散状態を保っていた。
アクリロニトリル単位96%、アクリルアミド単位3%、メタクリル酸単位1%からなるアクリロニトリル系重合体(カルボン酸基の量は7.0×10-5当量、極限粘度〔η〕は1.7)を、このジメチルアセトアミド溶液に溶解して、紡糸原液(固形分濃度20%、原液温度60℃)を調製した。この紡糸原液を、直径0.075mm、孔数100の紡糸口金を用いて、温度35℃、濃度70%のジメチルアセトアミド水溶液(凝固浴)に吐出し、凝固糸とした。ついで、凝固糸を60℃から98℃の温水中で脱溶媒しながら、6倍に延伸した。延伸糸をアミノシリコン系油剤1%水溶液中に浸漬した後、180℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。ついで、この糸に、0.22MPaの加圧水蒸気中で延伸倍率が合計12倍になるように延伸を施して、単糸繊度が1.9dtexのアクリル繊維(カーボンナノファイバーの含有率1.8体積%)を得た。得られたアクリル繊維の弾性率は、13N/texと高いものであった。
(比較例1)
カーボンナノファイバーを混合しない以外は、実施例1と同様にしてアクリル繊維を得た。得られたアクリル繊維の弾性率は10N/texであった。
(比較例2)
合成例1の導電性重合体を使用しない以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノファイバーをN,N−ジメチルアセトアミドに混合後、超音波ホモジナイザー処理を1時間実施した。しかし、カーボンナノファイバーは均一に分散しなかった。従って、カーボンナノファイバーが不均一に存在したN,N−ジメチルアセトアミドを得た。この溶液について、調製後24時間経過した溶液状態を目視により観察したところ、カーボンナノファイバーは溶液中に沈降していた。
実施例1と同じアクリロニトリル系重合体をこのジメチルアセトアミド溶液に溶解して、紡糸原液を調製した。この紡糸原液を実施例1と同様に紡糸しようとしたが、吐出部分や延伸工程で糸切れが起こり、安定して紡糸することができなかった。おそらく塊状になったカーボンナノファイバーの影響であると思われる。
(実施例2)
バッチ式焼成炉を用い、実施例1で得られたアクリル繊維を、空気中にて、230〜260℃、延伸比1.0で加熱処理し、比重1.35の耐炎化繊維とした。
ついで、耐炎化繊維を、窒素中にて、最終的に最高温度2000℃で処理し、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の炭素結晶サイズLcは、4.49nmであり、カーボンナノファイバーの炭素結晶サイズLc7.29nmおよび含有率から計算される値より大きくなっており、カーボンナノファイバーの炭素化促進効果が見られた。
また、得られた炭素繊維の断面TEM像を撮影したところ、カーボンナノファイバーの網平面に沿って炭素結晶が成長している様子が観察され、これからも炭素化促進効果が確認された。さらに、カーボンナノファイバー同士が間隔を置いて分散されていること、カーボンナノファイバーとアクリロニトリル系重合体由来の炭素質との間に間隙がなく連続的になっていることが観察された。炭素繊維の断面TEM像を図1に示す。
(比較例3)
比較例1で得られたアクリル繊維を実施例2と同じ条件で焼成し、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の結晶サイズは3.63nmであった。
(実施例3)
実施例1で得られたアクリル繊維について、窒素中加熱の最高温度を1400℃とした以外は実施例2と同様に焼成を行い炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の炭素結晶サイズLcは、2.41nmであり、カーボンナノファイバーの炭素結晶サイズLc7.29nmおよび含有率から計算される値より大きくなっており、カーボンナノファイバーの炭素化促進効果が見られた。
(実施例4)
単糸繊度を1.0dtexとした以外は実施例1と同様にしてアクリル繊維を得た。これを連続式焼成炉にて、空気中にて、230〜260℃、延伸比0.95で加熱処理し、比重1.35の耐炎化繊維とした。ついで、耐炎化繊維を窒素中にて、最終的に最高温度2200℃で処理し、続いて硝酸中で電解酸化処理を行い炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の炭素結晶サイズLcは、4.26nmであり、カーボンナノファイバーの炭素結晶サイズLc7.29nmおよび含有率から計算される値より大きくなっており、カーボンナノファイバーの炭素化促進効果が見られた。
(比較例4)
カーボンナノファイバーを混合しない以外は、実施例4と同様にしてアクリル繊維を得、実施例4と同じ条件で焼成を行い炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の結晶サイズは3.36nmであった。
本発明のアクリル繊維は、カーボンナノファイバーに由来する諸物性が充分に発揮されており、このようなアクリル繊維は、タイヤコード等複合材料用補強繊維等の産業用途に有用である。
また、本発明の炭素繊維は、カーボンナノファイバーに由来する諸物性が充分に発揮されており、このような炭素繊維は、産業用途、特に、圧力容器等に有用である。
実施例2で得られた炭素繊維の断面TEM像である。

Claims (3)

  1. カーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの分散剤とを含有することを特徴とするアクリル繊維。
  2. アクリロニトリル系重合体と、カーボンナノファイバーと、該カーボンナノファイバーの分散剤と、溶剤とからなる紡糸原液を紡糸口金から吐出し、固化させることを特徴とするアクリル繊維の製造方法。
  3. 請求項1記載のアクリル繊維を焼成して得られる炭素繊維。
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