JP2006182179A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることのできる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】空気入りタイヤ1のトレッド部10において接地部41のタイヤ幅方向外方に位置する突起部形成範囲45に突起部50を複数形成する。この突起部50は、空気入りタイヤ1を装着した車両の直進走行時には接地せず、当該車両のコーナーリング時に接地するように設けられている。また、突起部50の接地面積は小さいため、空気入りタイヤ1に大きな横Gが作用した場合には、突起部50が滑ることによりコーナーリングフォースを低減できる。この結果、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。特に、この発明は、車両の転覆防止性能の向上を図る空気入りタイヤに関するものである。
従来の空気入りタイヤでは、互いに相反する性能である操縦安定性と乗り心地性能と両立させるため、様々な手段が用いられている。例えば、特許文献1では、サイドウォール部のタイヤ径方向外方の部分に、それぞれタイヤ周方向に形成された複数の溝と複数のリブを設けている。このように、複数の溝を設けることにより縦剛性を低減させて乗り心地性能を向上させ、複数のリブを設けることにより周剛性と横剛性を向上させて操縦安定性を向上させている。これにより、操縦安定性と乗り心地性能と両立させていた。
特開平5−178013号公報
従来の車両では、空気入りタイヤに対して上記のような手段を施すことにより、操縦安定性と乗り心地性能と両立させることができ、上質な走行性能を得ていた。しかし、近年では、RV車や、実用性を考慮したワゴンタイプの車両など車高の高い車両が増加している。このような車高の高い車両では、重心位置が高いためコーナーリング時のロール量が大きく、また、大きなコーナーリングフォースが作用した場合には、最悪の場合車両が転覆する虞がある。このため、このような車両に装着する空気入りタイヤは、車両の転覆を防ぐ性能を向上させる必要がある。しかし、車両の転覆を防ぐには、トレッド部の剛性を低くするなどの手法があるが、このような手法で転覆防止の性能を向上させた場合には、トレッド部の剛性が低過ぎるため、通常走行時の操縦安定性が低下したり、摩耗し易くなったりする虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部に複数の溝部が形成される空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部は、前記トレッド部の表面であるトレッド表面に、正規内圧で空気を充填すると共に正規荷重で負荷をかけた際に接地する部分である接地部と、前記接地部のタイヤ幅方向における端部である接地端よりタイヤ幅方向外方で、且つ、タイヤ径方向内方に突起部形成範囲と、を有しており、前記突起部形成範囲は、前記接地端から前記トレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて前記溝部の溝深さの2倍の位置まで範囲となっており、前記突起部形成範囲には、前記トレッド表面から突出しており、且つ、前記正規内圧で空気を充填すると共に前記正規荷重で負荷をかけた際にはいずれの部分も接地せず、さらに、タイヤ幅方向に負荷をかけた際には接地する突起部が設けられており、前記突起部のうち前記突起部が接地した場合に接地する部分の面積である突起部接地面積は、前記突起部形成範囲に前記突起部が形成されていないとした場合の前記突起部形成範囲の面積の1%〜50%の範囲内となっていることを特徴とする。
この発明では、トレッド表面の突起部形成範囲に突起部を設けている。この突起部は、上述したように設けられているため通常の直進走行では接地せず、タイヤ幅方向への負荷、つまり、コーナーリング時に横Gが作用した場合に接地する。このため、直進走行では突起部を設けた影響が無く、直進走行時の操縦安定性の低下や耐摩耗性の低減を抑制できる。一方、コーナーリング時には突起部が接地するが、突起部は接地面積が小さいため、コーナーリング時の接地面積を減少させることができ、コーナーリングフォースを低減させることができる。
また、突起部を設ける突起部形成範囲を上記の範囲に設けることにより、突起部を上記の範囲内に位置させることができる。つまり、突起部を、接地端からトレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて溝部の溝深さの2倍以上の位置に設けた場合には、コーナーリング時に突起部が接地しない虞がある。突起部がコーナーリング時に接地しない場合には、コーナーリング時に接地面積を低減させることができないため、コーナーリングフォースを低減できず、転覆限界性能を向上させることが困難になる。このため、突起部を、接地端からトレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて溝部の溝深さの2倍の位置まで範囲である突起部形成範囲に設けることにより、より確実にコーナーリング時に突起部を接地させることができる。
また、突起部が接地した場合の面積である突起部接地面積は、突起部形成範囲に突起部が形成されていないとした場合の突起部形成範囲の面積の1%〜50%の範囲内となるようにすることにより、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。即ち、突起部接地面積が、1%未満の場合には、突起部が接地した場合に滑り過ぎてしまう虞があり、操縦安定性が低下する虞がある。また、突起部接地面積が50%よりも大きい場合には、突起部が接地した場合でも接地面積が大き過ぎるため、突起部は滑り難くなり、コーナーリングフォースを低減し難くなる虞がある。そこで、突起部接地面積を、突起部形成範囲に突起部が形成されていないとした場合の突起部形成範囲の面積の1%〜50%の範囲内となるようにすることにより、操縦安定性を低下させることなく、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。これらの結果、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記突起部は、前記トレッド表面からの高さが0.5mm〜5.0mmの範囲内で形成されていることを特徴とする。
この発明では、突起部を、上述した範囲内で形成することにより、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。即ち、突起部の高さが0.5mm未満の場合には、高さが低過ぎるため、突起部が接地した際に突起部の周囲の部分も接地する虞があり、コーナーリング時の接地面積を低減できない虞がある。また、突起部の高さが5.0mm以上の場合には、高さが高過ぎるため、突起部が接地した際に突起部が潰れる、或いは折れ曲がるように変形する虞があり、このように突起部が潰れた場合、接地面積が増えてしまうので、コーナーリング時の接地面積を低減できない虞がある。これに対し、突起部を、トレッド表面からの高さが0.5mm〜5.0mmの範囲内になるように形成した場合には、より確実にコーナーリング時の接地面積の低減を図ることができ、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記突起部は、タイヤ周方向に沿って連続して全周に形成されていることを特徴とする。
この発明では、突起部をタイヤ周方向に沿って連続して全周に形成しているので、突起部の剛性を向上させることができる。これにより、突起部に荷重がかかった際でも突起部は潰れ難くなり、より確実に接地面積の低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記突起部は、タイヤ周方向に沿って不連続で形成されていることを特徴とする。
この発明では、突起部が不連続で形成されているため、突起部を設けた際の重量の増加を抑えることができる。この結果、重量の増加を抑制しつつ、転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記突起部は、前記突起部の硬度と前記トレッド部が有するキャップトレッドの硬度とをそれぞれのHsで比較した場合に、前記突起部のHsが前記キャップトレッドのHsに対して+2〜+10の範囲内となるように形成されていることを特徴とする。
この発明では、キャップトレッドの硬度に対して突起部の硬度を上記の範囲内とすることにより、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。即ち、突起部のショアA硬度、即ち、突起部のHsがキャップトレッドのHsの+2未満の場合には、突起部に荷重がかかった際に突起部が潰れてしまう虞があり、突起部が接地した場合に接地面積の低減を図ることが困難になる。また、突起部のHsがキャップトレッドのHsの+10よりも大きい場合には、突起部に荷重がかかった際に突起部とキャップトレッドとの間でクラックが発生する虞があり、突起部が破損する虞がある。このため、突起部のHsがキャップトレッドのHsに対して+2〜+10の範囲内となるように突起部を設けることにより、突起部が接地した際の破損や潰れることを抑制できるので、より確実に接地面積の低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
本発明にかかる空気入りタイヤは、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施の形態)
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内方とはタイヤ幅方向において赤道面に向かう方向、タイヤ幅方向外方とは、タイヤ幅方向において赤道面に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、前記回転軸と直交する方向をいい、タイヤ周方向とは、前記回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。図1は、この発明に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。この空気入りタイヤ1は、子午面方向の断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側にトレッド部10が形成されており、このトレッド部10のトレッド表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)が走行した場合に、路面と接触する部分はトレッド面11として形成されている。このトレッド部10には、トレッドパターンを形成する溝部20が複数設けられている。また、トレッド部10のタイヤ径方向内方側には、ベルト層31が複数設けられている。さらに、トレッド部10のタイヤ幅方向における端部からタイヤ径方向内方側の所定の位置までは、サイドウォール部32が設けられている。また、前記ベルト層31のタイヤ径方向内方、及び前記サイドウォール部32の赤道面60側には、カーカス33が連続して設けられており、このカーカス33の内側、或いは、当該カーカス33の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ34がカーカス33に沿って形成されている。
また、トレッド部10のタイヤ幅方向における両端には、ショルダー部18が位置している。また、トレッド部10は、当該空気入りタイヤ1を子午断面で見た場合に、ショルダー部18付近よりもトレッド面11の赤道面60付近の方がタイヤ径方向外方に位置するように、トレッド面11がタイヤ径方向外方に向けて凸となった曲面の形状で形成されている。つまり、トレッド部10は、トレッド面11のうち、赤道面60近傍の部分が最もタイヤ径方向外方に位置するような曲面の形状で形成されている。
前記トレッド面11のうち、当該空気入りタイヤ1が路面に接地した場合の接地幅Wの範囲内に位置する部分は接地部41として設けられている。ここで、当該空気入りタイヤ1が路面に接地する際には、トレッド面11がタイヤ径方向外方に向けて凸となった曲面の形状で形成されているため、トレッド面11のタイヤ幅方向における中央付近が接地し易くなっている。このため、接地幅Wは、タイヤ幅方向において赤道面60を中心として線対称となっており、接地部41は、タイヤ幅方向における中央付近に位置している。
なお、ここでいう接地幅Wとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、且つ、正規内圧を充填するとともに正規荷重で負荷をかけた際、つまり、最大負荷能力の負荷荷重をかけたときにこの空気入りタイヤ1が路面と接地する際のタイヤ幅方向の幅をいう。ここで、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいはETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
また、接地部41のタイヤ幅方向における端部である接地端40のタイヤ幅方向外方で、且つ、タイヤ径方向内方には突起部形成範囲45が位置している。詳しくは、突起部形成範囲45は、タイヤ径方向外方及び赤道面60方向の端部は前記接地端40の位置となっており、タイヤ径方向内方及びタイヤ幅方向外方の端部は、接地端40からタイヤ径方向内方に向けて前記溝部20の溝深さGの2倍の位置とトレッド面11とが交差する位置となっている。トレッド面11のこの位置は突起部形成範囲端部46となっている。つまり、トレッド面11において接地端40からタイヤ径方向内方に向けた前記溝深さGの2倍の位置までの範囲は突起部形成領域Bとなっている。また、突起部形成範囲45はこのような範囲となっているため、突起部形成範囲45は接地部41のタイヤ幅方向外方に位置しており、換言すると、突起部形成範囲45は、接地端40から突起部形成範囲端部46までの範囲となっている。
なお、接地端40よりもタイヤ径方向外方にラグ溝などの凹部(図示省略)が形成されており、当該凹部が接地端40からタイヤ径方向内方に向けて溝部20の溝深さGの2倍付近に位置している場合は、凹部が形成されている位置によって突起部形成範囲45は異なる。例えば、凹部が、接地端40からタイヤ径方向内方に向けて溝部20の溝深さGの2倍付近の位置から、接地端40よりも赤道面60側の部分にかけて延在している場合には、突起部形成範囲端部46は、凹部が形成された陸部(図示省略)に位置し、凹部の底部は突起部形成範囲45とはならない。一方、凹部が、接地端40からタイヤ径方向内方に向けて溝部20の溝深さGの2倍付近の位置から、接地端40よりもタイヤ幅方向外方側の部分に位置している場合、即ち、凹部が接地端40よりもタイヤ幅方向外方に位置している場合には、突起部形成範囲端部46は、凹部の底部に位置し、凹部の底部(図示省略)も突起部形成範囲45となる。
また、当該空気入りタイヤ1は、M+Sの打刻の無い空気入りタイヤ1、いわゆるサマータイヤ1として形成されている。また、当該空気入りタイヤ1は、装着するリムサイズが18インチ以上の空気入りタイヤ1であることが好ましく、さらに、装着するリムサイズが20インチ以上の空気入りタイヤ1であるのが、より好ましい。また、当該空気入りタイヤ1の外径は、650mm以上であるのが好ましく、さらに、外径が750mm以上であるのが、より好ましい。
図2は、図1に示す空気入りタイヤに突起部が形成されている状態を示す図である。図3は、図1に示す空気入りタイヤの要部斜視図である。前記突起部形成範囲45には、2つの突起部50が形成されている。つまり、突起部50は前記接地端40よりもタイヤ幅方向外方に位置している。これらの突起部50は、共にトレッド面11の突起部形成範囲45から突出しており、それぞれタイヤ幅方向、或いはタイヤ径方向の位置が異なっている。このため、2つの突起部50はタイヤ幅方向、或いはタイヤ径方向に離間している。また、2つの突起部50は、共にタイヤ周方向に沿って形成されており、タイヤ周方向に沿って連続して全周に形成されている。この2つの突起部50は、共にトレッド部10に接続されている側から、トレッド部10から離れる方向に向かうに従って、幅が狭くなっている。このため、2つの突起部50は、当該空気入りタイヤ1を子午断面で見た状態では、共にトレッド面11側の幅が広く、トレッド面11から離れるに従って幅が狭くなった略台形の形状で形成されている。なお、突起部50の断面形状は台形に限定されず、断面三角形状、断面半円形状、断面矩形形状などでもよい。
このように形成される突起部50のうち、最もトレッド面11から離れている面、或いは、略台形の形状で形成されている突起部50のうち、最も幅が狭い部分は、突起部接地部53として形成されている。この突起部接地部53の面積は、突起部形成範囲45に突起部50が形成されていないとした場合の突起部形成範囲45の面積の1%〜50%の範囲内で形成されている。また、この突起部50は、トレッド面11の突起部形成範囲45に形成されているため、トレッド部10のうちタイヤ径方向外方に位置し、トレッド面11を有して実質的に路面に接地する部分であるキャップトレッド12を形成する材質と、同じ材質で形成されている。
また、2つの突起部50は、トレッド面11からの高さが異なっており、タイヤ幅方向外方に位置する突起部50の方が、高さが高くなっている。つまり、2つの突起部50のうち、タイヤ幅方向外方に位置する突起部50である外方側突起部52の高さEは、赤道面60側に位置する突起部50である赤道面側突起部51の高さDよりも高くなっている。2つの突起部50は、このように高さが異なった状態でタイヤ周方向に沿って全周に形成されており、また、双方はタイヤ幅方向、或いはタイヤ径方向に離間しているため、2つの突起部50はほぼ平行な状態で配置されている。なお、これらの突起部50は、トレッド面11からの高さ、即ち、赤道面側突起部51の高さDと外方側突起部52の高さEとが、共に0.5mm〜5.0mmの範囲内になるように形成されるのが好ましく、さらに、これらの突起部50の高さは、2mm〜4mmの範囲内となるのが、より好ましい。
以上の実施の形態に係る空気入りタイヤ1を車両に装着して走行すると、トレッド部10は、トレッド面11のうち赤道面60付近に位置する部分が最もタイヤ径方向外方に位置するように形成されているため、直進走行時にはトレッド面11のうち、タイヤ幅方向における中央付近に位置する接地部41が路面に接地する。なお、このような直進走行時のように、タイヤ幅方向の負荷が作用していない場合には、突起部形成範囲45は接地せず、さらに、突起部形成範囲45に形成される突起部50も、タイヤ幅方向の負荷が作用していない場合には接地しない。このようにトレッド面11が接地する場合には、トレッド面11の面積に準じた面積で路面に対して接地する。つまり、トレッド部10において路面と対向する部分のうち、溝部20以外の部分が接地するので、路面に接地する面積が大きくなる。このため、路面との摩擦が大きくなっており、走行時の滑りがほとんど生じない。これにより、直進走行時は安定した走行を行うことができる。また、このように接地部41のトレッド面11は路面に対して滑り難いため、摩耗も生じ難くなっている。
一方、コーナーリング時には、車両が曲がる方向と反対方向、つまり、車両が曲がる方向に対して外側方向に重心が移動する。このため、トレッド面11のうち路面に接地する部分も、前記接地部41よりもタイヤ幅方向におけるコーナーリングの外側方向、即ち、タイヤ幅方向における、車両が曲がる方向と反対方向が接地する。その際に、接地部41よりもタイヤ幅方向の外側方向には、前記突起部形成範囲45が位置しており、突起部形成範囲45からは2つの突起部50が突出している。このため、コーナーリング時には、これらの突起部50が接地するようになる。即ち、コーナーリングによって空気入りタイヤ1にタイヤ幅方向の負荷が作用した場合には、突起部50が接地する。
この突起部50は、突起部形成範囲45から略台形の形状で突出しているため、突起部50が路面に接地する際には、突起部形成範囲45のうち突起部50以外の部分は接地し難くなる。このため、突起部50が接地した場合には、突起部形成範囲45では、ほぼ突起部50のみが接地し、詳しくは、突起部50の突起部接地部53が接地する。このように、突起部50の突起部接地部53が接地することにより、突起部形成範囲45に当該突起部50が形成されていない場合に突起部形成範囲45が接地した場合と比較して、接地面積が小さくなる。このため、突起部50と路面との摩擦は小さくなっており、走行時の滑りが生じ易くなっている。これにより、高スリップアングル時など高い横Gが作用するような走行状態の際には、突起部50は路面に対して滑り易くなり、コーナーリングフォースを低減することができる。このように、当該空気入りタイヤ1を装着した車両がコーナーリングをして突起部50が接地した場合には、突起部50が路面に対して滑ることにより大きなコーナーリングフォースが生じ難くなるので、車両は転覆し難くなる。これらの結果、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、突起部形成領域Bは、トレッド部10に形成される溝部20の溝深さGの2倍となっており、この突起部形成領域B内に突起部50は配置されている。つまり、突起部形成範囲45は、接地端40からトレッド面11においてタイヤ径方向内方に向けて溝部20の溝深さGの2倍の位置まで範囲となっている。この突起部形成範囲45のタイヤ径方向における範囲である突起部形成領域Bが溝深さGの2倍よりも大きい場合には、この部分に配置される突起部50はコーナーリング時に接地しない虞がある。突起部50がコーナーリング時に接地しない場合には、コーナーリング時に接地する部分の接地面積を小さくすることが困難になるため、コーナーリングフォースの低減が困難になる。このため、転覆限界性能を向上させることが困難になる。
また、突起部形成領域Bが溝深さGの2倍未満の場合には、車両走行中に大きな横Gが作用した場合、その際に接地している部分における最もタイヤ幅方向外方に位置している部分に突起部50が配置されない虞がある。このように、横Gが作用した際に接地している部分に突起部50が配置されていない場合には、接地している部分の剛性を低減することが困難になり、コーナーリングフォースを低減することが困難になる。このため、転覆限界性能を向上させることが困難になる。このため、突起部形成領域B、つまり、タイヤ径方向における突起部形成範囲45を、接地端40からトレッド面11においてタイヤ径方向内方に向けて溝部20の溝深さGの2倍の位置まで範囲とし、この範囲に突起部50を設けることにより、より確実にコーナーリング時に突起部50が形成されている部分を接地させることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、突起部50が接地する際には、主に突起部接地部53が接地するため、突起部50が接地した際の面積である突起部接地面積は、突起部接地部53の面積とほぼ同一の面積となる。このため、突起部接地部53の面積を、突起部50を形成しない場合の突起部形成範囲45の面積と比較して1%〜50%の範囲で形成することにより、突起部接地面積は、突起部50を形成しない場合の突起部形成範囲45の面積の1%〜50%になる。突起部接地面積をこの範囲にすることにより、操縦安定性の維持と転覆限界性能の向上とを両立できる。つまり、突起部接地面積を、突起部50を形成しない場合の突起部形成範囲45の1%以上にすることにより、突起部50が接地した場合に、滑り過ぎてしまうことを抑制できるので、操縦安定性の低下を抑制できる。また、突起部接地面積を、突起部50を形成しない場合の突起部形成範囲45の50%以下にすることにより、突起部50が接地した場合に、より確実に突起部50の滑りを発生させることができるので、より確実にコーナーリングフォースを低減することができる。これらの結果、突起部接地面積が、突起部50を形成しない場合の突起部形成範囲45の面積の1%〜50%範囲内になるように突起部50を形成することにより、操縦安定性を維持しつつ、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、突起部50を2つ設けることにより、突起部50が接地した場合の荷重を分散でき、1つの突起部50にかかる荷重を低減できる。これにより、突起部50が接地した際に、突起部50にかかる荷重が大きくなり過ぎることを抑制でき、大きな荷重が突起部50にかかることによって突起部50が潰れることを抑制できる。突起部50が潰れると接地面積が増加するため、コーナーリングフォースの低減が困難になるが、突起部50が潰れ難くなることにより、より確実にコーナーリングフォースを低減させることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、2つの突起部50は、赤道面側突起部51よりも外方側突起部52の方が高さが高くなっているが、2つの突起部50をこのように形成することにより、コーナーリング時に突起部50をより確実に接地させることができる。つまり、直進走行時には接地部41のみがするが、コーナーリング時には、トレッド部10やサイドウォール部32などが変形することにより、接地部41のタイヤ幅方向外方に位置し、直進走行時には接地しない突起部50が接地する。このため、2つの突起部50は、コーナーリング時には接地部41に近い側の突起部50の方が接地し易くなっている。2つ突起部50は、このように接地部41に近い突起部50の方が接地し易くなっているが、接地部41に近い側の突起部50である赤道面側突起部51よりも外方側突起部52の方が高さが高くなるようにすることにより、外方側突起部52も接地し易くなり、コーナーリング時には、赤道面側突起部51と外方側突起部52とは、共に接地し易くなる。突起部50が接地した際には、接地面積が減少するため、コーナーリングフォースが低減するが、赤道面側突起部51と外方側突起部52とが共に接地することにより、コーナーリングフォースを低減しつつ、操縦安定性を向上させることができる。この結果、転覆限界性能の向上を図りつつ、コーナーリング時の操縦安定性を向上させることができる。
また、突起部50は、タイヤ周方向に沿って連続して全周に形成されているので、突起部50の剛性を向上させることができる。このように、突起部50の剛性を向上させることにより、突起部50が接地した場合に、接地時の荷重によって突起部50が潰れることを抑制できる。突起部50が潰れると接地面積が増加するため、コーナーリングフォースの低減が困難になるが、突起部50の剛性を向上させて突起部50が潰れ難くなるようにすることにより、より確実にコーナーリングフォースを低減させることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、突起部50の高さが0.5mm〜5.0mmの範囲内になるよう突起部50を形成した場合には、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。つまり、突起部50の高さを0.5mm以上にすることにより、突起部50が接地した場合に、突起部50の周囲の部分が接地することを抑制でき、より確実にコーナーリング時の接地面積の低減を図ることができる。また、突起部50の高さを5.0mm以下にすることにより、突起部50が接地した場合に、突起部50が潰れることを抑制できる。この突起部50の高さが5.0mm以上の場合には、高さが高過ぎるため、突起部50が接地した際に突起部50が潰れる虞があり、このように突起部50が潰れた場合、接地面積が増えてしまう。このため、突起部50の高さを5.0mm以下にすることにより、突起部50が潰れることを抑制でき、突起部50が接地した場合に、より確実に接地面積を低減することができる。従って、突起部50の高さが0.5mm〜5.0mmの範囲内になるよう突起部50を形成することにより、より確実に接地面積の低減を図ることができ、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、前記空気入りタイヤ1は、サマータイヤであるため、M+Sの打刻がされた空気入りタイヤ1、即ち、マッド&スノータイヤと比較してキャップトレッド12のコンパウンドによるグリップが高くなっている。このため、このようなサマータイヤの突起部形成範囲45に突起部50を設けることにより、コーナーリング時のコーナーリングフォースを効果的に低減することができる。この結果、転覆限界性能を向上させる効果が、より高くなる。
また、上述したように、装着するリムサイズが18インチ以上の空気入りタイヤ1の突起部形成範囲45に突起部50を設けることにより、効果的に転覆限界性能の向上を図ることができる。つまり、装着するリムサイズが18インチ以上の空気入りタイヤ1の場合には、コーナーリング時のコーナーリングフォースが大きくなり易く、特に、装着するリムサイズが20インチ以上の空気入りタイヤ1の場合には、コーナーリング時のコーナーリングフォースが、さらに大きくなり易い。このため、このような空気入りタイヤ1の突起部形成範囲45に突起部50を設けることにより、大きくなり過ぎる虞のあるコーナーリングフォースを低減することができる。この結果、転覆限界性能を向上させる効果が、より高くなる。
また、上述したように、外径が650mm以上の空気入りタイヤ1の突起部形成範囲45に突起部50を設けることにより、効果的に転覆限界性能の向上を図ることができる。つまり、外径が650mm以上の空気入りタイヤ1を装着する車両は重心が高い場合が多く、特に、外径が750mm以上の空気入りタイヤ1の場合には、重心の高い車両に装着する可能性がさらに高くなる。このような重心の高い車両では、大きなコーナーリングフォースが作用すると転覆する虞が大きくなるが、このような車両に装着する空気入りタイヤ1の突起部形成範囲45に突起部50を設けることにより、重心が高い車両の転覆を大幅に低減することができる。この結果、転覆限界性能を向上させる効果が、より高くなる。
(変形例)
図4は、実施の形態の空気入りタイヤの変形例を示す図である。なお、上述した空気入りタイヤ1に形成される突起部50は、タイヤ周方向に沿って連続して全周に形成されているが、突起部50は、タイヤ周方向に沿って不連続で形成されていてもよい。例えば、図4に示すように、突起部50は、所定のピッチで分断され、タイヤ周方向に不連続で形成されていてもよい。このように、突起部50を不連続で形成することにより、突起部50全体の体積が小さくなるので、突起部50がタイヤ周方向に沿って連続して全周に形成されている場合と比較して重量を軽減できる。これにより、突起部50を設けた際の重量の増加を抑えることができる。この結果、重量の増加を抑制しつつ、転覆限界性能の向上を図ることができる。なお、図4に示す変形例ように、1つの突起部形成範囲45に突起部50が複数配列されている場合、複数の突起部50の分断される位置は、タイヤ周方向において同一でも異なっていてもよい。
また、突起部50を不連続で形成する場合には、接地部41に形成されるトレッドパターン(図示省略)のピッチ配列に連動して、不連続に形成してもよい。突起部50が接地する際には、接地部41も接地するので、接地部41のトレッドパターンのピッチ配列に連動して突起部50を不連続に形成することにより、接地部41と突起部50とをトータルでみた場合のタイヤ周方向における剛性差を低減できる。これにより、突起部50が接地した際の操縦安定性を向上させることができる。また、接地部41のトレッドパターンのピッチ配列に連動して突起部50を不連続に形成することにより、トレッドパターンのピッチ配列に起因する音振を低減できる。
また、突起部50をタイヤ周方向において不連続に形成することにより、タイヤ周方向において突起部50が有る所と無い所とを設けることができる。これにより、突起部50が接地した際に、空気入りタイヤ1が回転することにより突起部50が有る所と無い所とが変化するので、空気入りタイヤ1が回転することによりコーナーリング時にグリップする場合とグリップしない場合とが変化し、アンダーステアなどの横滑りを緩やかに発生させることができる。この結果、突起部50が接地した際の操縦安定性を向上させることができる。
また、上述した空気入りタイヤ1に形成される2つの突起部50は、赤道面側突起部51よりも外方側突起部52の方が高さが高くなっているが、2つの突起部50は、外方側突起部52よりも赤道面側突起部51の方が高さが高くなるように形成してもよい。コーナーリング時には、突起部形成範囲45における接地端40方向よりも突起部形成範囲端部46方向の方が接地圧が高くなり易いので、2つの突起部50のうち、突起部形成範囲端部46方向に位置する外方側突起部52の高さを、接地端40方向に位置する赤道面側突起部51よりも低くすることにより、大きな接地圧で接地する外方側突起部52を、より滑らせ易くすることができる。これにより、大きな横Gが作用した場合に、コーナーリングフォースを、より確実に低減できる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、上述した空気入りタイヤ1では、突起部50の材質はキャップトレッド12の材質と同じ材質で形成されているが、突起部50の材質はキャップトレッド12の材質と異ならせ、キャップトレッド12の材質よりも硬度を高くしてもよい。例えば、突起部50の硬度とキャップトレッド12の硬度とを、ショアA硬度、即ち、Hs(JIS A K6235)で比較した場合に、突起部50のHsがキャップトレッド12のHsに対して+2〜+10の範囲内になるように形成してもよい。つまり、突起部50のHsがキャップトレッド12のHsに対して+2以上にすることにより、突起部50に負荷が作用した場合に、突起部50を潰れ難くすることができ、より確実に接地面積の低減を図ることができる。また、突起部50のHsがキャップトレッド12のHsに対して+10以下にすることにより、突起部50の硬度とキャップトレッド12の硬度との差が大き過ぎることに起因して、突起部50に負荷が作用した場合に突起部50とキャップトレッド12との間でクラックが発生することを抑制できる。
従って、突起部50のHsがキャップトレッド12のHsに対して+2〜+10の範囲内になるように形成することにより、突起部50の破損を抑制すると共に接地部41のグリップ力に対して突起部50のグリップ力を、より確実に低減することができる。これにより、突起部50が接地した場合に突起部50は、突起部50の硬度とキャップトレッド12の硬度とが同一の場合と比較して、滑りが生じ易くなり、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
なお、突起部50の硬度を高くする場合には、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとを比較するのではなく、突起部50のHsの値を高くしてもよい。例えば、突起部50のHsを50〜90の範囲になるようにすることにより、突起部50の硬度は高くなるので、グリップ力は低減し、突起部50が接地した際に滑りが発生し易くなる。特に、突起部50のHsの値を65〜75の範囲になるように形成することにより、より確実にグリップ力を低減できるので、突起部50のHsの値を高くする場合には、Hsは65〜75の範囲内とするのが好ましい。これにより、より確実のコーナーリングフォースを低減できるので、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、突起部50とキャップトレッド12との材質を異ならせて、突起部50が接地した際に滑りを発生し易くさせる場合には、双方の硬度を比較するのではなく、双方のグリップ力で比較してもよい。例えば、突起部50のグリップ力とキャップトレッド12のグリップ力とをtanδで比較し、突起部50の20℃時のtanδがキャップトレッド12の20℃時のtanδの80%以下となるようにしてもよい。このように、突起部50のグリップ力がキャップトレッド12のグリップ力よりも低くなるようにすることにより、突起部50が接地した際に突起部50が滑り易くなり、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
なお、突起部50のグリップ力を低減する場合には、突起部50のグリップ力とキャップトレッド12のグリップ力とを比較するのではなく、突起部50のtanδの値を低くしてもよい。例えば、突起部50のtanδを0.05〜0.20の範囲になるようにすることにより、突起部50のグリップ力は低くなるので、突起部50が接地した際に滑りが発生し易くなる。これにより、より確実のコーナーリングフォースを低減できるので、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、突起部形成範囲45に形成される突起部50は、1つや3つ以上でもよく、その形態はどのような形態でもよい。要は、直進走行時には接地せず、タイヤ幅方向に負荷がかかった場合、即ち、コーナーリング時などに接地し、且つ、突起部接地面積が、突起部が形成されていない場合の突起部形成範囲45の面積の1%〜50%の範囲内となるような突起部50が、突起部形成範囲45に形成されていれば、その形態はどのような形態でも構わない。空気入りタイヤ1にこのような突起部50を設けることにより、コーナーリング時のコーナーリングフォースを低減できるので、この結果、転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、上述したような突起部50は、リブパターンやブロックパターン等いずれのトレッドパターンの空気入りタイヤに設けてもよい。トレッドパターンに関係なく、空気入りタイヤ1の突起部形成範囲45に突起部50を設けることにより、車両のコーナーリング時などに高い横Gが作用した場合に、直進走行時には接地しない突起部50を接地させることができる。この突起部50は、接地面積が小さいので滑り易くなっており、コーナーリング時に突起部50が接地して当該突起部50が滑ることによって、コーナーリングフォースを低減させることができる。この結果、転覆限界性能の向上を図ることができる。
以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来の空気入りタイヤ1と本発明の空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、転覆限界性能の1項目について行なった。
試験方法は、305/40R22サイズの空気入りタイヤ1を22×10−1/2JJのリムに組み付けて内圧を210kPaに設定し、エンジン排気量6000cc、車重2530kgの四輪駆動車に装着して、この四輪駆動車を走行させることによって行った。転覆限界性能の試験の評価方法は、上記の四輪駆動車でダブルレーンチェンジ試験(ISO3888−2)を実施して評価した。この評価結果を、後述する従来例の空気入りタイヤ1の転覆限界性能を100とした指数で示した。指数が大きい程、転倒限界性能が優れている。
試験をする空気入りタイヤ1は、本発明が15種類、本発明と比較する比較例として1種類、そして、1種類の従来例を、上記の方法で試験する。この試験では、従来例、比較例、本発明1及び2を比較しており、これらは、突起部形成範囲45に突起部50が形成されていない場合の突起部形成範囲45の面積に対する突起部接地面積の比率である突起部面積比が異なっている。また、従来例、本発明3〜10を比較しており、これらは、突起部面積比と突起部50の高さが異なっている。また、従来例、本発明11〜15を比較しており、これらは、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとの差が異なっている。
試験をするこれらの空気入りタイヤ1のうち、従来例は、突起部50が形成されていない空気入りタイヤ1となっている。また、比較例は、突起部面積比が55%になっている。これに対し、本発明の一例である本発明1は、突起部面積比が1%になっている。また、本発明2は、突起部面積比が50%になっている。
また、本発明3〜10は、突起部面積比が40%になっている。このうち、本発明3は、突起部高さが0.3mmになっている。また、本発明4は、突起部高さが0.5mmになっている。また、本発明5は、突起部高さが1.5mmになっている。また、本発明6は、突起部高さが2mmになっている。また、本発明7は、突起部高さが3.5mmになっている。また、本発明8は、突起部高さが4mmになっている。また、本発明9は、突起部高さが5mmになっている。また、本発明10は、突起部高さが5.5mmになっている。
また、本発明11は、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとの差が1になっている。また、本発明12は、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとの差が2になっている。また、本発明13は、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとの差が5になっている。また、本発明14は、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとの差が10になっている。また、本発明15は、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとの差が12になっている。
これらの従来例、比較例、本発明1〜15の空気入りタイヤ1を上記の方法で評価試験をし、得られた結果を表1〜3に示す。なお、表1は、従来例、比較例、本発明1及び2の試験結果を表示している。また、表2−1は、従来例と、本発明3〜6の試験結果を表示しており、表2−2は、本発明7〜10の試験結果を表示している。また、表3は、従来例と、本発明11〜15の試験結果を表示している。
Figure 2006182179
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表1に示した試験結果で明らかなように、突起部形成範囲45に突起部50を設けた場合でも突起部面積比が1%〜50%以外の場合には、転覆限界性能を向上させることができない(比較例)。また、表2−1及び表2−2に示した試験結果で明らかなように、突起部高さが0.5mm〜5.0mmの範囲内になるように突起部50を形成することにより、確実に転覆限界性能を向上させることができ、特に、突起部高さが2mm〜4mmの範囲内になるように突起部50を形成することにより、より確実に転覆限界性能を向上させることができる(本発明3〜10)。また、表3に示した試験結果で明らかなように、突起部50のHsとキャップトレッド12のHsとの差が+2〜+10の範囲内になるように突起部50を形成することにより、より確実に転覆限界性能を向上させることができる(本発明11〜15)。
これらの結果、接地部41のタイヤ幅方向外方に、直進走行時にはいずれの部分も接地せず、コーナーリング時には接地する突起部50を設ける、つまり、正規内圧で空気を充填すると共に正規荷重で負荷をかけた際にはいずれの部分も接地せず、タイヤ幅方向に負荷をかけた際には接地する突起部50を接地部41のタイヤ幅方向外方に設け、さらに、突起部接地面積が、突起部形成範囲45に突起部50が形成されていないとした場合の突起部形成範囲45の面積の1%〜50%の範囲内になるように当該突起部50を設けることにより、コーナーリング時に突起部50が接地した場合に、突起部50を滑らせることができる。これにより、コーナーリングフォースを低減でき、また、直進走行時は接地部41しか接地しないので、操縦安定性や耐摩耗性を維持できる。これらの結果、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤは、重心位置が高い車両に装着する空気入りタイヤに有用であり、特に、サマータイヤとして使用される空気入りタイヤに適している。
この発明に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図1に示す空気入りタイヤに突起部が形成されている状態を示す図である。 図1に示す空気入りタイヤの要部斜視図である。 実施の形態の空気入りタイヤの変形例を示す図である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
10 トレッド部
11 トレッド面
12 キャップトレッド
18 ショルダー部
20 溝部
31 ベルト層
32 サイドウォール部
33 カーカス
34 インナーライナ
40 接地端
41 接地部
45 突起部形成範囲
46 突起部形成範囲端部
50 突起部
51 赤道面側突起部
52 外方側突起部
53 突起部接地部
60 赤道面
W 接地幅
G 溝深さ
B 突起部形成領域
D 赤道面側突起部高さ
E 外方側突起部高さ

Claims (5)

  1. トレッド部に複数の溝部が形成される空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部は、前記トレッド部の表面であるトレッド表面に、正規内圧で空気を充填すると共に正規荷重で負荷をかけた際に接地する部分である接地部と、
    前記接地部のタイヤ幅方向における端部である接地端よりタイヤ幅方向外方で、且つ、タイヤ径方向内方に突起部形成範囲と、を有しており、
    前記突起部形成範囲は、前記接地端から前記トレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて前記溝部の溝深さの2倍の位置まで範囲となっており、
    前記突起部形成範囲には、前記トレッド表面から突出しており、且つ、前記正規内圧で空気を充填すると共に前記正規荷重で負荷をかけた際にはいずれの部分も接地せず、さらに、タイヤ幅方向に負荷をかけた際には接地する突起部が設けられており、
    前記突起部のうち前記突起部が接地した場合に接地する部分の面積である突起部接地面積は、前記突起部形成範囲に前記突起部が形成されていないとした場合の前記突起部形成範囲の面積の1%〜50%の範囲内となっていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記突起部は、前記トレッド表面からの高さが0.5mm〜5.0mmの範囲内で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記突起部は、タイヤ周方向に沿って連続して全周に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記突起部は、タイヤ周方向に沿って不連続で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記突起部は、前記突起部の硬度と前記トレッド部が有するキャップトレッドの硬度とをそれぞれのHsで比較した場合に、前記突起部のHsが前記キャップトレッドのHsに対して+2〜+10の範囲内となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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