JP2006138210A - 密閉型電動圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機に関し、摺動部の潤滑状態が悪化した場合に発生する摺動部の摩耗を防止すること。
【解決手段】インバーター装置150を搭載した密閉型電動圧縮機において、回転子104の重力荷重を受ける軸受部107のスラスト面107aにスラストボールベアリング114を配設することにより、潤滑状態が悪化した状態においても、スラスト方向にかかる荷重を全てスラストボールベアリング114で受けるために回転方向の摩擦係数が小さくなり、摩耗を防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍冷蔵装置等に使用される密閉型電動圧縮機に関するものである。
従来、この種の密閉型電動圧縮機はオイルによって流体潤滑を形成するスラストワッシャを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型電動圧縮機を説明する。
図7は、特許文献1に記載された従来の密閉型電動圧縮機の側断面図、図8は従来の密閉型電動圧縮機の要部拡大図である。
図7、図8において、密閉容器1内には固定子3と永久磁石(図示せず)を内蔵する回転子4からなる電動要素2と、電動要素2により駆動される圧縮要素5とを収納し、下部にはオイル6が貯蔵されている。
圧縮要素5は軸受部7を有しシリンダー8を形成するシリンダーブロック9と、偏芯部10aと主軸部10bを有したクランクシャフト10と、シリンダー8内を往復運動するピストン11と、クランクシャフト10の偏芯部10aとピストン11とを連結するコンロッド12とを備えている。また、クランクシャフト10の偏芯部10aの下端部には遠心ポンプを構成する給油管13が取付けられている。
クランクシャフト10の段差部10cと回転子4との間には焼入鋼製のスラストワッシャ14a及び14bが挟持されており、軸受部7の上端に形成されたスラスト面7aとの間で摺動する。軸受部7は鋳鉄又はアルミ製で上端のスラスト面7aには給油管13から吸い上げられたオイル6が流出する油流出構7bを備えている。
インバーター装置50は固定子3と結線される。制御回路51はインバーター装置50をコントロールするものであり、商用電源52は制御回路51、及びインバーター装置50に結線されている。
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について以下にその動作を説明する。
商用電源52から供給される電力は制御回路51、インバーター装置50を介して電動要素2に供給され、電動要素2の回転子4を任意の回転数で回転させる。
回転子4の回転に伴ってクランクシャフト10が回転し、クランクシャフト10の偏芯部10aに連結されたコンロッド12を介してピストン11がシリンダー8内を往復運動して冷媒ガスを圧縮する。
この際、給油管13は密閉容器1内に貯蔵したオイル6を吸い上げて摺動部へ供給することで各摺動部を潤滑し、油流出構7bから流出する。この際、油流出構7bから流出するオイル6は、軸受部7の上端に形成されたスラスト面7aとの間に形成される摺動部を潤滑する。
特開平10−54361号公報
しかしながら上記従来の構成では、インバーター装置50を搭載した電動機は誘導電動機とは異なり、商用電源周波数未満の周波数での運転が発生する。この商用電源周波数未満の周波数での運転状態では、給油管13より摺動部へ供給されるオイル6の量が少なくなり、潤滑状態が悪化する。
また起動直後の時点では、給油管13より供給されるオイル6はまだスラスト面7aとスラストワッシャ14aとが形成する摺動面やクランクシャフト10の主軸部10bと軸受部7とが形成する摺動面に到達しておらず、これら摺動部へはまだ供給されない。従ってこの時点での上記摺動部の潤滑は残留した付着オイルによって行われることになり、潤滑状態が悪化する。
さらに、インバーター装置50によって、例えば25Hz以下といったような極めて低い運転周波数で運転した場合、スラスト面7aとスラストワッシャ14aとが形成する摺動面で発生する油圧が低く、さらに金属接触を起こしやすい状態となる。
以上のような状態が生じると、スラスト面7aやクランクシャフト10の主軸部10b及び軸受部7の摩耗が進行しやすいという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、インバーター装置を搭載し、かつ信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型電動圧縮機は、インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において、回転子の重力荷重を受ける軸受部のスラスト面にスラストボールベアリングを配設したものであり、潤滑状態が悪化した状態においても、スラスト方向にかかる荷重を全てボールベアリングで受けるために回転方向の摩擦係数が小さくなり、摩耗を防止できるという作用を有する。
また上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型電動圧縮機は、インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において、クランクシャフトと軸受部との間に2つ以上のラジアルボールベアリングを配設したものであり、潤滑状態が悪化した状態においても、ラジアル方向の荷重を全てボールベアリングで受けるために回転方向の摩擦係数が小さくなり、摩耗を防止できるという作用を有する。
また上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型電動圧縮機は、インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において、回転子の重力荷重を受ける軸受部のスラスト面に固体潤滑コーティングを施したスラストワッシャを配設したものであり、潤滑状態が悪化した状態においても、固体潤滑コーティングの自己潤滑作用によって摩擦係数が小さくなり、摩耗を防止できるという作用を有する。
本発明の密閉型電動圧縮機は、インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において摺動部の摺動状態を向上させることで、密閉型電動圧縮機の信頼性を向上することができる。
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動機を収納し、前記電動機は固定子と回転子を備えインバーター装置により2種類以上の特定の周波数で駆動され、前記圧縮要素は前記回転子を固定したクランクシャフトと、前記クランクシャフトを支える軸受部を備えるとともに前記回転子の重力荷重を受ける前記軸受部のスラスト面にスラストボールベアリングを配設した密閉型電動圧縮機としたもので、インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において、商用電源周波数未満の周波数での運転で、給油されるオイルの量が少なくなった場合や、起動直後、摺動部へのオイルが供給されていない場合に、スラスト面の潤滑状態が悪化しても、スラスト面にスラストボールベアリングを配設しているので、スラストに係る荷重を全てボールベアリングで受けるため回転方向の摺動面積が減り摩擦係数が小さくなるので、スラスト面の摩耗が防止でき信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、スラストボールベアリングを2枚以上のスラストプレートで挟み込んだものであり、2枚以上のスラストプレートで挟み込むことにより、面粗度の良くないスラスト部にもボールベアリングを採用することができ、信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、スラストボールベアリングまたはスラストワッシャの少なくとも一方を非磁性体の材料で形成したものであり、非磁性体の材料で形成することで密閉型電動圧縮機の固定子に内蔵した希土類の永久磁石によって材料が磁化されないので、スラスト面に鉄粉などのゴミを呼び込みにくくなり、信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することができると共に鉄損が減り効率の高い密閉型電動圧縮機を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動機を収納し、前記電動機は固定子と回転子を備えインバーター装置により2種類以上の特定の周波数で駆動され、前記圧縮要素は前記回転子を固定したクランクシャフトと、前記クランクシャフトを支える軸受部を備えるとともに前記クランクシャフトと前記軸受部との間に2つ以上のラジアルボールベアリングを配設し前記ラジアルボールベアリングで前記クランクシャフトを保持した密閉型電動圧縮機としたもので、インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において、商用電源周波数未満の周波数での運転で、給油されるオイルの量が少なくなった場合や、起動直後、摺動部へのオイルが供給されていない場合に、クランクシャフトと軸受部の潤滑状態が悪化しても、クランクシャフトと軸受部との間に2つ以上のラジアルボールベアリングを配設しているので、ラジアル方向の荷重を全てボールベアリングで受けるため回転方向の摩擦係数が小さくなるので、クランクシャフト及び軸受部の摩耗が防止でき信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、ラジアルボールベアリングの少なくとも1つを非磁性体の材料で形成したものであり、非磁性体の材料で形成することで密閉型電動圧縮機の固定子に内蔵した希土類の永久磁石によって材料が磁化されないので、クランクシャフトと軸受部の摺動面に鉄粉などのゴミを呼び込みにくくなり、信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することができると共に鉄損が減り効率の高い密閉型電動圧縮機を提供することができる。
請求項6に記載の発明は、密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動機を収納し、前記電動機は固定子と回転子を備えインバーター装置により2種類以上の特定の周波数で駆動され、前記圧縮要素は前記回転子を固定したクランクシャフトと、前記クランクシャフトを支える軸受部を備えるとともに前記回転子の重力荷重を受ける前記軸受部のスラスト面に固体潤滑コーティングを施したスラストワッシャを配設した密閉型電動圧縮機としたもので、インバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において、商用電源周波数未満の周波数での運転で、給油されるオイルの量が少なくなった場合や、起動直後、摺動部へのオイルが供給されていない場合に、スラスト面の潤滑状態が悪化しても、スラスト面に固体潤滑コーティングを施したスラストワッシャを配設しているので、固体潤滑コーティングの自己潤滑作用によって摩擦係数が小さくなるので、スラスト摩耗が防止でき信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用したものであり、炭化水素系冷媒は冷媒がオイルに溶け込む量が多いため始動時に発泡しガスを吸って給油阻害を起こしやすくなるとともにインバーター駆動式の密閉型電動圧縮機において、商用電源周波数未満の周波数での運転で、給油されるオイルの量が少なくなった場合や、起動直後、摺動部へのオイルが供給されていない場合に、スラスト面及びクランクシャフトと軸受部の潤滑状態が悪化しても、請求項1〜6の対策によりスラストに係る荷重を全てボールベアリングで受けるため回転方向の摺動面積が減り摩擦係数が小さくなるとともにラジアル方向の荷重を全てボールベアリングで受けるため回転方向の摩擦係数が小さくなるので、また、固体潤滑コーティングの自己潤滑作用によって摩擦係数が小さくなるので、スラスト面及びクランクシャフト及び軸受部の摩耗が防止でき信頼性の高い密閉型電動圧縮機を提供することできる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における密閉型電動圧縮機の側断面図、図2は同実施の形態における密閉型電動圧縮機の要部拡大図である。
図1、図2において、密閉容器101内には固定子103と永久磁石(図示せず)を内蔵する回転子104から成る電動要素102と、電動要素102により駆動される圧縮要素105が収納され、下部には鉱油からなるオイル106が貯蔵されている。また冷媒には塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用している。
圧縮要素105は軸受部107を有しシリンダー108を形成するシリンダーブロック109と、偏芯部110aと主軸部110bを有したクランクシャフト110と、シリンダー108内を往復運動するピストン111と、クランクシャフト110の偏芯部110aとピストン111とを連結するコンロッド112とを備えている。また、クランクシャフト110の偏芯部110aの下端部には遠心ポンプを構成する給油管113が取付けられている。
軸受部107はアルミ製で上端のスラスト面107aには給油管113から供給されたオイル106が流出する油流出構107bを備えており、スラスト面107aと回転子104との間にはスラストボールベアリング114が挟持されている。
スラストボールベアリング114はスラストボール115を回転自在に拘束する複数のガイド孔116を設けたガイドプレート117と、スラストボール115の上下にそれぞれ配設され、スラストボール115と転がり接触するスラストプレート118a、118bから構成されている。
インバーター装置150は固定子103と結線される。制御回路151はインバーター装置150をコントロールするものであり、商用電源152は制御回路151、及びインバーター装置150に結線されている。
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について以下その動作、作用を説明する。
商用電源152から供給される電力は制御回路151、インバーター装置150を介して電動要素102に供給され、電動要素102の回転子104を任意の回転数で回転させる。
回転子104の回転に伴ってクランクシャフト110が回転し、クランクシャフト110の偏芯部110aに連結されたコンロッド112を介してピストン111がシリンダー108内を往復運動してガスを圧縮する。
この際、給油管113は密閉容器101内に貯蔵したオイル106を吸い上げ、摺動部へ供給することで各摺動部を潤滑し、油流出構107bから流出する。この際、油流出構107bから流出するオイル106は、スラスト面107aとスラストボールベアリング114とスラストプレート118a、118bを潤滑する。
ここで、インバーター装置150を搭載した電動機は誘導電動機とは異なり、例えば25Hz以下といったような商用電源周波数未満の周波数での運転が発生する。この商用電源周波数未満の周波数での運転状態では、給油管113より摺動部へ供給されるオイル106の量が少なくなり、潤滑状態が悪化する。また起動直後の時点では、給油管113より供給されるオイル106はまだスラスト面107aとスラストボールベアリング114とスラストプレート118a、118bとが形成する摺動面に到達しておらず、摺動部へはまだ供給されない。
従ってスラスト面107aとスラストボールベアリング141とスラストプレート118a、118bとが形成する摺動面の潤滑は給油されるオイル106の量が少ない状態や、残留した付着オイルによって行われることになる。
しかしながら、スラストボールベアリング114はスラストボール115とスラストプレート118a、118bとがころがり接触をすることで回転方向の摩擦係数が小さくなり、給油されるオイル106の量が少ない状態や僅かな付着オイルでも凝着を防ぐことができ、スラストボール115とスラストプレート118a、118bとの摩耗はほとんど発生せず、高い信頼性を得ることができる。
さらに回転方向の摩擦係数が小さくなることで摺動損失が小さくなり、その結果、効率が良化する。
一方、スラストボールベアリング114やスラストプレート118a、118bを非磁性体材料、例えばセラミクスにて形成することにより、回転子104に内蔵された永久磁石(図示せず)によって、スラストボールベアリング114やスラストプレート118a、118bが磁化されることが無く、鉄粉などのゴミを吸着しなくなり信頼性は更に向上する。
尚、本実施の形態では冷媒に塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用しているが、炭化水素系冷媒は鉱油からなるオイル106との相溶性が非常に高く、その結果始動時にオイル106から冷媒ガスが蒸発し給油管113を冷媒ガスで塞いでしまい、さらにスラスト面107aとスラストボールベアリング114とスラストプレート118a、118bとが形成する摺動面への給油状態は悪化するが、そういった場合でも前述したようにスラストボールベアリング114はスラストボール115とスラストプレート118a、118bとがころがり接触をすることで回転方向の摩擦係数が小さくなり、僅かな付着オイルでも凝着を防ぐことができるため、スラストボール115とスラストプレート118a、118bとの摩耗はほとんど発生せず、高い信頼性を備えた圧縮機を得ることができる。
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における密閉型電動圧縮機の側断面図、図4は同実施の形態における密閉型電動圧縮機の要部拡大断面図である。
図3、図4において、密閉容器201内には固定子203と永久磁石(図示せず)を内蔵する回転子204から成る電動要素202と、電動要素202により駆動される圧縮要素205が収納され、下部には鉱油からなるオイル206が貯蔵されている。また冷媒には塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用している。
圧縮要素205は軸受部207を有しシリンダー208を形成するシリンダーブロック209と、偏芯部210aと主軸部210bを有したクランクシャフト210と、シリンダー208内を往復運動するピストン211と、クランクシャフト210の偏芯部210aとピストン211とを連結するコンロッド212とを備えている。また、クランクシャフト210の偏芯部210aの下端部には遠心ポンプを構成する給油管213が取付けられている。
軸受部207はアルミ製で2つのラジアルボールベアリング214a、214bを電動要素側と圧縮要素側にそれぞれ圧入しており、スラスト荷重は上側に圧入したラジアルボールベアリング214aで受けている。
2つのラジアルボールベアリング214a、214bはおのおの、内周ガイド215a、215bと、外周ガイド216a、216bとの間に回転自在に挟持されるラジアルボール217a、217bとから構成されている。
そして2つのラジアルボールベアリング214a、214bはおのおの内径がクランクシャフト210の主軸部210bに圧入されている。主軸部210b外周には給油管213に連通するリード溝218がラジアルボールベアリング214aに届くまで刻設されている。
インバーター装置250は固定子203と結線される。制御回路251はインバーター装置250をコントロールするものであり、商用電源252は制御回路251、及びインバーター装置250に結線されている。
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について以下その動作、作用を説明する。
商用電源252から供給される電力は制御回路251、インバーター装置250を介して電動要素202に供給され、電動要素202の回転子204を任意の回転数で回転させる。
回転子204の回転に伴ってクランクシャフト210が回転し、クランクシャフト210の偏芯部210aに連結されたコンロッド212を介してピストン211がシリンダー208内を往復運動してガスを圧縮する。
この際、給油管213は密閉容器201内に貯蔵したオイル206を吸い上げ、摺動部へ供給することで各摺動部を潤滑し、油流出構207bから流出する。
ここで、インバーター装置250を搭載した電動機は誘導電動機とは異なり、例えば25Hz以下といったような商用電源周波数未満の周波数での運転が発生する。この商用電源周波数未満の周波数での運転状態では、給油管213より摺動部へ供給されるオイル206の量が少なくなり、潤滑状態が悪化する。また起動直後の時点では、給油管213より供給されるオイル206はまだクランクシャフト210と軸受部207とが形成する摺動面に到達しておらず、摺動部へはまだ供給されない。
従ってクランクシャフト210と軸受部207の潤滑は給油されるオイル206の量が少ない状態や、残留した付着オイルによって行われることになる。
しかしながら、ラジアルボールベアリング214a、214bは、クランクシャフトを圧入した内周ガイド215a、215bと軸受部207に圧入された外周ガイド216a、216bとの間をラジアルボール217a、217bが回転自在に転がり接触するので回転方向の摩擦係数は小さくなり、給油されるオイル206の量が少ない状態や僅かな付着オイルでも凝着を防ぐことができ、ラジアルボール217a、217bと内周ガイド215a、215bと外周ガイド216a、216bとの摩耗はほとんど発生せず、高い信頼性を得ることができる。
さらに回転方向の摩擦係数が小さくなることで摺動損失が小さくなり、その結果、効率が良化する。
一方、ラジアルボールベアリング214a、214bを非磁性体材料、例えばセラミクスにて形成することにより、回転子204に内蔵された永久磁石(図示せず)によって、ラジアルボールベアリング214a、214bが磁化されることが無く、鉄粉などのゴミを吸着しなくなり信頼性は更に向上する。
尚、本実施の形態では冷媒に塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用しているが、炭化水素系冷媒は鉱油からなるオイル206との相溶性が非常に高く、その結果始動時にオイル206から冷媒ガスが蒸発し給油管213を冷媒ガスで塞いでしまい、さらにクランクシャフト210と軸受部207とが形成する摺動面への給油状態は悪化するが、そういった場合でも前述したようにラジアルボール217a、217bと内周ガイド215a、215bと外周ガイド216a、216bとがころがり接触をすることで回転方向の摩擦係数が小さくなり、僅かな付着オイルでも凝着を防ぐことができるため、ラジアルボール217a、217bと内周ガイド215a、215bと外周ガイド216a、216bとの摩耗はほとんど発生せず、高い信頼性を得ることができる。
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における密閉型電動圧縮機の側断面図、図6は同実施の形態における密閉型電動圧縮機の要部拡大図である。
図5、図6において、密閉容器301内には固定子303と永久磁石(図示せず)を内蔵する回転子304から成る電動要素302と、電動要素302により駆動される圧縮要素305が収納され、下部には鉱油からなるオイル306が貯蔵されている。また冷媒には塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用している。
圧縮要素305は軸受部307を有しシリンダー308を形成するシリンダーブロック309と、偏芯部310aと主軸部310bを有したクランクシャフト310と、シリンダー308内を往復運動するピストン311と、クランクシャフト310の偏芯部310aとピストン311とを連結するコンロッド312とを備えている。また、クランクシャフト310の偏芯部310aの下端部には遠心ポンプを構成する給油管313が取付けられている。
軸受部307はアルミ製で上端のスラスト面307aには給油管313から供給されたオイル306が流出する油流出構307bを備えており、スラスト面307aと回転子304との間には固体潤滑コーティング314cを施したスラストワッシャ314a、314bが挟持されている。
インバーター装置350は固定子303と結線される。制御回路351はインバーター装置350をコントロールするものであり、商用電源352は制御回路351、及びインバーター装置350に結線されている。
以上のように構成された密閉型電動圧縮機について以下その動作、作用を説明する。
商用電源352から供給される電力は制御回路351、インバーター装置350を介して電動要素302に供給され、電動要素302の回転子304を任意の回転数で回転させる。
回転子304の回転に伴ってクランクシャフト310が回転し、クランクシャフト310の偏芯部310aに連結されたコンロッド312を介してピストン311がシリンダー308内を往復運動してガスを圧縮する。
この際、給油管313は密閉容器301内に貯蔵したオイル306を吸い上げ、摺動部へ供給することで各摺動部を潤滑し、油流出構307bから流出する。この際、油流出構307bから流出するオイル306は、スラスト面307aとスラストワッシャ314a、314bを潤滑する。
ここで、インバーター装置250を搭載した電動機は誘導電動機とは異なり、例えば25Hz以下といったような商用電源周波数未満の周波数での運転が発生する。この商用電源周波数未満の周波数での運転状態では、給油管313より摺動部へ供給されるオイル306の量が少なくなり、潤滑状態が悪化する。また起動直後の時点では、給油管313より供給されるオイル306はまだスラスト面307aとスラストワッシャ314a、314bとが形成する摺動面に到達しておらず、摺動部へはまだ供給されない。
従ってスラスト面307aとスラストワッシャ314a、314bとが形成する摺動面の潤滑は給油されるオイル306の量が少ない状態や、残留した付着オイルによって行われることになる。
しかしながら、スラストワッシャ314a、314bに固体潤滑コーティング314cを施しているので、回転方向の摩擦係数は小さくなり、給油されるオイル306の量が少ない状態や僅かな付着オイルでも凝着を防ぐことができ、スラスト面307aとスラストワッシャ314a、314bとの摩耗はほとんど発生せず、高い信頼性を得ることができる。
さらに回転方向の摩擦係数が小さくなることで摺動損失が小さくなり、その結果、効率が良化する。
尚、本実施の形態では冷媒に塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用しているが、炭化水素系冷媒は鉱油からなるオイル306との相溶性が非常に高く、その結果始動時にオイル306から冷媒ガスが蒸発し給油管313を冷媒ガスで塞いでしまい、さらにスラスト面307aとスラストワッシャ314a、314bとが形成する摺動面への給油状態は悪化するが、そういった場合でも前述したようにスラストワッシャ314a、314bに固体潤滑コーティング314cを施しているので回転方向の摩擦係数は小さくなり、僅かな付着オイルでも凝着を防ぐことができるため、スラスト面307aとスラストワッシャ314a、314bとの摩耗はほとんど発生せず、高い信頼性を備えた圧縮機を得ることができる。
尚、スラストワッシャ314a、314bに固体潤滑コーティング314cを施すとしたが、二硫化モリブデンをショットピーニングしたり、スラストワッシャ314a、314bの材料に4フッ化エチレンを使用しても同様に摩耗を防止する効果が得られる。
以上のように、本発明にかかるインバーター駆動式の密閉型電動圧縮機は摺動部の潤滑状態が悪化しても自己潤滑が可能となるので、冷凍冷蔵装置に加えて空調や自販機等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における密閉型電動圧縮機の側断面図 本発明の実施の形態1における密閉型電動圧縮機の要部拡大図 本発明の実施の形態2における密閉型電動圧縮機の側断面図 本発明の実施の形態2における密閉型電動圧縮機の要部拡大断面図 本発明の実施の形態3における密閉型電動圧縮機の側断面図 本発明の実施の形態3における密閉型電動圧縮機の要部拡大図 従来の密閉型電動圧縮機の側断面図 従来の密閉型電動圧縮機の要部拡大図
符号の説明
101,201,301 密閉容器
102,202,302 電動要素
103,203,303 固定子
104,204,304 回転子
105,205,305 圧縮要素
107,207,307 軸受部
107a,307a スラスト面
110,210,310 クランクシャフト
114 スラストボールベアリング
118a,118b スラストプレート
150,250,350 インバーター装置
214a,214b ラジアルボールベアリング
314a,314b スラストワッシャ
314c 固体潤滑コーティング

Claims (7)

  1. 密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素を収納し、前記電動要素は固定子と回転子を備えインバーター装置により2種類以上の特定の周波数で駆動され、前記圧縮要素は前記回転子を固定したクランクシャフトと、前記クランクシャフトを支える軸受部を備えるとともに前記回転子の重力荷重を受ける前記軸受部のスラスト面にスラストボールベアリングを配設した密閉型電動圧縮機。
  2. 前記スラストボールベアリングを2枚以上のスラストプレートで挟み込んだ請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
  3. 前記スラストボールベアリングまたはスラストワッシャの少なくとも一方を非磁性体の材料で形成した請求項2に記載の密閉型電動圧縮機。
  4. 密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素を収納し、前記電動要素は固定子と回転子を備えインバーター装置により2種類以上の特定の周波数で駆動され、前記圧縮要素は前記回転子を固定したクランクシャフトと、前記クランクシャフトを支える軸受部を備えるとともに前記クランクシャフトと前記軸受部との間に2つ以上のラジアルボールベアリングを配設し前記ラジアルボールベアリングで前記クランクシャフトを保持した密閉型電動圧縮機。
  5. 前記ラジアルボールベアリングの少なくとも1つを非磁性体の材料で形成した請求項4に記載の密閉型電動圧縮機。
  6. 密閉容器内に冷媒を圧縮する圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素を収納し、前記電動要素は固定子と回転子を備えインバーター装置により2種類以上の特定の周波数で駆動され、前記圧縮要素は前記回転子を固定したクランクシャフトと、前記クランクシャフトを支える軸受部を備えるとともに前記回転子の重力荷重を受ける前記軸受部のスラスト面に固体潤滑コーティングを施したスラストワッシャを配設した密閉型電動圧縮機。
  7. 塩素及びフッ素を含まない炭化水素系冷媒を使用した請求項1から6のいずれか一項に記載の密閉型電動圧縮機。
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JP2008169827A (ja) * 2007-01-05 2008-07-24 Samsung Electronics Co Ltd 回転式圧縮機及びこれを有する空気調和機
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