JP3961274B2 - 圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、冷媒としてHFC系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用い、潤滑油としてはそれら冷媒と相溶性のあるエステル油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を用いる圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和装置や冷却装置に使われているR22に代表されるHCFC系冷媒は、その物性の安定性からオゾン層を破壊すると言われている。従って、現在、HCFC系冷媒の代替冷媒として、HFC系冷媒が利用され始めている。
【0003】
この種の圧縮機としては特開平07―293468号公報に記載のものが知られている。このものは、図7に示すように圧縮機80として圧縮機構83を用い、容器81内に電動機82とともに収納したいわゆるメンテナンスフリーなものとしている。圧縮機構83で圧縮する冷媒にはHFC冷媒を用い、圧縮機構83の摺動部を潤滑する冷凍機油84に前記冷媒と相溶性のある4価以上のエステル油を用いている。冷凍機油84は容器81の底部に貯留され、圧縮機構83の駆動に伴ってその吐出圧、あるいは容積ポンプによって圧縮機構83やその軸受部などの摺動部の潤滑に供された後、貯留部に戻って以降循環を繰り返す。一方、冷凍機油84は冷媒との相溶性によって持ち運ばれることによっても各部を潤滑する。しかし、HFC系冷媒、HC系冷媒、CO2は塩素を含まないものであることによって、塩素を含むHCFC系冷媒のように冷媒自体に潤滑性がないか低いことが影響して潤滑が不足しがちで、耐久性に乏しい。
【0004】
これに対処するのに図7に示す圧縮機では、圧縮機構83の摺動部をなす例えばコンロッド85とクランクシャフト86の組において、コンロッド85はアルミニウム材料を主体として表面をアルマイト処理することにより、クランクシャフト86は炭素鋼等の金属材料を用いることにより、それぞれ耐摩耗性を上げ、HFC系の冷媒下でメンテナンスフリーに対応する長期間安定した運転を保証しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成は、以下に示す問題点を有している。
【0006】
(1)アルマイト処理による酸化物層の表面には亀裂が多く、摺動部に供給された油は、その一部が酸化物層表面の亀裂に逃げるため軸受の負荷容量が低下する。
【0007】
(2)アルマイト処理によって表面には酸化物層が形成されるが、この酸化物層は親油性が低く、特に極性の高いエステル油は酸化物層の表面に吸着されにくく、摺動部の表面では潤滑油不足が起きやすい。
【0008】
これらの結果、高負荷運転では高摩擦になり、アルマイト処理による脆い酸化物層は破壊される恐れがあり、また潤滑油不足が起きやすい始動時などの過渡運転においても大幅な耐久性低下が発生すると予測される。
【0009】
本発明の目的は、圧縮機構部の摺動部における潤滑油の確保と低摩擦係数化を図って、耐久性の高い圧縮機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の圧縮機は、冷媒としてHFC系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用い、圧縮機構部の潤滑油としてエステル油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を用いる圧縮機であって、圧縮機構部の摺動し合う少なくとも1組の部材の少なくとも1つをAl合金で形成し、Al合金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面に鉄メッキ膜を形成していることを主たる特徴とする。
【0011】
このような構成では、塩素を含まないHFC系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用いるのでオゾン層を破壊しない。また、これに相溶なエステル油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を潤滑油に用いるので、それ自体が供給されることによる潤滑に加え、冷媒によって持ち運ばれることによる潤滑も行える。特に、圧縮機構部の摺動し合う少なくとも1組の部材の少なくとも1つをAl合金で形成するので、Al合金化した部材の数に比例した軽量化が図れる上、Al合金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面にて、アルマイト処理層のように脆くない安定な鉄メッキ膜による低摩擦係数化と優れた油吸着性による高潤滑性とを確保し、この摺動面が臨む摺動部での耐摩耗性を長期に高められるのに併せ、前記鉄メッキ膜がAl合金部材の疲労強度をも長期に高められるので、長寿命化が図れる。また、前記高潤滑性は高シール性をも発揮するので高い圧縮性能が長期に安定して得られる。また、前記高潤滑性は潤滑油が不足しがちな始動時の過渡運転に特に有効である。
【0012】
前記鉄メッキ膜の表面に再溶融処理層を設けている構成では、Al合金部材の表面硬度がさらに増すので、その分だけAl合金部材の耐摩耗性および耐久性が向上する。
【0013】
前記再溶融処理層に固体潤滑剤が分散している構成では、この固体潤滑剤がAl合金部材の摺動面と他方の摺動面との間の潤滑を図るので、潤滑油の供給がないドライ状態でも運転ができ、何らかの理由で潤滑油が供給されない場合や不足する場合、あるいは、潤滑油を供給し難い個所や供給しない方がよい個所において特に有効である。
【0014】
前記1組の部材は、スクロール圧縮機において、相互間に圧縮室を形成する固定側スクロールと可動側スクロール、あるいは、固定側スクロールとの間に圧縮室を形成する可動側スクロールとこれの自転を拘束して円軌道運動させる自転拘束手段の部材、の各組合せで代表され、1組の部材の双方がAl合金により形成されている構成では、1組の部材の一方の摺動面にのみ前記鉄メッキ膜を形成することによって異種金属間の摺動構造が実現し、同一材質どうしの間で潤滑が不足したときに生じやすい凝着の問題を回避することができる。もっとも、1組の部材の双方に鉄メッキ膜を形成して双方間の高い潤滑性、耐摩耗性、およびシール性を確保するようにもできるが、一方に設けるだけでよい分コストが低減する。
【0015】
1組の部材は、ロータリ圧縮機におけるシリンダと、このシリンダ内で回動するピストンと、これらシリンダおよびピストンによって形成される空間を圧縮空間および吸入空間に分離するシリンダ側のベーンと、シリンダおよびピストンの両端面を閉塞する上下軸受部材と、前記ピストンに駆動力を伝達するクランク軸とであり、ピストンがAl合金で形成され、このピストンに前記鉄メッキ膜を形成した構成では、ピストン1つを鉄メッキ膜を形成したAl合金部材とするだけで、このピストンと摺動し合うシリンダ、ベーン、上下軸受部材およびクランク軸との間の全摺動部において、異種金属どうしの摺動構造の実現と、前記鉄メッキ膜による高い潤滑性と耐摩耗性とシール性を確保し、かつ、ピストンの疲労強度を高めることができ、しかも、偏心回転するピストンの軽量化が図れた分だけピストンが偏心回転することに対するバランサの小型化、軽量化も同時に図ることができ、この結果、さらに高速での運転が可能となり、能力制御幅を拡大できる。
【0016】
1組の部材は、ベーン型ロータリ圧縮機における、シリンダと、このシリンダの内部に配設されたロータと、このロータを軸支し前記シリンダの前後両端を閉塞する前部側板および後部側板と、前記ロータに形成されたベーン溝内に摺動自在に収容されたベーンとであり、前記シリンダ、前部側板、後部側板およびベーンをAl合金で形成し、シリンダに前記鉄メッキ膜を形成した構成では、ロータが偏心回転しないことを利用し、他の部材をAl合金部材として大幅な軽量化を図りながら、シリンダのみの摺動面に鉄メッキ膜を設けるだけで、摺動の激しいシリンダとロータおよびベーンとの間で鉄メッキ膜による高い潤滑性、耐摩耗性およびシール性を確保し、かつ圧力容器となるシリンダの疲労強度を鉄メッキ膜にて高めて運転可能な最大負荷をさらに大きくすることができる。
【0017】
1組の部材は、リニア圧縮機における、シリンダと、このシリンダにその軸線方向に沿って摺動自在に支持されるピストンとであり、これらシリンダおよびピストンをAl合金で形成し、その少なくとも一方に前記鉄メッキ膜を形成した構成では、シリンダおよびピストンの双方で軽量化を図りながら、リニア圧縮機の場合、通常、始動時や停止時のピストンとシリンダとの片当たりが摩耗や焼付きの原因になりやすく潤滑油量を多く設定するところを、ピストンとシリンダとの少なくとも一方に形成した鉄メッキ膜により高い潤滑性、耐摩耗性およびシール性を得て始動時および停止時のための必要潤滑油量を少なく抑えられる。しかも、圧力容器となるシリンダ側に鉄メッキ膜を形成して疲労強度を高めると、運転可能な最大負荷をさらに大きくすることができる。
【0018】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り種々な組み合わせで複合して採用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る圧縮機の実施の形態について図1〜図6を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例を示すもので、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。
【0020】
本実施の形態では図1に示す例、図2、図3に示す例、および図6に示す例のように、圧縮機構部30、50、70がそれらを駆動する電動機部20、73とともに容器10内に収容したいわゆる密閉型のメンテナンスフリーな圧縮機の場合と、図4、図5に示す例のように、圧縮機構部60単独で構成した場合とを示したが、本発明はこれらに限られることはなく、摺動部を持つ圧縮機全般に適用して有効であり、いずれも本発明の範疇に属する。本実施の形態の各圧縮機はいずれも冷媒としてHFC系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用い、圧縮機構部の潤滑油42としてエステル油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を用いる。これにより、物性がHCFCのように安定していないHFC系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用いるのでオゾン層を破壊しない。また、これに相溶なエステル油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を潤滑油42として用いるので、それ自体が供給されることによる潤滑に加え、冷媒によって持ち運ばれることによる潤滑も行える。
【0021】
特に、圧縮機構部30、50、60、70における摺動し合う少なくとも1組の部材の少なくとも1つをAl合金で形成し、Al合金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面に鉄メッキ膜を形成する。これにより、圧縮機構部30、50、60、70におけるAl合金化した部材の数に比例した軽量化が図れる上、摺動し合う1組の部材におけるAl合金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面にて、アルマイト処理層のように脆くない安定な鉄メッキ膜による低摩擦係数化と優れた油吸着性による高潤滑性とを確保し、この摺動面が臨む摺動部での耐摩耗性を長期に高められるのに併せ、前記鉄メッキ膜がAl合金部材の疲労強度をも長期に高められるので、圧縮機構部30、50、60、70の長寿命化が図れる。また、前記高潤滑性は高シール性をも発揮するので高い圧縮性能が長期に安定して得られる。
【0022】
この場合、前記鉄メッキ膜の表面に再溶融処理層を設けるのが好ましい。これによると、Al合金部材の表面硬度がさらに増すので、その分だけAl合金部材の耐摩耗性および耐久性が向上する。また、前記再溶融処理層に固体潤滑剤が分散しているようにするとさらに好適である。これによると、この固体潤滑剤がAl合金部材の摺動面と他方の摺動面との間の潤滑を図るので、潤滑油の供給がないドライ状態でも運転ができ、何らかの理由で潤滑油が供給されない場合や不足する場合、あるいは、潤滑油を供給し難い個所や供給しない方がよい個所において特に有効である。
【0023】
図1(a)(b)に示す例はスクロール圧縮機の場合の一例である。図1(a)に示すように容器10は吸入管11と吐出管12とを備え、外部サイクルと接続されることによって密閉状態となる。電動機部20は、容器10の内周に固定されたステータ21とこれの内側に位置するロータ22とから構成され、ロータ22は圧縮機構部30を駆動するクランク軸33が貫通する状態で一体化され、クランク軸33が圧縮機構部30側の主軸受34と反圧縮機構部30側の副軸受34aとによって軸受けされ、電動機部20の作動によってロータ22と一体に回転する。
【0024】
圧縮機構部30は圧縮室30Aを形成する固定側スクロール31と可動側スクロール32とで構成され、可動側スクロール32がクランク軸33によって電動機部20からの駆動力を主軸33A、旋回軸受33B、自身の旋回軸32Fを介して伝達されて固定側スクロール31に対し円軌道上を旋回運動し、圧縮室30Aが例えば外周側から中央部に移動しながら容積が小さくなっていくことにより、冷媒を外部サイクルから吸入して圧縮し、圧縮後の冷媒を容器10内の空間を経て外部サイクルに供給することを繰り返す。
【0025】
固定側スクロール31は前記主軸受34を持ち容器10の内周に固定された支持部材としての主軸受部材29の一面にボルトなどにより取り付けられ、主軸受部材29と固定側スクロール31との間に可動側スクロール32が挟み込まれている。主軸受部材29と可動側スクロール32との間に可動側スクロール32の自転を拘束し円軌道運動だけするように案内する自転拘束手段としての一例であるオルダムリング35を設けてある。オルダムリング35は一面側に形成した第1の直径線上2箇所の突起によって可動側スクロール32とこの第1の直径線方向に摺動し合うように係合し、他面側に形成した前記第1の直径線と直交する第2の直径線上の2箇所の突起によって主軸受部材29とこの第2の直径線方向に摺動し合うように係合している。
【0026】
固定側スクロール31は、渦巻状に形成された固定側羽根部材31Aと、この固定側羽根部材31Aを形成するための溝の底面を構成する固定側鏡板31Bと、固定側羽根部材31Aの外周部に形成されて可動側スクロール32と当接する固定側スラスト面31Cと、固定側鏡板31Bの中央部に形成された吐出孔31Dとを有している。可動側スクロール32は、渦巻状に形成された可動側羽根部材32Aと、この可動側羽根部材32Aを形成するための溝の底面を構成する可動側鏡板32Bと、可動側羽根部材32Aの外周部に形成されて固定側スクロール31と当接する可動側スラスト面32Cと、背面32Eと、この背面32E側の中央部に突出して形成された前記旋回軸32Fと、固定側スラスト面31Cと可動側スラスト面32Cとの間に潤滑油を供給する給油路32Gとを有している。
【0027】
クランク軸33の前記副軸受34aは容器10の内周に固定された支持部材としての副軸受部材34bに保持され、この副軸受部材34bを利用して潤滑ポンプの一例としての容積ポンプ41が取り付けけられてクランク軸33によって圧縮機構部30とともに駆動される。容積ポンプ41は駆動されると容器10内の下部に貯留された潤滑油42を給油管43を通じ吸入して、クランク軸33の中央に軸線方向に形成した給油管43を経て旋回軸受33Bおよび主軸受34に供給しそれらを潤滑するとともに冷却する。旋回軸受33Bと主軸受34との間の高圧液溜め部に達した潤滑油42の一部は、可動側スクロール32の給油路32Gを通じて固定側スラスト面31Cと可動側スラスト面32Cとの間に供給され圧縮機構部30の摺動部を潤滑するとともにシールをする一方、可動側スクロール32の可動側鏡板32Bの外周背部の背圧室28へ絞りを経て所定の減圧を受けた後に達し、可動側スクロール32をバックアップして固定側スクロール31から離れたり転覆したりしないようにする。また、背圧室28は前記オルダムリング35の設置空間にも通じていて、オルダムリング35と可動側スクロール32および主軸受部材29との間の摺動部も潤滑する。圧縮機構部30を潤滑した潤滑油42は冷媒とともに容器10内に吐出される。以上のような潤滑油42の働きは圧縮機構部30から一旦容器10内に吐出される冷媒の吐出圧を貯留されている潤滑油42に働かせ、この吐出圧によってクランク軸33を通じて給油することによっても行える。
【0028】
以上のような構成を有し運転に振動が少なく比較的静かなスクロール式の圧縮機において、摺動し合う1組の部材は相互間に圧縮室30Aを形成する固定側スクロール31と可動側スクロール32、あるいは、可動側スクロール32とこれの自転を拘束して円軌道運動させる自転拘束手段の部材としてのオルダムリング35、の各組合せで代表される。これらの組における少なくとも1組の部材の双方がAl合金により形成されているようにすると、それらによる軽量化が図れる上、一方の摺動面にのみ形成した前記鉄メッキ膜により異種金属間の摺動構造が実現するので、同一材質どうしの間で潤滑が不足したときに生じやすい凝着の問題を回避することができる。もっとも、1組の部材の双方に鉄メッキ膜を形成して双方間の高い潤滑性、耐摩耗性、およびシール性を確保するようにもできるが、一方に設けるだけでよい分コストが低減する。
【0029】
本例では、固定側スクロール31、可動側スクロール32、およびオルダムリング35をAl合金部材としてあり、特に、図1(b)に示すように可動側スクロール32に鉄メッキ膜100が施されている。この鉄メッキ膜100の表面は固体潤滑剤と共にショットピーニングがかけられ、瞬間的に溶融・冷却された鉄メッキ膜100の表層部には固体潤滑剤が分散された再溶融処理層を形成している。鉄メッキ膜100の厚さは5〜100μm、再溶融処理層の厚さは2〜30μm、表面粗さはRmax8μm以下とすることが好ましい。この鉄メッキ膜100は、可動側スクロール32の可動側羽根部材32A、可動側鏡板32B、可動側スラスト面32C、背面32E、オルダムリング35の突起と係合する係合溝、旋回軸32Fに形成されている。つまり全面に形成されている。
【0030】
固定側羽根部材31Aと可動側羽根部材32Aとの側面は、可動側スクロール32の駆動中常に複数箇所において接触する。この接触個所は、可動側スクロール32が円軌道運動する公転にともなって移動する。これが圧縮室30Aの外周部から中央部への移動となって徐々に狭くなる。このときの容積変化によって前記した吸入、圧縮、吐出の作用が行われる。
【0031】
一方、容器10内底部にある潤滑油42は、容積ポンプ41によって給油管43から吸い上げられ、クランク軸33に設けられた給油管43を通って、旋回軸受33B、旋回軸32Fに供給され、その後可動側スクロール32に形成された給油路32Gを通って固定側スラスト面31Cと可動側スラスト面32Cに供給される。この固定側スラスト面31Cと可動側スラスト面32Cとの間に供給された潤滑油42は、冷媒とともに圧縮室30A内に吸入され、固定側羽根部材31Aや可動側羽根部材32Aに供給される。
【0032】
上記のように、原理的に低振動であるスクロール圧縮機の可動側スクロール32に鉄メッキ膜100を形成しているため、低摩擦、高耐摩耗またドライ状態での運転が可能であるが、さらに可動側羽根部材32Aに吸着された潤滑油42によって圧縮室30Aのシールが確保されるため、潤滑油42が不足になりがちな始動などの過渡運転における漏れも低減でき、圧縮機の性能を向上できる。またオルダムリング35の突起と係合する係合溝においては、潤滑油42不足になる始動などの過渡運転でも固体潤滑剤の作用で高速始動ができ、その結果立上り性能を向上できる。
【0033】
なお、上記実施例では可動側スクロール32に鉄メッキ膜100を設けたが、固定側スクロール31とオルダムリング35に鉄メッキ膜を設けても同じ作用および効果が得られる。また再溶融処理層をレーザで形成しても同じ作用および効果が得られ、レーザによる場合ではさらに表面がポーラスになり、保油性は高く、更なる低摩擦かつ高耐摩耗が期待できる。また固体潤滑剤としては、MoS2、WS2、カーボンなどがあげられる。
【0034】
図2、図3に示す例はロータリ圧縮機の場合の一例である。図2に示すように圧縮機構部50が図1の場合と同様な電動機部20と共に容器10に収容され、容器10はその吸入管11と吐出管12とが外部サイクルに接続されて密閉状態になり、メンテナンスフリーな圧縮機を構成している。なお、図1に示す場合と共通する部材などには同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0035】
圧縮機構部50は、シリンダ51と、シリンダ51内を回動するピストン52と、シリンダ51とピストン52によって形成される空間を図3に示すように圧縮空間50Aおよび吸入空間50Bに分離するベーン53と、シリンダ51およびピストン52の両端面を閉塞する図2に示すような上下軸受部材54、55と、ピストン52に駆動力を伝達するクランク軸56とを備えている。
【0036】
シリンダ51には図3に示すように、ベーン53を装着するベーン溝51Aと、冷媒を吸入する吸入孔51Bと、冷媒を吐出する吐出孔51Cを設けている。ベーン53は図3に示すように背部に配した弾性体53Aにより常にピストン52側に押圧されている。クランク軸56は図2、図3に示すようにクランク部56Aを有し、ピストン52はこのクランク部56Aの外まわりに設けられている。
【0037】
上軸受部材54には図示しないが吐出孔51Cと連通する吐出ポートを設けている。容器10の下部には、潤滑油42が貯留され、この潤滑油42は、吐出圧またはクランク軸56の下端部に設けた図示しない潤滑ポンプによって汲み上げられ、ないしは吐出圧によって圧縮機構部50の摺動部に供給される。
【0038】
上軸受部材54と下軸受部材55は、シリンダ51内にピストン52を装着した状態で、シリンダ51を上下両端から挟み込んでボルトなどによって固定されそれらを閉塞している。
【0039】
このような部品点数の少ない簡単な構造のロータリ圧縮機で、摺動し合う1組の部材は、シリンダ51と、このシリンダ51内で回動するピストン52と、これらシリンダ51およびピストン52によって形成される空間を圧縮空間50Aおよび吸入空間50Bに分離するシリンダ51側のベーン53と、シリンダ51およびピストン52の両端面を閉塞する上下軸受部材54,55と、前記ピストン52に駆動力を伝達するクランク軸56とし、ピストン52をAl合金で形成し、このピストン52に図に示すような前記鉄メッキ膜100を形成する。これによると、ピストン52の1つを鉄メッキ膜100を形成したAl合金部材とするだけで、このピストン52と摺動し合うシリンダ51、ベーン53、上下軸受部材54、55およびクランク軸56との間の全摺動部において、前記鉄メッキ膜100による異種金属どうしの摺動構造の実現と、高い潤滑性と耐摩耗性とシール性を確保し、かつ、ピストン52の疲労強度を高めることができ、しかも、偏心回転するピストンの軽量化が図れた分だけピストン52が偏心回転することに対するバランサの小型化、軽量化も同時に図れる。
【0040】
本例では特に、圧縮機構部50を構成するシリンダ51およびピストン52をAl合金で形成する。Al合金として焼結材を用いることもできる。ピストン52には鉄メッキ膜100が施され同じAl合金部材であるシリンダ51との摺動部を異種金属構造にしている。この鉄メッキ膜100の表面は固体潤滑剤と共にショットピーニングがかけられ、瞬間的に溶融・冷却された鉄メッキ膜100の表層部には固体潤滑剤が分散された再溶融処理層が形成されている。鉄メッキ膜100の厚さは5〜100μm、再溶融処理層の厚さは2〜30μm、表面粗さはRmax8μm以下とすることが好ましい。この鉄メッキ膜100は、ピストン52の外周面に形成されている。
【0041】
電動機部20によってクランク軸56が回転するのに伴いピストン52はシリンダ51内を偏心回動する。ピストン52はベーン53が当接したままで、シリンダ51内を図3の矢印の方向に回動する。この回動に伴って、吸入空間50Bは、吸入孔51Bが連通状態にある間、冷媒の吸入を続ける。そしてピストン52のシリンダ51との接触位置が、吸入孔51Bを通過したときに冷媒の吸入を終了する。その後は、圧縮空間50Aとして冷媒を圧縮する。ピストン52のシリンダ51との接触位置が吐出孔51Cに近づき、冷媒が所定圧まで圧縮される時点で、圧縮空間50A内の冷媒を吐出孔51Cから容器10内に吐出する。
【0042】
一方、容器10内の下部にある潤滑油42は吐出圧またはクランク軸56の回転に伴う潤滑ポンプの働きによって吸い上げられ、クランク軸56に設けられた給油路を通じ上下軸受部材54、55やピストン52の摺動面に供給される。圧縮空間50Aや吸入空間50Bに供給された潤滑油42は、冷媒とともに容器10内に吐出される。
【0043】
このように、スクロール圧縮機に比べ部品点数が少なくて低価格であるロータリ圧縮機において、Al合金部材としたピストン52の外周面に鉄メッキが形成されているため、低摩擦、高耐摩耗またドライ状態での運転が可能であるが、さらにピストン52がAl合金で軽量であるためその偏心回転に対応するためロータ22に設けるバランスウェイトを小型化、軽量化ができ、その結果、さらに高速での運転が可能となり、能力制御幅を拡大できる。
【0044】
なお、上記実施例ではピストン52の外周面のみに鉄メッキ膜100を設けたが、表面全体に鉄メッキ膜100を設けてもシリンダ51以外の部材との摺動部を含め同じ作用および効果が得られるし、ピストン52の疲労強度の向上に有効である。また再溶融処理層をレーザで形成しても同じ作用および効果が得られる。ただし、レーザでは表面がポーラスになり、保油性が高く、さらなる低摩擦かつ高耐摩耗が期待できる。また固体潤滑剤としては、MoS2、WS2、カーボンなどがあげられる。
【0045】
図4、図5に示す例は開放型でベーン型のロータリ圧縮機の場合の一例であり、図に示すように圧縮機構部60は、シリンダ57と、ロータ58と、ベーン59と、前部側板61aと、後部側板61と、駆動軸62で構成されている。シリンダ57は内周面を摺接面とした筒状に形成されている。このシリンダ57は前部側板61aと後部側板61との間にボルトで固定されている。
【0046】
駆動軸62の両端は前部側板61aの軸受63と後部側板61の軸受63Aによって支持されている。この駆動軸62の中間部分には円柱状のロータ58が取り付けられている。ロータ58にはベーン溝64が形成され、ベーン溝64にはベーン59が摺動自在に収納されている。背圧室65に供給される潤滑油42の油圧によってベーン59はベーン溝64から突出する方向に付勢されている。そして、ベーン59の先端はシリンダ57の内周面に摺接しながらロータ58とともに回転し、隣り合うベーン59の間に吸入室66と圧縮室67が形成される。吸入室66は、シリンダ57に設けられた吸入口68に通じ、圧縮室67はシリンダ57に設けられた吐出口69に通じている。吐出口69はリアケース61bに通じ、高圧となっているリアケース61b内の下部には潤滑油42が貯留され、例えば吐出圧によって圧縮機構部60の摺動部と前記背圧室65に供給される。
【0047】
本例では、シリンダ57、前部側板60、後部側板61およびベーン59をAl合金としてある。Al合金として焼結材を用いることもできる。シリンダ57の内周には図に実線で示すように鉄メッキ膜100が施されている。この鉄メッキ膜100の表面は固体潤滑剤と共にショットピーニングがかけられ、瞬間的に溶融・冷却された鉄メッキ膜100の表層部には固体潤滑剤が分散された再溶融処理層が形成されている。鉄メッキ膜100の厚さは5〜100μm、再溶融処理層の厚さは2〜30μm、表面粗さはRmax8μm以下とすることが好ましい。この鉄メッキ膜100は、シリンダ57の内周面に形成されている。
【0048】
本例のロータリ圧縮機は例えば、エンジンからベルトを介して駆動軸62に動力が伝達されロータ58が回転する。この回転による遠心力と背圧室65の油圧によってベーン59はベーン溝64から突出し、ベーン59の先端はシリンダ57の内周面に摺接しながらロータ58とともに回転する。ロータ58の回転に伴って、冷媒を吸入口68から吸入室66に吸入し、その後圧縮室67で圧縮して吐出口69、リアケース61bを経て外部に吐出する。一方、潤滑油42はその一部がシリンダ57に供給され、前部側板60、後部側板61とロータ58との隙間やシリンダ57内周面の潤滑を行う。
【0049】
以上のように、シリンダ57の内周面に鉄メッキが形成されているため、低摩擦、高耐摩耗またドライ状態での運転が可能であるが、さらにヤング率が大きくなるので疲労強度は高くなる。その結果、Al合金のみの場合に比べより高負荷での運転が可能となり、運転可能な最大負荷をさらに大きくできる。そこで、鉄メッキ膜100は図に仮想線で示すように内外周面双方、あるいは全面に設けるほど疲労強度を高められる。全面ではメッキ操作が簡単な浸漬方式でよくなる。
【0050】
なお、再溶融処理層をレーザで形成しても同じ作用および効果が得られる。ただし、レーザでは表面がポーラスになり、保油性が高く、更なる低摩擦かつ高耐摩耗が期待できる。また固体潤滑剤としては、MoS2、WS2、カーボンなどがあげられる。
【0051】
図6に示す例はリニアモータを利用したレシプロ式のリニア圧縮機の場合の一例である。図に示すように、容器10内にシリンダ71、ピストン72、リニアモータ73、バネ機構部83を収容している。容器10は吸入管11と吐出管12とにより外部サイクルと接続されて密閉状態になる。
【0052】
リニアモータ73はアウターヨーク74に埋設されるステータ75と、ステータ75と相対向する内側に配置されインナーヨーク76に固持されるマグネット77とで構成されている。シリンダ71はピストン72を摺動自在に嵌め合わせ支持するシリンダ孔71Aとフランジ部71Bを有し、フランジ部71Bにはアウターヨーク74が連結されている。
【0053】
一方、ピストン72はその前端側の開口部72Aに自身の進退に伴い開閉するように保持した吸入バルブ78を持ち、後端のフランジ部72Bにはインナーヨーク76が連結されている。なお、インナーヨーク76はシリンダ71の外周に摺動可能に支持され、前記したようにマグネット77を固持している。また、ピストン72は冷媒を導入するための吸入孔79を有している。シリンダ71の前面側は、吐出バルブ支持体80により閉止され、ピストン72の前端面との間に圧縮室81を形成している。また、吐出バルブ支持体80内の中心部には、吐出バルブ(図示せず)が収納されている。また吐出バルブ支持体80は、消音室を形成するマフラ82を介して螺旋状の吐出管12に接続されている。
【0054】
アウターヨーク74およびピストン72の後端側にはバネ機構部83の共振バネ84が固定されている。この共振バネ84は支持バネ85を介して容器10に保持されている。また、容器10の前側に保持される支持バネ85Aはマフラ82を保持している。容器10の下部には、潤滑油42が貯留されている。
【0055】
本例ではシリンダ71およびピストン72をAl合金で形成してある。Al合金として焼結材を用いることもできる。ピストン72の外周面には鉄メッキ膜100が施されている。この鉄メッキ膜100の表面は固体潤滑剤と共にショットピーニングがかけられ、瞬間的に溶融・冷却された鉄メッキ膜100の表層部には固体潤滑剤が分散された再溶融処理層が形成されている。鉄メッキ膜100の厚さは5〜100μm、再溶融処理層の厚さは2〜30μm、表面粗さはRmax8μm以下とすることが好ましい。
【0056】
リニアモータ73のステータ75に通電することによってマグネット77との間に渦流電流が流れる。この結果、ピストン72が吐出管12側と反対の方向に移動する(すなわち、後退する)。このため、吸入孔79から導入された冷媒が吸入バルブ72Aを開放し、圧縮室81内に吸入される。なお、ピストン72の後退により共振バネ84や支持バネ85がチャージされてエネルギーが蓄積される。
【0057】
この状態でステータ75の通電を停止すると、共振バネ84等に蓄積されたエネルギーが放出され、ピストン72が吐出管12の方向に移動する(すなわち、前進する)。これにより、吸入バルブ78が閉止し、圧縮室81内の冷媒が圧縮される。そして圧縮された冷媒は、吐出バルブ支持体80の中央部に設けられている吐出バルブを押し開き、マフラ82内に吐出されて消音され、螺旋状の吐出管12内を流れ外部サイクルに供給される。一方、潤滑油42は共振バネ84および支持バネ85の攪拌作用により飛散して冷媒とともに圧縮機構部70におけるシリンダ71およびピストン72の摺動部に搬送され、摺動部を潤滑する。
【0058】
以上のように、リニアモータ73の内部に圧縮機構部70が収納されているので超小型となるリニア圧縮機において、ピストン72には鉄メッキが形成され、低摩擦、高耐摩耗またドライでの運転が可能である。さらに始動時や停止時に発生するピストン72とシリンダ71との片当りによる摩耗や焼付きを防止できるため、必要な潤滑油量を減らすことができ、少潤滑油量が可能である。
【0059】
なお、上記実施例ではピストン72の外周面のみに鉄メッキ膜100を設けたが、表面全体に鉄メッキ膜100を設けても同じ作用および効果が得られ、疲労強度を高めるのに好適となり、メッキ操作が簡単な浸漬方式でよくなる。また再溶融処理層をレーザで形成しても同じ作用および効果が得られる。ただし、レーザでは表面がポーラスになり、保油性が高く、更なる低摩擦かつ高耐摩耗が期待できる。また固体潤滑剤としては、MoS2、WS2、カーボンなどがあげられる。
【0060】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、塩素を含まない代替冷媒又はCO2を用いるのでオゾン層を破壊しない。また、これに相溶な潤滑油に用いるので、それ自体が供給されることによる潤滑に加え、冷媒によって持ち運ばれることによる潤滑も行える。特に、摺動し合いかつ冷媒に触れる少なくとも1組の部材の少なくとも1つをAl合金で形成して、Al合金化した部材数に比例した軽量化が図れる上、Al合金部材の少なくとも1つの摺動面にて、アルマイト処理層のように脆くない安定な鉄メッキ膜による低摩擦係数化と優れた油吸着性による高潤滑性とを確保し、この摺動面が臨む摺動部での耐摩耗性を長期に高められるのに併せ、前記鉄メッキ膜がAl合金部材の疲労強度をも長期に高められるので、長寿命化が図れる。また、前記高潤滑性は高シール性をも発揮するので高い圧縮性能が長期に安定して得られる。
【0061】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に加え、さらに、鉄メッキ膜の表面に再溶融処理層を設けているものであり、耐摩耗性をさらに向上できる。
【0062】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明に加え、さらに、再溶融処理層に固体潤滑剤を分散しているものであり、ドライ運転ができる。
【0063】
請求項4または5記載の発明によれば、請求項1〜3記載の発明のいずれか1つに加え、さらに、スクロール圧縮機の1組の部材である固定側スクロールと可動側スクロール、またはおよび可動側スクロールと自転拘束手段の部材、の組における双方をAl合金部材としてさらなる軽量化を図りながら、その一方の摺動面にのみ前記鉄メッキ膜を形成することによって異種金属間の摺動構造が実現し、同一材質どうしの間で潤滑が不足したときに生じやすい凝着の問題を回避することができ、潤滑油不足になる始動などの過渡運転でも高速始動ができ、その結果立上り性能を向上できる。
【0064】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜3記載の発明のいずれか1つに加え、さらに、部品点数が少なく簡単な構造のロータリ圧縮機におけるピストン1つを鉄メッキ膜を形成したAl合金部材とするだけで、このピストンと摺動し合うシリンダ、ベーン、上下軸受部材およびクランク軸との間の全摺動部において、異種金属どうしの摺動構造の実現と、前記鉄メッキ膜による高い潤滑性と耐摩耗性とシール性を確保し、かつ、ピストンの疲労強度を高めることができ、しかも、偏心回転するピストンの軽量化が図れた分だけピストンが偏心回転することに対するバランサの小型化、軽量化も同時に図ることができ、この結果、さらに高速での運転が可能となり、能力制御幅を拡大できる。
【0065】
請求項7記載の発明によれば、部品点数が少なく簡単な構造のベーン型のロータリ圧縮機におけるロータが偏心回転しないことを利用し、他の部材をAl合金部材として大幅な軽量化を図りながら、シリンダのみの摺動面に鉄メッキ膜を設けるだけで、摺動の激しいシリンダとロータおよびベーンとの間で鉄メッキ膜による高い潤滑性、耐摩耗性およびシール性を確保し、かつ圧力容器となるシリンダの疲労強度を高めて運転可能な最大負荷をさらに大きくすることができる。
【0066】
請求項8記載の発明によれば、請求項1〜3記載の発明のいずれか1つにおいて、さらに、リニア圧縮機のシリンダとピストンをAl合金部材として双方で軽量化を図りながら、レスプロ式の圧縮機の場合、通常、始動時や停止時のピストンとシリンダとの片当たりが摩耗や焼付きの原因になりやすく潤滑油量を多く設定するところを、ピストンとシリンダとの少なくとも一方に形成した鉄メッキ膜により高い潤滑性、耐摩耗性およびシール性を得て始動時および停止時のための必要潤滑油量を少なく抑えられる。しかも、圧力容器となるシリンダ側に鉄メッキ膜を形成して疲労強度を高めると、運転可能な最大負荷をさらに大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機の場合の例を示し、(a)は全体の断面図、(b)は固定側、可動側各スクロールの一部拡大断面図。
【図2】 本発明の実施の形態に係るロータリ圧縮機の場合の例を示す断面図。
【図3】 図2の圧縮機における圧縮機構部の断面図。
【図4】 本発明の実施の形態に係るベーン型のロータリ圧縮機の場合の例を示す断面図。
【図5】 図4の圧縮機における圧縮機構部の断面図。
【図6】 本発明の実施の形態に係るリニア圧縮機の場合の例を示す断面図。
【図7】 従来のレシプロ圧縮機の場合の例を示す断面図。
【符号の説明】
10 容器
20 電動機部
30、50、60、70 圧縮機構部
31 固定側スクロール
32 可動側スクロール
33 クランク軸
35 オルダムリング
42 潤滑油
51 シリンダ
52 ピストン
53 ベーン
54 上軸受部材
55 下軸受部材
56 クランク軸
57 シリンダ
58 ロータ
59 ベーン
60 前部側板
61 後部側板
62 駆動軸
71 シリンダ
72 ピストン
73 リニアモータ
83 バネ機構部
84 共振バネ
85 支持バネ
100 鉄メッキ膜

Claims (8)

  1. 冷媒としてHFC系冷媒、HC系冷媒又はCO2を用い、圧縮機構部の潤滑油としてエステル油、エーテル油、PAG油、カーボネイト油、アルキルベンゼン油、ナフテン系鉱油又はパラフィン系鉱油を用いる圧縮機であって、圧縮機構部の摺動し合う少なくとも1組の部材の少なくとも1つをAl合金で形成し、Al合金よりなる少なくとも1つの部材の摺動面に鉄メッキ膜を形成していることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記鉄メッキ膜の表面に再溶融処理層を設けていることを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
  3. 前記再溶融処理層に固体潤滑剤が分散していることを特徴とする請求項2記載の圧縮機。
  4. 1組の部材は、スクロール圧縮機において、相互間に圧縮室を形成する固定側スクロールと可動側スクロールとであり、双方がAl合金により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  5. 1組の部材は、スクロール圧縮機において、固定側スクロールとの間に圧縮室を形成する可動側スクロールとこれを自転を拘束して円軌道運動させる自転拘束手段の部材であり、双方がAl合金により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  6. 1組の部材は、ロータリ圧縮機におけるシリンダと、このシリンダ内で回動するピストンと、これらシリンダおよびピストンによって形成される空間を圧縮空間および吸入空間に分離するシリンダ側のベーンと、シリンダおよびピストンの両端面を閉塞する上下軸受部材と、前記ピストンに駆動力を伝達するクランク軸とであり、ピストンがAl合金で形成され、このピストンに前記鉄メッキ膜を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  7. 1組の部材は、ベーン型のロータリ圧縮機における、シリンダと、このシリンダの内部に配設されたロータと、このロータを軸支し前記シリンダの前後両端を閉塞する前部側板および後部側板と、前記ロータに形成されたベーン溝内に摺動自在に収容されたベーンとであり、前記シリンダ、前部側板、後部側板およびベーンをAl合金で形成し、シリンダに前記鉄メッキ膜を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  8. 1組の部材は、リニア圧縮機における、シリンダと、このシリンダにその軸線方向に沿って摺動自在に支持されるピストンとであり、これらシリンダおよびピストンをAl合金で形成し、その少なくとも一方に前記鉄メッキ膜を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧縮機。
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