JP5574787B2 - 樹脂組成物及びその製造方法、成型体、フィルム、光学用フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板 - Google Patents

樹脂組成物及びその製造方法、成型体、フィルム、光学用フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板 Download PDF

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Description

本発明は、透明性等の光学特性に優れ、且つ外観欠陥の少ないフィルム及びその為の樹脂組成物及びその製造方法に関する。
近年、電子機器はますます小型化し、ノートパソコン、携帯電話、携帯情報端末に代表されるように、軽量・コンパクトという特徴を生かした液晶表示装置が多く用いられるようになってきている。これら液晶表示装置は、偏光フィルムに始まり、その表示品位を保つ為に各種フィルムが用いられている。又、携帯情報端末や携帯電話向けに液晶表示装置を更に軽量化する目的で、ガラス基板の代わりに樹脂フィルムを用いたプラスチック液晶表示装置も実用化されている。
液晶表示装置のように偏光を取り扱う場合、用いる樹脂フィルムは光学的に透明である事の他に、光学的に均質である事、着色や変色が少ない事、点状或いはスジ状等の外観欠陥が少ない事が求められる。又、ガラス基板を樹脂フィルムに代えたプラスチック液晶表示装置用のフィルム基板の場合等のように、複屈折と厚みの積で表される位相差が小さい事が要求されることもある。更に、外部の応力等によりフィルムの位相差が変化しにくい事が要求されることもある。
また、液晶表示装置と同様に、カメラ、フィルム一体型カメラ、ビデオカメラ等の各種撮影装置、CDやDVD等の光ピックアップ装置、プロジェクター等のOA機器等に使用される従来ガラスが用いられていたレンズも、軽量化を目的とした樹脂への置き換えが進んでいる。このようなプラスチックレンズは、温度や湿気等の使用環境による歪みによる焦点距離のズレの発生や射出成形等の加工時の応力発生等による位相差の影響を受けやすいため、外部応力により位相差が変化しにくい事がフィルムと同様に要求されている。
これらを満足させる樹脂組成物として、例えば特許文献1では、ラクトン環構造を有する樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2では、マレイミド構造を有する樹脂組成物が開示されている。しかし、これらの樹脂組成物をもってしても、光学特性、外観欠陥について、近年ますます高まる市場の要求に応えることが困難になってきた。上記ラクトン環構造を有する樹脂組成物やマレイミド構造を有する樹脂組成物とは構造を異にするグルタルイミド構造を有する樹脂が特許文献3及び4に開示されている。
特開2006−96960号公報 特開2007−31537号公報 WO2005/108438号公報 WO2005/054311号公報
ところで、特許文献1及び特許文献2で得られる樹脂組成物は、その樹脂の性質から光学特性及び外観欠陥について、市場要求に応えることが困難であった。また、特許文献3には、市販のポリメチルメタクリレートをイミド化し、グルタルイミド構造単位とメチルメタクリレート構造単位を有する位相差が0に近いフィルムが開示されている。しかしながら、アクリル酸メチルを共重合した市販のポリメチルメタクリレートをイミド化すると、フィルム化の際に、異物が見られる場合があった。そのため、得られたイミド樹脂を光学用途で使用するには、改善の余地があった。また、特許文献4にはスチレンを必須成分とするグルタルイミド構造を有する樹脂組成物が開示されているが、スチレン樹脂を多量に含有するため耐溶剤性やコストなどの面で改善の余地があった。本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、外観や光学特性に優れた光学用成形体、特にフィルム及びそのようなフィルムを製造する為の樹脂組成物を提供する事を目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の樹脂組成物によれば、成形体等に好適な外観に優れた成形体、特にフィルムを提供できることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は以下に関する。
(i)下記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位とを含有するイミド樹脂の製造方法であって、アクリル酸エステル単位が1重量%未満であるポリメタクリル酸メチル樹脂を加熱溶融し、ポリメタクリル酸メチル樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部のイミド化剤で処理する工程を含むことを特徴とするイミド樹脂の製造方法。
Figure 0005574787
(ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
(ii)イミド化剤がモノメチルアミンであることを特徴とする(i)記載の製造方法。
(iii)ポリメタクリル酸メチル樹脂100重量部に対して0〜12重量部のエステル化剤で処理する工程をさらに含むことを特徴とする(i)または(ii)記載の製造方法。
(iv)エステル化剤がジメチルカーボネートを含むことを特徴とする(i)〜(iii)記載の製造方法。
(v)下記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位とを含有するイミド樹脂であり、イミド化率が2.5〜5.0%、酸価が0.1〜0.6mmol/gの範囲であり、かつ、アクリル酸エステル単位が1重量%未満であることを特徴とする樹脂組成物。
Figure 0005574787
(ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
(vi)(v)に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする光学用フィルム。
(vii)延伸されたフィルムであることを特徴とする(vi)に記載の光学用フィルム。
(viii)厚さ40μmあたりの波長589nmにおける面内位相差が10nm以下であり、厚み方向位相差が20nm以下であることを特徴とする(vi)または(vii)に記載の光学用フィルム。
(ix)(vi)〜(viii)のいずれか1項に記載の光学用フィルムを用いてなることを特徴とする偏光子保護フィルム。
(x)(ix)に記載の偏光子保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
本発明によれば、外観や光学特性に優れた光学用成形体、特にフィルムを提供することが可能となり、極めて有用である。
本発明の一実施形態について以下、説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の製造方法は、下記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位とを含有するイミド樹脂の製造方法であって、アクリル酸エステル単位が1重量%未満であるポリメタクリル酸メチル樹脂を加熱溶融し、ポリメタクリル酸メチル樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部のイミド化剤で処理する工程を含むことを特徴とする。
Figure 0005574787
ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。
R1としてはメチル基、R2としては水素、R3としてはメチル基が好ましい。
(ポリメタクリル酸メチル樹脂)
まず、メタクリル酸メチルを重合させることにより、ポリメタクリル酸メチル樹脂を製造する。
この工程において、メタクリル酸メチル以外にも、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなども併用しても良いが、これらを併用する場合はアクリル酸エステル単位が1重量%未満である。アクリル酸メチル単位が0.5重量%未満であることがより好ましく、0.3重量%未満であることがさらに好ましい。
また上記モノマー以外にも、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合することも可能である。
上記ポリメタクリル酸メチル樹脂の構造は、特に限定されるものではなく、リニアー(線状)ポリマー、ブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、および架橋ポリマー等のいずれであってもよい。
ブロックポリマーの場合、A−B型、A−B−C型、A−B−A型、およびこれら以外のタイプのブロックポリマーのいずれであってもよい。コアシェルポリマーの場合、ただ一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであってもよいし、それぞれが多層からなるものであってもよい。
ポリメタクリル酸メチル樹脂の製造方法としては特に限定されず、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法などが適用可能であるが、光学分野に用いる場合、不純物が少ないとの観点から、塊状重合法、溶液重合法が特に好ましい。例えば、特開昭56−8404、特公平6−86492、特公平7−37482、あるいは特公昭52−32665などに記載の方法に準じて製造できる。
(イミド化工程)
本発明の製造方法は、上記ポリメタクリル酸メチル樹脂を加熱溶融して、イミド化剤で処理する工程(イミド化工程)を含む。これによりイミド樹脂が製造できる。
上記イミド化剤は、上記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位を生成できるものであれば特に制限されず、WO2005/054311記載のもの等が挙げられる。具体的には、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有アミン、アニリン、ベンジルアミン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有アミン、シクロヘキシルアミン等などの脂環式炭化水素基含有アミンを挙げることができる。
また、尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素のように、加熱により、上記例示したアミンを発生する尿素系化合物を用いることもできる。
上記例示したイミド化剤のうち、コスト、物性の面からメチルアミン、アンモニア、シクロヘキシルアミンを用いることが好ましく、メチルアミンを用いることが特に好ましい。
また、常温にてガス状のメチルアミンなどは、メタノールなどのアルコール類に溶解させた状態で使用してもよい。
このイミド化の工程において、上記イミド化剤の添加割合を調整することにより、得られるグルタルイミド系樹脂におけるグルタルイミド単位および(メタ)アクリル酸エステル単位の割合を調整することができる。
また、イミド化の程度を調整することにより、得られるグルタルイミド系樹脂の物性や、本発明にかかるアクリル系樹脂を成形してなる光学用フィルムの光学特性等を調整することができる。
イミド化剤はポリメタクリル酸メチル樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましく、0.5〜6重量部であることがより好ましい。イミド化剤の添加量が上記範囲を超えると、樹脂中にイミド化剤が残存し、成型後の外観欠陥や発泡を誘発することがある。また、イミド化剤の添加量が上記範囲を下回ると、最終的に得られる樹脂組成物のイミド化率が低くなるためその耐熱性が著しく低下し、成型後の外観欠陥を誘発することがある。
なお、このイミド化の工程においては、上記イミド化剤に加えて、必要に応じて、閉環促進剤(触媒)を添加してもよい。
加熱溶融し、イミド化剤と処理する方法は、特に限定されなく、従来公知のあらゆる方法を用いることができる。例えば、押出機や、バッチ式反応槽(圧力容器)等を用いる方法により、上記ポリメタクリル酸メチル樹脂をイミド化することができる。
押出機を用いて加熱溶融し、イミド化剤と処理する場合、用いる押出機は特に限定されるものではなく、各種押出機を用いることができる。具体的には、例えば、単軸押出機、二軸押出機または多軸押出機等を用いることができる。
中でも、二軸押出機を用いることが好ましい。二軸押出機によれば、ポリメタクリル酸メチル樹脂に対するイミド化剤(閉環促進剤を用いる場合は、イミド化剤と閉環促進剤)の混合を促進することができる。
二軸押出機としては、非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、および噛合い型異方向回転式等を挙げることができる。中でも、噛合い型同方向回転式を用いることが好ましい。噛合い型同方向回転式の二軸押出機は、高速回転可能であるため、原料ポリマーに対するイミド化剤(閉環促進剤を用いる場合は、イミド化剤と閉環促進剤)の混合を、より一層促進することができる。
上記例示した押出機は単独で用いてもよいし、複数を直列につないで用いてもよい。例えば、特開2008−273140に記載のタンデム型反応押出機を用いることができる。
押出機中でイミド化を行う場合は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂を押出機の原料投入部から投入し、該樹脂を溶融させ、シリンダ内を充満させた後、添加ポンプを用いてイミド化剤を押出機中に注入することにより、押出機中でイミド化反応を進行させることができる。
この場合、押出機中での反応ゾーンの温度(樹脂温度)を180℃〜270℃にて行うことが好ましく、さらに200〜250℃にて行うことがより好ましい。反応ゾーンの温度(樹脂温度)が180℃未満では、イミド化反応がほとんど進行せず、耐熱性が低下する傾向にある。反応ゾーン温度が270℃を超えると、樹脂の分解が著しくなることから、得られるイミド化樹脂から形成しうるフィルムの耐折曲性が低下する傾向がある。ここで、押出機中での反応ゾーンとは、押出機のシリンダにおいて、イミド化剤の注入位置から樹脂吐出口(ダイス部)までの間の領域をいう。
押出機の反応ゾーン内での反応時間を長くすることにより、イミド化をより進行させることができる。押出機の反応ゾーン内の反応時間は10秒より長くするのが好ましく、さらには30秒より長くするのがより好ましい。10秒以下の反応時間ではイミド化がほとんど進行しない可能性がある。
押出機での樹脂圧力は、大気圧〜50MPaの範囲内とすることが好ましく、さらには1MPa〜30MPaの範囲内が好ましい。1MPa未満ではイミド化剤の溶解性が低く、反応の進行が抑えられる傾向がある。また、50MPa以上では通常の押出機の機械耐圧の限界を越えてしまい、特殊な装置が必要となりコスト的に好ましくない。
また、押出機を使用する場合は、未反応のイミド化剤や副生物を除去するために、大気圧以下に減圧可能なベント孔を装着することが好ましい。このような構成によれば、未反応のイミド化剤、もしくはメタノール等の副生物やモノマー類を除去することができる。
また、上記イミド樹脂の製造には、押出機に代えて、例えば住友重機械(株)製のバイボラックのような横型二軸反応装置やスーパーブレンドのような竪型二軸攪拌槽などの高粘度対応の反応装置も好適に用いることができる。
上記イミド樹脂を、バッチ式反応槽(圧力容器)を用いて製造する場合、そのバッチ式反応槽(圧力容器)の構造は特に限定されるものでない。
具体的には、ポリメタクリル酸メチル樹脂を加熱により溶融させ、攪拌することができ、イミド化剤(閉環促進剤を用いる場合は、イミド化剤と閉環促進剤)を添加することができる構造を有していればよいが、攪拌効率が良好な構造を有するものであることが好ましい。
このようなバッチ式反応槽(圧力容器)によれば、反応の進行によりポリマー粘度が上昇し、撹拌が不十分となることを防止することができる。このような構造を有するバッチ式反応槽(圧力容器)としては、例えば、住友重機械(株)製の攪拌槽マックスブレンド等を挙げることができる。
イミド化方法の具体例としては、例えば、特開2008−273140、特開2008−274187記載の方法など公知の方法をあげることができる。(エステル化工程)
本発明の製造方法では、上記イミド化工程に加え、エステル化剤で処理する工程を含むことができる。このエステル化工程によって、イミド化工程で得られたイミド化樹脂の酸価を所望の範囲内に調整することができる。
エステル化剤としては、例えば、ジメチルカーボネート、2,2−ジメトキシプロパン、ジメチルスルホキシド、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトアセテート、トリメチルオルトホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルサルフェート、メチルトルエンスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、メチルアセテート、メタノール、エタノール、メチルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ジメチルカルボジイミド、ジメチル−t−ブチルシリルクロライド、イソプロペニルアセテート、ジメチルウレア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジエトキシシラン、テトラ−N−ブトキシシラン、ジメチル(トリメチルシラン)フォスファイト、トリメチルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジアゾメタン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、コスト、反応性などの観点から、ジメチルカーボネート、トリメチルオルトアセテートが好ましく、コストの観点からジメチルカーボネートが好ましい。
このイミド化の工程において、エステル化剤はポリメタクリル酸メチル樹脂100重量部に対して0〜12重量部であることが好ましく、0〜8重量部であることがより好ましい。
エステル化剤が上記範囲内であれば酸価を適切な範囲に調整できる。一方上記範囲を外れると未反応のエステル化剤が樹脂中に残存する可能性があり、当該樹脂を使って成型を行った際、発泡や臭気発生の原因となることがある。
上記エステル化剤に加え、触媒を併用することもできる。触媒の種類は特に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族3級アミンが挙げられる。これらの中でもコスト、反応性などの観点からトリエチルアミンが好ましい。
このエステル化工程では、エステル化剤によって処理することなく、加熱処理等のみを行うこともできる。加熱処理(押出機内での溶融樹脂の混練/分散)のみを行った場合、イミド化工程にて副生したイミド樹脂中のカルボン酸同士の脱水反応および/またはカルボン酸とアルキルエステル基の脱アルコール反応、等によりカルボン酸の一部または全部を酸無水物基とすることができる。このとき、閉環促進剤(触媒)を使用することも可能である。
エステル化剤によって処理する場合であっても、加熱処理による酸無水物基化が進行させることも可能である。
(脱揮工程、フィルトレーション工程)
イミド化工程およびエステル化工程を経たイミド樹脂中には、未反応のイミド化剤や、未反応のエステル化剤、反応により副生した揮発成分および樹脂分解物等を含んでいるため、大気圧以下に減圧可能なベント口を装着することが可能である。
また、イミド樹脂が光学用途に使用される場合、樹脂中の異物低減を目的として、押出機の最後にフィルターを設置することも可能である。フィルターの前にはイミド樹脂を昇圧するためにギアポンプを設置した方が好ましい。フィルターの種類としては、溶融ポリマーからの異物除去が可能なステンレス製のリーフディスクフィルターを使用するのが好ましく、フィルターエレメントとしてはファイバータイプ、パウダータイプ、あるいはそれらの複合タイプを使用するのが好ましい。
(イミド樹脂) 本発明のイミド樹脂は、下記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位とを含有するイミド樹脂であり、イミド化率が2.5〜5.0%、酸価が0.1〜0.6mmol/gの範囲であり、かつ、アクリル酸エステル単位が1重量%未満であることを特徴とする。
Figure 0005574787
(ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
(イミド化率)
本発明に係るイミド化率は、2.5〜5.0%の範囲であることが必須である。イミド化率は、樹脂中のグルタルイミド基の割合を示し、大きい程、分子中にグルタルイミド基が多いことを示す。グルタルイミド基は、それ自身正の固有複屈折を与える作用を有しているため、当該範囲に設定することで、樹脂組成物ならびに当該組成物を成形して得た成形品の複屈折性を抑制することができ、本発明の樹脂組成物から形成した樹脂成形品(例えば、樹脂フィルム)の光学部材としての使用用途が拡大する。
本発明に係るイミド化率(I%)は、例えば以下の方法で測定できる値である。1H−NMR BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂の1H−NMR測定を行う。3.5から3.8ppm付近のメタクリル酸メチルのO−CH3プロトン由来のピークの面積Aと、3.0から3.3ppm付近のグルタルイミドのN−CH3プロトン由来のピークの面積Bより、次式で求める。
I%=B/(A+B)×100
上記イミド化率は、2.5〜5.0%とすることが好ましく、2.5%〜4.5%とすることがさらに好ましく、3.0%〜4.5%とすることが特に好ましい。
イミド化率が上記範囲内であれば、得られるイミド樹脂の耐熱性および透明性が低下したり、成形加工性、およびフィルムに加工したときの機械的強度が低下したりすることがない。
一方、イミド化率が上記範囲より少ないと、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりする傾向がある。また、上記範囲よりも多いと、不必要に耐熱性および溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなったり、フィルム加工時の機械的強度が極端に脆くなったり、透明性が損なわれたりする傾向がある。
(酸価) 本発明のイミド樹脂の酸価は、イミド樹脂中でのカルボン酸単位および酸無水物単位の含有量を表す。酸価は、例えばWO2005−054311に記載の滴定法などにより算出することが可能である。本発明に係る樹脂組成物の酸価は0.10〜0.60mmol/gであり、0.15〜0.50mmol/gであることがより好ましい。酸価が上記範囲内であれば、耐熱性、機械物性、成形加工性のバランスに優れたイミド樹脂を得ることができる。酸価が上記範囲よりも大きい場合、得られた樹脂組成物を成型した際に、発泡やゲル状物の外観欠陥が多数発生することがあるため好ましくない。発泡は、分子内で隣接するカルボン酸同士の無水物化の際に発生する水の影響と思われる。またゲル状物は、分子間のカルボン酸同士での水素結合による擬似架橋により形成されると思われる。酸価が上記範囲よりも小さい場合、当該酸価に調整するための変性剤をより多く費やす必要があるため、コストアップになったり、変性剤の残存によるゲル状物の発生を誘発することがあるため好ましくない。
上述の通り、特に酸成分の中でもカルボン酸の存在により、成型体に発泡が起こったりゲル状物が形成されたりと好ましくない。このカルボン酸の含有量は0.25mmol/g以下が好ましく、さらには0.20mmol/g以下が好ましい。カルボン酸含有量が0.25mmol/g以下であっても、酸価(カルボン酸+酸無水物)が0.60mmol/gを超える、すなわち酸無水物量が多くなることにより、樹脂の溶融粘度が高くなり成型加工性が不利になるため好ましくない。
カルボン酸量の測定方法は、WO2005−054311に記載の滴定法の溶媒をメタノールからジメチルスルホキシドに変えた酸価(DMSO酸価)を用いることにより算出できる。具体的には
(カルボン酸量)=2×(酸価)−(DMSO酸価)
である。メタノールを用いた滴定では酸無水物を1分子をカウントするのに対して、ジメチルスルホキシドを用いた滴定では酸無水物を2分子としてカウントするため、上記式が適用できる。
(アクリル酸エステル単位)
本発明のグルタルイミド樹脂に含まれるアクリル酸エステル単位は1重量%未満である。0.5重量%未満であることがさらに好ましく、0.3重量%未満であることが特に好ましい。下限は特に限定されず、少なければ少ない方が好ましく、含有されていないことがより好ましい。
アクリル酸エステル単位が上記範囲内であれば、イミド樹脂は熱安定性に優れたものになるが、上記範囲を超えると熱安定性が悪くなり、樹脂製造時あるいは成形加工時に樹脂の分子量や粘度が低下して物性が悪化する傾向がある。
本発明のグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位を含有する樹脂組成物中のアクリル酸エステル単位の定量方法は、特に制限されないが、原料であるポリメタクリル酸メチル中のアクリル酸エステル単位の重量比とイミド化率から算出してもよい。即ち、イミド化率をI%、原料中のアクリル酸エステル単位の量をm%として、下記の数式(1)〜(3)より、一般式(1)で表される単位のモル%(Amol%)、メタアクリル酸アルキルエステル単量体単位(Bmol%)、アクリル酸エステル単位のモル%(Cmol%)を算出する。一般式(1)で表される単位の分子量をa g/mol、メタアクリル酸アルキルエステル単量体単位の分子量をb g/mol、アクリル酸エステル単位の分子量をc g/molとして、下記数式(4)より算出する。
A=I ・・・(1)
B=(100−I)×(100−m)/100・・・(2)
C=100−A−B・・・(3)
(生成物のアクリル酸エステル含量)=(100×C×c)/(A×a+B×b+C×c)・・・(4)
また、言うまでもなく、原料中にアクリル酸エステルが0%の場合は、生成物のアクリル酸エステル含量も0となる。
ポリメタクリル酸メチル中のアクリル酸エステル単位の含量は、ガスクロマトグラフィーなどで定量できるが、定量方法は特に限定されない。
また本発明のグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位を含有するイミド樹脂を製造する際に、例えば特開2008−255175のように、モノマー種やモノマー比を調整し重合した原料樹脂を加熱環化させる場合は、モノマー仕込み時のメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの重量比で代用してもよい。言うまでもなくアクリル酸メチルを使用しない場合はイミド樹脂中のアクリル酸メチル量は0%となる。
上記イミド樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、メタクリル酸メチル単位、カルボン酸もしくはカルボン酸無水物単位、アクリル酸エステル単位以外のその他の単位がさらに共重合されていてもよい。
その他の単位としては、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を挙げることができる。
これらのその他の単位は、上記イミド樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
本発明において得られる樹脂組成物は耐溶剤性などの観点からスチレンなどの芳香族ビニル系単量体は含有しないことが必要である。
上記イミド樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、1×104〜5×105であることが好ましく、5×104〜3×105であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、成形加工性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりすることがない。
一方、重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、フィルムにした場合の機械的強度が不足する傾向がある。また、上記範囲よりも大きいと、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下する傾向がある。
また、上記イミド樹脂のガラス転移温度は特に限定されるものではないが、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることが特に好ましい。この範囲を下回ると、成形体やフィルムにした場合の耐熱性が劣るため、高温時の物性変化が大きくなり、適用範囲が狭くなる。例えば、光学用途に使用される場合には、ガラス転移温度が上記範囲よりも低いと、成形体もしくはフィルムに高温環境下でゆがみなどが生じ易く、安定した光学的特性が得られない傾向があり、好ましくない。
上記イミド樹脂には、必要に応じ、一般に用いられる酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤などの耐候性安定剤や、触媒、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤、抗菌・脱臭剤等を単独または2種以上組み合わせて、本発明の目的を損なわれない範囲であれば添加してもよい。また、これらの添加剤は、後述するイミド樹脂を成形加工する際に添加することも可能である。紫外線吸収剤については、例えば、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾオキサジン系化合物およびオキサジアゾール系化合物等が挙げられる。これらの中でも添加量に対する紫外線吸収性能の観点でトリアジン系化合物が好ましい。
(フィルム)
本発明の樹脂組成物は、フィルム状の成型体とすることが好ましい実施態様の一つである。そこで、以下、本発明の一実施形態として、本発明に係るフィルムについて説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明に係るフィルムは、上述した本発明に係る樹脂組成物を成形してなるものであればよいが、延伸されたフィルム、すなわち、延伸フィルムであることが好ましい。
延伸フィルムによれば、機械的特性を向上させることができる。従来、延伸フィルムでは、位相差の発生を避けることが困難であったが、本発明に係る樹脂組成物によれば、延伸処理を施しても位相差を実質的に発生させずに、機械的特性が向上した延伸フィルムを製造することができる。
なお、本発明に係るフィルムが延伸フィルムである場合、一軸延伸した一軸延伸フィルムであってもよいし、さらに延伸工程を組み合わせて行って得られる二軸延伸フィルムであってもよい。
本発明に係るフィルムが延伸フィルムである場合、その厚みは、特に限定されるものではないが、10μm〜200μmであることが好ましく、20μm〜150μmであることがより好ましく、30μm〜100μmであることがさらに好ましい。
フィルムの厚みが上記範囲内であれば、光学特性が均一で、ヘーズが良好な光学用フィルムとすることができる。
一方、フィルムの厚みが上記範囲を越えると、フィルムの冷却が不均一になり、光学的特性が不均一になる傾向がある。また、フィルムの厚みが上記範囲を下回ると、延伸倍率が過大になり、ヘーズが悪化する傾向がある。
本発明に係るフィルムは、ヘーズが1%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
本発明に係る光学フィルムのヘーズが上記範囲内であれば、フィルムの透明性を高いものとすることができる。それゆえ、本発明に係るフィルムを、透明性が要求される用途に好適に用いることができる。
本発明に係るフィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましい。
全光線透過率が、上記範囲内であれば、フィルムの透明性を高いものとすることができる。それゆえ、本発明に係るフィルムを、透明性が要求される用途に好適に用いることができる。
また、本発明に係るフィルムは、光学異方性が小さいことが好ましい。特に、フィルムの面内方向(長さ方向、幅方向)の光学異方性だけでなく、厚み方向の光学異方性についても小さいことが好ましい。換言すれば、面内位相差および厚み方向位相差がともに小さいことが好ましい。
より具体的には、面内位相差は原料フィルムに関しては、10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、3nm以下であることがさらに好ましい。また、面内位相差は延伸フィルムに関しては、10nm以下であることが好ましく、6nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
また、厚み方向位相差は原料フィルムに関しては、50nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。また、厚み方向位相差は延伸フィルムに関しては、50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
このような光学特性を有する構成とすれば、本発明に係るフィルムを、液晶表示装置の偏光板に備える偏光子保護フィルムとして用いることができる。
一方、フィルムの面内位相差が10nmを超えたり、厚み方向位相差が50nmを超えたりすると、本発明に係るフィルムを用いた偏光子保護フィルムを、液晶表示装置の偏光板として用いる場合、液晶表示装置においてコントラストが低下するなどの問題が発生する場合がある。
なお、面内位相差(Re)および厚み方向位相差(Rth)は、それぞれ、以下の式により算出することができる。つまり、3次元方向について完全光学等方である理想的なフィルムでは、面内位相差Re、厚み方向位相差Rthともに0となる。
Re=(nx−ny)×d Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d なお、上記式中において、nx、ny、およびnzは、それぞれ、面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率を表す。また、dはフィルムの厚さ、||は絶対値を表す。
また、本発明に係るフィルムは、配向複屈折の値が、0〜0.1×10-3であることが好ましく、0〜0.01×10-3であることがより好ましい。
配向複屈折が上記範囲内であれば、環境の変化に対しても、成形加工時に複屈折が生じることなく、安定した光学的特性を得ることができる。
なお、本明細書において、特にことわりのない限り、「配向複屈折」とは、熱可塑性樹脂のガラス転移温度より5℃高い温度で、100%延伸した場合に発現する複屈折が意図される。配向複屈折(△n)は、前述のnx、nyを用いて説明すると、△n=nx−ny=Re/dで定義され、位相差計により測定することができる。
本発明に係るフィルムは、光弾性係数の絶対値が、20×10-122/N以下であることが好ましく、10×10-122/N以下であることがより好ましく、5×10-122/N以下であることがさらに好ましい。
光弾性係数が上記範囲内であれば、本発明に係るフィルムを液晶表示装置に用いても、位相差ムラが発生したり、表示画面周辺部のコントラストが低下したり、光漏れが発生したりすることがない。
一方、光弾性係数の絶対値が20×10-122/Nより大きいと、本発明に係るフィルムを液晶表示装置に用いた場合、位相差ムラが発生したり、表示画面周辺部のコントラストが低下したり、光漏れが発生しやすくなったりする傾向がある。この傾向は、高温多湿環境下において、特に顕著となる。
なお、等方性の固体に外力を加えて応力(△F)を発生させると、一時的に光学異方性を呈し、複屈折(△n)を示すようになるが、本明細書において、「光弾性係数」とは、その応力と複屈折との比が意図される。すなわち、光弾性係数(c)は、以下の式により算出される。
c=△n/△F ただし、本発明において、光弾性係数はセナルモン法により、波長515nmにて、23℃、50%RHにおいて測定した値である。
本発明に係るフィルムは、必要に応じて、表面処理が施されていてもよい。具体的には、例えば、本発明に係るフィルムを、表面にコーティング加工等の表面加工を施したり、表面に別のフィルムをラミネートしたりして用いる場合、本発明に係るフィルムに表面処理を施すことが好ましい。
このような表面処理を施すことにより、本発明に係るフィルムと、コーティングまたはラミネートされる別のフィルムとの間の相互の密着性を向上させることができる。
なお、本発明に係るフィルムに対する表面処理の目的は、作用効果を目的とするものに限定されるものではない。つまり、本発明に係るフィルムは、その用途に関係なく、表面処理が施されていてもよい。
上記表面処理は、特に限定されるものではないが、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射およびアルカリ処理等を挙げることができる。中でも、コロナ処理であることが好ましい。
本発明に係るフィルムは、上説したような特性を有するため、そのまま最終製品として各種用途に用いることができる。また、上説したような各種加工を施すことにより、用途の幅を広げることができる。
本発明に係るフィルムの用途は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、カメラやVTR、プロジェクター用の撮影レンズやファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズなどの映像分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用ピックアップレンズなどのレンズ分野、CDプレイヤーやDVDプレイヤー、MDプレイヤーなどの光ディスク用の光記録分野、液晶用導光板、偏光子保護フィルムや位相差フィルムなどの液晶ディスプレイ用フィルム、表面保護フィルムなどの情報機器分野、光ファイバ、光スイッチ、光コネクターなどの光通信分野、自動車ヘッドライトやテールランプレンズ、インナーレンズ、計器カバー、サンルーフなどの車両分野、眼鏡やコンタクトレンズ、内視境用レンズ、滅菌処理の必要な医療用品などの医療機器分野、道路透光板、ペアガラス用レンズ、採光窓やカーポート、照明用レンズや照明カバー、建材用サイジングなどの建築・建材分野、電子レンジ調理容器(食器)等に好適に用いることができる。
本発明に係るフィルムは、上説したように、光学的均質性、透明性等の光学特性に優れている。そのため、これらの光学特性を利用して、光学的等方フィルム、偏光子保護フィルムや透明導電フィルム等液晶表示装置周辺等の公知の光学的用途に特に好適に用いることができる。
また、本発明のフィルムは、偏光子に貼り合わせて、偏光板として用いることができる。すなわち、本発明に係るフィルムは、偏光板の偏光子保護フィルムとして用いることができる。上記偏光子は、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の偏光子を用いることができる。具体的には、例えば、延伸されたポリビニルアルコールにヨウ素を含有させて得た偏光子等を挙げることができる。
ここで、本発明に係るフィルムを製造する方法の一実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。つまり、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(イミド樹脂)を成形してフィルムを製造できる方法であれば、従来公知のあらゆる方法を用いることができる。
具体的には、例えば、射出成形、溶融押出フィルム成形、インフレーション成形、ブロー成形、圧縮成形、紡糸成形等を挙げることができる。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を溶解可能な溶剤に溶解させた後、成形させる溶液流延法やスピンコート法によって、本発明に係るフィルムを製造することができる。
中でも、溶剤を使用しない溶融押出法を用いることが好ましい。溶融押出法によれば、製造コストや溶剤による地球環境や作業環境への負荷を低減することができる。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を用いるため、Tダイ製膜を用いるような高温での成形条件下でも、紫外線吸収剤の飛散による成形機の汚染やフィルム欠陥を発生させることなく、フィルムを製造することができる。
以下、本発明に係るフィルムの製造方法の一実施形態として、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を溶融押出法により成形してフィルムを製造する方法について詳細に説明する。なお、以下の説明では、溶融押出法で成形されたフィルムを、溶液流延法等の他の方法で成形されたフィルムと区別して、「溶融押出フィルム」と称する。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を溶融押出法によりフィルムに成形する場合、まず、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を、押出機に供給し、該熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融させる。
熱可塑性樹脂組成物は、押出機に供給する前に、予備乾燥することが好ましい。このような予備乾燥を行うことにより、押出機から押し出される樹脂の発泡を防ぐことができる。
予備乾燥の方法は特に限定されるものではないが、例えば、原料(すなわち、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物)をペレット等の形態にして、熱風乾燥機等を用いて行うことができる。
次に、押出機内で加熱溶融された熱可塑性樹脂組成物を、ギアポンプやフィルターを通して、Tダイに供給する。このとき、ギアポンプを用いれば、樹脂の押出量の均一性を向上させ、厚みムラを低減させることができる。一方、フィルターを用いれば、熱可塑性樹脂組成物中の異物を除去し、欠陥の無い外観に優れたフィルムを得ることができる。
次に、Tダイに供給された熱可塑性樹脂組成物を、シート状の溶融樹脂として、Tダイから押し出す。そして、該シート状の溶融樹脂を2つの冷却ロールで挟み込んで冷却し、フィルムを成膜する。
上記シート状の溶融樹脂を挟み込む2つの冷却ロールの内、一方は、表面が平滑な剛体性の金属ロールであり、もう一方は、表面が平滑な弾性変形可能な金属製弾性外筒を備えたフレキシブルロールであることが好ましい。
このような剛体性の金属ロールと金属製弾性外筒を備えたフレキシブルロールとで、上記シート状の溶融樹脂を挟み込んで冷却して成膜することにより、表面の微小な凹凸やダイライン等が矯正されて、表面が平滑で厚みムラが5μm以下であるフィルムを得ることができる。
なお、本明細書において、「冷却ロール」とは、「タッチロール」および「冷却ロール」を包含する意味で用いられる。
上記剛体性の金属ロールとフレキシブルロールとを用いる場合であっても、何れの冷却ロールも表面が金属であるため、成膜するフィルムが薄いと、冷却ロールの面同士が接触して、冷却ロールの外面に傷が付いたり、冷却ロールそのものが破損したりすることがある。
そのため、上説したような2つの冷却ロールでシート状の溶融樹脂を挟み込んで成膜する場合、まず、該2つの冷却ロールで、シート状の溶融樹脂を挟み込んで冷却し、比較的厚みの厚い原料フィルムを一旦取得する。その後、該原料フィルムを、一軸延伸または二軸延伸して所定の厚みのフィルムを製造することが好ましい。
より具体的に説明すると、厚み40μmのフィルムを製造する場合、また、上記2つの冷却ロールで、シート状の溶融樹脂を挟み込んで冷却し、一旦、厚み150μmの原料フィルムを取得する。その後、該原料フィルムを縦横二軸延伸により延伸させ、厚み40μmのフィルムを製造すればよい。
このように、本発明に係るフィルムが延伸フィルムである場合、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を一旦、未延伸状態の原料フィルムに成形し、その後、一軸延伸または二軸延伸を行うことにより、延伸フィルムを製造することができる。
本明細書では、説明の便宜上、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形した後、延伸を施す前のフィルム、すなわち未延伸状態のフィルムを「原料フィルム」と称する。なお、該原料フィルムもまた、本発明に係るフィルムの一実施形態であることを付言しておく。
原料フィルムを延伸する場合、原料フィルムを成形後、直ちに、該原料フィルムの延伸を連続的に行ってもよいし、原料フィルムを成形後、一旦、保管または移動させて、該原料フィルムの延伸を行ってもよい。
なお、原料フィルムに成形後、直ちに該原料フィルムを延伸する場合、フィルムの製造工程において、原料フィルムの状態が非常に短時間(場合によっては、瞬間 また、上記原料フィルムは、その後、延伸される場合、延伸されるのに充分な程度のフィルム状を維持していればよく、完全なフィルムの状態である必要はない。また、上記原料フィルムは、完成品であるフィルムとしての性能を有していなくてもよい。
原料フィルムを延伸する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の延伸方法を用いればよい。具体的には、例えば、テンターを用いた横延伸、ロールを用いた縦延伸、及びこれらを逐次組み合わせた逐次二軸延伸等を用いることができる。
また、縦と横とを同時に延伸する同時二軸延伸方法を用いたり、ロール縦延伸を行った後、テンターによる横延伸を行う方法を用いたりすることもできる。
原料フィルムを延伸するとき、原料フィルムを一旦、延伸温度より0.5℃〜5℃、好ましくは1℃〜3℃高い温度まで予熱した後、延伸温度まで冷却して延伸することが好ましい。
上記範囲内で予熱することにより、原料フィルムの厚みを精度よく保つことができ、また、延伸フィルムの厚み精度が低下したり、厚みムラが生じたりすることがない。また、原料フィルムがロールに貼り付いたり、自重で弛んだりすることがない。
一方、原料フィルムの予熱温度が高すぎると、原料フィルムがロールに貼り付いたり、自重で弛んだりするといった弊害が発生する傾向にある。また、原料フィルムの予熱温度と延伸温度との差が小さいと、延伸前の原料フィルムの厚み精度を維持しにくくなったり、厚みムラが大きくなったり、厚み精度が低下したりする傾向がある。
なお、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、原料フィルムに成形後、延伸する際、ネッキング現象を利用して、厚み精度を改善することが困難である。したがって、本発明では、上記予熱温度の管理を行うことは、得られるフィルムの厚み精度を維持したり、改善したりするためには重要となる。
原料フィルムを延伸するときの延伸温度は、特に限定されるものではなく、製造する延伸フィルムに要求される機械的強度、表面性、および厚み精度等に応じて、変更すればよい。
一般的には、DSC法によって求めた原料フィルムのガラス転移温度をTgとした時に、(Tg−30℃)〜(Tg+30℃)の温度範囲とすることが好ましく、(Tg−20℃)〜(Tg+20℃)の温度範囲とすることがより好ましく、(Tg)〜(Tg+20℃)の温度範囲とすることがさらに好ましい。
延伸温度が上記温度範囲内であれば、得られる延伸フィルムの厚みムラを低減し、さらに、伸び率、引裂伝播強度、および耐揉疲労等の力学的性質を良好なものとすることができる。また、フィルムがロールに粘着するといったトラブルの発生を防止することができる。
一方、延伸温度が上記温度範囲よりも高くなると、得られる延伸フィルムの厚みムラが大きくなったり、伸び率、引裂伝播強度、および耐揉疲労等の力学的性質が十分に改善できなかったりする傾向がある。さらに、フィルムがロールに粘着するといったトラブルが発生しやすくなる傾向がある。
また、延伸温度が上記温度範囲よりも低くなると、得られる延伸フィルムのヘーズが大きくなったり、極端な場合には、フィルムが裂けたり、割れたりするといった工程上の問題が発生したりする傾向がある。
上記原料フィルムを延伸する場合、その延伸倍率もまた、特に限定されるものではなく、製造する延伸フィルムの機械的強度、表面性、および厚み精度等に応じて、決定すればよい。延伸温度にも依存するが、延伸倍率は、一般的には、1.1倍〜3倍の範囲で選択することが好ましく、1.3倍〜2.5倍の範囲で選択することがより好ましく、1.5倍〜2.3倍の範囲で選択することがさらに好ましい。
延伸倍率が上記範囲内であれば、フィルムの伸び率、引裂伝播強度、および耐揉疲労等の力学的性質を大幅に改善することができる。それゆえ、厚みムラが5μm以下であり、複屈折が実質的にゼロであり、さらに、ヘーズが1%以下である延伸フィルムを製造することができる。
また、本発明に係る樹脂組成物において、適切な延伸条件を選択することにより、実質的に複屈折を生じさせることなく、かつ、ヘーズの増大を実質的に伴うことなく、厚みムラの小さなフィルムを容易に製造することができる。
本発明に係るフィルムは、必要に応じて、粘着剤等により別のフィルムをラミネートしたり、表面にハードコート層等のコーティング層を形成させたりして用いることができる。
本発明に係るフィルムの表面にコーティング加工等の表面加工を施したり、表面に別のフィルムをラミネートしたりする場合、上記方法で製造した延伸フィルム(原料フィルムを本発明に係るフィルムとする場合には、該原料フィルム)に表面処理を施すことが好ましい。
なお、表面処理の種類については、上説した通りである。また、本発明に係るフィルムにおいて、表面処理を施す場合、その表面処理の程度は特に限定されるものではないが、50dyn/cm以上であることが好ましく、50dyn/cm〜80dyn/cm以下であることがより好ましい。
このような程度の表面処理であれば、従来公知の表面処理設備を用いて表面処理を施すことができる。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
(イミド化率の算出)
1H−NMR BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂の1H−NMR測定を行った。3.5から3.8ppm付近のメタクリル酸メチルのO−CH3プロトン由来のピークの面積Aと、3.0から3.3ppm付近のグルタルイミドのN−CH3プロトン由来のピークの面積Bより、次式で求めた。
I%=B/(A+B)×100
(面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rth測定)
フィルムから、40mm×40mmの試験片を切り出した。この試験片を、自動複屈折計(王子計測株式会社製 KOBRA−WR)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0゜で面内位相差Reを測定した。
デジマティックインジケーター(株式会社ミツトヨ製)を用いて測定した試験片の厚みd、および、アッベ屈折計(株式会社アタゴ製 3T)で測定した屈折率n、自動複屈折計で測定した波長590nm、面内位相差Reおよび40°傾斜方向の位相差値から3次元屈折率nx、ny、nz、を求め、厚み方向位相差 Rth=|(nx+ny)/2−nz|×d (||は絶対値を表す)を計算した。
(酸価測定)
樹脂0.3gを塩化メチレン37.5mLに溶解し、さらにメタノール37.5mLを加えた。次に0.1mmol%の水酸化ナトリウム水溶液5mLとフェノールフタレインのエタノール溶液数滴を加えた。次に0.1mmol%の塩酸を用いて逆滴定を行い、中和に要する塩酸の量から酸価を求めた。
(カルボン酸量測定)
樹脂0.3gを塩化メチレン37.5mLに溶解し、さらにジメチルスルホキシド37.5mLを加えた。次に0.1mmol%の水酸化ナトリウム水溶液5mLとフェノールフタレインのジメチルスルホキシド溶液数滴を加えた。次に0.1mmol%の塩酸を用いて逆滴定を行い、中和に要する塩酸の量からDMSO酸価を求めた。
メタノールを用いた滴定により測定した(酸価)と(DMSO酸価)の値を用い、下記式により算出した。
(カルボン酸量)=2×(酸価)−(DMSO酸価)
(異物評価)
得られた延伸後のフィルムから1m2分を切り出し、20μm以上の異物数をマイクロスコープ観察などでカウントし、合計して異物数とした。
(アクリル酸エステル単位の定量)
原料樹脂を、島津製作所社製熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置を用いて、試料熱分解温度を590℃、5sec保持の条件でメタクリル酸メチルの面積値とアクリル酸エステル単位の面積値の比により、アクリル酸エステル単位を定量した。
(耐溶剤性)厚み30μm〜35μmのフィルムを巾方向20mm×長手方向50mmにフィルムを切り出し荷重15gの状態で酢酸エチル中に長手方向30mm浸漬し、破断するまでの時間により、耐溶剤性を求めた。
(実施例1)
押出反応機を2台直列に並べたタンデム型反応押出機を用いて、樹脂を製造した。タンデム型反応押出機に関しては、第1押出機(1)、第2押出機(2)共に直径75mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が74の同方向噛合型二軸押出機を使用し、定重量フィーダー(クボタ(株)製)を用いて、第1押出機原料供給口に原料樹脂を供給した。又、第1押出機、第2押出機に於ける各ベントの減圧度は−0.095MPaとした。更に、直径38mm、長さ2mの配管で第1押出機と第2押出機を接続し、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機原料供給口を接続する部品内圧力制御機構には定流圧力弁を用いた。第2押出機から吐出された樹脂(ストランド)は、冷却コンベアで冷却した後、ペレタイザーでカッティングしペレットとした。ここで、第1押出機の樹脂の吐出口と第2押出機原料供給口を接続する部品内圧力調整、又は押出変動を見極める為に、第1押出機出口、第1押出機と第2押出機接続部品中央部、第2押出機出口に樹脂圧力計を設けた。
第1押出機に関して、原料の樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂(Mw:10.5万)を使用し、イミド化剤として、モノメチルアミンを用いてイミド樹脂中間体1を製造した。この際、押出機最高温部温度を280℃、スクリュー回転数は55rpm、原料樹脂供給量は150kg/時間、モノメチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して2.0部とした。又、定流圧力弁は第2押出機原料供給口直前に設置し、第1押出機モノメチルアミン圧入部圧力を8MPaになるように調整した。
第2押出機に関して、リアベント及び真空ベントで残存しているイミド化反応試剤及び副生成物を脱揮したのち、エステル化剤として炭酸ジメチルとトリエチルアミンの混合溶液を添加しイミド樹脂中間体2を製造した。この際、押出機各バレル温度を260℃、スクリュー回転数は55rpm、炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して3.2部、トリエチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して0.8部とした。更に、ベントでエステル化剤を除去した後、ストランドダイから押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザーでペレット化することで、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物のイミド化率は3.7%、酸価は0.29mmol/g、カルボン酸量は0.05mmol/gであった。
このペレット状の樹脂組成物を、100℃で5時間乾燥後、40mmφ単軸押出機と400mm幅のTダイとを用いて270℃で押し出すことにより得られたシート状の溶融樹脂を冷却ロールで冷却して幅300mm、厚み130μmのフィルムを得た。
このフィルムについて、延伸倍率2倍(縦・横)、ガラス転移温度より10℃ 高い温度で同時二軸延伸(株式会社東洋精機製 二軸延伸装置 X4HD)を行ない、二軸延伸フィルムを作製した。
この二軸延伸フィルムの面内位相差は0.1nm、厚み方向位相差は3.4nm、厚みは34μmであった。また、異物は、20個/m2であった。得られた二軸延伸フィルムを、荷重15gをかけた状態で酢酸エチル中に浸漬させたところ、破断するまでの時間は440秒であった。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を含浸させ、延伸することにより偏光子を作製した。この偏光子の片面にポリアクリル系接着剤を用いてアセチル基による置換度が2.5のセルロースアセテートフィルム(80μm厚)を貼り合わせた。さらに、偏光子の反対の面に作製した延伸フィルムを、ポリアクリル系接着剤を用いて貼り合わせ、光学補償層を有する偏光板を作製した。
IPS方式の液晶セルを装着した液晶表示装置を用意し、出射光側の偏光板をはずして代わりに上述の偏光板を、延伸フィルムが液晶セルの出射光側になるように液晶セルに貼り合わせた表示装置を作製した。表示画面を観察した結果、正面から見ても斜め方向から見ても色表示が変わることなく、良好な画像が得られた。
(実施例2)
炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して4.8部、トリエチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して1.2部とした以外、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、二軸延伸フィルムを作製した。
得られた樹脂組成物のイミド化率は3.7%、酸価は0.19mmol/g、カルボン酸量は0.04mmol/gであった。
得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は0.1nm、厚み方向位相差は3.4nmであった。また、異物は、18個/m2であった。
また、表示装置の表示画面を観察した結果、正面から見ても斜め方向から見ても色表示が変わることなく、良好な画像が得られた。
(実施例3)
炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して1.6部、トリエチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して0.4部とした以外、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、二軸延伸フィルムを作製した。
得られた樹脂組成物のイミド化率は3.7%、酸価は0.41mmol/g、カルボン酸量は0.06mmol/gであった。
得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は0.1nm、厚み方向位相差は3.4nmであった。また、異物は、34個/m2であった。
また、表示装置の表示画面を観察した結果、正面から見ても斜め方向から見ても色表示が変わることなく、良好な画像が得られた。
(実施例4)
炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して3.2部とした以外、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、二軸延伸フィルムを作製した。 得られた樹脂組成物のイミド化率は3.7%、酸価は0.42mmol/g、カルボン酸量は0.10mmol/gであった。 得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は0.1nm、厚み方向位相差は3.4nmであった。また、異物は、32個/m2であった。 また、表示装置の表示画面を観察した結果、正面から見ても斜め方向から見ても色表示が変わることなく、良好な画像が得られた。
(実施例5)
モノメチルアミンの添加量を原料樹脂100部に対して1.8部とした以外、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、二軸延伸フィルムを作製した。
得られた樹脂組成物のイミド化率は3.4%、酸価は0.30mmol/g、カルボン酸量は0.05mmol/gであった。
得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は0.1nm、厚み方向位相差は0.5nmであった。また、異物は、18個/m2であった。
また、表示装置の表示画面を観察した結果、正面から見ても斜め方向から見ても色表示が変わることなく、良好な画像が得られた。
(比較例1)
原料の樹脂として、クラレ社製メタクリル樹脂、HR−S(アクリル酸メチル単位:1.1重量%、Mw:10.9万)を用いた以外、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、二軸延伸フィルムを作製した。
得られた樹脂組成物のイミド化率は3.4%、酸価は0.29mmol/g、カルボン酸量は0.05mmol/gであった。また、アクリル酸エステル単位は、上述の通り1.2%であった。
得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は0.1nm、厚み方向位相差は3.4nmであった。また、異物は、1900個/m2であった。
また、表示装置の表示画面を観察した結果、異物由来の点が画面に多数確認された。
(比較例2)
モノメチルアミンを添加しなかったこと以外、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、二軸延伸フィルムを作製した。
得られた樹脂組成物のイミド化率は0%、酸価は0.32mmol/g、カルボン酸量は0.08mmol/gであった。
得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は−1.2nm、厚み方向位相差は−9.8nmであった。また、異物は、5200個/m2であった。
また、表示装置の表示画面を観察した結果、異物由来の点が画面に多数確認されたことに加え、斜め方向から見た際、液晶表示装置構成部材の複屈折により正面から見た時と色表示が異なっていた。
(比較例3)
炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して8部、トリエチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して4部とした以外、実施例1と同様に樹脂組成物を作製し、二軸延伸フィルムを作製した。
得られた樹脂組成物のイミド化率は3.6%、酸価は0.08mmol/g、カルボン酸量は0.01mmol/gであった。
得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は0.1nm、厚み方向位相差は3.5nmであった。また、異物は、952個/m2であった。
また、表示装置の表示画面を観察した結果、異物由来の点が画面に多数確認された。
(比較例4)
原料樹脂としてスチレン量11重量%のメタクリル酸メチル−スチレン共重合体を用いることと、モノメチルアミンの注入量を16重量部にしたこと以外は実施例1と同様の操作を行ない、樹脂組成物を作成し、二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの面内位相差は0.7nm、厚み位相差は18nm、厚み35μmであった。得られた二軸延伸フィルムを、実施例1と同様の方法で酢酸エチル中に浸漬させたところ、破断するまでの時間は120秒であった。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位とメタクリル酸メチル単位とを含有するイミド樹脂であり、イミド化率が2.5〜5.0%、酸価が0.1〜0.6mmol/gの範囲でありアクリル酸エステル単位が1重量%未満であり、かつ、カルボン酸含有量が0.25mmol/g以下であることを特徴とするイミド樹脂
    Figure 0005574787
    (ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
  2. 請求項に記載のイミド樹脂を含有することを特徴とする光学用フィルム。
  3. 延伸されたフィルムであることを特徴とする請求項に記載の光学用フィルム。
  4. 厚さ40μmあたりの波長589nmにおける面内位相差が10nm以下であり、厚み方向位相差が20nm以下であることを特徴とする請求項またはに記載の光学用フィルム。
  5. 請求項のいずれか1項に記載の光学用フィルムを用いてなることを特徴とする偏光子保護フィルム。
  6. 請求項に記載の偏光子保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
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