JP2006118542A - 車両用液封エンジンマウント - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 液封エンジンマウント10は、エンジンEGに取付ける第1取付部材11と、車体BDに取付ける第2取付部材12と、第1・第2取付部材間を連結した弾性部材13と、弾性部材から隔てて第2取付部材に固定したダイヤフラム14と、弾性部材及びダイヤフラムで区画した液室15と、液室を主液室16及び副液室17に仕切るように第2取付部材に固定した仕切部材18とからなる。仕切部材は、主液室と副液室との間を連通するオリフィス81,82を有する。第2取付部材や仕切部材は、車両用液封エンジンマウントの軸方向に対して直交する方向から、荷重Enが作用したときに変形又は破壊する脆弱部45,62を有する。
【選択図】 図2
Description
エンジンが高速回転域で回転しているときには、一方のオリフィスだけを介して主液室と副液室との間で作動液が通過することにより、エンジンの振動を減衰させることができる。また、エンジンが低速回転域(アイドリング回転域)で回転しているときには、2つのオリフィスを介して主液室と副液室との間で作動液が通過することにより、エンジンの振動を減衰させることができる。
第2取付部材及び仕切部材の少なくとも一方は、車両用液封エンジンマウントの軸方向に対して直交する方向から、一定以上の荷重が作用したときに変形又は破壊する脆弱部を設けたことを特徴とする。
車両用液封エンジンマウントの軸方向に対して直交する方向から衝突エネルギーが作用したときに、衝突エネルギーは第2取付部材を介して仕切部材に作用する。底板を前記脆弱部としたので、仕切部材のうち底板は他の部分に先駆けて、容易に変形するか破壊し得る。この結果、仕切部材の全体も変形するか破壊することによって、衝突エネルギーを十分に吸収することができる。
さらには、仕切部材を略カップ状の部材とし、そのカップ状部材の底板をテーパ状に形成しただけの、極めて簡単な構成によって脆弱部を設けることができる。
車両用液封エンジンマウントの軸方向に対して直交する方向から衝突エネルギーが作用したときに、衝突エネルギーは第2取付部材を介して仕切部材に作用する。スリットを脆弱部としたので、仕切部材はスリットを有する部分を基点として、容易に変形するか破壊し得る。この結果、仕切部材の全体も変形するか破壊することによって、衝突エネルギーを十分に吸収することができる。
さらには、仕切部材にスリットを形成しただけの、極めて簡単な構成によって脆弱部を設けることができる。
車両用液封エンジンマウントの軸方向に対して直交する方向から衝突エネルギーが作用したときに、第2取付部材はスリットを有する部分を基点として、容易に変形するか破壊し得る。この結果、第2取付部材の全体も変形するか破壊することによって、衝突エネルギーを十分に吸収することができる。
さらには、第2取付部材の外周面にスリットを形成しただけの、極めて簡単な構成によって脆弱部を設けることができる。
内筒の外面と外筒の内面との間に隙間を有しているので、車両用液封エンジンマウントの軸方向に対して直交する方向から衝突エネルギーが作用したときに、外筒が径方向に変形することを内筒が拘束しない。
また、隙間を有しているので、外筒に内筒を固く嵌合(圧入)した場合のように、外筒で内筒を支える必要もなく、嵌合(圧入)荷重による応力も発生しない。このため、外筒の厚みを薄くすることができる。
このようなことから、外筒が径方向へ容易に変形することができる。この結果、第2取付部材の変形又は破壊によって、衝突エネルギーを十分に吸収することができる。しかも、外筒が径方向へ容易に変形できるので、車両用液封エンジンマウントに衝突エネルギーが作用した初期における、エネルギー最大値(ピーク値)を低減させることができる。
図1は本発明に係る車両用液封エンジンマウントの平面図である。図2は図1の2−2線断面図である。図3は本発明に係る車両用液封エンジンマウントの分解図であり、図2に対応させて示した。
以下、エンジンマウント10について詳細に説明する。
弾性部材13は、第1取付部材11と第2取付部材12との間で伝達される振動を、弾性変形することにより吸収するゴムブロックである。この弾性部材13は、第1取付部材11を一体化した上端部21から下端部22にかけて大径となる概ねベル状の部材であって、下端部22に下方へ大きく開放した空洞部23を有する。下端部22は円筒状を呈する。
隙間Crにはラバー等の弾性材22aを充填した(軽く圧入した構成を含む。)ものである。以下、詳細に説明する。
図3及び図4に示すように外筒40は、下端の外周に形成した水平な車体取付用フランジ42と、上端の外周に形成した水平な左右の内筒取付用フランジ43,43とを一体に備え、孔が上下に貫通した部材である。このような外筒40は、例えばアルミニウム合金の鋳造品や樹脂成形品等の軽量部材からなる。
車体BD(図1参照)に車体取付用フランジ42を上から重ね合わせてボルト止めすることで、車体BDに外筒40を取付けることができる。
より具体的には、スリット45・・・は、外筒40の上端から下端までの全範囲にわたって形成した細長い縦溝である。この縦溝の断面形状や大きさについては、最適なように適宜設定すればよい。スリット45・・・からなる第1の脆弱部は、エンジンマウント10の軸方向(軸心CL)に対して直交する方向、すなわち白抜き矢印の方向から、一定以上の衝突エネルギーEn(荷重)が作用したときに、応力が集中することによって変形又は破壊するものである。
外筒40は内筒30よりも大径の貫通孔であるから、図3に示すように内筒30の外面31と外筒40の内面41との間に一定の微小の隙間Crを有することになる。弾性部材13における下端部22の一部は、隙間Crに充填する弾性材22aを兼ねる。
このようにボルト51・・・は、外筒40に内筒30を固定する結合部材と、外筒40にストッパStを固定する結合部材とを兼ねる。このため、結合部材としてのボルト51・・・の数量を削減できる。
エンジンブラケットBe(図1参照)は、第1取付部材11に対して直線L1上で(すなわち直線L1の方向に)取付けたものである。ストッパSt(図1参照)は、左右の内筒取付用フランジ43,43に対して直線L2上で取付けたものである。
詳しく説明すると、仕切部材18は、円筒状の側壁61と底板62とからなる一体成形品であり、弾性部材13(図3参照)側を開口するとともに反対側を底板62で塞いだものである。側壁61の厚み並びに底板62の厚みは、概ね均一である。このような仕切部材18は、例えばアルミニウム合金の鋳造品や樹脂成形品等の軽量部材からなる。
膨出部65は下向きカップ状を呈し、その下側の開口65aが弁座64に臨み、側部の一部分に内外貫通した連通口65bを有する。
螺旋状通路81は第1オリフィスを構成する。以下、螺旋状通路81のことを適宜「第1オリフィス81」と言い換えることにする。第1オリフィス81は、常時連通する常時連通オリフィスである。
また、図9に示すように、カバープレート70の連通孔74と、下部空間72と、膨出部65の連通口65b並びに開口65aとの組合せ構造からなる、互いに連通した通路は、第2オリフィス82を構成する。第2オリフィス82は、エンジンEG(図1参照)のアイドリング時に連通するアイドル用オリフィスである。
このようにして、仕切部材18に、主液室16と副液室17との間を連通する第1・第2オリフィス81,82を設けた。
大気連通室133は大気に連通している。弁開閉用空気室134は、下部支持プレート110に有している接続口112aを介して、アクチュエータ駆動源140に連通している。
アクチュエータ駆動源140は、例えばエンジンEGの吸気負圧を利用して、弁開閉用空気室134を負圧にするものである。
図3及び図10に示すように、下部支持プレート110は、第2取付部材12と同心(軸心CL)である略皿状の部材であり、例えばアルミニウム合金の鋳造品や樹脂成形品等の軽量部材からなる。
この脆弱部は、エンジンマウント10の軸方向(軸心CL)に対して直交する方向から、一定以上の衝突エネルギーEn(荷重)が作用したときに、応力が集中することによって変形又は破壊するものである。
従って、これらのダイヤフラム14、仕切部材18及び弾性駆動体120は、第2取付部材12に固定された部材であると、いうことができる。
図2に示すように、エンジンEGが高回転域(アイドル回転域を越えた回転域)で回転しているときには、アクチュエータ駆動源140から負圧が作用しない。大気連通室133並びに弁開閉用空気圧室134の各圧力は、共に大気圧である。圧縮コイルばね131が弾性駆動体120を介してダイヤフラム14を弾発することで、弁体91は第2オリフィス82の開口65aを閉塞している。このため、主液室16並びに副液室17の作動液Lqは第2オリフィス82を通過できない。作動液Lqが第1オリフィス81(図6も参照)だけを通って主・副液体室16,17間を流れるとともに、弾性部材13が弾性変形することによって、高速回転中のエンジンEGの振動、すなわち通常振動領域の振動を減衰させることができる。
このようにして、エンジンEGが回転速度に応じて発する、周波数や振幅の大きく異なった広範囲の振動を減衰させることができる。
車両が衝突したときには、衝突エネルギーによって変形する車体BDとエンジンEGとの間に介在している、エンジンマウント10に衝突エネルギーEnが作用する。
これに対してエンジンマウント10は、第2取付部材12及び仕切部材18の少なくとも一方に、エンジンマウント10の軸方向に対して直交する方向(白抜き矢印方向)から、一定以上の衝突エネルギーEn(衝突荷重En)が作用したときに変形又は破壊する脆弱部45,62,66,67,68(図5参照)を設けた構成である。
従って、エンジンマウント10に衝突エネルギーEnが作用したときに、第2取付部材12及び/又は仕切部材18が、他の部材に先駆けて容易に変形するか破壊し得る。この結果、エンジンマウント10による衝突エネルギーEnの吸収性能を十分に高めることができる。
エンジンマウント10の軸方向に対して直交する方向から、第2取付部材12に衝突エネルギーEnが作用したときに、外筒40のうちスリット45を有する部分44aには応力が集中する。このため、外筒40は脆弱なスリット45を有する部分44aを基点として、容易に変形するか破壊し得る。この結果、第2取付部材12の全体も変形するか破壊することによって、衝突エネルギーEnを十分に吸収することができる。
さらには、第2取付部材12における外筒40の外周面44にスリット45を形成しただけの、極めて簡単な構成によって脆弱部を設けることができる。
図1に示すように、エンジンマウント10の軸方向に対して直交する方向から、第2取付部材12に衝突エネルギーEnが作用したときに、衝突エネルギーEnは第2取付部材12を介して仕切部材18に作用する。すなわち、仕切部材18には径方向に圧縮する衝突エネルギーEnが作用する。仕切部材18のうち底板62は、厚みが概ね均一なテーパ状であるから、上下方向(白抜き矢印方向とは直交する方向)に塑性変形することが容易な、脆弱部分である。
さらには、仕切部材18を略カップ状の部材とし、そのカップ状部材の底板62をテーパ状に形成しただけの、極めて簡単な構成によって第1の脆弱部を設けることができる。
さらには、仕切部材18にスリット66,67,68を形成しただけの、極めて簡単な構成によって脆弱部を設けることができる。
衝突エネルギーEnは、第2取付部材12を介して下部支持プレート110にも作用する。すなわち、下部支持プレート110には径方向に圧縮する衝突エネルギーEnが作用する。下部支持プレート110のうちスリット115,115を有する部分には応力が集中する。このため、下部支持プレート110は脆弱なスリット115,115を有する部分を基点として、容易に変形するか破壊し得る。この結果、下部支持プレート110の全体も変形するか破壊することによって、衝突エネルギーEnを十分に吸収することができる。
さらには、下部支持プレート110にスリット115,115を形成しただけの、極めて簡単な構成によって脆弱部を設けることができる。
Claims (6)
- 動力源又は車体に取付ける第1取付部材と、
前記車体又は前記動力源に取付ける筒状の第2取付部材と、
これらの第1・第2取付部材間を連結した弾性部材と、
この弾性部材から距離を隔てて前記第2取付部材に固定したダイヤフラムと、
少なくとも前記弾性部材及び前記ダイヤフラムにより区画した液室と、
この液室を前記弾性部材側の主液室及び前記ダイヤフラム側の副液室に仕切るように前記第2取付部材に固定した仕切部材とを備え、
この仕切部材には、前記主液室と前記副液室との間を連通するオリフィスを設けた車両用液封エンジンマウントにおいて、
前記第2取付部材及び前記仕切部材の少なくとも一方は、車両用液封エンジンマウントの軸方向に対して直交する方向から、一定以上の荷重が作用したときに変形又は破壊する脆弱部を設けたことを特徴とする車両用液封エンジンマウント。 - 前記仕切部材は、前記筒状の第2取付部材と同心である略カップ状の部材であり、そのカップ状部材の底板をテーパ状に形成することで、底板を前記脆弱部としたことを特徴とする請求項1記載の車両用液封エンジンマウント。
- 前記仕切部材は、軸方向の端面に形成したスリットと、外周面に形成した軸方向のスリットとの、少なくとも一方を備えることで、これらのスリットを前記脆弱部としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用液封エンジンマウント。
- 前記第2取付部材は、外周面のうち衝突エネルギーが作用する部分に、軸方向のスリットを1個又は複数個形成することで、このスリットを前記脆弱部としたことを特徴とする請求項1記載の車両用液封エンジンマウント。
- 前記第2取付部材は、前記弾性部材に一体化した筒状の内筒と、この内筒を収納するとともに車体に取付ける筒状の外筒とからなり、これら内筒の外面と外筒の内面との間に隙間を有し、前記外筒に対して前記内筒の取付け面を軸方向に重ね合わせて連結したことを特徴とする請求項1又は請求項4記載の車両用液封エンジンマウント。
- 前記隙間にはラバー等の弾性材を充填したことを特徴とする請求項5記載の車両用液封エンジンマウント。
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