JP2006077620A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力をより精度良く算出することのできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】 吸気管内圧力をエネルギ保存則及び質量保存則に基づいて算出する管内圧力算出式を備えた内燃機関の制御装置であって、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力が算出される場合には、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして吸気管内圧力が算出される内燃機関の制御装置が提供される。すなわち例えば、上記管内圧力算出式が空気の比熱比を表す係数κを含んでいて、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力を算出する場合(203)には、上記管内圧力算出式の空気の比熱比を表す上記係数κとして、スロットル弁が閉じる過渡時において吸気管内圧力を算出する場合(207)に用いられる値κ1よりも小さい値κ2が用いられる。
【選択図】 図12
【解決手段】 吸気管内圧力をエネルギ保存則及び質量保存則に基づいて算出する管内圧力算出式を備えた内燃機関の制御装置であって、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力が算出される場合には、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして吸気管内圧力が算出される内燃機関の制御装置が提供される。すなわち例えば、上記管内圧力算出式が空気の比熱比を表す係数κを含んでいて、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力を算出する場合(203)には、上記管内圧力算出式の空気の比熱比を表す上記係数κとして、スロットル弁が閉じる過渡時において吸気管内圧力を算出する場合(207)に用いられる値κ1よりも小さい値κ2が用いられる。
【選択図】 図12
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の吸気系に関してエネルギ保存則、質量保存側、状態方程式等を適用して流体モデルを構築し、そのモデルを用いて算出したパラメータに基づいて内燃機関を制御する内燃機関の制御装置(いわゆるエアモデルを用いた内燃機関の制御装置)が公知である。このような制御装置では、内燃機関の吸気系について、例えばスロットルモデル、吸気管モデル、吸気弁モデル等が構築されており、これら各モデルを用いることによりスロットル弁開度、大気圧、及び大気温度等から筒内充填空気量等が算出され、これに基づいて内燃機関の制御が行なわれる。特許文献1には、内燃機関の吸気系に関して流体モデルを構築し、それに基づいて筒内充填空気量を求めるようにした装置が開示されている。
ところで、上記のような内燃機関の制御装置においては、内燃機関の制御に直接用いるため、もしくは制御に必要な他のパラメータ(例えば、筒内充填空気量)を算出するため等の目的で吸気管内圧力が算出されている。この吸気管内圧力は、通常、サージタンクを含めた吸気管部分をモデル化した吸気管モデルを用いて算出されるのであるが、従来、算出された吸気管内圧力の精度が充分でない場合があった。吸気管内圧力の算出精度が低下すると、それを用いて算出される他の制御パラメータの精度も低下することになり、制御全体に悪影響を及ぼす結果となる。
上記のような吸気管内圧力の算出精度低下の主原因は、スロットル弁上流側にある空気の慣性を無視したためであると考えられ、その結果、特にスロットル弁を開く過渡時において算出される吸気管内圧力の精度が大きく低下する傾向がある。
本発明は、以上のようなことに鑑みてなされたものであり、その目的は、スロットル弁を開く過渡時において吸気管内圧力をより精度良く算出できる内燃機関の制御装置を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された内燃機関の制御装置を提供する。
1番目の発明は、内燃機関の吸気通路のうちのスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管内の圧力をエネルギ保存則及び質量保存則に基づいて算出する管内圧力算出式を備えた内燃機関の制御装置であって、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力が算出される場合には、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして上記吸気管内圧力が算出される、内燃機関の制御装置を提供する。
上記吸気管内の圧力をエネルギ保存則及び質量保存則に基づいて算出する場合には通常、空気の慣性の影響が無視されることになるため、スロットル弁を開閉する過渡時において算出される吸気管内圧力の精度が低下することが考えられる。実際には、スロットル弁を閉じる過渡時においては影響が小さいのであるが、スロットル弁を開く過渡時においては影響が大きく、この場合の算出精度の向上が望まれる。
これに対し、1番目の発明によれば、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力が算出される場合には、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして上記吸気管内圧力が算出されるので、スロットル弁を開く過渡時において吸気管内圧力をより精度良く算出することができる。
2番目の発明では1番目の発明において、少なくともスロットル弁開度に基づいてスロットル弁通過空気流量を算出する通過空気流量算出式を更に備え、上記管内圧力算出式はスロットル弁通過空気流量を表す変数を含んでいて、スロットル弁が閉じる過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合には、上記通過空気流量算出式から求められる値が上記管内圧力算出式のスロットル弁通過空気流量を表す上記変数に直接代入される一方、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合には、上記通過空気流量算出式から求められる値に対してスロットル弁開度変化に対する一次遅れを考慮した値が求められ、該値が上記管内圧力算出式のスロットル弁通過空気流量を表す上記変数に代入されるようになっている。
2番目の発明のようにすれば、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力が算出される場合には、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして上記吸気管内圧力が算出されるので、スロットル弁を開く過渡時において吸気管内圧力をより精度良く算出することができる。
3番目の発明では1番目の発明において、上記管内圧力算出式は空気の比熱比を表す係数を含んでいて、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合には、上記管内圧力算出式の空気の比熱比を表す上記係数として、スロットル弁が閉じる過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合に用いられる値よりも小さい値が用いられるようになっている。
3番目の発明のようにすると、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力が算出される場合に、上記管内圧力算出式に基づきつつ結果的に空気の慣性の影響を補正するようにして上記吸気管内圧力が算出されるので、スロットル弁を開く過渡時において吸気管内圧力をより精度良く算出することができる。
4番目の発明では1番目の発明において、上記吸気管内の温度をエネルギ保存則及び質量保存則に基づいて算出する管内温度算出式と、少なくとも上記吸気管内圧力と上記吸気管内温度とに基づいて筒内吸入空気流量を算出する吸入空気流量算出式とを更に備え、上記管内圧力算出式及び上記管内温度算出式は空気の比熱比を表す係数を含んでいて、上記空気の比熱比を表す係数として第1の値を用いて上記管内圧力算出式及び上記管内温度算出式に基づいて第1の吸気管内圧力と第1の吸気管内温度を算出すると共に、上記空気の比熱比を表す係数として上記第1の値よりも小さい第2の値を用いて上記管内圧力算出式及び上記管内温度算出式に基づいて第2の吸気管内圧力と第2の吸気管内温度を算出し、スロットル弁を閉じる過渡時においては、上記第1の吸気管内圧力と上記第1の吸気管内温度がその場合の上記吸気管内圧力と上記吸気管内温度とされて上記吸入空気流量算出式に用いられて筒内吸入空気流量が算出される一方、スロットル弁を開く過渡時においては、上記第2の吸気管内圧力と上記第1の吸気管内温度がその場合の上記吸気管内圧力と上記吸気管内温度とされて上記吸入空気流量算出式に用いられて筒内吸入空気流量が算出されるようになっている。
スロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力を算出する場合には、上記管内圧力算出式の上記空気の比熱比を表す係数として上記第1の値よりも小さい上記第2の値を用いて吸気管内圧力を算出することにより、結果的に空気の慣性の影響が補正され、より精度よく吸気管内圧力を求めることができる。しかしながら、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度を算出する場合には、上記管内温度算出式の上記空気の比熱比を表す係数として上記第1の値よりも小さい上記第2の値を用いて吸気管内温度を算出すると、上記空気の比熱比を表す係数として上記第1の値を用いて吸気管内温度を算出した場合よりも算出精度が低下してしまう。
この点、4番目の発明では、スロットル弁を開く過渡時における吸気管内圧力は、上記管内圧力算出式の上記空気の比熱比を表す係数として上記第1の値よりも小さい上記第2の値を用いて算出された値とされ、スロットル弁を開く過渡時における吸気管内温度は、上記管内温度算出式の上記空気の比熱比を表す係数として上記第1の値を用いて算出された値とされるので、スロットル弁を開く過渡時における吸気管内圧力と吸気管内温度とを共に精度良く求めることができる。そして、本発明によれば、これらの値を用いて上記吸入空気流量算出式により筒内吸入空気流量が算出されるので、スロットル弁を開く過渡時における筒内吸入空気流量が精度良く算出できる。そしてこの結果、スロットル弁を開く過渡時における筒内充填空気量を精度良く算出することが可能となる。
5番目の発明では3番目の発明において、上記吸気管内の既存空気の量と、該既存空気がスロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力として算出された吸気管内圧力になるまで断熱圧縮された場合の圧縮後温度と、スロットル弁が開くことにより上記吸気管内に新たに流入する流入空気の量と、該流入空気の流入空気温度とが求められ、上記圧縮後温度の既存空気と上記流入空気温度の流入空気とが混合された場合の温度が、スロットル弁が開く過渡時における上記吸気管内の温度として算出されるようになっている。
5番目の発明によれば、3番目の発明による作用効果に加え、比較的低い制御負荷でスロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度を求めることができる。
各請求項に記載の発明は、スロットル弁を開く過渡時において吸気管内圧力をより精度良く算出できるという共通の効果を奏する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、同一または類似の構成要素には共通の参照番号を付す。
図1は本発明の内燃機関の制御装置を筒内噴射型火花点火式内燃機関に適用した場合の一例を示す概略図である。なお、本発明は別の火花点火式内燃機関や圧縮自着火式内燃機関に適用してもよい。
図1に示したように、機関本体1はシリンダブロック2と、シリンダブロック2内で往復動するピストン3と、シリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド4とを具備する。ピストン3とシリンダヘッド4との間には燃焼室5が形成される。シリンダヘッド4には気筒毎に吸気弁6と、吸気ポート7と、排気弁8と、排気ポート9とが配置される。さらに、図1に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火プラグ10が配置され、シリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。またピストン3の頂面には燃料噴射弁11の下方から点火プラグ10の下方まで延びるキャビティ12が形成されている。
各気筒の吸気ポート7は下流側の吸気管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は上流側の吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。上記吸気管15内にはステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。一方、各気筒の排気ポート9は排気管19に連結され、この排気管19は排気浄化装置20に連結される。
電子制御ユニット(ECU)31はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36及び出力ポート37を具備する。
スロットル弁18の開度を検出するためのスロットル開度センサ43と、内燃機関の周囲の大気の圧力、または吸気管15に吸入される空気の圧力(吸気圧)を検出するための大気圧センサ44と、内燃機関の周囲の大気の温度、または吸気管15に吸入される空気の温度(吸気温)を検出するための大気温センサ45とが設けられ、これらセンサの出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
アクセルペダル46にはアクセルペダル46の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ47が接続され、負荷センサ47の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ48は例えばクランクシャフトが30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ48の出力パルスから機関回転数が計算される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して点火プラグ10、燃料噴射弁11及びステップモータ17等に接続される。
ところで、近年、内燃機関の吸気系に関してエネルギ保存則、質量保存側、状態方程式等を適用して流体モデルを構築し、そのモデルを用いて算出したパラメータに基づいて内燃機関を制御する内燃機関の制御装置が公知となっている。このような制御装置では、例えば、内燃機関の吸気系について、スロットルモデル、吸気管モデル、吸気弁モデル等を構築し、これら各モデルを用いることによりスロットル弁開度、大気圧、及び大気温度等から筒内充填空気量等を求めて、これに基づいて内燃機関の制御を行うようにする。
そして本実施形態においても、図1に示したような構成においてモデルを用いた内燃機関の制御が行われる。すなわち、本実施形態においては、通常、以下で説明するような吸入空気量モデルM20を用いた制御が行われる。図2は、吸入空気量モデルM20を示す図である。
吸入空気量モデルM20は、図2に示したようにスロットルモデルM21、吸気管モデルM22、吸気弁モデルM23を備える。スロットルモデルM21には、スロットル開度センサによって検出されたスロットル弁の開度(スロットル弁開度)θtと、大気圧センサによって検出された内燃機関周囲の大気圧Paと、大気温センサによって検出された内燃機関周囲の大気温度Taと、後述する吸気管モデルM22において算出されたスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管内の圧力(吸気管内圧力)Pmとが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述するスロットルモデルM21のモデル式(すなわち、通過空気流量算出式)に代入することで、単位時間当たりにスロットル弁を通過する空気の流量(スロットル弁通過空気流量)mtが算出される。スロットルモデルM21において算出されたスロットル弁通過空気流量mtは、吸気管モデルM22へ入力される。
吸気管モデルM22には、スロットルモデルM21において算出されたスロットル弁通過空気流量mtと、以下で詳述する単位時間当たりに燃焼室内に流入する空気の流量(以下、「筒内吸入空気流量mc」と称す。なお、筒内吸入空気流量mcの定義については、吸気弁モデルM23において詳述する)とが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述する吸気管モデルM22のモデル式(すなわち、管内圧力算出式及び管内温度算出式)に代入することで、上記吸気管内圧力Pmとスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管内の温度(吸気管内温度)Tmとが算出される。吸気管モデルM22において算出された吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmは共に吸気弁モデルM23へ入力され、更に吸気管内圧力PmはスロットルモデルM21にも入力される。
吸気弁モデルM23には、吸気管モデルM22において算出された吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの他に大気温度Taが入力され、それらの値を後述する吸気弁モデルM23のモデル式(すなわち、吸入空気流量算出式)に代入することで、筒内吸入空気流量mcが算出される。算出された筒内吸入空気流量mcは、筒内充填空気量Mcに変換され、この筒内充填空気量Mcに基づいて燃料噴射弁からの燃料噴射量が決定される。また、吸気弁モデルM23において算出された筒内吸入空気流量mcは吸気管モデルM22に入力される。
図2から分かるように、吸入空気量モデルM20ではあるモデルにおいて算出されたパラメータの値が別のモデルへの入力値として利用されるので、吸入空気量モデルM20全体では、実際に入力される値はスロットル弁開度θt、大気圧Pa、及び大気温度Taの三つのパラメータのみであり、これら三つのパラメータから筒内充填空気量Mcが算出される。
次に、吸入空気量モデルM20の各モデルM21〜M23について説明する。
スロットルモデルM21では、大気圧Pa(kPa)、大気温度Ta(K)、吸気管内圧力Pm(kPa)、スロットル弁開度θtから、下記式(1)に基づいて(つまり、通過空気流量算出式に基づいて)、スロットル弁通過空気流量mt(g/s)が算出される。ここで、式(1)におけるμはスロットル弁における流量係数で、スロットル弁開度θtの関数であり、図3に示したようなマップから定まる。また、At(m2)はスロットル弁の開口断面積(スロットル開口面積)を示し、スロットル弁開度θtの関数である。なお、これら流量係数μ及びスロットル開口面積Atをまとめたμ・Atをスロットル弁開度θtから一つのマップで求めるようにしてもよい。また、Rは気体定数である。
スロットルモデルM21では、大気圧Pa(kPa)、大気温度Ta(K)、吸気管内圧力Pm(kPa)、スロットル弁開度θtから、下記式(1)に基づいて(つまり、通過空気流量算出式に基づいて)、スロットル弁通過空気流量mt(g/s)が算出される。ここで、式(1)におけるμはスロットル弁における流量係数で、スロットル弁開度θtの関数であり、図3に示したようなマップから定まる。また、At(m2)はスロットル弁の開口断面積(スロットル開口面積)を示し、スロットル弁開度θtの関数である。なお、これら流量係数μ及びスロットル開口面積Atをまとめたμ・Atをスロットル弁開度θtから一つのマップで求めるようにしてもよい。また、Rは気体定数である。
Φ(Pm/Pa)は下記式(2)に示した関数であり、この式(2)におけるκaは空気の比熱比(κa=Cp(等圧比熱)/Cv(等容比熱))に対応する定数であり、ここでは1.4である。この関数Φ(Pm/Pa)は図4に示したようなグラフに表すことができるので、このようなグラフをマップとしてECUのROMに保存し、実際には式(2)を用いて計算するのではなくマップからΦ(Pm/Pa)の値を求めるようにしてもよい。
これらスロットルモデルM21の式(1)及び式(2)は、スロットル弁18上流の気体の圧力を大気圧Pa、スロットル弁18上流の気体の温度を大気温度Ta、スロットル弁18を通過する気体の圧力を吸気管内圧力Pmとして、図5に示したようなスロットル弁18のモデルに対して、質量保存則、エネルギ保存則及び運動量保存則を適用し、さらに気体の状態方程式、比熱比の定義式、及びマイヤーの関係式を利用することによって得られる。
吸気管モデルM22では、スロットル弁通過空気流量mt(g/s)、筒内吸入空気流量mc(g/s)、及び大気温度Ta(K)から、下記式(3)及び式(4)に基づいて(つまり、管内圧力算出式及び管内温度算出式に基づいて)吸気管内圧力Pm(kPa)及び吸気管内温度Tm(K)が算出される。なお、式(3)及び式(4)におけるVm(m3)は、サージタンクを含めたスロットル弁から吸気弁までの吸気管等の部分(以下、「吸気管部分」と称す)13´の容積に等しい定数である。また、式(4)におけるκは空気の比熱比を表す係数であり、通常は1.4とされる。
ここで、吸気管モデルM22について図6を参照して説明する。吸気管部分13´の総気体量をMとすると、総気体量Mの時間的変化は、吸気管部分13´に流入する気体の流量、すなわちスロットル弁通過空気流量mtと、吸気管部分13´から流出する気体の流量、すなわち筒内吸入空気流量mcとの差に等しいため、質量保存則により下記式(5)が得られ、この式(5)及び気体の状態方程式(Pm・Vm=M・R・Tm)より、式(3)が得られる。
また、吸気管部分13´の気体のエネルギM・Cv・Tmの時間的変化量は、吸気管部分13´に流入する気体のエネルギと吸気管部分13´から流出する気体のエネルギとの差に等しい。このため、吸気管部分13´に流入する気体の温度を大気温度Ta、吸気管部分13´から流出する気体の温度を吸気管内温度Tmとすると、エネルギ保存則により下記式(6)が得られ、この式(6)及び上記気体の状態方程式より、式(4)が得られる。
吸気弁モデルM23では、吸気管内圧力Pm、吸気管内温度Tm、及び大気温度Taから、下記式(7)に基づいて(つまり、吸入空気流量算出式に基づいて)、筒内吸入空気流量mcが算出される。なお、式(7)におけるa、bは、少なくとも機関回転数NEに基づいて定められる適合パラメータであり、予めマップを作成しておき、必要に応じてマップを検索して求めるようにする。
上述した吸気弁モデルM23について図7を参照して説明する。一般に、吸気弁6が閉じた時に燃焼室5内に充填されている空気の量である筒内充填空気量Mcは、吸気弁6が閉弁する時(吸気弁閉弁時)に確定し、吸気弁閉弁時の燃焼室5内の圧力に比例する。また、吸気弁閉弁時の燃焼室5内の圧力は吸気弁上流の気体の圧力、すなわち吸気管内圧力Pmと等しいとみなすことができる。したがって、筒内充填空気量Mcは、吸気管内圧力Pmに比例すると近似することができる。
ここで、単位時間当たりに吸気管部分13´から流出する全空気の量を平均化したもの、または単位時間当たりに吸気管部分13´から全ての燃焼室5に吸入される空気の量を一つの気筒の吸気行程に亘って平均化したものを筒内吸入空気流量mc(以下で詳述する)とすると、筒内充填空気量Mcが吸気管内圧力Pmに比例することから、筒内吸入空気流量mcも吸気管内圧力Pmに比例すると考えられる。このことから、理論及び経験則に基づいて、上記式(7)が得られる。なお、式(7)における適合パラメータaは比例係数であり、適合パラメータbは排気弁閉弁時において燃焼室5内に残存している既燃ガス量に関連する値である。また、実際の運転では過渡時に吸気管内温度Tmが大きく変化する場合があるため、これに対する補正として理論及び経験則に基づいて導かれたTa/Tmが乗算されている。
ここで、筒内吸入空気流量mcについて、図8を参照して内燃機関が4気筒である場合について説明する。なお、図8は横軸がクランクシャフトの回転角度、縦軸が単位時間当たりに吸気管部分13´から燃焼室5に実際に流入する空気の量である。図8に示したように、4気筒の内燃機関では、吸気弁6が例えば1番気筒、3番気筒、4番気筒、2番気筒の順に開弁し、各気筒に対応する吸気弁6の開弁量に応じて吸気管部分13´から各気筒の燃焼室5内へ空気が流入する。吸気管部分13´から各気筒の燃焼室5内に流入する空気の流量の変位は図8に破線で示した通りであり、これらを総合した吸気管部分13´から全気筒の燃焼室5に流入する空気の流量は図8に実線で示した通りである。また、例えば1番気筒への筒内充填空気量Mcは図8に斜線で示した部分に相当する。
これに対して、実線で示した吸気管部分13´から全ての気筒の燃焼室5に流入する空気の量を平均化したものが筒内吸入空気流量mcであり、図中に一点鎖線で示されている。そして、この一点鎖線で示した筒内吸入空気流量mcに、4気筒の場合にはクランクシャフトが180°(すなわち、4ストローク式内燃機関において1サイクル中にクランクシャフトが回転する角度720°を気筒数で割った角度)回転するのにかかる時間ΔT180°を乗算したものが筒内充填空気量Mcとなる。したがって、吸気弁モデルM23で算出された筒内吸入空気流量mcにΔT180°を乗算することで、筒内充填空気量Mcを算出することができる(Mc=mc・ΔT180°)。
次に、上記吸入空気量モデルM20を用いて、実際に筒内充填空気量Mcを算出する場合について説明する。筒内充填空気量Mcは吸入空気量モデルM20を用いて、上記式(1)、式(3)、式(4)、及び式(7)を解くことにより求められる。この場合、ECUで処理するために、これらの式を離散化する必要がある。時刻t、計算間隔(離散時間)Δtを用いて式(1)、式(3)、式(4)、及び式(7)を離散化すると、それぞれ下記式(8)、式(9)、式(10)、及び式(11)が得られる。なお、吸気管内温度Tm(t+Δt)は、式(9)及び式(10)によってそれぞれ算出されたPm/Tm(t+Δt)及びPm(t+Δt)から、式(12)によって算出される。
このようにして実装された吸入空気量モデルM20では、スロットルモデルM21の式(8)で算出された時刻tにおけるスロットル弁通過空気流量mt(t)と、吸気弁モデルM23の式(11)で算出された時刻tにおける筒内吸入空気流量mc(t)とが、吸気管モデルM22の式(9)及び式(10)に代入され、これにより時刻t+Δtにおける吸気管内圧力Pm(t+Δt)及び吸気管内温度Tm(t+Δt)が算出される。次いで、算出されたPm(t+Δt)及びTm(t+Δt)は、スロットルモデルM21及び吸気弁モデルM23の式(8)及び式(11)に代入され、これにより時刻t+Δtにおけるスロットル弁通過空気流量mt(t+Δt)及び筒内吸入空気流量mc(t+Δt)が算出される。そして、このような計算を繰り返すことによって、スロットル弁開度θt、大気圧Pa、及び大気温度Taから、任意の時刻tにおける筒内吸入空気流量mcが算出され、算出された筒内吸入空気流量mcに上記時間ΔT180°を乗算することで、任意の時刻tにおける筒内充填空気量Mcが算出される。
なお、内燃機関の始動時には、すなわち時刻t=0においては、吸気管内圧力Pmは大気圧と等しい(Pm(0)=Pa)とされ、吸気管内温度Tmは大気温度と等しい(Tm(0)=Ta)とされて、各モデルM21〜M23における計算が開始される。
また、上記吸入空気量モデルM20では、大気温度Ta及び大気圧Paが一定であるとしているが、時刻によって変化する値としてもよく、例えば、大気温度を検出するための大気温センサによって時刻tにおいて検出された値を大気温度Ta(t)、大気圧を検出するための大気圧センサによって時刻tにおいて検出された値を大気圧Pa(t)として上記式(8)、式(10)及び式(11)に代入するようにしてもよい。
ところで、上記のようなモデルを用いた場合、このままでは空気の慣性が無視されることになるために、スロットル弁を開閉する過渡時において算出される吸気管内圧力Pmの精度が低下することが考えられる。実際には、スロットル弁を閉じる過渡時においては影響が小さいのであるが、スロットル弁を開く過渡時においては影響が大きく、この場合の算出精度は大きく低下する。吸気管内圧力Pmの算出精度が低下すると、それを用いて算出される他の制御パラメータ(例えば、筒内充填空気量Mc)の精度も低下することになり、制御全体に悪影響を及ぼす結果となる。
そこで、本実施形態を含めて本発明の実施形態においては、以上のようなことを踏まえ、スロットル弁を開閉する過渡時、特にスロットル弁が開く過渡時に吸気管内圧力Pmを算出する場合に、以下で説明するような各方法によって、上述した管内圧力算出式である式(3)及び式(4)(もしくは、式(9)及び式(10))に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして吸気管内圧力Pmを算出し、その算出精度の向上を図っている。
すなわち、本実施形態では、スロットル弁が開く過渡時に吸気管内圧力Pmを算出する場合には、上述した吸入空気量モデルM20を用いた計算において、スロットル弁通過空気流量mtとして、通過空気流量算出式である式(1)(もしくは式(8))に基づいて算出されたスロットル弁通過空気流量mtの値に一次遅れの項を乗算した値mt´を用いて計算が行なわれるようになっている。すなわち、この場合には、式(1)(もしくは式(8))に基づいて通常通りスロットル弁通過空気流量mtが算出された後、下記式(13)によって補正スロットル弁通過空気流量mt´が求められ、その値が他の式におけるスロットル弁通過空気流量mtとして用いられて計算が行なわれる。
上記式(13)においてτは時定数であり、xはスロットル弁の開動作の開始時からの経過時間である。ここで時定数τについては、スロットル弁開度変化速度と吸気管内圧力Pmとを引数として予めマップを作成しておき、そのマップに基づいて求めるようにする。このマップは、このマップから求めたτを用いて算出した補正スロットル弁通過空気流量mt´を用いると、実際の吸気管内圧力の値もしくはそれに近い値が算出されるようなτが得られるように作成される。
図9は、本実施形態において用いられるロジックについて示した図である。この図に示されているように(また上述したように)、本実施形態においてはスロットル弁が開動作状態にあると判断された場合、すなわちスロットル弁が開く過渡時にあると判断された場合には上記補正スロットル弁通過空気流量mt´が求められ、その値をスロットル弁通過空気流量mtとした計算が実施される(ステップ101→ステップ103)。
一方、スロットル弁が閉動作状態にあると判断された場合、すなわちスロットル弁が閉じる過渡時にあると判断された場合には、式(1)(もしくは式(8))に基づいて算出されたスロットル弁通過空気流量mtをそのまま用いた計算が実施される(ステップ105→ステップ107)。つまり、本実施形態では、この場合、スロットル弁が動作状態にないと判断された通常状態の場合の制御(ステップ109)と同様の制御が実施されるようになっている。これは上述したように空気の慣性の影響がスロットル弁を閉じる過渡時においては比較的小さいため、補正の必要性が低いからである。なお、他の実施形態においては、スロットル弁が閉じる過渡時において通常状態の場合の制御(ステップ109)と異なる制御を行って補正がなされるようにしても良い。
本実施形態のようにすると、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力Pmが算出される場合に、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして吸気管内圧力Pmが算出されるので、スロットル弁を開く過渡時において吸気管内圧力Pmをより精度良く算出することができる。そして、その結果、吸気管内圧力Pmを用いて算出される他の制御パラメータ(例えば、筒内吸入空気流量mcや筒内充填空気量Mc)も精度良く算出することが可能となる。
図10は、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力Pmの経時変化の一例について示した図である。点線が実際の吸気管内圧力を示し、実線が補正スロットル弁通過空気流量mt´を用いて算出した吸気管内圧力、一点鎖線がスロットル弁通過空気流量mtをそのまま用いて算出した吸気管内圧力を示している。この図から、本実施形態のようにすることによって、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力Pmの算出精度が向上されることがわかる。
一方、図11はスロットル弁が閉じる過渡時における吸気管内圧力Pmの経時変化の一例について示した図である。点線が実際の吸気管内圧力を示し、一点鎖線がスロットル弁通過空気流量mtをそのまま用いて算出した吸気管内圧力を示している。この図において点線と実線はほぼ重なっており、このことからスロットル弁を閉じる過渡時においては空気の慣性の影響が比較的小さく、補正の必要性が低いことがわかる。
次に本発明の他の実施形態について説明する。この実施形態は、図1に示した構成で実施され得るものであって上述の実施形態と共通する部分を多く有しており、これら共通する部分については原則として説明を省略する。
本実施形態は、上述した吸入空気量モデルM20を用いた計算において、管内圧力算出式の一つである式(4)(もしくは式(10))の空気の比熱比を表す係数κとして用いる値を調整することによって、スロットル弁を開閉する過渡時、特にスロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力Pmの算出精度の向上を図るというものである。より詳細には、本実施形態では、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力Pmを算出する場合には、上記係数κとして、スロットル弁が閉じる過渡時において吸気管内圧力Pmを算出する場合に用いられる値よりも小さい値が用いられるようになっている。すなわち、例えば、スロットル弁が閉じる過渡時において吸気管内圧力Pmを算出する場合には、上記係数κとして通常の空気の比熱比1.4を用いるのに対して、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力Pmを算出する場合には、上記係数κとして1.05を用いるようにする。なお、この場合に上記係数κとして用いる値については、実際の吸気管内圧力の値もしくはそれに近い値が算出されるような適切な値を事前に実験等によって求めておく。
図12は、本実施形態において用いられるロジックについて示した図である。この図に示されているように(また上述したように)、本実施形態においてはスロットル弁が開動作状態にあると判断された場合、すなわちスロットル弁が開く過渡時にあると判断された場合には、管内圧力算出式の一つである式(4)(もしくは式(10))の上記係数κとして、スロットル弁が閉じる過渡時において用いられる値κ1より小さい値κ2(κ2は例えば1.05)が用いられて計算が実施される(ステップ201→ステップ203)。
一方、スロットル弁が閉動作状態にあると判断された場合、すなわちスロットル弁が閉じる過渡時にあると判断された場合には、上記係数κとしてスロットル弁が開く過渡時において用いられる値κ2より大きい値κ1(κ1は例えば1.4)が用いられて計算が実施される(ステップ205→ステップ207)。また、図12から明らかなように、本実施形態では、このスロットル弁が閉じる過渡時にあると判断された場合には、スロットル弁が動作状態にないと判断された通常状態の場合の制御(ステップ209)と同様の制御が実施されるようになっている。これは上述したように空気の慣性の影響がスロットル弁が閉じる過渡時においては比較的小さいため、補正の必要性が低いからである。なお、他の実施形態においては、スロットル弁が閉じる過渡時において通常状態の場合の制御(ステップ209)と異なる制御を行って補正がなされるようにしても良い。
本実施形態のようにすると、スロットル弁が開く過渡時において吸気管内圧力Pmが算出される場合に、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして吸気管内圧力が算出されるので、スロットル弁を開く過渡時において吸気管内圧力をより精度良く算出することができる。そして、その結果、吸気管内圧力Pmを用いて算出される他の制御パラメータ(例えば、筒内吸入空気流量mcや筒内充填空気量Mc)も精度良く算出することが可能となる。
図13は、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力Pmの経時変化の一例について示した図である。点線が実際の吸気管内圧力を示し、実線が上記係数κとして1.05を用いて算出した吸気管内圧力、一点鎖線が上記係数κとして1.4を用いて算出した吸気管内圧力を示している。この図から、本実施形態のようにすることによって、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力Pmの算出精度が向上されることがわかる。
一方、図14はスロットル弁が閉じる過渡時における吸気管内圧力Pmの経時変化の一例について示した図である。図13の場合と同様、点線が実際の吸気管内圧力を示し、実線が上記係数κとして1.05を用いて算出した吸気管内圧力、一点鎖線が上記係数κとして1.4を用いて算出した吸気管内圧力を示している。この図において点線と実線はほぼ重なっており、このことからスロットル弁を閉じる過渡時においては空気の慣性の影響が比較的小さく、補正の必要性が低いことがわかる。また、スロットル弁を閉じる過渡時において上記係数κとして1.05を用いた場合には、却って算出精度が低下してしまうこともわかる。
次に本発明の更に他の実施形態について説明する。この実施形態も図1に示した構成で実施され得るものであって、上述の実施形態と共通する部分を多く有しており、これら共通する部分については原則として説明を省略する。
本実施形態では、管内圧力算出式の一つである式(4)(もしくは式(10))の空気の比熱比を表す係数κとして第1の値κ1を用いた場合の上記吸入空気量モデルM20の計算と、上記係数κとして上記第1の値κ1より小さい第2の値κ2を用いた場合の上記吸入空気量モデルM20の計算が別々に行なわれるようになっている。そして、吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmは、上記各場合の計算から算出される吸気管内圧力Pm1、Pm2及び吸気管内温度Tm1、Tm2の中からその時のスロットル弁の開閉動作状態に応じて選択的に決定され、それらを用いて筒内吸入空気流量mcが算出されるようになっている。
より詳細には、スロットル弁を閉じる過渡時においては、上記第1の値κ1を用いて算出された吸気管内圧力Pm1と吸気管内温度Tm1がその場合の吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmとされ、それらが吸入空気流量算出式である式(7)(もしくは式(11))に用いられて筒内吸入空気流量mcが算出される。一方、スロットル弁を開く過渡時においては、上記第2の値κ2を用いて算出された吸気管内圧力Pm2と上記第1の値κ1を用いて算出された吸気管内温度Tm1がその場合の吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmとされて吸入空気流量算出式である式(7)(もしくは式(11))に用いられて筒内吸入空気流量mcが算出される。ここでは、例えば、上記第1の値κ1として通常の空気の比熱比1.4が用いられ、上記第2の値κ2として1.05が用いられる。なお、これらの値については、実際の吸気管内圧力の値もしくはそれに近い値が算出されるような適切な値を事前に実験等によって求めておく。
そして、上述のようにすることによって、スロットル弁を開く過渡時における上記吸気管内圧力Pmと上記吸気管内温度Tmとを共に精度良く求めることができ、その結果、スロットル弁を開く過渡時における筒内吸入空気流量mc及び筒内充填空気量Mcを精度良く算出することが可能となる。
すなわち、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力Pmを算出する場合には、上記式(4)(もしくは式(10))の上記係数κとして第1の値κ1よりも小さい第2の値κ2を用いて吸気管内圧力Pmを算出することにより、結果的に空気の慣性の影響が補正され、より精度よく吸気管内圧力Pmを求めることができるのであるが、図16を参照して後述するように、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmを算出する場合には、上記式(4)(もしくは式(10))の上記係数κとして上記第1の値κ1よりも小さい上記第2の値κ2を用いて吸気管内温度Tmを算出すると、上記係数κとして上記第1の値κ1を用いて吸気管内温度Tmを算出した場合よりも算出精度が低下してしまう。
このため、本実施形態のように、スロットル弁を開く過渡時においては、上記第2の値κ2を用いて算出された吸気管内圧力Pm2と上記第1の値κ1を用いて算出された吸気管内温度Tm1をその場合の吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmとすることで、結果としてこの場合の吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmとを共に精度良く求めることができる。そして、その結果、スロットル弁を開く過渡時における筒内吸入空気流量mc及び筒内充填空気量Mcを精度良く算出することが可能となるのである。
図15は、本実施形態において用いられるロジックについて示した図である。この図に示されているように(また上述したように)、本実施形態においては上記係数κとして第1の値κ1を用いた場合の上記吸入空気量モデルM20の計算(ステップ301)と、上記係数κとして上記第1の値κ1より小さい第2の値κ2を用いた場合の上記吸入空気量モデルM20の計算(ステップ303)がそれぞれ行なわれるようになっている。
そして、スロットル弁が開動作状態にあると判断された場合、すなわちスロットル弁が開く過渡時にあると判断された場合には、上記第2の値κ2を用いて算出された吸気管内圧力Pm2と上記第1の値κ1を用いて算出された吸気管内温度Tm1を用いて吸入空気流量算出式である式(7)(もしくは式(11))に基づいて筒内吸入空気流量mcが算出される(ステップ305→ステップ307)。
一方、スロットル弁が閉動作状態にあると判断された場合、すなわちスロットル弁が閉じる過渡時にあると判断された場合には、上記第1の値κ1を用いて算出された吸気管内圧力Pm1と吸気管内温度Tm1を用いて筒内吸入空気流量mcが算出される(ステップ309→ステップ311)。また、図15から明らかなように、本実施形態では、このスロットル弁が閉じる過渡時にあると判断された場合には、スロットル弁が動作状態にないと判断された通常状態の場合の制御(ステップ313)と同様の制御が実施されるようになっている。これは上述したように空気の慣性の影響がスロットル弁が閉じる過渡時においては比較的小さいため、補正の必要性が低いからである。なお、他の実施形態においては、スロットル弁が閉じる過渡時において通常状態の場合の制御(ステップ313)と異なる制御を行って補正がなされるようにしても良い。
図16は、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmの経時変化の一例について示した図である。点線が実際の吸気管内温度を示し、実線が上記係数κとして1.05を用いて算出した吸気管内温度、一点鎖線が上記係数κとして1.4を用いて算出した吸気管内温度を示している。この図から、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmを算出する場合には、上記係数κとしてより小さい値(すなわち、上記第2の値κ2(この例では、κ2=1.05))を用いて吸気管内温度Tmを算出すると、上記係数κとしてより大きな値(すなわち、上記第1の値κ1(この例では、κ1=1.4))を用いて吸気管内温度Tmを算出した場合よりも算出精度が低下してしまうことがわかる。
また、図17は、スロットル弁が開く過渡時における筒内吸入空気流量mcの経時変化の一例について示した図である。点線が実際の筒内吸入空気流量を示し、実線が上記係数κとして1.05を用いて算出した吸気管内圧力と吸気管内温度を用いて算出した筒内吸入空気流量、一点鎖線が上記係数κとして1.05を用いて算出した吸気管内圧力と上記係数κとして1.4を用いて算出した吸気管内温度とを用いて算出した筒内吸入空気流量示している。この図において点線と一点鎖線はほぼ重なっており、このことから本実施形態のようにすることによって、スロットル弁が開く過渡時における筒内吸入空気流量mcの算出精度が向上されることがわかる。
なお、上述した実施形態では、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmを精度良く求めるために、スロットル弁が開く過渡時においても上記係数κとして上記第1の値κ1を用いた上記吸入空気量モデルM20の計算が行なわれたが、他の実施形態においては、スロットル弁の開動作に伴う吸気管内での変化は上記吸気管部分内の既存空気の流入空気による圧縮であると共に等エントロピー変化であると仮定して吸気管内温度Tmを求め、計算時間の短縮を図るようにしても良い。図18は、この場合の概念説明図であり、スロットル弁の開動作に伴う吸気管内での変化の様子が図解的に示されている。
すなわち、この場合、上記吸気管部分内の既存空気の量Geと、同既存空気が、上記係数κとして上記第2の値κ2を用いて算出されたスロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力Pmuになるまで断熱圧縮された場合の圧縮後温度Tmeuと、スロットル弁が開くことにより上記吸気管部分内に新たに流入する流入空気の量Gnと、同流入空気の流入空気温度Tnとが求められ、上記圧縮後温度Tmeuの既存空気と上記流入空気温度Tnの流入空気とが混合された場合の温度が、スロットル弁が開く過渡時における上記吸気管内の温度Tmとして算出される。
より具体的には、上記既存空気の圧縮後温度Tmeuは、その圧縮前の圧力及び温度をそれぞれPmed及びTmedとすると、等エントロピー変化であると仮定していることから下記式(14)のように表せる。
ここで、κaは空気の比熱比に対応する定数であり、1.4である。
そして、求めるべきスロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmは、上記圧縮後温度Tmeuの既存空気と上記流入空気温度Tnの流入空気とが混合された場合の温度であるとするので、下記式(15)のように表すことができる。
そして、求めるべきスロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmは、上記圧縮後温度Tmeuの既存空気と上記流入空気温度Tnの流入空気とが混合された場合の温度であるとするので、下記式(15)のように表すことができる。
ここで、流入空気の量Gnはスロットル弁通過空気流量mtに基づいて求めることができ、流入空気温度Tnは、例えば大気温度Taとすることができる。また、上記既存空気の量Geは、上記吸気管部分の容積Vmと、上記圧縮前の圧力Pmed及び温度Tmedとを用いて求めることができる。
以上のように、この実施形態によれば、スロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmを精度良く求めるために、スロットル弁が開く過渡時において上記係数κとして上記第1の値κ1を用いた上記吸入空気量モデルM20の計算を行う必要がないので、上述した実施形態に比べて低い制御負荷でスロットル弁が開く過渡時における吸気管内温度Tmを求めることができる。
1 機関本体
5 燃焼室
6 吸気弁
7 吸気ポート
8 排気弁
9 排気ポート
11 燃料噴射弁
13 吸気管
18 スロットル弁
5 燃焼室
6 吸気弁
7 吸気ポート
8 排気弁
9 排気ポート
11 燃料噴射弁
13 吸気管
18 スロットル弁
Claims (5)
- 内燃機関の吸気通路のうちのスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管内の圧力をエネルギ保存則及び質量保存則に基づいて算出する管内圧力算出式を備えた内燃機関の制御装置であって、
スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力が算出される場合には、上記管内圧力算出式に基づきつつ空気の慣性の影響を補正するようにして上記吸気管内圧力が算出される、内燃機関の制御装置。 - 少なくともスロットル弁開度に基づいてスロットル弁通過空気流量を算出する通過空気流量算出式を更に備え、上記管内圧力算出式はスロットル弁通過空気流量を表す変数を含んでいて、
スロットル弁が閉じる過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合には、上記通過空気流量算出式から求められる値が上記管内圧力算出式のスロットル弁通過空気流量を表す上記変数に直接代入される一方、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合には、上記通過空気流量算出式から求められる値に対してスロットル弁開度変化に対する一次遅れを考慮した値が求められ、該値が上記管内圧力算出式のスロットル弁通過空気流量を表す上記変数に代入される、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 上記管内圧力算出式は空気の比熱比を表す係数を含んでいて、スロットル弁が開く過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合には、上記管内圧力算出式の空気の比熱比を表す上記係数として、スロットル弁が閉じる過渡時において上記吸気管内圧力を算出する場合に用いられる値よりも小さい値が用いられる、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 上記吸気管内の温度をエネルギ保存則及び質量保存則に基づいて算出する管内温度算出式と、
少なくとも上記吸気管内圧力と上記吸気管内温度とに基づいて筒内吸入空気流量を算出する吸入空気流量算出式とを更に備え、
上記管内圧力算出式及び上記管内温度算出式は空気の比熱比を表す係数を含んでいて、上記空気の比熱比を表す係数として第1の値を用いて上記管内圧力算出式及び上記管内温度算出式に基づいて第1の吸気管内圧力と第1の吸気管内温度を算出すると共に、上記空気の比熱比を表す係数として上記第1の値よりも小さい第2の値を用いて上記管内圧力算出式及び上記管内温度算出式に基づいて第2の吸気管内圧力と第2の吸気管内温度を算出し、
スロットル弁を閉じる過渡時においては、上記第1の吸気管内圧力と上記第1の吸気管内温度がその場合の上記吸気管内圧力と上記吸気管内温度とされて上記吸入空気流量算出式に用いられて筒内吸入空気流量が算出される一方、スロットル弁を開く過渡時においては、上記第2の吸気管内圧力と上記第1の吸気管内温度がその場合の上記吸気管内圧力と上記吸気管内温度とされて上記吸入空気流量算出式に用いられて筒内吸入空気流量が算出される、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 上記吸気管内の既存空気の量と、該既存空気がスロットル弁が開く過渡時における吸気管内圧力として算出された吸気管内圧力になるまで断熱圧縮された場合の圧縮後温度と、スロットル弁が開くことにより上記吸気管内に新たに流入する流入空気の量と、該流入空気の流入空気温度とが求められ、
上記圧縮後温度の既存空気と上記流入空気温度の流入空気とが混合された場合の温度が、スロットル弁が開く過渡時における上記吸気管内の温度として算出される、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
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Cited By (2)
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JP2011012634A (ja) * | 2009-07-03 | 2011-01-20 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
-
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- 2004-09-08 JP JP2004260704A patent/JP2006077620A/ja active Pending
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