JP2006041261A - バリ除去方法,ダイシング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チップのコーナー部分に生じたバリを好適に除去することが可能なバリ除去方法を提供すること。
【解決手段】 フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物50を,高速回転する切削ブレード22によってフィルム側の面から切削加工して,少なくともフィルム部分を略矩形の複数のチップ53に分割した後に,各チップ53のコーナー部分に生じたバリ81,82を除去するバリ除去方法が提供される。このバリ除去方法は,切削ブレード22と被加工物との対向位置で切削ブレード22の回転方向と逆方向に被加工物を切削ブレード22に対して相対移動させて,切削加工によって形成された切削溝72を切削ブレード22によってなぞることによって,コーナー部分に生じたバリ82を,なぞられた切削溝72に対して直交する他の切削溝71に逃がさないように,切削ブレード22と各チップ53との間に挟み込んで除去することを特徴とする。
【選択図】 図7


Description

本発明は,切削装置により被加工物を切削することによって生じたバリを除去するバリ除去方法,およびダイシング方法に関する。
ダイシング装置等の切削装置は,一般的に,半導体ウェハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと,環状の切削ブレードが装着された切削ユニットとを備えている。この切削装置は,高速回転させた切削ブレードを被加工物に切り込ませながら双方を相対移動させることによって,被加工物を切削加工して複数のチップに分割することができる。例えば,被加工物が略円盤状の半導体ウェハである場合,半導体ウェハの表面に格子状に配列されたストリート(切削ライン)に沿って切削加工することにより,半導体ウェハを複数の半導体チップに分割することができる。
ところで,被加工物が,銅や金,銀等の金属箔を積層した半導体ウェハである場合,ダイシング装置によって切削すると,切削溝の両側にひげ状の複数のバリ(長さ100〜200μm程度)が発生する。このバリは,積層間およびボンディング間を短絡させたり,傷つけたりするだけでなく,脱落して隣接する回路を損傷する等の不具合発生の原因となる。なお,かかるバリは,上記銅等が軟質で粘性が強く変形し易い性質を有するために発生するものと考えられる。
かかるバリに対処するために,特許文献1には,切削ブレードと被加工物が対向する位置において切削ブレードの回転方向と順方向に被加工物を相対的に移動せしめて被加工物を切削する切削工程と,切削ブレードと被加工物が対向する位置において切削ブレードの回転方向と逆方向に被加工物を相対的に移動せしめて,上記切削工程で形成された切削溝をなぞるバリ取り工程とを行うことが記載されている。
特開2001−77055号公報
ところで,近年,携帯電話やPDAなどの携帯端末が普及し,半導体チップの小型/薄型化が求められている。このため,半導体チップの収容率を高めるために,フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された基板の開発が進められており,フィルムを折り曲げて装着可能な基板なども登場している。
かかるパッケージ基板の例としては,例えば,フィルム上にベアチップや周辺回路部品を搭載して樹脂封止したSOF(System On Film)基板がある。また,フィルム裏面側にハンダボールが配設されたエリアアレイ端子構造を有するCSP(Chip Size Package)基板にも,フィルム上にベアチップを搭載するフィルムCSPと呼ばれるパッケージ基板が存在する。
これらのパッケージ基板のフィルム部分を上記切削ブレードで切断した場合にも,バリが発生し,このバリはチップの品質面やその後の生産工程で悪影響を及ぼす。例えば,フィルムCSPの場合には,分割したチップをコレットでピックアップする時に,チップ周辺にバリがあるため,チップがコレットに納まらず,ピックアップすることができない。
そこで,このようなパッケージ基板のフィルム部分を切削した時に生じたバリを,上記特許文献1に記載の手法で除去しようとすると,分割されたチップのコーナー部分に生じたバリを除去できないことが判明した。これは,バリの発生元であるフィルムの材質的な特性が,上記銅,金,および銀などとは異なることが原因であると推測される。
ただし,すべてのコーナー部分でバリの除去ができないわけではなく,矩形状のチップの4つのコーナー部分のうち,2チャンネル切断時における切削ブレードの進行方向後方側の2つのコーナー部分に大きなバリが発生し,かかる2つのバリを好適に除去することができないことを見出した。
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物を格子状に切削して複数のチップに分割したときに,各チップのコーナー部分に生じたバリを好適に除去することが可能な,新規かつ改良されたバリ除去方法およびダイシング方法を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物を,高速回転する切削ブレードによってフィルム側の面から切削加工して,少なくともフィルム部分を複数のチップに分割した後に,各チップのコーナー部分に生じたバリを除去するバリ除去方法が提供される。このバリ除去方法は,切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と逆方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,切削加工によって形成された切削溝を切削ブレードによってなぞることによって,コーナー部分に生じたバリを,なぞられた切削溝に対して直交する他の切削溝に逃がさないように,切削ブレードと各チップとの間に挟み込んで除去することを特徴とする。
かかる構成により,フィルム部分を分割したチップのコーナー部分に生じたバリを,直交する切削溝に逃がすことなく,好適に除去することができる。
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物を,高速回転する切削ブレードによってフィルム側の面から切削加工して,複数のチップに分割するダイシング方法が提供される。このダイシング方法は,(1)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と順方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,被加工物の少なくともフィルム部分を第1の方向に所定間隔で切削して,第1の切削溝を形成する第1の工程と;(2)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と順方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,被加工物の少なくともフィルム部分を,第1の方向に対して直交する第2の方向に所定間隔で切削して,第2の切削溝を形成し,少なくともフィルム部分を複数のチップに分割する第2の工程と;(3)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と逆方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,切削ブレードによって第1の切削溝をなぞることにより,各チップの第2の工程の切削方向後方側の2つのコーナー部分に生じたバリのうちいずれか一方のバリを,第2の切削溝に逃がさないように,切削ブレードと各チップとの間に挟み込んで除去するとともに,被加工物の第1の切削溝に沿った切り残し部分を切断する第3の工程と;(4)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と逆方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,切削ブレードによって第2の切削溝をなぞることにより,2つのコーナー部分のうち他方に生じたバリを,第1の切削溝に逃がさないように,切削ブレードと各チップとの間に挟み込んで除去するとともに,被加工物の第2の切削溝に沿った切り残し部分を切断して,被加工物全体を複数のチップに分割する第4の工程と;を含むことを特徴とする。
かかる構成により,ハーフカットの2段階目の切断工程である第3及び第4の工程で,フィルム部分を分割したチップの4つのコーナーのうち,第2の工程における切削方向後方側の2つのコーナー部分に生じたバリを,直交する切削溝に逃がすことなく,1つずつ好適に除去することができる。
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物を,高速回転する切削ブレードによってフィルム側の面から切削加工して,複数のチップに分割するダイシング方法が提供される。このダイシング方法は,(1)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と順方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,被加工物を第1の方向に所定間隔で切断して,第1の切削溝を形成する第1の工程と;(2)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と順方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,被加工物を,第1の方向に対して直交する第2の方向に所定間隔で切断して,第2の切削溝を形成し,被加工物を複数のチップに分割する第2の工程と;(3)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と逆方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,切削ブレードによって第1の切削溝をなぞることにより,各チップの第2の工程の切削方向後方側の2つのコーナー部分に生じたバリのうちいずれか一方のバリを,第2の切削溝に逃がさないように,切削ブレードと各チップとの間に挟み込んで除去する第3の工程と;(4)切削ブレードと被加工物との対向位置で切削ブレードの回転方向と逆方向に被加工物を切削ブレードに対して相対移動させて,切削ブレードを第2の切削溝に沿って相対移動させることにより,2つのコーナー部分のうち他方に生じたバリを,第1の切削溝に逃がさないように,切削ブレードと各チップとの間に挟み込んで除去する第4の工程と;を含むことを特徴とする。
かかる構成により,切削工程である第1及び第2工程で,被加工物をフルカットで切断してチップに分割した後に,バリ除去工程である第3及び第4の工程を行うことで,チップの4つのコーナーのうち,第2の工程における切削方向後方側の2つのコーナー部分に生じたバリを,直交する切削溝に逃がすことなく,1つずつ好適に除去することができる。
なお,上記切断方法では,第4の工程での切削ブレードの移動方向は,第2の工程での切削ブレードの移動方向と同一方向であることが好ましい。これにより,第3の工程で除去できなかったバリを,第4工程において,直交する切削溝に逃がすことなく,切削ブレードとチップとの間に挟み込んで好適に除去できる。
以上説明したように本発明によれば,被加工物の少なくともフィルム部分を格子状に切削した各チップのコーナー部分に生じたバリを,直交する切削溝に逃げないようにして好適に除去できる。このため,チップの品質を向上できるとともに,その後のピックアップ工程を支障なく実行できるなど,チップの生産工程を好適に実行することができる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施の形態)
まず,図1に基づいて,本発明の第1の実施形態にかかる切削装置の一例として構成されたダイシング装置10の全体構成について説明する。なお,図1は,本実施形態にかかるダイシング装置10を示す全体斜視図である。
図1に示すように,ダイシング装置10は,例えば,被加工物を切削加工する切削ユニット20と,上記被加工物を保持するチャックテーブル30と,切削ユニット20とチャックテーブル30とを相対移動させる移動機構(図示せず。)と,を主に備える。
切削ユニット20は,切削ブレード,スピンドル等を備えており,切削ブレードを高速回転させながら被加工物に切り込ませることで,被加工物を切削加工する。この切削ユニット20の詳細な構成については後述する。
チャックテーブル30は,被加工物を保持・固定する。このチャックテーブル30は,例えば,その上面に真空チャック機構を具備しており,被加工物を真空吸着して保持することができる。
また,移動機構は,例えば,切削ユニット移動機構とチャックテーブル移動機構とからなる(いずれも図示せず。)。このうち,切削ユニット移動機構は,切削ユニット20を切削方向(X軸方向)に対して直交する水平方向(Y軸方向;スピンドルの軸方向)に移動させ,切削ブレードの刃先を被加工物の各切削ライン(ストリート)に位置合わせすることができる。また,この切削ユニット移動機構は,切削ユニット20を垂直方向(Z軸方向)に移動させ,被加工物に対する切削ブレードの切り込み深さを調整することもできる。一方,チャックテーブル移動機構は,チャックテーブル30およびこれに保持された被加工物を切削方向(X軸方向)に移動させることができる。
ここで,図2に基づいて,本実施形態にかかる被加工物の一例であるフィルムCSP基板50について説明する。図2に示すように,フィルムCSP基板50は,例えば,矩形状を有するパッケージ基板である。このフィルムCSP基板50は,基材となるフィルム54と,このフィルム54上に形成されたパッケージ層55とからなる。
フィルム54は,例えばプラスチック等の合成樹脂製の基材である。パッケージ層55は,フィルム54の一面(図2では下面)上に縦横に規則的に配設された複数のベアチップ(図示せず。)を合成樹脂でパッケージ化した部分である。このベアチップは,例えば,ワイヤ,銅配線(図示せず。)などを介して,フィルム54の他面側に突設されたハンダボール端子(図示せず。)と接続されている。このようにフィルム54上に設置された複数のベアチップ全体が,合成樹脂でモールドされて,パッケージ化される。このようにパッケージ化されたフィルムCSP基板50を分割することによって,CSP(Chip Size Package)が形成される。なお,1つのCSP内に複数のベアチップを積層化したスタックドCSP(高密度パッケージ)とすることもできる。
かかるフィルムCSP基板を分割して個々のCSPチップに分割するために,フィルムCSP基板50には,切削ラインであるストリート51が格子状に配列されている。このストリート51は,第1の方向に延びる複数の第1ストリート51aと,この第1の方向に対して垂直な第2の方向に延びる複数の第2ストリート51bとからなる。かかる格子状のストリート51によって,複数の矩形領域52が区画されており,この矩形領域52の各々に上記CSPが形成されている。また,フィルムCSP基板50の端部にはCSPが形成されていない周縁部56が存在する。
また,このようなフィルムCSP基板50は,図2に示すような装着治具60に載置された上で,ダイシング装置10のチャックテーブル30に装着される。装着治具60は,例えば金属板からなり,フィルムCSP基板50より幾分大きい矩形状を有する。この装着治具60の上面の中央部には,切削ブレード逃げ用の溝61が格子状に配列されており,これらの溝61によって複数の矩形領域62が区画されている。矩形領域62は,フィルムCSP基板50の矩形領域52に各々対応しており,平面図における矩形領域62の寸法は,矩形領域52の寸法と略同一となっている。
また,矩形領域62の各々には,貫通した吸引孔63が形成されており,装着治具60の裏面には全ての吸引孔63と連通している吸引溝(図示せず。)が形成されている。フィルムCSP基板50は,装着治具60に各矩形領域52,53を整合するように載置される。このとき,図2に示すように,フィルムCSP基板50は,裏面(フィルム54側の面)を上向きにして,装着治具60上に載置される。これは,フィルム54側の面には上記ハンダボール端子が突出しているため,フィルム54側の面を下向きにして装着治具60上に載置すると,平坦に載置できないとともに,フィルムCSP基板50を好適に真空吸着できないからである。
このようにしてフィルムCSP基板50が載置された装着治具60は,図1に示したチャックテーブル30上に載置される。チャックテーブル30は,装着治具60より大きな矩形の吸引盤31を有しており,吸引盤31の中央部に形成された吸引管の開口32から真空吸引して,フィルムCSP基板50が載置された装着治具60を真空吸着する。この結果,フィルムCSP基板50は,装着治具60を介して,チャックテーブル30に真空吸着して保持される。
このようにしてフィルムCSP基板50が真空吸着されると,フィルムCSP基板50をアライメントするため,チャックテーブル30は,X軸方向に移動し,フィルムCSP基板50を撮像手段40の下方に位置づける。この撮像手段40によってフィルムCSP基板50の表面を撮像して,撮像画像を解析することにより,フィルムCSP基板50の配置状態やストリート51の位置を確認でき,チャックテーブル30のX方向の位置や回転角度,傾斜等を位置調整する。撮像手段40の画像はモニタ42にも表示され,オペレータによって確認される。
このようなアライメントの完了後,チャックテーブル30がX軸方向に移動して,フィルムCSP基板50は切削ユニット20の下方に位置づけられる。次いで,切削ユニット20の切削ブレードを高速回転させてフィルムCSP基板50に切り込ませながら,切削ユニット20とチャックテーブル30とを切削方向(X軸方向)相対移動させることにより,フィルムCSP基板50の第1チャンネル(即ち,第1の方向の全てのストリート51a)が切削加工される。この切削加工は,例えば,切削ユニット20を固定して,チャックテーブル30をX軸方向に往復動させることによって行われる。しかし,かかる例に限定されず,チャックテーブル30を固定して,切削ユニット20をX軸方向に往復動させて切削することもできる。
第1チャンネルの切削が終わると,チャックテーブル30を90度回転させた後,上記と同様に,フィルムCSP基板50の第2チャンネル(即ち,第2の方向の全てのストリート51b)が切削加工される。これにより,フィルムCSP基板50が格子状に切削され,複数のCSPチップに分割される。
なお,上記のような第1及び第2チャンネルの切削加工は,フルカットであっても,ハーフカットであってもよい。フルカットは,切削ブレードの切り込み深さを被加工物の厚さ以上に設定して,被加工物を1度の切削で完全に切断してしまう切削方式である。一方,ハーフカットは,切削ブレードの切り込み深さを被加工物の厚さ未満に設定して,被加工物の同一箇所を複数回(例えば2回)の切削で段階的に切断する切削方式である。
次に,図3に基づいて,本実施形態にかかる切削ユニット20の構成について説明する。なお,図3は,本実施形態にかかる切削ユニット20を示す斜視図である。
図3に示すように,切削ユニット20は,例えば,フランジ21と,切削ブレード22と,スピンドル24と,スピンドルハウジング26と,切削水供給ノズル28と,ホイルカバー29と,を主に備える。
切削ブレード22は,例えば,リング形状を有する極薄の切削砥石(所謂,ワッシャーブレード)であり,ダイヤモンド砥粒等を電鋳して形成される。かかる切削ブレード22は,例えば,フランジ21により両側より挟持された状態で,スピンドル24に軸着される。また,スピンドル24は,例えば,電動モータ(図示せず。)などの回転駆動力を切削ブレード22に伝達するための回転軸であり,装着された切削ブレード22を例えば30,000rpmで高速回転させる。また,スピンドルハウジング26は,このスピンドル24を覆うようにして設けられ,内部に備えたエアベアリング機構などにより,当該スピンドル24を高速回転可能に支持する。また,切削水供給ノズル28は,加工点付近に切削水を供給する切削水供給手段として構成されている。この切削水供給ノズル28は,例えば,切削ブレード22の下部側の両側に着脱可能に設けられ,切削ブレード22および加工点に向けて切削水を噴射して冷却する。また,ホイルカバー29は,切削ブレード22の外周を覆うにして設けられ,切削水や切り屑などの飛散を防止する。
かかる構成の切削ユニット20は,スピンドル24の回転駆動力により切削ブレード22を高速回転させ,かかる切削ブレード22をフィルムCSP基板50のフィルム54側の面に切り込ませて切削できる。これにより,フィルムCSP基板50の切削ライン(ストリート51)に沿って極薄の切削溝(カーフ)を形成することができる。
次に,図4および図5A〜Dに基づいて,上記構成のダイシング装置10を用いた本実施形態にかかるダイシング方法について説明する。なお,図4は,本実施形態にかかるダイシング方法を示すフローチャートである。図5A〜Dは,本実施形態にかかるダイシング方法の各工程におけるフィルムCSP基板50の切削状態を示す平面図である。なお,図5A〜D中の矢印は,フィルムCSP基板50に対する切削ブレード22の進行方向を示す。
上述したように,フィルムCSP基板50は,フィルム54側の面(裏面)にハンダボールが突設されているため,フィルム54側の面を上向きにしてチャックテーブル30に載置され,パッケージ層55側の面(表面)を吸着保持される。このため,切削加工時には,切削ブレード22を上方から当該フィルム54側の面に切り込ませて切削を行うことになる。
図4に示すように,本実施形態にかかるダイシング方法は,第1〜第4の工程からなる。このダイシング方法は,ハーフカット方式を採用しており,例えば2段階の切削加工によってフィルムCSP基板50を段階的に切削して,チップ状に分割する。
第1および第2の工程は,ハーフカットの1段階目の切削工程である。この第1および第2の工程では,フィルムCSP基板50を,フィルム54側の面から所定の切り込み深さで第1および第2の方向に格子状に切削し,少なくともフィルム54部分を賽の目状にダイシングする。かかる第1および第2の工程は,ダウンカットで行われる。
このダウンカットは,図6(a)に示すように,切削ブレード22とフィルムCSP基板50とが対向する位置で,切削ブレード22の回転方向と順方向にフィルムCSP基板50を移動させて,フィルムCSP基板50を切削する方式である。第1および第2の工程で,このダウンカットを採用するのは,次のような理由による。つまり,この第1および第2の工程で,切削ブレード22を逆方向に回転させるアップカットにすると,バリがフィルム54の上面に向かって発生するため,バリが大きくなってしまう傾向があり,さらに,フィルム54とベアチップとを剥離するような方向に力が働いてしまう。このため,ハーフカットの1段階目の切削工程である第1および第2の工程では,アップカットは適当でなく,ダウンカットが好適である。
一方,第3および第4の工程は,上記第1および第2の工程によるフィルムCSP基板50の切り残し部分を切断するハーフカットの2段階目の切削工程と,上記第1および第2の工程で生じたバリを除去するバリ取り工程と,を兼ねた工程である。この第3および第4の工程は,アップカットで行われる。
このアップカットは,図6(b)に示すように,切削ブレード22とフィルムCSP基板50とが対向する位置で,切削ブレード22の回転方向と逆方向にフィルムCSP基板50を移動させて,フィルムCSP基板50を切削する方式である。第3および第4の工程で,このアップカットを採用する理由は,上記ダウンカットによる第1および第2の工程で生じたバリに対して,上記とは反対方向に回転する切削ブレード22によって反対側から大きな力を与えることで,当該バリを好適に除去できるからである。このアップカットによるバリ除去性能が高いことは,過去の実験データによっても裏付けられている。
以下に,このような第1〜第4工程について個々に詳細に説明する。
まず,第1の工程であるステップS11では,図5Aに示すように,上記ダウンカットにより,フィルムCSP基板50が第1の方向に所定間隔で平行にハーフカットされ,複数の第1の切削溝71が形成される(ステップS11:第1の工程)。
具体的には,本ステップS11では,ダウンカット回転する切削ブレード22によって,フィルムCSP基板50の第1の方向に延びる複数の第1ストリート51a(第1チャンネル)が,一方向(図5Aでは左から右方向)に切削される。なお,第1の工程での切削方向は,必ずしも一方向でなくてもよく,ストリート51aごとに任意の方向であってよい。また,切削ブレード22の切り込み深さは,図6(a)に示したように,フィルムCSP基板50の少なくともフィルム54部分を切断し,フィルムCSP基板50全体を切断しないような所定の深さである。このような切削加工により,フィルムCSP基板50のフィルム54側の面には,第1の方向に平行な複数の第1の切削溝71が形成される。
次いで,第2の工程であるステップS12では,図5Bに示すように,上記ダウンカットにより,フィルムCSP基板50が,上記第1の方向に対して垂直な第2の方向に,所定間隔で平行にハーフカットされ,複数の第2の切削溝72が形成される(ステップS12:第2の工程)。
具体的には,本ステップS12では,まず,チャックテーブル30を90度回転させて,フィルムCSP基板50の第1ストリート51bの延長方向(第2の方向)を,切削方向(X軸方向)に位置合わせする。次いで,ダウンカット回転する切削ブレード22によって,この第2の方向に延びる複数の第2ストリート51b(第2チャンネル)が,一方向(図5Bでは下から上方向)に切削される。なお,各第2ストリート51bの切削方向は,同一方向であれば,逆方向(図5Bの上から下方向)であってもよい。また,切削ブレード22の切り込み深さは,図6(a)に示したように,フィルムCSP基板50の少なくともフィルム54部分を切断し,フィルムCSP基板50全体を切断しないような所定の深さであり,上記第1工程と略同一の深さである。このような切削加工により,フィルムCSP基板50のフィルム54側の面には,平行な複数の第2の切削溝72が形成される。
以上のような第1および第2工程によって,フィルムCSP基板50の第1チャンネル及び第2チャンネルが切削される。これにより,少なくともフィルム54部分が格子状にダイシングされて,複数のチップ53に分割されるが,双方の切削溝71,72に沿って切り残し部分があるため,フィルムCSP基板50全体が複数のチップに分割されるわけではない。
このような第1および第2工程での切削加工が終了すると,図5Bに示すように,フィルム部分54が分割された略矩形状の各チップ53の4辺のうち,第2の工程における切削方向後方側に位置する一辺(図5Bでは下辺53a)の両端のコーナーに,特に大きなバリ81,82が発生してしまう。このコーナー部分のバリ81,82は,図7(a)に示すように,フィルム54の切断部分が複数の糸状となって相互に絡まり合ったものであり,チップ53の各辺に発生したバリと比べて非常に長くて太い。このバリ81,82は,第2の工程の終了後には,ダウンカットによる切削ブレード22の回転方向に従い,第2の工程での切削方向と反対方向(図7(a)では下向き)に延びている。
このような,各チップ53の下辺53aのコーナー部分に生じた大きなバリ81,82は,後工程であるピックアップ工程において,チップ53を好適にピックアップできない原因となるので,除去することが求められる。なお,本願発明者による実験結果によれば,図7(a)に示すように,各チップ53の第2の工程における切削方向前方に位置する一辺(上辺)のコーナーには,大きなバリが発生しないことがわかっている。従って,各チップ53のコーナー部分のバリの除去に関しては,上述した下辺53aの両コーナーに発生したバリ81,82のみについて考えれば良い。
ところで,このように各チップ53のコーナーに発生したバリ81,82の除去は困難である。この原因は,切削溝71または72を切削ブレード22でなぞってバリ81,82を除去しようとしても,バリ81,82が,直交する方向の切削溝72または71に,逃げてしまうことにある。例えば,第1の切削溝71を切削ブレード22によってなぞってバリ81,82を除去しようとすると,第1の切削溝71と直交する第2の切削溝72に,バリ81,82のいずれか一方が逃げてしまう。従って,コーナーのバリ81,82を確実に除去するためには,バリ81,82が直交する方向の切削溝71または72に逃げないようにしなければならない。そこで,以下に示す第3および第4の工程では,上記各チップ53の下辺53aの両コーナーに生じたバリ81,82を,直交する切削溝に逃げないように1つずつ追い込んで,確実に除去する手法を採用している。
次いで,第3の工程であるステップS13では,図5Cに示すように,上記第1の工程で生じた第1の切削溝71に沿って,切削ブレード22によってアップカットすることにより,フィルムCSP基板50を第1の方向に切断するとともに,上記各チップ53のコーナーに生じたバリ81,82のいずれか一方を除去する(ステップS13:第3の工程)。
具体的には,図6(b)に示すようにアップカット回転させた切削ブレード22によって,フィルムCSP基板50を貫通するような切り込み深さで,図5Cに示すように各第1の切削溝71を一方向(図5Cでは右から左方向)になぞる。これにより,第1の工程でハーフカットしたフィルム54部分以外の切り残し部分(第1の切削溝71の下側部分)を完全に切断すると同時に,チップ53の下辺53aの両コーナーのバリ81,82のうち,切削ブレード22の移動方向後方に位置する一方のバリ(図5Cでは右端コーナーのバリ81)が除去される。
この一方のコーナーのバリ81の除去について詳細に説明する。図7(b)に示すように,切削ブレード22によって第1の切削溝71を右から左方向になぞることによって,チップ53の下辺53aの右端コーナーにある大きなバリ81は,第1の切削溝71と直交する第2の切削溝72に逃げることができず,切削ブレード22の側面22aと,チップ53の下辺53aとの間に挟み込まれて除去される。また,これと同時に,第1の切削溝71の両側(チップ53の下辺53aおよび上辺53b)のコーナー以外の箇所に生じている小さなバリも,切削ブレード22と接触して除去される。一方,チップ53の下辺53aの左端コーナーにある大きなバリ82は,切削ブレード22が作用しても,第2の切削溝72に逃げることができるので,除去されずに残存してしまう。しかし,このバリ82は,第3の工程で切削ブレード22と接触して,第1の切削溝71内から第2の切削溝72内に押し出されるので,次の第4の工程で除去可能となる。
なお,この第3の工程での切削ブレード22の移動方向は,上記のような全ての第1の切削溝71について右から左へ一方向でなくてもよく,例えば,全ての第1の切削溝71について左から右に一方向に移動させてもよい。この場合には,チップ53の下辺53aの左端コーナーに生じたバリ82を除去できるが,右端コーナーに生じたバリ81が残存することになる。また,第3の工程での切削ブレード22の移動方向は,必ずしも全ての第1の切削溝71について一方向でなくてもよく,第1の切削溝71ごとに任意の方向(右から左,若しくは左から右)であってもよい。この場合には,第1の切削溝71ごとに切削ブレード22の移動方向の後方に位置するいずれかのバリ81または82が残存することになる。
その後,第4の工程であるステップS14では,図5Dに示すように,上記第2の工程で生じた第2の切削溝72に沿って,第2の工程の切削方向と同一方向に,切削ブレード22によってアップカットする。これにより,フィルムCSP基板50を第2の方向に切断して,フィルムCSP基板50全体を矩形状のチップ53に完全に分割するとともに,上記各チップ53のコーナーに生じたバリ81,82のうち,第3の工程で除去されなかった方のバリを除去する(ステップS14:第4の工程)。
具体的には,図6(b)に示すようにアップカット回転させた切削ブレード22によって,フィルムCSP基板50を貫通するような切り込み深さで,図5Dに示すように各第2の切削溝72を一方向(図5Dでは下から上方向)になぞる。これにより,第2の工程でハーフカットしたフィルム54部分以外の切り残し部分(第2の切削溝72の下側部分)を完全に切断すると同時に,チップ53の下辺53aの両コーナー部分のバリ81,82のうち,上記第3の工程で除去されなかった他方のバリ(図5Dでは左端コーナーのバリ82)が除去される。
この他方のコーナーのバリ82の除去について詳細に説明する。図7(c)に示すように,切削ブレード22によって第2の切削溝72を下から上方向になぞることによって,チップ53の下辺53aの左端コーナーにある大きなバリ82は,第2の切削溝72と直交する第1の切削溝71に逃げることができず,切削ブレード22の側面22aと,チップ53の左辺53cとの間に挟み込まれて除去される。また,これと同時に,第2の切削溝72の両側(チップ53の左辺53cおよび右片53d)のコーナー以外の箇所に生じている小さなバリも,切削ブレード22と接触して除去される。
このように,第4の工程では,第3の工程で第2の切削溝72に逃げて残存しているバリ82が,切削ブレード22の移動方向と直交する第1の切削溝71に再び逃げないように,バリ82が残存しているコーナーが切削ブレード22の進行方向後方に位置するように,切削ブレード22の進行方向が設定される。このように設定される切削ブレード22の進行方向は,第2の工程における切削方向と同一の方向であり,図5の例では下から上に向かう方向である。
つまり,残存しているコーナーのバリ82を第1の切削溝71に逃がさないようにして挟み込んで除去するためには,切削ブレード22の進行方向の手前側に,各チップ53の除去すべきバリ82が存在するコーナーが位置するようにフィルムCSP基板50を配置して,アップカットすれば良いことになる。
上記のように,第3の工程では,切削ブレード22の進行方向は右から左,或いは左から右のいずれの方向であってもよいが,いずれの場合であっても,除去されずに残存したバリ81または82は第2の切削溝72内に押し出されている。このため,第4の工程において,切削ブレード22が第2の工程と同一方向で第2の切削溝72をなぞることによって,残存したバリ81または82を挟み込んで除去することができる。
以上のように,第1の実施形態にかかるダイシング方法では,フィルムCSP基板50をハーフカット(1段階目)することによって,チップ53の2つのコーナー部分に生じたバリ81,82を,ハーフカットの2段階目の切削加工を兼ねたアップカットにより,確実に除去することができる。
(第2の実施形態)
次に,本発明の第2の実施形態にかかるダイシング方法について説明する。第2の実施形態にかかるダイシング方法は,上記第1の実施形態にかかるダイシング方法と比べて,(1)ハーフカットではなくフルカットによってフィルムCSP基板50をダイシングする点と,(2)第3および第4の工程がバリ除去専用の工程である点で,相違するのみであり,その他の機能構成は,上記第1の実施形態にかかるダイシング方法と略同一であるので,それらの詳細説明は省略する。
ここで,図8に基づいて,上記構成のダイシング装置10を用いた第2の実施形態にかかるダイシング方法について説明する。なお,図8は,第2の実施形態にかかるダイシング方法を示すフローチャートである。
図8に示すように,まず,第1の切削工程であるステップS21では,上記ダウンカットにより,フィルムCSP基板50が第1の方向に所定間隔で平行にフルカットされ,複数の第1の切削溝71が形成される(ステップS21:第1の工程)。
次いで,第2の切削工程であるステップS22では,上記ダウンカットにより,フィルムCSP基板50が第2の方向に所定間隔で平行にフルカットされ,複数の第2の切削溝72が形成される(ステップS22:第2の工程)。
このような第1及び第2の工程では,切削ブレード22の切り込み深さが,フィルムCSP基板50を1回の切削加工で完全に切断できる深さである。このため,第1の切削溝71および第2の切削溝72は,フィルムCSP基板50を貫通するよう形成される。従って,かかる第1及び第2の工程によって,フィルムCSP基板50全体が,複数のチップ53に完全に分割される。この場合であっても,フィルムCSP基板50のフィルム54部分をダウンカットすることによって,各チップ53の第2の工程の切削方向後方側の2つのコーナーに上記のような大きなバリ81,82がそれぞれ発生する。
さらに,第1のバリ除去工程であるステップS23では,上記第1の工程で生じた第1の切削溝71に沿って,切削ブレード22によってアップカットすることにより,上記各チップ53のコーナーに生じたバリ81,82のいずれか一方を除去する(ステップS23:第3の工程)。
具体的には,アップカット回転させた切削ブレード22によって,各第1の切削溝71を例えば一方向になぞる。これにより,各チップ53の上記2つコーナーのバリ81,82のうち,切削ブレード22の進行方向後方側にある一方のバリが,直交する第2の切削溝72に逃げることができないため,切削ブレード22とチップ53との間に挟み込まれて除去される。一方,他方のバリは,第2の切削溝72に逃げて残存する。
その後,第2のバリ除去工程であるステップS24では,上記第2の工程で生じた第2の切削溝72に沿って,第2の工程の切削方向と同一方向に,切削ブレード22によってアップカットすることにより,上記各チップ53のコーナーに生じたバリ81,82のうち,第3の工程で除去されなかった方のバリを除去する(ステップS24:第4の工程)。
具体的には,アップカット回転させた切削ブレード22によって,各第2の切削溝72を一方向になぞる。これにより,各チップ53の上記2つコーナーのバリ81,82のうち,上記第3の工程で除去されなかった他方のバリが,直交する第1の切削溝71に逃げることができないため,切削ブレード22とチップ53との間に挟み込まれて除去される。
このように,第2の実施形態にかかるダイシング方法では,フィルムCSP基板50をフルカットすることによって,チップ53のコーナー部分に生じたバリ81,82を,フルカット後に,バリ取り用のアップカットを行うことで,確実に除去することができる。
以上,第1および第2の実施形態にかかるダイシング方法について説明した。かかるダイシング方法によれば,第1および第2の工程で,フィルムCSP基板50のフィルム54部分を格子状にダイシングして複数のチップ53に分割したときの,当該チップ53の2つのコーナーに生じた大きなバリ81,82を,第3及び第4の工程で,切削ブレード22の進行方向と直交する切削溝71または72に逃げないよう,切削ブレード22とチップ53との間に挟むようにして,一つずつ確実に除去することができる。
このため,後続のピックアップ工程では,大きなバリの存在によって,コレットによるチップ53のピックアップが妨害されることがないので,円滑にチップ53をピックアップできる。また,バリを除去することで,チップ53の品質を向上させることもできる。
さらに,第1の実施形態では,第3及び第4の工程は,バリ除去工程のみならず,ハーフカットの2段階目の切断工程を兼ねているので,ダイシング工程を効率化することができる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上記実施形態では,被加工物としてフィルムCSP基板50の例を挙げて説明したが,かかる例に限定されない。被加工物は,フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された基板であれば,例えば,SOF(System On Film)基板,TCP(Tape Carrier Package)基板などであってもよい。
また,上記実施形態では,第2の工程で切削ブレード22を下から上に向けて移動させて第2の切削溝72を形成したが,本発明はかかる例に限定されない。例えば,第2の工程では,切削ブレード22を上から下に向けて移動させて第2の切削溝72を形成してもよい。この場合には,チップ53の上辺53bの両端のコーナーに大きなバリが発生することになる。このため,第3の工程での切削ブレード22の進行方向は左右どちらの方向でもよいが,第4の工程で切削ブレード22の進行方向を,第2の工程と同一の上から下方向にすることで,当該バリを除去することができる。
なお,理論的には,切削ブレード22の回転方向を変えれば,上記各工程における切削ブレード22に進行方向の組み合わせはさらに増える。例えば,バリ除去のための第3及び第4の工程を上記のようなアップカットではなく,ダウンカットにする手法が考えられる。しかし,実験結果では,ダウンカットでバリを除去しようとしても,全く効果がないというデータが得られているので,不適である。
また,上記実施形態では,フィルムCSP基板50のフィルム54部分を分割したチップ53の下辺53aの両端のコーナーに生じたバリ81,82を除去する例について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。本発明のバリ除去方法は,例えば,上記各種のフィルムを有する基板を,矩形状のチップ状に切断した場合における,当該チップの任意のコーナーに生じたバリを除去する場合に適用できる。
本発明は,切削装置を用いたダイシング方法に適用可能であり,特に,パッケージ基板のフィルム部分を切削したときに生じるバリを好適に除去可能なダイシング方法に適用可能である。
本発明の第1の実施形態にかかるダイシング装置を示す全体斜視図である。 同実施形態にかかる被加工物の一例であるフィルムCSP基板と,装着治具を示す斜視図である。 同実施形態にかかる切削ユニットを示す斜視図である。 同実施形態にかかるダイシング方法を示すフローチャートである。 同実施形態にかかるダイシング方法の第1の工程におけるフィルムCSP基板の切削状態を示す平面図である。 同実施形態にかかるダイシング方法の第2の工程におけるフィルムCSP基板の切削状態を示す平面図である。 同実施形態にかかるダイシング方法の第3の工程におけるフィルムCSP基板の切削状態を示す平面図である。 同実施形態にかかるダイシング方法の第4の工程におけるフィルムCSP基板の切削状態を示す平面図である。 同実施形態にかかるダウンカットとアップカットを説明するための切削ブレードとフィルムCSP基板との位置関係を示す側面図である。 同実施形態にかかるダイシング方法の各工程におけるフィルムCSP基板の切削状態を示す拡大平面図である。 本発明の第2の実施形態にかかるダイシング方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10 : ダイシング装置
20 : 切削ユニット
22 : 切削ブレード
24 : スピンドル
30 : チャックテーブル
50 : フィルムCSP基板
53 : チップ
54 : フィルム
60 : 装着治具
71 : 第1の切削溝
72 : 第2の切削溝
81,82 : バリ

Claims (3)

  1. フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物を,高速回転する切削ブレードによって前記フィルム側の面から切削加工して,少なくとも前記フィルム部分を複数のチップに分割した後に,前記各チップのコーナー部分に生じたバリを除去するバリ除去方法であって:
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と逆方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記切削加工によって形成された切削溝を前記切削ブレードによってなぞることによって,前記コーナー部分に生じたバリを,前記なぞられた切削溝に対して直交する他の切削溝に逃がさないように,前記切削ブレードと前記各チップとの間に挟み込んで除去することを特徴とする,バリ除去方法。
  2. フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物を,高速回転する切削ブレードによって前記フィルム側の面から切削加工して,複数のチップに分割するダイシング方法であって:
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と順方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記被加工物の少なくともフィルム部分を第1の方向に所定間隔で切削して,第1の切削溝を形成する第1の工程と;
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と順方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記被加工物の少なくともフィルム部分を,前記第1の方向に対して直交する第2の方向に所定間隔で切削して,第2の切削溝を形成し,少なくとも前記フィルム部分を複数のチップに分割する第2の工程と;
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と逆方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記切削ブレードによって前記第1の切削溝をなぞることにより,前記各チップの前記第2の工程の切削方向後方側の2つのコーナー部分に生じたバリのうちいずれか一方のバリを,前記第2の切削溝に逃がさないように,前記切削ブレードと前記各チップとの間に挟み込んで除去するとともに,前記被加工物の前記第1の切削溝に沿った切り残し部分を切断する第3の工程と;
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と逆方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記切削ブレードによって前記第2の切削溝をなぞることにより,前記2つのコーナー部分のうち他方に生じたバリを,前記第1の切削溝に逃がさないように,前記切削ブレードと前記各チップとの間に挟み込んで除去するとともに,前記被加工物の前記第2の切削溝に沿った切り残し部分を切断して,前記被加工物全体を複数のチップに分割する第4の工程と;
    を含むことを特徴とする,ダイシング方法。
  3. フィルム上に複数のベアチップがパッケージ化された被加工物を,高速回転する切削ブレードによって前記フィルム側の面から切削加工して,複数のチップに分割するダイシング方法であって:
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と順方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記被加工物を第1の方向に所定間隔で切断して,第1の切削溝を形成する第1の工程と;
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と順方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記被加工物を,前記第1の方向に対して直交する第2の方向に所定間隔で切断して,第2の切削溝を形成し,前記被加工物を複数のチップに分割する第2の工程と;
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と逆方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記切削ブレードによって前記第1の切削溝をなぞることにより,前記各チップの前記第2の工程の切削方向後方側の2つのコーナー部分に生じたバリのうちいずれか一方のバリを,前記第2の切削溝に逃がさないように,前記切削ブレードと前記各チップとの間に挟み込んで除去する第3の工程と;
    前記切削ブレードと前記被加工物との対向位置で前記切削ブレードの回転方向と逆方向に前記被加工物を前記切削ブレードに対して相対移動させて,前記切削ブレードを前記第2の切削溝に沿って相対移動させることにより,前記2つのコーナー部分のうち他方に生じたバリを,前記第1の切削溝に逃がさないように,前記切削ブレードと前記各チップとの間に挟み込んで除去する第4の工程と;
    を含むことを特徴とする,ダイシング方法。
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