以下、添付図面を参照して本実施形態を説明する。まず、本実施形態に係るパッケージ基板の構成例について説明する。図1(A)はパッケージ基板11を示す平面図であり、図1(B)はパッケージ基板11を示す底面図であり、図1(C)はパッケージ基板11を示す正面図である。なお、パッケージ基板11の種類、材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、パッケージ基板11としてCSP(Chip Size Package)基板やQFNパッケージ(Quad For Non-Lead Package)基板等を用いることができる。
パッケージ基板11は、表面13a及び裏面13bを有し平面視で矩形状に形成された板状のベース基板13を備える。ベース基板13は、例えば42アロイ(鉄とニッケルとの合金)や銅等の金属を用いて形成される。なお、ベース基板13の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。
ベース基板13の裏面13b側には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等でなるデバイスを含む複数のデバイスチップ(不図示)が配置されている。なお、デバイスチップの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等に制限はない。これらのデバイスチップは、ベース基板13の裏面13b側に形成された樹脂層(モールド樹脂)15によって覆われ、封止されている。
図1(A)に示すように、パッケージ基板11は互いに交差するように格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)17によって複数の領域(デバイス領域11a)に区画されており、デバイスチップはそれぞれこのデバイス領域11aに配置されている。また、パッケージ基板11は、複数のデバイス領域11aを囲む外周余剰領域11bを備える。
パッケージ基板11を分割予定ライン17に沿って分割することにより、各デバイス領域11aが分離され、樹脂によって封止されたデバイスチップをそれぞれ含む複数のパッケージデバイスが得られる。パッケージ基板11の分割は、例えば円環状の切削ブレードによってパッケージ基板11を切削することにより実施される。
なお、ベース基板13の表面13a側には、銅等の金属でなる複数の電極19が分割予定ライン17に沿って配列されている。電極19は、ベース基板13の裏面13b側に配置されたデバイスチップと金属ワイヤー(不図示)等を介して接続されており、ベース基板13の表面13a側で露出している。この電極19は、パッケージ基板11が複数のパッケージデバイスに分割された後、該パッケージデバイスを他の実装基板等に実装する際の接続電極として機能する。
また、ベース基板13の表面13a側には、分割予定ライン17の位置を示す複数のアライメントマーク21が付されている。このアライメントマーク21は、パッケージ基板11を切削する際、パッケージ基板11と切削ブレードとの位置合わせの目印となる。図1(A)には、各分割予定ライン17に対してそれぞれ一対のアライメントマーク21が2組ずつ付された例を示している。具体的には、一の分割予定ライン17の一端側と他端側にそれぞれ、2つのアライメントマーク21が付されている。
なお、アライメントマーク21は、ベース基板13の裏面13b側に付されていてもよいし、表面13a側と裏面13b側の両方に付されていてもよい。また、一部の分割予定ライン17のみに対してアライメントマーク21が付されていてもよい。なお、一の分割予定ライン17に対して付されるアライメントマーク21の数に制限はない。
図2は、パッケージ基板11の一部を拡大して示す平面図である。図2には、4本の分割予定ライン17(17a,17b,17c,17d)にそれぞれ対応する、4組のアライメントマーク21(21a,21b,21c,21d)を示している。また、図2には、パッケージ基板11を後述の第1切削ブレード14(図5(A)参照)で分割予定ライン17に沿って切削する際に、第1切削ブレード14によって切削される領域に相当する切削領域11cを示している。切削領域11cの幅Wは、第1切削ブレード14の幅に対応する。
一対のアライメントマーク21はそれぞれ、切削領域11cを切削領域11cの幅方向で挟み、且つ、切削領域11cと重畳しない位置に付されている。そのため、後述の第1切削ステップにおいてパッケージ基板11を第1切削ブレード14で切削しても、アライメントマーク21は切削されずに残存する。
なお、デバイス領域11aにはデバイスチップや配線等が配置されており、デバイス領域11aにアライメントマーク21を付すとデバイスチップの特性等に影響を与えることがある。そのため、アライメントマーク21は複数のデバイス領域11aの外部に付されることが好ましい。図1(A)には、複数のアライメントマーク21がそれぞれ、複数のデバイス領域11aの外部に位置する外周余剰領域11bに付された例を示している。
本実施形態に係るパッケージ基板の加工方法では、まず、上記のアライメントマーク21が付されたパッケージ基板11を準備する(パッケージ基板準備ステップ)。なお、パッケージ基板11の具体的な製造方法やアライメントマーク21を付する方法に制限はない。例えば、電極19を形成する際、電極19と同じ材料を用いて外周余剰領域11bにアライメントマーク21となる電極パターンを形成してもよい。また、アライメントマーク21はパッケージ基板11の外周余剰領域11bを着色することによって付されてもよい。
次に、切削装置を用いてパッケージ基板11を切削することにより、パッケージ基板11を複数のパッケージデバイスに分割する。切削装置によってパッケージ基板11を切削する際は、まず、パッケージ基板11を環状のフレームで支持する。図3は、フレーム25によって支持されたパッケージ基板11を示す平面図である。
パッケージ基板11の裏面側(樹脂層15(図1(B)参照)側)には、パッケージ基板11の全体を覆うことが可能な径をもつ円形のテープ23が貼着される。テープ23は、例えばポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなる基材上に、ゴム系やアクリル系の粘着層(糊層)を形成することによって得られる柔軟なフィルムである。
テープ23の外周部には、環状のフレーム25が貼付される。フレーム25は、パッケージ基板11を収容可能な径をもつ円形の開口25aを備える。パッケージ基板11は、その表面側(ベース基板13の表面13a側)が上方に露出するように開口25aの内側に配置された状態で、テープ23を介してフレーム25によって支持される。
ただし、テープ23はパッケージ基板11の表面側(ベース基板13の表面13a側)に貼付されてもよい。この場合、パッケージ基板11は、その裏面側(樹脂層15側)が上方に露出した状態でフレーム25によって支持される。また、テープ23には複数のパッケージ基板11が貼付されてもよい。この場合には、複数のパッケージ基板11を収容可能な径をもつ開口25aを備えたフレーム25が用いられる。
なお、パッケージ基板11は必ずしもフレーム25で支持される必要はない。フレーム25を用いない場合は、例えば、パッケージ基板11の表面側又は裏面側にパッケージ基板11と概ね同じサイズに形成された矩形状のテープが貼付される。また、パッケージ基板11の保持に後述の治具テーブル30(図9(A)、図9(B)参照)を用いる場合は、パッケージ基板11へのテープの貼着を省略できる。
フレーム25によって支持されたパッケージ基板11は、切削装置に搬送され、切削装置が備えるチャックテーブルによって保持される。そして、パッケージ基板11は第1切削ブレード14(図5(A)参照)及び第2切削ブレード24(図8参照)によって切削され、複数のパッケージデバイスに分割される。
パッケージ基板11を第1切削ブレード14で切削する際には、まず、アライメントマーク21の位置に基づいて第1切削ブレード14で切削すべき分割予定ライン17の位置を検出する(第1検出ステップ)。図4(A)は、第1検出ステップでのパッケージ基板11を示す正面図である。
図4(A)に示す切削装置2は、パッケージ基板11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)4を備える。チャックテーブル4はモータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、この回転駆動源はチャックテーブル4をZ軸方向(鉛直方向、上下方向)に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。また、チャックテーブル4は移動機構(不図示)に連結されており、この移動機構はチャックテーブル4をX軸方向(第1水平方向、加工送り方向)に沿って移動させる。
チャックテーブル4の上面は、多孔性セラミックス等によって形成されており、パッケージ基板11を保持する保持面4aを構成する。保持面4aは、X軸方向及びY軸方向(第2水平方向、割り出し送り方向)と概ね平行に形成されており、チャックテーブル4の内部に設けられた吸引路(不図示)等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
チャックテーブル4でパッケージ基板11を保持する際は、まず、パッケージ基板11の裏面側(テープ23側)と保持面4aとが対向するように、パッケージ基板11をチャックテーブル4上に配置する。また、パッケージ基板11を支持するフレーム25(図3参照)を、チャックテーブル4の周囲に設けられた複数のクランプ(不図示)によって固定する。この状態で保持面4aに吸引源の負圧を作用させると、パッケージ基板11がテープ23を介してチャックテーブル4によって吸引保持される。
チャックテーブル4の上方には、チャックテーブル4によって保持されたパッケージ基板11を撮像する撮像ユニット(カメラ)6が設けられている。撮像ユニット6は、切削装置2の各構成要素の動作を制御する制御部8と接続されている。撮像ユニット6によって取得されたパッケージ基板11の画像は制御部8に出力され、制御部8によって所定の画像処理が行われる。
第1検出ステップでは、まず、チャックテーブル4によって保持されたパッケージ基板11を撮像ユニット6で撮像する。そして、撮像によって得られた画像に基づき、後述の第1切削ステップで第1切削ブレード14(図5(A)参照)によって切削すべき分割予定ライン17の位置を検出する。
具体的には、撮像ユニット6によってパッケージ基板11の一部が撮像され、撮像によって取得された画像(撮像画像)が制御部8に出力される。このとき撮像ユニット6は、パッケージ基板11のうち、特にアライメントマーク21(図1(A)等参照)が付された領域の近傍を撮像する。
また、制御部8には、パッケージ基板11のうちアライメントマーク21が付された領域と同一のパターンをもつ、第1参照用画像(第1テンプレート画像)10が記憶されている。図4(B)は、第1参照用画像10を示す図である。第1参照用画像10には、パッケージ基板11に付された一対のアライメントマーク21(図1(A)等参照)に対応する一対のパターン10aが含まれる。
制御部8は、撮像ユニット6によって取得された撮像画像と、第1参照用画像10とのパターンマッチングを行う。具体的には、一対のアライメントマーク21を含む撮像画像と、一対のパターン10aを含む第1参照用画像10とが比較され、両者が一致するか否かが判別される。
撮像画像と第1参照用画像10とが一致する場合、制御部8は、該撮像画像が取得された際のチャックテーブル4と撮像ユニット6との位置関係に基づき、アライメントマーク21の座標を算出する。これにより、パッケージ基板11に付されたアライメントマーク21の位置が特定される。
なお、制御部8には、アライメントマーク21と分割予定ライン17との位置関係を示す情報が予め記憶されている。具体的には、アライメントマーク21の位置と、そのアライメントマーク21に対応する分割予定ライン17の位置とが、互いに対応付けられた状態で記憶されている。アライメントマーク21の位置が得られると、制御部8は当該情報を参照して、アライメントマーク21に対応する分割予定ライン17の位置を特定する。
このように、アライメントマーク21の位置に基づいて分割予定ライン17の位置が検出される。なお、第1検出ステップでは、全ての分割予定ライン17の位置を検出してもよいし、一部の分割予定ライン17の位置のみを検出してもよい。
例えば、図1(A)に示すパッケージ基板11を用いる場合、パッケージ基板11の4辺にそれぞれ最も近い分割予定ライン17の位置のみを検出してもよい。また、外周余剰領域11bに囲まれた3つのブロック(図1(A)で4×4のデバイス領域11aを備える領域)ごとに、各ブロックの4辺に最も近い4本の分割予定ライン17の位置のみを検出してもよい。この場合、他の分割予定ライン17の位置は、位置検出が行われた分割予定ライン17の位置に基づき、制御部8によって算出される。
次に、第1検出ステップで位置が検出された分割予定ライン17に沿って、第1切削ブレード14でパッケージ基板11を切削する(第1切削ステップ)。図5(A)は、第1切削ステップでのパッケージ基板11を示す正面図である。
チャックテーブル4の上方には、第1切削ブレード14が装着される第1切削ユニット12が配置されている。第1切削ユニット12は、チャックテーブル4の保持面4aと概ね平行な方向に軸心をとるスピンドル(不図示)を備えており、このスピンドルの先端部に環状の第1切削ブレード14が装着される。第1切削ブレード14は、例えばダイヤモンド等でなる砥粒をボンド材で固定して形成される。ボンド材としては、メタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンドなどが用いられる。
第1切削ユニット12が備えるスピンドルは、モータ等の回転駆動源(不図示)と連結されており、スピンドルに装着された第1切削ブレード14は回転駆動源から伝わる力によって回転する。また、第1切削ユニット12は移動機構(不図示)と接続されており、この移動機構によって第1切削ユニット12のY軸方向及びZ軸方向における位置が制御される。
第1切削ステップでは、まず、チャックテーブル4を回転させて、一の分割予定ライン17の長さ方向を切削装置2の加工送り方向(X軸方向)に合わせる。また、第1切削ブレード14の下端がベース基板13の表面13aより下方で、且つ、樹脂層15の下面(テープ23の上面)よりも上方に配置されるように、第1切削ユニット12の高さを調整する。さらに、該一の分割予定ライン17の延長線上に第1切削ブレード14が配置されるように、第1切削ユニット12の割り出し送り方向(Y軸方向)における位置を調整する。
その後、第1切削ブレード14を回転させながら、チャックテーブル4を加工送り方向(X軸方向)に移動させる。これにより、チャックテーブル4と第1切削ユニット12とが相対的に移動し、第1切削ブレード14が分割予定ライン17に沿ってパッケージ基板11に切り込む。その結果、切削領域11c(図2参照)が第1切削ブレード14によって切削される。
ここで、チャックテーブル4と第1切削ユニット12との位置合わせは、第1検出ステップで検出された分割予定ライン17の位置に基づき、第1切削ブレード14が分割予定ライン17上の所望の位置に切り込むように行われる。例えば、チャックテーブル4と第1切削ユニット12とは、第1切削ブレード14の幅方向における中心が、分割予定ライン17の幅方向における中心に沿って移動するように配置される。これにより、第1切削ブレード14は分割予定ライン17の幅方向の中心に沿ってパッケージ基板11を切削する。
また、例えば第1切削ブレード14は、ベース基板13を切断し、且つ、樹脂層15を切断しない深さでパッケージ基板11に切り込む。これにより、パッケージ基板11には、その深さがパッケージ基板11の厚さ未満の切削溝11d(図5(B)参照)が分割予定ライン17に沿って形成される。
その後、同様の手順を繰り返し、他の分割予定ライン17に沿って切削溝11dを形成する。その結果、パッケージ基板11の表面側(ベース基板13の表面13a側)には複数の切削溝11dが格子状に形成される。以下、切削溝11dが形成された状態のパッケージ基板11を、ハーフカット状態のパッケージ基板11とも称する。
図5(B)は、第1切削ステップ後のパッケージ基板11の一部を拡大して示す平面図である。第1切削ステップでは、切削領域11c(図2参照)が第1切削ブレード14によって切削され、切削溝11dが形成される。なお、切削溝11dは一対のアライメントマーク21の間に形成されるため、アライメントマーク21は第1切削ブレード14によって切削されず、第1切削ステップ後も残存する。
次に、切削溝11dが形成されたパッケージ基板に所定の処理を行う(処理ステップ)。処理ステップで実施される処理は、ハーフカット状態のパッケージ基板11に対して施されるべき処理であれば、制限はない。例えば処理ステップでは、第1切削ステップの実施によって生じたバリを除去する処理が行われる。
第1切削ステップにおいて、パッケージ基板11を分割予定ライン17に沿って第1切削ブレード14で切削すると、分割予定ライン17上に配列された電極19が回転する第1切削ブレード14と接触して引き延ばされ、髭状のバリが発生することがある。このバリは電極19同士の短絡やボンディング不良などの原因となるため、除去されることが好ましい。そこで、切削溝11dに向かって水等の流体を噴射することにより、切削溝11dの近傍に残存するバリを除去する処理が行われる。
図6は、処理ステップでのパッケージ基板11を示す正面図である。チャックテーブル4の上方には、ノズル16が配置されている。ノズル16は流体供給源(不図示)と接続されており、チャックテーブル4によって保持されたパッケージ基板11に向かって水等の流体18を所定の圧力で噴射する。また、ノズル16は移動機構(不図示)と接続されており、この移動機構によってノズル16の位置が制御される。
チャックテーブル4とノズル16とを相対的に移動させつつ、ノズル16から流体18を噴射することにより、流体18が切削溝11dに沿って噴射される。これにより、切削溝11dの近傍に残存するバリが流体18によって吹き飛ばされ、除去される。
なお、パッケージ基板11が複数の個片(パッケージデバイス)に分割された後にパッケージ基板11に流体18を噴射すると、流体18の圧力によって、個片の飛散や、隣接する個片の間で露出するテープ23の破断が生じる恐れがある。そのため、流体18の噴射は図6に示すようにハーフカット状態のパッケージ基板11に対して行うことが好ましい。
上記のように、ノズル16を備える切削装置2を用いてバリの除去を行う場合、第1切削ステップの後、パッケージ基板11をチャックテーブル4で保持したまま処理ステップを実施できる。これにより、パッケージ基板11の搬送を省略でき、プロセスの簡易化を図ることができる。
なお、処理ステップで実施される処理はバリの除去に限られない。例えば処理ステップでは、第1切削ステップによって分割された電極19(図5(B)参照)にプローブを当てて、電極19と接続されたデバイスチップの電気特性の検査を行ってもよい。
また、処理ステップでは切削溝11dの内部にめっき処理を施してもよい。図5(B)に示す電極19は、銅等の金属で形成され、後の工程で他の端子(実装基板の接続端子等)と半田等を介して接続される。ただし、切削溝11dが形成されると切削溝11dの内部で電極19が露出し、この状態で一定時間が経過すると、電極19が酸化して半田濡れ性が低下する。そのため、処理ステップでは電極19にめっき処理を施し、電極19の表面を錫等でなる金属薄膜で被覆してもよい。これにより、半田結合の強度の低下を抑制することができる。
前述の第1切削ステップで形成される切削溝11dの深さ(第1切削ブレード14の切り込み深さ)は、処理ステップで実施される処理の内容に応じて適宜設定される。例えば、処理ステップで流体18によるバリの除去(図6参照)を行う場合は、電極19が切断され、且つ、パッケージ基板11の強度が一定以上(流体18の噴射によるパッケージ基板11の分割が生じない程度)に維持されるように、切削溝11dの深さが設定される。
なお、上記では切削装置2が処理ステップで用いられる構成要素(図6のノズル16等)を備える例について説明したが、切削装置2は処理ステップで用いられる構成要素を備えていなくてもよい。この場合、処理ステップは切削装置2とは別の装置を用いて実施される。
次に、アライメントマーク21の位置に基づいて第2切削ブレード24で切削すべき切削溝11dの位置を検出する(第2検出ステップ)。図7(A)は、第2検出ステップでのパッケージ基板11を示す正面図である。
第2検出ステップでは、まず、チャックテーブル4によって保持されたパッケージ基板11を撮像ユニット6によって撮像する。そして、撮像によって得られた画像に基づいて、第2切削ブレード24(図8参照)によって切削すべき切削溝11dの位置を検出する。
切削溝11dの位置の検出方法は、第1検出ステップにおける分割予定ライン17の位置の検出方法と同様である。ただし、切削溝11dの位置の検出には、切削溝11dの形成後のパッケージ基板11のうちアライメントマーク21が付された領域と同一のパターンをもつ、第2参照用画像(第2テンプレート画像)20が用いられる。
図7(B)は、第2参照用画像20を示す図である。第2参照用画像20は、制御部8に記憶されている。第2参照用画像20には、パッケージ基板11に付された一対のアライメントマーク21(図5(B)等参照)に対応する一対の第1パターン20aと、パッケージ基板11に形成された切削溝11dに対応する第2パターン20bとが含まれる。
制御部8は、撮像ユニット6によって取得された撮像画像と、第2参照用画像20とのパターンマッチングを行う。具体的には、切削溝11dを挟む一対のアライメントマーク21を含む撮像画像と、第2パターン20bを挟む一対の第1パターン20aを含む第2参照用画像20とが比較され、両者が一致するか否かが判別される。そして、撮像画像と第2参照用画像20とが一致する場合、制御部8は、該撮像画像が取得された際のチャックテーブル4と撮像ユニット6との位置関係に基づき、切削溝11dの座標を特定する。
ここで、アライメントマーク21は第1切削ステップにおいて第1切削ブレード14によって切削されておらず(図5(B)参照)、アライメントマーク21の形状には歪みが生じていない。このアライメントマーク21を用いることにより、切削溝11dの位置を高精度に検出できる。
なお、第2検出ステップでは、第1検出ステップにおける分割予定ライン17の検出と同様に、全ての切削溝11dの位置を検出してもよいし、一部の切削溝11dの位置のみを検出してもよい。一部の切削溝11dの位置のみを検出する場合、他の切削溝11dの位置は、位置検出が行われた切削溝11dの位置に基づき、制御部8によって算出される。
次に、第2検出ステップで位置が検出された切削溝11dに沿って第2切削ブレード24でパッケージ基板11を切削して、パッケージ基板11を切断する(第2切削ステップ)。図8は、第2切削ステップでのパッケージ基板11を示す正面図である。
チャックテーブル4の上方には、第2切削ブレード24が装着される第2切削ユニット22が配置されている。第2切削ユニット22の構造、機能等は、第1切削ユニット12(図5(A)参照)と同様である。また、第2切削ブレード24の材質等は、第1切削ブレード14と同様である。
第2切削ステップでは、まず、チャックテーブル4を回転させて、一の切削溝11dの長さ方向を切削装置2の加工送り方向(X軸方向)に合わせる。また、第2切削ブレード24の下端が樹脂層15の下面(テープ23の上面)よりも下方で、且つ、テープ23の下面(保持面4a)よりも上方に配置されるように、第2切削ユニット22の高さを調整する。さらに、該一の切削溝11dの延長線上に第2切削ブレード24が配置されるように、第2切削ユニット22の割り出し送り方向(Y軸方向)における位置を調整する。
その後、第2切削ブレード24を回転させながら、チャックテーブル4を加工送り方向(X軸方向)に移動させる。これにより、チャックテーブル4と第2切削ユニット22とが相対的に移動し、第2切削ブレード24が切削溝11dに沿ってパッケージ基板11に切り込む。その結果、パッケージ基板11が切削溝11dに沿って切断される。
ここで、チャックテーブル4と第2切削ユニット22との位置合わせは、第2検出ステップで検出された切削溝11dの位置に基づき、第2切削ブレード24が切削溝11dの底に切り込むように行われる。これにより、切削溝11dの底からパッケージ基板の裏面(樹脂層15の下面)に至る切り口(カーフ)が形成され、パッケージ基板11が分割される。
なお、第2切削ステップでは、第1切削ブレード14よりも幅の小さい第2切削ブレード24を用いてもよい。この場合、例えば第2切削ブレード24は、切削溝11dの内側を通過するように位置付けられる。これにより、切削溝11dの内部で露出する電極19(図5(B)等参照)と第2切削ブレード24との接触が回避され、バリの発生が抑制される。また、処理ステップで電極19の表面にめっき層が形成されていても、第2切削ブレード24とめっき層とが接触しないため、めっき層は除去されない。
その後、同様の手順を繰り返し、他の切削溝11dに沿ってパッケージ基板11を切断する。その結果、パッケージ基板11は全ての分割予定ライン17に沿って切断され、デバイスチップをそれぞれ備える複数のパッケージデバイスに分割される。
以上の通り、本実施形態に係るパッケージ基板の加工方法では、分割予定ライン17に対応し、且つ、切削ブレードによって切削される領域と重畳しない位置に付されたアライメントマーク21を備えるパッケージ基板11が用いられる。そして、このパッケージ基板11に対し、パッケージ基板11に切削溝を形成する第1切削ステップと、パッケージ基板11を切断する第2切削ステップとが実施される。
上記のパッケージ基板の加工方法によれば、第1切削ステップにおける切削によってアライメントマーク21が除去されずに残存する。そして、第2切削ステップでは残存したアライメントマーク21を用いて、切削ブレードで切削される領域の位置を高精度に検出できる。
なお、上記では切削装置2が2組の切削ユニット(第1切削ユニット12及び第2切削ユニット22)を備えている例について説明したが、切削装置2は1組の切削ユニットを備えていてもよい。この場合、当該切削ユニットに第1切削ブレード14を装着して第1切削ステップを実施した後、第1切削ブレード14を第2切削ブレード24に交換して第2切削ステップを実施する。ただし、第2切削ブレード24が第1切削ブレード14と同一である場合には、交換は不要である。
また、上記ではテープ23を介してパッケージ基板11をチャックテーブル4によって保持する例について説明したが、パッケージ基板11を保持する方法に制限はない。例えば、パッケージ基板11を保持する保持手段として治具テーブル30を用いることもできる。図9(A)は治具テーブル30を示す平面図であり、図9(B)は治具テーブル30を示す断面図である。
治具テーブル30は、平面視で矩形状に形成された治具ベース32を備える。この治具ベース32は、チャックテーブル4(図4(A)等参照)に代えて切削装置2に備えられる。治具ベース32はモータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、この回転駆動源は治具ベース32を鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。また、治具ベース32は移動機構(不図示)に連結されており、この移動機構は治具ベース32を加工送り方向に沿って移動させる。
治具ベース32の上面32aには、パッケージ基板11の形状に対応して平面視で矩形状に形成された保持部材34が、取り外し可能に装着される。保持部材34の上面は、パッケージ基板11を保持する保持面34aを構成する。
保持部材34の保持面34a側には、パッケージ基板11の分割予定ライン17に対応する溝34cが形成されており、溝34cの上端は保持面34aで開口している。この溝34cにより、保持面34aはパッケージ基板11のデバイス領域11a(図1(A)参照)に対応する複数の領域に区画されている。
溝34cによって区画された各領域には、保持部材34を上下に貫通する吸引孔34dが形成されている。図9(B)に示すように、治具ベース32の上面32aに保持部材34を配置すると、各吸引孔34dは治具ベース32の上面32a側の中央部分に形成された第1流路32bに接続される。
第1流路32bは、バルブ36aを介して吸引源38に接続されている。保持部材34の保持面34a上にパッケージ基板11を配置し、パッケージ基板11の分割予定ライン17を溝34cに重畳させた状態でバルブ36aを開くと、パッケージ基板11が治具テーブル30によって吸引保持される。
なお、治具ベース32の外周部分には、保持部材34を治具ベース32に装着するための第2流路32cが形成されている。この第2流路32cは、バルブ36bを介して吸引源38に接続されている。治具ベース32の上面32aに保持部材34の下面34bを接触させてバルブ36bを開くと、保持部材34が治具ベース32の上面32aに固定される。
本実施形態に係るパッケージ基板の加工方法は、パッケージ基板11を治具テーブル30によって保持した状態でも実施できる。パッケージ基板11を治具テーブル30で保持すると、保持部材34の溝34cと重畳する位置にパッケージ基板11の分割予定ライン17が配置される。そのため、第2切削ステップにおいてパッケージ基板11を切断する際には、第2切削ブレード24の下端が溝34cに挿入される。これにより、第2切削ブレード24と保持部材34との接触が回避され、第2切削ブレード24や保持部材34の破損が防止される。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。