本発明は、相手方からの発呼に応じて通話をする通話機能と、随時、相手方に対して文字情報を送信するメール機能を備えた携帯電話機に適用して好適な通信処理装置、通信処理システム及び通信処理方法に関する。
詳しくは、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される動作を音声入力送信禁止モードとしたとき、この音声入力送信禁止モードが設定された状態で相手方から受信した発呼に対して、文字入力された文字情報を相手方に送信する送信手段を備え、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理に依存することなく、文字入力送信処理によって相手方と意志の疎通を図れるようにすると共に、相手方からの音声受信内容に対して、本来、音声入力送信処理すべき返信内容をその場で文字情報により相手方に返信できるようにしたものである。
近年、半導体集積回路技術の発達に伴い、多機能を備えた携帯電話機が使用される場合が多くなってきた。現在、通常の会話モードに加えてメール送受信処理機能を備えた携帯電話機が多く使用されるに至っている。図14は従来例に係る通信処理システム201の構成例を示す概念図である。図14に示す通信処理システム201で、使用者Aの携帯電話機200は、音声送受信処理部2とメール送受信処理部3と備え、使用者Bの携帯電話機200’も、音声送受信処理部2’とメール送受信処理部3’とを予め装備されている。
この種の携帯電話機で、通常の会話モード時の通信処理例によれば、例えば、使用者Bの携帯電話機200’から通信手段300を介して使用者Aを発呼すると、着呼側である使用者Aの携帯電話機200が通信手段300を介して使用者Bの携帯電話機200’に接続される。通常の会話モードでは、使用者Aの携帯電話機200も使用者Bの携帯電話機200’も「ボイスモード」に設定される。
ボイスモードが設定されることによって、使用者A,Bの携帯電話機200,200’のいずれも、音声送受信処理部2,2’が選択される。このボイスモードでは、図14において、下向き実線矢印で示す音声データが使用者Bから使用者Aへ送信される。使用者Aの携帯電話機200では、ボイスモードに基づいて使用者Bからの音声データを音声送受信処理部2で処理して使用者Bの音声を聞くことができる。
一方、使用者Bの携帯電話機200’では、上向き実線矢印で示す経路で使用者Aの携帯電話機200から音声データを受信するようになされる。使用者Bの携帯電話機200’では、ボイスモードに基づいて使用者Aからの音声データを音声送受信処理部2’で処理して使用者Aの音声を聞くことができる。
図15は通信処理システム201におけるメールモード時の通信処理例を示す概念図である。図15に示すメールモード時の通信処理例によれば、使用者Bの携帯電話機200’から通信手段300を介して使用者Aを発呼すると、着呼側である使用者Aの携帯電話機200が通信手段300を介して使用者Bの携帯電話機200’に接続される。
メール送受信処理においては、使用者Aの携帯電話機200も使用者Bの携帯電話機200’も、メールモードに設定される。メールモードを設定することによって、使用者A,Bの携帯電話機200,200’のいずれも、メール送受信処理部3、3’が選択される。このメールモードでは、図15において、下向き白抜き矢印で示すメールデータが使用者Bから使用者Aへ送信される。使用者Aの携帯電話機200では、メールモードに基づいて使用者Bからのメールデータをメール送受信処理部3で処理して使用者Bからの文字情報を視ることができる。
一方、使用者Bの携帯電話機200’では、上向き白抜き矢印で示す経路でメールデータを使用者Aの携帯電話機200から受信するようになされる。使用者Bの携帯電話機200’では、メールモードに基づいて使用者Aからのメールデータをメール送受信処理部3’で処理して使用者Aからの文字情報を視ることができる。このように通信処理システム201を構成すると、使用者Aと使用者Bとの間で意志の疎通を図ることができる。
この種の携帯電話機に関して、特許文献1には、カメラ付き携帯電話装置が開示されている。この携帯電話装置によれば、相手方の端末装置を発呼するための設定メッセージを受信すると、この設定メッセージに基づいて制御情報と発信番号とを読み出す。制御情報は制御命令に変換されてカメラに出力される。カメラは、制御命令に基づいて被写体を撮影し画像データを取得する。チャット管理手段は、メッセージに文字データ又は画像データをセットし、その後、発信番号宛に送信するようになされる。このように装置を構成すると、ネットワークに負担をかけずに、その場で撮影した画像を相手方に送信できるというものである。
ところで、特許文献1を含めた従来例に係る通常の会話モードを備えた携帯電話機200、200’によれば、次のような問題がある。
i.満員電車の中やバスの中などの公共の場や、会議中、会話を禁止されている区域等におかれた使用者Aの携帯電話機等で、相手方からの着呼時にその使用勝手が非常に悪いことが知られている。これは、会話禁止エリア等で他の使用者Bより、着信を受け取らざるを得ない状況下において、マナー上、従来方式の携帯電話機では、使用者Aは、声に出して通話をする行為が禁止、または、通話を遠慮しなくてはならない状況下に置かれていることによる。このような場合、着呼側の使用者Aは、通話の内容を確認せずに、オンフックして、いわゆる、電話を切ってしまう行為で対処しなければならない場合が少なくない。
ii.また、上述のケースで通話の内容は、使用者Aの簡単な応答で事足りる場合も多く存在する。また、緊急を要する用件であることもあるにも関わらず、従来方式の携帯電話機によれば、このような状況下において、使用者Aは、電話を切らざるを得ないので、その通話内容や、緊急度すらも確認することができない状態となっている。
iii.なお、言語発声に不自由な使用者が、相手方から送られてくる音声データに基づく通話に対応できていないのが現状である。
そこで、この発明は、このような従来の課題を解決したものであって、満員電車の中やバスの中などの公共の場や、会議中、会話を禁止されている区域等における携帯電話機等の使用勝手を向上できるようにした通信処理装置、通信処理システム及び通信処理方法を提供することを目的とする。
上述した課題は、相手方からの発呼に対して通信処理をする装置であって、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される動作を音声入力送信禁止モードとしたとき、音声入力送信禁止モードを設定するように操作される操作手段と、この操作手段によって設定された音声入力送信禁止モードに基づいて相手方からの発呼を受信する受信手段と、この受信手段によって受信した相手方からの発呼に対して文字情報を入力するように操作される文字入力手段と、この文字入力手段によって入力された文字情報を相手方に送信する送信手段とを備えることを特徴とする通信処理装置によって解決される。
本発明に係る通信処理装置によれば、相手方からの発呼に対して通信処理をする場合に、操作手段は、音声入力送信禁止モードを設定するように操作される。受信手段は、操作手段によって設定された音声入力送信禁止モードに基づいて相手方からの発呼を受信する。文字入力手段は、受信手段によって受信した相手方からの発呼に対して文字情報を入力するように操作される。送信手段は、文字入力手段によって入力された文字情報を相手方に送信するようになされる。
従って、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理に依存することなく、文字入力送信処理によって相手方と意志の疎通を図ることができる。これにより、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境、例えば、満員電車の中や、会議中などの公共の場や、会話を禁止されている区域等において、相手方からの音声受信内容に対して、本来、音声入力送信処理すべき返信内容をその場で文字情報により相手方に返信することができる。
本発明に係る通信処理システムによれば、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする場合に、本発明に係る通信処理装置が応用される。被呼側の通信処理装置は、音声入力送信禁止モードを設定して音声受信処理及び文字入力送信処理を実行し、発呼側の通信処理装置は音声入力送信禁止モードが設定された被呼側の通信処理装置に対して音声送信処理及び文字受信処理を実行する。
従って、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境においても、発呼側の通信処理装置を取り扱う使用者と、被呼側の通信処理装置を取り扱う使用者との間で意志の疎通を図ることができる。
本発明に係る通信処理方法は、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする方法であって、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される動作を音声入力送信禁止モードとしたとき、予め音声入力送信禁止モードを設定する工程と、設定された音声入力送信禁止モードに基づいて相手方からの発呼を受信する工程と、受信した相手方からの発呼に対して文字情報を入力する工程と、入力された文字情報を相手方に送信する工程とを有することを特徴とするものである。
本発明に係る通信処理方法によれば、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする際に、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理に依存することなく、文字入力送信処理によって相手方と意志の疎通を図ることができる。
従って、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境においても、相手方からの音声受信内容に対して、本来、音声入力送信処理すべき返信内容をその場で文字情報により相手方に返信することができる。
本発明に係る通信処理装置によれば、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする場合に、音声入力送信禁止モードが設定された状態で相手方から受信した発呼に対して、文字入力された文字情報を相手方に送信する送信手段を備えるものである。
この構成によって、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理に依存することなく、文字入力送信処理によって相手方と意志の疎通を図ることができる。従って、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境において、相手方からの音声受信内容に対して、本来、音声入力送信処理すべき返信内容をその場で文字情報により相手方に返信することができ、当該通信処理装置を応用した携帯電話機等の使用勝手が格段に向上できるようになる。
本発明に係る通信処理システムによれば、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする場合に、本発明に係る通信処理装置が応用され、被呼側の通信処理装置は音声入力送信禁止モードを設定して音声受信処理及び文字入力送信処理を実行し、発呼側の通信処理装置は音声入力送信禁止モードが設定された被呼側の通信処理装置に対して音声送信処理及び文字受信処理を実行する。
この構成によって、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境においても、発呼側の通信処理装置を取り扱う使用者と、被呼側の通信処理装置を取り扱う使用者との間で意志の疎通を図ることができる。
本発明に係る通信処理方法によれば、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする場合に、予め音声入力送信禁止モードを設定し、ここで設定された音声入力送信禁止モードに基づいて相手方からの発呼を受信し、ここで受信した相手方からの発呼に対して文字情報を入力し、ここで入力された文字情報を相手方に送信するようになされる。
この構成によって、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理に依存することなく、文字入力送信処理によって相手方と意志の疎通を図ることができる。従って、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境においても、相手方からの音声受信内容に対して、本来、音声入力送信処理すべき返信内容をその場で文字情報により相手方に返信することができる。
続いて、この発明に係る通信処理装置、通信処理システム及び通信処理方法の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。図1は、本発明に係る各実施例としての通信処理システム1の構成例を示す概念図である。
図1に示す通信処理システム1は、相手方からの発呼に対して音声入力送信禁止モード(以下”しゃべれないモード”という)に基づき、何らかの通信処理をするシステムである。ここに”しゃべれないモード”とは、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される動作をいう。音声入力送信処理とは、着呼側で使用者が声に出して、その発声を送話器を構成するマイクロフォンを使用して集音し、これを相手方に送信する処理をいう。
通信処理システム1では、通信処理装置の一例となる携帯電話機100が使用者の一方である、発呼側及び、他方の使用者である着呼(被呼)側に各々準備される。もちろん、通信処理装置は、携帯電話機100に限られることはなく、ノート型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等の通信処理機能付きの情報処理装置であっても、また、家庭用の据置型の電話機305であってもよい。
この例では、無線基地局301や、駅構内のアンテナ設備等の通信手段300を通じて通信処理可能な携帯電話機100を例に挙げて説明をする。通信手段300にはインターネット302や、ウェブサーバ303、メールサーバ304等が含まれる。着呼側の携帯電話機100では、”しゃべれないモード”を設定して音声受信処理及び文字入力送信処理を実行する。
音声受信処理とは、着呼側で相手方からの音声データを受信してスピーカーや、イヤホン等に出力する処理をいう。使用者は、相手方からの音声情報をスピーカーや、イヤホン等で聞くことができる。文字入力送信処理とは、文字情報を入力して相手方へその文字情報を送信する処理をいう。いわゆる電子メール機能である。使用者は、相手方へ文字情報を送信することができる。
”しゃべれないモード”は、音声入力送信処理が制限される電車等に乗る前や、会議に出席する前に予め設定したり、着呼時に設定してもよい。いずれの場合も、着呼側の携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定中であることを発呼側の携帯電話機100’で認知できるものであればよい。
また、発呼側の携帯電話機100’では、”しゃべれないモード”が設定された着呼側の携帯電話機100に対して音声入力送信処理及び文字受信処理を実行する。文字受信処理とは、相手方からの文字情報を受信して、その文字情報を表示手段に表示する処理をいう。使用者は、相手方からの文字情報を表示手段で視ることができる。
なお、着呼側の携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定中であることは、発呼側の携帯電話機100’で、その発呼時に、着呼側からの識別信号の中にモード設定中信号等を含ませ、これを発呼側で受信し、この識別信号からモード設定中信号を解読することで認知できるようになる。
このように、通信処理システム1によれば、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする場合に、着呼側の携帯電話機100は、”しゃべれないモード”を設定して音声受信処理及び文字入力送信処理を実行する。発呼側の携帯電話機100’は”しゃべれないモード”が設定された着呼側の携帯電話機100に対して音声送信処理及び文字受信処理を実行する。
従って、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境、例えば、満員電車や、会議中などの公共の場や、会話を禁止されているエリアの状況下においても、発呼側の携帯電話機100’を取り扱う使用者と、着呼側の携帯電話機100を取り扱う使用者との間で意志の疎通を図ることができる。
例えば、相手方からの通話の内容が使用者の簡単な応答で事足りる場合に、相手方に文字情報で返事をすることができ、頗る便利である。この通信処理システム1は、特に、緊急を要する用件である場合の通話内容や緊急度等の確認機能及びこれらの発呼側に対する返信機能の向上という面で効果を発揮する。
図2は、各実施例に係る”しゃべれないモード”機能付きの携帯電話機100の外観例を示す概念図である。図2に示す携帯電話機100は通信処理装置の一例であり、相手方からの発呼に対して文字情報で通信処理をする装置である。携帯電話機100は下部筐体10及び上部筐体20を備え、これらの筐体10及び20間は、回転レンジ機構11によって可動自在に係合されている。この回転レンジ機構によれば、下部筐体10の操作面の一端に設けられた図示しない軸部と、下部筐体10の裏面の一端に設けられた図示しない軸受け部とが回転自在に係合され、上部筐体20は下部筐体10に対して角度±180°の回転自由度を有して面結合されている。
下部筐体10には、複数の押しボタンスイッチ12から成る操作パネル18が設けられる。押しボタンスイッチ12は、「0」〜「9」数字キー、「*」や「#」等の記号キー、「オン」や「オフ」等のフックボタン、メニューキー等から構成される。下部筐体10において、操作パネル面の下方には、通話用のマイクロフォン13が取り付けられ、送話器として機能するようになされる。
また、下部筐体10の下端部には、モジュール型のアンテナ16が取り付けられ、その上端内部側面には、大音響用のスピーカー36aが設けられ、着信メロディ等を放音するようになされる。下部筐体10には、バッテリー14や回路基板17等が設けられている。上述の下部筐体10に対して、回転レンジ機構11によって可動自在に係合された上部筐体20には、その表面の上方に通話用のスピーカー36bが取り付けられ、携帯電話機本体に耳を近づけることで、受話器として機能するようになされる。
上述のスピーカー36a及び36bの他に、下部筐体10の側面には、図示しない外部端子にイヤホン34が着脱自在に接続され、受話器として機能するようになされる。イヤホン34は、表示手段29を視ながらメール作成するときに、携帯電話機本体に耳を近づけることができないので、相手方からの音声を聞くために使用される。
このように、着呼側の携帯電話機100を構成すると、”しゃべれないモード”を設定して音声受信処理及び文字入力送信処理を実行することができる。発呼側の携帯電話機100’では”しゃべれないモード”が設定された着呼側の携帯電話機100に対して音声送信処理及び文字受信処理を実行できるようになる。
図3は、携帯電話機100の内部構成例を示すブロック図である。図3に示す携帯電話機100は、下部筐体10の回路基板17に各機能ブロックを実装して構成される。なお、図1及び図2に示した各部及び手段と対応する部分は、同一符号で示している。
携帯電話機100は、アンテナ16、システムバス19、無線受信部21、無線送信部22、アンテナ共用器23、音声入出力処理部30、イヤホン34、スピーカー36a,36b、モード選択スイッチ40及びメール作成ブロック60を備えている。メール作成ブロック60は、制御手段15、操作パネル18、入出力(I/O)ポート25、画像処理部26及び表示手段29を有して構成される。
制御手段15は、EEPROM52、ROM53、RAM54及びCPU55を有している。CPU55はシステムプログラムに基づいて当該電話機全体を制御するようになされる。ROM53には当該電話機全体を制御するためのシステムプログラムデータD1が格納される。RAM54はワークメモリとして使用される。CPU55は電源オンと共に、ROM53からシステムプログラムデータD1を読み出してRAM54に展開し、操作パネル18からの操作データD3に基づいて、当該システムを立ち上げて携帯電話機全体を制御するようになされる。
制御手段15にはROM53、RAM54等の他にEEPROM52が設けられ、EEPROM52には相手方の電話番号情報や、メールアドレス、相手方からのメールデータ等が格納される。以下これらの情報を総称して不揮発データD4という。
CPU55には入出力(I/O)ポート25が接続される。I/Oポート25には、操作パネル18及び表示手段29が接続される。CPU55は、I/Oポート25を介して操作パネル18及び表示手段29の入出力を制御する。
操作パネル18は操作手段の一例を構成し、”しゃべれないモード”を設定するように操作される。この例で、操作パネル18は、”しゃべれないモード”が設定されると、この設定を示す操作データD3がCPU55に出力される。CPU55は操作データD3をデコードしてモード設定情報を検出する。モード設定情報は不揮発データD4としてEEPROM52に記憶される。操作パネル18はメール作成ブロック60を構成し、無線受信部21によって受信した相手方からの発呼に対して、相手方へ送信するための文字情報を入力するように操作される。
操作パネル18には、数字「0」〜「9」から成るテンキーや、「*」キー、「#」キー等の記号キーが備えられる。操作パネル18では、これらのキーを使用して相手方への発信電話番号が入力される。この相手方の電話番号入力時にEEPROM52に記憶された不揮発データD4を参照するようにしてもよい。また、これらのキーは、入力モードを変更することで、アルファベットキーやひらがなキー等として使用できるようになされ、メール作成時に、文字情報を入力するように操作される。
CPU55に接続されたI/Oポート25には、操作パネル18の他に表示手段29が接続され、表示データD2に基づいて相手方の電話番号情報や、送信メール作成画面、メール受信画面等を表示するようになされる。表示手段29には液晶表示装置が使用される。
CPU55にはシステムバス19が接続される。システムバス19には、RAM54やCPU55等の他に画像処理部26が接続され、メールデータを画像処理するようになされる。画像処理後の表示データD2は表示手段29に供給される。
上述のシステムバス19には、音声入力手段を構成する音声入出力処理部30が接続される。音声入出力処理部30では、無線受信部21によって受信した相手方からの発呼に対して、”しゃべれないモード”以外の通常の会話モードが設定されていた場合に、音声信号Sinを入力してデジタル処理するようになされる。例えば、音声入出力処理部30は、音声処理信号S1に基づいて音声信号Sinをアナログ・デジタル変換してデジタルの音声データDoutを出力する。音声処理信号S1はCPU55から音声入出力処理部30に出力される。
音声入出力処理部30には大音響用及び受話器を構成するスピーカー36a、36bが接続される。スピーカー36aは、着呼時、着信信号Sout1に基づいて着信音や着信メロディ等を鳴動するようになされる。スピーカー36bは、音声信号Sout2を入力して相手方の話声等を拡大するようになされる。また、第2の受話器を構成するイヤホン34は、電話機本体に対して着脱自在に使用される。イヤホン34は、表示手段29を視ながらメール作成するときに、相手方からの音声を聞くために使用される。
この音声入出力処理部30にはスピーカー36a、36b及びイヤホン34の他に、送話器を構成するマイクロフォン13が接続され、操作者の声を集音して音声信号Sinを出力するようになされる。”しゃべれないモード”が設定されているときは、マイクロフォン13の入力機能を停止するようになされる。
上述のCPU55は、操作パネル28によって設定された”しゃべれないモード”に基づいてモード選択スイッチ40の入出力を制御する。この例でCPU55は、”しゃべれないモード”が設定されたとき、メール作成ブロック60を選択するようにモード選択スイッチ40を制御する。
音声入出力処理部30には選択手段の一例となるモード選択スイッチ40が接続される。モード選択スイッチ40は、音声入出力処理部30又はメール作成ブロック60のいずれかを選択するように操作される。モード選択スイッチ40は、操作パネル18から操作データD3を入力したCPU55により切り換え制御される。例えば、CPU55は操作データD3をデコードしてモード選択信号S2を発生し、このモード選択信号S2をモード選択スイッチ40に出力する。
モード選択スイッチ40は受信切換器41及び送信切換器42から構成される。受信切換器41は接点a,b及び中点cを有している。接点aは音声入出力処理部30に接続され、接点bはシステムバス19に接続され、接点cは無線受信部21に各々接続される。受信切換器41は、例えば、通常の会話モード時及び”しゃべれないモード”時において、モード選択信号S2に基づき、接点aと中点cとを接続する。モード選択信号S2はCPU55から受信切換器41及び送信切換器42に出力される。この接続によって、音声データDinが無線受信部21から音声入出力処理部30へ出力される。また、受信切換器41は、モード選択信号S2に基づいて、接点bと中点cとを接続する。この接続によって、メールデータDinが21からメール作成ブロック60へ取り込まれる。
送信切換器42は接点d,e及び中点fを有している。接点dは音声入出力処理部30に接続され、接点eはシステムバス19に接続され、接点fは無線送信部22に各々接続される。送信切換器42は、通常の会話モード時に、モード選択信号S2に基づいて、接点dと中点fとを接続する。モード選択信号S2はCPU55から受信切換器41及び送信切換器42に出力される。この接続によって、音声データDoutが音声入出力処理部30から無線送信部22へ出力される。また、送信切換器42は、”しゃべれないモード”時に、モード選択信号S2に基づいて、接点eと中点fとを接続する。この接続によって、メールデータDoutがメール作成ブロック60から無線送信部22へ出力される。
また、アンテナ16は、アンテナ共用器23に接続され、着呼時、相手方からの無線電波を無線基地局等から受信する。アンテナ共用器23には受信手段を構成する無線受信部21が接続され、”しゃべれないモード”に基づいて相手方からの発呼を受信し、アンテナ16から導かれる受信データを受信する。例えば、無線受信部21は、受信制御信号S3に基づいて、メールデータや音声データ等を復調処理し、復調後のメールデータや音声データDinをCPU55等に出力するようになされる。”しゃべれないモード”は、操作パネル18で設定される。受信制御信号S3は、CPU55から無線受信部21へ出力される。
無線受信部21には、モード選択スイッチ40を介して上述した音声入出力処理部30が接続され、デジタルの音声データDinをデジタル/アナログ変換して音声信号Sout1、Sout2又はSout3を出力するようになされる。音声信号Sout1はスピーカー36aに出力され、音声信号Sout2はスピーカー36bに出力され、音声信号Sout3はイヤホン34に各々出力される。
CPU55には無線受信部21の他に、送信手段を構成する無線送信部22が接続され、操作パネル18のメール作成ブロック60によって入力された文字情報を相手方に送信する。相手方へ送るための文字情報Dout等は、送信制御信号S4に基づいて無線送信部22で変調処理され、変調後の送信データがアンテナ共用器23を介してアンテナ16に供給される。送信制御信号S4はCPU55から無線送信部22へ出力される。アンテナ16は、アンテナ共用器23から供給される無線電波を無線基地局等に向けて輻射するようになされる。
このように携帯電話機100を構成すると、相手方からの発呼に対して何らかの応答を返す場合に、使用者は、予め操作パネル18を使用して、”しゃべれないモード”を設定するように操作される。無線受信部21は、操作パネル18によって設定された”しゃべれないモード”に基づいて相手方からの発呼を受信する。メール作成ブロック60は、無線受信部21によって受信した相手方からの発呼に対して文字情報を入力するように操作される。無線送信部22は、メール作成ブロック60によって入力された文字情報を相手方に送信するようになされる。
図4は、第1の実施例に係る着呼側の携帯電話機100のモード設定例を示すブロック図である。この例では、予め着呼側で、図4に示すモード選択スイッチ40が、”しゃべれないモード”に設定される。この”しゃべれないモード”が設定されると、受信切換器41は、モード選択信号S2に基づいて接点aと接点cとを接続する。この接続によって、無線受信部21から受信切換器41を経由して音声入出力処理部30に至る音声データ受信経路が構築される。
また、送信切換器42は、モード選択信号S2に基づいて接点eと接点fとを接続する。この接続によって、メール作成ブロック60から送信切換器42を経由して無線送信部22に至るメール送信経路が構築される。
一方、CPU55は、”しゃべれないモード”が設定されると、音声入出力処理部30に音声処理信号S1を出力する。音声入出力処理部30は、音声処理信号S1に基づいて相手方からの音声出力を許可する音声出力モードに設定される。音声入出力処理部30は、デジタルの音声データDinをデジタル/アナログ変換して音声信号Sout1、Sout2又はSout3を出力する。音声信号Sout1はスピーカー36aに出力され、音声信号Sout2はスピーカー36bに出力され、音声信号Sout3はイヤホン34に各々出力される。この音声出力モードが設定されると、マイクロフォン13の音声入力が禁止される。
CPU55は、”しゃべれないモード”が設定されると、無線受信部21に受信制御信号S3を出力する。無線受信部21は受信制御信号S3に基づいて音声受信モードに設定される。CPU55は”しゃべれないモード”が設定されると、無線送信部22に送信制御信号S4を出力する。無線送信部22は送信制御信号S4に基づいてテキスト送信モードに設定される。CPU55は、”しゃべれないモード”が設定されると、I/Oポート25を介して表示データD2を表示手段29に出力する。表示手段29は表示データD2に基づいて送信メール作成画面を表示するようになされる。
図5は、発呼側の携帯電話機100’のモード設定例を示すブロック図である。この例では、発呼側でも同じ構成の携帯電話機100’が使用され、そのモード設定例が異なる場合を前提とする。つまり、発呼側では、通常の通話モードが設定される。例えば、図5に示すモード選択スイッチ40が、通常の通話モードに設定される。
この通常の通話モードが設定されると、発呼側の受信切換器41は、初期状態で接点aと接点cとが接続されているが、相手方の携帯電話機100が”しゃべれないモード”が設定されている場合に、モード選択信号S2に基づいて接点aから接点bに切り換え、接点bと接点cとを接続するようになされる。この接続によって、無線受信部21から受信切換器41を経由してメール受信ブロック60’に至るメールデータ受信経路が構築される。
メール受信ブロック60’は、着呼側の携帯電話機100で説明したメール作成ブロック60、つまり、制御手段15、操作パネル18、I/Oポート25、画像処理部26及び表示手段29が発呼側でメール受信ブロック60’として機能する場合である。
なお、発呼側の携帯電話機100’のモード選択スイッチ40は、相手方の携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定しているか否かを判別するまで、通常の会話モードに設定されている。初期状態で、発呼側の携帯電話機100’の送信切換器42は、モード選択信号S2に基づいて接点dと接点fとが接続されているが、その接点dと接点fとを接続したままにする。この接続によって、音声入出力処理部30から送信切換器42を経由して無線送信部22に至る音声データ送信経路が構築されたままとなされる。
一方、発呼側のCPU55は、通常の通話モードが設定されると、音声入出力処理部30に音声処理信号S1を出力する。音声入出力処理部30は、音声処理信号S1に基づいて相手方への音声出力を許可する音声入力モードに設定される。音声入出力処理部30は、アナログの音声信号Sinをアナログ/デジタル変換してデジタルの音声データDoutを出力する。音声データDoutは、送信切換器42を経由して無線送信部22に出力される。
発呼側のCPU55は、通常の通話モードが設定されると、無線受信部21に受信制御信号S3を出力する。無線受信部21は受信制御信号S3に基づいて音声送信モードに設定される。また、CPU55は相手方の携帯電話機100が”しゃべれないモード”が設定されていると判別されると、送信制御信号S4に基づいて通常の通話モードから”しゃべれないモード”に切り換える。CPU55は無線送信部22に送信制御信号S4を出力する。無線送信部22は送信制御信号S4に基づいて通常の音声受信モードからテキスト受信モードに設定を変更するようになされる。
CPU55は、”しゃべれないモード”が設定されると、I/Oポート25を介して表示データD2を表示手段29に出力する。表示手段29は、”しゃべれないモード”が設定されている相手方からの文字情報に基づく表示データD2により、メール受信画面を表示するようになされる。
図6は、”しゃべれないモード”設定時の第1の通信処理システム101の構成例を示す概念図である。図6に示す第1の通信処理システム101によれば、着呼側である使用者Aの携帯電話機100が通信手段300を介して発呼側である使用者Bの携帯電話機100’に接続される。使用者Aの携帯電話機100は図4に示したものであり、使用者Bの携帯電話機100’は図5に示したものである。
第1の通信処理システム101では、下向き実線矢印で示す音声データが使用者Bから使用者Aへ送信される。使用者Aの携帯電話機100では、”しゃべれないモード”が設定されているので、受信系Iがボイスモードに設定され、送信系がテキストモードに設定される。
一方、使用者Bの携帯電話機100’では、使用者Aの携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定している判別されると、受信系I’をテキストモードに設定し、上向き白抜き矢印で示す経路でテキストデータを使用者Aの携帯電話機100から受信するようになされる。このとき、使用者Bの携帯電話機100’の送信系II’は、ボイスモードの設定のままである。
このように第1の通信処理システム101を構成すると、使用者の意図や、通話設定により、使用者Bから発信された通話に対して、使用者Aがメールで応答できるので、言語発声に不自由な使用者が、音声を使った通話に対応できるようになる。
続いて、本発明に係る通信処理方法について、着呼側及び発呼側の携帯電話機100,100’の2つの動作例に分けて説明をする。
[着呼側の携帯電話機]
図7は、第1の実施例に係る着呼側の携帯電話機の通信処理例を示すフローチャートである。この実施例では、相手方からの発呼に対して何らかの通信をする場合を前提とする。つまり、従来方式のようなマナーモードが設定してあって、相手方からの発呼に対して、直ぐにオンフックしてしまうようなことはぜずに、予めモード選択スイッチ40を”しゃべれないモード”に設定しておく。使用者は予めイヤホン34を耳に装着しておくとよい。
これらを通信処理条件にして、図7に示すフローチャートのステップC1でCPU55は、スリーピング状態にある当該携帯電話機100で電源オン情報を検出する。当該携帯電話機100でスリーピング状態とは、最低動作機能、例えば、時計機能及びCPU55の判断機能等が動作できる程度に電源が供給され、他の回路には電源が供給されていない状態である。この例では、電源オン情報検出(パワーオン)で待ち受け処理を開始する。そして、CPU55は、ステップC2で”しゃべれないモード”を設定するか否かを受け付ける。この受付処理では、例えば、メニュー画面に”しゃべれないモード”や通常の会話モード(ノーマルモード)を表示する。そのメニュー画面で”しゃべれないモード”を「設定する」または「設定しない」を表示し、使用者にその選択をしてもらう。CPU55は、これに基づいて制御を継続するようになされる。”しゃべれないモード”を「設定しない」場合は、通常の会話モードが自動的に選択される。
”しゃべれないモード”を設定する場合は、ステップC3に移行して、”しゃべれないモード”の設定処理を実行する。”しゃべれないモード”の設定処理に関しては、表示手段29に表示したメニュー画面で使用者が”しゃべれないモード”を「設定する」を選択したことにより、このモード設定情報に係る不揮発データD4がEEPROM52に格納される。CPU55は、以後、EEPROM52からモード設定情報に係る不揮発データD4が読み出せる場合は、”しゃべれないモード”が設定されていると判断する。
CPU55は、不揮発データD4に基づいてモード選択スイッチ40を制御する。モード選択スイッチ40において、受信切換器41は、”しゃべれないモード”が設定されていることから、モード選択信号S2に基づき、接点aと中点cとを接続する。モード選択信号S2はCPU55から受信切換器41に出力される。この接続によって、音声データDinが無線受信部21から音声入出力処理部30へ出力可能となされる。
また、送信切換器42は、”しゃべれないモード”が設定されていることから、モード選択信号S2に基づいて、接点eと中点fとを接続する。この接続によって、メールデータDoutがメール作成ブロック60から無線送信部22へ出力可能となされる。
その後、ステップC4に移行して相手方からの着呼を待機する。このとき、CPU55は、相手方からの発呼を受信し、先に設定された”しゃべれないモード”に基づいて受信処理を実行する。ステップC5でCPU55は、”しゃべれないモード”の設定に従って通信制御を分岐する。”しゃべれないモード”が設定されている場合は、ステップC6及びA7に移行する。
ステップC6では、CPU55は相手方から音声データを受信して、音声出力処理を実行する。受信系では、音声受信処理を実行する。例えば、着呼時、相手方からの無線電波をアンテナ16及びアンテナ共用器23を介して無線基地局等から受信する。アンテナ共用器23に接続された無線受信部21は、相手方からの発呼を受信し、”しゃべれないモード”に基づいてアンテナ16から導かれる受信データを受信処理する。例えば、無線受信部21は、受信制御信号S3に基づいて、音声データ等を復調処理し、復調後の音声データDinを音声入出力処理部30に出力するようになされる。受信制御信号S3は、CPU55から無線受信部21へ出力される。
音声入出力処理部30では、デジタルの音声データDinをデジタル/アナログ変換した後の音声信号Sout1、Sout2又はSout3等を出力するようになされる。音声信号Sout1はスピーカー36aに出力され、音声信号Sout2はスピーカー36bに出力され、音声信号Sout3はイヤホン34に各々出力される。このとき、使用者は、イヤホン34で相手方の音声を聞くようにするとよい。これは携帯電話機本体の操作パネル18及び表示手段29を使用して文字入力するためである。
この音声受信処理に並行して、ステップC7で、CPU55は受信した相手方からの発呼に対して文字入力処理を実行する。このとき、使用者は、操作パネル18及び表示手段29を使用して相手方からの音声(話声)に応答するように、文字情報を入力する。メール作成ブロック60で、CPU55は、I/Oポート25を介して操作パネル18及び表示手段29の入出力を制御する。
使用者は、操作パネル18のアルファベットキーやひらがなキー等を操作して、文字情報をCPU55を介して画像処理部26等に入力するように操作される。画像処理部26では、文字情報をHTML等の所定のテキストデータに変換してメールデータとするような画像処理がなされる。画像処理後のメールデータは表示データD2となって表示手段29に供給される。これと共に、テキストデータ(メールデータ)Doutは無線送信部22に転送される。
このように、操作パネル18のメール作成ブロック60によって作成されたテキストデータは相手方に送信される。例えば、テキストデータDout等は、送信制御信号S4に基づいて無線送信部22で変調処理され、変調後の送信データがアンテナ共用器23を介してアンテナ16に供給される。送信制御信号S4はCPU55から無線送信部22へ出力される。アンテナ共用器23から供給される無線電波は、アンテナ16を介して、無線基地局等に向けて輻射するようになされる。その後、ステップC8に移行してCPU55は、オンフックされたかを判別する。オンフックされない場合は、ステップC6及びA7に戻って上述した処理を繰り返すようになされる。オンフックされた場合は、ステップC11に移行する。
なお、上述のステップC2で”しゃべれないモード”を設定しない場合は、ステップC4に移行して相手方からの着呼を待機する。このとき、CPU55は、相手方からの発呼を受信し、先に自動設定された通常の会話モードに基づいて受信処理を実行する。ステップC5でCPU55は、(通常の会話モード)の設定に従って通信制御を分岐する。通常の会話モードが選択されている場合は、ステップC9に移行してCPU55は、通常の通話モード処理を実行する。この会話モード処理では、受信切換器41がモード選択信号S2に基づいて、接点bと中点cとを接続する。この接続によって、音声データDinが無線受信部21から音声入出力処理部30へ取り込まれる。送信切換器42は、モード選択信号S2に基づいて、接点dと中点fとを接続する。モード選択信号S2はCPU55から送信切換器42に出力される。この接続によって、音声データDoutが音声入出力処理部30から無線送信部22へ出力される。
その後、ステップC10に移行してCPU55は、オンフックされたかを判別する。オンフックされない場合は、ステップC9に戻って上述した通常の通話モード処理を繰り返すようになされる。オンフックされた場合は、ステップC11に移行する。ステップC11では、CPU55は通信処理の終了判別をする。CPU55は、電源オフ情報を検出して通信処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップC2に戻って上述した通信処理を繰り返すようになされる。
[発呼側]
図8は、第1の実施例に係る発呼側の携帯電話機の通信処理例を示すフローチャートである。この実施例では、使用者Bが相手方へ発呼して何らかの通信をする場合を前提とする。また、発呼先の使用者(相手方)Aの携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定していた場合、当該発呼側の携帯電話機100’は、これに呼応するように、通常の会話モードから”しゃべれないモード”へ設定を切り換えるようにモード選択スイッチ40が制御される。
これらを通信処理条件にして、図7に示すフローチャートのステップE1でCPU55は、スリーピング状態にある当該携帯電話機100’で電源オン情報を検出する。この例では、電源オン情報検出(パワーオン)と共に、CPU55は、ステップE2に移行して発呼要求を待機する。発呼要求が有った場合は、ステップE3で相手方の電話番号にダイヤルインして携帯電話機100を呼び出す。例えば、使用者Bは、周知の電話帳機能を利用して使用者Aの電話番号情報を選択する。CPU55は、選択された電話番号情報をEEPROM52から読み出して無線送信部22に出力する。無線送信部22は、周知の発呼処理を実行して相手方の携帯電話機100を呼び出す。
そして、ステップE4に移行して、CPU55は、相手方の携帯電話機100から送信されてくるモード設定信号の受信及びその判別処理を実行する。このとき、無線基地局等から到来した無線電波は、アンテナ16で受信され、アンテナ共用器23を介して無線受信部21に入力される。例えば、アンテナ共用器23から供給される受信データ等は、受信制御信号S3に基づいて無線受信部21で復調処理され、復調後の受信データがモード選択スイッチ40を経由してメール受信ブロック60’に入力される。受信制御信号S3はCPU55から無線受信部21へ出力される。
メール受信ブロック60’で、CPU55は、相手方の携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定しているか否かを判別する。”しゃべれないモード”の設定有無の判断基準は、例えば、EEPROM52にデフォルト値として格納されている、モード設定情報に係る不揮発データD4と、相手方の携帯電話機100から受信したモード設定信号のデコード結果とを比較する。この比較結果が一致した場合は、”しゃべれないモード”が設定されている。不一致の場合は、”しゃべれないモード”が設定されておらず、通常の会話モードが設定されていると判断される。
もちろん、これに限られることはなく、音声ガイダンスを相手方から受けて、発呼側で使用者Bによる手動設定としてもよい。例えば、「おかけになった相手方は、現在、”しゃべれないモード”を設定中です。」を音声ガイドすると共に、発呼側の「通常の会話モードを”しゃべれないモード”に変更を促す」旨の音声ガイダンスを流すような処理で対処することも可能である。
この”しゃべれないモード”又は通常の会話モードの判別結果で、CPU55はステップE5に移行して通信制御を分岐する。”しゃべれないモード”が設定されている場合は、ステップE6及びE7に移行する。このとき、受信切換器41は、予め設定されている通常の会話モードから”しゃべれないモード”に設定を変更する。例えば、モード選択信号S2に基づいて、接点aから接点bに切り換え、その接点bと中点cとを接続する。モード選択信号S2はCPU55から受信切換器41に出力される。この接続によって、テキストデータDinが無線受信部21からメール受信ブロック60’へ出力可能となされる。なお、送信切換器42は、通常の会話モードが設定されているままである。
ステップE6では、CPU55は音声出力処理を実行して、使用者Bである着呼側へ音声データを送信する。このとき、携帯電話機100’で送話器を構成するマイクロフォン13は、使用者Bの声を集音して音声信号Sinを音声入出力処理部30へ出力する。
音声入出力処理部30では、アナログの音声信号Sinをアナログ/デジタル変換した後の音声データDoutを出力するようになされる。また、送信系では、音声送信処理を実行する。例えば、無線送信部22は、送信制御信号S4に基づいて音声データDoutを所定の変調方式により変調処理し、変調後の送信データをアンテナ共用器23を介してアンテナ16に供給する。送信制御信号S4はCPU55から無線送信部22へ出力される。送信データは、アンテナ16から無線電波となって無線基地局等に向けて輻射される。
この音声送信処理に並行して、ステップE7で、CPU55はテキスト受信処理を実行する。このとき、無線受信部21に入力された受信データは、受信制御信号S3に基づいて無線受信部21で復調処理され、復調後の受信データ(テキストデータ)がモード選択スイッチ40を経由してメール受信ブロック60’に入力される。受信制御信号S3はCPU55から無線受信部21へ出力される。
メール受信ブロック60’では、CPU55がI/Oポート25を介して操作パネル18及び表示手段29の入出力を制御する。CPU55は、テキストデータDinを画像処理部26に転送する。画像処理部26では、テキストデータを文字情報に変換するような画像処理がなされる。画像処理後の文字情報は表示データD2となって表示手段29に供給される。表示手段29はメール受信画面を表示する。使用者Bは、メール受信画面を視ながら、送話器を構成するマイクロフォン13で音声(話声)により応答するようになされる。
その後、ステップE8に移行してCPU55は、オンフックされたかを判別する。オンフックされない場合は、ステップE6及びE7に戻って上述した処理を繰り返すようになされる。オンフックされた場合は、ステップE11に移行する。
また、上述のステップE5で相手方の携帯電話機100が通常の会話モードを選択している場合は、ステップE9に移行してCPU55は、通常の通話モード処理を実行する。この会話モード処理では、受信切換器41がモード選択信号S2に基づいて、接点bと中点cとを接続する。この接続によって、音声データDinが無線受信部21から音声入出力処理部30へ取り込まれる。送信切換器42は、モード選択信号S2に基づいて、接点dと中点fとを接続する。モード選択信号S2はCPU55から送信切換器42に出力される。この接続によって、音声データDoutが音声入出力処理部30から無線送信部22へ出力される。
その後、ステップE10に移行してCPU55は、オンフックされたかを判別する。オンフックされない場合は、ステップE9に戻って上述した通常の通話モード処理を繰り返すようになされる。オンフックされた場合は、ステップE11に移行する。ステップE11では、CPU55は通信処理の終了判別をする。CPU55は、電源オフ情報を検出して通信処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップE2に戻って上述した通信処理を繰り返すようになされる。
このように、本発明に係る第1の実施例としての通信処理システムによれば、相手方からの発呼に対して何らかの通信処理をする場合に、本発明に係る携帯電話機100及び100’や通信処理方法等が応用される。着呼側の携帯電話機100は、”しゃべれないモード”を設定して音声受信処理及び文字入力送信処理を実行し、発呼側の携帯電話機100’は”しゃべれないモード”が設定された着呼側の携帯電話機100に対して音声送信処理及び文字受信処理を実行する。
従って、相手方からの発呼に対して着呼側の携帯電話機100は、音声入力送信処理に依存することなく、文字入力送信処理によって相手方と意志の疎通を図ることができる。これにより、着呼側の携帯電話機100において、相手方からの発呼に対して音声入力送信処理が制限される環境、例えば、満員電車の中や、会議中などの公共の場や、会話を禁止されている区域等において、相手方からの音声受信内容に対して、本来、音声入力送信処理すべき返信内容をその場で文字情報により相手方に返信することができる。当該携帯電話機100の使用勝手が格段に向上できるようになる。特に、言語発声に不自由な使用者が、音声を使った通話に対応できるようになる。
図9は、第2の実施例に係る発呼側の携帯電話機100’の受信処理例を示すブロック図である。
図9に示す発呼側の携帯電話機100’の音声入出力処理部30にはテキスト音声変換部38が設けられる。この例では、無線受信部21がテキスト受信モードに設定されているが、図9に示すモード選択スイッチ40において、受信切換器41がモード選択信号S2に基づいて接点aと接点cとを接続する(通常の会話モード)。この接続によって、無線受信部21から受信切換器41を経由して音声入出力処理部30に至るテキストデータ受信経路が構築される。
音声入出力処理部30は、音声処理信号S1に基づいて音声入出力モードに設定される。音声処理信号S1は、CPU55から音声入出力処理部30へ出力される。この音声入出力モードでは、マイクロフォン13の音声入力が許可されている。なお、送信切換器42は接点dと接点fとを接続したままである。つまり、音声入出力処理部30から送信切換器42を経由して無線送信部22に至る音声データ送信経路が構築されたままである。
上述のテキスト音声変換部38は、無線受信部21から受信切換器41を経由して入力したテキストデータを音声処理信号S1に基づいて音声データに変換するように動作する。音声データは、デジタル・アナログ変換され、音声信号Sout1やSout2等となる。音声信号Sout1はスピーカー36aに出力され、音声信号Sout2はスピーカー36bに各々出力される。
図10は、”しゃべれないモード”設定時の第2の通信処理システム102の構成例を示す概念図である。図10に示す第2の通信処理システム102によれば、発呼側である使用者Aの携帯電話機100が通信手段300を介して着呼側である使用者Bの携帯電話機100’に接続される。携帯電話機100は図4に示したものであり、携帯電話機100’は図9に示したものである。
第2の通信処理システム102では、下向き実線矢印で示す音声データが使用者Bから使用者Aへ送信される。使用者Aの携帯電話機100では、”しゃべれないモード”が設定されているので、受信系Iがボイスモードに設定され、送信系がテキストモードに設定される。
一方、使用者Bの携帯電話機100’では、使用者Aの携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定している判別されると、受信系I’をテキストモードに設定し、上向き白抜き矢印で示す経路でテキストデータを使用者Aの携帯電話機100から受信するようになされる。第2の通信処理システム102では、テキスト音声変換部38がテキストデータを音声データに変換する点で第1の通信処理システム101と異なる。
つまり、テキストモードが設定された受信系I’から右向き白抜き矢印で示す経路でボイスモードが設定された送信系II’(この例では、音声入出力処理部30)へ転送される。テキストデータは、音声入出力処理部30で音声処理信号S1に基づいて音声データに変換される。上向き実線矢印で示す音声データに基づく音声が使用者Bに伝達される。なお、携帯電話機100’の送信系II’は、ボイスモードの設定のままである。
このように第2の通信処理システム102を構成すると、第1の通信処理システム101の効果に加えて、発呼側の携帯電話機100’において、使用者Bは通常の会話モード(ボイスモード)で受け答えできるようになる。
図11は、第3の実施例に係る着呼側の携帯電話機100の送信処理例を示すブロック図である。
図11に示す着呼側の携帯電話機100のメール受信ブロック60’には音声文字変換手段の一例となる音声テキスト変換部48が設けられる。この例では、無線受信部21が音声受信モードに設定されているが、図11に示すモード選択スイッチ40において、受信切換器41がモード選択信号S2に基づいて接点bと接点cとを接続する(メールモード)。この接続によって、無線受信部21から受信切換器41を経由してメール受信ブロック60’に至る音声データ受信経路が構築される。
メール受信ブロック60’において、上述の音声テキスト変換部48はシステムバス19に接続され、無線受信部21から転送を受けた音声データをテキストデータ(メールデータ)に変換するように動作する。音声テキスト変換部48には、特許公報(特許第3121530号)に記載の音声認識装置や、特許公報(特許第3484077号)に記載の音声認識装置が応用できる。テキストデータは画像処理部26で文字情報に変換される。文字情報は画像処理部26で画像処理された後に、表示データD2となる。表示データD2は表示手段29に供給される。
CPU55は、”しゃべれないモード”が設定されているので、I/Oポート25を介して表示データD2を表示手段29に出力する。表示手段29は、相手方からの文字情報に基づく表示データD2により、音声テキスト画面(メール受信画面)を表示する。なお、テキスト送信機能については、図4で説明した通りである。
図12は、”しゃべれないモード”設定時の第3の通信処理システム103の構成例を示す概念図である。図12に示す第3の通信処理システム103によれば、着呼側である使用者Aの携帯電話機100が通信手段300を介して発呼側である使用者Bの携帯電話機100’に接続される。使用者Aの携帯電話機100は、図11に示したものであり、使用者Bの携帯電話機100’は図9に示したものである。
第3の通信処理システム103では、下向き実線矢印で示す音声データが使用者Bから使用者Aへ送信される。使用者Aの携帯電話機100では、”しゃべれないモード”が設定されているので、受信系Iがボイスモードに設定され、送信系IIがテキストモードに設定される。
一方、使用者Bの携帯電話機100’では、使用者Aの携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定している判別されると、受信系I’をテキストモードに設定し、上向き白抜き矢印で示す経路でテキストデータを使用者Aの携帯電話機100から受信するようになされる。第3の通信処理システム103では、着呼側の携帯電話機100の受信系Iがボイスモードを設定しているが、音声テキスト変換部48で音声データをテキストデータに変換する点で第2の通信処理システム102と異なる。なお、携帯電話機100’の送信系II’は、ボイスモードの設定のままである。
このように第3の通信処理システム103を構成すると、第1及び第2の通信処理システム101、102の効果に加えて、着呼側の携帯電話機100において、使用者Bは通常のメールモード(チャットモード)で受け答えできるようになる。
図13は、第4の実施例に係る通信処理システム104の構成例を示す概念図である。図13に示す”しゃべれないモード”設定時の第4の通信処理システム104は、第1の実施例と第3の実施例とを組み合わせたシステムである。着呼側である使用者Aの携帯電話機100が通信手段300を介して発呼側である使用者Bの携帯電話機100’に接続される。使用者Aの携帯電話機100は図11に示したものであり、使用者Bの携帯電話機100’は図5に示したものである。
第4の通信処理システム104では、実線矢印で示す音声データが使用者Bから使用者Aへ送信される。使用者Aの携帯電話機100では、受信系Iがボイスモードに設定され、送信系IIが”しゃべれないモード”に設定される。
一方、使用者Bの携帯電話機100’では、使用者Aの携帯電話機100が”しゃべれないモード”を設定している判別されると、受信系I’をテキストモードに設定し、白抜き矢印で示す経路でテキストデータを使用者Aの携帯電話機100から受信するようになされる。送信系II’はボイスモードである。第4の通信処理システム104では、着呼側の携帯電話機100の受信系Iがボイスモードに設定されるが、音声テキスト変換部48で音声データをテキストデータに変換する点で第1及び2の通信処理システム101、102と異なる。なお、使用者Bの携帯電話機100’の送信系II’は、ボイスモードの設定のままである。
このように第4の通信処理システム104を構成すると、第1の通信処理システム101の効果に加えて、着呼側の携帯電話機100において、第3の通信処理システム103と同様にして、使用者Bは通常のメールモード(チャットモード)で受け答えできるようになる。
また、使用者(相手方)Bからの着呼に対して音声入力送信処理が制限される環境においても、相手方からの音声受信内容に対して、使用者Aは、本来、音声入力送信処理すべき返信内容をその場で文字情報により相手方に返信することができる。使用者Bはメールで受け、音声でその答えを送ることができ、相手方と意志の疎通を図ることができる。
本発明は、相手方からの発呼に応じて通話をする通話機能と、随時、相手方に対して文字情報を送信するメール機能を備えた携帯電話機に適用して極めて好適である。
本発明に係る各実施例としての通信処理システム1の構成例を示す概念図である。
各実施例に係る”しゃべれないモード”機能付きの携帯電話機100の外観例を示す概念図である。
携帯電話機100の内部構成例を示すブロック図である。
第1の実施例に係る着呼側の携帯電話機100のモード設定例を示すブロック図である。
発呼側の携帯電話機100’のモード設定例を示すブロック図である。
”しゃべれないモード”設定時の第1の通信処理システム101の構成例を示す概念図である。
第1の実施例に係る着呼側の携帯電話機100の通信処理例を示すフローチャートである。
その発呼側の携帯電話機100’の通信処理例を示すフローチャートである。
第2の実施例に係る発呼側の携帯電話機100’の受信処理例を示すブロック図である。
”しゃべれないモード”設定時の第2の通信処理システム102の構成例を示す概念図である。
第3の実施例に係る着呼側の携帯電話機100の送信処理例を示すブロック図である。
”しゃべれないモード”設定時の第3の通信処理システム103の構成例を示す概念図である。
第4の実施例に係る通信処理システム104の構成例を示す概念図である。
従来例に係る通信処理システム201の構成例を示す概念図である。
メールモード時の通信処理例を示す概念図である。
符号の説明
1,101〜104・・・通信処理システム、15・・・制御手段、18・・・操作パネル(操作手段,文字入力手段)、21・・・無線受信部(受信手段)、22・・・無線送信部(送信手段)、26・・・画像処理部、29・・・表示手段、30・・・音声入出力処理部、34・・・イヤホン、38・・・テキスト音声変換部(文字音声変換手段)、40・・・モード選択スイッチ(選択手段)、48・・・音声テキスト変換部(音声文字変換手段)、55・・・CPU(制御手段)、60・・・メール作成ブロック、60’・・・メール受信ブロック、100,100’・・・携帯電話機(通信処理装置)