JP2005330833A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポート燃料噴射弁と筒内燃料噴射弁の双方を制御する燃料噴射制御装置において、燃料の付着に起因する誤差を最小限に抑えることで、燃料噴射量を最適に制御する。
【解決手段】 ポート燃料噴射弁32と、ポート付着燃料量fwpを推定するポート付着燃料量推定手段と、筒内燃料噴射弁36と、筒内付着燃料量fwcを推定する筒内付着燃料量推定手段と、ポート付着燃料量fwp及び筒内付着燃料量fwcを用いて、ポート燃料噴射弁32及び筒内燃料噴射弁36における燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、吸気バルブ34の温度を取得する吸気バルブ温度取得手段と、筒内壁面の温度を取得する筒内壁面温度取得手段と、吸気バルブ34の温度と筒内壁面の温度を比較する比較手段と、を備え、燃料噴射量制御手段は、吸気バルブ34の温度が筒内壁面の温度よりも高い場合は、少なくともポート燃料噴射弁32から燃料を噴射するようにした。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、特に、ポート燃料噴射弁と筒内燃料噴射弁の双方を制御する装置に適用して好適である。
従来から、例えば特開平11−303669号公報に記載されているように、吸気ポートに燃料を噴射するポート燃料噴射弁と、機関筒内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁とを備えたデュアルインジェクタシステムが知られている。
また、燃料噴射量を決定する方法として、特許第2754744号公報に記載されているように、燃料挙動モデルを用いて燃料の付着分を考慮した上で燃料噴射量を決定する方法が知られている。
特開平11−303669号公報 特許2754744号公報
しかしながら、燃料挙動モデルで考慮している燃料付着量は、モデル計算による推定値であるため、燃料付着量が多くなる運転条件では、実際の燃料付着量とモデル計算による燃料付着量との間の誤差が大きくなる場合がある。
特に、上述のようなデュアルインジェクタシステムでは、ポート壁面と筒内壁面の双方への燃料付着量を考慮する必要があるため、実際の燃料付着量とモデル計算による燃料付着量との間の誤差が大きくなると、燃料噴射量の制御性が低下する場合がある。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、ポート燃料噴射弁と筒内燃料噴射弁の双方を制御する燃料噴射制御装置において、燃料の付着に起因する誤差を最小限に抑えることで、燃料噴射量を最適に制御することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、吸気ポートに燃料を噴射するポート燃料噴射弁と、吸気ポートに付着するポート付着燃料量を推定するポート付着燃料量推定手段と、筒内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、筒内壁面に付着する筒内付着燃料量を推定する筒内付着燃料量推定手段と、前記ポート付着燃料量及び前記筒内付着燃料量を用いて、前記ポート燃料噴射弁及び筒内燃料噴射弁における燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、吸気バルブの温度を取得する吸気バルブ温度取得手段と、筒内壁面の温度を取得する筒内壁面温度取得手段と、前記吸気バルブの温度と前記筒内壁面の温度を比較する比較手段と、を備え、前記燃料噴射量制御手段は、前記吸気バルブの温度が前記筒内壁面の温度よりも高い場合は、少なくとも前記ポート燃料噴射弁から燃料を噴射することを特徴とする。
第2の発明は、上記の目的を達成するため、吸気ポートに燃料を噴射するポート燃料噴射弁と、吸気ポートに付着するポート付着燃料量を推定するポート付着燃料量推定手段と、筒内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、筒内壁面に付着する筒内付着燃料量を推定する筒内付着燃料量推定手段と、前記ポート付着燃料量及び前記筒内付着燃料量を用いて、前記ポート燃料噴射弁及び筒内燃料噴射弁における燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、吸気管圧力を取得する吸気管圧力取得手段と、を備え、前記燃料噴射量制御手段は、前記吸気管圧力が所定値以上の場合は、前記筒内燃料噴射弁のみから燃料を噴射することを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、バルブオーバーラップ量を取得するバルブオーバーラップ量取得手段を更に備え、前記燃料噴射量制御手段は、前記バルブオーバーラップ量が所定値以上の場合は、前記筒内燃料噴射弁のみから燃料を噴射することを特徴とする。
第1の発明によれば、吸気バルブの温度が筒内壁面の温度よりも高い場合は、少なくともポート燃料噴射弁から燃料を噴射するようにしたため、温度の高い吸気バルブに向けて燃料を噴射することができる。従って、噴射燃料の蒸発を促進することができ、燃料付着量を低減することが可能となる。
第2の発明によれば、吸気管圧力が高い場合は吸気ポートにおける燃料の蒸発量が少ないため、吸気管圧力が所定値以上の場合は、筒内燃料噴射弁のみから燃料を噴射することで、吸気ポートにおける燃料の付着を抑制することができる。
第3の発明によれば、バルブオーバーラップ量が大きい場合は筒内残留ガスの吹き返しの影響で吸気ポートに燃料が付着してしまうため、バルブオーバーラップ量が所定値以上の場合は、筒内燃料噴射弁のみから燃料を噴射することで、吸気ポートにおける燃料の付着を抑制することができる。
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。図1に示す構成は、内燃機関10を備えている。内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温センサ18が組み付けられている。
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20は、吸気通路12を流れる吸入空気量Gaを検出するセンサである。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24と、スロットルバルブ22が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ26とが配置されている。
スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。また、サージタンク28の更に下流には、内燃機関10の吸気ポート30に燃料を噴射するためのポート燃料噴射弁32が配置されている。
内燃機関10は、吸気バルブ34および排気バルブ38を備えている。上述のポート燃料噴射弁32は、燃料を主に吸気バルブ34に向けて噴射する。吸気バルブ34の表面温度は吸気ポート30の壁面温度よりも高いため、吸気バルブ34に向けて燃料を噴射することで、噴射燃料を効率良く霧化することができる。
内燃機関10のシリンダヘッドには、内燃機関10の筒内に燃料を噴射するための筒内燃料噴射弁36が配置されている。また、内燃機関10は、冷却水温THWを検出する水温センサ42、および機関回転数NEを検出する回転数センサ44を備えている。
本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種センサと共に、ポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36などが接続されている。ECU50は、運転条件に応じて、ポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36の一方または双方から燃料を噴射させるように制御を行う。
次に、本実施形態に係る燃料挙動モデルについて説明する。図2は、吸気ポート30、ポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36の近傍の拡大図である。以下、図2に示すように、ポート燃料噴射弁32から噴射される燃料の量を「燃料噴射量fip」と記し、燃料噴射量fipのうち、吸気バルブ34の表面または吸気ポート30の壁面に付着する燃料の量を「ポート壁面付着量fwp」と記す。
また、筒内燃料噴射弁36から噴射される燃料の量を「燃料噴射量fic」と記し、燃料噴射量ficのうち、シリンダ壁面、シリンダヘッド壁面など筒内壁面に付着する燃料の量を「筒内壁面付着量fwc」と記す。そして、筒内で霧化した状態で存在する燃料の量を「筒内蒸発燃料量(筒内燃焼要求量)fc」と記す。筒内蒸発燃料量fcは、筒内で実際に燃焼する燃料量である。
図3は、本実施形態の装置が用いる燃料挙動モデルを説明するための模式図である。この燃料挙動モデルは、ポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36から噴射された後の燃料の挙動を表すモデルである。図3に示す、残留率Rp,Rc、付着率Pp,Pc、および燃料量fip,fwp,fc,fwc,ficは、何れも、その燃料挙動モデルにおいて用いられるパラメータである。以下、図3に基づいて、残留率Rp,Rc、付着率Pp,Pc、燃料量fip,fwp,fc,fwc,ficの関係を説明する。
上述したように、燃料噴射量fipは、ポート燃料噴射弁32から噴射された後、その一部が吸気バルブ34の表面等に付着し、その残部が筒内に吸入される。この際、吸気バルブ34等に付着する燃料の割合を「ポート付着率Rp」と定義すれば、図3に示すように、燃料噴射量fipのうち筒内に吸入されることなくポートウエットの一部となる燃料は、「Rp×fip」で表されることとなり、一方、筒内に吸入される燃料の量は「(1−Rp)×fip」で表されることとなる。
筒内蒸発燃料量fcには、上記の演算式(1−Rp)×fipで表される量の燃料量の他、吸気バルブ34の表面、吸気ポート30の内壁等に付着していた燃料が霧化して筒内へ流入した燃料量が含まれる。ここで、吸気行程の実行後にポートウエットが壁面等に付着したままの状態で残る割合を「ポート残留率Pp」とすれば、図3に示すように、吸気行程の開始時に存在していたポート壁面付着量fwpは、その吸気行程の後には「Pp×fwp」で表される量に減少していることになり、一方、その吸気行程の間には、「(1−Pp)×fwp」で表される量の燃料がポートウエットの存在に起因して筒内に流入したことになる。
同様にして、燃料噴射量ficは、筒内燃料噴射弁36から噴射された後、その一部が筒内壁面等に付着し、その残部が筒内に霧化する。この際、筒内壁面に付着する噴射の割合を「シリンダ付着率Rc」と定義すれば、図3に示すように、燃料噴射量ficのうち筒内壁面に付着する燃料は、「Rc×fic」で表されることとなり、一方、筒内に霧化する燃料の量は「(1−Rc)×fic」で表されることとなる。
筒内蒸発燃料量fcには、上記の演算式(1−Rc)×ficで表される量の燃料量の他、筒内壁面に付着していた燃料が霧化することによる燃料量が含まれる。ここで、吸気行程の実行後に筒内壁面に付着した燃料が付着したままの状態で残る割合を「シリンダ残留率Pc」とすれば、図3に示すように、吸気行程の開始時に存在していたシリンダ壁面付着量fwcは、その吸気行程の後には「Pc×fwc」で表される量に減少していることになり、一方、その吸気行程の間には、「(1−Pc)×fwc」で表される量の燃料が筒内壁面に付着した燃料の存在に起因して筒内で霧化したことになる。
従って、第kサイクルにおける噴射行程の開始時における、吸気バルブ34の表面または吸気ポート30の壁面等への付着量がfwpであり、第kサイクルにおけるポート燃料噴射弁32からの燃料噴射量がfipである場合、第kサイクルの終了後に発生している吸気バルブ34または吸気ポート30の壁面等への付着量(つまり、第k+1サイクルにおける付着量)fwpk+1は次式のように表すことができる。
fwpk+1=Pp×fwp+Rp×fip ・・・(1)
同様に、第kサイクルにおける噴射行程の開始時における筒内の壁面付着量がfwcであり、第kサイクルにおける筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射量がficである場合、第kサイクルの終了後に発生している筒内の壁面付着量(つまり、第k+1サイクルにおける筒内壁面付着量)fwck+1は次式のように表すことができる。
fwck+1=Pc×fwc+Rc×fic ・・・(2)
一方、第kサイクルにおいて、ポート燃料噴射弁32からの燃料噴射量fipのうち、吸気バルブ34の表面、ポート壁面等に付着せずに霧化した状態で筒内に流入した燃料量は(1−Rp)×fipである。また、筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射量ficのうち、筒内壁面に付着せずに筒内で霧化した燃料量は(1−Rc)×ficである。従って、筒内蒸発燃料量fcには、これらの燃料量(1−Rp)×fip、および(1−Rc)×ficが含まれる。
また、第kサイクルにおける燃料噴射の開始時から第kサイクルにおける吸気行程の終了時までの間において、吸気バルブ34の表面、ポート壁面等に付着していた燃料が蒸発して筒内へ流入する燃料量は(1−Pp)×fwpである。また、この間において、筒内壁面に付着していた燃料が霧化する量は(1−Pc)×fwcである。筒内蒸発燃料量fcには、これらの燃料量が含まれる。
従って、筒内蒸発燃料量fcは次式のように表すことができる。
fc=(1−Rp)×fip+(1−Rc)×fic+(1−Pp)×fwp+1−Pc)×fwc ・・・(3)
このように、本実施形態では、吸気ポート30における燃料挙動モデルと筒内の燃料挙動モデルの双方を用いて燃料挙動モデルを構成している。このモデルによれば、内燃機関10が現実に要求している筒内蒸発燃料量fcに対応した燃料噴射量fipおよび燃料噴射量ficは、(1)〜(3)式の関係を用いることにより、ポート付着率Rp、ポート残留率Pp、シリンダ付着率Rc、シリンダ残留率Pcをパラメータとして、個々のサイクル毎に演算により求めることができる(尚、fwp,fwcの初期値は0に設定できる)。
従って、図3の燃料挙動モデルによれば、ポート付着率Rp、ポート残留率Pp、シリンダ付着率Rc、シリンダ残留率Pcの値を予め所定値に設定しておけば、ポート壁面付着量fwp、筒内壁面付着量fwcを考慮した上で、筒内蒸発燃料量fcと、燃料噴射量fipおよび燃料噴射量ficとの関係を正確に求めることができる。
ところで、(3)式によれば、ポート付着率Rp、ポート残留率Pp、シリンダ付着率Rc、シリンダ残留率Pcの値が所定値に設定された場合、筒内蒸発燃料量fcを目標値に制御するためには、fip、fic、fwp、fwcのそれぞれが適切な値に制御されることが必要である。
ここで、燃料噴射量fip、燃料噴射量ficは、ポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36のそれぞれの開弁状態を制御することによって正確に制御することができる。一方、ポート壁面付着量fwp、筒内壁面付着量fwcは、燃料挙動モデルにおける計算値であり、実際の付着量との間に誤差が生じる場合がある。
従って、筒内蒸発燃料量fcを目標値に正確に制御するためには、ポート壁面付着量fwpおよび筒内壁面付着量fwcの影響による筒内蒸発燃料量fcの変動を最小限に抑えることが好適である。換言すれば、燃料の付着が最小限となる条件下で燃料噴射を行い、ポート壁面付着量fwp、筒内壁面付着量fwcの値をできるだけ小さな値にすることで、燃料の付着による誤差要因を最小限に抑えることができ、筒内蒸発燃料量fcを高精度に制御することができる。
ここで、燃料の付着は、燃料が噴射される部位の温度が低いほど多く発生するため、温度の高い部位に向けて燃料を噴射することで、燃料の蒸発を促進することができ、燃料の付着量を低減することができる。
このため、本実施形態では、ポート燃料噴射弁32から噴射された燃料が付着する吸気バルブ34の温度と、筒内燃料噴射弁36から噴射された燃料が付着する筒内壁面(シリンダ壁面)の温度をそれぞれ求め、温度の高い方に向けてより多くの燃料を噴射するようにしている。これにより、噴射燃料の霧化を促進することができ、燃料の付着量を最小限に抑えることが可能となる。
具体的には、吸気バルブ34の温度がシリンダ壁面の温度よりも高い条件では、ポート燃料噴射弁32から重点的に燃料を噴射し、筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射を低減または停止する。このように、温度の高い吸気バルブ34に向けて重点的に燃料を噴射することで、燃料の霧化が促進され、ポート壁面付着量fwpの値を最小限に抑えることができる。また、筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射を低減または停止することで、筒内壁面付着量fwcの値を最小限に抑えることができる。特に、筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射を停止した場合、数サイクルの経過後においては、筒内壁面付着量fwcの値を0にすることができる。従って、(3)式における演算において、ポート壁面付着量fwp、筒内壁面付着量fwcの値が筒内蒸発燃料量fcの値に与える影響を最小限に抑えることができる。これにより、燃料挙動モデルにおいて、筒内蒸発燃料量fcを正確に制御することが可能となる。
図4は、実施の形態1の燃料噴射制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、通常時には筒内燃料噴射弁36のみから燃料噴射を行い、吸気バルブ34の温度がシリンダ壁面の温度よりも高い場合に、ポート燃料噴射弁32からの燃料噴射を併用する処理について説明する。
先ず、ステップS1では、現在の運転状態を表す各種パラメータを取得する。より詳細には、ステップS1では、機関回転数NE、負荷率KL、スロットル開度TA、冷却水温THW等のパラメータを取得する。次のステップS2では、ステップS1で取得した各種パラメータを用いて、マップから各種状態量を算出する。ここでは、吸気バルブ34の表面温度(バルブ表面温度)Tw_V、シリンダ壁面温度Tw_C、吸気管圧力Pmの値をマップから算出する。なお、これらの値はセンサによって検出してもよい。
次のステップS3では、吸気バルブ34の開弁・閉弁タイミングInVVT、排気バルブ38の開弁・閉弁タイミングExVVT、吸気バルブ34の開弁期間VLを求め、これに基づいてバルブオーバーラップ量VT_Oを算出する。
次のステップS4では、ステップS1〜S3で取得した各パラメータを用いて、シリンダ残留率Pc、シリンダ付着率Rcを算出する。次のステップS5では、ポート残留率Pp、ポート付着率Rpを算出する。ここで、シリンダ残留率Pc、シリンダ付着率Rc、ポート残留率Pp、ポート付着率Rpは、これらの値と、吸気管圧力Pmまたは負荷率KL、機関回転数NE、バルブオーバーラップ量VT_O、及び冷却水温THWとの関係を規定したマップから算出される。
次のステップS6では、現在のサイクル(第kサイクル)で必要とされる筒内要求燃料量(筒内蒸発燃料量)fcを求める。ここでは、機関回転数NE、スロットル開度TA、負荷率KL等に基づいて、現在の運転状態に応じた目標値としての筒内要求燃料量fcを求める。
次のステップS7では、バルブ表面温度Tw_Vとシリンダ壁面温度Tw_Cを比較し、Tw_V>Tw_Cであるか否かを判定する。
ステップS7において、Tw_V>Tw_Cの場合はステップS8へ進む。この場合、バルブ表面温度Tw_Vがシリンダ壁面温度Tw_Cよりも高いため、ポート燃料噴射弁32から吸気バルブ34に向けて燃料を多く噴射して、燃料の蒸発を促進することが好適である。従って、ステップS8では、(1)〜(3)式を用いて、ステップS6で求めた筒内要求燃料量fcを満足するように筒内燃料噴射量ficとポート燃料噴射量fipを算出する。この際、ポート燃料噴射弁32からの噴射量を増大し、筒内燃料噴射弁36からの噴射量を低下させるようにfic,fipの値を設定し、設定した値に基づいてポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36から燃料を噴射する。これにより、温度の高い吸気バルブ34に向けて燃料を噴射することができ、燃料の霧化を促進することができる。なお、(3)式におけるfwpおよびfwcは、第(k−1)サイクルにおける(1)式、(2)式の演算で算出された値を用いる。
一方、ステップS7において、Tw_V≦Tw_Cの場合は、ステップS9へ進む。この場合、バルブ表面温度Tw_Vがシリンダ壁面温度Tw_C以下であるため、ポート燃料噴射弁34から燃料を噴射すると燃料付着量が多くなることが想定される。従って、ステップS9では、(3)式においてfip=0として、筒内燃料噴射量ficのみを算出する。そして、ポート燃料噴射弁34からの燃料噴射を停止し、筒内燃料噴射弁36のみから燃料噴射を行う。
ステップS8,S9の後はステップS10へ進み、(1)式、(2)式から筒内燃料付着量fwcとポート内燃料付着量fwpを算出する。ここで算出したfwc,fwpは、次のk+1サイクルでの演算に使用される。ステップS10の後は処理を終了する。
以上説明したように実施の形態1によれば、吸気バルブ34の温度がシリンダ壁面の温度よりも高い場合は、ポート燃料噴射弁32から温度の高い吸気バルブ34に向けて燃料を噴射するようにしたため、燃料の霧化を促進することができる。従って、吸気ポート30および筒内における燃料付着量の総量を最小限に抑えることが可能となり、燃料挙動モデルにおいて燃料噴射量を高い精度で制御することが可能となる。これにより、A/F制御の制御性を高めることが可能となる。
また、吸気ポート30におけるポート壁面付着量fwpを低下させることができるため、吸気ポート30から筒内に液体の状態で流入する燃料量を抑えることができる。これにより、筒内からの未燃排出HCの量を最小限に抑えることができ、排気のエミッションを向上させることができる。
なお、図3の燃料挙動モデルでは、吸気ポート30から筒内へ液体の状態で流入する燃料量は考慮していないが、液体の状態で筒内へ流入する燃料量を考慮して燃料挙動モデルを構成しても良い。
図5は、吸気ポート30から筒内へ液体の状態で流入する燃料量を考慮した燃料挙動モデルを示す模式図である。図5の燃料挙動モデルは、図3の燃料挙動モデルに液ダレ係数a,bを考慮したものである。ここで、液ダレ係数aは、ポートウエットの存在に起因して筒内に流入する燃料量(1−Pp)×fwpのうち、液体の状態で筒内へ流入して筒内壁面に付着する燃料量の割合を表している。従って、燃料量(1−Pp)×fwpのうち、液体の状態で筒内へ流入して筒内壁面に付着する燃料量は、a×(1−Pp)×fwpとなる。また、燃料量(1−Pp)×fwpのうち、霧化した状態で筒内へ流入して筒内蒸発燃料量fcとなる燃料量は、(1−a)×(1−Pp)×fwpとなる。
また、液ダレ係数bは、ポート燃料噴射弁32から噴射されて筒内に吸入される燃料量(1−Rp)×fipのうち、筒内壁面に付着する燃料量の割合を表している。従って、燃料量(1−Rp)×fipのうち、液体の状態で筒内へ流入して筒内壁面に付着する燃料量は、b×(1−Rp)×fipとなる。また、燃料量(1−Rp)×fipのうち、霧化した状態で筒内へ流入して筒内蒸発燃料量fcとなる燃料量は、(1−b)×(1−Rp)×fipとなる。
図5の燃料挙動モデルでは、図3の燃料挙動モデルに対して、これらの燃料量a×(1−Pp)×fwp、燃料量(1−a)×(1−Pp)×fwp、燃料量b×(1−Rp)×fip、燃料量(1−b)×(1−Rp)×fipを加えている。この結果、上述の(2)式、(3)式は以下のように変形される。
fwck+1=Pc×fwc+Rc×fic+a×(1−Pp)×fwp+b×(1−Rp)×fip ・・・(2)’
fc=(1−a)×(1−Pp)×fwp+(1−b)×(1−Rp)×fip+(1−Rc)×fic+(1−Pc)×fwc ・・・(3)’
このように、液ダレ係数a,bを考慮した燃料挙動モデルにおいても、ポート壁面付着量fwp、筒内壁面付着量fwcの値をできるだけ小さな値とすることで、燃料挙動モデルにおける燃料噴射量の制御性を高めることができる。従って、液ダレ係数a,bを考慮した燃料挙動モデルにおいても、実施の形態1で説明した制御と同様の制御を行うことが好適である。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2は、吸気管圧力Pmに基づいて、吸気ポート30において燃料が霧化され易い状態にあるか否かを判定し、燃料が霧化され易い状態にある場合は、ポート燃料噴射弁32から重点的に燃料を噴射するものである。
吸気ポート30に噴射された燃料の蒸発量は吸気管圧力Pmに応じて変動し、吸気管圧力Pmが低いほど燃料の蒸発量が多くなり、吸気バルブ34、吸気ポート30壁面への付着量が減少する。これは、燃料が噴射された領域の圧力が低い程、空気の分圧が低くなり、燃料の分圧(燃料の飽和蒸気圧)に対する空気の分圧の比率が小さくなるためである。
図6は、吸気管圧力Pmと、ポート残留率Ppおよびポート付着率Rpとの関係を示す特性図である。図6に示すように、吸気管圧力Pmが小さくなるほどポート残留率Ppおよびポート付着率Rpは減少する。従って、吸気管圧力Pmが小さいほど、吸気バルブ34、吸気ポート30への燃料付着量は減少することになる。
また、図7は、吸気管圧力Pmと、噴射燃料が飛行中に蒸発する割合(蒸発割合)との関係を示す特性図である。図7では、燃料温度を10℃、吸入空気温度(ガス温度)を30℃、とし、燃料成分を一定、燃料の粒径を一定とした場合の特性を示している。図7に示すように、蒸発割合は吸気管圧力Pmに応じて変動し、吸気管圧力Pmが小さいほど蒸発割合は増加する。従って、吸気管圧力Pmが小さいほど燃料蒸発量が増加し、吸気バルブ34、吸気ポート30への燃料付着量は減少することになる。
従って、吸気管圧力Pmに基づいて、噴射された燃料が蒸発し易い状態にあるか否かを判定することができる。このため、実施の形態2では、吸気管圧力Pmを求め、吸気管圧力Pmが所定のしきい値よりも小さい場合は、吸気ポート30において燃料が蒸発し易い状態にあると判断して、ポート燃料噴射弁32から重点的に燃料を噴射する。そして、筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射を低減または停止する。これにより、吸気ポート30において燃料の霧化を促進することができ、燃料付着量を最小限に抑えることができる。
また、吸気管圧力Pmが所定のしきい値以上の場合は、吸気ポート30に燃料が付着し易いため、筒内燃料噴射弁36のみから燃料を噴射することで、吸気ポート30における燃料付着量を最小限に抑えることができる。
従って、実施の形態2によれば、付着燃料量を最小限に抑えることができ、実施の形態1と同様に燃料挙動モデルにおける燃料噴射量の制御を高い精度で行うことが可能となる。
また、同じ運転条件であっても、吸気バルブ34、排気バルブ38の開閉の作用角が異なる運転条件では、吸気管圧力Pmが異なるため吸気ポート30における蒸発現象が異なる場合がある。実施の形態2では、吸気管圧力Pmに基づいてポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射を制御するため、このような場合においてもポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36からの燃料噴射を適正に制御することができる。
図8は、実施の形態2の燃料噴射制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、通常時には筒内燃料噴射弁36のみから燃料噴射を行い、吸気管圧力Pmが所定のしきい値よりも小さい場合に、ポート燃料噴射弁32からの燃料噴射を併用する処理について説明する。
先ず、ステップS11では、現在の運転状態を表す各種パラメータを取得する。より詳細には、ステップS11では、機関回転数NE、負荷率KL、スロットル開度TA、冷却水温THW等のパラメータを取得する。次のステップS12では、ステップS11で取得した各種パラメータを用いて、マップから各種状態量を算出する。ここでは、吸気バルブ34の表面温度(バルブ表面温度)Tw_V、シリンダ壁面温度Tw_C、吸気管圧力Pmの値をマップから算出する。
次のステップS13では、吸気バルブ34の開弁・閉弁タイミングInVVT、排気バルブ38の開弁・閉弁タイミングExVVT、吸気バルブ34の開弁期間VLを求め、これに基づいてバルブオーバーラップ量VT_Oを算出する。
次のステップS14では、ステップS11〜S13で取得した各パラメータを用いて、シリンダ残留率Pc、シリンダ付着率Rcを算出する。次のステップS15では、ポート残留率Pp、ポート付着率Rpを算出する。ここで、シリンダ残留率Pc、シリンダ付着率Rc、ポート残留率Pp、ポート付着率Rpは、これらの値と、吸気管圧力Pmまたは負荷率KL、機関回転数NE、バルブオーバーラップ量VT_O、及び冷却水温THWとの関係を規定したマップから算出される。
次のステップS16では、現在のサイクル(第kサイクル)で必要とされる筒内要求燃料量(筒内蒸発燃料量)fcを求める。ここでは、機関回転数NE、スロットル開度TA、負荷率KL等に基づいて、現在の運転状態に応じた目標値としての筒内要求燃料量fcを求める。
次のステップS17では、ステップS12で求めた吸気管圧力Pmと所定のしきい値αとを比較し、Pm<αであるか否かを判定する。
ステップS17において、Pm<αの場合は、ステップS18へ進む。この場合、吸気管圧力Pmが低く、吸気ポート30において燃料が蒸発し易い状態にあるため、ポート燃料噴射弁32から吸気バルブ34に向けて燃料を多く噴射して燃料の蒸発を促進することが好適である。従って、ステップS18では、(1)〜(3)式を用いて、ステップS16で求めた筒内要求燃料量fcを満足するように筒内燃料噴射量ficとポート燃料噴射量fipを算出する。この際、ポート燃料噴射弁32からの噴射量を増大し、筒内燃料噴射弁36からの噴射量を低下させるようにfic,fipの値を設定し、設定した値に基づいてポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36からの燃料を噴射する。これにより、吸気管圧力Pmの低い吸気ポート30に向けて燃料を噴射することができ、燃料の霧化を促進することができる。なお、実施の形態1と同様に、(3)式におけるfwpおよびfwcは、第(k−1)サイクルにおける(1)式、(2)式の演算で算出された値を用いる。
一方、ステップS17において、Pm≧αの場合は、ステップS19へ進む。この場合、吸気管圧力Pmがしきい値α以上であるため、ポート燃料噴射弁34から燃料を噴射すると燃料付着量が多くなることが想定される。従って、ステップS19では、(3)式においてfip=0として、筒内燃料噴射量ficのみを算出する。そして、ポート燃料噴射弁34からの燃料噴射を停止し、筒内燃料噴射弁36のみから燃料噴射を行う。
ステップS18,S19の後はステップS20へ進み、(1)式、(2)式から筒内燃料付着量fwcとポート内燃料付着量fwpを算出する。ここで算出したfwc,fwpは、次のk+1サイクルでの演算に使用される。ステップS20の後は処理を終了する。
以上説明したように実施の形態2によれば、吸気管圧力Pmが所定値よりも低い場合は、ポート燃料噴射弁32から吸気バルブ34に向けて燃料を重点的に噴射するようにしたため、燃料の霧化を促進することができる。また、吸気管圧力Pmが所定値以上の場合は、筒内燃料噴射弁36のみから燃料を噴射するようにしたため、吸気ポート30における燃料付着量を最小限に抑えることができる。従って、吸気ポート30および筒内における燃料付着量の総量を最小限に抑えることが可能となり、燃料挙動モデルにおいて燃料噴射量を高い精度で制御することが可能となる。これにより、A/F制御の制御性を高めることが可能となる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、実施の形態1または実施の形態2において、ポート燃料噴射弁32から燃料を噴射すると判定した場合であっても、バルブオーバーラップ量が所定値よりも大きい場合は、筒内燃料噴射弁36のみから燃料を噴射するものである。
排気行程から吸気行程へ移行する過程では、排気バルブ38と吸気バルブ34が共に開弁している区間が生じる。このとき、排気バルブ38と吸気バルブ34が共に開弁しているクランク角の区間(バルブオーバーラップ量)が大きくなると、排気行程で排出される筒内残留ガスの一部が吸気ポート30側に流れる。そして、このような筒内ガスの吹き返しによって、ポート燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気通路12の上流側に押し戻されて、吸気ポート30の壁面に付着する場合がある。
吸気ポート30の周囲には冷却水が循環しているため、吸気ポート30の壁面温度は冷却水温と同等であり、吸気ポート30の壁面温度は吸気バルブ34の表面温度よりも低い状態にある。従って、ポート燃料噴射弁32から噴射された燃料が吸気通路12の上流側に押し戻されて吸気ポート30の壁面に付着すると、噴射燃料の蒸発量が低下し、壁面への付着量が増加する。
このため、実施の形態3では、実施の形態1,2において、吸気バルブ34の温度がシリンダ壁面の温度よりも高い場合、または吸気管圧力Pmが所定値よりも小さい場合に、ポート燃料噴射弁32から重点的に燃料を噴射する旨の判定がなされた場合であっても、バルブオーバーラップ量が所定値以上の場合は、ポート燃料噴射弁32から燃料を噴射する制御を行わずに、筒内燃料噴射弁36のみから燃料を噴射する。
図9は、実施の形態3の燃料噴射制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS31では、現在の運転状態を表す各種パラメータを取得する。より詳細には、ステップS31では、機関回転数NE、負荷率KL、冷却水温等のパラメータを取得する。次のステップS32では、ステップS31で取得した各種パラメータを用いて、マップから各種状態量を算出する。ここでは、吸気バルブ34の表面温度(バルブ表面温度)Tw_V、シリンダ壁面温度Tw_C、吸気管圧力Pmの値をマップから算出する。
次のステップS33では、吸気バルブ34の開弁・閉弁タイミングInVVT、排気バルブ38の開弁・閉弁タイミングExVVT、吸気バルブ34の開弁期間VLを求め、これに基づいてバルブオーバーラップ量VT_Oを算出する。
次のステップS34では、ステップS31〜S33で取得した各パラメータを用いて、シリンダ残留率Pc、シリンダ付着率Rcを算出する。次のステップS35では、ポート残留率Pp、ポート付着率Rpを算出する。ここで、シリンダ残留率Pc、シリンダ付着率Rc、ポート残留率Pp、ポート付着率Rpは、これらの値と吸気管圧力Pmまたは負荷率KL、機関回転数NE、バルブオーバーラップ量VT_O、及び冷却水温THWとの関係を規定したマップから算出される。
次のステップS36では、現在のサイクル(第kサイクル)で必要とされる筒内要求燃料量(筒内蒸発燃料量)fcを求める。ここでは、機関回転数NE、スロットル開度TH、負荷率KL等に基づいて、現在の運転状態に応じた目標値としての筒内要求燃料量fcを求める。
次のステップS37では、バルブ表面温度Tw_Vとシリンダ壁面温度Tw_Cを比較し、Tw_V>Tw_Cであるか否かを判定する。
ステップS37において、Tw_V>Tw_Cの場合はステップS39へ進む。一方、ステップS37において、Tw_V≦Tw_Cの場合はステップS38へ進む。ステップS38では、ステップS32で求めた吸気管圧力Pmと所定のしきい値αとを比較し、Pm<αであるか否かを判定する。
ステップS38において、Pm<αの場合は、ステップS39へ進む。ここで、ステップS39に進んだ場合は、バルブ表面温度Tw_Vがシリンダ壁面温度Tw_Cよりも高い場合、または、吸気管圧力Pmがしきい値αよりも小さい場合に該当している。この場合、本来はポート燃料噴射弁32から吸気バルブ34に向けて燃料を多く噴射して、燃料の蒸発を促進することが好適である。しかし、この条件下においても、バルブオーバーラップ量VT_Oが所定値より大きい場合は、筒内残留ガスの吹き返しにより吸気ポート30での燃料付着量が増加する場合がある。
このため、ステップS39では、ステップS33で求めたバルブオーバーラップ量VT_Oと所定のしきい値βを比較し、VT_O<βであるか否かを判定する。
ステップS39において、VT_O<βの場合はステップS40へ進む。この場合、バルブオーバーラップ量VT_Oが所定のしきい値βよりも小さいため、筒内残留ガスの吹き返しによって燃料付着量が増加することはないと考えられる。
従って、この場合はステップS41へ進み、(1)〜(3)式を用いて、ステップS36で求めた筒内要求燃料量fcを満足するように筒内燃料噴射量ficとポート燃料噴射量fipを算出する。この際、ポート燃料噴射弁32からの噴射量を増大し、筒内燃料噴射弁36からの噴射量を低下させるようにfic,fipの値を設定し、設定した値に基づいてポート燃料噴射弁32、筒内燃料噴射弁36から燃料を噴射する。これにより、吸気ポート30において燃料の霧化を促進することができる。なお、(3)式におけるfwpおよびfwcは、(k−1)サイクルにおける(1)式、(2)式の演算で算出された値を用いる。
一方、ステップS38においてPm≧αの場合、またはステップS39においてVT_O≧βの場合はステップS40に進む。ステップS38においてPm≧αの場合は、バルブ表面温度Tw_Vがシリンダ壁面温度Tw_C以下であり、且つ吸気管圧力Pmが所定のしきい値以上であるため、ポート燃料噴射弁34から燃料を噴射すると燃料付着量が多くなることが想定される。また、ステップS39においてVT_O≧βの場合は、バルブオーバーラップ量VT_Oが所定のしきい値β以上であるため、ポート燃料噴射弁32から燃料を噴射すると筒内残留ガスの吹き返しによって吸気ポート30における燃料付着量が増加することが想定される。従って、ステップS40では、(3)式においてfip=0として、筒内燃料噴射量ficのみを算出する。そして、ポート燃料噴射弁34からの燃料噴射を停止し、筒内燃料噴射弁36のみから燃料噴射を行う。
ステップS40,S41の後はステップS42へ進み、(1)式、(2)式から筒内燃料付着量fwcとポート内燃料付着量fwpを算出する。ここで算出したfwc,fwpは、次のk+1サイクルでの演算に使用される。ステップS42の後は処理を終了する。
図9の処理によれば、Tw_V>Tw_C、またはPm<αの場合であっても、VT_O≧βの場合はポート燃料噴射弁32からの燃料噴射が停止される。従って、筒内残留ガスの吹き返しによって吸気ポート30における燃料付着量が増加してしまうことを抑止でき、吸気ポート30近傍への燃料の付着を抑えることが可能となる。
以上説明したように実施の形態3によれば、吸気バルブ34の表面温度がシリンダ壁面温度よりも高い条件、または吸気管圧力Pmが所定値よりも低い条件において、バルブオーバーラップ量が所定値よりも大きい場合は、筒内に重点的に燃料を噴射するようにしたため、バルブオーバーラップ時の残留ガスの吹き返しによって吸気ポート30における燃料付着量が増加してしまうことを抑えることができる。従って、燃料の付着を最小限に抑えることが可能となり、燃料挙動モデルにおいて燃料噴射量を高い精度で制御することが可能となる。これにより、A/F制御の制御性を高めることが可能となる。
本発明の各実施の形態に係る燃料噴射制御装置の構成を説明するための模式図である。 図1に示す内燃機関の吸気ポート近傍を拡大して表した図である。 燃料挙動モデルを説明するための模式図である。 実施の形態1の燃料噴射制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。 吸気ポートから筒内へ液体の状態で流入する燃料量を考慮した燃料挙動モデルを示す模式図である。 吸気管圧力Pmと、ポート残留率Ppおよびポート付着率Rpとの関係を示す特性図である。 吸気管圧力Pmと、噴射燃料が飛行中に蒸発する割合(蒸発割合)との関係を示す特性図である。 実施の形態2の燃料噴射制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。 実施の形態3の燃料噴射制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
30 吸気ポート
32 ポート燃料噴射弁
36 筒内燃料噴射弁
50 ECU

Claims (3)

  1. 吸気ポートに燃料を噴射するポート燃料噴射弁と、
    吸気ポートの近傍に付着するポート付着燃料量を推定するポート付着燃料量推定手段と、
    筒内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、
    筒内壁面に付着する筒内付着燃料量を推定する筒内付着燃料量推定手段と、
    前記ポート付着燃料量及び前記筒内付着燃料量を用いて、前記ポート燃料噴射弁及び筒内燃料噴射弁における燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、
    吸気バルブの温度を取得する吸気バルブ温度取得手段と、
    筒内壁面の温度を取得する筒内壁面温度取得手段と、
    前記吸気バルブの温度と前記筒内壁面の温度を比較する比較手段と、を備え、
    前記燃料噴射量制御手段は、前記吸気バルブの温度が前記筒内壁面の温度よりも高い場合は、少なくとも前記ポート燃料噴射弁から燃料を噴射することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 吸気ポートに燃料を噴射するポート燃料噴射弁と、
    吸気ポートの近傍に付着するポート付着燃料量を推定するポート付着燃料量推定手段と、
    筒内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、
    筒内壁面に付着する筒内付着燃料量を推定する筒内付着燃料量推定手段と、
    前記ポート付着燃料量及び前記筒内付着燃料量を用いて、前記ポート燃料噴射弁及び筒内燃料噴射弁における燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段と、
    吸気管圧力を取得する吸気管圧力取得手段と、を備え、
    前記燃料噴射量制御手段は、前記吸気管圧力が所定値以上の場合は、前記筒内燃料噴射弁のみから燃料を噴射することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. バルブオーバーラップ量を取得するバルブオーバーラップ量取得手段を更に備え、
    前記燃料噴射量制御手段は、前記バルブオーバーラップ量が所定値以上の場合は、前記筒内燃料噴射弁のみから燃料を噴射することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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