JP2007002737A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 吸気弁における燃料付着の影響を考慮して、機関始動時の燃料噴射量を最適に制御することで、燃焼状態を良好にする。
【解決手段】 内燃機関10の吸気通路12内に燃料を噴射するインジェクタ20と、吸気弁24の温度を推定する吸気弁温度推定手段と、冷却水温を取得する水温センサ34と、機関始動時に、吸気弁24の温度及び冷却水温に基づいてインジェクタ20からの燃料噴射量を制御する噴射量制御手段と、を備える。吸気弁の温度及び冷却水温に基づいてインジェクタ20からの燃料噴射量を制御するため、吸気弁24に付着した燃料の挙動を考慮した上で燃料噴射量を高い精度で制御することが可能となり、機関の始動性、エミッションを向上することが可能となる。
【選択図】 図4

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に関する。
従来、例えば特開平7−286540号公報には、機関始動後に基本燃料噴射量を算出するとともに、始動後の燃料噴射量の補正係数を冷却水温から算出し、冷却水温による燃料噴射量の補正を行う技術が開示されている。
特開平7−286540号公報 特開平8−49581号公報 特開平9−158757号公報
しかしながら、内燃機関の吸気ポートに噴射された燃料の一部は、吸気ポートに配置された吸気弁に付着し、吸気弁からの熱を受けて気化した後に筒内に送られる。この際、吸気弁の温度と冷却水温は必ずしも一致しないため、冷却水温に基づく制御では、筒内に送られる燃料量を正確に求めることは困難である。このため、冷却水温に基づいて燃料噴射量を決定する方法では、筒内の燃焼状態を最適に制御することが困難となり、エミッションの低下、ドライバビリティの悪化などを招来する虞がある。
特に、機関停止後、長時間が経過することなく再始動が行われた場合は、機関停止中の吸気弁温度の低下量が少なく、再始動時に吸気弁温度と冷却水温の乖離が大きくなる。このため、冷却水温に基づく制御では、吸気弁に付着した燃料の挙動を考慮して燃料噴射量を最適に制御することは困難である。また、機関を始動した後においては、吸気弁温度は冷却水温よりも早く上昇するため、冷却水温に基づいて燃料噴射量を制御した場合、筒内へ供給される燃料量がオーバーリッチになり、エミッションの悪化、失火等の発生要因となる場合がある。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、吸気弁における燃料付着の影響を考慮して、機関始動時の燃料噴射量を最適に制御することで、燃焼状態を良好にすることを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、吸気弁の温度を推定する吸気弁温度推定手段と、冷却水温を取得する冷却水温取得手段と、機関始動時に、前記吸気弁の温度及び前記冷却水温に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御する噴射量制御手段と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記燃料噴射量制御手段は、基本噴射量と当該基本噴射量に対する増量補正量とに基づいて前記燃料噴射量を制御し、前記増量補正量は、少なくとも機関始動時の前記吸気弁の温度に基づいて決定される所定量を初期値として時間減衰する第1の補正量と、少なくとも機関始動時の前記冷却水温に基づいて決定される所定量を初期値として時間減衰する第2の補正量とに基づいて決定されることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記吸気弁温度推定手段は、少なくとも機関停止時の前記吸気弁の温度及び機関停止から機関再始動までの経過時間に基づいて、機関始動時に前記吸気弁の温度を推定することを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記経過時間が所定時間以上の場合は、前記吸気弁の温度が前記冷却水温と同等であるとみなして、前記冷却水温に基づいて前記第1の補正量の初期値を決定することを特徴とする。
第5の発明は、第3の発明において、前記吸気弁温度推定手段により推定された機関始動時の前記吸気弁の温度と、機関停止時の前記冷却水温との差分が所定値以下の場合は、前記吸気弁の温度が前記冷却水温と同等であるとみなして、前記冷却水温に基づいて前記第1の補正量の初期値を決定することを特徴とする。
第6の発明は、第2〜第5の発明のいずれかにおいて、前記燃料噴射量制御手段は、前記基本噴射量と前記増量補正量に基づく前記燃料噴射量の制御を機関始動から所定サイクルの経過後に開始し、機関始動から所定サイクルが経過する以前においては、前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を所定の適合値に設定することを特徴とする。
第1の発明によれば、吸気弁の温度及び冷却水温に基づいて燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御するため、特に吸気弁の温度が大きく低下していない再始動時において、吸気弁に付着した燃料の挙動を考慮した上で燃料噴射量を高い精度で制御することが可能となる。従って、機関の始動性、エミッションを向上することが可能となる。
第2の発明によれば、少なくとも機関始動時の吸気弁の温度に基づいて決定される所定量を初期値として時間減衰する第1の補正量に基づいて増量補正量を決定するため、吸気弁の温度に応じた付着燃料の挙動を考慮した上で燃料噴射量を正確に制御することが可能となる。また、少なくとも冷却水温に基づいて決定される所定量を初期値として時間減衰する第2の補正量に基づいて増量補正量を決定するため、内燃機関を安定して運転することができ、始動時のドライバビリティを良好にすることができる。
第3の発明によれば、機関停止時の吸気弁の温度及び機関停止から機関再始動までの経過時間に基づいて、機関始動時の吸気弁の温度を推定するため、吸気弁の温度を高い精度で推定することが可能になる。
第4の発明によれば、機関停止から機関再始動までの経過時間が所定時間以上の場合は、吸気弁の温度が冷却水温と同等であるとみなして、冷却水温に基づいて第1の補正量の初期値を決定するため、簡素な処理で機関始動時の燃料噴射量を制御することができる。
第5の発明によれば、機関始動時の吸気弁の温度と機関停止時の冷却水温との差分が所定値以下の場合は、吸気弁の温度が冷却水温と同等であるとみなして、冷却水温に基づいて第1の補正量の初期値を決定するため、簡素な処理で機関始動時の燃料噴射量を制御することができる。
第6の発明によれば、基本噴射量と増量補正量に基づく燃料噴射量の制御を機関始動から所定サイクルの経過後に開始するため、所定サイクルの経過後における燃料噴射量を高い精度で制御することが可能となる。また、機関始動から所定サイクルが経過する以前においては、燃料噴射量を所定の適合値に設定するため、始動から所定サイクルが経過する以前において内燃機関を安定して運転することができる。
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。図1のシステムは内燃機関10を備えており、内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。
吸気通路12には、吸入空気量Gaを検出するためのエアフロメータ16が配置されている。エアフロメータ16の下流には、スロットルバルブ18が配置されている。また、スロットルバルブ18の更に下流には、吸気ポート内に燃料を噴射するためのインジェクタ20が配置されている。
内燃機関10は、吸気通路12と筒内22との導通状態を制御するための吸気弁24を備えている。吸気弁24には、その駆動源として、可変動弁機構26が連結されている。可変動弁機構26は、開閉タイミング、作用角、およびリフト量を適当に変化させつつ吸気弁24を開閉動作させることができる。吸気弁24が閉弁されると、吸気弁24の傘部の外縁がシリンダヘッドに設けられた弁座(バルブシート)に密着し、吸気通路12から筒内22への流れが遮断される。
筒内22と排気通路14との間には、排気弁28が配置されている。排気弁28には、その駆動源として可変動弁機構30が連結されている。可変動弁機構30は、開閉タイミング、作用角、およびリフト量を適当に変化させつつ排気弁28を開閉動作させることができる。
本実施形態のシステムでは、上述のように吸気弁24および排気弁28をそれぞれ可変動弁機構26,30で駆動することとしているが、それらを駆動する機構はこれに限定されるものではない。すなわち、本実施形態のシステムにおいては、吸気弁24および排気弁28は、通常のカム機構により駆動されるものであっても良い。
内燃機関10の各気筒はピストン38を備えている。ピストン38には、その往復運動によって回転駆動されるクランク軸36が連結されている。車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)は、このクランク軸36の回転トルクによって駆動される。クランク軸36の近傍には、クランク角センサ32が取り付けられている。クランク角センサ32によれば、クランク軸36の回転数、すなわち、機関回転数を検出することができる。また、内燃機関10には、冷却水温Twを検出するための水温センサ34が装着されている。
図1に示すように、本実施形態のシステムはECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、エアフロメータ16,クランク角センサ32、水温センサ34などを含む各種センサの出力が供給されている。ECU40は、それらのセンサ出力を基礎として、インジェクタ20や可変動弁機構26,30を含む各種アクチュエータを制御することができる。
このように構成された本実施形態のシステムにおいて、内燃機関10の運転中は、インジェクタ20によって吸気通路12の吸気ポートに燃料が噴射される。吸気ポートに噴射された燃料は、その一部が吸気弁24に付着する。内燃機関10の暖機が十分に進んでおり、吸気弁24が高温となっている状況下では、付着した燃料が短時間で気化するため、その付着の影響が筒内に吸入される燃料量に大きく及ぶことはない。
しかしながら、吸気弁24の温度が十分に上昇していない状況下では、そこに付着した燃料が吸気弁24の開弁期間中に完全には気化しない事態が生ずる。この場合、筒内に流入する燃料量を正確に把握するためには、吸気弁24に付着した燃料のうち、気化する燃料の割合を精度良く推定することが必要である。そして、その推定を精度良く行うためには、内燃機関10の暖機過程において、吸気弁24の温度を精度良く推定することが必要である。そこで、本実施形態のシステムは、内燃機関10の再始動時に吸気弁24の温度推定を行い、推定した温度に基づいて各気筒におけるインジェクタ20からの燃料噴射量を補正することとした。
図2は、始動時の燃料噴射量の補正値を示す特性図である。図2において、横軸は機関始動後からの経過時間を示している。また、縦軸は基本噴射量に対する補正量を示している。基本噴射量は、吸入空気量Gaと理論空燃比から定まる噴射量である。また、補正量は、基本噴射量に対する倍率で表される。
内燃機関10の始動直後においては、機関始動性を良好に保つとともに、排気のエミッションを良好にするため、基本噴射量に対する増量補正が行われる。本実施形態のシステムでは、図2中に示す補正量aと補正量bに基づいて基本噴射量に対する増量補正が行われる。より詳細には、補正量aと補正量bを合計して得られる噴射増量率k(=a+b)を基本噴射量に乗算することで燃料噴射量の増量補正を行う。
補正量aはドライバビリティを安定させるための補正値であり、理論空燃比に対して補正量aで示される増量を行うことで、始動直後のドライバビリティを安定させた状態で内燃機関10を運転できる。
一方、補正量bは、吸気弁24または吸気ポート等への燃料付着に起因する筒内への燃料供給量の変動を補うための補正値であり、筒内の空燃比を適正にすることで排気ガスのエミッションを向上するために用いられる。特に冷間始動時においては、このような燃料付着に起因して筒内への燃料供給量が減少する。従って、補正量bに基づいてインジェクタ20からの燃料噴射量を増量することで、筒内に所望の燃料量を供給することができる。
このように、本実施形態によれば、ドライバビリティを安定させるための補正量aと、空燃比を所望の値にするための補正量bの双方を用いて増量補正を行うため、始動直後の燃料噴射量を最適に制御することができる。
なお、図2に示すように、補正量a,bによる基本噴射量の増量補正は、機関始動から数サイクル(例えば1〜3サイクル程度)を経過した後から開始される。機関始動から数サイクルの間の燃料噴射量は、冷却水温、バッテリー電圧等に基づいて定められる適合値とされる。
始動後、機関が暖機されていくと、ドライバビリティが安定し、また吸気弁24等への燃料付着量も少なくなるため、補正量a,bの値を減少させる制御が行われる。この際、補正量aは、時間の経過に伴って、初期値aから減衰率αに従って減少する。また、補正量bは、時間の経過に伴って、初期値bから減衰率βに従って減少する。図2に示すように、補正量aと補正量bは異なる減衰特性を有しており、始動からnサイクルが経過した後の補正量a,bの値は以下の式から算出される。
=an−1*α
=bn−1*α
ここで、減衰率α,βは運転状態に応じてマップから定められる。
補正量aの初期値aは冷却水温Twに応じて可変される値であり、冷却水温Twに基づいてマップから算出される。すなわち、初期値aは以下の式から算出される。
=map(Tw)
一方、吸気弁24への燃料の付着量は、吸気弁24の温度に応じて変化し、吸気弁24の温度が高いほど付着燃料の気化が促進される。従って、吸気弁24の温度が高いほど、吸気弁24への燃料付着量は少なくなり、より多くの燃料が筒内に送られる。このため、本実施形態では、補正量bを吸気弁24の温度に基づいて可変するようにしている。具体的には、補正量bの初期値bは、始動時の吸気弁24の温度Tvに基づいて以下のようにマップから算出される。
=map(Tv)
図3は、吸気弁24の温度に応じて補正量bを可変した状態を示す特性図である。図3に示すように、補正量bの初期値bは、始動時の吸気弁温度Tvが高いほど小さな値に設定される。これにより、吸気弁温度Tvが高く、吸気弁24への付着燃料が気化し易い状態では、インジェクタ20からの燃料噴射量が少なくなるように補正を行うことができ、筒内へ送られる燃料量を最適に制御することができる。
次に、図4に基づいて、本実施形態のシステムにおける具体的な処理の手順について説明する。図4は、内燃機関10の始動時に、サイクル毎に補正量a,bの値を決定し、噴射増量率kを算出する処理を示している。
先ず、ステップS1では、機関始動時の冷却水温Tw(t)を取得する。次のステップS2では、前回の運転時に内燃機関10の運転を停止した時から再始動が行われた時までの経過時間tを取得する。次のステップS3では、前回の運転時に内燃機関10の運転を停止した時点での吸気弁温度Tv(0)を取得し、次のステップS4では、前回の運転時に内燃機関10の運転を停止した時点での冷却水温Tw(0)を取得する。ここで、吸気弁温度Tv(0)、冷却水温Tw(0)は内燃機関10の停止時に取得され、ECU40に記憶されている。なお、暖機完了後に内燃機関10を停止した場合、停止時の吸気弁温度Tv(0)は200℃〜300℃程度、停止時の冷却水温Tw(0)は80℃〜90℃程度となり、吸気弁温度Tv(0)は冷却水温Tw(0)よりも100℃〜200℃程度以上高温となる。
次のステップS5では、始動時の吸気弁温度Tv(t)を算出する。始動時の吸気弁温度Tv(t)の算出方法については、後で詳細に説明する。
次のステップS6では、Tv(t)−Tw(0)>γであるか否かを判定する。ここで、γは、吸気弁温度Tvが低下していない状態で再始動が行われたか、或いは吸気弁温度が十分に低下した状態で始動(冷間始動)が行われたかを判定するための判定値である。Tv−Tw(0)>γの場合はステップS7へ進み、Tv(t)−Tw(0)≦γの場合はステップS8へ進む。
ステップS7へ進んだ場合、すなわちTv(t)−Tw(0)>γの場合は、始動時の吸気弁温度Tv(t)と停止時の冷却水温Tw(0)の差が大きいため、吸気弁温度Tv(t)が依然として高温であり、機関停止時から吸気弁温度Tv(t)が大きく低下していない状態で再始動が行われたものと判断できる。この場合、吸気弁温度Tv(t)に応じて吸気弁24に付着した燃料の気化の割合が異なるため、筒内に所望の燃料を供給するためにはインジェクタ20からの燃料噴射量を吸気弁温度Tv(t)に応じて可変する必要がある。従って、ステップS7では、吸気弁温度Tv(t)に基づいてマップから初期値bが算出され、吸気弁温度Tv(t)が低いほど初期値bが大きな値に設定される(b=map(Tv(t)))。また、ステップS7では、補正量aの初期値aの値が設定される。初期値aの値は、上述したように始動時の冷却水温Tw(t)に基づいてマップから算出される(a=map(Tw(t)))。
一方、ステップS6からステップS8へ進んだ場合、すなわちTv(t)−Tw(0)≦γの場合は、始動時の吸気弁温度Tv(t)と停止時の冷却水温Tw(0)との乖離が少ないため、始動時の吸気弁温度Tv(t)は十分に低下しており、冷間始動であると判断できる。この場合、始動時の吸気弁温度Tv(t)は始動時の冷却水温Tw(t)と同等の値であると判断できるため、初期値bは、始動時の冷却水温Tw(t)に基づいてマップから決定される(b=map(Tw(t)))。補正量aの初期値aについても、ステップS7と同様に始動時の冷却水温Tw(t)に基づいて算出される(a=map(Tw(t)))。
ステップS7,S8の後は、ステップS9へ進む。ステップS9では、現サイクルnにおける噴射増量率kを決定する。ここでは、k=a+bの演算を行い、噴射増量率kを算出する。これにより、始動後からのサイクル数nに応じて噴射増量率kが決定され、噴射増量率kを基本噴射量に乗算することで、nサイクルにおけるインジェクタ20からの燃料噴射量が求まる。なお、ステップS7,S8から初めてステップS9へ進んだ場合は、a=a,b=bであるため、k=a+bとなる。
次のステップS10では、運転状態を表すパラメータに基づいて、減衰率α,βをマップから算出する。次のステップS11では、現時点のサイクル数nが所定値Nに到達しているか否かを判定する。nが所定値Nに達していない場合は、次のステップS12へ進む。一方、nが所定値Nに到達している場合は、処理を終了する(END)。ここで、所定値Nは、補正量a、補正量bによる燃料増量補正を行うサイクル数を示している。
ステップS12では、次のサイクルにおける噴射増量率kを算出するため、現在のサイクル数nに1を加算する処理を行う。すなわち、ここではn=n+1とする。次のステップS13では、サイクル数nに応じてa,bの値を更新するため、前回のサイクルの補正量an−1,bn−1に減衰率α,βを乗算し、以下の演算を行う。
=an−1*α
=bn−1*β
次のステップS13の後はステップS9に戻り、次サイクルnにおける噴射増量率kを算出し、インジャクタ20からの燃料噴射量を決定する。そして、ステップS10以降の処理を繰り返し行い、ステップS11でサイクル数nの値がNに到達した場合は、処理を終了する(END)。
図4の処理によれば、吸気弁24の温度が十分に低下していない状態で再始動が行われた場合は、始動時の吸気弁温度Tv(t)に基づいて補正量bの値が決定される。従って、始動時の吸気弁24への燃料付着の度合いに応じてインジェクタ20からの燃料噴射量を補正することができ、筒内への燃料供給量を最適に制御することが可能となる。
また、冷却水温Twのみに基づいて、冷間始動の場合と、機関停止から短時間の経過後に再始動が行われた場合の双方において燃料噴射量を制御しようとした場合、双方の場合に併せた適合値を決定するために、冷間始動、再始動の繰り返し適合が必要となり、工数が膨大となる。図4の処理によれば、吸気弁温度Tv(t)に基づいて、冷間始動の場合と、吸気弁24の温度が大きく低下していない状態で再始動が行われた場合と、を切り分けて補正量を設定することができるため、適合工数を大幅に低減することができる。
なお、ステップS7では、a,bの双方を始動時の冷却水温Tw(t)に基づいてマップから算出し、bに関してのみ、吸気弁温度Tv(t)に応じた所定の係数sを乗算しても良い。すなわち、この場合はステップS7で以下の処理を行う。
=map(Tw(t))
=map(Tw(t))*s
ここで、sは吸気弁温度Tv(t)に応じて可変される値であり(0<s<1)、吸気弁温度Tv(t)が高い場合ほど、sの値は小さな値に設定される。これにより、bを吸気弁温度Tv(t)のマップから求める上述の方法と同様に、bを吸気弁温度Tv(t)に応じて可変することができる。この処理によれば、a,bの双方を冷却水温Tw(t)から算出できるため、処理を簡略化することができる。
また、ステップS6では、始動時の吸気弁温度Tv(t)と停止時の冷却水温Tw(0)との差に基づいて冷間始動であるか否かを判定しているが、運転停止から再始動までの経過時間tと所定のしきい値とを比較することで、経過時間tに基づいて冷間始動か否かを判定しても良い。
次に、吸気弁温度Tvを算出する方法を詳細に説明する。図5(A)及び図5(B)は、本実施形態のシステムが吸気弁24の温度Tvを算出する原理を説明するための図である。より具体的には、図5(A)は、閉弁中における吸気弁24の熱環境を説明するための図である。また、図5(B)は、開弁中における吸気弁24の熱環境を説明するための図である。
図5(A)中に示す符号Qcomb、Qseat及びQfuelは、それぞれ、燃焼ガス伝熱量、接触面伝熱量、および燃料気化潜熱量を示している。燃焼ガス伝熱量Qcombは、内燃機関10の運転中に筒内22の燃焼ガスから吸気弁24に与えられる熱量である。接触面伝熱量Qseatは、弁座との機械的な接触面を介して吸気弁24から持ち去られる熱量である。また、燃料気化潜熱量Qfuelは、吸気弁24に付着した燃料が温度上昇する際に吸気弁24から持ち去られる熱量と、付着した燃料が気化する際に吸気弁24から持ち去られる熱量との合計からなる熱量である。図5(A)に示すように、吸気弁24の閉弁中には、主として上述した3種類の熱量が吸気弁24とその周囲との間で授受される。
図5(B)に示す符号Qairは、吸気弁24の開弁に伴って生ずる吸入ガス熱量を示している。吸入ガス熱量Qairは、吸気通路12から筒内22へ流入する新気(吸入空気)によって吸気弁24から持ち去られる熱量である。
吸気弁24の温度は、周囲の環境から熱を吸収することにより上昇し、周囲の環境に熱を放出することにより下降する。このため、吸気弁24の初期温度が判れば、その後の総受熱量を検知することにより吸気弁24の温度を推定することが可能である。そして、その推定を精度良く行うためには、上述した熱量を精度良く検知することが有効である。
そこで、本実施形態では、内燃機関10の運転状態に基づいて、図5(A)に示す3種類の熱量Qcomb、Qseat及びQfuelと、図5(B)に示すQairとを、それぞれ別個独立に推定し、それらを統合することにより吸気弁24が受ける総熱量を精度良く算出することとした。そして、このようにして算出された熱量に基づいて、吸気弁温度Tvを精度良く推定することとした。
なお、本実施形態では、主として機関始動時の吸気弁温度Tvの推定を行うため、吸入ガス伝熱量Qairに吹き返しガスの影響は考慮されていない。機関始動直後は、吸気弁24と排気弁28の開弁のオーバーラップがないため、吹き返しガスが吸入ガス伝熱量Qairに与える影響が非常に少なくなるためである。機関運転中の吸気弁温度Tvの推定においては、吹き返しガスの影響を考慮して吸入ガス伝熱量Qairを求めても良い。
以下、各熱量Qcomb,Qseat,Qfuel,Qairの算出方法について説明する。先ず、燃焼ガス伝熱量Qcombは、例えば、以下に示す演算式により算出される。
comb=qcomb×(Tc―Tv)
但し、上式において、qcombは伝熱部の熱流束[W/m]、Tcは燃焼ガス温度[℃]である。また、Tvは吸気弁24の温度[℃]である。
また、吸入ガス伝熱量Qairは、例えば、以下に示す演算式により算出される。
air=qair×(Tv―Ta)
air=aair×Aair
air=(λ/D)×Nu=(λ/D)×(0.023Pr(1/3)×Re0.8
Re=(Pm×U×D)/(μ×R×Ta)
但し、上式において、qairは機関運転時における伝熱部の熱流束[W/m]、Taは吸入空気温度[℃]、aairは機関運転時の伝熱部の熱伝達率[W/m℃]、Aairは伝熱面積[m]、λは熱伝導率[W/m℃]、Dは吸気弁の傘部の直径[m]、Nuはヌセルト数、Prはプラントル数(無次元)、Pmは吸気管圧力[Pa]、Uは吸入空気の代表流速[m/s]、μは粘性係数[Pa・s]、Rは理想気体定数、をそれぞれ示している。
また、Qseatは、例えば、以下に示す演算式により算出される。
seat=qseat×(Tv―Tw)
seat=aseat×Aseat
(1/aseat)=Rseat+1/(Khead×hhead
但し、上式において、qseatは吸気弁24と弁座との伝熱部における熱流束[W/m]、aseatは伝熱部における熱伝達率[W/m℃]、Aseatは伝熱面積[m]、Twは冷却水温[℃]、Rseatは弁座から吸気弁24表面への熱抵抗[m・℃/W]、Kheadはシリンダヘッドの熱伝導率[W/m℃]、hheadはシリンダヘッド内の冷却水路から吸気弁24と弁座との接触部までの距離[m]、をそれぞれ表している。
また、Qfuelは、例えば、以下に示す演算式により算出される。
fuel=qfuel×(Tv―Tf)+hfuel
但し、上式において、qfuelは付着燃料との伝熱部における熱流束[W/m]、Tfは付着燃料の温度[℃]を示している。また、hfuelは燃料の気化潜熱[J]を示している。
より詳細には、Qfuelは以下に示す演算式により算出できる。
fuel=Mvap×{H+Cf×(Tv−Tf)}
Mvap=a×(M−Mvap)
Tf=(Tf×M×Cf−Mvap×H)/(M−Mvap)
但し、上式において、Mvapは吸気弁24における蒸発燃料量[kg]、Hは燃料の気化潜熱[J/kg]、Cfは燃料の比熱[J/kg℃]、Tfは吸気弁付着時の燃料温度[℃]、aは液滴付着率、Mは噴射燃料量[kg]、Mvapは噴射飛行中の燃料蒸発量[kg]、Tfは噴射時の燃料温度[℃]、をそれぞれ示している。なお、aは蒸発モデルの飛行蒸発式から求めることができる。
なお、各熱量Qcomb,Qseat,Qfuel,Qairは、これらの熱量と各パラメータとの関係を規定したマップから求めても良い。
吸気弁温度Tvはこれらの熱量Qcomb,Qseat,Qfuel,Qairから求めることができる。以下の説明では、最初に機関運転中に吸気弁温度Tvを算出する方法を説明し、次に、機関停止後、再始動時に吸気弁温度Tvを算出する方法を説明する。
内燃機関10の運転中において、吸気弁温度Tvと熱量Qcomb,Qseat,Qfuel,Qairとの間には、以下の(1)式の関係が成立する。
・C・(dT/dt)=Qcomb−(Qseat+Qair+Qfuel) ・・・(1)
(1)式の左辺において、mは吸気弁の質量(g)、Cは吸気弁の比熱を示している。また、dT/dtは微小時間dtにおける吸気弁温度Tvの変化量である。従って、(1)式によれば、各熱量Qcomb,Qseat,Qair,Qfuelに基づいて、吸気弁温度Tvの変化量dT/dtを求めることができる。従って、前回算出した吸気弁温度Tvを変化量dT/dtを用いて更新することで、最新の吸気弁温度Tvを逐次求めることが可能となる。
なお、(1)式を以下のように変形することで、現在の吸気弁温度Tvと経過時間tに基づいて、t秒後の吸気弁温度を算出する式(以下に示す(5)式)を得ることができる。
先ず、(1)式の右辺を変形すると、以下の(1’)式が得られる。
・C・(dT/dt)=qcomb・(Tc−Tv)−(qseat・(Tv−Tw)+qair・(Tv−Ta)+qfuel・(Tv−Tf)+hfuel) ・・・(1’)
(1’)式の右辺を更に変形すると、以下の(2)式が得られる。
・C・(dT/dt)=−(qcomb+qseat+qair+qfuel)・Tv+qcomb・Tc+qseat・Tw+qair・Ta+qfuel・Tf+hfuel ・・・(2)
(2)式の左辺において、m・C=Aとおき、右辺において−(qcomb+qseat+qair+qfuel)=B、(qcomb・Tc+qseat・Tw+qair・Ta+qfuel・Tf+hfuel)=Cとおき、Tv=Tv(t)とおくと、以下の(3)式が得られる。
A・(dTv(t)/dt)=B・Tv(t)+C ・・・(3)
そして、(3)式をtについて解くと、以下の(4)式が得られる。
t=(A/B)・log[(Tv(t)−Tv_s)/(Tv(0)−Tv_s)] ・・・(4)
(4)式において、Tv_s=−C/Bである。
そして、(4)式を以下のように(4’)式、(4”)式に順次し、Tv(t)について解くと、以下の(5)式が得られる。
(B/A)・t=log[(Tv(t)−Tv_s)/(Tv(0)−Tv_s)]
・・・(4’)
(Tv(t)−Tv_s)/(Tv(0)−Tv_s)=exp[(B/A)・t]
・・・(4”)
Tv(t)=(Tv(0)−Tv_s)・exp[(B/A)・t]+Tv_s
・・・(5)
但し、(5)式において、Tv_s=−C/Bである。
(5)式によれば、現在の吸気弁24の温度Tv(0)と、経過時間tに基づいて、t秒後の吸気弁24の温度Tv(t)を求めることができる。
図6のフローチャートチャートは、上述した方法で機関運転中に吸気弁温度Tvを算出する処理を示している。先ず、ステップS21では、各気筒の吸気弁温度Tvの初期値が設定される。ここでは、前回の機関停止時から十分に時間が経過しているものとして、各気筒の吸気弁温度Tvが冷却水温Twに設定される。
次のステップS22では、現在の運転状態を表す各種のパラメータが計測される。具体的には、吸入空気量Gaや機関回転数Neに加えて、可変動弁機構26の状態、つまり、吸気弁24の開弁タイミングVT、リフト量VL、および作用角Vθなどが検知される。
次のステップS23では、以降の処理で吸気弁温度Tvを求める気筒を特定するため、気筒番号nが設定される。ここでは、現時点で設定されている気筒番号nに1を加算する処理が行われる(n=n+1)。ここで、気筒番号nの初期値は0とされている。従って、初めてステップS23の処理が行われる場合は、気筒番号nが1に設定される。一方、後述するステップS29からステップS23へ戻った場合は、ステップS29で設定されている気筒番号nに1が加算され、新たな気筒番号nが設定される。
続くステップS24〜S27では、上述した方法に基づいて、気筒番号nの気筒において、吸入ガス熱量Qair、接触面伝熱量Qseat、燃料気化潜熱量Qfuel、燃焼ガス伝熱量Qcombを算出する。
すなわち、ステップS24では吸入ガス伝熱量Qairを算出し、ステップS25では接触面伝熱量Qseatを算出し、ステップS26では燃料気化潜熱量Qfuelを算出し、ステップS27では燃焼ガス伝熱量Qcombを算出する。
上記の処理が終わると、次のステップS28において、気筒番号nの気筒において、吸気弁温度Tvの更新処理が行われる。ここでは、ステップS24〜S27の処理サイクルで得られた全ての熱量に基づいて、吸気弁24の総受熱量(Qcomb−(Qseat+Qair+Qfuel))が算出される。そして、(1)式に基づいて、総受熱量を吸気弁の比熱及び質量(m・C)で除することにより、今回の処理サイクルの間に生じた温度変化分ΔTv(=dT/dt)が算出される。最後に、現時点の吸気弁温度TvにΔTvを加えることにより、吸気弁温度Tvが最新値に更新される。
次のステップS29では、現時点で設定されている気筒番号nの値が全気筒数Nに達しているか否かを判定する。気筒番号nの値が全気筒数Nに達していない場合は、ステップS23へ戻る。この場合、ステップS23で気筒番号nに1が加算され、上記と同様に次の気筒の各熱量Qair,Qseat,Qfuel,Qcombが算出され、ステップS28で吸気弁温度Tvが最新値に更新される。
ステップS29で気筒番号nが全気筒数Nに達している場合は、ステップS30へ進む。ステップS30では吸気弁温度Tvを推定するサイクルを更新するか否かを判定し、サイクルを更新する場合は、ステップS22へ戻り、現在の運転状態を表す各種のパラメータが計測される。そして、更新したサイクルにおいてステップS23〜S29の処理を行い、各気筒の吸気弁温度Tvを更新する。内燃機関10の運転中は、常にサイクルが更新されて所定サイクル毎に吸気弁温度Tvが更新される。一方、内燃機関10の運転が停止した場合は、サイクルを更新せずに処理を終了する(END)。
図6の処理によれば、内燃機関10の運転中に各気筒の吸気弁温度Tvを更新することができる。従って、機関運転中に各気筒の吸気弁温度Tvを正確に求めることが可能となる。なお、機関運転中の吸気弁温度Tvの算出は、(5)式に基づいて行っても良い。この場合、(5)式に関わる特性値に基づいて、各熱量Qair,Qseat,Qfuel,Qcombを直接用いることなく吸気弁温度Tvを算出できる。
次に、機関運転停止後に各気筒の吸気弁温度Tvを推定する方法について説明する。機関停止中は、吸気弁24が授受する熱量が機関運転中と異なるため、機関運転停止後の吸気弁温度Tvを算出するためには、上述した(1)式を変形する必要がある。
すなわち、機関停止時にはインジェクタ20からの燃料噴射が行われないため、(1)式においてQfuel=0となる。また、筒内22で燃焼が行われないため、(1)式においてQcomb=0となる。更に、機関運転停止時には吸気流に流れが生じないため、(1)式における吸入ガス伝熱量Qairは、以下の式で表されるQ’airに置き換えられる。
Q’air=q’air×(Tv―Ta)
q’air=a’air×Aair
a’air=(λ/D)Nu’
Nu’=E(constant)
但し、上式において、q’airは機関停止時における伝熱部の熱流速[W/m]、a’airは機関停止時の伝熱部の熱伝達率[W/m℃]、を示している。
また、機関が停止している場合は、吸気弁24が開弁している気筒と閉弁している気筒で接触面伝熱量Qseatが異なる。吸気弁24が開弁している気筒では、弁座との接触を介した伝熱が生じないため、接触面伝熱量Qseat=0となる。
一方、吸気弁24が閉弁している気筒では、吸気弁24と弁座との接触面において伝熱が生じるため、接触面伝熱量Qseatは(1)式と同様に表現される。すなわち、Qseat=qseat×(Tv―Tw)となる。
従って、機関停止時に吸気弁24が開弁している気筒では、(1)式におけるQairが上述のQ’airとなり、更にQfuel=0,Qcomb=0,Qseat=0となる。このため、機関停止時に吸気弁24が開弁している気筒では、(2)式は以下の(2’)式に変形される。
・C・(dT/dt)=−q’air・Tv+q’air・Ta ・・・(2’)
そして、(2’)式から(5)式と同様の式を導くと、以下の(5’)式が得られる。
Tv(t)=(Tv(0)−Tv_s)・exp[((q’air・Tv)/(m・C))・t]+Tv_s ・・・(5’)
但し、(5’)式において、Tv_s=−Ta/Tvである。
従って、(5’)式によれば、機関停止時に吸気弁24が開弁している気筒において、機関停止時の吸気弁温度Tv(0)と、機関を停止してからの経過時間tに基づいて、再始動時の吸気弁温度Tv(t)を算出することが可能となる。
また、機関停止時に吸気弁24が閉弁している気筒では、(1)式におけるQairが上述のQ’airとなり、更にQfuel=0,Qcomb=0となる。このため、機関停止時に吸気弁24が閉弁している気筒では、(2)式は以下の(2”)式に変形される。
・C・(dT/dt)=−(qseat+q’air)・Tv+qseat・Tw+q’air・Ta ・・・(2”)
そして、(2”)式から(5)式と同様の式を導くと、以下の(5”)式が得られる。
Tv(t)=(Tv(0)−Tv_s)・exp[((−(qseat+q’air)・Tv)/(m・C))・t]+Tv_s
・・・(5”)
但し、(5”)式において、Tv_s=(qseat・Tw+q’air・Ta)/(qseat+q’air)・Tvである。
従って、(5”)式によれば、機関停止時に吸気弁24が閉弁している気筒において、機関停止時の吸気弁温度Tv(0)と、機関を停止してからの経過時間tに基づいて、再始動時の吸気弁温度Tv(t)を算出することが可能となる。
なお、より簡単に吸気弁温度Tv(t)を求めるためには、(5)式における係数A,B,Cを冷却水温Tw、吸入空気温度などのパラメータに基づいてマップから算出しても良い。(5’)式、(5”)式においても同様である。
次に、図7に基づいて、機関再始動時に各気筒の吸気弁温度Tv(t)を算出する処理について説明する。図7は、機関の再始動時に各気筒の吸気弁温度Tv(t)を算出する処理を示すフローチャートである。先ず、ステップS31では、内燃機関10の再始動が行われる。次のステップS32では、内燃機関10の運転を停止してから再始動が行われるまでの経過時間tを算出する。次のステップS33では、経過時間tと所定値αを比較し、t>αであるか否かを判定する。ここで、所定値αは、各気筒の吸気弁温度Tvが冷却水温Twと同等の温度まで低下したか否かを判定するためのしきい値である。
ステップS33でt>αの場合は、ステップS34へ進む。この場合、内燃機関10を停止してから十分な時間が経過しており、各気筒の吸気弁温度Tvが冷却水温Twと同等の温度まで低下していると判断できる。従って、ステップS34では、全ての気筒の吸気弁温度Tvを冷却水温Twに設定する(Tv=Tw)。ステップS34の後は処理を終了する(END)。
一方、ステップS33でt≦αの場合は、ステップS35へ進む。この場合、内燃機関10を停止してからの経過時間tが比較的短いため、各気筒の吸気弁温度Tvは冷却水温Twに到達していないと判断できる。従って、ステップS35以降の処理では、再始動時の各気筒の吸気弁温度Tv(t)を推定する。
先ず、ステップS35では、機関停止時の各気筒の吸気弁温度Tv(0)、冷却水温Tw(0)、吸入空気温度Taを取得する。
次のステップS36では、以降の処理で吸気弁温度Tv(t)を求める気筒を特定するため、気筒番号nが設定される。ここでは、現時点で設定されている気筒番号nに1を加算する処理が行われる(n=n+1)。気筒番号nの初期値は0とされている。従って、初めてステップS36の処理が行われる場合は、気筒番号nが1に設定される。一方、ステップS41からステップS36へ進んだ場合は、ステップS41で設定されている気筒番号nに1が加算され、新たな番号nが設定される。
次のステップS37では、機関停止中における気筒番号nの気筒の吸気弁24の開閉状態を取得する。ここで、機関停止中の吸気弁24の開閉状態は、クランク角センサ32から検出した機関停止中のクランク角に基づいて判定できる。そして、次のステップS38では、気筒番号nの気筒の吸気弁24が機関停止中に開いていたか否かを判定する。
ステップS38において、気筒番号nの気筒の吸気弁24が機関停止中に開いていたと判定された場合は、ステップS39へ進む。ステップS39では、(5’)式に基づいて、気筒番号nの気筒における再始動時の吸気弁温度Tv(t)を算出する。
一方、ステップS38において、気筒番号nの気筒の吸気弁24が機関停止中に閉じていたと判定された場合は、ステップS40へ進む。ステップS40では、(5”)式に基づいて、気筒番号nの気筒における再始動時の吸気弁温度Tv(t)を算出する。
ステップS39,S40の後はステップS41へ進む。ステップS41では、気筒番号nの値が全気筒数Nに達しているか否かを判定する。気筒番号nの値が全気筒数Nに達していない場合は、ステップS36へ戻る。この場合、ステップS36で気筒番号nに1が加算され、上記と同様に次の気筒番号の気筒において再始動時の吸気弁温度Tv(t)が算出される。一方、ステップS41で気筒番号nが全気筒数Nに達している場合は、処理を終了する(END)。
図7の処理によれば、停止中の吸気弁24の開閉状態に応じて各気筒の吸気弁温度Tv(t)を算出できるため、再始動時の吸気弁温度Tv(t)を各気筒毎に高い精度で求めることが可能となる。
図7の処理で再始動時の吸気弁温度Tv(t)が算出されると、図4の処理において、補正量bの初期値bを求めるためにTv(t)が用いられる。そして、図4の処理によりインジェクタ20からの燃料噴射量を各気筒毎に制御することが可能となる。また、吸気弁温度Tv(t)が算出されると、図6の処理が起動され、図6のステップS21において再始動時の各気筒の吸気弁温度Tv(t)が初期値として設定される。従って、図6の処理を行うことで、再始動後の吸気弁温度Tvを逐次求めることが可能となる。
このような制御によれば、再始動時に各気筒の吸気弁温度Tvにバラツキが生じている場合であっても、吸気弁温度Tvに基づいて各気筒の燃料噴射量を最適に制御することができるため、各気筒の燃焼状態を均一に制御することが可能となる。従って、再始動時に機関始動性を向上することが可能となり、また、排気ガスのエミッションを向上することが可能となる。
なお、上述した実施形態では、全ての気筒の吸気弁温度Tvを算出することとしているが、機関運転中は代表気筒(1つ)の吸気弁温度Tvをのみを算出し、機関再始動時においては、停止中に開弁していた1気筒と閉弁していた1気筒の合計2気筒のみで吸気弁温度Tvを求めることとしても良い。これにより、吸気弁温度Tvを算出する気筒数が減少するため、処理を簡素に行うことができる。この場合、再始動後、上記2気筒の吸気弁温度Tvの差が所定値以下(例えば2℃以内)になった場合に、代表気筒の吸気弁温度Tvの算出に復帰することが好適である。
以上説明したように本実施形態によれば、吸気弁温度Tvに基づいてインジェクタ20からの燃料噴射量を補正することができる。これにより、機関停止からの経過時間が短く、吸気弁温度Tvが低下していない再始動時においても、吸気弁温度Tvに応じた燃料増量補正を行うことができ、エミッションの低下、ドライバビリティの悪化、失火などの発生を確実に抑止することができる。従って、再始動時の機関始動性、筒内の燃焼状態を最適に制御することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。 始動時の燃料噴射量の補正値を示す特性図である。 吸気弁の温度に応じて補正量bを可変した状態を示す特性図である。 本発明の一実施形態に係る具体的な処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態のシステムが吸気弁の温度Tvを算出する原理を説明するための図である。 機関運転中に吸気弁温度Tvを算出する処理を示すフローチャートである。 機関の再始動時に各気筒の吸気弁温度Tv(t)を算出する処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10 内燃機関
24 吸気弁
20 インジェクタ
34 水温センサ
40 ECU

Claims (6)

  1. 内燃機関の吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    吸気弁の温度を推定する吸気弁温度推定手段と、
    冷却水温を取得する冷却水温取得手段と、
    機関始動時に、前記吸気弁の温度及び前記冷却水温に基づいて前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御する噴射量制御手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記燃料噴射量制御手段は、基本噴射量と当該基本噴射量に対する増量補正量とに基づいて前記燃料噴射量を制御し、
    前記増量補正量は、少なくとも機関始動時の前記吸気弁の温度に基づいて決定される所定量を初期値として時間減衰する第1の補正量と、少なくとも機関始動時の前記冷却水温に基づいて決定される所定量を初期値として時間減衰する第2の補正量とに基づいて決定されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記吸気弁温度推定手段は、少なくとも機関停止時の前記吸気弁の温度及び機関停止から機関再始動までの経過時間に基づいて、機関始動時に前記吸気弁の温度を推定することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記経過時間が所定時間以上の場合は、前記吸気弁の温度が前記冷却水温と同等であるとみなして、前記冷却水温に基づいて前記第1の補正量の初期値を決定することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記吸気弁温度推定手段により推定された機関始動時の前記吸気弁の温度と、機関停止時の前記冷却水温との差分が所定値以下の場合は、前記吸気弁の温度が前記冷却水温と同等であるとみなして、前記冷却水温に基づいて前記第1の補正量の初期値を決定することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記燃料噴射量制御手段は、前記基本噴射量と前記増量補正量に基づく前記燃料噴射量の制御を機関始動から所定サイクルの経過後に開始し、機関始動から所定サイクルが経過する以前においては、前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を所定の適合値に設定することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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