JP2005315369A - クリップ - Google Patents

Abstract

【課題】 脚部が取付け孔に斜めに挿入されたり、クリップにこじり力が作用しても、係合片のへたりや破損が生じにくく、より安定した係止力が得られるクリップを提供する。
【解決手段】 クリップ１０は、被取付けパネルの取付け孔周縁に当接する頭部１１と、該頭部から延出されて前記取付け孔に挿入され、該取付け孔の裏面側の周縁に係合する脚部１２とを有する。脚部は、頭部の下面中心から垂設された支柱２１と、この支柱から径方向に放射状に延設されると共にその上端が頭部の下面に連結された少なくとも３つの突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃと、これらの突部から周方向に延設されて各突部の間に配置された係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃとを有する。係合片は、その上端が頭部に連結されると共に、その周方向への延出方向端部が、対向する突部との間にスリット２４ａ、２４ｂ、２４ｃを設けて、下端部のみが突部に連結されている。
【選択図】 図１

Description

本発明は、例えば自動車や電気機器の内部に組み付けられる部品類をボディや機器本体のパネル部に止め付けたり、あるいはこのパネル部に他のパネルを止め付けるのに利用される樹脂製のクリップに関する。

一般にこの種のクリップは、被取付けパネルの取付け孔周縁に当接する頭部と、該頭部から延出されて前記取付け孔に挿入され、該取付け孔の裏面側の周縁に係合する脚部とを有している。

このようなクリップとして、下記特許文献１には、装着対象物（例えば自動車のドアトリム）を取付け可能な頭部と、ボディ側の取付け孔へ差し込まれる脚部とからなる樹脂製のクリップにおいて、前記脚部は前記頭部の下面中心部から垂下形成された支柱を有し、この支柱から前記取付け孔へほぼ隙間無く挿入可能な張り出し幅をもって少なくとも３本以上の骨格片が径方向へかつ支柱の高さ方向に沿って張り出し形成されると共に、骨格片の先端部には内方への撓み変形が許容された弾性係合片が、前記支柱を中心としかつ骨格片を半径とする円の円周方向に沿って延出形成され、かつ弾性係合片の自由端寄りの位置の外周面には取付け孔の孔縁に対して係合可能な係止突縁が突出形成され、更に前記弾性係合片は骨格片の高さ方向に沿って骨格片との接続部分が設けられ、かつ前記周方向へ延出される部分の下縁は全長に亘って自由端縁となっているクリップが開示されている。

また、下記特許文献２には、頭部と、該頭部の下面から垂設する係止脚とを有し、該係止脚をパネルの透孔に押し入れることによってパネルに止着するようにした合成樹脂製の止め具にあって、前記係止脚は前記頭部の下面中央部から真直に垂設し、その中心部から外に向けて放射状に突き出す４つの突片を長さ方向に沿って設け、且つこれら４つの突片の各先端相互を結ぶ実質的な外径を前記パネルの透孔の直径より小さくする軸芯部と、該軸芯部の前記４つの突片の間に配置し、且つ該突片とそれぞれ所要の間隔をおくと共にそれぞれの上端部を前記軸芯部の基部若しくは前記頭部の下面に、またそれぞれの下端部を前記軸芯部の脚端に各接合して前記軸芯部と一体にする４つの弾性係止片とから構成し、且つ前記４つの弾性係止片は長さの途中の外側面にそれぞれ膨出部を形成し、該各膨出部を繋ぐ実質的直径を前記パネルの透孔の直径を超える大きさにして該透孔を通過する際の縮径時には各弾性係止片を前記突片との間隔を利用して突片間に後退させ前記中心部方向に撓めて縮径し、また係止時には弾性復元力により前記突片間から迫り出させて前記膨出部を前記パネルの透孔の縁に掛け止め係止するようにしてなる止め具が開示されている。
実用新案登録第２５７１３７４号公報 特許第３４５０３４２号公報

例えば自動車のドアトリムをボディパネルに固定する場合、ドアトリムにクリップの頭部を係合させてクリップを取付けておき、ドアトリムを手で把持しながら上記クリップの脚部をボディパネルの取付け孔に差し込んで固定させるのであるが、車両組立時の組付けばらつき等によって、クリップの脚部と取付け孔とに位置ずれが生じて、ドアトリムを被せてしまうと、作業者が取付け孔の位置を確認しにくいため、脚部を取付け孔に対して真直ぐに挿入できず、斜めに挿入してしまうことがあった。また、ドアトリムとボディパネルとの成形時のばらつきや歪み等によって、組付け後もクリップにこじり力（斜め方向に引っ張る力）が作用することもあった。

このように、脚部を斜めに挿入したり、クリップにこじり力が作用すると、一部の弾性係合片が強く撓まされるため、弾性係合片の弾性限界を超えてへたったり、折れてしまうことがあった。それによって、取付け孔に対する係止力が十分に得られず、ガタ付きを生じたり、抜けてしまったりすることがあった。

これに対して、上記特許文献１のクリップにおいては、支柱に対して３本以上の骨格片を径方向に張り出し形成したことにより、斜めに挿入したときの係合片の撓み量をある程度規制することができるが、骨格片の先端部から支柱を中心としかつ骨格片を半径とする円の円周方向に沿って延出形成された係合片の端部が、骨格片や頭部に連結されていない自由端となっているため、斜めに挿入されたりして局部的に押圧力がかかったとき、特定の係合片が強く撓んでへたり等の塑性変形を生じ、係止力が弱まってしまう可能性があった。

また、上記特許文献２のクリップにおいては、軸芯部に放射状に突き出た４つの突片を設けたことにより、斜めに挿入したときの弾性係止片の撓み量をある程度規制することができるが、軸芯部から放射状に突き出た４つの突片と、これらの突片に対して間隙を設けて配置された４つの弾性係止片とを有するため、弾性係止片の先端部と軸芯部との連結部分がやや細くなり、該連結部が破損しやすいという問題が発生する可能性があった。

したがって、本発明の目的は、脚部が取付け孔に斜めに挿入されたり、クリップにこじり力が作用しても、係合片のへたりや破損が生じにくく、より安定した係止力が得られるようにしたクリップを提供することにある。

上記目的を達成するため、本発明の第１は、被取付けパネルの取付け孔周縁に当接する頭部と、該頭部から延出されて前記取付け孔に挿入され、該取付け孔の裏面側の周縁に係合する脚部とを有する樹脂製のクリップにおいて、前記脚部は、前記頭部の下面中心から垂設された支柱と、この支柱から径方向に放射状に延設されると共にその上端が前記頭部の下面に連結された少なくとも３つの突部と、これらの突部から周方向に延設されて各突部の間に配置され、その上端が前記頭部に連結されると共に、その周方向への延出方向端部が対向する突部との間に所定のスリットを設けて、その下端部のみが対向する突部に連結され、その外径が前記取付け孔の内径よりも大きくされた係合片とを有することを特徴とするクリップを提供するものである。

上記発明によれば、被取付パネルの取付け孔に脚部を挿入すると、係合片が支柱側に撓み、取付け孔を通過した後に弾性復帰して取付け孔の裏面周縁に係合する。その結果、頭部と脚部との間に被取付パネルを挟み、クリップを被取付けパネルに固定できる。

そして、本発明では、支柱から径方向に放射状に延設されると共にその上端が前記頭部の下面に連結された少なくとも３つの突部を有するので、脚部が取付け孔に斜めに挿入されたり、クリップにこじり力が作用しても、少なくとも３つの突部によって取付け孔に対する脚部の偏心が所定範囲内に規制されるので、係合片が強く撓んで、へたったり、折れたりするのを防止できる。また、各突部の間に配置された少なくとも３つの係合片が取付け孔の裏面周縁に係合しているので、こじり力が作用してもクリップが傾きにくく、それによって抜けを防止できる。

また、係合片は、その上端が頭部に連結されると共に、周方向への延出方向端部が、対向する突部との間に所定のスリットを設けて、その下端部が対向する突部に連結されて完全な自由端とはなっていないので、取付け孔内周に押圧されて強い撓み力を受けても、へたったり、折れたりすることを防止される。また、取付け孔裏面に係合した状態では、安定した係止力が得られ、取付け部材のガタ付きや、クリップの抜けを防止できる。

本発明の第２は、前記第１の発明において、前記突部の下端部が前記係合片の下縁部よりも突出し、下方に向かうほど縮径するテーパ状をなしているクリップを提供するものである。

上記発明によれば、取付け孔に脚部を挿入する際に、下方に向かうほど縮径するテーパ状をなす突部の下端部が取付け孔に入って挿入をガイドするので、例えばドアトリムなどの取付けの際に、ドアトリムの陰になってボディパネルの取付け孔が見えないような状態でも、クリップの脚部を取付け孔に挿入しやすくすることができる。

本発明の第３は、前記第１又は第２の発明において、前記係合片の下部は、下方に向かうほど縮径するテーパ面をなしているクリップを提供するものである。

本発明のクリップでは、係合片の下端部は、その延出方向の基端部も先端部も突部に連結されているため、内側に撓むことができないが、上記のように、係合片の下部を下方に向かうほど縮径するテーパ面とし、係合片の上部の拡径された部分で取付け孔に係合させることにより、係合片を取付け孔に挿入することが可能となる。

以上のように、本発明によれば、脚部が取付け孔に斜めに挿入されたり、クリップにこじり力が作用しても、係合片のへたりや破損が生じにくく、安定した係止力が得られ、取付け部材のガタ付きや、クリップの抜けを防止できる。

図１〜７には、本発明によるクリップの一実施形態が示されている。

図１，２に示すように、このクリップ１０は、頭部１１と、脚部１２とから構成されている。頭部１１は、有底円筒状の基部１３と、この基部１３の上端外周に形成された第１フランジ部１４と、基部１３の中間部外周に形成された第２フランジ部１５と、基部１３の下端部外周に形成されたシール部１６とを有している。

第２フランジ部１５は、上方に湾曲した環状の突部１５ａを有し、図７に示すように、取付け部材１７の係合溝１８に嵌合して、該係合溝１８の周縁を第１フランジ部１４と第２フランジ部１５とで挟み、取付け部材１７に予め固定されるようになっている。

シール部１６は、その周縁が斜め下方に向けて延出されたスカート状をなし、取付けパネル１９の上面に当接して、取付け孔２０をシールする役割もなしている。なお、上記取付け部材１７としては、例えば自動車のドアトリムなどが挙げられ、上記取付けパネル１９としては、ボディパネルなどが挙げられる。

脚部１２は、頭部１１の下面中心部から垂設された支柱２１を有している。この支柱２１から外径方向に放射状に等間隔で、３つの突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃが延設されている。これらの突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃは、支柱２１の軸方向に沿って伸び、その上端が頭部１１の下面に連結されており、その下端部２２ｄは、次第に縮径するテーパ状をなして、支柱２１の下端に至っている。

突部２２ａの外径側の側辺からは、支柱２１を中心にして周方向に沿って、それぞれ反対方向に２つの係合片２３ａ、２３ｂが形成されている。また、突部２２ｂの外径側の側辺からは、突部２２ｃに向かって、支柱２１を中心にして周方向に沿って、係合片２３ｃが形成されている。

そして、係合片２３ａの延出方向端部と、それと対向する突部２２ｃとの間には、スリット２４ａが形成され、係合片２３ｂの延出方向端部と、それと対向する突部２２ｂとの間には、スリット２４ｂが形成され、係合片２３ｃの延出方向端部と、それと対向する突部２２ｃとの間には、スリット２４ｃが形成されている。これらのスリット２４ａ、２４ｂ、２４ｃは、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの下端部までは至らず、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの下端部は、対向する突部２２ｃ、２２ｂに連結されている。すなわち、スリット２４ａ、２４ｂ、２４ｃは、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの上下方向の中間部を貫通するように形成されている。

支柱２１と、突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃと、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃとの間には、横断面が扇形の３つの空隙部２５が形成されている。そして、上記スリット２４ａ、２４ｂ、２４ｃと、上記空隙部２５とによって、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃが内径側に撓むことが可能とされている。

係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの頭部１１に近い基部２６は、被取付けパネル１９の取付け孔２０の内径よりも小さい外径とされている。また、この基部２６からやや下方には上記取付け孔２０の内径よりも大きい外径とされた拡径部２７が形成されている。更に、拡径部２７より更に下方には、下方に向けて次第に縮径するテーパ部２８が形成されている。テーパ部２８は、その途中から被取付けパネル１９の取付け孔２０の内径よりも小さい外径となるようにされている。

図３は、図２のＢ−Ｂ矢示線に沿った断面図であり、拡径部２７での横断面を示している。また、図４は、図２のＣ−Ｃ矢示線に沿った断面図であり、テーパ部２８の途中での横断面を示している。更に、図５は、図２のＤ−Ｄ矢示線に沿った断面図であり、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの下端部での横断面を示している。このように、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃは、それらの下端部で、各突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃを介して環状に連結されている。

また、図６（ａ）は、拡径部２７が取付け孔２０を通過するときの状態を示しており、各係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃが空隙部２５に入り込むように撓んで、取付け孔２０の内径を通過し得る外径となっている。更に、同図（ｂ）は、拡径部２７が取付け孔２０を通過した後の状態を示しており、各係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃが弾性復帰して、拡径部２７が再び広がり取付け孔２０に対して係合した状態を示している。

次に、このクリップ１０の作用について説明する。
図７に示すように、例えば自動車のドアトリムなどからなる取付け部材１７の係合溝１８に、第１フランジ部１４と第２フランジ部１５との間に位置する基部１３を挿入し、取付け部材１７の係合溝１８の周縁を第１フランジ部１４と第２フランジ部１５とで挟むことにより、クリップ１０を取付け部材１７に予め装着することができる。

この状態でクリップ１０の脚部１２を、例えば自動車のドアのボディパネルなどからなる被取付けパネル１９の取付け孔２０に挿入する。このとき、突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃのテーパ状をなす下端部２２ｄが、取付け孔２０への脚部１２の挿入をガイドし、このテーパ状の下端部２２ｄに引き続いて、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃのテーパ部２８が取付け孔２０に挿入される。

係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃが、テーパ部２８に沿って取付け孔２０に深く挿入されるに伴い、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの拡径部２７が取付け孔２０に近づき、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの外径が取付け孔２０の内径よりも大きくなると、各係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃが空隙部２５に入り込むように撓んで、取付け孔２０の内径を通過し得る外径とされる。

このとき、図６（ａ）に示すように、支柱２１から放射状に延出された３つの突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃが、等角度で配置された３つの接点イ、ロ、ハで、取付け孔２０内周に接しているので、例えば脚部１２が取付け孔２０に斜めに差し込まれたとしても、上記３つの接点イ、ロ、ハによって支柱２１が偏心することなく取付け孔２０の中心に維持されるので、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃのうち特定のものに荷重が集中して強く撓まされることはない。

また、各係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃは、それらの上端が頭部１１の下面に連結され、それらの下端が図５に示すように環状に連結されているので、全体として剛性が高められている。このため、このクリップ１０では、各係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃのへたりや折損を効果的に防止することができる。

こうして、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの拡径部２７が取付け孔２０を通過すると、拡径部２７が弾性復帰して、取付け２７の内径よりも大きい外径となるため、脚部１２が取付け孔２０の裏面側に係合する。その結果、図７に示すように、被取付けパネル１９の取付け孔２０周縁が、脚部１２とシール部１６とで挟まれ、取付け部材１７がクリップ１０によって被取付けパネル１９に固定される。

このとき、シール部材１６は、被取付けパネル１９の片面に密着して、取付け孔２０をシールする。そして、このクリップ１０では、図３中の想像線で示すように、脚部１２部分の成形に必要な横方向へのスライド型を、２つの型３１，３２で構成できるので、それらの合わせ面３３によって、シール部１６の下面に形成される型コマ線（型と型との合わせ目にできる線）が直径方向に走る２本の線だけとなるため、上記シール機能を良好に維持することができる。

更に、図７に示すように、被取付けパネル１９に固定された状態では、図６（ｂ）で示すように、３つの係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃの拡径部２７が、取付け孔２０の裏面側に係合するため、例えば取付け部材１７にこじり力が作用したとしても、クリップ１０が傾きにくくなっている。しかも、各係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃは、それらの上端を頭部１１の下面に連結され、それらの下端が図５で示すように環状に連結されているので、全体として剛性が高められており、上記のようなこじり力に対して、係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃのへたりや折損を防止することができる。

なお、上記実施形態では、支柱２１から３つの突部２２ａ、２２ｂ、２２ｃが延設されて、これらの突部から更に３つの係合片２３ａ、２３ｂ、２３ｃが延設されているが、本発明では、上記突部及び係合片を４つ以上にすることもできる。

本発明によるクリップの一実施形態を示す斜視図である。 図４のＡ−Ａ矢示線に沿った同クリップの縦断面図である。 図２のＢ−Ｂ矢示線に沿った同クリップの横断面図である。 図２のＣ−Ｃ矢示線に沿った同クリップの横断面図である。 図２のＤ−Ｄ矢示線に沿った同クリップの横断面図である。 同クリップの脚部を取付け孔に挿入するときの撓み状態を示す説明図である。 同クリップを用いて取付け部材を被取付けパネルに固定した状態を示す断面図である。

符号の説明

１０ クリップ
１１ 頭部
１２ 脚部
１３ 基部
１４ 第１フランジ部
１５ 第２フランジ部
１５ａ 突部
１６ シール部
１７ 取付け部材
１８ 係合溝
１９ 被取付パネル
２０ 取付け孔
２１ 支柱
２２ａ、２２ｂ、２２ｃ 突部
２３ａ、２３ｂ、２３ｃ 係合片
２４ａ、２４ｂ、２４ｃ スリット
２５ 空隙部
２６ 基部
２７ 拡径部
２８ テーパ部

Claims (3)

1. 被取付けパネルの取付け孔周縁に当接する頭部と、該頭部から延出されて前記取付け孔に挿入され、該取付け孔の裏面側の周縁に係合する脚部とを有する樹脂製のクリップにおいて、前記脚部は、前記頭部の下面中心から垂設された支柱と、この支柱から径方向に放射状に延設されると共にその上端が前記頭部の下面に連結された少なくとも３つの突部と、これらの突部から周方向に延設されて各突部の間に配置され、その上端が前記頭部に連結されると共に、その周方向への延出方向端部が対向する突部との間に所定のスリットを設けて、その下端部のみが対向する突部に連結され、その外径が前記取付け孔の内径よりも大きくされた係合片とを有することを特徴とするクリップ。
2. 前記突部の下端部が前記係合片の下縁部よりも突出し、下方に向かうほど縮径するテーパ状をなしている請求項１記載のクリップ。
3. 前記係合片の下部は、下方に向かうほど縮径するテーパ面をなしている請求項１又は２記載のクリップ。
   

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