JP2005314206A - カーボンナノチューブの製造方法及びカーボンナノチューブ含有組成物 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造方法及びカーボンナノチューブ含有組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】単層または2層カーボンナノチューブの含有量が多い、高純度のカーボンナノチューブを得る。
【解決手段】酸化物に酸、アルカリまたは粉砕処理を施してメソポーラス細孔を形成した後に、酸化物に金属を担持し、500〜1200℃で炭素含有化合物と接触させることで、単層または2層カーボンナノチューブの含有量が多い、高純度のカーボンナノチューブを得ることが出来る。酸化物は、ゼオライトが好ましく、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムによるアルカリ処理が特に好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法及びカーボンナノチューブ含有組成物に関し、さらに詳しくは、酸化物にメソポーラス細孔を形成し、酸化物表面に金属を担持し、炭素含有化合物と接触させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法及びそのカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ含有組成物に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料として期待されており、さらに、L/D(長さ/直径の比)が大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料として期待されており、また、ナノサイズの空間を有することから、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。いずれの用途の場合にも、高純度のカーボンナノチューブが要求されており、カーボンナノチューブとしては直径の細い単層や2層のカーボンナノチューブが有利であり、グラファイト層の欠陥が少ない方が特性的に優れている。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており(非特許文献1参照)、なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている(非特許文献2参照)。さらに触媒化学気相成長法では、カーボンナノチューブの層数を、単層、2〜5層に制御して製造できることが知られている(非特許文献3参照)。
触媒化学気相成長法では触媒を単体に担持して行う方法が知られている(非特許文献4参照)。担体としては酸化物がよく用いられるが、担体と生成するカーボンナノチューブの関係が明らかではなく、触媒設計が困難であった。
斉藤弥八、坂東俊治、カーボンナノチューブの基礎、株式会社コロナ社、p17、23、47 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)303(1999),117-124 ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters)360(2002),229-234 田中一義[編]、カーボンナノチューブ−ナノデバイスへの挑戦−、株式会社化学同人、p74−76
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、触媒化学気相成長法における酸化物に酸またはアルカリ処理を施してメソポーラス細孔を形成し、酸化物表面に金属を担持し、炭素含有化合物と接触させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法及びそのカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ含有組成物の提供を目的とする。
上記課題を解決する本発明のカーボンナノチューブの製造方法は触媒化学気相成長法における酸化物に酸、アルカリまたは粉砕処理を施してメソポーラス細孔を形成し、酸化物表面に金属を担持し、炭素含有化合物と接触させることを特徴とするものである。
すなわち本発明は、
<1>(1)酸化物に酸、アルカリまたは粉砕処理を施してメソポーラス細孔を形成する工程、および(2)酸化物表面に金属を担持する工程、により得られた金属を担持した酸化物を、500〜1200℃で炭素含有化合物と接触させカーボンナノチューブを合成することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
<2><1>記載の(1)、(2)の工程に加えて、(3)酸化物に粉砕処理を施す工程、により得られた金属を担持した酸化物を、500〜1200℃で炭素含有化合物と接触させカーボンナノチューブを合成することを特徴とする<1>記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<3>酸化物がシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ゼオライトのうち少なくとも1つを含む<1>〜<2>のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<4>酸化物がシリカ、ゼオライトのうち少なくとも1つを含む<3>記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<5>酸化物にメソポーラス細孔を形成する方法が、アルカリ処理である<1>〜<4>のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<6>アルカリ処理が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのうち少なくとも1つを接触させる処理である<5>記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<7>アルカリ処理が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうち少なくとも1つを触させる処理である<6>記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<8>メソポーラス細孔の直径が2.0〜10nmである<1>〜<7>のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<9>金属がV、Mo、Fe、Co,Ni,Pd、Pt,Rh,W,Cuのうち少なくとも1つを含む<1>〜<8>のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<10>金属がFe、Co,Niのうち少なくとも1つを含む<9>記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<11>炭素含有化合物がメタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、一酸化炭素のうち少なくとも1つを含む<1>〜<10>のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<12>炭素含有化合物がメタン、アセチレン、エタノール、一酸化炭素のうち少なくとも1つを含む<11>記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<13>カーボンナノチューブの主成分が単層カーボンナノチューブまたは2層カーボンナノチューブである<1>〜<12>のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
<14><1>〜<12>のいずれか1項に記載した製造方法により得られるカーボンナノチューブを含む組成物で、カーボンナノチューブの総本数の50%以上が直径1.0〜1.5nmの単層カーボンナノチューブまたは直径1〜6nmの2層カーボンナノチューブであることを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物。
<15><14>に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有する電子放出材料。
<16><14>に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有する電池電極材料。
<17><14>に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有する樹脂組成物。
<18><14>に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有するコーティング用材料。
本発明によれば、これまで触媒化学気相成長法においてカーボンナノチューブを生成しなかった酸化物担体においても酸またはアルカリ処理を施すことにより、カーボンナノチューブを生成することが可能となる。
また本発明のカーボンナノチューブ含有組成物は総本数の50%以上が直径1.0〜1.5nmの単層、もしくは直径1〜6nmの2層カーボンナノチューブであることを特徴とするものである。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、担体に担持させた金属触媒と炭素含有化合物とを500〜1200℃の温度で接触させることにより、カーボンナノチューブを合成する方法をベースとしている。このような製造方法において、金属触媒を担持させる担体として、酸化物をよく用いるがその酸化物を酸、アルカリまたは粉砕処理することを特徴とするものであって、このように処理を施すことにより、これまでカーボンナノチューブを生成しなかった酸化物においてもカーボンナノチューブを生成することが可能となる。
本発明において酸化物は特に限定されないが、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ゼオライトが好ましく用いられる。
ここでゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有する結晶性無機酸化物からなるものである。ここに分子サイズとは、世の中に存在する分子のサイズの範囲であり、一般的には、0.2nmから2nm程度の範囲を意味する。さらに具体的には、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。
結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートとしては、特に種類は制限されないが、例えば、アトラス オブ ゼオライト ストラクチュア タイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites, 17(1/2),1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性物質が挙げられる。また、本発明におけるゼオライトは、本文献に掲載されているものに限定されるものではなく、近年次々と合成されている新規な構造を有するゼオライトも含む。好ましい構造は、入手が容易なFAU型、MFI型、MOR型、BEA型、LTL型、LTA型であるが、これに限定されない。
本発明において、好ましくはゼオライトとして耐熱性が高いゼオライトを用いるとよい。ここで耐熱性が高いゼオライトとは、具体的には、実質的に4価の金属(Si,Ti,Ge,Zr等)と酸素で骨格が構成されているゼオライト(4価の金属/3価以下の金属(原子比)>200)と、3価以下の金属を骨格中に含むゼオライト(4価の金属/3価以下の金属(原子比)<200)であって、前述のごとき900℃での耐熱性を有するものである。ここで4価の金属の主成分はSiである。3価以下の金属を骨格中に含むゼオライト(4価の金属/3価以下の金属(原子比)<200)においては、一般にSi原子以外の原子(ヘテロ原子)が少ない方が耐熱性が高い。ゼオライト骨格中のSi/ヘテロ原子の原子比が10以上のものが耐熱性が高く好ましく、さらに好ましくは15以上であるものがよい。ゼオライト骨格中のSi/ヘテロ原子の原子比は、29Si MAS NMRで測定することができる。最も好ましくは、4価の元素と酸素のみで構成されたゼオライトである。
ゼオライトは、その骨格が4面体の中心にSi又はAlやチタン等のヘテロ原子(Si以外の原子)、4面体の頂点に酸素を有するシリケート構造を有している。従って、4価の金属がその4面体構造の中心に入るのが最も安定であり、耐熱性が期待できる。したがって、理論的にはAl等の3価の成分を実質的に含まないか、或いは少ないゼオライトが耐熱性が高い。これらの製造法としては、従来公知の水熱合成法などで直接合成するか、後処理で3価の金属を骨格から抜く方法が好んで用いられる。
本発明ではこれらの酸化物に酸またはアルカリ処理を施して、メソポーラス細孔を形成することが重要である。
メソポーラス細孔とは2〜50nm程度の直径を有する細孔である。均一で規則的な配列のメソポーラス細孔を持つ多孔質材料(多孔体)はメソポーラス材料として広く知られており、代表的物質としてメソポーラスシリカが挙げられる。メソポーラス材料は大きい比表面積と高い安定性など、触媒や吸着剤としての優れた基本物性を有する。また均一で規則的な配列は有していないが、一般的な多孔性無機材料で、メソポーラス細孔を有する材料としてゼオライト、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニアなどが知られている。この様な材料のメソポーラス細孔は、担体上でカーボンナノチューブを合成する際に金属担持する細孔として有用である。
メソポーラス細孔の直径と細孔容量は液体窒素温度での窒素の物理吸着から求めることができる。窒素を徐々に投入し、0〜大気圧の窒素の吸着等温線をとり、大気圧まで到達したら徐々に窒素を減らしていき、窒素の脱着等温線をとるようにすればよい。メソポーラス部分の細孔径分布を求めるためには、通常脱着等温線を使用して計算する。細孔径分布を求める理論式としては、Dollimore-Heal法(以下、D−H法と略称)が知られている。本発明で定義する細孔径分布は窒素の脱着等温線からD−H法で求めたものである。一般に細孔径分布は、横軸に細孔径をとり、縦軸にΔVp/ΔRpをとることで求められるが、本発明における細孔容量は、このグラフの面積から、求めることができる。
酸処理とは、酸化物を酸に接触させる処理であり、使用する酸は特に限定されないが、フッ化水素酸、硫酸、塩酸、硝酸またはこれら混合物が好ましい。
酸処理よる酸化物のメソポーラス細孔形成法は特に限定されない。例えば0.01〜1.00Mの酸の水溶液中に、1〜100gの酸化物を含浸し、0〜100℃で充分に攪拌して分散混合した後、水洗し、50〜200℃で乾燥することによりメソポーラス細孔を形成することができる。
またアルカリ処理とは、酸化物にアルカリを接触させて、メソポーラス細孔を形成する方法であり、いくつかのアルカリによる処理を挙げることができる。使用するアルカリは特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはこれら混合物が好ましい。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
アルカリ処理による酸化物のメソポーラス細孔形成法は特に限定されない。例えば0.01〜1.00Mのアルカリの水溶液中に、1〜100gの酸化物を含浸し、0〜100℃で充分に攪拌して分散混合した後、水洗し、50〜200℃で乾燥することによりメソポーラス細孔を形成することができる。
このように酸またはアルカリ処理を施した酸化物はさらに粉砕処理も組み合わせることもできる。酸化物の粉砕処理は酸および/またはアルカリ処理を行った後に実施してもよいし、粉砕処理を行った酸化物に酸および/またはアルカリ処理を行ってもよい。
粉砕法は、粒子を溶媒に分散させずに粉砕する乾式粉砕と、溶媒に分散させて粉砕する湿式粉砕に大別される。
乾式粉砕法として、ジェットミル法、衝撃法、ボールミル法等がある。
ジェットミル法は高圧気流を利用し、粉砕対象物である酸化物を音速前後の速度に気流中で加速して、粒子同士を衝突させて酸化物を粉砕するものである。一般的に乾式粉砕法の中では、ジェットミル法が、粒子を小径化する能力が最も高く、気流中で粒子以外の衝突がないことからコンタミネーションを防止することができるため、好ましく適用される。
他の乾式粉砕法である衝撃法、ボールミル法はともに機械的に衝撃エネルギーを与えて微粒化する方法である。衝撃法は回転するロータの粉砕羽根との衝突により粉砕した後、微粉のみを回収するとともに、粗粉を循環し、再度、粉砕羽根と衝突させる方法である。ボールミル法はボールとの接触時の衝撃力により粒子を微粒化する方法であり、ボールの運動形体により回転ミル、振動ミル、遊星ミルなどがある。一般的に、両方法ともに粒子を小さくする能力は上記の気流式に比べて劣り、機械的な接触を含むことによりコンタミネーションの問題も発生する。
一方、湿式粉砕法として、ビーズミル法、ボールミル法、超高圧ジェット法、薄膜旋回方式等がある。
この中で、ビーズミル法は、溶媒に分散させたスラリーを、ガラス、ジルコニア、アルミナ等からなるビーズを充填した容器中をロータ回転羽根で攪拌しながら粒子を通過させることにより、ビーズとの衝突時の衝撃力及びビーズとの間をすり抜ける時の剪断力で微粒化する方法であり、一般的に乾式・湿式を含めた粉砕法の中で最も粒子径を小さくすることができる。
ボールミル法は、粉砕対象として粒子を溶媒に分散させたものを用いる以外は上記の乾式粉砕において説明した方法と同じ粉砕法である。
ビーズミル、ボールミル法はともに粒子以外の衝突媒体となるメディア等を有するものであり、メディア等として、粒径1μm〜1mm程度のジルコニア粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、金属粉末が用いられ、特に、粒径、50μm〜300μmのジルコニア粉末が酸化物の小粒径化に適している。また、ボールミル法においては粒径1mm〜数cm程度のジルコニア球、アルミナ球、ナイロン球、金属球などを用いることができる。これらのメディアの総体積が粉砕容器の内容積に対し1〜99%、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは20〜90%となるようにセットされる。一方、容器としては、ジルコニア、アルミナ、ナイロン、金属などの材質からなる容器を使用することができる。また、ビーズミル法においては回転羽根の周速を5m/分以上、より好ましくは10m/分以上にする。
他の湿式粉砕法として、超高圧ジェット法、薄膜旋回方式などがある。超高圧ジェット法はビーズのような粉砕メディアは使用せずに、加速させた粒子同士を対向衝突させて微粒化する方法である。また、薄膜旋回方式は、容器内に設置された攪拌羽根とその外側に位置する容器内壁との間に、攪拌羽根を高速で回転することにより、スラリーの薄膜を形成する方法である。この方法では攪拌のエネルギーを効率良くスラリーに伝えて微粒化を行うことができる。一旦、微粒化された粒子の再凝集の抑制効果が高いという特徴がある。
酸化物の粉砕処理は、上記説明した粉砕方法を用いて、酸化物2次粒子の破壊や1次粒子の破壊による粒径の小径化によって酸化物粒子を微粒子化することや、酸化物粒子の凝集体の解砕によって酸化物粒子を小径化することが好ましい。
これらの粉砕法による酸化物のメソポーラス細孔形成法は特に限定されない。例えば、ボールミル、振動ミルの場合、湿式処理、乾式処理のいずれでもよく、粉砕に使用する容器としては、ジルコニア、アルミナ、ナイロン、金属などの材質からなる容器を使用することが出来、使用するボールとしては、粒径1μm〜1mm程度のジルコニア粉末、アルミナ粉末、金属粉末や、粒径1mm〜数cm程度のジルコニア球、アルミナ球、ナイロン球、金属球などを使用することが出来、これらのボールの総体積が粉砕容器の内容積に対し1〜99%、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは20〜90%となるようにセットし、ここに粉砕対象物である酸化物を投入し、ボールを激しく動かし酸化物に衝突させることによって、酸化物にメソポーラス細孔を形成することができる。ジェットミルの場合、高圧気流を利用し、粉砕対象物である酸化物を音速前後の速度に気流中で加速して、衝突によってメソポーラス細孔を形成することができる。高速回転ミルの場合、高速で回転または振動する撹拌羽根によって粉砕対象物である酸化物を激しく動かし、衝突によって衝撃を与え、酸化物にメソポーラス細孔を形成することができる。これらの粉砕法によって、酸化物にメソポーラス細孔が形成される。この場合、酸化物に新しくメソポーラス細孔が形成される効果ばかりでなく、2次粒子の破壊や1次粒子の破壊による粒径の小径化によって、メソポーラス細孔があたかも増加する効果も意味する。また、これら粉砕法によって酸化物粒径の小径化や、酸化物表面積の増加などの効果によって、後に述べる方法でカーボンナノチューブを合成した場合、酸化物単位重量あたりのカーボンナノチューブ生成量が増加するため好ましい。また、酸化物を分級し、粒径の小さな酸化物を選択して用いることによっても、同様の効果によってカーボンナノチューブ生成量が増加でき好ましい。
より具体的には、該酸化物の粒径分布が、10μm以下の粒子の累積体積が全粒子の総体積の95%以上であることは、後に述べる方法でカーボンナノチューブを合成し、得られたカーボンナノチューブを含有する組成物を例えば電子放出材料、電池電極材料として用いるときに好ましい。その理由は、カーボンナノチューブを含有する組成物に粒径の大きな酸化物が含まれると、異物として働き、電子放出材料、電池電極材料としての性能を低下させることによる。
さらに、該酸化物の粒径分布が、1μm以下の粒子の累積体積が全粒子の総体積の95%以上であることが、酸化物1重量当たりのカーボンナノチューブ生成量をより多くできるため好ましい。さらに、該酸化物の粒径分布が、1μm以下の粒子の累積体積が全粒子の総体積の95%以上であることは、電子放出材料、電池電極材料として用いるときにより好ましい。
ここで酸化物の粒径分布はレーザー回折・散乱法により測定したものである。レーザー回折・散乱法とは粒子にレーザー光を照射し、そこから発せられる回折・散乱光の光強度分布から粒径分布を解析する方法である。この原理を用いた粒径分布測定装置が市販されており、例えば島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100により酸化物の粒径分布を測定することができる。
上記のような方法で酸化物を処理することにより酸化物の表面に2〜10nmのメソポーラス細孔を得ることができる。
上記方法で酸化物にメソポーラス細孔を形成した後、酸化物に金属を担持してもよいし、酸化物に金属を担持した後、上記方法でメソポーラス細孔を形成してもよい。もちろん、該酸化物に粉砕処理を施し、該酸化物の粒径を小さく制御してもよい。このようにして得た金属を担持した酸化物を炭素含有化合物と接触させることでカーボンナノチューブを製造することが可能である。
次に酸化物に金属を担持する方法を説明する。
金属の種類は、特に限定されないが、3〜12族の金属、特に好ましくは、5〜11族の金属が用いられる。中でも、V,Mo,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Rh、W、Cu等が特に好ましく、さらに好ましくは、Fe,Co,Niが用いられる。ここで金属とは、0価の状態とは限らない。反応中では0価の金属状態になっていると推定できるが、広く金属を含む化合物又は金属種という意味で解釈してよい。また金属は微粒子であることが好ましい。微粒子とは粒径が0.5〜10nmであることが好ましい。金属が微粒子であると細いカーボンナノチューブが生成しやすい。
金属は1種類だけを担持させても、2種類以上を担持させてもよいが、好ましくは、2種類以上を担持させるようにした方がよい。2種類の金属を担持させる場合は、Co,Ni,Pd,Pt,Rhと他の金属の組み合わせが特に好ましい。CoとFe,Ni,V,Mo,Pdの1種以上とを組み合わせる場合が最も好ましい。
酸化物に対する金属の担持方法は、特に限定されない。例えば、担持したい金属の塩を溶解させた非水溶液中(例えばエタノール溶液)又は水溶液中に、酸化物を含浸し、充分に分散混合した後、乾燥させ、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス又は真空中で高温(300〜600℃)で加熱することにより、酸化物に金属を担持させることができる(含浸法)。
金属担持量は、多いほどカーボンナノチューブの収量が上がるが、多すぎると金属の粒子径が大きくなり、生成するカーボンナノチューブが太くなる。金属担持量が少ないと、担持される金属の粒子径が小さくなり、細いカーボンナノチューブが得られるが、収率が低くなる傾向がある。最適な金属担持量は、酸化物の細孔容量や外表面積、担持方法によって異なるが、酸化物に対して0.1〜10重量%の金属を担持することが好ましい。2種類以上の金属を使用する場合、その比率は限定されない。
このようにして得られた金属を担持した酸化物に500〜1200℃で炭素含有化合物を接触させ、カーボンナノチューブを製造する。
本発明において、使用する炭素含有化合物は、特に限定されないが、好ましくは炭化水素又は一酸化炭素を使うとよい。
炭化水素は芳香族であっても、非芳香族であってもよい。芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン又はこれらの混合物などを使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、又はこれらの混合物等を使用することができる。炭化水素には、また酸素を含むもの、例えばメタノール若しくはエタノール、プロパノール、ブタノールのごときアルコール類、アセトンのごときケトン類、及びホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドのごときアルデヒド類、トリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのごときエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類又はこれらの混合物であってもよい。これらの中でも、特にアセチレンが最も好ましい炭素含有化合物である。
炭素含有化合物は、その分圧を5kPa以下で接触させることが好ましい。これより、分圧が高くなると3層以上のカーボンナノチューブが増えてしまう。分圧を5kPa以下にする方法は、真空ポンプなどを用いて減圧にするか、もしくはキャリアガスを用いて炭素含有化合物の分圧を下げる方法が好んで用いられる。また接触時間は短い方が好ましく、触媒(担体含む)重量/炭素含有ガス流速=1.0g・分/ml以下が好ましい。さらに好ましくは0.5g・分/ml以下、特に好ましくは0.2g・分/ml以下が好ましい。接触時間が長いと3層以上のカーボンナノチューブが増える。
触媒と炭素含有化合物とを接触させる温度は、500〜1200℃であり、好ましくは600℃〜1000℃の範囲がよい。温度が500℃よりも低いと、カーボンナノチューブの収率が悪くなり、また温度が1200℃よりも高いと、使用する反応器の材質に制約があると共に、カーボンナノチューブ同士の接合が始まり、カーボンナノチューブの形状のコントロールが困難になる。単層カーボンナノチューブや2層カーボンナノチューブ等の細いカーボンナノチューブは、比較的高い温度で得られる。炭素源によるが、800℃以上で接触させることが好ましい。
触媒と炭素含有化合物との接触のさせ方は、特に限定されない。例えば、管状炉に設置された石英製、アルミナ製等の耐熱性の反応管内に、上述した触媒を置き、加熱下に炭素含有化合物ガスを流すことにより達成することができる。触媒と炭素含有化合物の接触方法は、上記のような方法のほかに、触媒を噴霧する方法、触媒を攪拌しながら接触させる方法であってもよい。
本発明の製造方法により得られるカーボンナノチューブ含有組成物は、以下の要件を満たしていることが特徴である。
すなわち、カーボンナノチューブ含有組成物は多本数のカーボンナノチューブを含有する構成からなり、そのカーボンナノチューブ総本数の50%以上が単層、または50%以上が2層のカーボンナノチューブである。
ここで、カーボンナノチューブ総本数中の50%以上が単層、または50%以上が2層のカーボンナノチューブであるとは、カーボンナノチューブ含有組成物を透過型電子顕微鏡で100万倍で観察し、150nm四方の視野の中で視野面積の10%がカーボンナノチューブで、かつ10本以上のカーボンナノチューブが含まれ、そのうちの50%以上の本数が単層、または50%以上の本数が2層のカーボンナノチューブである写真を撮ることができるような組成物のことであり、上記測定を10箇所について行った平均値で評価する。
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物において、単層または2層カーボンナノチューブの割合は多いほど好ましく、より好ましくは70%以上であるようにするのがよい。
さらに、直径1.0〜1.5nmの単層カーボンナノチューブまたは直径1〜6nmの2層カーボンナノチューブであることが、種々の用途に好適であり、特に、電子放出材料、電池電極材料として最適である。
上記のように生成したカーボンナノチューブ含有組成物は共鳴ラマン分光法により評価が可能である。ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトはグラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いほどグラファイト化度が高く、高品質なカーボンナノチューブを意味する。またラマンスペクトルの150〜350cm−1はRBM(ラジアルブリージングモード)と呼ばれ、この領域に観測されるピークはカーボンナノチューブの直径と次のような相関があり、直径を見積もることが可能である。カーボンナノチューブの直径をd(nm)、ラマンシフトをυ(cm−1)とすると、d=248/υが成り立つ。
また本発明のカーボンナノチューブ含有組成物は、合成したままの状態で利用してもよく、好ましくは担体材料や触媒金属を除いて使用した方がよい。担体材料や触媒金属は、酸などで取り除くことができる。例えば、担体としてゼオライト、触媒金属としてコバルトを使った場合には、特願2003−126211に記述されたように、フッ化水素酸でゼオライトを、塩酸でコバルトを取り除くことができる。また、特願2004−047182に記述されたように、水酸化ナトリウム水溶液でもゼオライトを取り除くことができる。さらに、特願2003−331240に記述されたように、有機溶媒と水との2液を用いた分離方法で、ゼオライトおよびコバルトとカーボンナノチューブを分離して個別に回収することもできる。本発明によって使用された担体材料すなわち酸化物の粒径を小さく制御した場合、ゼオライトおよびコバルトとカーボンナノチューブの分離効率が良く、カーボンナノチューブをより高純度で得ることができ好ましい。なお、本発明のカーボンナノチューブ含有組成物は、担体材料の粒径を小さく制御した場合、上記それぞれの担体材料の除去方法において担体材料の除去が不純分であった場合でも、電子放出材料、電池電極材料として用いたときに、担体材料が異物として働くことなく、性能の低下を抑制できるため好ましい。
また、特願2003−126211に記述されたように、触媒金属の量を高度に取り除きたい場合には、焼成処理を行ってから酸で処理するとよい。それは、金属がグラファイトなどの炭素化合物で覆われているため、一度触媒周りの炭素を焼きとばしてから酸処理すれば、金属を効率よく除去することができるからである。
さらに、本発明のカーボンナノチューブ含有組成物において、カーボンナノチューブの長軸方向の長さを短くしたい場合には、酸化処理や粉砕処理を行うとよい。酸化処理としては、例えば硝酸と硫酸の混酸処理を挙げることができ、より具体的には硝酸60%水溶液25g、硫酸98%液250gの混合液にカーボンナノチューブが0.3gとなるようにカーボンナノチューブ含有組成物を投入し、120℃で10分撹拌すればよい。粉砕処理としては、具体的にはボールミル、振動ミル、ジェットミル、高速回転ミルなどを用いた粉砕法が挙げられる。より具体的には、例えば、ボールミル、振動ミルの場合、湿式処理、乾式処理のいずれでもよく、粉砕に使用する容器としては、ジルコニア、アルミナ、ナイロン、金属などの材質からなる容器を使用することが出来、使用するボールとしては、粒径1μm〜1mm程度のジルコニア粉末、アルミナ粉末、金属粉末や、粒径1mm〜数cm程度のジルコニア球、アルミナ球、ナイロン球、金属球などを使用することが出来、これらのボールの総体積が粉砕容器の内容積に対し1〜99%、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは20〜90%となるようにセットし、ここに粉砕対象物であるカーボンナノチューブ含有組成物を投入し、ボールを激しく動かしカーボンナノチューブに衝突させることによって、カーボンナノチューブの長さを短くすることができる。ジェットミルの場合、高圧気流を利用し、粉砕対象物であるカーボンナノチューブ含有組成物を音速前後の速度に気流中で加速して、衝突によってカーボンナノチューブの長さを短くすることができる。高速回転ミルの場合、高速で回転または振動する撹拌羽根によって粉砕対象物であるカーボンナノチューブ含有組成物を激しく動かし、衝突によって衝撃を与え、カーボンナノチューブを短くすることができる。カーボンナノチューブを短くすることで、カーボンナノチューブ同士の絡まり合いからなるカーボンナノチューブ凝集物を抑制することができ好ましい。
上記のような方法で酸化物を処理することにより酸化物の表面に2〜10nmのメソポーラス細孔を得ることができる。
また、カーボンナノチューブ含有組成物としては、組成物を熱分析測定を行ったときの発熱ピークが550℃より高い特性を有するものが好ましい。具体的には、空気中で10℃/分で昇温したとき、カーボン分が燃えるときの発熱ピークが550℃より高いということである。発熱ピークが高いということは、耐久性があるということであり、欠陥が少ないということであるので、例えば、電子放出材料として用いたときに、高い電流を、長期間にわたり得ることができる。
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物は、電子放出材料、電池電極材料として有用である。例えば、本発明のカーボンナノチューブ含有組成物をフィールドエミッションの電子源に用いた場合、直径が細く、電荷の集中が起こりやすいので、印加電圧を低く抑えることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
<実施例1>
(シリカライトのアルカリ処理)
シリカライト(エヌイーケムキャット社製)5.0gを0.17Mの水酸化ナトリウム水溶液200mlに含浸し、80℃で1時間撹拌した。ろ過、水洗した後、120℃で1時間乾燥した。
(アルカリ処理シリカライトの細孔径分布測定)
アルカリ処理シリカライトを用いて窒素吸着量測定装置(日本ベル製 BELSOAP36)により液体窒素温度(77K)で窒素吸着量を測定し、その脱着曲線のデータよりD−H法で細孔径分布を求めた。その結果を図1に示す。図1において、Rpは、細孔の半径を表し、Vpは吸着した窒素を液化させた場合の体積を表す。図1に同様にして測定したアルカリ処理していないシリカライト(無処理シリカライト)の細孔径分布も併せて示す。
上記結果から、無処理シリカライトはメソポーラス細孔を有していないが、アルカリ処理することにより直径3〜4nmのメソポーラス細孔が形成されたことがわかる。
(アルカリ処理シリカライトへの金属塩の担持)
硝酸鉄・9水和物(関東化学社製)0.03gと硝酸コバルト・6水和物(関東化学社製)0.17gとをエタノール(関東化学社製)15mlに溶解した。この溶液に、アルカリ処理シリカライトを1.4g加え、超音波洗浄機で30分間処理し、60℃及び120℃の恒温下でエタノールを除去して乾燥した。その後空気中、400℃で1時間加熱し、アルカリ処理シリカライトゼオライト粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の合成)
内径32mmの石英管の中央部の石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間60分)。800℃に到達した後、高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の高分解能透過型電子顕微鏡分析)
上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、図2に示すように、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が単層のカーボンナノチューブがほとんどであった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。
(単層カーボンナノチューブを含有する組成物の共鳴ラマン分光分析)
上記のようにして得たカーボンナノチューブを含有する組成物を共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)で測定し、G/D比を求めた。結果を図3に示す。G/D比が約17の高品質単層カーボンナノチューブであることがわかった。併せて図3にアルカリ処理していないシリカライト(無処理シリカライト)を用いて合成して得た組成物の共鳴ラマン分光の結果を示す。無処理シリカライトではカーボンナノチューブが生成しないことがわかる。
<実施例2>
(シリカライトの粉砕処理、アルカリ処理)
シリカライト(TRICAT社製)90gをスクラムジェットミル(特寿工作所製)を用いて0.65MPaの圧力にて粉砕処理を施し、65gの粉砕シリカライトを回収した。その後、粉砕シリカライト20gを0.20Mの水酸化ナトリウム水溶液400mlに含浸し、80℃で1時間撹拌した。ろ過、水洗した後、120℃で1時間乾燥した。
<実施例3>
(電界電子放出源の作成)
100mlビーカーに実施例1にて得られたカーボンナノチューブを50mgおよびアセトン100mlを入れ、超音波を30分間照射した。本分散液を、これとは別に銅板を入れたビーカーに入れ、静置してアセトンを自然蒸発させることにより、表面にカーボンナノチューブを堆積させた銅板を得た。
(電界電子放出能の評価)
得られた銅板をカソードにしアノード電極と対向させ、この2極管構造物を評価用チャンバーに導入し、電界電子放出能を評価した。その結果、本実施例で得られたカーボンナノチューブは良好な電界電子放出能を示した。
<実施例4>
(触媒評価用電極の調製方法)
実施例1にて得られたカーボンナノチューブにPt、Ruエタノール溶液を加えて混合した後、30分間超音波処理して十分に分散させた後、乾燥した。その後、得られた粉末を水素/窒素(1:9)混合気体を流通させながら、200℃で2時間熱分解を行いPt−Ru/カーボンナノチューブ触媒を調製した。
本触媒にメタノールを加え、30分間超音波にて均一に分散させた後、得られた分散液をグラッシーカーボン(GC)電極上に滴下し、乾燥させた。その後、メタノールで希釈した5%Nafiona溶液(Aldrich社製)を滴下し電極触媒を固定化、乾燥し、試験電極とした。
(メタノール酸化電流値測定法)
メタノールを含む硫酸水溶液を電解液とした半電池による電極触媒のメタノール酸化活性を評価した。電解液に1Mとなるようにメタノールを加えた0.5M−硫酸水溶液を用いた。測定は電位ステップ定電位分極法により行った。このときのステップ電位は、75mV(vs.RHE(可逆水素電極))から500mV(vs.RHE)と変化させ、500mVに変化させてから30分後の酸化電流値を触媒性能の目安として比較した。その結果、測定開始後30分で100A/g−Ptを示した。
<比較例1>
アルカリ処理を行っていないシリカライト(無処理シリカライト、エヌイーケムキャット社製)を用いて実施例1の金属塩の担持以降と同様の操作を行ったが、カーボンナノチューブは得られなかった。無処理シリカライトの細孔径分布を図1に、得られた組成物の共鳴ラマン分光スペクトルを図3に示す。
本発明によれば、これまで触媒化学気相成長法においてカーボンナノチューブを生成しなかった酸化物担体においても酸、アルカリまたは粉砕処理を施すことにより、カーボンナノチューブを生成することが可能となる。
無処理シリカライト(エヌイーケムキャット社製)およびアルカリ処理シリ カライトをD−H法で解析したメソポーラス細孔部分の細孔径分布曲線図である。 実施例1で得られたカーボンナノチューブ含有組成物の高分解能透過型電子 顕微鏡写真図である。 実施例1及び比較例で得られた組成物の共鳴ラマン分光スペクトル図である。
符号の説明
1 Rp:細孔の半径
2 Vp:吸着した窒素を液化させた場合の体積

Claims (18)

  1. (1)酸化物に酸、またはアルカリ処理を施してメソポーラス細孔を形成する工程、および(2)酸化物表面に金属を担持する工程、により得られた金属を担持した酸化物を、500〜1200℃で炭素含有化合物と接触させカーボンナノチューブを合成することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  2. 請求項1記載の(1)、(2)の工程に加えて、(3)酸化物に粉砕処理を施す工程、により得られた金属を担持した酸化物を、500〜1200℃で炭素含有化合物と接触させカーボンナノチューブを合成することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 酸化物がシリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、ゼオライトのうち少なくとも1つを含む請求項1〜2のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 酸化物がシリカ、ゼオライトのうち少なくとも1つを含む請求項3記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  5. 酸化物にメソポーラス細孔を形成する方法が、アルカリ処理である請求項1〜4のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  6. アルカリ処理が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのうち少なくとも1つを接触させる処理である請求項5記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  7. アルカリ処理が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうち少なくとも1つを触させる処理である請求項6記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  8. メソポーラス細孔の直径が2.0〜10nmである請求項1〜7のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  9. 金属がV、Mo、Fe、Co,Ni,Pd、Pt,Rh,W,Cuのうち少なくとも1つを含む請求項1〜8のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  10. 金属がFe、Co,Niのうち少なくとも1つを含む請求項9記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  11. 炭素含有化合物がメタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、一酸化炭素のうち少なくとも1つを含む請求項1〜10のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  12. 炭素含有化合物がメタン、アセチレン、エタノール、一酸化炭素のうち少なくとも1つを含む請求項11記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  13. カーボンナノチューブの主成分が単層カーボンナノチューブまたは2層カーボンナノチューブである請求項1〜12のいずれか1項記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載した製造方法により得られるカーボンナノチューブを含む組成物で、カーボンナノチューブの総本数の50%以上が直径1.0〜1.5nmの単層カーボンナノチューブまたは直径1〜6nmの2層カーボンナノチューブであることを特徴とする、カーボンナノチューブを含有する組成物。
  15. 請求項14に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有する電子放出材料。
  16. 請求項14に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有する電池電極材料。
  17. 請求項14に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有する樹脂組成物。
  18. 請求項14に記載のカーボンナノチューブ含有組成物を含有するコーティング用材料。
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