JP2010285522A - カーボンナノチューブを含有する樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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忠正 藤村
Shigeru Shiozaki
茂 塩崎
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Abstract

【課題】優れた分散安定性を有するカーボンナノチューブを含有する樹脂組成物を容易に安価に提供する。
【解決手段】樹脂と、ニッケル/酸化マグネシウム触媒、又はニッケル/酸化アルミニウム触媒を用いて作製したカーボンナノチューブとを含有する樹脂組成物及び成形体。
【選択図】図1

Description

本発明は、分散性の良好なカーボンナノチューブを用いた樹脂組成物に関する。
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube; CNT)とは、炭素原子が六角形の蜂の巣パターンに結合されてチューブ状をなす材料であって、異方性が高く、シングルウォール、マルチウォール、束状等の多様な構造を有し、チューブの直径がナノメータ程度に極めて小さい材料である。カーボンナノチューブは、高い導電性、機械的強度等の特徴を有することから、燃料電池、電極、電磁波シールド材、導電性樹脂、電界放出ディスプレー(FED)用部材、水素を始めとする各種ガスの吸蔵材料等、幅広い分野への利用が期待されている。カーボンナノチューブは、アーク放電法、熱分解法、レーザー蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、熱化学気相蒸着法、電気分解法等の方法で合成される。
通常、カーボンナノチューブは粒子同士が絡まりあった凝集物として得られる。一般に、カーボンナノチューブを使用する場合には、互いに絡まりあうことなく、樹脂中に分散していることが好ましい。しかし、カーボンナノチューブはアスペクト比が非常に大きく絡まりあっているためその分散が非常に困難である。特に樹脂中への分散は非常に困難である。
一般的な顔料の分散方法であるワックスにあらかじめ分散させる方法をカーボンナノチューブに適用すると、ワックスがカーボンナノチューブの絡まりの中に保持されてしまい、樹脂中に分散したときに分散体がうまくほぐれない。特に、カーボンナノチューブが高濃度の場合、より分散が困難になる。そのため低濃度の分散体しか作製できなかった。
特開2003-306607(特許文献1)は、カーボンナノチューブをプラズマで処理することにより絡まりをほぐし樹脂へ分散させやすくする技術を開示しており、特開2006-143532(特許文献2)は、カーボンナノチューブを機械的に分散させるための解砕機及びそれを用いた分散技術を開示している。しかしながら、いずれの技術も初期投資費用が多くかかかり、かつ生産性に欠けるといった問題がある。
特開2003-306607号公報 特開2006-143532号公報
従って、本発明の目的は、優れた分散安定性を有するカーボンナノチューブを含有する樹脂組成物を容易に安価に提供することにある。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、90質量%のニッケルと10質量%の酸化マグネシウムとからなる触媒、又は95質量%のニッケルと5質量%の酸化アルミニウムとからなる触媒を用いて作製したカーボンナノチューブが熱可塑性樹脂に対して高い分散性を有することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、樹脂と、ニッケル/酸化マグネシウム触媒、又はニッケル/酸化アルミニウム触媒を用いて作製したカーボンナノチューブとを含有することを特徴とする。
前記樹脂は熱可塑性樹脂であるのが好ましい。
前記ニッケル/酸化マグネシウム触媒は90質量%のニッケルと10質量%の酸化マグネシウムとからなるのが好ましい。
前記ニッケル/酸化アルミニウム触媒は95質量%のニッケルと5質量%の酸化アルミニウムとからなるのが好ましい。
前記カーボンナノチューブはカップスタック型であるのが好ましい。
本発明の成形体は、前記樹脂組成物からなる。
本発明の樹脂組成物は、分散性に優れたカーボンナノチューブを含有するので、凝集や相分離が起こらず透明性及び導電性に優れた成形体を形成することができる。
カーボンナノチューブを合成するための装置の一例を示す模式図である。 図1のA-A断面図である。
[1]水性組成物
(1)カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、グラファイトを筒状に巻いた形状を有する炭素材料であり、数nmから100 nm程度の直径、及び数nmから1 mm程度の長さを有する。半導体特性及び塗膜の透明性を発揮するには直径50 nm以下が好ましく、特に15 nm以下が好ましい。長さは100 nmから1 mmが好ましく、特に500 nmから1 mmが好ましい。カーボンナノチューブには単層のもの、多層構造になったもの、カップスタック状のもの等があるが、本発明に使用するカーボンナノチューブは、カップスタック状の構造が好ましい。
(2)樹脂
樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル等のエンプラ系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニル系重合体等のオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、環状ポリオレフィン、AS、ABS、AES、CAB、SAN等のオレフィン系に関わる共重合体群、アクリル系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルファイド、ポリスルホン、ポリフェニルサルホン、ポリエーテルサルホン等の硫黄系樹脂、又はこれらの変性品、共重合体等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、好ましくはポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンサルファイド、ポリアリーレンサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアミド(例えば、PA-6、PA-6,12、PA-4,6、MXD6等)、変性ポリフェニレンエーテル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、これらの樹脂の混合物、又はこれらの樹脂と他の樹脂との混合物等を使用することができる。また、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールとを原料として得られる脂肪族ポリエステル系樹脂、微生物又は植物より合成されたポリエステル樹脂等の微生物崩壊性樹脂も用いることができる。熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等を使用することができる。
(3)可塑剤
可塑剤は、特に限定されず公知のものを使用することができる。可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、エポキシ系可塑剤等を挙げることができる。
ポリエステル系可塑剤としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分とからなるポリエステルや、ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等を挙げることができる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸又は単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、エポキシ化合物等で末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノアセトモノモンタネート等を挙げることができる。
多価カルボン酸系可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n-オクチル-n-デシルアジピン酸エステル等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ジ-2-エチルヘキシル等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等のセバシン酸エステル等を挙げることができる。
リン酸エステル系可塑剤としては、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレシル等を挙げることができる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコール又はその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、末端エーテル変性化合物等の末端封鎖化合物等を挙げることができる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド等を指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とした、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート等の脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイル、パラフィン類等を挙げることができる。
上記に示したものの中でも、特にポリエステル系可塑剤及びポリアルキレングリコール系可塑剤から選択した少なくとも1種が好ましい。使用する可塑剤は、1種のみでもよくまた2種以上を併用してもよい。
可塑剤の添加量は、熱可塑性樹脂に対し0.01〜50質量%であり、好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%、最も好ましくは0.5〜15質量%である。添加量が0.01質量%未満の場合、可塑剤の効果が得られず、50質量%を超える場合、物性が著しく悪くなる。
(4)充填剤・添加剤
樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で充填剤等を添加できる。充填剤としては、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維等の繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート等の珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカ等の非繊維状充填剤等を挙げることができる。これらは中空であってもよく、これらを適宜組み合わせて使用することもできる。また、より優れた機械的強度を得る目的でこれら繊維状/非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物等のカップリング剤で予備処理して使用することもできる。
添加剤としては、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトン等の結晶核剤、次亜リン酸塩等の着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、熱安定剤、熱老化防止剤、耐侯剤、可塑剤、流動性改良剤滑剤、紫外線防止剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、染料や顔料等の着色剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
樹脂組成物には、靭性を向上させるため、エラストマー成分が含有されていてもよい。エラストマー成分としては、天然ゴム、ブタジエン重合体、スチレン−イソプレン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体及びそれらの水添物(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等)、イソプレン重合体、クロロブタジエン重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン重合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、チオコールゴム、多硫化ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム(例えば、ポリプロピレンオキシド)、エピクロルヒドリンゴム等を挙げることができる。エラストマー成分は適宜組み合わせて使用することができる。エラストマー成分の添加量は、前記樹脂及び前記カーボンナノチューブの合計100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
[2] 製造方法
(1)カーボンナノチューブの合成
(a)触媒
カーボンナノチューブの合成には、ニッケル/酸化マグネシウム触媒、又はニッケル/酸化アルミニウム触媒を用いる。前記ニッケル/酸化マグネシウム触媒は90質量%のニッケルと10質量%の酸化マグネシウムとからなり、前記ニッケル/酸化アルミニウム触媒は95質量%のニッケルと5質量%の酸化アルミニウムとからなるのが好ましい。これらの触媒を使用することにより、水分散性に優れた、カップスタック型カーボンナノチューブが得られる。
(b) 合成
カーボンナノチューブは触媒熱分解法、すなわち、ニッケルベースの多孔質粉末状触媒を、アルゴン雰囲気中で600〜1150℃に加熱し、連続的に炭素含有化合物(ガス)を供給することにより製造する。
(i)反応装置
カーボンナノチューブは、図1及び図2に示すような反応装置を用いて合成する。この反応装置は、フレーム1に固定された容器2aと、容器2aを密閉し反応炉3を形成するための蓋2bとを具備する。蓋2bは触媒供給ノズル7及び反応ガスを排気するためのニップル16を具備し、ノズル7には噴霧器5が連結されており、前記噴霧器5には触媒供給用定量器4と不活性ガス供給ライン6とが連結されている。不活性ガス供給ライン6にはヒーター19が設置されている。
容器2aは、反応生成物を掻き取るためのシャペル10、回転駆動機9により回転可能なディスク11、前記ディスク11の下に位置し触媒21を均等に加熱するためのヒーター14、及び炭素含有化合物(ガス)をディスク11の下面に供給するために容器2aの下部に設けられたニップル15を具備する。前記シャペル10は上下方向にスライドさせることができる。
前記ディスク11は炭素含有化合物のガスが通過できるよう多孔体からなる。前記ニップル15から供給されディスク11を通った炭素含有化合物のガスは、ディスク11上に散布した触媒21と接触しカーボンナノチューブが合成される。
容器2aは下部に開口部8を有し、前記開口部8は、円柱形胴12と、前記円柱形胴12の下部に設けられた反応後の触媒及び製品を回収するための製品収集器13と連通している。前記円柱形胴12は不活性ガス供給ライン18を具備する。
(ii)合成方法
図1に示す合成装置を用いて、カーボンナノチューブを合成する方法を以下に詳細に示す。
酸素による反応を防止するため、系内の空気はアルゴンガス(不活性ガス)で置換する。アルゴンガス置換は、不活性ガス供給ライン18を通じて製品収集器13にアルゴンを入れ、ニップル16から空気を排気することにより行う。空気を効率よく排気するためにディスクを回転させるのが好ましい。ディスク11の下面に羽根を設置するとより効果的である。
不活性ガス供給ライン6からアルゴンガスを流しながら、触媒供給用定量器4から触媒供給ノズル7を通じてディスク11上に触媒を散布する。回転駆動機9によりディスク11を回転させることにより、ディスク11上に触媒21が等しい厚さで降り積もるようにする。触媒層は1〜3 mmの厚さに形成するのが好ましい。
容器2aの下部からニップル15を通じて炭素含有化合物(ガス)が供給され、ヒーター14で加熱される。加熱された炭素含有化合物(ガス)は、多孔体のディスク11を通り、ディスク11上表面の触媒21と作用し、触媒21粒子表面にナノ繊維構造を形成する。一方で、反応副生成物として水素を含むガス状熱分解生成物が発生する。ディスク11の下から炭素含有化合物(ガス)を供給することにより、広い面積でガス合成を進行させることができ、またディスク11の回転により、触媒及び炭素含有化合物(ガス)を触媒熱分解の温度まで速やかに昇温することができる。この方法により高品質のカーボンナノチューブが得られる。水素を含むガス状熱分解生成物は、ニップル16を通じて、反応炉からアルゴンとともに排出される。
炭素含有化合物としては、反応温度においてガス状の酸化炭素や炭水化物が使用でき、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ホルムアルデヒド、無水酢酸、アセトン、メタノール、エチルアルコール、芳香族炭水化物、ベンゾール、トルエン、キシロール、エチルベンゾール、ナフタリン、フェナントレン、アントラセン、非芳香族炭水化物及びそれらの混合物が好ましい。特にメタン及びプロパンが好ましい。
反応工程は、触媒の作用が停止するまで行う。熱分解反応が停止したかどうかは、反応炉から取り出される熱分解生成物を含むガスの水素濃度により判断する。例えば、ニップル16から放出されるガス中の水素濃度が0.1%以下になった場合、熱分解工程が停止したと判断する。
反応が終了後、得られた生成物(カーボンナノチューブ)は、シャベル10をディスク11に設置しディスク11を回転させることにより、開口部8から円柱形胴12を通じて製品収集器13に回収される。円柱形胴12に不活性ガス供給ライン18からアルゴンガスを流入させることにより、空気による酸化等を防止するとともに、加熱ゾーンから取り出した熱分解製品と高温ガスとの接触を減少させ、さらに反応が進行することを防止し、グラファイトやススの生成が抑制された高品質のカーボンナノチューブが得られる。
作業終了後、残ったガス、触媒、熱分解生成物はニップル16を通じて排出した後、新しい触媒を散布し、上記工程を繰り返す。全ての作業が終了し、製品を冷却した後、製品収集器13を円柱形胴12から分離し、合成された製品を取り出す。
上記方法においては不活性ガスとしてアルゴンガスを用いて説明したが、他の不活性ガスを用いても良い。
(2) 樹脂組成物の調製
カーボンナノチューブの分散は、ヘンシェルミキサー、タンブラー、ディスパー等で混合し、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ペイントコンディショナー、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、パールミル、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、ホモジナイザー、ジェットミル、バンバリーミキサー等の回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を用いて行うのが好ましい。これらの分散機は2種以上併用しても良い。例えば、カーボンナノチューブと熱可塑性樹脂とを二軸押出機にて溶融混練する方法や、カーボンナノチューブと熱可塑性樹脂とをMEK等の有機溶媒とともにペイントコンディショナーで分散させたものから溶媒を除去し、得られた組成物を二軸押出機で溶融混練する方法等で樹脂組成物を得ることができる。
樹脂組成物は、カーボンナノチューブ組成物を比較的高濃度に含有し、成形時に被成形樹脂(ベース樹脂)で希釈されるマスターバッチであっても良いし、カーボンナノチューブ組成物の濃度が比較的低く、被成形樹脂で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであっても良い。
[3]成形体
本発明における成形体は、一般のプラスチックと同様の射出成形、押し出し成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形、圧縮成形等の公知の方法により製造できる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
カーボンナノチューブ1の合成
図1及び図2に示す装置でカーボンナノチューブの合成を行った。容積0.9 m3の容器2aに、ディスク11を回転させながらアルゴンガスと、ニッケル(90質量%)/酸化マグネシウム(10質量%)からなる触媒とを供給し、ディスク11表面に厚さ1.5 mmの前記触媒の層を形成した。さらに系内の空気がアルゴンガスで置換するまでアルゴンガスを供給した。その後、ディスクの回転を止め、メタンガスをディスク11下のニップル15から供給しながら、600℃まで容器2aを加熱し、熱分解ガス生成物中の水素含有量が反応炉からの出口で0.1容量%以下になるまで保持した。保持時間は約30分間であった。その後、ディスク11を回転させながら、シャベル10でディスク11上に生成された製品を掻き取り収集器13に回収した。この工程を繰り返し行った。この合成の1サイクルは40分間であった。収集器13が一杯になると、収集器13を反応炉から分離し、冷却後製品を取り出し、化学処理で触媒を除去し、水洗及び乾燥し、カーボンナノチューブ600 gを得た。
カーボンナノチューブ2の合成
図1及び図2に示す装置でカーボンナノチューブの合成を行った。ディスク11を回転させながら、容積0.9 m3の反応炉3にアルゴンガスと、ニッケル(95質量%)/酸化アルミニウム(5質量%)からなる触媒とを供給し、ディスク11表面に厚さ2 mmの前記触媒の層を形成した。さらに系内の空気がアルゴンガスで置換するまでアルゴンガスを供給した。ディスク11の回転を止め、メタン/プロパン(1:1容量比)の混合ガスをディスク11下のニップル15から供給しながら、720〜725℃まで反応炉を加熱し、熱分解ガス生成物中の水素含有量が反応炉からの出口で0.1容量%以下になるまで保持した。保持時間は約30分間であった。その後、ディスクを回転させながら、シャベル10でディスク11上に生成された製品を掻き取り収集器13に回収した。新たな触媒を供給し、これらの工程を繰り返し行った。この合成の1サイクルは45分間であった。収集器13が一杯になると、収集器13を反応炉から分離し、冷却後製品を取り出し、化学処理で触媒を除去し、水洗及び乾燥し、カーボンナノチューブ500 gを得た。
得られたカーボンナノチューブ1及び2は、ともに8〜100 nmの外径、10〜20 nmの内径、及び0.5〜2μmの長さを有するカップスタック型であり、みかけ密度0.4〜0.46 g/cm3で不純物は1.6質量%以下であった。
実施例1
33 gのカーボンナノチューブ1及び967 gのLDPE樹脂(低密度ポリエチレン樹脂)を、スーパーミキサーを用いて撹拌羽回転速度約300 rpmで3分間、撹拌及び混合した。この混合物を150℃で、単軸押出機で溶融混練し、樹脂組成物を作製した後、射出成形機を用い成形を行った。
実施例2
LDPE樹脂の代わりにGPPS樹脂(汎用ポリスチレン樹脂)を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製し成形を行った。
実施例3及び4及び比較例1〜4
カーボンナノチューブ及び樹脂を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製し成形を行った。
分散性の評価
分散性は、成形体の破断面を日立ハイテク社製の走査電子顕微鏡を用いて15000倍で観察し、凝集物の有無から以下の基準で評価した。
凝集物が全く観察されないもの・・・○
凝集物が観察されたのもの・・・△
分散されていないもの・・・×
表面抵抗値の測定
成形体の表面抵抗値はSIMCO社製の表面抵抗測定器(TRUSTAT ST-3)を用いて測定した。
Figure 2010285522
注(1):カーボンナノチューブAは、Bayer社製BaytubesC 150Pであり、カーボンナノチューブBは、CNT CO., LTD.製CTube100である。
1・・・フレーム
2a・・・容器
2b・・・蓋
3・・・反応炉
4・・・触媒供給用定量器
5・・・噴霧器
6・・・不活性ガス供給ライン
7・・・触媒供給ノズル
8・・・開口部
9・・・回転駆動機
10・・・シャペル
11・・・ディスク
12・・・円柱形胴
13・・・製品収集器
14・・・ヒーター
15,16・・・ニップル
18・・・不活性ガス供給ライン
19・・・ヒーター
21・・・触媒

Claims (6)

  1. 樹脂と、ニッケル/酸化マグネシウム触媒、又はニッケル/酸化アルミニウム触媒を用いて作製したカーボンナノチューブとを含有する樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物において、前記ニッケル/酸化マグネシウム触媒が90質量%のニッケルと10質量%の酸化マグネシウムとからなることを特徴とする樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載の樹脂組成物において、前記ニッケル/酸化アルミニウム触媒が95質量%のニッケルと5質量%の酸化アルミニウムとからなることを特徴とする樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物において、前記樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物において、前記カーボンナノチューブがカップスタック型であることを特徴とする樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形体。
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