JP2005305788A - コンクリート製品またはコンクリート構造物の製造・構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コンクリート組成物に、セメント、水、骨材に、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物(B)との組み合わせから成る添加剤が増粘性添加剤として配合されている場合には、上記コンクリート組成物に直接接触する機器や部材に塗布される潤滑油及びグリスとして、例えば、水・グリコール系の潤滑剤やフッ素系合成油から成るグリスなどの、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を吸着しない潤滑油とグリスとを使用するようにした。
【選択図】 なし
Description
また、トンネル工事などでは、上記運搬されたコンクリート組成物をコンクリートポンプなどで打設現場に運搬し、打設現場にて組立てられた内型枠に上記コンクリート組成物を圧送し、加圧ジャッキにより圧縮力を加えながらコンクリートを打設して覆工コンクリートを構築するようにしている(例えば、特許文献1参照)。このような、シールド工法の直打ちコンクリートとして使用されるコンクリートには、コンクリート打込み中から、地下水に対する耐水性が要求されるとともに、初期強度が必要とされている。
この早強性と耐水性とは、従来、両立が困難な特性である。すなわち、従来の高流動コンクリートは流動性に優れており、また、コンクリート用化学混和剤を適宜選択するなどして、早強性を発揮させることも可能であるが、耐水性に問題があるため、地下水圧中での打込みにおいて、十分な強度を確保することが困難であった。また、従来の水中不分離性コンクリートは、耐水性や流動性には優れているが、早強性に問題があるため、シールドの反力を負担するだけの十分な初期強度が得られないといった問題点があった。
そこで、本出願人は、上記問題点を解決するため、高流動コンクリートと上記水中不分離性コンクリートの利点を併せ持つ早強性耐水コンクリート組成物を提案している(特願2004−99509号、特願2004−99552号)。
しかしながら、上記増粘性混和剤を添加したコンクリートの製造から打込みまでの過程においては、上記コンクリート組成物にコンクリートミキサーやコンクリートポンプに使用されている潤滑油やグリスなどの鉱物油を主成分とする油分が混入することがあり、この油分の混入が多い場合には上記増粘性混和剤の増念作用が低下し、上記コンクリート組成物の粘性が低下してしまうといった問題点があった。
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、セメント、水、骨材に、第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とを含有する添加剤であり、上記化合物(A)と化合物(B)とが、両性界面活性剤から選ばれる化合物(A)とアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B)との組み合わせ、または、カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)との組み合わせ、カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)と臭素化合物から選ばれる化合物(B)との組み合わせ、から選択される添加剤のうちのいずれかの添加剤を増粘性添加剤として配合して成るコンクリート組成物を用いてコンクリート製品またはコンクリート構造物を製造・構築する方法であって、上記コンクリート組成物に直接接触する機器に使用される潤滑油、及び、上記コンクリート組成物に直接接触する部材に塗布されるグリスとして、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を吸着しない潤滑油とグリスとを使用するようにしたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンクリート製品またはコンクリート構造物の製造・構築方法において、上記潤滑剤として水・グリコール系の潤滑剤を用いるとともに、上記グリスとしてフッ素系合成油を使用するようにしたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンクリート製品またはコンクリート構造物の製造・構築方法において、上記増粘性混和剤として、カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)を含有する混和剤を用いるとともに、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを、単位水量に対して、それぞれ0.5〜5.0重量%の割合で配合したことを特徴とする。
なお、本発明は、上記コンクリート組成物が、カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)を含有する増粘性混和剤を含み、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを、単位水量に対して、それぞれ0.5〜5.0重量%の割合で配合されたものである場合に特に有効である。
まず、本発明の製造方法に適用される2種類の水溶性低分子化合物を組み合わせて成る増粘性混和剤が配合された早強性耐水コンクリート組成物について説明する。上記コンクリートは、早強ポルトランドセメント、水、粗骨材、細骨材に、コンクリート用化学混和剤を配合するとともに、例えば、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物(A)と、アニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物(B)とを含有する増粘性混和剤を配合したもので、その製造方法としては、はじめに、セメント、水、細骨材に、コンクリート用化学混和剤と、上記第2の水溶性低分子化合物(B)とを練り混ぜて混練物を作製した後、この混練物に上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加して再度混練し、最後に粗骨材を加えて混練し、コンクリート組成物を作製する。
このとき、水セメント比(W/C)としては、30〜40%とすることが好ましく、35%前後とすることが特に好ましい。水セメント比が30%未満であると粘性が高くなり流動性が低下するだけでなく、セメントの割合が多くなるため水和発熱が大きくなり、温度ひび割れが発生し易くなる。また、40%を超えると、同じ粘性を得るためには上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とを余分に入れる必要があるが、それでも早強性は低下してしまうので、30〜40%とすることが好ましい。
本例では、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とを単位水量に対して、それぞれ0.5〜5.0重量%の割合で配合するとともに、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とをある一定の割合でセメント中に混入するようにしている。
従来の水中不分離コンクリートで使用されていた水中不分離材料(混和剤)は、増粘性混和剤がセメント粒子に吸着するために硬化遅延を起こすが、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とがある一定の割合(例えば、2:5〜5:2の範囲)でコンクリート中に混入されると、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とが電気的に配列して擬似ポリマーを形成して増粘機能を発揮することから、セメント粒子に影響を与えないので、上記のような硬化遅延を起こさない。したがって、シールド直打ち工法のコンクリートとして最適に用いられる、早強性に優れるとともに、優れた耐水性を有するコンクリート組成物を得ることができる。なお、実験の結果では、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)との配合の割合は、1:1の場合が最適であった。
上記油分としては、例えば、コンクリートプラントのミキサーやトラックアジテータ、コンクリートポンプのシリンダー,アキュームレーター,ホッパーの攪拌翼などの可動部に塗布されている工業用潤滑油やグリスなどが挙げられる。
現在、コンクリート製品やコンクリート構造物の製造・構築工程において主に用いられている工業用潤滑油及びグリスの主成分は以下のような種類に大別される。
(1)潤滑油
(a)パラフィン系
(b)ナフテン系
(c)水・グリコール系
(2)グリス
(a)パラフィン系
(b)パラフィン+ポリマー
(c)ポリオールエステル
(d)エーテル系合成油
(e)フッ素系合成樹脂
(f)シリコン系
そこで、上記潤滑油及びグリスを、上記増粘性混和剤を添加したモルタルに混入し、上記モルタルの粘性を測定する試験を行った。この試験は、潤滑油及びグリスを上記モルタルに対して、0.1〜0.5ml/l添加し、このモルタルの1時間後のモルタルフロー値を油無添加のモルタルのモルタルフロー値と比較することにより評価した。その結果を、図1の表A,Bに示す。なお、上記モルタルの配合組成は、以下の表1に示すように、上記コンクリート組成物に粗骨材を加える前のものと同じものとした。
なお、潤滑油及びグリスとも、最も種類の多いパラフィン系のものについては、いずれも複数種試験した。
上記表A,Bから明らかなように、潤滑剤としては水・グリコール系の潤滑剤が最も粘性の低下が少なく、グリスとしてはフッ素系合成油が最も粘性の低下が少ないことから、これらの潤滑油及びグリスには、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を吸着する成分が含まれていないと考えられる。
したがって、上記早強性耐水コンクリート組成物を用いてコンクリート製品またはコンクリート構造物の製造・構築する際には、潤滑剤として水・グリコール系の潤滑剤を用いるとともに、グリスとしてフッ素系合成油を使用するようにすれば、上記早強性耐水コンクリート組成物の早強性や流動性、耐水性などの性状を十分に発揮することができる。
Claims (3)
- セメント、水、骨材に、第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とを含有する添加剤であり、上記化合物(A)と化合物(B)とが、両性界面活性剤から選ばれる化合物(A)とアニオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B)との組み合わせ、または、カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)との組み合わせ、カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)と臭素化合物から選ばれる化合物(B)との組み合わせ、から選択される添加剤のうちのいずれかの添加剤を増粘性添加剤として配合して成るコンクリート組成物を用いてコンクリート製品またはコンクリート構造物を製造・構築する方法であって、上記コンクリート組成物に直接接触する機器に使用される潤滑油、及び、上記コンクリート組成物に直接接触する部材に塗布されるグリスとして、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を吸着しない潤滑油とグリスとを使用するようにしたことを特徴とするコンクリート製品またはコンクリート構造物の製造・構築方法。
- 上記潤滑剤として水・グリコール系の潤滑剤を用いるとともに、上記グリスとしてフッ素系合成油を使用するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート製品またはコンクリート構造物の製造・構築方法。
- 上記増粘性混和剤として、カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)を含有する混和剤を用いるとともに、上記化合物(A)と上記化合物(B)とを、単位水量に対して、それぞれ0.5〜5.0重量%の割合で配合したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート製品またはコンクリート構造物の製造・構築方法。
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