JP4663250B2 - コンクリート組成物の粘性調整方法 - Google Patents
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そこで、本出願人は、上記問題点を解決するため、上記高流動コンクリートと上記水中不分離性コンクリートの利点を併せ持つ早強性耐水コンクリート組成物を提案している(特願2004−99509号、特願2004−99552号)。
上記早強性耐水コンクリート組成物も、上記従来のコンクリート組成物と同様に、環境温度が高い打設現場においてはその粘性が低下するが、この他にも、運搬の混練中、あるいは、打設現場への圧送中に、上記コンクリート組成物に油分が混入した場合に、上記第1の水溶性低分子化合物(A)が上記油分に吸着され、その結果、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)との配合比率がずれてしまい粘性が低下してしまうことがある。
すなわち、上記コンクリート組成物においては、粘性の低下は、上記化合物(A)と化合物(B)との配合比率が変化した場合にも生じるので、粘性調整のために別の増粘剤を添加した場合、コンクリート組成物の特性に影響がでてしまい、所望の特性が得られなくなる恐れがあった。また、上記コンクリート組成物に粘性が高くなった場合に、安易に水分を加えると、上記化合物(A)と化合物(B)の単位水量に対する割合が変化し、上記コンクリート組成物の特性を劣化させる恐れがあった。
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、セメント、水、粗骨材、細骨材に、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物(B)とを含有する増粘性混和剤を配合して成るコンクリート組成物の粘性を調整する方法であって、上記コンクリート組成物を打設する前に上記コンクリート組成物の粘性を測定し、上記測定された粘性が上記コンクリート組成物の製造時に測定した粘性よりも低下している場合には、上記コンクリート組成物に上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加して再度混練し、上記コンクリート組成物の粘性が製造時に測定した粘性まで回復したかどうかを調べ、上記コンクリート組成物の粘性が上記コンクリート組成物の製造時に測定した粘性まで回復しない場合には上記第2の水溶性低分子化合物(B)を添加して上記コンクリート組成物の粘性を高めて上記コンクリート組成物の粘性を製造時に測定した粘性まで回復させ、上記測定された粘性が上記コンクリート組成物の製造時に測定した粘性よりも高くなっている場合には、上記コンクリート組成物に上記第2の水溶性低分子化合物(B)を添加して再度混練し、上記コンクリート組成物の粘性を製造時に測定した粘性まで下げるように、上記コンクリート組成物の粘性を調整することを特徴とするものである。
また、シールド工法における覆工コンクリートを構築する場合のように、上記コンクリート組成物をコンクリートポンプで圧送して打設する場合には、上記コンクリートポンプの油分により上記第1の水溶性低分子化合物(A)が吸着されることを想定し、上記コンクリート組成物に、予め、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加してから圧送するようにしたので、打設時における上記コンクリート組成物の特性を初期特性に確実に維持することができる。
まず、2種類の水溶性低分子化合物を組み合わせて成る増粘性混和剤が配合された早強性耐水コンクリート組成物について説明する。上記コンクリート組成物は、早強ポルトランドセメント、水、粗骨材、細骨材に、コンクリート用化学混和剤を配合するとともに、例えば、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物(A)と、アニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物(B)とを含有する添加剤を増粘性混和剤として配合したもので、その製造方法としては、はじめに、セメント、水、細骨材に、コンクリート用化学混和剤と上記第2の水溶性低分子化合物(B)とを練り混ぜて混練物を作製した後、この混練物に上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加して再度混練し、最後に粗骨材を加えて混練し、コンクリート組成物を作製する。
このとき、水セメント比(W/C)としては、30〜40%とすることが好ましく、35%前後とすることが特に好ましい。水セメント比が30%未満であると粘性が高くなり流動性が低下するだけでなく、セメントの割合が多くなるため水和発熱が大きくなり、温度ひび割れが発生し易くなる。また、40%を超えると、同じ粘性を得るためには上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とを余分に入れる必要があるが、それでも早強性は低下してしまうので、30〜40%とすることが好ましい。
本例では、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とを単位水量に対して、それぞれ0.5〜5.0重量%の割合で配合するとともに、、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とをある一定の割合(2:5〜5:2)でセメント中に混入するようにしている。
従来の水中不分離コンクリートで使用されていた水中不分離材料(混和剤)は、増粘性混和剤がセメント粒子に吸着するために硬化遅延を起こすが、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とがある一定の割合でセメント中に混入されると、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)とが電気的に配列して擬似ポリマーを形成して増粘機能を発揮することから、セメント粒子に影響を与えないので、上記のような硬化遅延を起こさない。したがって、シールド直打ち工法のコンクリートとして最適に用いられる、早強性に優れるとともに、優れた耐水性を有するコンクリート組成物を得ることができる。なお、実験の結果では、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)との配合の割合は、1:1の場合が最適であった。
まず、コンクリートプラントにおいて、上記の、早強ポルトランドセメント、水、粗骨材、細骨材、コンクリート用化学混和剤、及び、上記増粘性混和剤を混練して成るコンクリート組成物を作製し、その粘性(初期粘性率η0)を測定する(ステップS1)。
次に、打設現場に運搬されてきた上記コンクリート組成物の粘性(粘性率η)を測定し(ステップS2)、上記測定された粘性率ηと初期粘性率η0とを比較し、上記測定された粘性率ηが上記初期粘性率η0よりも低いかどうかを判定する(ステップS3)。
粘性率ηが初期粘性率η0よりも低い場合には、上記コンクリート組成物に上記第1の水溶性低分子化合物(A)を少量添加して再度混練する(ステップS4)。そして、粘性が回復したかどうかを調べ(ステップS5)、粘性が回復していたならば、そのまま上記コンクリート組成物を打設する。また、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加しても粘性が回復していない場合には、上記第1の水溶性低分子化合物(A)と第2の水溶性低分子化合物(B)との配合比が上記コンクリート組成物の現場温度での最大粘性を実現する配合比から上記化合物(A)が多い方にずれてしまったと推定されるので、これを調整するため、第2の水溶性低分子化合物(B)を少量添加して再度混練し(ステップS6)、粘性が回復したところで、上記コンクリート組成物を打設する。
なお、上記測定された粘性率ηが初期粘性率η0とあまり変わらない場合には、そのまま上記コンクリート組成物を打設すればよい。
また、シールド工法における覆工コンクリートを構築する場合のように、上記コンクリート組成物をコンクリートポンプで圧送して打設する場合には、上記コンクリートポンプの油分により上記第1の水溶性低分子化合物(A)が吸着されることが想定されるので、上記コンクリート組成物に、予め、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加してから圧送するようにすれば、打設時における上記コンクリート組成物の特性を初期特性に確実に維持することができる。
Claims (2)
- セメント、水、粗骨材、細骨材に、カチオン性界面活性剤から選ばれる第1の水溶性低分子化合物(A)とアニオン性芳香族化合物から選ばれる第2の水溶性低分子化合物(B)とを含有する増粘性混和剤を配合して成るコンクリート組成物の粘性を調整する方法であって、
上記コンクリート組成物を打設する前に上記コンクリート組成物の粘性を測定し、
上記測定された粘性が上記コンクリート組成物の製造時に測定した粘性よりも低下している場合には、上記コンクリート組成物に上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加して再度混練し、上記コンクリート組成物の粘性が製造時に測定した粘性まで回復したかどうかを調べ、上記コンクリート組成物の粘性が上記コンクリート組成物の製造時に測定した粘性まで回復しない場合には上記第2の水溶性低分子化合物(B)を添加して上記コンクリート組成物の粘性を高めて上記コンクリート組成物の粘性を製造時に測定した粘性まで回復させ、
上記測定された粘性が上記コンクリート組成物の製造時に測定した粘性よりも高くなっている場合には、上記コンクリート組成物に上記第2の水溶性低分子化合物(B)を添加して再度混練し、上記コンクリート組成物の粘性を製造時に測定した粘性まで下げるように、上記コンクリート組成物の粘性を調整することを特徴とするコンクリート組成物の粘性調整方法。 - 上記コンクリート組成物をコンクリートポンプで圧送して打設する場合には、上記コンクリート組成物に、予め、上記第1の水溶性低分子化合物(A)を添加してから圧送するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート組成物の粘性調整方法。
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