JP2005273552A - 火花点火式直噴エンジン - Google Patents
火花点火式直噴エンジン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005273552A JP2005273552A JP2004088667A JP2004088667A JP2005273552A JP 2005273552 A JP2005273552 A JP 2005273552A JP 2004088667 A JP2004088667 A JP 2004088667A JP 2004088667 A JP2004088667 A JP 2004088667A JP 2005273552 A JP2005273552 A JP 2005273552A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel
- injection
- spark ignition
- nozzle
- angle
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Abandoned
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
Landscapes
- Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
- Fuel-Injection Apparatus (AREA)
Abstract
【課題】 混合気の均質性が向上され、優れた特性の均一燃焼を行うことができる火花点火式直噴エンジンを提供すること。
【解決手段】 本発明の火花点火式直噴エンジンは、燃焼室10と、点火プラグ32と、吸気弁20と、排気弁22と、インジェクタ36と、燃料噴射制御手段とを備え、ピストンが冠面に形成され上方に向かって開口するキャビティ9を備え、インジェクタが、電極部に指向する上方噴口と、ピストンのキャビティの開口縁に指向する複数の下方噴口とを備え、上方噴口の軸心と上方噴口に隣接する下方噴口の軸心とのなす角度が、圧縮行程における上方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度と圧縮行程における上方噴口に隣接する下方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度との和より大きな角度に設定されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の火花点火式直噴エンジンは、燃焼室10と、点火プラグ32と、吸気弁20と、排気弁22と、インジェクタ36と、燃料噴射制御手段とを備え、ピストンが冠面に形成され上方に向かって開口するキャビティ9を備え、インジェクタが、電極部に指向する上方噴口と、ピストンのキャビティの開口縁に指向する複数の下方噴口とを備え、上方噴口の軸心と上方噴口に隣接する下方噴口の軸心とのなす角度が、圧縮行程における上方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度と圧縮行程における上方噴口に隣接する下方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度との和より大きな角度に設定されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、火花点火式直噴エンジンに関し、特に、複数の噴口を有するインジェクタを備えた火花点火式直噴エンジンに関する。
燃料を燃焼室内に直接噴射するインジェクタを備えた火花点火式直噴エンジンが知られている。この種のエンジンでは、圧縮行程に燃料噴射を行って点火プラグ近傍に混合気を偏在させて成層燃焼を行い燃費を向上させることができるように構成されている。本発明はこのような技術に基づいて、開発されたものである。
上述したような直噴エンジンでは、全負荷時等の所定の条件下では、吸気行程に燃料噴射を行い混合気を筒内で均一に分布させて燃焼させる均一燃焼を行なっている。しかしながら、直噴エンジンでは、点火プラグ近傍に混合気を偏在させて成層燃焼を行うのに適した構成とされているため、吸気行程における燃料噴射によって均一燃焼を行わせようとすると、混合気が気化不良または不均一となり必要なトルクが得られず、また、全負荷時には、スモーク、パーティキュレート、HCが発生する等の問題が生ずることがあった。
本願発明の発明者等は、直噴エンジンにおいて、インジェクタ噴口の軸心(燃料噴射の中心軸線)の方向およびインジェクタからの噴射タイミング等を工夫することによって、噴射された燃料の気化/ミキシングが促進され、エンジン負荷が高い領域においても、燃焼室内における混合気の均質性を向上させることができることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、混合気の均質性が向上され、優れた特性の均一燃焼を行うことができる火花点火式直噴エンジンを提供することを目的とする。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、混合気の均質性が向上され、優れた特性の均一燃焼を行うことができる火花点火式直噴エンジンを提供することを目的とする。
本発明によれば、シリンダとシリンダヘッドとピストンとによって構成される燃焼室と、該燃焼室の上部中央に配置される電極部を有する点火プラグと、前記燃焼室の天井部に配置された吸気弁と、前記点火プラグを挟んで前記吸気弁と対向する位置に配置された排気弁と、該吸気弁に隣接して配置され前記燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、該インジェクタからの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段とを備えている火花点火式直噴エンジンであって、前記ピストンが冠面に形成され上方に向かって開口するキャビティを備え、前記インジェクタが、前記電極部に指向する上方噴口と、前記ピストンのキャビティの開口縁に指向する複数の下方噴口とを備え、前記上方噴口の軸心と該上方噴口に隣接する前記下方噴口の軸心とのなす角度が、圧縮行程における前記上方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度と圧縮行程における該上方噴口に隣接する下方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度との和より大きな角度に設定されていることを特徴とする火花点火式直噴エンジンが提供される。
このような構成によれば、上方噴口から噴射された燃料と下方噴口から噴射された燃料とが、相互に干渉して引き合うことがなくなるので、上方噴口からの噴射された燃料は点火プラグの電極部近傍に、下方噴口から噴射された燃料はピストン冠面に形成されたキャビティの開口縁に確実に吹きつけられる。
さらに、下方噴口からキャビティの開口縁に吹き付けられた燃料は、周縁にぶつかることによって分散させられるので、空気とのミキシングが促進され、混合気の均質化が促進される。一方、上方噴口から電極部近傍に吹き付けられた燃料により、電極部近傍に混合気が偏在させることができるので、吸気の20%以上の排気を導入する所謂ヘビーEGRを行っても、安定した燃焼を確保できる。
さらに、下方噴口からキャビティの開口縁に吹き付けられた燃料は、周縁にぶつかることによって分散させられるので、空気とのミキシングが促進され、混合気の均質化が促進される。一方、上方噴口から電極部近傍に吹き付けられた燃料により、電極部近傍に混合気が偏在させることができるので、吸気の20%以上の排気を導入する所謂ヘビーEGRを行っても、安定した燃焼を確保できる。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記下方噴口の軸心が、前記シリンダの中間の高さ位置に位置しているピストンのキャビティの開口縁に指向するように配置されている。
このような構成によれば、ピストンがシリンダの中間の高さ位置に達する吸気行程中期に燃料噴射を行うと、下方噴口から噴射された燃料がピストン冠面のキャビティの開口縁に衝突して拡散する。吸気行程中期は、吸気流の流速が高いため、キャビティの開口縁に衝突して拡散した燃料は、流速が高い吸気流に乗せられて燃焼室内に分散させられる。従って、このような構成では、吸気行程中期に噴射が行われると、混合気の均質化が促進される。
このような構成によれば、ピストンがシリンダの中間の高さ位置に達する吸気行程中期に燃料噴射を行うと、下方噴口から噴射された燃料がピストン冠面のキャビティの開口縁に衝突して拡散する。吸気行程中期は、吸気流の流速が高いため、キャビティの開口縁に衝突して拡散した燃料は、流速が高い吸気流に乗せられて燃焼室内に分散させられる。従って、このような構成では、吸気行程中期に噴射が行われると、混合気の均質化が促進される。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記キャビティの開口は、長軸が前記排気弁の側から前記吸気弁の側に向かって延びる長円形を有する。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記キャビティの開口縁が、円弧状の断面とされている。
このような構成によれば、燃料が円弧状(アール状)の断面を有する開口縁に衝突して広い範囲に分散されるので、混合気の均質化がより促進される。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記キャビティの開口縁が、円弧状の断面とされている。
このような構成によれば、燃料が円弧状(アール状)の断面を有する開口縁に衝突して広い範囲に分散されるので、混合気の均質化がより促進される。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記上方噴口が、前記電極部の左右または下方に指向された1または2つの噴口からなり、前記下方噴口が、4つ以上の噴口からなる。
このような構成によれば、上方噴口からの燃料は電極部近傍に偏在させられ、下方噴口からの燃料は燃焼室内に均一に分散させられる。電極部に指向する上方噴口の数が、ピストン冠面のキャビティに指向する下方噴口の数より少ないので、電極部近傍に燃料が偏在しつつも燃焼室内には混合気が均質状態で存在する弱成層状態を形成できる。このため、吸気の20%以上の排気を導入する所謂ヘビーEGRを行っても、安定した燃焼を確保できる。
このような構成によれば、上方噴口からの燃料は電極部近傍に偏在させられ、下方噴口からの燃料は燃焼室内に均一に分散させられる。電極部に指向する上方噴口の数が、ピストン冠面のキャビティに指向する下方噴口の数より少ないので、電極部近傍に燃料が偏在しつつも燃焼室内には混合気が均質状態で存在する弱成層状態を形成できる。このため、吸気の20%以上の排気を導入する所謂ヘビーEGRを行っても、安定した燃焼を確保できる。
本発明の他の好ましい態様によれば、前記上方噴口が、前記電極部の左右および下方に指向された3つの噴口からなり、前記下方噴口が、3つ以上の噴口からなる。
このような構成によれば、上方噴口からの燃料は電極部近傍に偏在させられ、下方噴口からの燃料は燃焼室内に均一に分散させられる。電極部に指向する上方噴口の数と、ピストン冠面のキャビティに指向する下方噴口の数との差が無い或いは少ないので、電極部近傍における燃料偏在の程度が高くなり、成層化が促進される。また、ピストン冠面のキャビティ縁部に指向する噴口も設けられているので、燃焼室内での混合気の均質化も確保される。
このような構成によれば、上方噴口からの燃料は電極部近傍に偏在させられ、下方噴口からの燃料は燃焼室内に均一に分散させられる。電極部に指向する上方噴口の数と、ピストン冠面のキャビティに指向する下方噴口の数との差が無い或いは少ないので、電極部近傍における燃料偏在の程度が高くなり、成層化が促進される。また、ピストン冠面のキャビティ縁部に指向する噴口も設けられているので、燃焼室内での混合気の均質化も確保される。
本発明によれば、混合気の均質性が向上され、優れた特性の均一燃焼を行うことができる火花点火式直噴エンジンが提供される。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態の火花点火式直噴エンジンの構成について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の火花点火式直噴エンジン1の概略的な構成を示す図面であり、図2はエンジンの燃焼室付近を拡大した断面図である。
エンジン1は、直列に配置された4本の気筒2(図1では1本のみを示す)が形成されたシリンダブロック4と、このシリンダブロック4上に配置されたシリンダヘッド6とを備えている。気筒(シリンダ)2内には、ピストン8が上下方向に往復動可能に配置されている。
エンジン1は、直列に配置された4本の気筒2(図1では1本のみを示す)が形成されたシリンダブロック4と、このシリンダブロック4上に配置されたシリンダヘッド6とを備えている。気筒(シリンダ)2内には、ピストン8が上下方向に往復動可能に配置されている。
図3は、ピストン8の冠面(頂面)を示す平面図であり、図4は図3のIV−IV線に沿った断面図である。図3及び図4に示されているように、ピストン8の冠面には、上方に向かって開口する凹状のキャビティ9が形成されている。キャビティ9は、図3に示されているように、長円形の開口部を上端に有する半ラグビーボール状の形状を有している。また、キャビティ9は、図4に示されているように、その開口縁9aが円弧状の断面(アール形状)とされている。
ピストン8とシリンダヘッド6との間には燃焼室10が形成されている。燃焼室10は、図2に示すように、気筒2の天井部の略中央部からシリンダヘッド6の下端面付近まで延びる2つの傾斜面を備えたいわゆるペントルーフ型燃焼室とされている。
一方、シリンダブロック4内のピストン8の下方には、クランク軸12が回転自在に支持されており、このクランク軸12とピストン8とはコネクティングロッド14を介して連結されている。
一方、シリンダブロック4内のピストン8の下方には、クランク軸12が回転自在に支持されており、このクランク軸12とピストン8とはコネクティングロッド14を介して連結されている。
図1、図2に示されているように、シリンダヘッド6には、吸気ポート16及び排気ポート18が、それぞれ2つずつ(図1、図2では、いずれも一方のみを図示)、並列状態で形成されている。この2つの吸気ポート16は、それぞれ、燃焼室の一方の傾斜面に開口され、各吸気ポート16には、所定のタイミングで開閉作動される吸気弁20が着座する。各吸気弁20は、略円形を有し吸気ポート16を開閉する弁傘部20aと、弁傘部20aの中心から延びる棒状のステム20bとを備えた公知の形状である。また、2つの排気ポート18は、燃焼室の他方の傾斜面に並んで開口され、これらの排気ポート18には、所定のタイミングで開閉作動される排気弁22が着座する。
ピストン8の冠面のキャビティ9は、長円形の開口の長手方向軸線Aが、隣接して配置された吸気弁20、20間および排気弁22、22間を通って吸気弁20の側から排気弁22の側に延びるように、配置されている。
図1に示すように、エンジン1の一側面には、各気筒2の吸気ポート16にそれぞれ連通する吸気通路24が接続されている。この吸気通路24は、エンジン1の燃焼室6にエアクリーナ(不図示)で濾過された吸気を供給するためのものであり、その上流側から下流側に向かって順に、エンジン1に吸入される吸入空気量を検出するためのホットワイヤ式エアフローセンサ26と、吸気通路24を絞る電気式スロットル弁28と、サージタンク30とが配置されている。電気式スロットル弁28は、アクセルペダル(不図示)に対し機械的に連結されておらず、図示しない電気式駆動モータにより駆動される。
また、吸気通路24は、サージタンク30よりも下流側が各気筒2に接続された独立通路に分岐され、その各独立通路の下流端部は、さらに2つに分岐して各気筒の2つの吸気ポート16にそれぞれ接続されている。
また、燃焼室10の上部中央には、4つの吸排気弁20、20、22、22の略中心に、点火プラグ32が配置されている。この点火プラグ32の先端の電極32aは、燃焼室10の天井部から所定距離だけ突出した位置にあり、その点火プラグ32の基端部には点火回路34が接続されており、気筒2毎に所定のタイミングで点火プラグ32に通電するように構成されている。
各燃焼室10の周縁部の吸気弁20間にはインジェクタ36が取付けられている。インジェクタ36は、先端部に複数の噴口が形成された所謂マルチホール型のインジェクタであり、点火プラグ32の電極部32aを挟んで、排気弁22と対向するように配置されている。各インジェクタ36は燃料分配管38が接続されている。燃料分配管38は、燃料供給系40から供給される高圧の燃料を各インジェクタ36に供給する。
エンジン1の他側面には、図1に示すように、燃焼室10から排気ガスを排出する排気通路42が接続されている。この排気通路42の上流端は、分岐して各気筒2の排気ポート18に接続される排気マニホールド44とされている。排気マニホールド44の集合部には排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ46が配置されている。リニアO2センサ46は排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。
また、排気マニホールド44の集合部には、排気管48の上流端が接続されている。排気管48には、上流側から下流側に向けて順に、三元触媒50、NOx吸収触媒52が取付けられている。NOx吸収触媒52は、排気中の酸素濃度の高いときNOxを吸着する一方、酸素濃度の低下に伴い吸着していたNOxを放出し、放出したNOxを排気中のHC、CO等により還元するNOx吸着還元タイプの触媒である。
また、排気管48には、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR通路54の上流端が接続されている。EGR通路54の下流端は、スロットル弁28とサージタンク30との間で吸気通路24に接続されている。また、EGR通路54には、開度が電気的に調整可能であるEGR弁56が設けられている。
図1に示されているように、エンジン1は、ECU(エンジンコントロールユニット)58を備えている。ECU58には、クランク軸12の回転角度(エンジン回転数)を検出するクランク角センサ60、エアフローセンサ26、リニアO2センサ46、アクセル開度センサ62等の種々のセンサからの出力信号が入力され、入力された出力信号に基づいて、点火回路34、インジェクタ36、電気式スロットル弁28、EGR弁58等の作動が制御される。
図5(a)は、本実施形態のエンジン1において行われる燃料噴射制御で用いられる制御マップを示す。図5(a)に示されているように、本実施形態のエンジンではECU58の制御により、燃料を吸気行程と圧縮行程とに分けて噴射させる分割噴射制御と、燃料を吸気行程で1回噴射させる一括噴射制御が切り換えて行われる。
すなわち、本実施形態のエンジンでは、エンジン低回転領域では低負荷から、中回転領域では高負荷のときに、高回転領域では中負荷から分割噴射が行われ、他の領域では一括噴射とされている。これは一般的に直噴ガソリンエンジンでは中回転領域では混合気が均質化し易いので、本実施形態では、中回転領域では、高負荷領域だけで分割噴射としている。尚、中回転領域では高負荷領域でも分割噴射を行わない構成でもよい。
すなわち、本実施形態のエンジンでは、エンジン低回転領域では低負荷から、中回転領域では高負荷のときに、高回転領域では中負荷から分割噴射が行われ、他の領域では一括噴射とされている。これは一般的に直噴ガソリンエンジンでは中回転領域では混合気が均質化し易いので、本実施形態では、中回転領域では、高負荷領域だけで分割噴射としている。尚、中回転領域では高負荷領域でも分割噴射を行わない構成でもよい。
また、高回転域での均質化を狙ったエンジンでは、図5(b)に示されているように、高回転域では一括噴射あるいは分割噴射を開始する負荷が高くなるような制御特性に設定してもよい。このようなエンジンの場合には、回転数が低くなるほど一括噴射では均質性が悪化するため、低回転になるほど分割噴射を開始する負荷を低く設定している。
さらに、低回転域での均質化を狙ったエンジンでは、図5(c)に示されているように、全回転域において、高負荷側で分割噴射を行う制御特性に設定してもよい。
本実施形態の分割噴射では、図6のタイムチャートに示されているように、吸気行程で1回、圧縮行程で2回の合計3回の燃料噴射が行われる。吸気行程での噴射は、吸気流の流速が高くなる吸気行程中期に行われるのが好ましい。具体的には、吸気行程における噴射時期は、上死点後(ATDC)0°〜100°に噴射を開始し、上死点後(ATDC)100°〜200°に噴射が完了するように吸気行程における噴射時期を設定するのが好ましく、上死点後(ATDC)60°〜120°の範囲に噴射時期が存在するように設定するのがより好ましい。
また、圧縮行程での第1の噴射は、筒内圧が高くなり噴射された燃料の動きが抑制される時期である圧縮行程中期以降の、例えば、圧縮上死点前(BTDC)30°〜140°の時期に行われるのが好ましい。
さらに、圧縮行程での第2の噴射は、ピストンが上死点に近づいて噴射燃料が押し上げられる時期である圧縮行程中期以降の、例えば、圧縮上死点前(BTDC)0°〜90°の時期に行われるのが好ましい。
吸気行程での燃料噴射の噴射量Q1と、圧縮行程での第1回目の燃料噴射の噴射量Q2と、圧縮行程での第2回目の燃料噴射の噴射量Q3とは、Q1>Q2≧Q3の関係を満たすように設定されている。
さらに、高負荷領域では、Q2>Q3の関係が満たされるように、それ以外の領域ではQ2≧Q3の関係が満たされるように、燃料噴射量が設定されている。
さらに、高負荷領域では、Q2>Q3の関係が満たされるように、それ以外の領域ではQ2≧Q3の関係が満たされるように、燃料噴射量が設定されている。
次に、インジェクタ36の先端部に形成されている複数の噴口の配置について説明する。図7はインジェクタ36の先端における複数の噴口の配置を示す図面である。図7に示されているように、本実施形態のインジェクタ36の噴口64は、上方に配置された2つの噴口(上方噴口)64a、64bと、下方に配置された4つの噴口(下方噴口)64c、64d、64e、64fからなる。本実施形態では、各噴口は同一直径(約0.15mm)であり、更に、各噴口から噴射される燃料の拡がり(噴射角)も同一である。
図8は、インジェクタ36の軸心Lと、各噴口64a、64b、64c、64d、64e、64fの軸心66a、66b、66c、66d、66e、66fとの三次元傾斜角を模式的に示した図である。図8に示されているように、上方噴口64a、64bの軸心66a、66b、即ち、燃料噴射方向(噴射される燃料の中心軸)は、それぞれ、点火プラグ32の電極部32aの左右の領域に指向するように配置されている。
下方噴口64c、64d、64e、64fは、その軸心66c、66d、66e、66fが、ピストン8が気筒2(シリンダ)の高さ方向の中間位置に位置しているときのピストンの冠面に指向するように配置されている。
詳細には、下方噴口64c、64d、64e、64fは、その軸心66c、66d、66e、66fが、中間位置にあるピストン8冠面のキャビティ9の開口縁9a近傍領域(図3に点線で示す)に、それぞれ、指向するように配置されている。従って、ピストン8が中間位置にあるときに下方噴口64c、64d、64e、64fから噴射された燃料は、図3に点線で示す開口縁9a近傍の領域に衝突する。
詳細には、下方噴口64c、64d、64e、64fは、その軸心66c、66d、66e、66fが、中間位置にあるピストン8冠面のキャビティ9の開口縁9a近傍領域(図3に点線で示す)に、それぞれ、指向するように配置されている。従って、ピストン8が中間位置にあるときに下方噴口64c、64d、64e、64fから噴射された燃料は、図3に点線で示す開口縁9a近傍の領域に衝突する。
図9は、隣接する噴口の軸心間の角度とこれらの噴口からの噴射角との関係を示す図面である。図9に示されているように、本実施形態のインジェクタ36では、上方噴口64a(または64b)の軸心66a(または66b)と、この上方噴口64a(または64b)に隣接する下方噴口64c(または64d)の軸心66c(または66d)とのなす角度Θは、圧縮行程における上方噴口64a(または64b)からの燃料噴射の噴射角αの2分の1の角度と圧縮行程における上方噴口64a(または64b)に隣接する下方噴口64c(または64d)からの燃料噴射の噴射角βの2分の1の角度との和より大きな角度に設定されている。
ここで以上のように説明してきた噴射角α(β)の定義について図10に沿って説明する。噴射角α(β)とは、インジェクタ36からの幾何学的な燃料噴射エリアの開き角を指す。幾何学的な燃料噴射エリアとは、仮に燃焼室10内に吸気流動がないとした場合における燃料噴霧の液滴エリアのことである。
以下、具体例について説明する。図10に示すように、インジェクタ36の噴口部A点から20mm下流の位置において、噴霧中心線が通る仮想平面と燃料噴霧の輪郭が交差する二点B、Cを決定し、∠BACをもって噴射角α(β)とする(α=∠BAC)。
以下、具体例について説明する。図10に示すように、インジェクタ36の噴口部A点から20mm下流の位置において、噴霧中心線が通る仮想平面と燃料噴霧の輪郭が交差する二点B、Cを決定し、∠BACをもって噴射角α(β)とする(α=∠BAC)。
噴射角α(β)の実際の計測方法としては、例えばレーザーシート法を用いる。すなわち、先ず、インジェクタ36により噴射される流体として燃料性状相当のドライソルベルトなる試料を用い、この試料の圧力を常温下において実際に使用される燃料圧力の範囲内の所定値(例えば、12MPa)に設定する。また、雰囲気圧力としては、噴霧の撮影が可能なレーザー通過窓と計測用窓とを備えた圧力容器を例えば、0.5MPaに加圧する。そして常温下において、1パルス当たりの燃料噴射量が9mm3/strokeになるように、インジェクタ36に所定パルス幅の駆動パルス信号を入力して燃料を噴射させる。この際、燃料噴霧に対してその噴霧中心線を通るように厚さ5mmのレーザーシート光を照射しておいて、このレーザーシート光面に対して直交する方向から高速度カメラにて噴霧画像を撮影する。そして、上述の駆動パルス信号の入力時期から1.56ミリ秒後の撮影画面に基づいて、上述の定義に従って噴射角α(β)を決定する。
尚、撮影画像における噴霧の輪郭というのは、液滴状の試料粒子のエリアの輪郭であり、試料粒子のエリアはレーザーシート光によって明るくなるため、撮影画像において輝度の変化している部分から噴霧の輪郭を割り出すようにしている。
尚、撮影画像における噴霧の輪郭というのは、液滴状の試料粒子のエリアの輪郭であり、試料粒子のエリアはレーザーシート光によって明るくなるため、撮影画像において輝度の変化している部分から噴霧の輪郭を割り出すようにしている。
本実施形態では、各噴口64a、64b、64c、64d、64eおよび64fの噴射角は20°であり、上方噴口64a(または64b)の軸心66a(または66b)とこの上方噴口64a(または64b)に隣接する下方噴口64c(または64d)の軸心66c(または66d)とのなす角度Θは、65°に設定されている。
このような配置によって、上方噴口64a(または64b)とこれに隣接する下方噴口64c(または64d)から噴射された燃料(噴霧)同士の相互干渉が無く、噴霧同士の引き合い接触が防止される。
また、上下に隣接する下方噴口64cと64e(64dと64f)の軸心66cと66e(66dと66f)間の開き角Φは、各噴口からの噴射角20°より若干大きく設定されている。この結果、上下に隣接する下方噴口64cと64e(または64dと64f)から噴射されて燃料は、その開き角Φを比較的小さな関係として、ピストン8の冠面から外れることを抑制しつつ相互干渉が発生しない状態として、噴霧同士の引き合い接触が無い状態で、ピストン8方向に飛ぶことになる。
また、ピストン8の冠面に向けられた下方噴口64c、64d、64e、64fの軸線66c、66d、66e、66fが、円弧状(アール形状)とされたキャビティ9の開口縁9aに指向されているので、ピストン8が中間位置にあるときに、下方噴口64c、64d、64e、64fから噴射された燃料Fは、円弧状の開口縁9aに衝突して、図11に模式的に示すように周囲に向かって拡散する。このため混合気の均質性が向上する。
次に本発明の第2実施形態のエンジンについて説明する。第2実施形態のエンジンは、第3の上方噴口が設けられ、下方噴口が3カ所とされている点が、上記第1実施形態のエンジンと異なっている。以下、これら相違点について説明する。
図12は、第2実施形態のエンジンにおける噴口の配置を示す図7と同様の図面である。図12から明らかなように、第2実施形態では、上方噴口68a、68bの下方位置に第3の上方噴口68cが設けられている。この第3の上方噴口68cは、その軸心70cが点火プラグ32の電極部32aの下方に指向するように配置されている。
さらに、第2実施形態のエンジンでは、3つの下方噴口68d、68e、68fが設けられている。これらの下方噴口68d、68e、68fの軸心70d、70e、70fも、第1実施形態と同様に、ピストン8が中間位置にあるとき、その冠面に形成されたキャビティ9の開口縁9aに指向するように配置されている。詳細には、図13に点線で示す開口縁9a上に略等間隔で配置された領域にそれぞれが指向するように配置されている。
このような構成を有する第2実施形態のエンジンでは、第3の上方噴口68cから噴射された燃料による混合気が電極部32aの下方に偏在し、他の上方噴口68a、68bから噴射された燃料による混合気が、電極部32aの側方に偏在する。この結果、本実施形態のエンジンでは、第1実施形態のエンジンより電極部32a近傍における混合気の偏在度合いが高くなる。即ち、第1実施形態のエンジンより強い成層状態が形成されることになる。
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術事項の範囲内で種々の変更又は変形が可能である。
上記第1実施形態では、上方噴口の軸心が電極の左右に指向された構成であるが、電極左又は右のみ、または、下方のみに指向する構成でもよい。
上記第1実施形態では、上方噴口の軸心が電極の左右に指向された構成であるが、電極左又は右のみ、または、下方のみに指向する構成でもよい。
1:エンジン
2:気筒
10:燃焼室
20:吸気弁
22:排気弁
32:点火プラグ
36:インジェクタ
64:噴口
64a、64b:上方噴口
64c、64d、64e、64f:下方噴口
66a、66b、66c、66d、66e、66f:(噴口の)軸心
2:気筒
10:燃焼室
20:吸気弁
22:排気弁
32:点火プラグ
36:インジェクタ
64:噴口
64a、64b:上方噴口
64c、64d、64e、64f:下方噴口
66a、66b、66c、66d、66e、66f:(噴口の)軸心
Claims (6)
- シリンダとシリンダヘッドとピストンとによって構成される燃焼室と、該燃焼室の上部中央に配置される電極部を有する点火プラグと、前記燃焼室の天井部に配置された吸気弁と、前記点火プラグを挟んで前記吸気弁と対向する位置に配置された排気弁と、該吸気弁に隣接して配置され前記燃焼室に燃料を噴射するインジェクタと、該インジェクタからの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段とを備えている火花点火式直噴エンジンであって、
前記ピストンが冠面に形成され上方に向かって開口するキャビティを備え、
前記インジェクタが、前記電極部に指向する上方噴口と、前記ピストンのキャビティの開口縁に指向する複数の下方噴口とを備え、
前記上方噴口の軸心と該上方噴口に隣接する前記下方噴口の軸心とのなす角度が、圧縮行程における前記上方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度と圧縮行程における該上方噴口に隣接する下方噴口からの燃料噴射の噴射角の2分の1の角度との和より大きな角度に設定されている、
ことを特徴とする火花点火式直噴エンジン。 - 前記下方噴口の軸心が、前記シリンダの中間の高さ位置に位置しているピストンのキャビティの開口縁に指向するように配置されている、
請求項1に記載の火花点火式直噴エンジン。 - 前記キャビティの開口は、長軸が前記排気弁の側から前記吸気弁の側に向かって延びる長円形を有する、
請求項1または2に記載の火花点火式直噴エンジン。 - 前記キャビティの開口縁が、円弧状の断面とされている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の火花点火式直噴エンジン。 - 前記上方噴口が、前記電極部の左右または下方に指向された1または2つの噴口からなり、
前記下方噴口が、4つ以上の噴口からなる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の火花点火式直噴エンジン。 - 前記上方噴口が、前記電極部の左右および下方に指向された3つの噴口からなり、
前記下方噴口が、3つ以上の噴口からなる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の火花点火式直噴エンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004088667A JP2005273552A (ja) | 2004-03-25 | 2004-03-25 | 火花点火式直噴エンジン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004088667A JP2005273552A (ja) | 2004-03-25 | 2004-03-25 | 火花点火式直噴エンジン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005273552A true JP2005273552A (ja) | 2005-10-06 |
Family
ID=35173493
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004088667A Abandoned JP2005273552A (ja) | 2004-03-25 | 2004-03-25 | 火花点火式直噴エンジン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005273552A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11473493B2 (en) * | 2015-11-10 | 2022-10-18 | Nissan Motor Co., Ltd. | Control method and control device of internal combustion engine |
-
2004
- 2004-03-25 JP JP2004088667A patent/JP2005273552A/ja not_active Abandoned
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11473493B2 (en) * | 2015-11-10 | 2022-10-18 | Nissan Motor Co., Ltd. | Control method and control device of internal combustion engine |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7104250B1 (en) | Injection spray pattern for direct injection spark ignition engines | |
US6672277B2 (en) | Direct-injection spark ignition engine | |
US7418940B1 (en) | Fuel injector spray pattern for direct injection spark ignition engines | |
JP2007092633A (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP4103754B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
EP1298294B1 (en) | Piston for a direct-injection spark-ignition engine and a direct-injection spark-ignition engine equipped with the piston | |
JP4186771B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP4211549B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP5115267B2 (ja) | 筒内直接噴射火花点火式内燃機関 | |
JP4238760B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP4085944B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP4392598B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP4232201B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP2005273552A (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP2001271650A (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP4434119B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP2005098117A (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP3948225B2 (ja) | 筒内直接噴射式内燃機関 | |
EP1517017A1 (en) | Spark-ignition direct-injection engine | |
JP2007177740A (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP2003106186A (ja) | 火花点火式直噴エンジンの制御装置 | |
JP2005256629A (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP2005220768A (ja) | 筒内直噴エンジンの燃焼方法 | |
JP3835289B2 (ja) | 火花点火式直噴エンジン | |
JP2003106187A (ja) | 火花点火式直噴エンジンの制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061101 |
|
A762 | Written abandonment of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762 Effective date: 20070705 |