JP2005272558A - 粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘着シートは、基材と前記基材の少なくとも片方の面に形成された粘着剤層とを含み、
(a)前記基材のヤング率が20〜110MPaであり、
(b)前記粘着シート全体を或る一方向に200mm/minの速度で徐々に伸張させた場合に、10%伸び状態での応力と40%伸び状態での応力との伸長応力の変化率が−50%〜+60%であり、かつ、
(c)前記粘着シート全体を或る一方向に40%まで伸長させ、その状態で伸張を停止してから3分間経過後の応力緩和率が30%以上である。
【選択図】図3
Description
一方、自動車の塗装鋼板の表面は、平坦面のみではなく、三次凹曲面や三次凸曲面などが存在し、例えば、帯状の溝や突起などが設けられている。特に、耐チッピングシートを貼着する部位には、細い帯状溝や帯状突起が比較的多く設けられている。すなわち、チッピングとは、自動車の走行時に、路面上の小石や小物体が車輪によって跳ね上げられて車体に衝突し、車体塗装面を損傷させる現象であり、特に、寒冷地において、降雪時や凍結した道路の安全走行用に散布される砂、砂利、又は岩塩などによるチッピングは、車体塗装面を著しく損傷させる。こうしたチッピングは、上塗層、中塗層、又は下塗層の剥離や、素地金属の錆の原因になるため、自動車車体のサイドシル、ドアの下部、フロントフェンダやリアフェンダーのホイールアーチ部の下部などには、耐チッピング性塗膜を設けたり、耐チッピング粘着シートの貼着が行われている。こうした部位には、車体の構造上やデザイン上から、多くの細い帯状溝や帯状突起が設けられている。
また、図2(a)に示すように、最初の工程で、車体1の表面の帯状溝2をまたいで粘着テープ10を貼着しておいてから、次の工程で、帯状溝2の内側表面2aと接触していない中間部10bを作業員が指で押し込んで、図2(b)に示すように、中間部10bを内側表面2aに貼着させる作業も多用されている。しかしながら、こうした場合でも、粘着力が不足したり、基材の剛性が高いと、粘着処理後に図2(c)に示すように、粘着テープ10の中間部10bが帯状溝2の内側表面2aから剥離して浮き上がり、美観を損ねるので苦情の対象になる。
(a)前記基材のヤング率が20〜110MPaであり、
(b)前記粘着シート全体を或る一方向に200mm/minの速度で徐々に伸張させた場合に、10%伸び状態での応力と40%伸び状態での応力との伸長応力の変化率が−50%〜+60%であり、かつ、
(c)前記粘着シート全体を或る一方向に40%伸び状態まで伸長させ、その状態で伸張を停止してから3分間経過後の応力緩和率が30%以上である
ことを特徴とする粘着シートによって解決することができる。
本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、前記基材が、
(1)ヤング率が500MPa以上の樹脂からなる硬質層少なくとも1層と
(2)ヤング率が50MPa以下のポリウレタン樹脂からなる軟質層少なくとも1層と
を含む。
更に、本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、前記硬質層に属する個々の層におけるヤング率と厚さとの積を、前記硬質層に属する全部の層について合計した和が2000N/m以上である。
更に、本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、前記基材全体の厚さ(Tw)に対して、前記軟質層に属する個々の層の厚さの合計(Ts)の比(Ts/Tw)が、1/2以上である。
更に、本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、前記硬質層に属する層として、表面に設けた汚染防止コート層を含む。
更に、本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、前記硬質層に属する個々の層の厚さの合計が、60μm以下である。
更に、本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、前記軟質層に属する個々の層の厚さの合計が、50μm以上である。
更に、本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、自動車の塗装鋼板表面への貼着用である。
更に、本発明の粘着シートの別の好ましい態様においては、耐チッピングシート、マーキングシート、又は表面保護シートである。
U=〔(SH−SB)/SB〕×100 (1)
から計算される変化率(U)が、+60%以下であることが必要であり、+50%以下であることが好ましく、+45%以下であることがより好ましい。
U=〔(SL−SB)/SB〕×100 (2)
から計算される変化率(U)が、−50%以上であることが必要であり、−30%以上であることが好ましく、−10%以上であることがより好ましい。
〔(SH−SR)/SH〕×100
すなわち、応力緩和率が30%以上であり、好ましくは40%以上であり、より好ましくは45%以上である。本発明による粘着シートが、例えば、図3の曲線S3と同様の軌跡を示す場合も、同様に計算した応力緩和率が30%以上であり、好ましくは40%以上であり、より好ましくは45%以上である。前記の応力緩和率が30%未満であると、三次凹曲面に貼付した場合に、浮きやトンネリングの原因となる。
(1)ヤング率が500MPa以上の樹脂からなる硬質層少なくとも1層と
(2)ヤング率が50MPa以下のポリウレタンからなる軟質層少なくとも1層と
を含むことが好ましい。
(Yh1×Th1)+(Yh2×Th2)+・・・+(Yhn×Thn)≧2000(N/m) (3)
(式中、Yh1は第1硬質層のヤング率であり、Yh2は第2硬質層のヤング率であり、Yhnは第n硬質層のヤング率であり、Th1は第1硬質層の厚さであり、Th2は第2硬質層の厚さであり、そしてThnは第n硬質層の厚さである)
を満足することが好ましい。前記の和が2000N/m未満になると、ヤング率が低下し、粘着シートの腰が不十分となり、貼付作業性に劣るだけでなく、見かけの粘着力が低下し、浮きが発生することがある。また、前記の和が30000N/mを超えると、三次凹曲面への追従性が悪くなり、浮きが発生することがある。
(Ys1×Ts1)+(Ys2×Ts2)+・・・+(Ysn×Tsn)≦15000(N/m) (4)
(式中、Ys1は第1軟質層のヤング率であり、Ys2は第2軟質層のヤング率であり、Ysnは第n軟質層のヤング率であり、Ts1は第1軟質層の厚さであり、Ts2は第2軟質層の厚さであり、そしてTsnは第n軟質層の厚さである)
を満足することが好ましい。前記の和が15000N/mを超えると、基材全体のヤング率が高くなり、三次凹曲面への追従性が低下し、浮きが発生することがある。
本発明の粘着シートにおける基材の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは51〜500μm、より好ましくは100〜350μmである、
本発明の粘着シートにおける粘着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは25〜200μm、より好ましくは30〜100μmである。
剥離シートとしては、当業界において公知の任意のシートを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリアクリレートなどの各種樹脂からなるフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、又はグラシン紙等の各種紙材を支持体とし、この支持体の粘着剤層との接合面に、必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。この場合、剥離処理の代表例としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、又はフッ素系樹脂等の剥離剤からなる剥離剤層の塗布や形成を挙げることができる。剥離シートの厚みは、特に制限されず、適宜選定すればよい。また、基材の片面に剥離処方を行い、その反対面に粘着加工を施して、粘着面と剥離処方面を密着させたロールタイプとすることもできる。
本発明の粘着シートが剥離シートを伴う場合、その剥離シートの厚みは、10μm〜300μmであることが好ましい。
厚さ7μmのポリカーボネート系ポリウレタン(ヤング率=1250MPa)と厚さ293μmのポリエステル系ポリウレタン(ヤング率=15MPa)とからなる基材のポリエステル系ポリウレタン表面に、プライマーとしてポリカーボネート系ポリウレタン(ヤング率=55MPa)をマイクログラビア方式で塗布厚が1μmとなるよう塗布した。プライマー塗布後の前記基材全体のヤング率は、50MPaであった。
続いて、モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルアクリレート/酢酸ビニル/アクリル酸(重量成分比=49.4/24.7/24.7/1.2)から形成された共重合体(重量平均分子量=約65万)100重量部に、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)0.2重量部(乾燥後の重量比)を添加することにより得られた粘着剤を、乾燥後の厚さが60μmとなるように、剥離紙上に塗工し、転写塗工によって前記プライマー層の上に転写することによって粘着シートとした。
基材を、厚さ15μmのポリカーボネート系ポリウレタン(ヤング率=1250MPa)と厚さ285μmのポリエステル系ポリウレタン(ヤング率=15MPa)とからなる基材としたこと以外は、前記実施例1に記載の操作を繰り返すことにより、粘着シートを作成した。プライマー塗布後の前記基材全体のヤング率は、80MPaであった。
基材を、厚さ20μmのポリカーボネート系ポリウレタン(ヤング率=1250MPa)と厚さ280μmのポリエステル系ポリウレタン(ヤング率=15MPa)とからなる基材としたこと以外は、前記実施例1に記載の操作を繰り返すことにより、粘着シートを作成した。プライマー塗布後の前記基材全体のヤング率は、100MPaであった。
粘着剤を、モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸/無水マレイン酸(重量成分比=75/25/5/5)から形成された共重合体(重量平均分子量=約65万)100重量部に、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)0.2重量部(乾燥後の重量比)を添加することにより得られた粘着剤としたこと以外は実施例1と同様にして粘着シートを作成した。
基材を、厚さ300μmのポリエステル系ポリウレタン(ヤング率=15MPa)としたこと以外は、前記実施例1に記載の操作を繰り返すことにより、粘着シートを作成した。プライマー塗布後の前記基材全体のヤング率は、15MPaであった。
基材を、厚さ300μmのポリエステル系ポリウレタン(ヤング率=45MPa)としたこと以外は、前記実施例1に記載の操作を繰り返すことにより、粘着シートを作成した。プライマー塗布後の前記基材全体のヤング率は、45MPaであった。
基材を、厚さ7μmのポリカーボネート系ポリウレタン(ヤング率=1250MPa)と厚さ293μmのポリエステル系ポリウレタン(ヤング率=80MPa)とからなる基材としたこと以外は、前記実施例1に記載の操作を繰り返すことにより、粘着シートを作成した。プライマー塗布後の前記基材全体のヤング率は、120MPaであった。
(1)ヤング率
試験速度200mm/分で、JIS K−7127に準拠して測定した。なお、測定方向は、製膜時の樹脂の流れ方向とした。
測定対象となる粘着シートから測定用サンプル(幅=10mm;長さ=100mm)を切り出し、自動車用耐酸性雨クリヤー塗料(KINO 1200TW:関西ペイント)が施してある耐酸性雨塗装鋼板に3kgロールを1往復させることによって圧着させる。圧着後、23℃及び50%RHの環境下に168時間保管した後、万能型引張り試験機(TENSILON/RTA−100:株式会社オリエンテック)を用いて、剥離速度200mm/分で粘着力(N/10mm)を測定した。
測定対象となる粘着シートから測定用サンプル(幅=10mm;長さ=80mm)を切り出し、プライマー(LX229G:リンテック社製)を予め塗布してあるメラミン塗装板に、圧着圧3kgで貼着面積が10mm角となるように、前記測定用サンプルを貼着し、延び防止用のアルミニウムで裏打ちし、経時的にμmオーダーでずれ量を測定することのできる保持力試験機を用い、40℃環境下、9.8N負荷で保持力を測定し、1000秒後のずれ量(μm)あるいは落下までの時間を測定した。
測定対象となる粘着シートから測定用サンプル(幅=10mm;長さ=150mm)を切り出し、チャック間の距離が100mmになるように、前記測定用サンプルを引張り試験機(TENSILON RTA−100:オリエンテック社製)に固定した(固定用部分の長さ合計=45mm)。続いて、速度200mm/分で引っ張りながら、応力変化を記録し続け、チャック間距離が140mmとなって40%伸ばした状態(最初の長さの1.4倍の伸張状態)としてから停止し、その停止から3分経過後の負荷(残留応力)をN単位で測定した。
なお、耐チッピング粘着シートは、自動車のリアフェンダーに多用されている。リアフェンダーには、図4に示すように、車体1に溝状の凹部2が設けられており、リアフェンダーの三次凹面のR部の角度(θ)は、一般に90°〜120°の範囲内である。R部の角度(θ)が120°の場合の伸張率は、およそ15%(2/√3)であり、R部の角度(θ)が90°の場合の伸張率は、およそ40%(2/√2)であるので、最大伸張率と考えられる90°の場合を想定し、40%伸張後の応力緩和を測定した。
測定対象となる粘着シートから測定用サンプル(幅=15mm;長さ=70mm)を切り出し、自動車のリアフェンダーの溝状の凹部に貼着する実験を行った。すなわち、図4に示すように、車体1の表面に、溝状凹部2(θ=120°)をまたいで測定用サンプル10の両端部10a,10aを貼着させ、測定用サンプル10の中間部10bで、溝状凹部2の上部を閉鎖した。この際、測定用サンプル10の中間部10bは、溝状凹部2の内部表面とは接触していない。続いて、測定用サンプル10の中間部10bを矢印Aの方向に、溝状凹部2の内部表面に向かって指で押し込むと、測定用サンプル10の両端部10a,10aは、車体1の表面に固定されているので、中間部10bが延伸され、図5に示すように、溝状凹部2の内部表面に貼着した。この際、中間部10bを指で押し込み、溝状凹部2の内部表面に確実に貼着させた。この貼着から、3日間経過した後に、溝状凹部2の内部表面と、測定用サンプル10の中間部10bとの接着の程度を目視によって2段階で評価した。すなわち、浮きやトンネリングが発生していないものは○、浮きやトンネリングが発生したものは×として評価した。
測定対象となる粘着シートから測定用サンプル(幅=15mm;長さ=70mm)を切り出し、自動車のリアフェンダーの帯状の凸部に貼着する実験を行った。すなわち、図6に示すように、車体1の表面に設けられている帯状凸部3(θ=120°)に測定用サンプル10を貼着させた。この際、測定用サンプル10の先端部10tが帯状凸部3のふもと3aに達するように貼着させた。この貼着から、3日間経過した後に、帯状凸部3の表面と、測定用サンプル10の先端部10tとの接着の程度を目視によって2段階で評価した。すなわち、浮きやトンネリングが発生していないものは○、浮きやトンネリングが発生したものは×として評価した。
3・・・帯状凸部;3a・・・凸部のふもと;
2a・・・帯状溝の内側表面;
10・・・粘着テープ(測定用サンプル);
10a・・・測定用サンプルの両端部;
10b・・・粘着テープ(測定用サンプル)の中間部;
10t・・・粘着テープの先端部。
Claims (12)
- 基材と前記基材の少なくとも片方の面に形成された粘着剤層とを含む粘着シートであって、
(a)前記基材のヤング率が20〜110MPaであり、
(b)前記粘着シート全体を或る一方向に200mm/minの速度で徐々に伸張させた場合に、10%伸び状態での応力と40%伸び状態での応力との伸長応力の変化率が−50%〜+60%であり、かつ、
(c)前記粘着シート全体を或る一方向に40%伸び状態まで伸長させ、その状態で伸張を停止してから3分間経過後の応力緩和率が30%以上である
ことを特徴とする粘着シート。 - 前記粘着シート全体を或る一方向に200mm/minの速度で徐々に伸張させた場合に、応力ヒズミ曲線の変曲点が、1%伸張点と15%伸張点との間に存在する、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記基材が、
(1)ヤング率が500MPa以上の樹脂からなる硬質層少なくとも1層と
(2)ヤング率が50MPa以下のポリウレタン樹脂からなる軟質層少なくとも1層と
を含む、請求項1又は2に記載の粘着シート。 - 前記硬質層に属する個々の層におけるヤング率と厚さとの積を、前記硬質層に属する全部の層について合計した和が2000N/m以上である、請求項3に記載の粘着シート。
- 前記基材全体の厚さ(Tw)に対して、前記硬質層に属する個々の層の厚さの合計(Th)の比(Th/Tw)が、1/5以下である、請求項3又は4に記載の粘着シート。
- 前記基材全体の厚さ(Tw)に対して、前記軟質層に属する個々の層の厚さの合計(Ts)の比(Ts/Tw)が、1/2以上である、請求項3〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記硬質層に属する層として、表面に設けた汚染防止コート層を含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記硬質層に属する個々の層の厚さの合計が、60μm以下である、請求項3〜7のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記軟質層に属する個々の層の厚さの合計が、50μm以上である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層の粘着剤が、アクリル酸エステル系モノマーと、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーと、重合性酸無水物モノマーとの共重合体を含有する粘着剤からなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 自動車の塗装鋼板表面への貼着用である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 耐チッピングシート、マーキングシート、又は表面保護シートである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の粘着シート。
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