JP2005243849A - 半導体レーザ装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 第1導電型の電流狭窄層がエッチングされることを防止することにより組成比、不純物濃度、膜厚などの設計の自由度を増してより特性を良好にする。
【解決手段】 半導体基板2上に、第1導電型のクラッド層3と、活性層4と、第2導電型の第1クラッド層5と、エッチングストップ層6とを順次積層し、エッチングストップ層上の一部に、リッジストライプ構造9を形成し、リッジストライプ構造以外のエッチングストップ層上に、リッジストライプ構造を挟むように第1導電型の電流狭窄層101 、103 と第1導電型のキャップ層102 、104 とを形成し、更に第2導電型のコンタクト層11を形成してなる半導体レーザ装置において、リッジストライプ構造の側面上に、第1導電型の電流狭窄層と第1導電型のキャップ層とを、第1導電型のキャップ層102 が第1導電型の電流狭窄層101 の表面を保護するように覆った状態で形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 半導体基板2上に、第1導電型のクラッド層3と、活性層4と、第2導電型の第1クラッド層5と、エッチングストップ層6とを順次積層し、エッチングストップ層上の一部に、リッジストライプ構造9を形成し、リッジストライプ構造以外のエッチングストップ層上に、リッジストライプ構造を挟むように第1導電型の電流狭窄層101 、103 と第1導電型のキャップ層102 、104 とを形成し、更に第2導電型のコンタクト層11を形成してなる半導体レーザ装置において、リッジストライプ構造の側面上に、第1導電型の電流狭窄層と第1導電型のキャップ層とを、第1導電型のキャップ層102 が第1導電型の電流狭窄層101 の表面を保護するように覆った状態で形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、リッジ導波路型の半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
一般に、半導体レーザ装置としては、例えば埋め込み型の装置やリッジ導波路型の装置が知られている。上記リッジ導波路型の半導体レーザ装置は、その製造工程において活性層を大気中に露出させることがないため、特に酸化に対してレーザ特性が劣化し易いGaAs(化合物半導体)系レーザ装置に対しては信頼性の点で優れた構造である(例えば特許文献1及び2)。
図4は従来のリッジ導波路型の半導体レーザ装置の一例を示す断面図である。従来のリッジ導波路型の半導体レーザ装置1は、以下に示す構造をしている。ここではn型を第1導電型とし、p型を第2導電型として説明する。例えばn−GaAs基板よりなる第1導電型の半導体基板2上には、n−Al0.5 Ga0.5 Asよりなる厚さ1.5μmの第1導電型のクラッド層3(Siドープ、濃度:1×1018cm−3)、厚さ0.07μmのノンドープのAl0.13Ga0.87Asよりなる活性層4、p−Al0.5 Ga0.5 Asよりなる厚さ0.3μmの第2導電型の第1クラッド層5(Znドープ、濃度:10×18cm−3)、p−Al0.7 Ga0.3 Asよりなる厚さ0.03μmの第2導電型のエッチングストップ層6(Znドープ、濃度:1×1018cm−3)が順次積層されている。上記エッチングストップ層6上に、n−AlGaAsよりなる厚さ0.7μmの第1導電型の電流狭窄層101 及びn−GaAsよりなる厚さ0.5μmの第1導電型のキャップ層102 により挟まれたp−Al0.5 Ga0.5 Asよりなる厚さ0.7μmの第2導電型の第2クラッド層7(Znドープ、濃度:1×1018cm−3)を設け、この第2クラッド層7上にp−GaAsよりなる厚さ0.3μmの第2導電型のキャップ層8(Znドープ、濃度:5×1019cm−3)を積層してなるリッジストライプ構造9が形成されている。
更に、このリッジストライプ構造9及び上記キャップ層102 の上部には、p−GaAsよりなる第2導電型のコンタクト層11が積層され、このコンタクト層11上にp型のオーミック電極12が形成されている。尚、これらの積層方向と逆方向の半導体基板2側には、n型のオーミック電極13が形成されている。これらのp型のオーミック電極12及びn型のオーミック電極13側からそれぞれ電流を注入し、発振閾値以上になるとレーザ発振が生じて、活性層4からレーザ光が放出される。尚、図4中の参照符号には導電型が併記されている。また閾値電流などのレーザ特性の向上のために活性層4として量子井戸構造を用いる場合もある。
次に、上記したリッジ導波路型の半導体レーザ装置1の製造方法について説明する。図5は従来のリッジ導波路型の半導体レーザ装置1の製造工程図である。
まず、図5(A)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により基板としての例えば半導体基板2上に、例えば厚さ1.5μmの第1導電型のクラッド層3、例えば厚さ0.07μmの活性層4、例えば厚さ0.3μmの第2導電型の第1クラッド層5、例えば厚さ0.03μmのエッチングストップ層6、例えば厚さ0.7μmの第2導電型の第2クラッド層7、例えば厚さ0.3μmのキャップ層8を順次積層する。ここで上記半導体基板2としては例えば第1導電型であるn型のGaAs化合物半導体基板が用いられ、その表面の結晶面は(100)となっている。
まず、図5(A)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により基板としての例えば半導体基板2上に、例えば厚さ1.5μmの第1導電型のクラッド層3、例えば厚さ0.07μmの活性層4、例えば厚さ0.3μmの第2導電型の第1クラッド層5、例えば厚さ0.03μmのエッチングストップ層6、例えば厚さ0.7μmの第2導電型の第2クラッド層7、例えば厚さ0.3μmのキャップ層8を順次積層する。ここで上記半導体基板2としては例えば第1導電型であるn型のGaAs化合物半導体基板が用いられ、その表面の結晶面は(100)となっている。
次に、図5(B)に示すように、このキャップ層8の上に、例えばスパッタ法によりSiO2 絶縁膜(図示せず)を形成した後、図示しないフォトレジストを塗布して、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法により、上記SiO2 絶縁膜をパターン化してストライプ状のSiO2 マスク層14を形成する。
次に、図5(C)に示すように、上記SiO2 マスク層14以外の領域の上記キャップ層8及び上記第2クラッド層7を、例えばICP(Induction Coupled Plasma)エッチングにより徐々に除去し、第2クラッド層7が所定の厚さだけ残ったところでエッチングを停止する。次に、図5(D)に示すように、上記残った第2クラッド層7を、例えば濃度が50wtの酒石酸と、濃度が31%wtの過酸化水素水とを5:1の割合で混合してなる酒石酸水−過酸化水素水混合液により除去し、これによりリッジストライプ構造9を形成する。ここで上記エッチングストップ層6に対する酒石酸のエッチングレートは、上記第2クラッド層7よりも2桁程度小さく、且つエッチング速度が遅いので、上記エッチングストップ層6でエッチングを停止することができる。
次に、図5(C)に示すように、上記SiO2 マスク層14以外の領域の上記キャップ層8及び上記第2クラッド層7を、例えばICP(Induction Coupled Plasma)エッチングにより徐々に除去し、第2クラッド層7が所定の厚さだけ残ったところでエッチングを停止する。次に、図5(D)に示すように、上記残った第2クラッド層7を、例えば濃度が50wtの酒石酸と、濃度が31%wtの過酸化水素水とを5:1の割合で混合してなる酒石酸水−過酸化水素水混合液により除去し、これによりリッジストライプ構造9を形成する。ここで上記エッチングストップ層6に対する酒石酸のエッチングレートは、上記第2クラッド層7よりも2桁程度小さく、且つエッチング速度が遅いので、上記エッチングストップ層6でエッチングを停止することができる。
次に、図5(E)に示すように、例えばMOCVD法により第2回目の成長を行い、上記SiO2 マスク層14以外の上記エッチングストップ層6上及びリッジストライプ構造9の両側面にn−Al0.7 Ga0.3 Asよりなる第1導電型の電流狭窄層101 及びn−GaAsよりなる第1導電型のキャップ層102 を選択成長させて積層する。すなわち、この成膜の際、成膜条件を厳しく管理することによりSiO2 マスク層14の表面には膜が堆積しないような選択成膜を行う。
その後、図5(F)に示すように、エッチングにより上記SiO2 マスク層14を除去し、更に、MOCVD法により、第3回目の成長を行い、リッジストライプ構造9の第2導電型のキャップ層8上及び第1導電型のキャップ層102 上にp−GaAsよりなる第2導電型のコンタクト層11を積層する。この後、上記コンタクト層11上にp型のオーミック電極12を形成して、半導体基板2に前記した積層方向と逆方向にn型のオーミック電極13を形成して、図4に示したリッジ導波路型の半導体レーザ装置1を得る。
その後、図5(F)に示すように、エッチングにより上記SiO2 マスク層14を除去し、更に、MOCVD法により、第3回目の成長を行い、リッジストライプ構造9の第2導電型のキャップ層8上及び第1導電型のキャップ層102 上にp−GaAsよりなる第2導電型のコンタクト層11を積層する。この後、上記コンタクト層11上にp型のオーミック電極12を形成して、半導体基板2に前記した積層方向と逆方向にn型のオーミック電極13を形成して、図4に示したリッジ導波路型の半導体レーザ装置1を得る。
ところで、上述したような従来の製造方法は、リッジストライプ構造9上をSiO2 マスク層14で被覆してn型の電流狭窄層101 及びn型のキャップ層102 を成長することにより、SiO2 マスク層14上に電流狭窄層101 やキャップ層102 は成長せずにエッチングストップ層6上のみに成長するという、いわゆる選択成長法と称される方法である。この方法によれば、セルフアライメントで所望の場所のみに電流狭窄層101 やキャップ層102 の成長が行えるため、リッジストライプ構造9との電気的導通をとるために行われるSiO2 マスク層14の除去工程においてアライメント(マスク合わせ)が不要となり、工程が簡略化できるという利点がある。しかしながら、SiO2 マスク層14上に電流狭窄層101 やキャップ層102 の成長が生じないような条件の範囲は極めて狭く、例えば電流狭窄層101 の組成比(例えばAl組成比)や不純物濃度や電流狭窄層の厚みが限定されてしまい、半導体レーザ装置の設計上、電流狭窄層101 やキャップ層102 の選択の自由度が低くなってしまう、という問題点があった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、組成比、不純物濃度、膜厚などの設計の自由度を増してより特性を良好にできる半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、組成比、不純物濃度、膜厚などの設計の自由度を増してより特性を良好にできる半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、基板上に、第1導電型のクラッド層と、活性層と、第2導電型の第1クラッド層と、エッチングストップ層とを順次積層し、前記エッチングストップ層上の一部に、第2導電型の第2クラッド層と第2導電型のキャップ層との積層構造よりなるリッジストライプ構造を形成し、前記リッジストライプ構造以外の前記エッチングストップ層上に、前記リッジストライプ構造を挟むように第1導電型の電流狭窄層と第1導電型のキャップ層とを形成し、前記第1導電型のキャップ層上と前記リッジストライプ構造上に第2導電型のコンタクト層を形成してなる半導体レーザ装置において、前記リッジストライプ構造の側面上に、前記第1導電型の電流狭窄層と前記第1導電型のキャップ層とを、前記第1導電型のキャップ層が前記第1導電型の電流狭窄層の表面を保護するように覆った状態で形成するように構成したことを特徴とする半導体レーザ装置である。
請求項2に係る発明は、基板上に、第1導電型のクラッド層、活性層、第2導電型のクラッド層、第2導電型のキャップ層を順次積層し、前記複数の層を部分的にエッチング加工してリッジストライプ構造を形成し、前記リッジストライプ構造の側部及び上面に少なくとも第1導電型の電流狭窄層を含む半導体層を形成してなる半導体レーザ装置の製造方法であって、 前記リッジストライプ構造の上面に堆積した前記第1導電型の電流狭窄層をエッチング除去することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法である。
この場合、例えば請求項3に規定するように、前記第1導電型の電流狭窄層を積層した後、第1導電型のキャップ層を積層し、前記リッジストライプ構造の上面に成長した前記第1導電型の電流狭窄層の側面上に被覆された第1導電型のキャップ層をエッチング除去する工程を含む。
また例えば請求項4に規定するように、前記第1導電型の電流狭窄層の側面上に被覆された前記第1導電型のキャップ層を、少なくとも前記リッジストライプ構造の上面より下部(基板側)を残してエッチング除去する。
また例えば請求項4に規定するように、前記第1導電型の電流狭窄層の側面上に被覆された前記第1導電型のキャップ層を、少なくとも前記リッジストライプ構造の上面より下部(基板側)を残してエッチング除去する。
本発明の半導体レーザ装置及びその製造方法によれば、リッジストライプ構造の側面上に、第1導電型の電流狭窄層と第1導電型のキャップ層とを、上記第1導電型のキャップ層が上記第1導電型の電流狭窄層の表面を保護するように覆った状態で形成し、エッチング時に上記第1導電型の電流狭窄層がエッチングされることを防止するようにしたので、電流狭窄層の組成比、濃度、膜厚等の設計の自由度を向上でき、特性を向上させることができる。
以下に、本発明に係る半導体レーザ装置及びその製造方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る半導体レーザ装置を示す拡大断面図、図2は本発明の半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す工程図、図3は半導体レーザ装置の好ましくない製造工程の一部を示す図である。図4及び図5に示す従来の半導体レーザ装置の構成部分と同一部分については同一の参照符号を付して説明する。
まず図1を参照して、本発明の半導体レーザ装置の構造について説明する。図1に示すように、この半導体レーザ装置20は、リッジストライプ構造9の側面上に、第1導電型のキャップ層102 により保護されるように覆われた状態で第1導電型の電流狭窄層101 が形成されている点を除き、図4に示す従来の半導体レーザ装置1と、その構成が同じである。
図1は本発明に係る半導体レーザ装置を示す拡大断面図、図2は本発明の半導体レーザ装置の製造方法の一例を示す工程図、図3は半導体レーザ装置の好ましくない製造工程の一部を示す図である。図4及び図5に示す従来の半導体レーザ装置の構成部分と同一部分については同一の参照符号を付して説明する。
まず図1を参照して、本発明の半導体レーザ装置の構造について説明する。図1に示すように、この半導体レーザ装置20は、リッジストライプ構造9の側面上に、第1導電型のキャップ層102 により保護されるように覆われた状態で第1導電型の電流狭窄層101 が形成されている点を除き、図4に示す従来の半導体レーザ装置1と、その構成が同じである。
すなわち、基板として用いる例えばn−GaAs基板よりなる第1導電型の半導体基板2上には、n−Al0.5 Ga0.5 Asよりなる厚さ1.5μmの第1導電型のクラッド層3(Siドープ、濃度:1×1018cm−3)、厚さ0.07μmのノンドープのAl0.13Ga0.87Asよりなる活性層4、p−Al0.5 Ga0.5 Asよりなる厚さ0.3μmの第2導電型の第1クラッド層5(Znドープ、濃度:10×18cm−3)、p−Al0.7 Ga0.3 Asよりなる厚さ0.03μmの第2導電型のエッチングストップ層6(Znドープ、濃度:1×1018cm−3)が順次積層されている。上記エッチングストップ層6上に、n−AlGaAsよりなる厚さ0.7μmの第1導電型の電流狭窄層101 及びn−GaAsよりなる厚さ0.5μmの第1導電型のキャップ層102 により挟まれたp−Al0.5 Ga0.5 Asよりなる厚さ0.7μmの第2導電型の第2クラッド層7(Znドープ、濃度:1×1018cm−3)を設け、この第2クラッド層7上にp−GaAsよりなる厚さ0.3μmの第2導電型のキャップ層8(Znドープ、濃度:5×1019cm−3)を積層してなるリッジストライプ構造9が形成されている。
ここで上記リッジストライプ構造9は、第1導電型のキャップ層102 の平坦面より図中において上方へ突出した形状になっている。そして、本発明の場合には、従来の半導体レーザ装置とは異なり、上記リッジストライプ構造9の突出した部分の側面上に、上記第1導電型の電流狭窄層101 と第1導電型のキャップ層102 とを、上記キャップ層102 が上記電流狭窄層101 の表面を保護するようにこれを完全に覆った状態で形成している。この構造により、後述するように、エッチング時にキャップ層102 が保護層として作用し、下層の電流狭窄層101 が削られることを防止している。
そして、このリッジストライプ構造9及び上記キャップ層102 の上部には、p−GaAsよりなる第2導電型のコンタクト層11が積層され、このコンタクト層11上にp型のオーミック電極12が形成されている。尚、これらの積層方向と逆方向の半導体基板2側には、n型のオーミック電極13が形成されている。これらのp型のオーミック電極12及びn型のオーミック電極13側からそれぞれ電流を注入し、発振閾値以上になるとレーザ発振が生じて、活性層4からレーザ光が放出される。尚、図1中の参照符号には導電型が併記されている。また閾値電流などのレーザ特性の向上のために活性層4として量子井戸構造を用いる場合もある。
そして、このリッジストライプ構造9及び上記キャップ層102 の上部には、p−GaAsよりなる第2導電型のコンタクト層11が積層され、このコンタクト層11上にp型のオーミック電極12が形成されている。尚、これらの積層方向と逆方向の半導体基板2側には、n型のオーミック電極13が形成されている。これらのp型のオーミック電極12及びn型のオーミック電極13側からそれぞれ電流を注入し、発振閾値以上になるとレーザ発振が生じて、活性層4からレーザ光が放出される。尚、図1中の参照符号には導電型が併記されている。また閾値電流などのレーザ特性の向上のために活性層4として量子井戸構造を用いる場合もある。
次に、上記したリッジ導波路型の半導体レーザ装置20の製造方法について説明する。従来装置の製造工程で用いた選択成長法が、リッジストライプ構造上にSiO2 層などを形成しておくことにより、その後のn型の電流狭窄層を成長する際に、リッジストライプ構造上(SiO2 層上)に結晶が成長しないという選択方法であるのに対して、本発明では、リッジストライプ構造上にSiO2 マスク層を形成せず、結晶(p型のキャップ層)を露出させたままn型の電流狭窄層を成長する。この場合、リッジストライプ構造はp型であり、電流狭窄層はn型であるため、リッジストライプ構造と電気的導通をとるためには、リッジストライプ構造上に堆積したn型の電流狭窄層を除去する必要があるので、ここではリッジストライプ構造上に非選択的に電流狭窄層を形成した後、リッジストライプ構造上に堆積した電流狭窄層のみを除去するようにしている。
この方法によれば、選択成長法と比べて広範な条件(組成比・不純物濃度・膜厚など)を選択することができるため、設計の自由度が増し、より良好な素子特性を得ることが可能となる。
この方法によれば、選択成長法と比べて広範な条件(組成比・不純物濃度・膜厚など)を選択することができるため、設計の自由度が増し、より良好な素子特性を得ることが可能となる。
まず、図2(A)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により半導体基板2上に、例えば厚さ1.5μmの第1導電型のクラッド層3、例えば厚さ0.07μmの活性層4、例えば厚さ0.3μmの第2導電型の第1クラッド層5、例えば厚さ0.03μmのエッチングストップ層6、例えば厚さ0.7μmの第2導電型の第2クラッド層7、例えば厚さ0.3μmのキャップ層8を順次積層する。ここで上記半導体基板2としては例えば第1導電型であるn型のGaAs化合物半導体基板が用いられ、その表面の結晶面は(100)となっている。
次に、図2(B)に示すように、このキャップ層8の上に、フォトレジストを塗布して、フォトリソグラフィ法により、上記フォトレジストをパターン化してストライプ状のレジストマスク層15を形成する。ここで従来の装置の場合には、ここでSiO2 マスク層14を用いていたが、本発明ではレジストマスク層15を用いた点が異なっている点に注意されたい。
次に、図2(C)に示すように、上記レジストマスク層15以外の領域の上記キャップ層8及び上記第2クラッド層7を、例えばICP(Induction Coupled Plasma)エッチングにより徐々に除去し、第2クラッド層7が所定の厚さだけ残ったところでエッチングを停止する。次に、図2(D)に示すように、上記残った第2クラッド層7を、例えば濃度が50wtの酒石酸と、濃度が31%wtの過酸化水素水とを5:1の割合で混合してなる酒石酸水−過酸化水素水混合液により除去し、これによりリッジストライプ構造9を形成する。ここで上記エッチングストップ層6に対する酒石酸のエッチングレートは、上記第2クラッド層7よりも2桁程度小さく、且つエッチング速度が遅いので、上記エッチングストップ層6でエッチングを停止することができる。
次に、図2(C)に示すように、上記レジストマスク層15以外の領域の上記キャップ層8及び上記第2クラッド層7を、例えばICP(Induction Coupled Plasma)エッチングにより徐々に除去し、第2クラッド層7が所定の厚さだけ残ったところでエッチングを停止する。次に、図2(D)に示すように、上記残った第2クラッド層7を、例えば濃度が50wtの酒石酸と、濃度が31%wtの過酸化水素水とを5:1の割合で混合してなる酒石酸水−過酸化水素水混合液により除去し、これによりリッジストライプ構造9を形成する。ここで上記エッチングストップ層6に対する酒石酸のエッチングレートは、上記第2クラッド層7よりも2桁程度小さく、且つエッチング速度が遅いので、上記エッチングストップ層6でエッチングを停止することができる。
次に、リッジストライプ構造9上のレジストマスク層15を除去る。そして図2(E)に示すように、例えばMOCVD法により第2回目の成長を行い、上記エッチングストップ層6上及びリッジストライプ構造9の上面及び両側面にn−Al0.7 Ga0.3 Asよりなる第1導電型の電流狭窄層101 、103 及びn−GaAsよりなる第1導電型のキャップ層102 、104 を順次成長させて積層させる。
この場合、ここでは従来方法のような選択成膜ではなく、露出面の略全面に対して成膜を行う全面成膜で行えばよく、従って、組成比、不純物、膜厚等の設計条件を自由に選択して定めることができる。ここでリッジストライプ構造9の上面に成長した電流狭窄層103 の側面上には、平坦部に成長したキャップ層102 の厚さよりも薄い厚さでキャップ層102 が被覆される(図中、A部で示される部分)。
この場合、ここでは従来方法のような選択成膜ではなく、露出面の略全面に対して成膜を行う全面成膜で行えばよく、従って、組成比、不純物、膜厚等の設計条件を自由に選択して定めることができる。ここでリッジストライプ構造9の上面に成長した電流狭窄層103 の側面上には、平坦部に成長したキャップ層102 の厚さよりも薄い厚さでキャップ層102 が被覆される(図中、A部で示される部分)。
次に、図2(F)に示すように、n型のキャップ層をエッチングし、上記電流狭窄層103 の側面上に被覆された膜を除去する。このエッチング液としては例えばリン酸−過酸化水素水水溶液を用いる。このとき、リッジストライプ構造9の上面(p型のキャップ層8の上面)より下部(基板側)にあるn型のキャップ層102 を残しておく(図中、B部で示される部分)。
これにより、リッジストライプ構造9の側面に堆積したn型の電流狭窄層101 の表面がn型のキャップ層102 により覆われるようにカバーされた状態にし、これを保護できるようにしておく。この場合、n型の電流狭窄層103 の側面上に被覆されたn型のキャップ層102 (A部参照)は、リッジストライプ構造9の上面より下部に堆積したn型のキャップ層102 よりも薄く成長しているため、エッチングの終点はエッチング時間を管理することで上記したようにエッチングすることが可能である。また、このときn型の電流狭窄層103 の上面に堆積したn型のキャップ層104 は、完全にエッチング除去されなくてもかまわない。なぜなら、後述する工程でその支持土台を失って除去されるからである。
これにより、リッジストライプ構造9の側面に堆積したn型の電流狭窄層101 の表面がn型のキャップ層102 により覆われるようにカバーされた状態にし、これを保護できるようにしておく。この場合、n型の電流狭窄層103 の側面上に被覆されたn型のキャップ層102 (A部参照)は、リッジストライプ構造9の上面より下部に堆積したn型のキャップ層102 よりも薄く成長しているため、エッチングの終点はエッチング時間を管理することで上記したようにエッチングすることが可能である。また、このときn型の電流狭窄層103 の上面に堆積したn型のキャップ層104 は、完全にエッチング除去されなくてもかまわない。なぜなら、後述する工程でその支持土台を失って除去されるからである。
次に、図2(G)に示すように、リッジストライプ構造9の上面に成長したn型の電流狭窄層103 を、湿式エッチングにより除去する。このとき、例えばフッ酸水溶液、フッ酸−フッ化アンモニウム溶液などのn型の電流狭窄層103 とn型のキャップ層104 のエッチング選択比が十分にとれるエッチング液を用いる。それにより、リッジストライプ構造9の上面に堆積したn型の電流狭窄層103 が除去されると同時に、その上に堆積したn型のキャップ層104 は、支持土台を失うことで除去される。また、リッジストライプ構造9以外の部分に形成されたn型の電流狭窄層101 については、n型のキャップ層102 がエッチング液に対して保護膜となっているため、エッチングされずに残ることになる。
また、n型の電流狭窄層101 、103 とp型のキャップ層8のエッチング選択比が十分にとれるエッチング液を用いることで、p型のキャップ層8のエッチングによる変形が防止できる。
ここでもし仮に、図2(F)に示すように形成すべきところを、過って図3(A)に示すように過度にエッチングしてしまうと、すなわち、リッジストライプ構造9の上面(p型キャップ層8の上面)より下部(基板側)にあるn型のキャップ層を除去してしまうと(図3(A))、次の工程においてn型の電流狭窄層103 をエッチング除去する際に、リッジストライプ構造9の側部に形成されているn型の電流狭窄層101 にエッチング進行し、空孔(ボイド)32が生じるので好ましくない。
ここでもし仮に、図2(F)に示すように形成すべきところを、過って図3(A)に示すように過度にエッチングしてしまうと、すなわち、リッジストライプ構造9の上面(p型キャップ層8の上面)より下部(基板側)にあるn型のキャップ層を除去してしまうと(図3(A))、次の工程においてn型の電流狭窄層103 をエッチング除去する際に、リッジストライプ構造9の側部に形成されているn型の電流狭窄層101 にエッチング進行し、空孔(ボイド)32が生じるので好ましくない。
その後、図2(H)に示すように、更に、MOCVD法により、第3回目の成長を行い、リッジストライプ構造9の第2導電型のキャップ層8上及び第1導電型のキャップ層102 上にp−GaAsよりなる第2導電型のコンタクト層11を積層する。この後、上記コンタクト層11上にp型のオーミック電極12を形成して、半導体基板2に前記した積層方向と逆方向にn型のオーミック電極13を形成して、図1に示したリッジ導波路型の半導体レーザ装置20を得る。
以上のように、本発明装置によれば、選択成長法と同様に製造方法の簡略化が図れるセルフアライメントの方法を維持しつつ、幅広い条件範囲で電流狭窄層の組成比・不純物濃度・膜厚などが選択できるため、素子設計の自由度が増し、より低損失で効率の良い半導体レーザ装置を形成することができる。
尚、上記実施例における、各層の厚さや成分組成比等は単に一例を示したに過ぎず、上述したものに限定されないのは勿論である。
以上のように、本発明装置によれば、選択成長法と同様に製造方法の簡略化が図れるセルフアライメントの方法を維持しつつ、幅広い条件範囲で電流狭窄層の組成比・不純物濃度・膜厚などが選択できるため、素子設計の自由度が増し、より低損失で効率の良い半導体レーザ装置を形成することができる。
尚、上記実施例における、各層の厚さや成分組成比等は単に一例を示したに過ぎず、上述したものに限定されないのは勿論である。
また、本実施例では化合物半導体(AlGaAs)中のAlとGaの原子量の比が種々示されているが、ここに示された原子量比に限定されないのは勿論である。また本実施例では、第1導電型としてn型を用い、第2導電型としてp型を用いたが、これらを逆の型とし、第1導電型としてp型を用い、第2導電型としてn型を用いるようにしてもよい。
2…半導体基板(基板)、3…クラッド層、4…活性層、5…第1クラッド層、6…エッチングストップ層、7…第2クラッド層、8…キャップ層、9…リッジストライプ構造、101 、103 …電流狭窄層、102 、104 …第1導電型のキャップ層、11…コンタクト層、12,13…オーミック電極、15…レジストマスク層、20…半導体レーザ装置。
Claims (4)
- 基板上に、第1導電型のクラッド層と、活性層と、第2導電型の第1クラッド層と、エッチングストップ層とを順次積層し、
前記エッチングストップ層上の一部に、第2導電型の第2クラッド層と第2導電型のキャップ層との積層構造よりなるリッジストライプ構造を形成し、
前記リッジストライプ構造以外の前記エッチングストップ層上に、前記リッジストライプ構造を挟むように第1導電型の電流狭窄層と第1導電型のキャップ層とを形成し、前記第1導電型のキャップ層上と前記リッジストライプ構造上に第2導電型のコンタクト層を形成してなる半導体レーザ装置において、
前記リッジストライプ構造の側面上に、前記第1導電型の電流狭窄層と前記第1導電型のキャップ層とを、前記第1導電型のキャップ層が前記第1導電型の電流狭窄層の表面を保護するように覆った状態で形成するように構成したことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 基板上に、第1導電型のクラッド層、活性層、第2導電型のクラッド層、第2導電型のキャップ層を順次積層し、前記複数の層を部分的にエッチング加工してリッジストライプ構造を形成し、前記リッジストライプ構造の側部及び上面に少なくとも第1導電型の電流狭窄層を含む半導体層を形成してなる半導体レーザ装置の製造方法であって、
前記リッジストライプ構造の上面に堆積した前記第1導電型の電流狭窄層をエッチング除去することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 前記第1導電型の電流狭窄層を積層した後、第1導電型のキャップ層を積層し、前記リッジストライプ構造の上面に成長した前記第1導電型の電流狭窄層の側面上に被覆された第1導電型のキャップ層をエッチング除去する工程を含むことを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ装置の製造方法。
- 前記第1導電型の電流狭窄層の側面上に被覆された前記第1導電型のキャップ層を、少なくとも前記リッジストライプ構造の上面より下部(基板側)を残してエッチング除去することを特徴とする請求項3記載の半導体レーザ装置の製造方法。
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JP2004050512A JP2005243849A (ja) | 2004-02-25 | 2004-02-25 | 半導体レーザ装置及びその製造方法 |
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