JP2005243495A - イオン交換膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性、加工性、寸法安定性、イオン伝導性にすぐれた、燃料電池用イオン交換膜を提供する。
【解決手段】高分子イオン交換膜として有用なスルホン酸基を導入したポリアリーレンエーテル系化合物、すなわち、電子吸引性の芳香環上にスルホン酸基を導入した3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン構造単位とともにベンゾニトリル構造単位を導入したポリアリーレンエーテルを合成することにより、燃料電池用のイオン交換膜として優れた特性を有するポリマーを提供するものである。

Description

本発明は、ガス透過係数の小さい燃料電池用のイオン交換膜に関するものである。
水素と酸素から電気を発生させる環境調和型のエネルギーデバイスとして、燃料電池に期待が集まっている。これに用いられるイオン交換膜は、プロトン交換膜としてイオン伝導率を有すると共に化学的、熱的、電気化学的および力学的に十分安定なものでなくてはならない。このため、長期にわたり使用できるものとしては、主に米デュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」を代表例とするパーフルオロカーボンスルホン酸膜が使用されてきた。しかしながら、パーフルオロカーボンスルホン酸膜の欠点の一つとして、ガス透過性が高く、特に水素ガスのクロスリークが発生しやすく、水素ガスがイオン交換膜を透過して酸素極側に流れ込むという問題を有している。そのため、燃料電池とした際の開回路電圧の低下や、副反応の進行を加速し、燃料電池の劣化を促進するという欠点を有する。さらには、膜のコストが高すぎることも燃料電池技術確立の障害になると指摘されている。
このような欠点を克服するものとして、非フッ素系芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入した高分子イオン交換膜が候補として考えられている。ポリマー骨格としては、耐熱性や化学的安定性を考慮すると、芳香族ポリアリーレンエーテルケトン類や芳香族ポリアリーレンエーテルスルホン類などの、芳香族ポリアリーレンエーテル化合物を有望な構造としてとらえることができ、ポリアリールエーテルスルホンをスルホン化したもの(例えば、非特許文献1参照。)、ポリエーテルエーテルケトンをスルホン化したもの(例えば、特許文献1参照。)、スルホン化ポリスチレン等が例示される。しかしながら、これらのポリマーのスルホン化反応により芳香環上に導入されたスルホン酸基は一般に熱により脱離しやすい傾向にある。これを改善する方法として電子吸引性芳香環上にスルホン酸基を導入したモノマーを用いて重合することで、熱的に安定性の高いスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系化合物が報告されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、モノマーの反応性が低いために、ポリマーを得るのに長時間の重合を必要とする問題が生じているし(例えば、非特許文献2参照)、さらにはポリマー間の相互作用が弱いため、膜自体が水分を吸収しやすいなど変形しやすいものであり、水素ガス透過を十分には抑制できていなかった。
特開平6−93114号公報(第15−17頁) 米国特許出願公開第2002/0091225号明細書(第1−2頁) ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス(Journal of Membrane Science)、(オランダ)1993年、83巻、P.211−220 エーシーエス・ポリマー・プレプリント(ACS Polymer Preprints)、(米国)、2000年、41(2)巻、P.1388−1389
本発明の目的は、燃料電池用のイオン交換膜において問題視されている、水素ガス透過が高いという問題を解決した、イオン交換膜を提供することにある。また本発明のイオン交換膜は、プロトン伝導性と水素ガス透過抑止性を両立した、優れたイオン交換膜である。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、芳香環上にスルホン酸を導入したモノマーとともに反応性の高い特定のモノマーを併用して合成したポリアリーレンエーテル系化合物により、プロトン伝導性に優れ、かつ水素ガス透過性が低く、電気化学的にも安定なポリアリーレンエーテル系化合物を見いだすに至った。
すなわち、本発明は、プロトン伝導性を有する燃料電池用のイオン交換膜であって、イオン交換膜の水素透過係数が0.2μl・μm/sec/cm2以下であることを特徴とする、水素ガス透過抑止性に優れるイオン交換膜である。
また、上記の範囲のイオン交換膜であって、イオン交換量が0.3〜3.5meq/gの範囲にあることを特徴とするプロトン伝導性とガス透過抑止性を両立したイオン交換膜である。
また、下記一般式(1)とともに一般式(2)で示される構成成分を含むことを特徴とするイオン交換膜である。
Figure 2005243495
ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
Figure 2005243495
ただし、Ar'は2価の芳香族基を示す。
さらに上記いずれかのイオン交換膜を使用したイオン交換膜・電極接合体である。
また、イオン交換膜・電極接合体を使用した燃料電池である。
本発明のスルホン酸基含有芳香族ポリアリーレンエーテル系ポリマーにより、イオン伝導性だけでなく、ガス透過性が低く、かつ電気化学的安定性に優れた、燃料電池用のイオン交換膜として際立った性能を示す材料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、芳香環上にスルホン酸を導入したポリアリーレンエーテル系化合物により、ガスバリア性、加工性、電気化学的安定性、イオン伝導性にすぐれた、特に燃料電池用イオン交換膜として有用な高分子材料を提供するものである。すなわち、電子吸引性の芳香環上にスルホン酸基を導入したモノマーとして、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン誘導体またはその類似化合物を用いてポリアリーレンエーテルを合成することにより、高温でもスルホン酸基が脱離しにくいポリマーを提供することができるとともに、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン誘導体またはその類似化合物とともに2,6−ジクロロベンゾニトリルまたはその類似化合物を併用していることにより、重合性の低い3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン誘導体またはその類似化合物を使用していても短時間で高重合度のポリアリーレンエーテル化合物が得られる特徴も有している。また本発明のポリマーにおいては、ポリマーの分子間相互作用が強く形態安定性に優れるため、水素ガス透過性を特に低く抑えることが可能となる。
すなわち、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、下記一般式(1)とともに一般式(2)で示される構成成分を含むことを特徴とする。
Figure 2005243495
ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
Figure 2005243495
ただし、Ar'は2価の芳香族基を示す。
上記一般式(2)で示される構成成分は、下記一般式(3)で示される構成成分であることが好ましい。
Figure 2005243495
ただし、Ar'は2価の芳香族基を示す。
また、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合部においては上記一般式(1)および一般式(2)で示される以外の構造単位が含まれていてもかまわない。このとき、上記一般式(1)または一般式(2)で示される以外の構造単位は本発明のスルホン酸を導入したポリアリーレンエーテルの50重量%以下であることが好ましい。50質量%以下とすることにより、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物の特性を活かした組成物とすることができる。
また本発明のスルホン化ポリアリーレンエーテル系化合物は、水素ガス透過係数が0.2μl・μm/sec/cm2以下にあることを特徴とする。ナフィオン膜の水素ガス透過係数よりも大幅にガス透過性が少なく、より良好な燃料電池用のイオン交換膜を提供できる。また、より好ましくは0.1μl・μm/sec/cm2以下である。0.2μl・μm/sec/cm2よりも水素ガス透過係数が大きい場合、ガスのクロスリークしやすいイオン交換膜となり、リークした水素ガスがカソード側(酸素極側)で酸化される際、燃料電池の劣化に結びつくラジカル種を発生するため好ましくない。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物としては、スルホン酸基含有量が0.3〜3.5meq/gの範囲にあることが好ましい。0.3meq/gよりも少ない場合には、イオン交換膜として使用したときに十分なイオン伝導性を示さない傾向があり、3.5meq/gよりも大きい場合にはイオン交換膜を高温高湿条件においた場合に膜膨潤が大きくなりすぎて使用に適さなくなる傾向がある。なお、スルホン酸基含有量はポリマー組成より計算することが可能である。より好ましくは1.0〜3.0meq/gである。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物としては、下記一般式(4)とともに一般式(5)で示される構成成分を含むものが特に好ましい。ビフェニレン構造を有していることにより高温高湿条件での寸法安定性に優れるとともに、フィルムの強靱性も高いものとなる。
Figure 2005243495
ただし、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
Figure 2005243495
また、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物からなるイオン交換膜の表面を、例えばナフィオンに代表されるフッ素系のイオン交換樹脂で被覆することにより、イオン交換樹脂の耐久性を特に向上させることも可能である。フッ素系イオン交換樹脂の優れた安定性と、ポリアリーレン系化合物の水素ガス透過抑止性のため、耐久性と発電効率に優れる燃料電池用イオン交換樹脂となる。なおフッ素系イオン交換樹脂の厚みとしては0.5〜50μmの範囲にあることが好ましく、0.5μmよりも薄いと耐久性向上に及ぼす効果が少なく、50μmより厚いと高コストの膜となる。またフッ素系イオン交換樹脂はスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系イオン交換樹脂の片面を覆っていても良いし、両面を覆っていても良く、特に限定されるものではない。なお上述のフッ素系イオン交換樹脂の厚みは、片面に対する厚み範囲を規定するものである。
さらに本発明の燃料電池用イオン交換膜においては、膜内に酸化防止剤を含んでいてもよく、より耐久性を向上することが可能である。なお酸化防止剤の種類や量に関しては、特に限定されるものではないが、ポリマーとの親和性の観点から、芳香族系の構造を分子内に含む酸化防止剤、例えばヒンダードフェノール系の酸化防止剤やヒンダードアミン系の酸化防止剤が良好に使用できる。また0.01〜10重量%の範囲で混在させた場合に特に良好であり、0.01重量%よりも少ないと酸化を防止する効果は少なく、一方10重量%よりも多いと、ポリマーの強度が低下するため、ハンドリング製に若干劣るという欠点を持つ。酸化防止剤の別の例としては、P2003−201403号公報等に記載の酸化防止剤なども挙げられる。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物は、下記一般式(6)および一般式(7)で表される化合物をモノマーとして含む芳香族求核置換反応により重合することができる。一般式(6)で表される化合物の具体例としては、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルケトン、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、およびそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったもの等が挙げられる。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。一般式(7)で表される化合物としては、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。
Figure 2005243495
Figure 2005243495
ただし、Yはスルホン基またはケトン基、Xは1価のカチオン種、Zは塩素またはフッ素を示す。本発明において、上記2,6−ジクロロベンゾニトリルおよび2,4−ジクロロベンゾニトリルは、異性体の関係にあり、いずれを用いたとしても良好なイオン伝導性、耐熱性、加工性および寸法安定性を達成することができる。その理由としては両モノマーとも反応性に優れるとともに、小さな繰り返し単位を構成することで分子全体の構造をより硬いものとしていると考えられている。
上述の芳香族求核置換反応において、上記一般式(6)、(7)で表される化合物とともに各種活性化ジフルオロ芳香族化合物やジクロロ芳香族化合物をモノマーとして併用することもできる。これらの化合物例としては、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロビフェニル等が挙げられるがこれらに制限されることなく、芳香族求核置換反応に活性のある他の芳香族ジハロゲン化合物、芳香族ジニトロ化合物、芳香族ジシアノ化合物なども使用することができる。
また、上述の一般式(1)で表される構成成分中のArおよび上述の一般式(2)で表される構成成分中のAr'は、一般には芳香族求核置換重合において上述の一般式(6)、(7)で表される化合物とともに使用される芳香族ジオール成分モノマーより導入される構造である。このような芳香族ジオールモノマーの例としては、4,4'−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等があげられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオールを使用することもできる。これら芳香族ジオールは、単独で使用することができるが、複数の芳香族ジオールを併用することも可能である。
本発明のスルホン酸基を含有するポリアリーレンエーテル系ポリマーを芳香族求核置換反応により重合する場合、上記一般式(6)および一般式(7)で表せる化合物を含む活性化ジフルオロ芳香族化合物及び/またはジクロロ芳香族化合物と芳香族ジオール類を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホランなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水材を使用することもできる。芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。
また、本発明のスルホン酸基を含有するポリアリーレンエーテル系ポリマーは、ポリマー対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1よりも小さいと、イオン交換膜として成形したときに、膜が脆くなりやすくなる。還元比粘度は、0.3以上であることがさらに好ましい。一方、還元比粘度が5を超えると、ポリマーの溶解が困難になるなど、加工性での問題が出てくるので好ましくない。なお、対数粘度を測定する溶媒としては、一般にN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどの極性有機溶媒を使用することができるが、これらに溶解性が低い場合には濃硫酸を用いて測定することもできる。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系ポリマーは、単体として使用することができるが、他のポリマーとの組み合わせによる樹脂組成物として使用することもできる。これらのポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン12などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸エステル類などのアクリレート系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンやジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールなどの芳香族系ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂等、特に制限はない。ポリベンズイミダゾールやポリビニルピリジンなどの塩基性ポリマーとの樹脂組成物は、ポリマー寸法性の向上のために好ましい組み合わせと言える。これらの塩基性ポリマー中に、さらにスルホン酸基を導入しておくと、組成物の加工性がより好ましいものとなる。これら樹脂組成物として使用する場合には、本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系ポリマーは、樹脂組成物全体の50質量%以上100質量%未満含まれていることが好ましい。より好ましくは70質量%以上100質量%未満である。本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物の含有量が樹脂組成物全体の50重量%未満の場合には、この樹脂組成物を含むイオン交換膜のスルホン酸基濃度が低くなり良好なイオン伝導性が得られない傾向にあり、また、スルホン酸基を含有するユニットが非連続相となり伝導するイオンの移動度が低下する傾向にある。なお、本発明の組成物は、必要に応じて、酸化防止剤以外にも、例えば、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤や、イオン交換膜の物性を変化させる目的で無機化合物、無機―有機のハイブリッド化合物などの各種添加剤を含んでいても良い。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系ポリマーおよびその樹脂組成物は、押し出し、紡糸、圧延またはキャストなど任意の方法で中空繊維やフィルムなどの燃料電池用イオン交換膜に適した成形体とすることができる。中でも適当な溶媒に溶解した溶液から成形することが好ましい。この溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどの非プロトン性極性溶媒や、メタノール、エタノール等のアルコール類から適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶液中の化合物濃度は0.1〜50重量%の範囲であることが好ましい。溶液中の化合物濃度が0.1重量%未満であると良好な成形物を得るのが困難となる傾向にあり、50重量%を超えると加工性が悪化する傾向にある。溶液から成形体を得る方法は従来から公知の方法を用いて行うことができる。たとえば、加熱、減圧乾燥、化合物を溶解する溶媒と混和することができる化合物非溶媒への浸漬等によって、溶媒を除去し成形体を得ることができる。溶媒が、有機溶媒の場合には、加熱又は減圧乾燥によって溶媒を留去させることが好ましい。この際、必要に応じて他の化合物と複合された形で燃料電池に即した様々な形状に成形することもできる。溶解挙動が類似する化合物と組み合わせた場合には、良好な成形ができる点で好ましい。このようにして得られた成形体中のスルホン酸基はカチオン種との塩の形のものを含んでいても良いが、必要に応じて酸処理することによりフリーのスルホン酸基に変換することもできる。また成型体中にはボイドがなるべくできないようにする必要があり、多量のボイドが存在するとガス透過性や液透過性が増大し、発電性能が落ちるという問題があり、また耐久性を低下させるという欠点も持つ。
本発明のスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその樹脂組成物からイオン伝導性フィルムとして成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去してイオン交換膜を得ることができる。当該溶液としてはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を用いた溶液や、場合によってはアルコール系溶媒等も挙げることができる。溶媒の除去は、乾燥によることがイオン交換膜の均一性からは好ましい。また、化合物や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧下でできるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、10〜2000μmであることが好ましい。より好ましくは50〜1500μmである。溶液の厚みが10μmよりも薄いとイオン交換膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、2000μmよりも厚いと内部に溶媒が残るなどして、不均一な高分子イオン交換膜ができやすくなる傾向にある。溶液のキャスト厚を制御する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャスト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜を得ることができる。例えば、加熱する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げたりすることができる。また、水などの非溶媒に浸漬する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして化合物の凝固速度を調整することができる。また一旦溶媒を除去した後、重ね塗りをし、再度溶媒を飛ばすといった方法を取ることも可能である。本発明のイオン交換膜は目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、イオン伝導性の面からはできるだけ薄いことが好ましいが、ガス透過性や耐久性と両立させる必要がある。具体的には25〜400μmであることが好ましく、50〜300μmであることがさらに好ましく、100〜250μmであることが最も好ましい。イオン交換膜の厚みが25μmより薄いと耐久性が低く、またガス透過性の高い膜となるため好ましくなく、400μmよりも厚いとイオン交換膜の電気抵抗値が高くなり発電効率が低下する傾向にある。なお膜中のスルホン酸基は金属塩になっていても良いが、適当な酸処理によりフリーのスルホン酸に変換する方が望ましい。この場合、硫酸、塩酸、等の水溶液中に加熱下あるいは加熱せずに膜を浸漬処理することで行うことも効果的である。また、イオン交換膜のイオン伝導率は1.0x10−2S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導率が1.0x10−2S/cm以上である場合には、良好な出力が得られる傾向にあり、1.0x10−2S/cm未満である場合には電流密度を上げた際の発電効率の低下が大きいため、装置が大きくなってしまう。
また、本発明のポリアリーレンエーテル系燃料電池用イオン交換膜の表面にフッ素系イオン交換樹脂をコートすることで特に耐久性に優れる燃料電池用イオン交換膜を作製することが可能となる。積層体を作製する方法としては、特に限定されるものではなく、異なる種類からなる膜が積層された成型品を作製するための、例えば、ラミネート、塗工、押し出し成型等、公知の手法を用いることが可能である。この中で特に良好な手法としては、ポリアリーレンエーテル系燃料電池用イオン交換膜にフッ素系イオン交換樹脂を含む溶液を塗布乾燥させる手法や、同溶液に含浸乾燥することで塗工する方法が良好である。この際、ポリアリーレンエーテル系燃料電池用イオン交換樹脂の膨潤を防ぐために、支持基材で保持しても良い。
また、上述した本発明のイオン交換膜等に電極を設置することによって、本発明のイオン交換膜等と電極との接合体を得ることができる。電極としては耐酸性と触媒活性の観点から適宜選出できるが、白金族系金属およびこれらの合金や酸化物が特に好ましい。例えばカソードに白金または白金系合金,アノードに白金または白金系合金や白金とルテニウムの合金を使用すると高効率発電に適している。電極を膜に接合する技術としては、膜―電極間に大きな抵抗が生じないようにすることが重要であり、また機械的な力によって剥離や電極触媒の剥落が生じないようにすることも重要である。この接合体の作製方法としては、従来から燃料電池または、水電解における電極−膜接合方法の公知技術として知られている手法、例えば触媒担持カーボンとイオン交換樹脂およびポリテトラフルオロエチレン等の撥水性を有する材料を混合してあらかじめ電極を作製し、これを膜に熱圧着する手法や、前記混合物を膜にスプレーやインクジェット等で直接析出させる方法などが好適に用いられる。また、化学めっきによる、例えば白金族のアンミン錯イオンのように金属イオンをカチオン型にした溶液に膜を浸漬してイオン交換(吸着)させてから、膜を還元剤溶液に接触させて、膜表面近傍の金属イオンを還元させると同時に膜内部の金属イオンを表面に拡散させ、強固な金属析出層を膜表面に形成させる方法などが上げられる。後者については、さらに化学めっき浴を用いて活性な金属析出層の上に所定の金属種および量をめっき成長させる方法がある。
上述したイオン交換膜と電極との接合体を用いて、燃料電池を作製することもできる。本発明のイオン交換膜は、ガスバリア性、加工性、イオン伝導性、寸法安定性および電気化学安定性に優れているため、高温での運転にも耐えることができ、作製が容易で、良好な出力を有する燃料電池を提供することができる。
以下本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
<イオン交換膜の膜厚>
イオン交換膜の厚みは、マイクロメーター(Mitutoyo 標準マイクロメーター 0−25mm 0.01mm)を用いて測定することにより求めた。測定は5×5cmの大きさのサンプルに対して20箇所測定し、その平均値を膜厚とした。なお測定は、室温が20℃で湿度が30±5RH%にコントロールされた測定室内で評価を行った。サンプルは、24時間以上、測定室内で静置したものを使用した。
<水素ガス透過係数>
透過ガス導入装置としてジーエルサイエンス株式会社製GPM−250を用い、分析装置としてはガスクロマトグラフ、GASUKURO KOGYO製GC−380を用い、ガスクロマトグラフのデータ処理装置としては、HITACHI D−2500を使用して、水素ガス透過係数を測定した。測定は同圧法で行い、サンプルの一方の面に大気圧で水素ガスを流しながら、もう一方の面には、大気圧でキャリアーガス(ヘリウムガス)を循環した。キャリアーガスは密閉されたループを常に循環しており、このループから自動サンプリングを行い、サンプリングされたガスの水素量を、ガスクロマトグラフで分析した。サンプルをセットした直後では、キャリアーガスは純粋であり、その後、水素ガスは経時的にサンプルを透過し、キャリアーガスに混入して行く。この水素ガスが混入したキャリアーガスから一部を、一定量・一定間隔でガスクロマトグラフに導入することで、サンプルを透過してきた水素ガス量の経時変化を定量し、この経時変化〜水素ガス透過量の関係から透過係数を求めた。なお、測定には純度99.9999%の水素ガス(50ml/分の流量)を使用した。なおサンプル測定条件を合わせるために、評価装置室内の温度は23℃±2℃の範囲で制御し、相対湿度は5%以下に調整し、測定した。キャリアーガス・水素ガス共にドライガスであるが、イオン交換膜自身が水分を吸収しやすいものであるため、測定前にイオン交換膜が吸湿した水分が測定機内部に導入される。そのため相対湿度を5%以下にするためには、測定開始前にしばらくガスを流しつづけて、水分を外部に除去する必要がある。水素ガス透過係数(μl・μm/sec/cm2)としては、サンプルの単位面積あたり・一秒間あたりに透過する水素ガス量(μl/sec/cm2)を求めた後、イオン交換膜の膜厚(μm)をかけることで求めた。単位としては、μl・μm/sec/cm2と表現した。
<イオン伝導率>
自作測定用プローブ(テフロン(R)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離10mmから40mmまで10mm間隔で変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした伝導率を算出した。
イオン伝導率[S/cm]=1/(膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm])
<イオン交換容量(IEC)>
イオン交換容量(IEC)としては、イオン交換膜に存在する酸型の官能基量を測定した。まず窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料(5×5cm)の重量をはかり(Ws)、次いで、200mlの密閉型のガラス瓶に、200mlの1mol/l塩化ナトリウム-超純水溶液と秤量済みの前記サンプルを入れ、密閉状態で、室温で24時間攪拌した。次いで、その溶液30mlを10mMの水酸化ナトリウム水溶液(市販の標準溶液)で中和滴定し、滴定量(T)より下記式を用いて、IEC(酸型)を求めた。
IEC(meq/g)=10T/(30Ws)×0.2
(Tの単位:ml Wsの単位:g)
<発電特性>
デュポン社製20%ナフィオン(商品名)溶液に、市販の40%白金触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社 燃料電池用触媒 TEC10V40E)と、少量の超純水およびイソプロパノールを、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060(疎水化処理品)に白金の付着量が0.5mg/cm2になるように均一に塗布・乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作製した。上記の電極触媒層付きガス拡散層の間に、イオン交換膜を、電極触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレス法により135℃、2MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んでセル温度80℃で、アノードおよびカソードにそれぞれ75℃で加湿した水素と空気を供給し、開回路電圧を測定した。
実施例1
3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)、4,4'−ビフェノール、炭酸カリウム、のモル比で1.00:1.17:2.17:2.36の混合物16gをモレキュラーシーブ2.65gと共に100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。40mlのNMPを入れて、142℃で一時間撹拌した後、反応温度を190−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約5時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーをNMP溶解し(20%)、ホットプレート上ガラス板に流延法によりキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水400ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、超純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。その後枠にはめて乾燥することで、実施例1のイオン交換膜を得た。
実施例2
3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)、4,4'−ビフェノール、炭酸カリウムのモル比を1.00:1.01:2.01:2.19とした以外は実施例1に従って、実施例2のイオン交換膜を作製した。
実施例3
3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)、4,4'−ビフェノール、炭酸カリウムのモル比を1.00:2.11:3.11:3.37とした以外は実施例1に従って、実施例3のイオン交換膜を作製した。
実施例4
3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)、4,4'−ビフェノール、炭酸カリウムのモル比を1.00:2.99:3.99:4.14とした以外は実施例1に従って、実施例4のイオン交換膜を作製した。
比較例1
市販のナフィオン(商品名)20%水溶液を実施例1の方法でキャスト・製膜し、比較例1のイオン交換膜を得た。
実施例1、2、3、4、比較例1、のイオン交換膜の物性を評価した結果を表1に示す。
Figure 2005243495
実施例のイオン交換膜はいずれも水素透過係数が、比較例の膜に比して著しく小さいことが分かる。そのため発電時の水素ガスのクロスリークが少ないので、実施例のイオン交換膜は高い開回路電圧を示す、優れた燃料電池であることが分かる。
本発明のスルホン酸基含有芳香族ポリアリーレンエーテル系化合物により、イオン伝導性だけでなくガスバリア性、加工性、寸法安定性および電気化学安定性に優れた、高分子電解質材料を提供することができる。これらは、イオン交換膜として、燃料電池に有用に使うことができる。

Claims (5)

  1. プロトン伝導性を有するイオン交換膜であって、水素透過係数が0.2μl・μm/sec/cm2以下であることを特徴とするイオン交換膜。
  2. イオン交換膜のイオン交換量が0.3〜3.5meq/gの範囲にあることを特徴とする請求項1の範囲のイオン交換膜。
  3. 下記一般式(1)とともに一般式(2)で示される構成成分を含むことを特徴とする、請求項1乃至2のいずれかの範囲に記載のイオン交換膜。
    Figure 2005243495
    ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
    Figure 2005243495
    ただし、Ar'は2価の芳香族基を示す。
  4. 請求項1乃至3のいずれかの範囲のイオン交換膜を使用したイオン交換膜・電極接合体。
  5. 請求項4の範囲のイオン交換膜・電極接合体を使用した燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5578300B1 (ja) * 2012-10-04 2014-08-27 東洋紡株式会社 複合分離膜
JP2015520662A (ja) * 2012-04-20 2015-07-23 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se スルホン化ポリフェニレンスルホンから製造された限外ろ過膜
CN114864978A (zh) * 2022-06-16 2022-08-05 电子科技大学 高增湿氢燃料电池增湿器中空纤维膜材料及其制备方法和应用

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