JP2005219553A - 衝撃吸収式ステアリング装置 - Google Patents

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山内  良平
Sakae Matsumoto
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Abstract

【課題】 固定具を再係合することによって、ステアリングの機能を衝突判断以前の安全機能を作動していない状態に自動的に復帰することが可能な衝撃吸収式ステアリング装置を提供する。
【解決手段】 ステアリング系を車体に連結する少なくとも1つの固定具を備える衝撃吸収式ステアリング装置において、衝突可能性を検知するための衝突検知手段と、該衝突検知手段からの検知信号に基づいて車両の衝突可能性の有無を判断するための衝突判断手段と、該衝突判断手段の判断結果に基づいて、固定具のロックを解除及び再係合するための電動アクチュエータとを備えた。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両に採用される衝撃吸収式ステアリング装置の改良であって、運転者の安全性を向上させる技術に関する。
一般に、自動車が他の自動車や建造物等に衝突した場合、運転者は慣性によってステアリングホイールに二次衝突することがある。このような場合における運転者の受傷を防止するべく、車両には、衝撃吸収式ステアリング装置やエアバッグなどが広く採用されている。しかしながら、近年、車両衝突時における安全対策として、さらなる技術革新が要求されている。そのため、衝突予測手段により、衝突を回避するための操作が可能な範囲で、事前に運転者を衝撃から保護するようにした装置が考案されている。
このような装置は、例えば特許文献1に開示され、図18は、特許文献1の車両用シートベルト装置の構成図を示す。同図において、車両用シートベルト装置は、シート101に着座した運転者に装着可能なシートベルト102と、第1のプリテンショナ機構103と、第2のプリテンショナ機構104と、第1の指令手段105と、第2の指令手段106とから構成されている。
また、第1の指令手段105は、演算回路107を備え、該演算回路107は、車体前部に配された超音波センサ108、及びロードセル109からの入力信号に基づいて車両の衝突を予測し、第1のプリテンショナ機構103へ作動信号を出力するようになっている。そして、第1のプリテンショナ機構103は、第1の指令手段105からの作動信号の入力によりシートベルト102を初期位置から巻き取って第1の張力F1を発生させ、車両衝突回避の操作が可能な範囲でシート101のフレームに着座した運転者を拘束するようになっている。
さらに、第2の指令手段106は、診断回路110を有し、該診断回略110は、車体に取付けたGセンサ111からの入力信号に基づいて自車の衝突を判断し、第2のプリテンショナ機構104へ作動信号を出力するようになっている。そして、第2のプリテンショナ機構104は、第2の指令手段106からの作動信号の入力により、第1の張力F1状態にあるシートベルト102を巻き取って第2の張力F2を発生させ、乗物衝突に対して運転者を拘束するようになっている。
すなわち、この車両用シートベルト装置は、衝突を事前に予測するとともに、シートベルトの張力を制御することにより、運転操作性を確保するとともに、最適な拘束状態を得るようになっている。
特許第2946995号公報
しかしながら、上記車両用シートベルト装置102では、一般に、車両衝突時にシートベルト装置とエアバッグがほぼ同時に作動するため、運転者への荷重が大きくなり、胸の変位が大きい場合があった。また、運転者は、不注意からシートベルト102の着用を忘れてしまうこともあった。このような場合、運転者は、ステアリングホイールに備えられているエアバッグや衝撃吸収式ステアリング装置の衝撃吸収機能によって、衝突した際の衝撃を吸収される。ところが、従来のコラプシブルステアリングシャフトは、ステアリング系が車体に固定されているため、運転者の身体とステアリングホイールとの間隔が適正距離でない状態でエアバッグが展開した場合には、エアバッグが完全に展開する前に反カが発生してしまい、エアバッグの後面が運転者を強打する怖れがあった。そのため、エアバッグが完全に展開する前の反力を極力減じて、エアバッグが完全に展開したときに初めて反力が発生するようにした構造が要求されていた。
また、従来のステアリング装置は、事前に衝突可能性の有無を予測して安全機能を作動させるものはあったが、衝突を回避できた場合に、ステアリングの機能を衝突判断以前の安全機能を作動していない状態に復帰するようにはなされていなかった。
そこで、本発明の目的は、固定具を再係合することによって、ステアリングの機能を衝突判断以前の安全機能を作動していない状態に自動的に復帰することが可能な衝撃吸収式ステアリング装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、ステアリング系を車体に連結する少なくとも1つの固定具を備える衝撃吸収式ステアリング装置において、衝突可能性を検知するための衝突検知手段と、該衝突検知手段からの検知信号に基づいて車両の衝突可能性の有無を判断するための衝突判断手段と、該衝突判断手段の判断結果に基づいて、前記固定具のロックを解除及び再係合するための電動アクチュエータとを備えたことにより、達成される。
また、上記目的は、前記電動アクチュエー夕は、前記衝突検知手段からの検知信号に基づく前記衝突判断手段の判断結果に基づいて、前記固定具のロック動作を制御するようにしたことにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記衝突検知手段は、前記車両と障害物との間の距離及び前記車両と前記障害物との相対速度を検知するための相対速度センサと、前記車両の減速度を検知するための緊急プレーキセンサとを備えることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記相対速度センサは、ミリ波レーダを利用したミリ波レーダセンサであることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記相対速度センサは、超音波を利用した超音波センサであることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記衝突判断手段は、前記衝突検知手段からの検知信号に基づき、前記車両の衝突判断に対して回避領域、回避不明領域、若しくは不可避領域の何れの領域にあるかを判断し、前記回避領域及び前記不可避領域にあると判断した場合には、前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを解除するとともに、ロック解除後に、前記車両が衝突を回避した場合には、再び前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを再係合するようにしたことにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記衝突判断手段は、前記衝突検知手段からの検知信号、および画像処理によって前記障害物の面積変化を検出する画像処理手段からの画像信号に基づき、前記車両の衝突判断に対して回避領域、回避不明領域、若しくは不可避領域の何れの領域にあるかを判断し、前記回避領域及び前記不可避領域にあると判断した場合には、前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを解除するとともに、ロック解除後に、前記車両が衝突を回避した場合には、再び前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを再係合するようにしたことにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記回避領域は、前記車両と衝突対象物との間の距離が、通常減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離より大きい場合の領域であることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記回避不明領域は、前記車両と衝突対象物との間の距離が、緊急減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離と等しく若しくはより大きく、且つ通常減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離と等しい若しくはより小さい場合の領域であることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記不可避領域は、前記車両と衝突対象物との間の距離が、緊急減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離より小さい場合の領域であることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、運転者が居眠りをしているか否かを判断する居眠り判断手段を備え、該居眠り判断手段は、運転者が居眠りをしていると判断した場合には、前記衝突判断手段により、前記車両が衝突に対して前記不可避領域であると判断するようにしたことにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記居眠り判断手段は、運転者が居眠りをしていると判断した後に、運転者が居眠りから覚醒したと判断した場合には、前記衝突判断手段により、前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを再係合するようにしたことにより、効果的に達成される。
さらに、上記目的は、居眠り状態であることを運転者に警告するための居眠り警告手段を備え、該居眠り警告手段は、前記居眠り判断手段により運転者が居眠りをしていると判断した場合には、運転者に注意を促すようにしたことにより、効果的に達成される。
本発明に係る衝撃吸収式衝撃吸収式ステアリング装置によると、衝突可能性を事前に検知するための衝突検知手段と、該衝突検知手段からの検知信号に基づいて車両の衝突可能性の有無を判断するための衝突判断手段と、該衝突判断手段の判断結果に基づいて、固定具のロックを解除及び再係合するための電動アクチュエータとを備え、衝突判断手段が衝突する可能性があると判断した場合には、衝突判断手段からの作動信号を入力した電動アクチュエータによって、ステアリング系を車体から離脱するようにした。これにより、車両が衝突し、運転者の身体とステアリングホイールとの間隔が適正距離でない状態でエアバッグが展開しても、ステアリング系は、既に車体から離脱しているので、車両前方方向に移動することができる。この結果、エアバッグの展開度がより高くなり、運転者がエアバッグに衝突した際の衝撃を効果的に吸収することができる。
また、衝突が回避された場合には、固定具のロックは、電動アクチュエータの作動によって再係合される。このように、固定具のロックシステムを可逆的構成にすることにより、ステアリング機能を衝突判断以前の安全機能を作動していない状態に自動的に復帰させることができる。
また、衝突判断手段は、衝突の可能性を、衝突検知手段からの検知信号に基づいて、車両と衝突対象物との間の距離と相対速度とから分別される3つの領域から判断することにより、容易に判断の処理をできるようにした。これにより、電動アクチュエータによる固定具のロック動作を容易に制御できる。
さらに、上記構成に加え、ステアリングシャフトの操舵トルクを検知するトルクセンサと、該トルクセンサからの検知信号に基づき、運転者が居眠りをしているか否かを判断する居眠り判断手段とを備え、該居眠り判断手段は、運転者が居眠りをしていると判断した場合には、衝突判断手段により、衝突する可能性があると判断し、固定具のロックを解除するとともに、ロック解除後に、運転者が居眠りから覚醒したと判断した場合には、固定具のロックを再係合するようにした。これにより、居眠りに起因する衝突可能性を事前に検知して、衝突する前に固定具のロックを解除することができるので、仮に居眠りをした状態で車両が衝突しても、エアバッグに衝突した際の衝撃を効果的に吸収することができる。また、ロック解除後に、運転者が覚醒した場合には、固定具のロックが電動アクチュエータの作動によって再係合されるため、ステアリングの機能を衝突判断以前の安全機能を作動していない状態に自動的に復帰させることができる。
以下、図面を参照にしながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施例1乃至3に係る衝撃吸収式ステアリング装置の概略構成図である。同図において、衝撃吸収式ステアリング装置1は、車体部材2に固定具3とロアブラケット4とを介して取付けられたステアリングコラム5と、該ステアリングコラム5内に回転自在に支持されたアッパーステアリングシャフト6と、該アッパーステアリングシャフト6の上端に装着されたステアリングホイール7と、アッパーステアリングシャフト6の下端にユニバーサルジョイント8を介して連結されたロアステアリングシャフト9とから構成されている。
また、ステアリングコラム5は、ともに鋼管製のアウターコラム10及びインナーコラム11と、アウターコラム10と一体的に固着されたコラムホルダ12とから構成されている。アウターコラム10とインナーコラム11とは、スプライン等によって軸方向摺動自在に嵌合している。また、アッパーステアリングシャフトシャフト6は、ステアリングホイール7側のアウターシャフト6aと、ユニバーサルジョイント8側のインナーシャフト6bとから構成されており、アウターシャフト6aとインナーシャフト6bとはアウターコラム10内でスプライン等によって軸方向摺動自在に嵌合している。
なお、ステアリングホイール7の中央部にはステアリングパッド(図示せず)が設けられ、該ステアリングパッドには、エアバッグ展開用のインフレータ等が収容されている。
また、固定具3のロックシステムは、前方車両や前方障害物等の衝突対象物までの距離S及び相対速度ΔV(自車速度V1−衝突対象物速度V2)を計測するための衝突検知手段13と、該衝突検知手段13からの検知信号に基づき、衝突可能性の有無を判断するための衝突判断手段14aを備えている処理装置14と、衝突判断手段14aの判断結果に基づく作動信号を入力し、固定具3のロック動作を行うための電動アクチュエータ15とから構成されている。
また、衝突検知手段13は、図2(a)に示すように、車両の前方に配されたミリ波レーダや超音波等を利用した相対速度センサ13aが発するセンサ波が、衝突対象物M2に反射して戻ってくるまでの時間に基づき、自車M1と衝突対象物M2との間の距離Sを計測し、また、この距離Sの時間変化に基づき、自車M1と衝突対象物M2との相対速度ΔVを計測するようになっている。さらに、衝突検知手段13は、車体の一部に緊急ブレーキセンサ13bを備え、該緊急ブレーキセンサ13bによって自車M1の減速度αを検知するようになっている。なお、距離Sおよび相対速度ΔVは、画像処理を用いて検出した衝突対象物M2の面積変化から算出してもよい。
また、図2(b)は、相対速度センサ13a及び緊急ブレーキセンサ13bの検知信号に基づき、自車M1と衝突対象物M2との衝突可能性を3領域に分別したものを示す説明図である。相対速度センサ13aの感度の中心線は、ステアリングホイール7の操舵角に応じて、自車M1の走行方向に向けられる。これにより、相対速度センサ13aは、前方の衝突対象物M2だけではなく、車幅に対して車側面からの距離が近い衝突対象物M2、例えば道路に沿って連続的に設けられた壁などにも作用することができる。ここで、自車M1と衝突対象物M2との相対速度をΔV、自車M1の減速度をαとすると、自車M1を停止させるのに要する停止距離Dは、[数1]のように示すことができる。
[数1]
D=ΔV/(2α)
一般に、減速度αは、0.2〜0.3Gで通常ブレーキ(通常減速度)とされ、また、0.45〜0.6Gで急ブレーキ(緊急減速度)とされている。本実施形態では、減速度αの閾値を、緊急減速度α=0.6G,通常減速度α=0.3Gとし、自車M1と衝突対象物M2との間の距離Sと、減速度αで自車M1を停止させるのに要する停止距離Dとの関係に基づき、衝突不可避領域C1、衝突回避不明領域C2、及び衝突回避領域C3を設定した。
衝突不可避領域C1は、減速度α=0.6Gのときの自車M1と衝突対象物M2との間の距離Sが、S<ΔV/(2α)であり、減速度αが、α<0.6Gでは衝突不可避である領域を示している。すなわち、衝突不可避領域C1は、急ブレーキ(α=0.6G)をかけても衝突回避が不可能な領域である。
衝突回避不明領域C2は、減速度α=0.6G、及びα=0.3Gのときの、自車M1と衝突対象物M2との間の距離Sが、ΔV/(2α)≦S≦ΔV/(2α)であり、減速度αが、0.3G≦α≦0.6Gでは、衝突回避できるか不明である領域を示している。すなわち、衝突回避不明領域C2では、急ブレーキをかければ衝突回避可能だが、運転者のブレーキを踏むまでの反応速度の遅れやブレーキペダルの踏力の弱さによって、急ブレーキをかけられない場合もあるため、衝突回避が不明な領域である。
衝突回避可能領域C3は、減速度α=0.3Gのときの自車M1と衝突対象物M2との間の距離Sが、S>ΔV/(2α)であり、減速度αが、α>0.3Gであれば衝突回避可能である領域を示している。すなわち、衝突回避可能領域C3は、通常ブレーキ(α=0.3G)より強いブレーキを作用させれば、衝突回避が可能な領域である。
そして、衝突判断手段14aは、自車M1が衝突不可避領域C1、或いは衝突回避不明領域C2であると判断した場合には、電動アクチュエータ15へ作動信号を出力し、固定具3のロックを解除するようになっている。
図3乃至6は、本発明の実施例1を示す。
図3は、図1のY−Y線に沿ったステアリングコラムの断面図であり、図4は、図3中のP1矢視図である。これらの図に示すように、コラムホルダ12は、アウターコラム10の外周面に溶接された断面コ字形状のベース部12aと、該ベース部12aの上端から折り曲げられた左右一対のフランジ部12bとから構成されている。
また、固定具3Aは、コラムホルダ12のフランジ部12bと車体部材2のフランジ部2bとの間に装着されている中間部材(カプセル)16と、先端のネジ部にナット17aが螺合しており、中間部材16及びコラムホルダ12を車体部材2に共締め固定するためのボルト17と、該ボルト17の頭部と係合しているレバー部材18とから構成されるネジ式ロック機構になっている。
また、電動アクチュエータ15は、図4に示すように、レバー部材18のレバー部18aと連結し、図4の矢印A,B方向に伸縮する駆動アーム15aと、衝突判断手段14aの判断結果に基づく処理装置14からの作動信号に基づき、駆動アーム15aを伸縮させるための駆動部15bとから構成されている。
さらに、中間部材16は、図5に示すように中央部に長穴16aが形成されており、この長穴16aは、組み付けの際の調整を容易にするために、ステアリングコラム5の軸方向に長くなっている。この中間部材16は、コラムホルダ12のフランジ部12bとの装着部分が樹脂等からなるカプセルであり、固定具3Aのロックが解除された状態でステアリングホイール7に所定の荷重が負荷されると装着部分が破壊され、コラムホルダ12は中間部材16から外れ、アウターコラム10と供に、車両前方(図1、図4及び図5の矢印Z方向)に移動するようになっている。
以上のように構成された衝撃吸収式ステアリング装置1において、衝突判断手段14aが衝突検知手段13からの検知信号に基づいて、自車M1が衝突不可避領域C1、或いは衝突回避不明領域C2であると判断した場合には、処理装置14は、電動アクチュエータ15に固定具3Aのロックを解除する作動信号を出力する。そして、該作動信号を入力した電動アクチュエータ15は、駆動部15bを作動し、駆動アーム15aを図4矢印A方向に伸長するようになっている。これにより、レバー部材18及びボルト17は、図4の矢印A′方向に回動され、固定具3Aのロックは解除される。また、この固定具3Aは、所望の耐衝突荷重に応じて、ロック解除状態おける締付け力が所定の締付け力になるように、任意に設定することができる。
また、固定具3Aのロック解除後に、衝突判断手段14aが衝突検知手段13からの検知信号に基づいて衝突可能性なしと判断した場合には、処理装置14は、固定具3Aのロックを再係合する作動信号を出力する。そして、該作動信号を入力した電動アクチュエータ15は、駆動部15bを作動し、駆動アーム15aを図4矢印B方向に縮小するようになっている。これにより、レバー部材18及びボルト17は、図4の矢印B′方向に回動され、再びボルト17の軸方向に締付け力が発生し、固定具3Aのロックは再係合される。
次に上記実施例1の作用を図6のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS1では、衝突検知手段13によって、自車M1と衝突対象物M2との相対速度ΔV、衝突対象物M2までの距離S、及び自車M1の減速度αを常時計測する。
ステップS2では、衝突判断手段14aによって、自車M1が衝突不可避領域C1、衝突回避不明領域C2、或いは衝突回避領域C3の何れの領域であるかを判断し、衝突不可避領域C1、或いは衝突回避不明領域C2である場合には、ステップS3へ移行し、衝突回避領域C3である場合には、ステップS1に戻る。
ステップS3では、衝突判断手段14aの判断結果に基づく処理装置14からの作動信号を入力した電動アクチュエータ15によって、固定具3Aのロックを解除する。なお、この固定具3Aのロックが解除されても、運転者は、衝突回避操作を行うことができる。
次いで、ステップS4へ移行し、運転者の回避操舵や急ブレーキなどの衝突回避操作によって、車両が衝突回避できたかどうかを判断する。衝突判断手段14aは、再びステップS2で行った衝突判断を行い、自車M1が衝突回避領域C3になった場合には、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、衝突判断手段14aの判断結果に基づき、処理装置14から電動アクチュエータ15へ作動信号が送られ、その作動信号によって固定具3Aのロックは再係合され、初期状態に戻るようになっている。
一方、ステップS6において、衝突判断手段14aが衝突に至ると判断した場合には、固定具3Aのロックは、解除されたままの状態である。これにより、仮に車両が衝突して、運転者が慣性でステアリングホイール7や展開したエアバッグに衝突した場合には、コラムホルダ12は、車体部材2から離脱しているので、ステアリングホイール7、アウターシャフト6a及びアウターコラム10と供に、車両前方(図1、図4、及び図5の矢印Z方向)に移動するようになっている。この結果、運転者がエアバッグに衝突した際に受ける衝撃を軽減することができる。
このように、実施例1では、事前に衝突可能性を検知して、車体部材2とコラムホルダ12とを係合している固定具3Aのロックを解除することにより、運転者がエアバッグに衝突した際の衝撃を効果的に吸収することができる。
また、固定具3Aのロック解除後、車両衝突が回避された場合に、固定具3Aのロックを再係合できる可逆的構成にすることにより、ステアリングの機能を衝突判断以前の安全機能を作動していない状態に自動的に復帰させることができる。
また、図7及び図8は、本発明の実施例2を示し、実施例1と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7は、図1のY−Y線に沿った断面側面図であり、図8は、図7のP2矢視図である。これらの図において、固定具3Bは、コラムホルダ12のフランジ部12bと車体部材2のフランジ部2bとの間に装着されている中間部材16と、該中間部材16及びコラムホルダ12を車体部材2に共締め固定するためのカム19と、該カム19の可動カム部材19bに一体的に固着されたレバー部材18とから構成されるカム式ロック機構になっている。このカム19は、コラムホルダ12のフランジ部12b側に配され、対向面にカム要素を有する固定カム部材19aと、同様に対向面にカム要素を有し、レバー部18と一体的に回動する可動カム部材19bと、中間部材16、車体部材2のフランジ部2b、及びコラムホルダ12のフランジ部12bを挿通して設けられ、先端のネジ部にナット19cが螺合しているカムボルト19cとから構成されている。
この固定具3Bのカム式ロック機構は、レバー部材18を回動すると、レバー部材18と係合した可動カム部材19bが回動し、そのカム要素が固定カム部材19aのカム要素に乗り上げて相対変位する。このとき、カムボルト34の軸方向に締付け力が発生し、車体部材2のフランジ部2b及びコラムホルダ12のフランジ部12bが中心に向かって変位し、固定されるようになっている。本実施例では、固定具3Bがネジ式ロック機構ではなくカム式ロック機構になっている点を除けば、実施例1と同様の構成である。
また、本実施例の作用は、図6のフローチャートに示す実施例1の作用と同様である。衝突判断手段14aは、衝突検知手段13からの検知信号に基づいて、衝突する可能性が高いと判断すると、処理装置14は、電動アクチュエー夕15に固定具3Bのロックを解除する作動信号を出力し、該作動信号を入力した電動アクチュエータ15は、駆動部15bを作動し、駆動アーム15aを図7の矢印A方向に伸長するようになっている。これにより、レバー部材18及び可動カム部材19bは図8の矢印A′方向に回動され、カム19による締付け力が緩み、固定具3Bのロックが解除される。
そして、固定具3Bのロック解除後に、衝突判断手段14aが衝突検知手段13からの検知信号に基づいて、衝突可能性なしと判断した場合には、処理装置14は、固定具3Bのロックを再係合する作動信号を電動アクチュエータ15に出力する。該作動信号を入力した電動アクチュエータ15は、駆動部15bを作動し、駆動アーム15aを図8の矢印B方向に縮小するようになっている。これにより、レバー部材18及び可動カム部材19bは図8の矢印B′方向に回動され、カムボルト19cの軸方向に締付け力が発生し、固定具3Bのロックが再係合される。
また、固定具3Bのロックが解除された状態でステアリングホイール7に所定の荷重が負荷されると、コラムホルダ12は、車体部材2から離脱し、ステアリングホイール7、アウターシャフト6a及びアウターコラム10と共に、車両前方(図1及び図8のZ矢印方向)に移動するようになっている。
このように、本実施例では、固定具3Bがカム式ロック機構で構成されているが、実施例1と同様の作用及び効果を奏する。
また、図9乃至11は、本発明の実施例3を示し、実施例1及び実施例2と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9は、図1のY−Y線に沿った断面側面図であり、図10は、図7のP3矢視図である。これらの図において、固定具3Cは、コラムホルダ12を車体部材2に共締め固定するためのカム19と、該カム19の可動カム部材19bに一体的に固着されたレバー部材18とから構成されるカム式ロック機構になっている。よって、本実施例は、図7の中間部材16が装着されていない点を除けば、実施例2と同様の構成である。
また、図11に示すように、コラムホルダ12のフランジ部12bは、切り欠き12cが形成されており、固定具3Cのロックが解除された状態でステアリングホイール7に荷重が負荷されると、車体部材2から離脱し、ステアリングホイール7、アウターシャフト6a、及びアウターコラム10と共に、車両前方(図1、図10、及び図11の矢印Z方向)に移動するようになっている。
また、本実施例の作用は、図6のフローチャートに示す実施例1の作用と同様である。衝突判断手段14aは、衝突検知手段13からの検知信号に基づいて、衝突する可能性が高いと判断すると、処理装置14は、電動アクチュエー夕15に固定具3Cのロックを解除する作動信号を出力し、該作動信号を入力した電動アクチュエータ15は、駆動部15bを作動し、駆動アーム15aを図7の矢印A方向に伸長するようになっている。これにより、レバー部材18及び可動カム部材19bは図10の矢印A′方向に回動され、カム19による締付け力が緩み、固定具3Cのロックが解除される。
そして、固定具3Cのロック解除後に、衝突判断手段14aが衝突検知手段13からの検知信号に基づいて、衝突可能性なしと判断した場合には、処理装置14は、固定具3Cのロックを再係合する作動信号を電動アクチュエー夕15に出力する。該作動信号を入力した電動アクチュエー夕15は、駆動部15bを作動し、駆動アーム15aを図10の矢印B方向に縮小するようになっている。これにより、レバー部材18及びカム可動カム部材19bは図10の矢印B′方向に回動され、カムボルト19の軸方向に締付け力が発生し、固定具3Cのロックが再係合される。
このように、本実施例では、固定具3Cがカム式ロック機構で構成されており、中間部材16が装着されていないが、実施例1と同様の作用及び効果を奏する。
図12は、本発明の実施例4に係る衝撃吸収式ステアリング装置の概略構成図であり、実施例1と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。同図において、衝撃吸収式ステアリング装置1′Aは、処理装置14内に居眠り判断手段14bを備えている。この居眠り判断手段14bには、アッパーステアリングシャフト6に取付けた力センサ20から、ステアリングホイール7の操作で与えられた操舵力に基づく信号が入力される。また、居眠り判断手段14bには、ホイールと共に転舵されるハブ21に取付けた力センサ22から転舵力に基づく信号が入力される。さらに、回転数センサ23からエンジン回転数信号および車速センサ24から車速信号が入力される。
力センサ20,22は、アッパーステアリングシャフト6およびハブ21に歪ゲージを装着し、負荷される力で生じる歪を検出回路を介して、電圧として取出すようにしたものである。また、回転数センサ23は、回転数に比例したパルス信号を電磁ピックアップで検出し、電子カウンタでパルスを数えるものである。さらに、車速センサ24は、車輪軸の回転を伝えるケーブルと共に回転する永久磁石がリードスイッチをオン/オフして電気信号に変換するものである。
ステアリング装置1´Aは、居眠り判断手段14bで低覚醒または居眠りと判定されたとき、運転者に音で注意を促すための警報手段25、例えば、ブザーなどを備える。この警報手段25は、ステアリングホイール7に近いステアリングコラム5の後端(図12右側)に装着される。
次に、図13のフローチャートに従って、本実施例の作用を説明する。
まず、ステップS41では、力センサ20,22、回転数センサ23および車速センサ24から与えられる各データを読み込む。
ステップS42では、力センサ22で検出された転舵力Fおよび力センサ20で検出された操舵力Fについて双方の値を比較する。一般に、ステアリング操作においては、常に路面上の突起やうねりなどにより逆入力を受けており、この逆入力に抗する操舵力が加えられている。したがって、転舵力Fとの比較で|F|≦|F|であるとき、意識のはっきりした高覚醒状態にあるものとして、その時点でリセット信号を出力する。
一方、低覚醒または居眠り状態に陥ったとき、ステアリングホイール7の操作は、満足になされず、時間経過と共に操舵力が小さくなる。したがって、転舵力Fとの比較で|F|>|F|の関係を満たすとき、覚醒程度は低下したとみることができ、後記のようにF/Fが小さい値に収斂していく。操舵力Fが転舵力Fよりも小さいままであればステップS43に移行する。
ステップS43では、エンジン回転数Nが決められた基準値Rを超えているか、否かを判定する。アイドリング中には、エンジン回転数Nは概略一定したままであるが、エンジン回転数Nが決められた基準値Rを超えて大きくならないときには、検出した操舵力Fの大小に関係なく、そうした過程にあるものとしてリセット信号の出力で居眠り判断を中断する。操舵力Fが転舵力Fよりも小さく、エンジン回転数が基準値Rよりも大きければステップS44に移行する。
ステップS44では、車速(自車M1の速度)V1が決められた基準値RV1を超えているか、否かを判定する。本発明の居眠り判断手段14bが特に効果的と考えられるのは直線路走行時であり、例えば、速度が上がらない直線路以外の走行時あるいは減速中など、車速V1が基準値RV1を超えないときは、リセット信号の出力で居眠り判断を中断する。操舵力Fが転舵力Fよりも小さく、且つエンジン回転数Nおよび車速V1の何れも基準値R,RV1を超えていれば、ステップS45に移行する。
ステップS45では、|F/F|を計算し、意識が低下して低覚醒または居眠りに陥ったとき、操舵力Fの減少からF/Fは、時間が経つに連れて小さい値に収斂する。この収斂したときのF/Fについて予め閾値を決めておく。例えば、図14に示すように、操舵方向の一方に基準値β、他方に基準値−βを設定する。なお、同図において、正符号がステアリングホイール7の右方向への操作、負符号がステアリングホイール7の左方向への操作を意味する。意識が低下して低覚醒または居眠りに陥って操舵力Fが小さくなったとき、F/Fは、基準値βおよび基準値−βの範囲内に入ってくる。このF/Fが決められた時間Tを通して継続するのであれば、低覚醒または居眠りと判定し、ステップS46に移行する。一方、時間Tの進行中にF/Fが基準値βおよび基準値−βの何れかを超えるのであれば、覚醒状態と判定する。
ステップS46では、ステップS45で算出した|F/F|が、|F/F|≦|β|を満たすか、否かを判定する。すなわち、所定時間Tの進行中、|F/F|>|β|となったとき、覚醒と判定する。覚醒と判定したときは、リセット信号を出力する。低覚醒または居眠りと判定したならば、ステップS47に移行する。
ステップS47では、衝突判断手段14aが、居眠り判断手段14bの判断結果に基づき、自車M1が衝突不可避領域C1であると判断し、実施例1と同様に、衝突判断手段14aからの作動信号を入力した電動アクチュエータ15によって、固定具3のロックを解除する。なお、この固定具3のロックが解除されても、運転者は、衝突回避操作を行うことができる。
ステップS48では、運転者に注意を促すために警報を出力する。このとき、制御装置14からの制御信号によって、警報手段14内に備えられたリレー駆動回路では接点が閉じて、警報信号が出力される。この信号で、ステアリングコラム5に装着したブザーが所定の音量で鳴る。
警報を出力した後に、ステップS41〜46を再実行する。この再実行のステップS41〜46で、覚醒状態と判定された(リセット信号を出力する)場合には、ステップS49に移行する。また、ステップS46まで進行し、ステップS46で|F/F|≦|β|の場合には、まだ低覚醒または居眠りであると判定し、ステップS48に移行し、再度、運転者に注意を促すために警報を出力する。
上述の図14に示すように、この居眠り判断手段14bでは、基準値βおよび基準値−βを超える値が検出されたその時点(t)から次の時間Tのカウントを始めるのが望ましい。この方法によれば、例えば、居眠り警報の発生を待って、次の時間Tのカウントを開始する場合よりも、タイムラグを伴わずに低覚醒または居眠りを検知することができる。
なお、本実施例では、警報手段25としてブザーが説明されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、バイブレータのような振動発生装置によって知らせるようにしてもよい。これは、着衣のポケットなどにも収容でき、運転者により近づけることが可能である。
このように、本実施例では、検出した転舵力および操舵力に基づき、居眠り判断手段14bで所定の演算を実行し、運転者が低覚醒または居眠り状態であると判断されると、その判断結果に基づき、衝突判断手段14aによって衝突する可能性があると判断され、衝突不可避領域C1の判断回路に設定されて固定具3のロックが解除されるようになっている。また、警報手段25の警報によって運転者が覚醒し、操舵操作を行った場合には、固定具3のロックが自動的に再係合されるようになっている。これにより、実施例1と同様の作用効果を得られることはもとより、運転者の不適切な操縦操作を素早く検知し、警報によって運転者に知らせることができる。
また、機器構成が簡素であることにより、低コストで、且つ容易に取付けることができる。
図15は、本発明の実施例5に係る衝撃吸収式ステアリング装置の概略構成図であり、実施例4と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。同図において、衝撃吸収式ステアリング装置1′Bは、アッパーステアリングシャフト6に取付けられて、ステアリングシャフト回転角を検出する、例えば、ポテンショメータのような位置センサ26を備える。また、ハブ21に取付けられて、ハブ回転角を検出する、位置センサ27を備える。
処理装置14内の居眠り判断手段14bには、位置センサ26から、ステアリングホイール7の操作で与えられた操舵力に基づく角度信号が入力される。また、居眠り判断手段14bには、位置センサ27から転舵力に基づく角度信号が入力される。さらに、回転数センサ23からエンジン回転数信号および車速センサ24から車速信号が入力される。
次に、図16のフローチャートに従って、本実施例の作用を説明する。
まず、ステップS51では、位置センサ26,27、回転数センサ23および車速センサ24から与えられる各データを読み込む。
ステップS52では、位置センサ27で検出された転舵角θおよび位置センサ26で検出された操舵角θについて双方の値を比較する。双方の値を比較した結果、|θ|≦|θ|であるとき、意識のはっきりした高覚醒状態にあるものとして、その時点でリセット信号を出力する。
一方、低覚醒または居眠り状態に陥ったとき、ステアリングホイール7の操作は、満足になされず、時間経過と共に操舵角が小さくなる。したがって、転舵角θとの比較で|θ|>|θ|の関係を満たすとき、覚醒程度は低下したとみることができ、後記のようにθ/θが小さい値に収斂していく。操舵角θが転舵角θよりも小さいままであればステップS53に移行する。
ステップS53では、エンジン回転数Nが決められた基準値Rを超えているか、否かを判定する。アイドリング中には、エンジン回転数Nは概略一定したままであるが、エンジン回転数Nが決められた基準値Rを超えて大きくならないときには、検出した操舵角θの大小に関係なく、そうした過程にあるものとしてリセット信号の出力で居眠り判断を中断する。操舵角θが転舵角θよりも小さく、エンジン回転数が基準値Rよりも大きければステップS54に移行する。
ステップS54では、車速(自車M1の速度)V1が決められた基準値RV1を超えているか、否かを判定する。本発明の居眠り判断手段14bが特に効果的と考えられるのは直線路走行時であり、例えば、速度が上がらない直線路以外の走行時あるいは減速中など、車速V1が基準値RV1を超えないときは、リセット信号の出力で居眠り判断を中断する。操舵角θが転舵角θよりも小さく、且つエンジン回転数Nおよび車速V1の何れも基準値R,RV1を超えていれば、ステップS55に移行する。
ステップS55では、|θ/θ|を計算し、意識が低下して低覚醒または居眠りに陥ったとき、操舵角θの減少からθ/θは、時間が経つに連れて小さい値に収斂する。この収斂したときのθ/θについて予め閾値を決めておく。例えば、図17に示すように、操舵方向の一方に基準値βθ、他方に基準値−βθを設定する。なお、同図において、正符号がステアリングホイール7の右方向への操作、負符号がステアリングホイール7の左方向への操作を意味する。意識が低下して低覚醒または居眠りに陥って操舵角θが小さくなったとき、θ/θは、基準値βθおよび基準値−βθの範囲内に入ってくる。このθ/θが決められた時間Tを通して継続するのであれば、低覚醒または居眠りと判定し、ステップS56に移行する。一方、時間Tの進行中にθ/θが基準値βθおよび基準値−βθの何れかを超えるのであれば、覚醒状態と判定する。
ステップS56では、ステップS55で算出した|θ/θ|が、|θ/θ|≦|βθ|を満たすか、否かを判定する。すなわち、所定時間Tの進行中、|θ/θ|>|βθ|となったとき、覚醒と判定する。覚醒と判定したときは、リセット信号を出力する。低覚醒または居眠りと判定したならば、ステップS57に移行する。
ステップS57では、衝突判断手段14aが、居眠り判断手段14bの判断結果に基づき、自車M1が衝突不可避領域C1であると判断し、実施例1と同様に、衝突判断手段14aからの作動信号を入力した電動アクチュエータ15によって、固定具3のロックを解除する。なお、この固定具3のロックが解除されても、運転者は、衝突回避操作を行うことができる。
ステップS58では、運転者に注意を促すために警報を出力する。このとき、制御装置14からの制御信号によって、警報手段14内に備えられたリレー駆動回路では接点が閉じて、警報信号が出力される。この信号で、ステアリングコラム5に装着したブザーが所定の音量で鳴る。
警報を出力した後に、ステップS51〜56を再実行する。この再実行のステップS51〜56で、覚醒状態と判定された(リセット信号を出力する)場合には、ステップS59に移行する。また、ステップS56まで進行し、ステップS56で|F/θ|≦|βθ|の場合には、まだ低覚醒または居眠りであると判定し、ステップS58に移行し、再度、運転者に注意を促すために警報を出力する。
上述の図17に示すように、この居眠り判断手段14bでは、基準値βθおよび基準値−βθを超える値が検出されたその時点(t)から次の時間Tのカウントを始めるのが望ましい。この方法によれば、例えば、居眠り警報の発生を待って、次の時間Tのカウントを開始する場合よりも、タイムラグを伴わずに低覚醒または居眠りを検知することができる。
なお、本実施例では、警報手段25としてブザーが説明されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、バイブレータのような振動発生装置によって知らせるようにしてもよい。これは、着衣のポケットなどにも収容でき、運転者により近づけることが可能である。
このように、本実施例では、検出した転舵角および操舵角に基づき、居眠り判断手段14bで所定の演算を実行し、運転者が低覚醒または居眠り状態であると判断されると、その判断結果に基づき、衝突判断手段14aによって衝突する可能性があると判断され、衝突不可避領域C1の判断回路に設定されて固定具3のロックが解除されるようになっている。また、警報手段25の警報によって運転者が覚醒し、操舵操作を行った場合には、固定具3のロックが自動的に再係合されるようになっている。これにより、実施例1と同様の作用効果を得られることはもとより、運転者の不適切な操縦操作を素早く検知し、警報によって運転者に知らせることができる。
また、機器構成が簡素であることにより、低コストで、且つ容易に取付けることができる。
以上、本発明を具体的に説明してきたが、本発明はそれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本発明に係る衝撃吸収式ステアリング装置を示す概略構成図である。 (a)は、車間距離等の説明図であり、(b)は、衝突可能性を示す3領域の説明図である。 実施例1乃至3に係る衝撃吸収式ステアリング装置を示す図1中のY−Y線に沿った断面図である。 図3中のP1矢視図である。 図3中のV−V線に沿った中間部材の上面図である。 実施例1乃至3の作動フローチャート図である。 実施例2に係る衝撃吸収式ステアリング装置を示す図1中のY−Y線に沿った断面図である。 図7中のP2矢視図である。 実施例3に係る衝撃吸収式ステアリング装置を示す図1中のY−Y線に沿った断面図である。 図9中のP3矢視図である。 図9中のXI−XI線に沿ったステアリングコラムの上面図である。 実施例4に係る衝撃吸収式ステアリング装置を示す概略構成図である。 実施例4の作動フローチャート図である。 実施例4の典型的な居眠り判定用アルゴリズム概念を示すグラフである。 実施例5に係る衝撃吸収式ステアリング装置を示す概略構成図である。 実施例5の作動フローチャート図である。 実施例5の典型的な居眠り判定用アルゴリズム概念を示すグラフである。 従来の車両用シートベルト装置を示す概略構成図である。
符号の説明
1 衝撃吸収式ステアリング装置
2 車体部材
3 固定具
5 ステアリングコラム
6 アッパーステアリングシャフト
7 ステアリングホイール
10 アウターコラム
11 インナーコラム
12 コラムホルダ
12c 切り欠き
13 衝突検知手段
13a 相対速度センサ
13b 緊急ブレーキセンサ
14 処理装置
14a 衝突判断手段
14b 居眠り判断手段
15 電動アクチュエータ
16 中間部材(カプセル)
16a 長穴
17 ボルト
18 レバー部材
19 カム
20,22 力センサ
26,27 位置センサ
25 警報手段
C1 衝突不可避領域
C2 衝突回避不明領域
C3 衝突回避可能領域

Claims (13)

  1. ステアリング系を車体に連結する少なくとも1つの固定具を備える衝撃吸収式ステアリング装置において、
    衝突可能性を検知するための衝突検知手段と、
    該衝突検知手段からの検知信号に基づいて車両の衝突可能性の有無を判断するための衝突判断手段と、
    該衝突判断手段の判断結果に基づいて、前記固定具のロックを解除及び再係合するための電動アクチュエータと
    を備えたことを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
  2. 前記電動アクチュエータは、前記衝突検知手段からの検知信号に基づく前記衝突判断手段の判断結果に基づいて、前記固定具のロック動作を制御するようにした前記請求項1記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  3. 前記衝突検知手段は、前記車両と障害物との間の距離及び前記車両と前記障害物との相対速度を検知するための相対速度センサと、前記車両の減速度を検知するための緊急ブレーキセンサとを備える請求項1又は2記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  4. 前記相対速度センサは、ミリ波レーダを利用したミリ波レーダセンサである請求項3記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  5. 前記相対速度センサは、超音波を利用した超音波センサである請求項3記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  6. 前記衝突判断手段は、前記衝突検知手段からの検知信号に基づき、前記車両の衝突判断に対して回避領域、回避不明領域、若しくは不可避領域の何れの領域にあるかを判断し、前記回避領域及び前記不可避領域にあると判断した場合には、前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを解除するとともに、ロック解除後に、前記車両が衝突を回避した場合には、再び前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを再係合するようにした請求項1乃至5の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  7. 前記衝突判断手段は、前記衝突検知手段からの検知信号、および画像処理によって前記障害物の面積変化を検出する画像処理手段からの画像信号に基づき、前記車両の衝突判断に対して回避領域、回避不明領域、若しくは不可避領域の何れの領域にあるかを判断し、前記回避領域及び前記不可避領域にあると判断した場合には、前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを解除するとともに、ロック解除後に、前記車両が衝突を回避した場合には、再び前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを再係合するようにした請求項1乃至5の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  8. 前記回避領域は、前記車両と衝突対象物との間の距離が、通常減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離より大きい場合の領域である請求項6又は7記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  9. 前記回避不明領域は、前記車両と衝突対象物との間の距離が、緊急減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離と等しく若しくはより大きく、且つ通常減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離と等しい若しくはより小さい場合の領域である請求項6又は7記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  10. 前記不可避領域は、前記車両と衝突対象物との間の距離が、緊急減速度で前記車両を停止させるのに要する停止距離より小さい場合の領域である請求項6又は7記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  11. 運転者が居眠りをしているか否かを判断する居眠り判断手段を備え、該居眠り判断手段は、運転者が居眠りをしていると判断した場合には、前記衝突判断手段により、前記車両が衝突に対して前記不可避領域であると判断するようにした請求項6乃至10の何れかに記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  12. 前記居眠り判断手段は、運転者が居眠りをしていると判断した後に、運転者が居眠りから覚醒したと判断した場合には、前記衝突判断手段により、前記電動アクチュエータヘ出力信号を送信して前記固定具のロックを再係合するようにした請求項11記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
  13. 居眠り状態であることを運転者に警告するための居眠り警告手段を備え、該居眠り警告手段は、前記居眠り判断手段により運転者が居眠りをしていると判断した場合には、運転者に注意を促すようにした請求項11又は12記載の衝撃吸収式ステアリング装置。
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