JP2005216519A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料電池に供給される燃料ガスの調圧制御を簡易なシステム構成で実現する。
【解決手段】 本発明の燃料電池システム(10)は、燃料電池(20)に供給される燃料ガスの圧力を高圧に調圧するための高圧レギュレータ(A6)と、燃料ガスの圧力を低圧に調圧するための低圧レギュレータ(A7)と、これらのレギュレータ(A6,A7)を各々並列に接続する分岐・合流路(31a,31b)を含む反応ガス供給路(31)と、分岐・合流路(31a,31b)の分岐点(B1)よりも下流側であって且つ合流点(B2)よりも上流側において高圧レギュレータ(A6)に対して直列に接続された遮断弁(A2)と、遮断弁(A2)を開閉制御することにより燃料ガスの供給圧を調圧する制御部(60)を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の燃料電池システム(10)は、燃料電池(20)に供給される燃料ガスの圧力を高圧に調圧するための高圧レギュレータ(A6)と、燃料ガスの圧力を低圧に調圧するための低圧レギュレータ(A7)と、これらのレギュレータ(A6,A7)を各々並列に接続する分岐・合流路(31a,31b)を含む反応ガス供給路(31)と、分岐・合流路(31a,31b)の分岐点(B1)よりも下流側であって且つ合流点(B2)よりも上流側において高圧レギュレータ(A6)に対して直列に接続された遮断弁(A2)と、遮断弁(A2)を開閉制御することにより燃料ガスの供給圧を調圧する制御部(60)を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は燃料電池に供給される反応ガスを調圧する複数のレギュレータを備えた燃料電池システムに関する。
燃料電池に供給される燃料ガス流量は電力負荷に応じて小流量から大流量まで広範囲に変動するため、このような広範囲の調圧制御を単一の調圧弁で精密に行うことは困難である。特開2002−231277号公報には流量−圧力制御特性の異なる複数の調圧弁を組み合わせることでダイナミックレンジの広い調圧制御を可能にした燃料電池システムが提案されている。この燃料電池システムでは燃料電池の要求負荷を基に算出した目標燃料ガス流量が少ない場合には低流量タイプの第1調圧弁で燃料ガスの調圧を行い、目標燃料ガス流量が多い場合には高流量タイプの第2調圧弁で燃料ガスの調圧を行う構成となっている。更に、第2調圧弁の後段に遮断弁を配設することで、第2調圧弁を閉弁したときのガス漏れ量を低減し、第1調圧弁による極小流量の調圧制御を可能にする構成も開示されている。
特開2002−231277号公報
しかし、燃料ガスの供給圧を調圧するために、複数の調圧弁の弁開度を調整するとともに、更に遮断弁の開閉制御をも行うと、これらの弁機構を制御する電気系統のシステム構成が複雑になる。
そこで、本発明は燃料電池に供給される反応ガスの調圧制御を簡易なシステム構成で実現するための燃料電池システムを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の燃料電池システムは燃料電池に供給される反応ガスの圧力を調圧するために各々異なる調整圧力に設定された複数のレギュレータと、複数のレギュレータを各々並列に接続する複数の分岐・合流路を含む反応ガス供給路と、複数のレギュレータのうち調整圧力が最も低く設定されたレギュレータを除く単一又は複数のレギュレータの各々に対して、分岐・合流路が分岐する分岐点の下流側であって、且つ分岐・合流路が合流する合流点の上流側において、直列に接続された単一又は複数の遮断弁と、単一又は複数の遮断弁を開閉制御することにより燃料電池に供給される反応ガスの供給圧を調圧する制御部と、を備える。レギュレータと直列に接続された遮断弁を開閉制御(オンオフ制御)することにより簡易なシステム構成でレギュレータの切り替え制御を可能にできる。
レギュレータと直列に接続される遮断弁はレギュレータの上流側に配設されるのが望ましい。高圧レギュレータの上流側はその下流側よりも圧力が高いので、反応ガスの質量流量が低下し、遮断弁による圧力損失を低減できる。つまり、高圧レギュレータの上流側に遮断弁を配設することで、遮断弁を低流量設計にすることが可能となり、小型化を実現できる。
本発明の燃料電池システムは燃料電池に供給される反応ガスの圧力を信号圧に応じて調圧するための複数のレギュレータと、複数のレギュレータを各々並列に接続する複数の分岐・合流路を含む反応ガス供給路と、複数のレギュレータのうち調整圧力が最も低く設定されたレギュレータを除く単一又は複数のレギュレータの各々に信号圧を供給することにより、複数のレギュレータの中から何れか一つのレギュレータを作動させて燃料電池に供給される反応ガスの供給圧を調圧する信号圧供給手段と、を備える。かかる構成によれば遮断弁が不要となるため、システム構成をより簡易化できる。
本発明によれば、レギュレータと直列に接続された遮断弁を開閉制御することにより簡易なシステム構成でレギュレータの切り替え制御を可能にできる。また、高圧レギュレータの上流側はその下流側よりも圧力が高いので、反応ガスの質量流量が低下し、遮断弁による圧力損失を低減できる。つまり、高圧レギュレータの上流側に遮断弁を配設することで、遮断弁を低流量設計にすることが可能となり、小型化を実現できる。また、信号圧に応じて反応ガスを調圧するレギュレータを用いることにより、遮断弁が不要となるため、システム構成をより簡易化できる。
[発明の実施形態1]
図1は本発明の第1実施形態に関わる燃料電池システム10の反応ガス供給系統を中心とするシステム構成を示している。燃料電池システム10は燃料電池電気自動車に搭載されて電力発電を行う発電装置として構成されており、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて電力発電する燃料電池(セルスタック)20を備えている。燃料電池20はフッ素系樹脂等により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜等から成る高分子電解質膜21の両面にアノード極22とカソード極23をスクリーン印刷等で形成した膜・電極接合体24を備えている。膜・電極接合体24の両面は図示しないリブ付セパレータによってサンドイッチされ、このセパレータとアノード極22及びカソード極23との間にそれぞれ溝状のアノードガスチャンネル25及びカソードガスチャンネル26を形成している。
図1は本発明の第1実施形態に関わる燃料電池システム10の反応ガス供給系統を中心とするシステム構成を示している。燃料電池システム10は燃料電池電気自動車に搭載されて電力発電を行う発電装置として構成されており、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて電力発電する燃料電池(セルスタック)20を備えている。燃料電池20はフッ素系樹脂等により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜等から成る高分子電解質膜21の両面にアノード極22とカソード極23をスクリーン印刷等で形成した膜・電極接合体24を備えている。膜・電極接合体24の両面は図示しないリブ付セパレータによってサンドイッチされ、このセパレータとアノード極22及びカソード極23との間にそれぞれ溝状のアノードガスチャンネル25及びカソードガスチャンネル26を形成している。
尚、説明の便宜上、膜・電極接合体24、アノードガスチャンネル25、及びカソードガスチャンネル26から成る単セルの構造を模式的に図示しているが、実際には上述したリブ付セパレータを介して複数の単セルが直列に接続したスタック構造を備えている。
燃料電池システム10の燃料ガス供給系統には、アノードガスチャンネル25に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給路(反応ガス供給路)31と、アノードガスチャンネル25から排気される水素オフガスを燃料ガス供給路31に還流させるための循環流路32が配管されている。燃料ガス供給路31には高圧水素タンク54からの燃料ガス供給を遮断する遮断弁A1と、燃料ガスの圧力調整を行う調圧部70と、アノード入口への燃料ガスの流入を遮断する遮断弁A3が配設されている。循環流路32にはアノード出口からの水素オフガスの流出を遮断する遮断弁A4と、水素オフガスを循環させるための水素循環ポンプ55が配設されている。水素循環ポンプ55はモータM1によって駆動される電動ポンプとして構成されており、アノードガスチャンネル25を通過する過程で圧力損失を受けた水素オフガスを適度なガス圧に加圧し、燃料ガス供給路31に還流させている。循環流路32には循環水素に含まれる水素以外の成分濃度が高くなった時点で水素オフガスの一部を循環流路32から車外にパージするための排気流路33が分岐配管されている。水素オフガスのパージ処理は排気流路33に配設された遮断弁(パージ・バルブ)A5を開閉することによって行われる。排気流路33を流れる水素オフガスは希釈器56にて希釈され、システム外に排気される。
一方、燃料電池システム10の酸化ガス供給系統にはカソードガスチャンネル26に酸化ガスを供給するための酸化ガス供給路41と、カソードガスチャンネル26から排気されるカソードオフガスを排気するための酸素オフガス流路42が配管されている。エアフィルタ51を介して大気から取り込まれたエアは、モータM2によって駆動されるエアコンプレッサ52によって加圧された後、加湿器53にて適度に過湿され、酸化ガス供給路41を通過してカソードガスチャンネル26に流れ込む。加湿器53では、燃料電池20の電池反応で生じた生成水によって高湿潤状態となったカソードオフガスと、大気より取り込んだ低湿潤状態の酸化ガスとの間で水分交換が行われる。カソードガスチャンネル26の背圧は調圧弁C1によってほぼ一定圧に調圧される。カソードガスチャンネル26から排気された酸素オフガスは酸素オフガス流路42を流れて希釈器56に導入され、水素オフガスを希釈した後にシステム外に排気される。
調圧部70は高負荷〜中負荷域において高圧の燃料ガスを供給するために圧力設定された高圧レギュレータA6と、中負荷域〜低負荷域において低圧の燃料ガスを供給するために圧力設定された低圧レギュレータA7と、これらのレギュレータA6,A7を並列に接続する複数の分岐・合流路31a,31bと、高圧レギュレータA6に対して直列に接続された遮断弁A2を備えて構成されている。分岐・合流路31a,31bは分岐点B1において燃料ガス供給路31から二股分岐し、更に合流点B2において合流するガス流路である。上述の構成において、遮断弁A2が閉弁すると、燃料ガスは低圧レギュレータA7のみを通過して低圧に調圧された後に燃料電池20に供給される。一方、遮断弁A2が開弁すると、燃料ガスは高圧レギュレータA6のみを通過して高圧に調圧された後に燃料電池20に供給される。このとき、高圧レギュレータA6の2次側圧力と低圧レギュレータA7の2次側圧力は同圧になるため、低圧レギュレータA7は自己シール機能によって燃料ガスの通過を遮断する。この自己シール機能により、低圧レギュレータA7には遮断弁を配設しなくてもよい。このように、遮断弁A2を開閉制御(オンオフ制御)するだけで高圧レギュレータA6と低圧レギュレータA7の切り替え制御を実現できる。
尚、遮断弁A2の配設位置としては、分岐点B1よりも下流側であって、且つその合流点B2よりも上流側の範囲内であれば、特に限定されるものではないが、高圧レギュレータA6よりも上流側の位置が望ましい。高圧レギュレータA6の上流側(入力ポート)はその下流側(出力ポート)よりも圧力が高いので、ベルヌーイの定理より質量流量が低下し、遮断弁A2による圧力損失を低減できる。つまり、高圧レギュレータA6の上流側に遮断弁A2を配設することで、遮断弁A2を低流量設計にすることが可能となり、小型化を実現できる。また、遮断弁A2としては、オンオフ弁が好適であるが、リニア弁のように弁開度をリニアに調整できるバルブでもよい。さらに、レギュレータA6,A7としては、システム構成を簡易化する上で機械式のレギュレータが好適である。遮断弁A1〜A5としては、例えば、電磁弁が好適である。
制御部60は燃料電池20の運転状態に応じてモータM1,M2を駆動してエアコンプレッサ52と水素循環ポンプ55の回転数を制御するとともに、遮断弁A1〜A5に開閉信号を出力して開閉制御を行う。燃料ガス供給系統には各部のガス圧を計測するための圧力センサP1〜P4が設置されており、圧力センサP1〜P4から出力される圧力値は制御部60に入力されるように構成されている。ここで、圧力センサP1は遮断弁A1の出口付近のガス圧を、圧力センサP2はアノード入口付近のガス圧を、圧力センサP3は水素循環ポンプ55の上流側のガス圧を、圧力センサP4は水素循環ポンプ55の下流側のガス圧を、それぞれ計測する。
次に、レギュレータA6,A7の切り替え制御について、図2〜図6を参照しつつ、燃料電池20の運転状態と対応付けて説明を加える。これらの図に示す制御ルーチンは制御部60によって実行される。まず、システム起動要求があるか否かがチェックされる(ステップS1)。システム起動要求がない場合には(ステップS1;NO)、ステップS11にジャンプする。一方、システム起動要求がある場合には(ステップS1;YES)、遮断弁A1〜A4を全て開弁するとともに、遮断弁A5を閉弁して、燃料電池20への燃料ガス供給を開始する。遮断弁A2を開弁することにより高圧レギュレータA6を作動させ、燃料ガスの供給圧を高めてシステム起動時間を短縮できる。
次いで、水素循環系統に設置された圧力センサP2〜P4から出力される各々の圧力値が圧力値Pk1以上であるか否かをチェックする(ステップS3)。圧力値Pk1としては、燃料ガス供給系統の水素漏洩判定を行える程度のガス圧に選定するのが望ましい。水素循環系統に供給された燃料ガスが圧力値Pk1以上に加給されたならば(ステップS3;YES)、遮断弁A1〜A5を閉弁して水素漏洩判定を行う(ステップS4)。この水素漏洩判定では、圧力センサP1〜P4から出力される圧力値の単位時間あたりの変化代ΔP1〜ΔP4がそれぞれの基準値Pc1〜Pc4を超えているか否かがチェックされる(ステップS5)。何れの変化代ΔP1〜ΔP4もそれぞれの基準値Pc1〜Pc4を超えてない場合には(ステップS5;NO)、水素漏れは生じてないため、ステップS11にジャンプする。
一方、何れかの変化代ΔP1〜ΔP4がそれぞれの基準値Pc1〜Pc4を超えている場合には(ステップS5;YES)、水素漏れが生じている可能性があるため、遮断弁A1〜A4を全て開弁するとともに、遮断弁A5を閉弁して(ステップS6)、燃料ガス供給系統のガス圧をより一層高めて高精度な水素漏洩判定を行う。次いで、水素循環系統に設置された圧力センサP2〜P4から出力される各々の圧力値が圧力値Pk2以上であるか否かをチェックする(ステップS7)。圧力値Pk2としては、燃料ガス供給系統の微小な水素漏れを高精度に行える程度のガス圧(Pk1以上のガス圧)に選定するのが望ましい。
水素循環系統に供給された燃料ガスが圧力値Pk2以上に加給されたならば(ステップS7;YES)、遮断弁A1〜A5を閉弁して水素漏洩判定を行う(ステップS8)。この水素漏洩判定では、圧力センサP1〜P4から出力される圧力値の単位時間あたりの変化代ΔP1〜ΔP4がそれぞれの基準値Pd1〜Pd4を超えているか否かがチェックされる(ステップS9)。何れの変化代ΔP1〜ΔP4もそれぞれの基準値Pd1〜Pd4を超えてない場合には(ステップS9;NO)、水素漏れは生じてないため、ステップS11にジャンプする。一方、何れかの変化代ΔP1〜ΔP4がそれぞれの基準値Pd1〜Pd4を超えている場合には(ステップS9;YES)、水素漏れが生じていると判断できるため、システム異常停止を行う(ステップS10)。システム異常停止時には遮断弁A1〜A5は閉弁されて燃料ガスの供給が停止される。
さて、上述の水素漏洩判定において異常なしと判断されると、システムが走行可能な状態であるか否かがチェックされる(ステップS11)。システムに異常があり、走行できる状態でないと判定されると(ステップS11;NO)、システム異常停止が行われる(ステップS10)。一方、システムに異常がなく、走行できる状態にあると判定されると(ステップS11;YES)、遮断弁A1,A3,A4を開弁するとともに遮断弁A2を閉弁し(ステップS12)、低圧レギュレータA7を作動させて燃料電池20に低圧燃料ガスを供給する。次いで、アクセル開度や車速等から要求負荷を求め(ステップS13)、燃料電池20のI−V特性より要求電流を算出し、ストイキ値等を加味した上でエアコンプレッサ52の目標回転数と、水素循環ポンプ55の目標回転数と、アノード入口圧力の目標圧力をそれぞれマップ等に基づいて算出する(ステップS14,S15,S16)。
ここで、圧力センサP2が計測した圧力値が目標圧力値以上である場合には(ステップS17;YES)、燃料ガスの供給圧が高めになっているので、遮断弁A2を閉弁し(ステップS18)、低圧レギュレータA7を作動させて低圧燃料ガスを供給する。一方、圧力センサP2が計測した圧力値が目標圧力値未満である場合には(ステップS17;NO)、燃料ガスの供給圧が低めになっているので、遮断弁A2を開弁し(ステップS19)、高圧レギュレータA6を作動させて高圧燃料ガスを供給する。このように遮断弁A2の開閉制御を通じてレギュレータA6,A7の切り替え制御を行い、燃料ガスの供給圧を目標圧力に一致させる。
電池運転を継続すると、水素循環系統を循環するアノードオフガスに含まれる窒素や水分等の不純物量が増大するため、遮断弁A5を開閉してアノードオフガスの一部をシステム外に排気する(ステップS20)。電池温度が低温又は電力負荷が高負荷である程、不純物が増大するため、遮断弁A5の開時間を長くし、開閉頻度を多くする。次いで、極間差圧を調整するため、カソード入口圧力PAを推定演算する(ステップS21)。カソード出口の背圧は調圧弁C1によってほぼ一定圧に調圧されているため、電力負荷から定まる酸化ガス流量に圧力損失を加味して計算することによりカソード入口圧力PAを計算できる。次いで、極間差圧Pe=P2−PAを演算し(ステップS22)、極間差圧Peが閾値Pt1以上である場合には(ステップS23;YES)、燃料ガス圧の方が酸化ガス圧よりも大きいため、遮断弁A2を閉弁して(ステップS24)、低圧レギュレータA7を作動させることにより燃料ガス圧を減少させる。一方、極間差圧Peが閾値−Pt2以下である場合には(ステップS25;YES)、酸化ガス圧の方が燃料ガス圧よりも大きいため、遮断弁A2を開弁して(ステップS26)、高圧レギュレータA6を作動させて燃料ガス圧を増加させる。酸化ガス圧を加減することで極間差圧Peの調整を行うと、燃料電池20のI−V特性が悪化する場合があるので、燃料ガス圧を加減することで極間差圧Peの調整を行うのが望ましい。
発電時間が長くなると、ガスチャンネル25,26に凝縮水が蓄積してセルの有効電極面積が減少し、各セルに反応ガスが均等に供給されなくなるおそれがある。このような状況では、各々のセル間で電圧分布が生じ、最も電圧の低いセルが0V以下まで降圧して過放電するおそれがある。過放電の状態で電流を流し続けると、高分子電解質膜21が破損する可能性があるので、適宜排水する必要がある。そこで、発電電流の積算値ITを演算し(ステップS27)、電流積算値ITが閾値IW未満であり、且つセル電圧が閾値V1以上である場合には(ステップS28;NO)、フラッディングの虞はないので、排水処理は行わずにステップS39にジャンプする。一方、電流積算値ITが閾値IW以上であるか又はセル電圧が閾値V1以下である場合には(ステップS28;YES)、フラッディングの虞があるので、以下に述べるようにガスチャンネル25,26に圧力変動を起こして排水を促進する。
ガスチャンネル25,26に圧力変動を起こすには、まず、遮断弁A2を開弁して(ステップS29)、高圧レギュレータA6を作動させてアノードガスチャンネル25内の燃料ガス圧を高める。次いで、電流積算値ITをゼロクリアする(ステップS30)。電流積算値ITのゼロクリア時点からの時間経過が所定時間t1を経過しており、且つセル電圧が閾値V2以上である場合には(ステップ31;YES)、セル電圧が回復しつつあるので、遮断弁A2を閉弁し(ステップS32)、低圧レギュレータA7を作動させてアノードガスチャンネル25内の燃料ガス圧を低める。更に、発電量を増加させて燃料ガスの消費を増大し(ステップS33)、遮断弁A5を開いてアノードオフガスをシステム外に排気することで(ステップ34)、燃料ガス圧をより一層低下させる。このように減圧速度を上げることで脈動効果を大きくし、ガスチャンネル25,26に貯溜している水分の排水を促進する。アノードオフガスの排気量の増大に伴い、エアコンプレッサ52の回転数を増加させ(ステップS35)、希釈器56に導入される希釈エア流量を増やしてアノードオフガスを希釈する。次いで、アノード入口圧力P2が圧力値Pk3以下に達したか否かをチェックし(ステップS36)、圧力P2が圧力値Pk3以下に達すると(ステップS36;YES)、エアコンプレッサ52の回転数を通常回転数に復帰させる(ステップS37)。
以上のようにして電池運転を実施するが、電力負荷が小さい場合には、燃料電池20を運転しなくてもバッテリからの電力供給で走行できるため、燃料電池20の運転を一次休止して間欠運転を行うのが好ましい。そこで、間欠運転開始条件が成立しているか否かがチェックされ(ステップS38)、間欠運転開始条件が成立してない場合には(ステップS38;NO)、ステップS11にジャンプする。間欠運転開始条件が成立すると(ステップS38;YES)、電池運転休止に備えて遮断弁A1〜A5を全て閉弁し(ステップS39)、水素漏洩判定を行う(ステップS40)。この水素漏洩判定は上述したステップS2〜ステップS9と同じ処理を再度実施すればよい。このようにして間欠運転モードに移行したならば、間欠運転解除条件が成立しているか否かがチェックされる(ステップS41)。間欠運転解除条件が成立してない場合には(ステップS41;NO)、ステップS38にジャンプする。
一方、間欠運転解除条件が成立すると(ステップS41;YES)、電池運転再開に備えて遮断弁A1〜A4を全て開弁し(ステップS42)、高圧レギュレータA6を作動させて高圧の燃料ガスを燃料電池20に供給する。さらに、水素循環ポンプ55の回転数を増大させ、燃料ガスを一層加圧する(ステップS43)。間欠運転解除時にはクロスリーク等により燃料ガス圧は低下しているため、高圧の燃料ガスを燃料電池20に供給することで、窒素等の分圧を相対的に小さくし、安定した発電を行うことができる。燃料ガス供給系統の各部のガス圧P2〜P4が圧力値Pk4以上になると(ステップS44;YES)、燃料ガス供給系統のガス圧が必要かつ十分なガス圧に昇圧されたので、遮断弁A2を閉弁して(ステップS45)、低圧レギュレータA7を作動させる。
そして、最後にシステム停止要求があるか否かがチェックされる(ステップS46)。システム停止要求がない場合には(ステップS46;NO)、ステップS11にジャンプする。システム停止要求があると(ステップS46;YES)、遮断弁A1,A2を閉弁して(ステップS47)、燃料ガスの供給を停止する。更に、低電流発電を行って残留燃料ガスを消費する(ステップS48)。アノード入口ガス圧P2が圧力値Pk5以下になると(ステップS49;YES)、水素循環ポンプ55を停止し(ステップS50)、更に発電を停止する(ステップS51)。続いて、遮断弁A5を開弁することにより(ステップS52)、水素循環系の残留水素を排気する。アノード入口ガス圧P2が圧力値Pk6以下になると(ステップS53;YES)、遮断弁A3〜A5を閉弁する(ステップS54)。遮断弁A3〜A5の閉弁時点から所定時間t2を経過した後(ステップS55;YES)、エアコンプレッサ52を停止し(ステップS56)、ステップS1にジャンプする。
本実施形態によれば、高圧レギュレータA6の上流に設置された遮断弁A2を開閉制御することで、高圧レギュレータA6と低圧レギュレータA7の切り替え制御が可能になるため、燃料電池に供給される燃料ガス圧を簡易なシステム構成で異なる圧力値に調圧できる。また、高圧レギュレータA6の上流側に遮断弁A2を設置することで、遮断弁A2を低流量設計にすることが可能となり、遮断弁A2の小型化、及び圧力損失の低減を可能にできる。
[発明の実施形態2]
図8は本発明の第2実施形態に関わる燃料電池システムの調圧部71の構成を示している。本実施形態は第1実施形態の構成において調圧部70を調圧部71に置き換えた構成を備えている。調圧部71は燃料電池20に供給される燃料ガスの圧力を調圧するために高圧、中圧、及び低圧の調整圧力に設定された複数のレギュレータA6〜A8と、レギュレータA6〜A8を各々並列に接続する複数の分岐・合流路31a〜31cを含む反応ガス供給路31と、中圧レギュレータA8及び高圧レギュレータA6の各々に対して直列に配設された遮断弁A9,A2を備えて構成されている。設定圧力の異なる複数のレギュレータA6〜A8を用いることにより、レギュレータ一つあたりのダイナミックレンジが狭くても、燃料電池20の電力負荷に応じて燃料ガス圧を高圧〜低圧までの広範囲にわたって調圧できる。また、レギュレータの個数が多い程、調圧レンジを作り易いメリットがある。
図8は本発明の第2実施形態に関わる燃料電池システムの調圧部71の構成を示している。本実施形態は第1実施形態の構成において調圧部70を調圧部71に置き換えた構成を備えている。調圧部71は燃料電池20に供給される燃料ガスの圧力を調圧するために高圧、中圧、及び低圧の調整圧力に設定された複数のレギュレータA6〜A8と、レギュレータA6〜A8を各々並列に接続する複数の分岐・合流路31a〜31cを含む反応ガス供給路31と、中圧レギュレータA8及び高圧レギュレータA6の各々に対して直列に配設された遮断弁A9,A2を備えて構成されている。設定圧力の異なる複数のレギュレータA6〜A8を用いることにより、レギュレータ一つあたりのダイナミックレンジが狭くても、燃料電池20の電力負荷に応じて燃料ガス圧を高圧〜低圧までの広範囲にわたって調圧できる。また、レギュレータの個数が多い程、調圧レンジを作り易いメリットがある。
制御部60は遮断弁A2,A9を開閉制御することによりレギュレータA6〜A8の作動を切り替えることができる。例えば、遮断弁A2,A9が全て閉弁すると、低圧レギュレータA7のみが作動する。遮断弁A9が開弁し、遮断弁A2が閉弁すると、中圧レギュレータA8のみが作動し、低圧レギュレータA7は自己シール機能により燃料ガスの通過を遮断する。遮断弁A9が閉弁し、遮断弁A2が開弁すると、高圧レギュレータA6のみが作動し、低圧レギュレータA7は自己シール機能により燃料ガスの通過を遮断する。遮断弁A2,A9の設置位置としては、分岐・合流路31a〜31cの分岐点B1よりも下流側であって、且つその合流点B2よりも上流側の範囲内であれば、特に限定されるものではないが、それぞれ中圧レギュレータA8及び高圧レギュレータA6よりも上流側の位置が望ましい。遮断弁A2,A9をレギュレータ上流に設置することで、低流量設計が可能となり、小型化を実現できる。
尚、レギュレータをN個(Nは3以上の整数)並列に接続する場合には、最も低圧に設定されたレギュレータを除く(N−1)個のレギュレータの各々に対して遮断弁を直列に(N−1)個設置し、この(N−1)個の遮断弁を開閉制御することで、N個のレギュレータを切り替え制御できる。(N−1)個のレギュレータの開閉制御を行うには、目標圧力よりも高い設定圧力のレギュレータに対応する遮断弁が閉弁していればばよく、目標圧力よりも低い設定圧力のレギュレータに対応する遮断弁は開弁又は閉弁の何れの状態でもよい。
[発明の実施形態3]
図9は本発明の第3実施形態に関わる燃料電池システムの調圧部72の構成を示している。本実施形態は第1実施形態の構成において調圧部70を調圧部72に置き換えた構成を備えている。調圧部72は高負荷〜中負荷域において高圧の燃料ガスを供給するために圧力設定された高圧レギュレータA10と、中負荷域〜低負荷域において低圧の燃料ガスを供給するために圧力設定された低圧レギュレータA11と、レギュレータA10,A11を各々並列に接続する複数の分岐・合流路31a,31bを含む反応ガス供給路31を備えて構成されている。高圧レギュレータA10は、例えば、空気式の比例圧力制御弁として構成され、信号圧供給手段80から供給されるエア圧を信号圧として入力し、燃料ガス圧が所定圧力範囲になるように減圧制御する。信号圧供給手段80としては、高圧レギュレータA10にエア等の作動媒体を介して信号圧を供給できるエアコンプレッサが好適である。制御部60は電力負荷に応じて高圧レギュレータA10に供給される信号圧を制御する。具体的には、低負荷〜中負荷の範囲では低圧レギュレータA11のみが作動するように高圧レギュレータA10に高圧エアを供給して閉弁させる。中負荷〜高負荷の範囲では高圧レギュレータA10が作動するように信号圧を調整する。高圧レギュレータA10が作動している状態では低圧レギュレータA11は自己シール機能により燃料ガスの通過を遮断する。本構成によれば、レギュレータを切り替え制御するための遮断弁が不要となるため、システム構成を簡易化できる。
図9は本発明の第3実施形態に関わる燃料電池システムの調圧部72の構成を示している。本実施形態は第1実施形態の構成において調圧部70を調圧部72に置き換えた構成を備えている。調圧部72は高負荷〜中負荷域において高圧の燃料ガスを供給するために圧力設定された高圧レギュレータA10と、中負荷域〜低負荷域において低圧の燃料ガスを供給するために圧力設定された低圧レギュレータA11と、レギュレータA10,A11を各々並列に接続する複数の分岐・合流路31a,31bを含む反応ガス供給路31を備えて構成されている。高圧レギュレータA10は、例えば、空気式の比例圧力制御弁として構成され、信号圧供給手段80から供給されるエア圧を信号圧として入力し、燃料ガス圧が所定圧力範囲になるように減圧制御する。信号圧供給手段80としては、高圧レギュレータA10にエア等の作動媒体を介して信号圧を供給できるエアコンプレッサが好適である。制御部60は電力負荷に応じて高圧レギュレータA10に供給される信号圧を制御する。具体的には、低負荷〜中負荷の範囲では低圧レギュレータA11のみが作動するように高圧レギュレータA10に高圧エアを供給して閉弁させる。中負荷〜高負荷の範囲では高圧レギュレータA10が作動するように信号圧を調整する。高圧レギュレータA10が作動している状態では低圧レギュレータA11は自己シール機能により燃料ガスの通過を遮断する。本構成によれば、レギュレータを切り替え制御するための遮断弁が不要となるため、システム構成を簡易化できる。
尚、レギュレータをN個(Nは3以上の整数)並列に接続する場合には、最も低圧に設定されたレギュレータを除く(N−1)個のレギュレータを、例えば、上述した空気式の比例圧力制御弁として構成し、この比例圧力制御弁を開閉制御することで、何れか一つのレギュレータのみが作動するように構成してもよい。
10…燃料電池システム 20…燃料電池 31…燃料ガス供給路 31a,31b…分岐・合流路 60…制御部 70…調圧部 A2…遮断弁 A6…高圧レギュレータ A7…低圧レギュレータ
Claims (3)
- 燃料電池に供給される反応ガスの圧力を調圧するために各々異なる調整圧力に設定された複数のレギュレータと、
前記複数のレギュレータを各々並列に接続する複数の分岐・合流路を含む反応ガス供給路と、
前記複数のレギュレータのうち調整圧力が最も低く設定されたレギュレータを除く単一又は複数のレギュレータの各々に対して、前記分岐・合流路が分岐する分岐点の下流側であって且つ前記分岐・合流路が合流する合流点の上流側において、直列に接続された単一又は複数の遮断弁と、
前記単一又は複数の遮断弁を開閉制御することにより前記燃料電池に供給される反応ガスの供給圧を調圧する制御部と、
を備える、燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記遮断弁は前記レギュレータの上流側に配設されている、燃料電池システム。 - 燃料電池に供給される反応ガスの圧力を信号圧に応じて調圧するための複数のレギュレータと、
前記複数のレギュレータを各々並列に接続する複数の分岐・合流路を含む反応ガス供給路と、
前記複数のレギュレータのうち調整圧力が最も低く設定されたレギュレータを除く単一又は複数のレギュレータの各々に信号圧を供給することにより、前記複数のレギュレータの中から何れか一つのレギュレータを作動させて前記燃料電池に供給される反応ガスの供給圧を調圧する信号圧供給手段と、
を備える、燃料電池システム。
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