JP2005187941A - 方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤、方向性電磁鋼板の焼鈍方法および方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤、方向性電磁鋼板の焼鈍方法および方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 方向性電磁鋼板同士の焼付を防止する焼鈍分離剤、それを利用した焼鈍方法、その焼鈍分離剤を活用した方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の焼鈍分離剤は、Al化合物を溶液またはコロイド溶液の状態で含有し、さらに、高温で安定な化合物を含有し、粘度が25 (mPa・s)以下である。また、鋼板に前記焼鈍分離剤を塗布し、塗布された鋼板を焼鈍する。さらに、所定の成分を含む溶鋼から作製したスラブを最終板厚まで圧延して鋼板とし、再結晶焼鈍、前記の焼鈍方法で第1のバッチ焼鈍を施し、次いで連続焼鈍、第2の焼鈍分離剤を塗布し、第2のバッチ焼鈍を施し、方向性電磁鋼板を製造する。ここで、再結晶焼鈍は、第1の焼鈍分離剤の塗布の前に施すか、あるいは前記第1の焼鈍分離剤の塗布の後であってバッチ焼鈍の前に施すかのいずれかである。また、第1の焼鈍分離剤の片面当りの塗布量は0.005〜5g/m2とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、焼鈍に際して方向性電磁鋼板同士の焼付を防止する焼鈍分離剤、およびそれを利用した焼鈍方法に関するものである。本発明は、また、その焼鈍分離剤を活用した、方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。ここで、方向性電磁鋼板にはフォルステライト質被膜を有するものと有さないものがあるが、本発明はそれぞれの製造方法に関するものである。
電磁鋼板は、変圧器や回転機の鉄心材料として広く用いられている材料である。中でも、方向性電磁鋼板は、結晶方位をゴス(Goss)方位と呼ばれる{110} <001>方位に高度に集積させることにより、とくに優れた低鉄損を達成した鋼板である。電磁鋼板に要求される特性のうち、特に鉄損特性は製品のエネルギーロスに直接つながる特性であるために重要視されている。
また、電磁鋼板においては、打ち抜き性(punchability)や曲げ加工性も重要な特性である。すなわち、変圧器や回転機の鉄心を作製する場合には、電磁鋼板は打ち抜き、せん断および曲げ等の加工を経て所定の形状とされる。またこれらの加工を行なうための加工ラインを鋼帯が通る際には、鋼板が湾曲されたりする。したがって、上記特性が重要なのである。
一般的に方向性電磁鋼板は、特許文献1の段落番号〔0005〕などに開示されている工程により製造されている。すなわち、圧延により得られた鋼板には再結晶焼鈍が施され、その後、仕上げ焼鈍と呼ばれる1回のバッチ焼鈍が施される。このバッチ焼鈍によって二次再結晶が促進され、ゴス方位の結晶粒が集積される。
ところで、バッチ焼鈍においては鋼板はコイル状で加熱されるが、方向性電磁鋼板を製造するための仕上げ焼鈍は一般に高温で行う必要があるため、コイル内で鋼板同士の焼き付きが発生する。この焼き付きを防止するためには、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、焼鈍に際してフォルステライト質被膜を形成させる技術が広く用いられている。フォルステライト質被膜は、焼鈍分離剤中のMgOと、鋼板表面に形成される酸化物中のSiO2とが反応して形成されるものと考えられている(ただし該被膜中にはFeも含有される)。
このフォルステライト質被膜は焼鈍分離性能が良好で、また方向性電磁鋼板の特性に有利な面も有する。例えば、フォルステライト質被膜の上には、硬質のコーティング(張力被膜)を密着性良く付与することができ、鋼板に張力を付与することによって低鉄損化を図ることができる。
反面、フォルステライト被膜は硬質のグラス被膜であるため、フォルステライト質被膜を有する方向性電磁鋼板は打ち抜き性や曲げ加工性が共に劣る。すなわち、打ち抜きを行なう金型が早く磨耗したり、鋼板のせん断面にかえりが発生したりすることが問題となっている。また、曲げ加工に際しても剥離を生じやすいので、例えば、歪取り焼鈍後に曲げなどの加工を施しても剥離しない良好な耐曲げ剥離性が求められる。
これらの問題の解決のため、
(1) 加工性の良い(加工性を重視した)方向性電磁鋼板を得る手段として、加工性に不利なフォルステライト質被膜自体を形成させずに方向性電磁鋼板を製造する方法、
(2) 低鉄損等を重視し、歪取り焼鈍後に曲げなどの加工を施しても剥離しない良好な耐曲げ剥離性を有するフォルステライト質被膜を形成させる方法、などが提案されている。
(1)の方法としては、焼鈍分離剤の成分を変化させる方法、すなわち、鋼板表面のSiO2と反応するMgOを含まない焼鈍分離剤を、再結晶焼鈍後に塗布し、仕上げ焼鈍を施す方法が試みられている。
ここで、MgO以外を主成分とする焼鈍分離剤としては、特許文献2、特許文献3および特許文献4に開示されている、アルミナ(粉末)を主成分としたものや、特許文献5および特許文献6に開示されているアルミナおよび/またはシリカを主成分としたものが知られている。これらの焼鈍分離剤は静電塗布されるか、水スラリーあるいはアルコール類等に懸濁させた懸濁液として鋼板に塗布される。しかしながら、これらの焼鈍分離剤は鋼板に対する密着性が乏しいために、焼鈍分離剤塗布後の製造ラインを通板中に剥離しやすい。この結果、1)塗布量の制御が難しい。2)焼鈍分離剤の歩留まりが悪い。3)粉塵の発生や、それによるライン汚染が懸念される、などの問題があった。
鋼板への密着性に優れた焼鈍分離剤としては、コロイド状態のアルミナの集合体が羽毛状形態となったものを主成分とする焼鈍分離剤が、特許文献7で開示されている。しかしながら、この焼鈍分離剤は鋼板へ均一に塗布することが難しいところに問題があった。また、この焼鈍分離剤は、絶縁被膜をさらに形成する前に、酸洗あるいはアルカリ洗浄による除去工程が必要とされており、操業上不便である。
結局、従来は、一度フォルステライト質被膜を形成した後に、酸洗、化学研磨あるいは電解研磨等の手段によってフォルステライト質被膜を除去するという、コストや手間の掛かる方法が、最も実用的な方法として行なわれてきた。
なお、焼鈍分離剤を使用せずに、加工性のよい方向性電磁鋼板を製造する試みもなされている。例えば、特許文献8は、インヒビター形成成分を含まない成分系にてゴス方位結晶粒を二次再結晶させる技術を提案し、この方法によって仕上げ焼鈍温度が低温化し、焼鈍分離剤が不要となるとしている。しかながら、方向性電磁鋼板の仕上げ焼鈍としては低温であっても、鋼板の焼き付きを完全に防止し得る水準ではなく、安定生産という観点からは問題があった。
一方、(2)の方法としては、特許文献1に、再結晶焼鈍後に、連続焼鈍を挟む2回のバッチ焼鈍を施すことにより、磁気特性と被膜特性を両立する技術が開示されている。すなわち、従来の技術では、仕上げ焼鈍において二次再結晶の進行とフォルステライト質被膜の形成との両方を実現している。しかし、それぞれの最適な焼鈍条件が一致しないため、磁気特性の向上を図ろうとすると被膜特性が劣化し、逆に被膜特性の向上を図ろうとすると磁気特性が劣化する。これに対して特許文献1に開示の技術は、2回のバッチ焼鈍で仕上げ焼鈍の機能を達成するようにし、1回目のバッチ焼鈍で二次再結晶を促進し、2回目のバッチ焼鈍でフォルステライト質被膜を形成しようとするものである。
この公報では1回目のバッチ焼鈍時に鋼板同士の密着が懸念される場合、焼鈍分離剤を塗布してもよいとしている。しかし、再結晶焼鈍後の1回目のバッチ焼鈍にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を用いると、2回目のバッチ焼鈍でのフォルステライト被膜形成に悪影響を及ぼし、良好な被膜特性を得ることとが非常に困難になってしまう。また、特許文献1の方法では、1回目のバッチ焼鈍後に脱炭を行なうことが好ましいが、フォルステライト質被膜のような被膜は脱炭を阻害するという不都合もある。
他方、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を用いずに1回目のバッチ焼鈍を施そうとすると、(1)と同様の諸問題が発生する。
特開2003-41323号公報 特開平6-136448号公報 特開平7-118750号公報 特開平5-156362号公報 特開平11-61261号公報 特開平8-134542号公報 特開平10-121142号公報 特開2000-129356号公報
本発明は上述の問題を解消するためになされたものであり、MgOを含まず、かつ鋼板への塗布性および塗布後の密着性に優れ、粉塵問題やそれによるライン汚染を生じさせることなく方向性電磁鋼板を製造できる焼鈍分離剤、およびそれを利用した焼鈍方法を提案するものである。また、本発明はその焼鈍分離剤を用いた、変圧器や回転機の鉄心材料に好適な方向性電磁鋼板の製造方法を提案するものである。特に、フォルステライト質被膜の被膜特性に優れた方向性電磁鋼板、およびフォルステライト質被膜を有さない、加工性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法を提案するものである。
本発明の形態は、(1)方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤、(2)方向性電磁鋼板の焼鈍方法、(3)フォルステライト質被膜を有する方向性電磁鋼板の製造方法および(4)フォルステライト質被膜を有さない方向性電磁鋼板の製造方法に類別される。
(1)方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤
本発明は、Al化合物を溶液またはコロイド溶液の状態で含有し、かつ、高温で安定な化合物を含有し、さらに粘度が25mPa・s以下である、方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤である。
前記焼鈍分離剤の塗布の後、前記焼鈍分離剤を焼き付ける焼き付け処理を施すことが好ましい。
ここで、高温で安定な化合物とは、対象とする焼鈍に際して、該化合物が鋼板表面もしくは鋼板表面の酸化物等と反応しないあるいは反応を起こしにくいこと、および、該化合物自身が反応しないあるいは反応を起こしにくいことを指す。具体的には、Si化合物、Sr化合物、Ca化合物、Zr化合物、Ti化合物およびBa化合物の群から選ばれる少なくとも1種が例示される。なお、MgOは単独では高温でも安定であるが、鋼板表面の酸化物と反応するので、ここでいう「高温で安定」には該当しない。
また、ここで、Al化合物は溶液状態またはコロイド溶液状態にあるので、溶液あるいはコロイド溶液を形成する液体(便宜上溶媒と総称する)と親和性を有する構造部(官能基等)を有する物質である。従って、例えば一般のスラリーや懸濁液に用いられるアルミナ粒子などとは化学的に異なる物質である。また言うまでもなく、存在形態においてもスラリーや懸濁液と相違する。
溶媒は水をベースとすることが好ましい。また、前記Al化合物は、水酸基および有機酸基を有するAl化合物、および、水酸基および有機酸基を有するAl化合物の脱水反応物(一部脱水反応物も含む)、の少なくともいずれかであることが好ましい。さらに好ましくは、前記Al化合物は、塩基性酢酸Al、塩基性ギ酸Al、塩基性塩酸Al、塩基性硝酸Al、塩基性シュウ酸Al、塩基性スルファミン酸Al、塩基性乳酸Alおよび塩基性クエン酸Alから選ばれる1種、または2種以上の混合物である。
なお、前記焼鈍分離剤が、前記高温で安定な化合物を、溶液またはコロイド溶液の状態で含有してもよい。
また、前記Al化合物の含有量が下記式(1)で表される固形分比率で40〜95mass%であることが好ましい。
Al化合物の固形分比率=(前記Al化合物の固形分)/{(前記Al化合物の固形分)+(前記高温で安定な化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(1)
ただし、前記Al化合物の固形分はAl2O3に換算し、前記高温で安定な化合物は、前記焼鈍分離剤を塗布した後に焼き付けた場合に生成される主要化合物に換算するものとする。
本発明は好ましくは、Al化合物を溶液またはコロイド溶液の状態で含有し、かつ、Si化合物、Sr化合物、Ca化合物、Zr化合物、Ti化合物およびBa化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含有し、前記Al化合物の含有量が下記式(2)で表される固形分比率で40〜95mass%であり、かつ、前記焼鈍分離剤の粘度が25mPa・s以下である、方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤である。
ここで、Al化合物の固形分比率=(Al化合物の固形分)/{(Al化合物の固形分)+(前記少なくとも1種の化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(2)
ここで各化合物の固形分は下記の各化合物の重量に換算された値である
Al化合物・・・Al2O3、 Si化合物・・・SiO2
Sr化合物・・・SrO、 Ca化合物・・・CaO、
Zr化合物・・・ZrO2、 Ti化合物・・・TiO2
Ba化合物・・・BaO。
ここで、前記焼鈍分離剤が、前記Si化合物、Sr化合物、Ca化合物、Zr化合物、Ti化合物およびBa化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、溶液またはコロイド溶液の状態で含有してもよい。
特に好ましい発明の形態は、前記焼鈍分離剤が、Al化合物およびSi化合物を主成分とし、Al化合物とSi化合物との比率がAl2O3/(Al2O3+SiO2)に換算した値で40〜95mass%であり、粘度が25mPa・s以下であり、かつ、溶液またはコロイド溶液の状態である、方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤である。
上記発明において、前記焼鈍分離剤はさらにSまたはSを含有する化合物を、前記焼鈍分離剤を塗布した後に焼き付けた場合について求められた固形分比率で25mass%以下含有してもよい。前記の「SまたはSを含有する化合物」は、硫酸Sr、硫酸Mgおよび硫化Mgから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(2)方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
本発明は、鋼板に焼鈍分離剤を塗布し、塗布された鋼板を焼鈍する、方向性電磁鋼板の焼鈍方法であって、前記焼鈍分離剤が、Al化合物を溶液またはコロイド溶液の状態で含有し、かつ、高温で安定な化合物を含有し、さらに粘度が25mPa・s以下である、方向性電磁鋼板の焼鈍方法である。
前記焼鈍分離剤の塗布の後、前記焼鈍分離剤を焼き付ける焼き付け処理を施すことが好ましい。
その他、(2)の方向性電磁鋼板の焼鈍方法には、(1)に記載した好適な焼鈍分離剤のすべてを適用可能である。
(3)フォルステライト質被膜を有する方向性電磁鋼板の製造方法
本発明は、C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含む溶鋼から作製したスラブ(薄スラブ等も含む。以下同様)を最終板厚まで圧延して鋼板とする工程と、前記鋼板に再結晶焼鈍を施す工程と、前記鋼板にバッチ焼鈍を(1)に記載の焼鈍方法で施す第1のバッチ焼鈍工程とを有し、ここで、第1のバッチ焼鈍工程において焼鈍前に塗布する上記焼鈍分離剤を第1の焼鈍分離剤と呼ぶものとすると、前記再結晶焼鈍は、前記第1の焼鈍分離剤の塗布の前に施すか、あるいは、前記第1の焼鈍分離剤の塗布の後であって前記バッチ焼鈍の前に施すかのいずれかであって、かつ、第1の焼鈍分離剤の片面当りの塗布量を0.005〜5g/m2とし、その後、前記鋼板に連続焼鈍を施す工程と、前記鋼板にMgOを含有する第2の焼鈍分離剤を塗布し、その後バッチ焼鈍を施す第2のバッチ焼鈍工程とを有する方向性電磁鋼板の製造方法である。
本方向性電磁鋼板は、磁気特性およびフォルステライト質被膜の被膜特性に優れる。
(4)フォルステライト質被膜を有しない方向性電磁鋼板の製造方法
本発明は、C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含む溶鋼から作製したスラブを最終板厚まで圧延して鋼板とする工程と、前記鋼板に再結晶焼鈍を施す工程と、前記鋼板にバッチ焼鈍を(1)に記載の焼鈍方法で施す仕上げ焼鈍工程とを有し、ここで前記再結晶焼鈍は、前記仕上げ焼鈍工程における焼鈍分離剤の塗布の前に施すか、あるいは、(1)に記載の焼鈍分離剤の塗布の後であって前記バッチ焼鈍の前に施すかのいずれかであって、かつ、前記焼鈍分離剤の片面当りの塗布量を0.005〜5g/m2とする、方向性電磁鋼板の製造方法である。
本方向性電磁鋼板は、磁気特性および加工性に優れる。
上記(3)および(4)のいずれの発明においても、インヒビター形成成分を用いない方向性電磁鋼板への適用が可能である。この場合、前記スラブが、Alを150ppm以下、N,S,Seを各々50ppm以下に低減した組成を有する溶鋼から作製したスラブであることが好ましい。
また、上記(3)および(4)のいずれの発明においても、スラブを最終板厚まで圧延して鋼板とする前記工程が、前記Alスラブを熱間圧延して熱延鋼板とする工程と、必要に応じて前記熱延鋼板を焼鈍する熱延板焼鈍を施す工程と、1回の冷間圧延、もしくは、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする工程とを有することが好ましい。
(4)の発明のさらに好適な形態は、
C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含んだ溶鋼から作製したスラブを熱間圧延熱する工程と、次いで1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする工程と、次いで再結晶焼鈍を施す工程と、次いで(1)に記載の焼鈍方法で仕上げ焼鈍を施す工程を有し、かつ、前記仕上げ焼鈍において焼鈍前に塗布する焼鈍分離剤の塗布量を片面当り0.005〜5g/m2とする、方向性電磁鋼板の製造方法、または、
C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含み、かつAlを150ppm以下およびN,S,Seを各々50ppm以下に低減した成分組成を有する溶鋼から作製したスラブを熱間圧延熱する工程と、次いで1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする工程と、次いで再結晶焼鈍を施す工程と、次いで(1)に記載の焼鈍方法で仕上げ焼鈍を施す工程を有し、かつ、前記仕上げ焼鈍において焼鈍前に塗布する焼鈍分離剤の塗布量を片面当り0.005〜5g/m2とする、方向性電磁鋼板の製造方法である。
この好適な発明の形態においては、前記焼鈍分離剤が、Al化合物およびSi化合物を主成分とし、Al化合物とSi化合物との比率がAl2O3/(Al2O3+SiO2)に換算した値で40〜95mass%であり、粘度が25mPa・s以下であり、かつ、溶液またはコロイド溶液の状態であることが好ましい。
本発明によれば、鋼板への塗布性および塗布後の密着性に優れ、粉塵問題やそれによるライン汚染を生じさせることなく方向性電磁鋼板を製造できる焼鈍分離剤、およびそれを利用した焼鈍方法を提案する。また、本発明はその焼鈍分離剤を用いて変圧器や回転機の鉄心材料に好適な方向性電磁鋼板を製造することができる。特に、フォルステライト質被膜の被膜特性に優れた方向性電磁鋼板、およびフォルステライト質被膜を有さない、加工性に優れた方向性電磁鋼板が製造可能となる。さらに、本発明の製造方法は、焼鈍分離剤塗布過程およびそれ以後の工程において安定的な操業を確保することができ、密着性を達成しながら、純化や脱炭の阻害も伴なわず、しかも被膜除去作業も不要である、などの優れた操業性も有する。
発明者らは、塗布性および塗布後の密着性に優れた焼鈍分離剤について鋭意研究を重ねた結果、まずAl化合物と高温で安定な化合物とを主成分とすること、少なくともAl化合物が溶液の状態またはコロイド溶液の状態であること、により、上記問題点を解決できることを見出した。また本発明者らは、前記焼鈍分離剤の好適な粘度やAl化合物の固形分比率、および鋼板に適用する際の好適な塗布量をも見出した。以下に本発明を成功に到らしめた実験に基づいて説明する。
mass%で、C:0.020%、Si:3.30%、Mn:0.070%およびSb:400ppmを含み、Al:38ppm、N:33ppm、S:18ppm、Se:10ppm未満(分析限界値未満)に抑制した成分組成からなる鋼スラブを連続鋳造にて製造した。その後、該鋼スラブに1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とした。次いで、冷間圧延された鋼板に再結晶焼鈍および仕上げ焼鈍を施した。
ここで、仕上げ焼鈍前に、焼鈍分離剤としてシリカゾル(コロイド状シリカ)の水性コロイド溶液(固形分濃度3.0mass%)を用い、鋼板表面(両面)に片面当り0.1〜3.0g/m2の範囲で、ロールコーターを用いて塗布した。
塗布の後は、鋼板の到達温度250℃の条件で焼き付け処理を施し、その後放冷した。塗布前と焼き付け処理後との、鋼板重量の差から焼鈍分離剤の付着量を求め、これを焼鈍分離剤の塗布量とした。
仕上げ焼鈍においては、850℃で30時間、窒素雰囲気で保定した後、1000℃で5時間、Ar雰囲気で保定した。
得られた鋼板について、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、仕上げ焼鈍時の焼鈍分離効果の3項目について、試験を行なった。
各性能評価法の詳細は以下の通りである。後述する実験2、3、および実施例での評価方法も同様である。
・塗布性
焼鈍分離剤を塗布後の鋼板を目視にて評価した。
〇:鋼板全体が均一に塗布されている
△:全体に塗布されているが不均一である
×:塗布されているところとされていないところがある
・乾燥後の密着性
焼鈍分離剤を焼き付け後、鋼板をブラッシングしながら10秒間、流速約1.0m/sの条件で流水洗浄した。その後、リンガーロールで水切りし、200℃×10sの条件で乾燥させた。その後、鋼板重量を再測定して焼鈍分離剤の付着量を再度算出した。そして水洗前後の焼鈍分離剤付着量の差を求めて、これを剥離量とした。得られた剥離量に基づき、次のように評価した。
〇:焼鈍分離剤の剥離量が塗布量の10%以下
△:焼鈍分離剤の剥離量が塗布量の10超〜80%未満
×:焼鈍分離剤の剥離量が塗布量の80%以上
・焼鈍分離効果
焼鈍分離剤を塗布し、0.74MPaの押し付け荷重をかけながら、仕上げ焼鈍を施した。その後、焼き付いた鋼板を引張試験機で剥がし、剥離に要する強度(剥離強度)を測定することによって次のように評価した。
〇:鋼板の焼き付きなし(剥離強度10N以下)
△:鋼板の焼き付きが一部分で認められる(剥離強度10N超〜60N未満)
×:完全に鋼板が焼き付いている(剥離強度60N以上)
表1に試験結果を示す。
Figure 2005187941
表1より、実験1に用いた焼鈍分離剤は、塗布性および焼鈍分離効果は良好であったが、すべての条件で焼鈍分離剤の鋼板への密着性が不十分であった。
上記の実験1より、シリカゾルは仕上げ焼鈍時の焼鈍分離効果は有しているが焼鈍分離剤としての鋼板への密着性に問題があることが判明した。そこで、発明者らは、シリカゾルを焼鈍分離剤として用い、かつ、鋼板への密着性を高めるため、造膜成分としてアルミナゾルの添加することの有効性を検討した。
<実験2>
実験1と同じ製造工程において、仕上げ焼鈍前の鋼板表面(両面)に、アルミナゾル(コロイド状アルミナ)およびシリカゾルを主成分とした水性コロイド溶液からなる焼鈍分離剤(固形分濃度2.0mass%)を、片面あたり0.5g/m2の塗布量で、ロールコーターを用いて塗布した。次いで鋼板の到達温度250℃で焼き付けて放冷した。その後、実験1と同様に、850℃で30時間、窒素雰囲気で保定した後に1000℃で5時間、Ar雰囲気で保定する仕上げ焼鈍を施した。
得られた鋼板に対し、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、仕上げ焼鈍時の焼鈍分離効果の3項目について、実験1と同様の評価方法で調査した。
アルミナゾルとシリカゾルの比率は、Al2O3 /(Al2O3+SiO2)換算で20〜100mass%の範囲で、焼鈍分離剤の粘度は3.5〜100 mPa・sの範囲で、それぞれ変化させた。なお、焼鈍分離剤の粘度は、異なる粘度のアルミナゾルを用いることにより変化させた。アルミナゾルの粘度は、例えばゾル粒子の形状や固形分濃度などにより制御できる。例えばゾル粒子の外形が羽毛状の場合は高粘度となり、球状(あるいは粒状)や楕円体(あるいは棒状)に近い場合は低粘度となる。
表2に、アルミナゾルとシリカゾルの比率を変化させた場合の実験結果を示す。
Figure 2005187941
表2より、アルミナゾルの比率が低いものは焼鈍分離剤の密着性が不十分であった。他方、アルミナゾルの比率が多すぎると、造膜作用が強くなりすぎて、鋼板への均一な塗布が困難になり、製品の外観不良を招いた。なお、焼鈍分離効果は全ての条件で良好であった。
また、表3に焼鈍分離剤の粘度を変化させた実験結果を示す。
Figure 2005187941
表3より、粘度が大きくなると鋼板への塗布性が著しく劣化し、塗布されている部分と塗布されていない部分が発生した。塗布できていない部分において鋼板の焼き付きが発生したため、良好な塗布性を確保し焼鈍分離効果を有する為には、粘度を制御する必要があることが判明した。
<実験3>
次に、実験1と同じ製造工程において、仕上げ焼鈍前の鋼板表面(両面)にロールコーターを用いて、アルミナゾルおよびシリカゾルを主成分とした水性コロイド溶液からなる焼鈍分離剤(固形分濃度2.5mass%)を、塗布量を片面当り0.001〜6g/m2の範囲の各条件として塗布した。焼鈍分離剤の粘度は2.5mPa・sとし、アルミナゾルとシリカゾルの比率はAl2O3 /(Al2O3+SiO2)換算で75mass%とした。
次いで、鋼板の到達温度250℃の条件で焼き付け、放冷した。その後、実験1と同様に850℃で30時間、窒素雰囲気で保定した後に1000℃で5時間、Ar雰囲気で保定する仕上げ焼鈍を施した。
得られた鋼板について、実験1と同様の評価方法により、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、および仕上げ焼鈍時の焼鈍分離効果の3項目について調査した。
表4に塗布量を変化させた際の実験結果を示す。
Figure 2005187941
表4より、塗布量が極端に少ない場合は、焼鈍分離効果が不十分となり、鋼板の焼き付きが発生した。一方、塗布量が多くなると、焼鈍分離剤の鋼板への密着性が低下する。以上より、良好な鋼板への密着性を確保し、かつ焼鈍分離効果を有する為には焼鈍分離剤の塗布量を制御することが好ましい。
以上の実験結果より、焼鈍分離剤として、シリカのような高温焼鈍時の安定性に優れる化合物と、造膜成分として溶液状態またはコロイド溶液状態のAl化合物を主成分として採用し、Al化合物の固形分比率および粘度を規定することにより、優れた塗布性および塗布後の密着性が得られることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
次に本発明の焼鈍分離剤、方向性電磁鋼板の焼鈍方法、および方向性電磁鋼板の製造方法について、詳しく説明する。
まず、焼鈍分離剤の限定理由について説明する。限定は一般に、鋼板に塗布する時点での規定である。
焼鈍分離剤の主成分として、溶液の状態またはコロイド溶液の状態であるAl化合物と、高温で安定な化合物、すなわち高温安定性に優れ、バッチ焼鈍時に反応しないあるいは反応を起こしにくい、MgOを除く公知の1種または2種以上の化合物を主成分として使用する。なお、上記高温で安定な化合物がAl化合物と共に溶液状態あるいはコロイド溶液状態となっていてもよい。すなわち、焼鈍分離剤が溶液あるいはコロイド溶液であってもよい。
ここで、溶液の状態にあるとは、水や有機溶剤を媒体に、前記化合物が溶解している状態を言う。また、コロイド溶液状態にあるとは、100nm程度以下の前記化合物の粒子が、前記媒体と親和性を有する、官能基等の構造部分を介して、前記媒体中に安定的に分散している状態を言う。いずれの場合も、媒体となる液体は総称して溶媒と呼ぶものとする。コロイド溶液は外見上懸濁がなく透明なので溶液と似ているが、コロイド粒子が存在する場合は光散乱の測定により確認される。
なお、主成分とは、後述の副剤や添加剤以外の組成成分を指す。従って、主成分は、乾燥後の焼鈍分離剤成分(すなわち溶質あるいはコロイドを形成する物質)全体に対して、約65mass%以上、好ましくは75mass%以上を占める。
溶媒となる液体にとくに限定はなく、水でも有機溶剤でも使用可能である。有機溶剤としては、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が一般的に使用されるが、これらに限定するものではない。水を溶媒としたものが、コストや前記化合物の選択の多様性の観点などからは好ましい。この場合、液特性の調整等の目的で、水に約50mass%以下の有機溶剤を混合しても良い。水を主溶媒とした前記の場合、水系焼鈍分離剤と呼ぶものとする。
Al化合物、および、上記の高温で安定な化合物は、従来の焼鈍分離剤に用いられるMgOのように地鉄と反応することは殆ど無いので、フォルステライト質被膜のような打ち抜き加工性を著しく劣化させる被膜を形成しない。このため、打ち抜き加工性に優れた方向性電磁鋼板を供給する場合非常に有効である。
焼鈍分離剤の主成分として2種類以上の化合物を使用したのは、高温で安定な化合物による大きな焼鈍分離効果と、溶液状あるいはコロイド状のAl化合物による良好な造膜効果との、両方を得るためである。この二つを複合することで初めて、塗布性および塗布後の鋼板への密着性に優れた、鋼板用の焼鈍分離剤として有効に機能し、とくに方向性電磁鋼板用の焼鈍分離剤に求められる特性を満足する。
Al化合物は、造膜機能を確保するために、水等の溶媒中でコロイドを形成する化合物に限定される。すなわち、Al化合物はコロイド状態でないと造膜作用を奏しないので、密着性が得られない。例えばアルミナをスラリーや懸濁液として塗布した場合は造膜しない。Al化合物コロイドの粒径は約50nm以下とすることが好ましい。下限については好適な粒径限界はなく、分析限界付近においても充分効果を奏する。
水系焼鈍分離剤の場合、Al化合物は水酸基および有機酸基を有するアルミニウム化合物および/またはその脱水反応物(一部脱水でもよい。以下同様)であることが好ましい。さらに好ましくは、Al、水酸基および有機酸基からなるアルミニウム化合物および/またはその脱水反応物である。具体的には、例えば、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性塩酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性シュウ酸アルミニウム、塩基性スルファミン酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性クエン酸アルミニウムから選ばれる一種、またはこれらから選ばれる二種以上の混合物が挙げられる。
このなかでも塩基性酢酸アルミニウムはAlx (OH)y (CH3COO)z、(x,y,zは1以上)の分子式で表されるもので、特にAl2(OH)5(CH3COO)が好ましい。これは分子レベルでの溶解状態から数nm程度のコロイド状態で存在でき、塗液原料として好適に使用できる。熱分析するとおよそ200〜230℃で大きな脱水反応のピークがあり、加熱によって脱水縮合による分子間のネットワークを形成して膜を形成する。上記塩基性酢酸アルミニウム等は一部または全部が脱水反応を生じていてもよい。
有機溶剤を溶媒とする場合も、好適なAl化合物として、水系焼鈍分離剤の場合と同様のものが適用できる。
高温で安定な、MgOを除く化合物としては、公知のものが使用でき、特に限定されるものではないが、例えばSi化合物, Sr化合物, Ca化合物, Zr化合物, Ti化合物, Ba化合物が挙げられる。具体的な化合物としては、SiO2, SrO, TiO2, BaO, CaOといった酸化物が挙げられる。
なお、上記の高温で安定な化合物を溶液あるいはコロイド溶液として含有させるためには、例えば水系焼鈍分離剤の場合は、水酸基等の親水性基を有する形態に化学変化したものを用いることが好ましい。しかし、高温で安定な化合物の場合、他の方法として、溶媒中で既知の親水性の物質に表面を覆われるような状態を作り出しても良い。有機溶剤を溶媒とする場合も親油性基等を用いて同様の思想で設計すればよい。
なお高温で安定な化合物というときの高温とは、焼鈍温度を指すが、方向性電磁鋼板用としては1200℃で安定であれば十分であり、より好ましくは1300℃で安定であればよい。これらの温度において、当該化合物が、それ自身、鋼板、あるいは鋼板表面の酸化物等(SiO2、FeO、Fe3O4、Fe2SiO4等)と実質的に反応しなければよい。
上記化合物はいずれもAl化合物との共存により、焼鈍分離剤の塗布性を改善する効果が得られるが、中でもとくにSi化合物が、塗布性や焼鈍分離性能等の観点から好適である。Si化合物としてはコロイド状シリカ、すなわちいわゆるコロイダルシリカが、アルミナゾルとの安定性が高い上にコストも比較的安価であることから、とくに好適である。コロイダルシリカはSiO2を主成分とする無機コロイドであり、アモルファス状であることが多い。
なお、アルミナ粒子等の、溶液・コロイド溶液でないAl化合物(非コロイド系Al化合物と呼ぶものとする)も高温で安定ではあるものの、溶液・コロイド溶液状Al化合物の塗布性改善の効果は小さい。したがって、主成分の一部としての非コロイド系Al化合物の添加自体は禁止されないものの、非コロイド系Al化合物以外の高温で安定な化合物を含有させることが好ましい。また非コロイド系Al化合物は、後述の固形分比率の計算において考慮しないものとする。
Al化合物の固形分比率は、下記式(1)で表される固形分比率で40〜95mass%であることが好ましい。
Al化合物の固形分比率=(Al化合物の固形分)/{(Al化合物の固形分)+(高温で安定な化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(1)
ただし、Al化合物の固形分はAl2O3に換算し、前記高温で安定な化合物は焼き付け後の主要化合物に換算するものとする。例えばシリカゾルならば、シリカすなわちSiO2が主要化合物となり、チタニアゾルならばチタニアすなわちTiO2が主要化合物となる。なお、焼き付け工程をとくに設けていない場合であっても、焼き付け処理を施した場合に生成される主要化合物に換算する。
固形分が実質的にこれらの化合物のみからなる場合は、式(1)は、式(3)に置き換えられる。
Al化合物の固形分比率=(Al化合物の固形分)/(全固形分)・・・・・・ 式(3)
ここで、固形分は乾燥後の焼鈍分離剤成分に含まれる分量を指す。
Al化合物の固形分比率が40mass%以下であると、造膜成分であるAl化合物が不十分となり、焼鈍分離剤の密着性が不十分となる。また、固形分比率が95mass%を超えると、反応性の高いAl化合物の量が多くなりすぎ、塗液が安定しない。このため、均一な被膜が形成できず、製品の外観が不良となる。Al化合物の固形分比率は、好ましくは、50mass%、より好ましくは、60mass%、さらに好ましくは70mass%以上である。
高温で安定な化合物として、Si化合物、Sr化合物、Ca化合物、Zr化合物、Ti化合物およびBa化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いる場合は、Al化合物の固形分率は下記式(2) に置き換えられる。
Al化合物の固形分比率=(Al化合物の固形分)/{(Al化合物の固形分)+(前記少なくとも1種の化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(2)
ただし、各化合物の固形分は下記の各化合物の重量に換算された値を用いることが好ましい。
Al化合物・・・Al2O3、 Si化合物・・・SiO2
Sr化合物・・・SrO、 Ca化合物・・・CaO、
Zr化合物・・・ZrO2、 Ti化合物・・・TiO2
Ba化合物・・・BaO。
高温で安定な化合物としてSi化合物を採用した場合、すなわち固形分がAl化合物とSi化合物とを主成分とする場合は、Al化合物とSi化合物との比率がAl2O3/(Al2O3+SiO2)に換算した値で40〜95mass%とすることが好ましい。
焼鈍分離剤の粘度は25 (mPa・s)以下と規定する。粘度が25 (mPa・s)を超えると塗布性が著しく劣化し、鋼板に焼鈍分離剤を均一に塗布する妨げとなる。また、その結果として塗布されない部分が発生し、仕上げ焼鈍時に鋼板相互の密着が発生する原因となる。なお。本発明での粘度とは液温25℃における焼鈍分離剤の粘度をオストワルド粘度計によって測定した値である。
なお、コロイド溶液でなくコロイドのスラリーを用いた場合も塗布の均一性が得られない。これは、粘度が適合しないことと、スラリー内のコロイドの凝集により粘度変動が大きいことが一因と考えられる。
さらに上述した焼鈍分離剤中に副剤としてS(単体)またはSを含有する化合物(以下両者をS含有化合物と総称する)とを添加させると、より、方向性電磁鋼板に安定的に良好な磁気特性を付与することが可能となる。この理由は明らかではないが、バッチ焼鈍時にS含有化合物が分解されてSが鋼中に侵入し、粒界に偏析しているものと考えられる。すなわち、偏析したSにより粒成長が抑制され、その結果、二次再結晶が安定化されているものと考えられる。
なお、偏析するS量が過多になると、逆に二次再結晶不良を発生させる可能性がある。このような事態の回避を重視する場合は、S含有化合物の添加量は焼き付け後の焼鈍分離剤成分に対する固形分比率で約25mass%以下とすることが好ましい。なお、焼き付け工程をとくに設けていない場合であっても、焼き付け処理を施した場合に生成されるS含有化合物の固形分比率で評価する。
S含有化合物としては、特に限定されるものではないが硫酸塩(亜硫酸塩なども含む)、金属硫化物などの無機S化合物が好ましい。具体的には、硫酸ストロンチウム、硫酸マグネシウムおよび硫化マグネシウムといったものが挙げられる。
焼鈍分離剤の塗布方法は一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター,スプレー,ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。
なお、本発明の焼鈍分離剤は、塗布の後、加熱して焼き付け処理を施すことが好ましい。焼き付け方法についても、通常実施されるような、熱風式、赤外式、誘導加熱式等の方法が適用可能である。焼き付け処理の条件は種々の事情に合わせて設定すればよいが、通常は、好適な温度が約150〜400℃、好適な時間が約1〜300秒である。
なお、焼鈍分離剤の塗布性や鋼板への密着性といった性能を一層向上させるために、界面活性剤や防錆剤等の添加剤を配合してもよい。添加剤の含有量は、焼鈍分離剤として十分な焼鈍分離効果を維持するために、乾燥後の焼鈍分離剤成分に対して10mass%以下程度とすることが好ましい。
なお、界面活性剤は、市販の非イオン系、アニオン系、カチオン系のいずれのものも適用できる。
防錆剤も、界面活性剤と同様、種類はとくに限定されず、市販のものを適用できる。
本発明の焼鈍分離剤は、方向性電磁鋼板への適用にとくに好適であるが、他の鋼板への適用を禁じるものではない。
また、本発明の焼鈍分離剤は、とくに鋼帯をコイル状に巻いたまま炉内において加熱する際に有効であるが、他に、鋼板を積み重ねて熱処理する場合などにも適用できる。
次に、本発明に従って方向性電磁鋼板を製造する上での好適条件を以下に説明する。
製品板および出発素材(溶鋼あるいは鋼スラブ)の成分組成については、方向性電磁鋼板に好適であると知られているいずれの成分も適用可能である。以下に代表的な成分系における好適な溶鋼成分について、各成分の限定理由を説明する。
C:0.08mass%以下
Cは、その含有量が0.08mass%を超えると、磁気時効の起こらない50massppm以下までCを低減することが、製造工程中では達成が困難になるので、0.08mass%以下とすることが好ましい。とくに下限は不要であるが、工業的には5massppm程度が低減の限界である。
Si:2.0〜8.0mass%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であり、その効果を得るためには2.0mass%以上含有させることが好ましい。一方、8.0mass%を超えると加工性や磁束密度が低下するので、上限は8.0mass%とすることが好ましい。したがって、好ましいSiの含有量は、2.0〜8.0mass%である。
Mn:0.005〜1.0mass%
Mnは熱間加工性を良好にするために有効な元素であり、0.005mass%以上の添加が好ましい。他方、過剰のMnは製品板の磁束密度を低下させる。この観点から好ましいMnの含有量は、1.0mass%以下である。したがって、好ましいMnの含有量は、0.005〜1.0 mass %である。
方向性電磁鋼板の製造に際しては、二次再結晶に際してゴス方位を発達させるためにインヒビターを形成する元素(インヒビター形成成分)を添加することが一般的である。しかし、鋼中不純物元素を低減することで、インヒビターを用いることなくゴス方位を発達させることも可能であることが近年知られるようになっている。
インヒビターを用いることなくゴス方位結晶粒を二次再結晶により得るためには、Alを150massppm以下、N、S、Seについては50massppm以下に低減することが好ましい。かかる成分は極力低減することが磁気特性の観点から望ましく、例えばAlは100massppm以下とすることが、より好ましい。しかし、かかる成分を低減するためにコスト高となる場合があることから上記範囲内で残存させることは何ら問題ではない。現状では、低減コストから限定される含有量の下限はいずれの元素も約10massppm程度である。
なお、インヒビターを用いる場合は逆に、適用するインヒビターに応じてこれらの元素を添加する。例えば、インヒビターとしてAlNを用いる場合はAl:0.015〜0.04mass%およびN:0.005〜0.015mass%を、BNを用いる場合はB:0.001〜0.006mass%およびN:0.005〜0.015mass%を、MnSeおよび/またはMnSを用いる場合はSe、Sの少なくともいずれか一種類を0.005〜0.06 mass%、それぞれ添加することが一般的である。
なお、方向性電磁鋼板にSbおよび/またはSnを合計で0.005〜0.1mass%程度添加することは、磁気特性をさらに改善するので好ましい。
その他、Ge、Mo、Te、Biはそれぞれ0.1mass%以下、P、Cu、Crはそれぞれ0.2mass%以下、Niは0.5mass%以下含有されていてもとくに問題はない。また、残部は鉄および不可避的不純物であることが好ましい。
上記成分を有する溶鋼からは、通常の造塊法または連続鋳造法によって通常の寸法のスラブを製造してもよいし、100mm以下の厚さの薄鋳片(いわゆる薄スラブ)を直接鋳造法で製造してもよい。スラブは通常の方法で再加熱して熱間圧延するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。薄鋳片の場合には熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。
熱間圧延された鋼板は、次いで必要に応じて焼鈍(熱延板焼鈍)を施される。とくに、熱間圧延においてバンド組織が形成されるような場合には、整粒の一次再結晶組織を実現し、よって二次再結晶の発達を促進するために、熱延板焼鈍の実施が好ましい。
前記バンド組織の解消のためには、熱延板焼鈍温度は800℃以上とすることが好ましい。他方、熱延板焼鈍によって粒径が粗大化しすぎることは、整粒の一次再結晶組織を実現する上で好ましくないので、熱延板焼鈍温度は1100℃以下とすることが好ましい。したがって、製品板においてゴス組織を高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度は800℃以上1100℃以下とすることが好適である。なお、熱延板焼鈍の好適な焼鈍時間は、1〜300秒である。
次いで、1回以上の冷延を施して冷延鋼板とした後、再結晶焼鈍を行なう。なお、冷間圧延を2回以上施す場合は、各冷間圧延の間に中間焼鈍を挟む。中間焼鈍は、900〜1200℃で1〜300秒程度の時間施すのが好ましい。
なお、さらにゴス組織を発達させるために、冷間圧延の温度を100℃〜250℃に上昇させて行ってもよい。これは温間圧延と呼ばれることもあるが、本願では冷間圧延の1種として扱う。同様の目的で、冷間圧延途中で100〜250℃の範囲での時効処理を1回または複数回行なってもよい。
再結晶焼鈍は、主に一次再結晶組織を形成することを目的として、好ましくは連続焼鈍にて施される。再結晶焼鈍は、脱炭を必要とする場合には雰囲気を湿潤雰囲気とするが、脱炭を必要としない場合は乾燥雰囲気で行っても良い。好ましい再結晶焼鈍条件は、750〜1100℃で、1〜300秒程度である。
なお、二次再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍、あるいは仕上げ焼鈍を2つのバッチ焼鈍に分けた場合の1回目のバッチ焼鈍)における鋼板中のC量を100〜250massppmに調整することは、とくにインヒビターを含有しない方向性電磁鋼板において、磁束密度を向上させるために好適である。C量の調整は、再結晶焼鈍によって行なっても、その後に別途行なっても良い。
浸珪法によってSi量を増加させる技術を、例えば再結晶焼鈍後の鋼板に適用してもよい。
本発明の焼鈍分離剤の塗布は再結晶焼鈍の前また後に実施する。
従来の焼鈍分離剤は、鋼板への密着性が悪いため、再結晶焼鈍前に焼鈍分離剤を塗布することは再結晶焼鈍中の剥離によるライン汚染の観点からできなかった。これは、被膜の形成に長時間の加熱を要する、MgOを主成分とする焼鈍分離剤の場合でも同様である。しかし、本発明の焼鈍分離剤は鋼板への密着性が良好で、剥離によるライン汚染の懸念がないため再結晶焼鈍前と後のどちらでも塗布が可能である。
本工程において、本発明の焼鈍分離剤の塗布量は、鋼板の密着防止効果を発揮させるために0.005g/m2以上とすることが好ましい。他方、焼鈍分離剤の密着性を確保するためには、付着量を5g/m2以下とすることが好ましい。したがって、焼鈍分離剤の塗布量は0.005〜5g/m2の範囲内とすることが好ましい。より好ましい下限は0.05g/m2、より好ましい上限は2g/m2である。なお、方向性電磁鋼板の製造における好適塗布量は上記の通りであるが、各々の熱処理条件や要求品質に応じて、上記好適範囲外で使用することも可能である。
焼鈍分離剤は、鋼板の片面だけに塗布しても両面に塗布しても良いが、両面に塗布することが、効果を確実に得る上で好ましい。鋼板の表裏で焼鈍分離剤の組成等を変更することを禁じるものではないが、工程上は両面に同じ焼鈍分離剤を塗布することが好ましい。
フォルステライト質被膜を有さない磁気特性および加工性に優れた方向性電磁鋼板を製造する場合は、再結晶焼鈍および本発明焼鈍分離剤の塗布の後、仕上げ焼鈍をバッチ焼鈍にて実施する。仕上げ焼鈍の目的は二次再結晶の進行および不純物の低減(純化)である。焼鈍条件としてはこの目的を達成する公知の条件を適用することができる。好ましい仕上げ焼鈍温度は、約750〜1300℃であるが、前半部を約750〜1000℃、後半部を約900〜1300℃としてもよい。ここで前半部では主に二次再結晶が、後半部では主に純化が促進される。好ましい仕上げ焼鈍時間は上記温度域での保持時間で1〜300時間程度である。
なお、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を適用する従来の技術の場合、厚い被膜が形成されるため、純化に要する時間は焼鈍分離剤を適用しない場合に比べ長時間化する。しかし、本発明の焼鈍分離剤はAl化合物が造膜しているにもかかわらず、純化を妨げないという効果が観察された。
磁気特性の向上を目的としてCを約100〜250massppm含有させたまま仕上げ焼鈍を行った場合は、二次再結晶完了後に、磁気時効が起こらない50ppm以下までCを低減することが好ましい。Cの低減方法としては、仕上げ焼鈍中に脱炭させる方法と仕上げ焼鈍後に脱炭工程を付加する方法がある。仕上げ焼鈍中に脱炭させるためには、仕上げ焼鈍中、とくに後半に水素を含んだ雰囲気にて1000℃以上の高温焼鈍を実施するとよい。
一方、仕上げ焼鈍後に付加する脱炭工程としては、(1)酸化性雰囲気での焼鈍(脱炭焼鈍)、(2)表層のグラファイトを機械的に除去する表面研削、(3)表層のグラファイトを化学的に除去する電解洗浄・化学研磨、プラズマ照射等が有効である。なお、手段(2)または(3)による脱炭が可能となる理由は、Cが仕上げ焼鈍の終了までに、鋼板表層にグラファイトとして析出し、鋼中の脱炭は完了しているためである。
このようにグラファイトが鋼板表層に析出する現象については、例えば以下のような機構が考えられる。Cは、鋼中では準安定なセメンタイトを形成するが、表面エネルギーが高い活性化した状態ではグラファイトを形成する。このため、冷却中にCは地鉄中にセメンタイトとして析出する前に、表層にグラファイトとして析出する。ところで、純鉄での状態図から推測すると、グラファイトの溶解度はセメンタイトの溶解度よりも僅かに低い。したがって、表層の固溶Cがグラファイトと平衡する濃度まで減少するため、表層の固溶Cと地鉄中との固溶Cの濃度勾配が発生し、地鉄からの脱炭が進行するものと推察している。
ただし、仕上げ焼鈍に際して表面に緻密あるいは強固な被膜層が形成されると(たとえばMgOを主成分とする従来の焼鈍分離剤を適用した場合)、表面活性化が阻害される結果、グラファイトの鋼板表層析出も阻害される。しかし、本発明の焼鈍分離剤により形成される被膜は密着性に優れるものの、理由は不明ながらグラファイトの鋼板表層析出にも悪影響を与えず、好適に上記脱炭方法が利用できる。
仕上げ焼鈍後は、平坦化焼鈍により、張力を付加して形状を矯正することが鉄損低減のために有効である。この平坦化焼鈍を湿潤雰囲気で行なうことで、同時に脱炭を行ってもよい(上記(1)の方法の一種)。
なお、仕上げ焼鈍後に浸珪法によってSi量を増加させる技術をさらに適用してもよい。この技術は鉄損をさらに低減させたい場合、有効である。
鋼板を積層して鉄心などに使用する場合には、平坦化焼鈍後に鋼板表面に絶縁被膜を施すことにより、積層体の鉄損を改善することが有効である。とくに良好な打ち抜き性を確保するためには、絶縁被膜として、樹脂を含有する有機系被膜が望ましい。他方、溶接性を重視する場合には、無機系被膜を絶縁被膜として適用することが望ましい。
なお、とくに焼鈍分離剤を除去するだけの工程は不要である。
フォルステライト質被膜特性および磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を製造する場合は、再結晶焼鈍および本発明焼鈍分離剤の塗布の後、二次再結晶を発現させるために1回目のバッチ焼鈍を行なう。このときの焼鈍条件は二次再結晶が進行する公知の焼鈍条件を適用することができる。好ましい条件は約750〜1100℃で約1〜300時間である。
その後、二回目のバッチ焼鈍でフォルステライト質被膜を形成させるが、その準備段階として、まず連続焼鈍によるサブスケール形成を行なう。磁気特性改善の目的でCを所定量含有させたまま1回目のバッチ焼鈍を行った場合は、このサブスケールを形成する連続焼鈍において、同時に脱炭も行なうことが好ましい。前記連続焼鈍の焼鈍条件(時間・温度・雰囲気等)は、後続のバッチ焼鈍でフォルステライト質被膜の形成が容易にかつ安定的に形成されるよう、公知の焼鈍条件が適用できる。好ましい焼鈍温度は約750〜1000℃、好ましい焼鈍時間は約1〜300秒、好ましい雰囲気は水素ガスと窒素ガスからなる酸化性雰囲気である。
前記連続焼鈍の前に本発明の焼鈍分離剤を除去する工程は不要である。すなわち、本発明の焼鈍分離剤の上からフォルステライト質被膜を付与しても、フォルステライト質被膜の密着性は良好であるのみならず、本発明の焼鈍分離剤の存在による純化の妨げも生じない。
次にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布し、二回目のバッチ焼鈍を行なう。この二回目のバッチ焼鈍はフォルステライト質被膜の形成および不純物の純化を目的として行なうため、この2つの目的が達成し得る公知の焼鈍条件が適用することができる。好ましい焼鈍温度は約900〜1300℃、好ましい焼鈍時間は約1〜300時間である。なお、MgOを主成分とする焼鈍分離剤としては公知のものが適用可能である。例えば、固形分として、好ましくはMgO:約80〜99mass%、必要に応じて残りを、TiO2、SrSO4、MgSO4等から選ばれる1種以上としたものが好適に用いられる。
二回目のバッチ焼鈍の後に、浸珪法によってSi量を増加させる技術をさらに適用してもよい。
そして最後に必要に応じて張力被膜を塗布し、焼き付ける。また、平坦化焼鈍により形状を整えることも可能であり、さらには張力被膜の焼付けを兼ねた平坦化焼鈍を実施することもできる。
本発明における方向性電磁鋼板とは二次再結晶が発現した電磁鋼板を意味する。よって、ゴス方位のみではなくCube方位({100}<001>方位もしくは[100]<011>方位)が二次再結晶している場合も本特許の請求範囲とする。Cube方位への集積は既知の方法が適用でき、例えば圧延集合組織の制御で行なうことができるが、再結晶焼鈍以降の工程は、ゴス方位が集積した二次再結晶を発現させる場合と大筋で同じである。
下記の方法により、フォルステライト質被膜の特性および磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を作製した。
C:0.020mass%、Si:3.35mass%、Mn:0.050mass%およびSb:380 massppm を含み、さらにインヒビター形成成分としてAl:320 massppmおよびN:80 massppmを含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなる鋼スラブを、連続鋳造法にて製造した。該鋼スラブを1200℃に加熱した後、熱間圧延により板厚2.0mmの熱延板に仕上げ、1050℃で60秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚0.30mmの冷延板に仕上げ、露点が-45℃の乾燥雰囲気中で900℃、10秒の条件で再結晶焼鈍を施した。
再結晶焼鈍の後、一回目のバッチ焼鈍を実施した。焼鈍分離剤は表5に従い、再結晶焼鈍の前または後に塗布した。焼鈍分離剤の塗布は、ロールコーターを用いて行い、その後、鋼板の到達温度(板温)を250℃とする焼き付け処理を施し、放冷した。焼き付けはプロパンガス直火焼き付けで行った。一回目のバッチ焼鈍は窒素雰囲気中にて850℃、40時間保持する条件で実施し、二次再結晶を完了させた。
その後、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、一回目のバッチ焼鈍後の焼鈍分離効果をそれぞれ調査し、これらの特性が良好であったサンプルについては、後続の工程をさらに施し、製品板とした。
後続の工程においては、まず、良好なサブスケールを形成するための連続焼鈍を実施し、その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した。一回目のバッチ焼鈍はCが100〜150massppm残留したまま実施したので、このサブスケール形成のために行った連続焼鈍では同時に脱炭も行った。連続焼鈍は露点55℃の酸化性雰囲気にて835℃、120秒で行った。
二回目のバッチ焼鈍用の焼鈍分離剤は固形分としてMgO:95ass%, TiO2:5mass%を含有するものを使用した。次いで二回目のバッチ焼鈍を乾水素雰囲気中で1200℃、5時間保持する条件で実施した。
そして最後に張力被膜の塗布・焼き付けおよび歪取り焼鈍を行った。張力被膜はリン酸、クロム酸およびコロイダルシリカを含有するもの使用し、800℃の温度で焼き付けた。歪取り焼鈍については窒素雰囲気中で800℃、3時間の条件で実施した。
表5に焼鈍分離剤の成分および塗布条件を示す。SiO2、Al2O3の粉末を主成分とする焼鈍分離剤はNo.26を除き水スラリーにて塗布し、No.26はアルコール中に固形分5mass%となるように懸濁させてスプレーで塗布した。粉末以外を主成分とするものは、塗布量によって希釈割合は異なるが、水で希釈してコロイド溶液として塗布した。副剤として添加した硫酸ストロンチウム、硫酸マグネシウムおよび硫化マグネシウムはそれぞれ3wt%添加した。表5に記した以外の固形分は添加されていないが、適宜、界面活性剤(非イオン系)などを0.5mass%以下添加した。
一回目のバッチ焼鈍に用いた焼鈍分離剤について、表6に焼鈍分離剤塗布工程の順序(再結晶焼鈍の前か後かで区分)、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、および一回目のバッチ焼鈍後の焼鈍分離効果を示す。
No.14および19は焼鈍分離剤の粘度が本発明範囲外であるために塗布性が著しく悪く、塗布できていない部分で鋼板の密着が発生した。No.15は高温で安定な化合物が含有されておらず、反応性の高いAl化合物の量が多いため、塗液が安定せず均一な被膜が形成されなかった。その結果、外観不良となった。
No.1〜4は、焼鈍分離剤の主成分が本発明外のため、鋼板への密着性が不十分であった。No.5は、焼鈍分離剤塗布量が不充分であるため、仕上げ焼鈍時に鋼板の密着が発生した。No.17は焼鈍分離剤の塗布量が多すぎたため、剥離量が多かった。
No.3、4、6、7、12および26では焼鈍分離剤の塗布順序を再結晶焼鈍の前と後との2通り実施した。本発明の焼鈍分離剤は、焼鈍分離剤塗布工程の順序に関係なく、良好な焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、および一回目のバッチ焼鈍後の焼鈍分離効果が得られた。なお、No.12は造膜成分であるAl化合物が少ないため、焼鈍分離剤の鋼板への密着性がやや劣っているものの、焼鈍分離効果には問題がなかった。比較例であるNo.3、4および26では、焼鈍分離剤の塗布順序によって、焼鈍分離効果に違いが見られた。これは、再結晶焼鈍前に塗布した場合、鋼板への密着性が良くないこれらの焼鈍分離剤は再結晶焼鈍時に剥離し、その結果一回目のバッチ焼鈍時に鋼板に付着している焼鈍分離剤量が少なくなったため、鋼板の密着が発生したものと考えられる。一方、再結晶焼鈍後に塗布したものは、剥離量が少なく鋼板の密着の防止に必要な量が鋼板に残留していたために鋼板の密着が発生しなかったと考えられる。
表7に、本発明の焼鈍分離剤を適用したサンプルに後続の工程を施して製品板とした場合の、磁気特性、フォルステライト質被膜特性および二回目のバッチ焼鈍後のAl,C,N,S,Se含有量(地鉄中、すなわち鋼板表面の被膜を除去して分析した結果)を示す。フォルステライト被膜特性は、歪み取り焼鈍後のサンプルを円柱に巻き付け、被膜剥離を生じなかった最小曲げ半径で評価した。磁気特性は、30×300mmのエプスタイン試験片を用い、JIS C 2550に従い測定した。B8は磁化力800A/mにおける磁束密度(T)、W17/50は周波数50Hz、最大磁束密度1.7Tにおける鉄損値(W/kg)である。
本発明の焼鈍分離剤を適用した場合、磁気特性とフォルステライト質被膜特性の両立が達成されており、さらに不純物の純化も問題なく行われていた。また、Sを含有する化合物を副剤として焼鈍分離剤に添加した場合(No.8、10および11)、磁気特性のさらなる改善が見られた。
Figure 2005187941
Figure 2005187941
Figure 2005187941
下記の方法により、フォルステライト質被膜の特性および磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を作製した。
C:0.019mass%、Si:3.28mass%、Mn:0.073mass%およびSb:330 massppmを含み、さらにAl:38 massppm、N:30 massppm、S:18 massppmおよびSe:10 massppm未満(分析限界値未満)にそれぞれ抑制した、インヒビター形成成分を含まない鋼スラブを連続鋳造法にて製造した。ここで残部は鉄および不可避的不純物とした。該鋼スラブを1200℃に加熱した後、熱間圧延により板厚2.0mmの熱延板に仕上げ、1050℃で60秒の熱延板焼鈍を施した。
次いで、冷間圧延により板厚0.30mmの冷延板に仕上げ、露点が-45℃の乾燥雰囲気中で900℃、10秒の条件で再結晶焼鈍を施した。
再結晶焼鈍の後、一回目のバッチ焼鈍を実施した。焼鈍分離剤は、表8に従い再結晶焼鈍前または後に塗布した。焼鈍分離剤の塗布は、ロールコータ−を用いて行い、その後、到達温度250℃で焼き付け、放冷した。焼き付けはプロパン直火焼き付けで行った。一回目のバッチ焼鈍は窒素雰囲気中にて865℃、50時間保持する条件で実施し二次再結晶を完了させた。焼鈍分離剤の成分および塗布条件としては、実施例1と同様に、表5に示す各No.に対応する条件にて行った。
その後、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、一回目のバッチ焼鈍後の焼鈍分離効果を調査し、結果が良好であったサンプルについては、後続の工程をさらに施し、製品板とした。
後続の工程においては、まず、良好なサブスケールを形成するための連続焼鈍を実施し、その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した。1回目のバッチ焼鈍をCが100〜150massppm残留したまま実施したので、このサブスケール形成のために行った連続焼鈍では同時に脱炭も行った。連続焼鈍は露点60℃の酸化性雰囲気にて850℃、80秒で行った。また、焼鈍分離剤は固形分としてMgO:92.5 mass %, TiO2:7.5 mass %を含有するものを使用した。
次いで二回目のバッチ焼鈍を施した。本実施例の鋼組成ではインヒビター成分の純化に必要な1200℃付近での高温焼鈍をする必要がなく、フォルステライト質被膜形成が可能な条件であればよい。そこで、二回目のバッチ焼鈍では、従来よりも低温である1100℃にて5時間保持し、雰囲気は乾水素とした。
そして最後に張力被膜の塗布・焼き付けおよび歪取り焼鈍を行った。張力被膜はリン酸、クロム酸およびコロイダルシリカを含有するもの使用し、800℃の温度で焼き付けた。歪取り焼鈍については窒素雰囲気中で800℃、3時間の条件で実施した。焼鈍分離剤の成分および塗布条件としては、実施例1と同様に、表5に示す各No.に対応する条件にて行った。
表8に焼鈍分離剤塗布工程の順序(再結晶焼鈍前あるいは後)、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、および一回目のバッチ焼鈍後の焼鈍分離効果を示す。実施例1と同様に、本発明の方法により製造された鋼については焼鈍分離剤塗布工程の順序に関係なく、良好な焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、および一回目のバッチ焼鈍後の焼鈍分離効果が得られている。これより、本発明の焼鈍分離剤がインヒビターを含まない成分系に適用しても有効であることが分かる。
表9に本発明の焼鈍分離剤を適用したサンプルに後続の工程を施して製品板とした場合の、磁気特性、フォルステライト質被膜特性および二回目のバッチ焼鈍後のAl,C,N,S,Se含有量を示す。各特性の調査方法は実施例1と同様とした。
本発明範囲内の焼鈍分離剤を適用した場合、磁気特性とフォルステライト質被膜特性の両立が達成されており、さらに不純物濃度も問題のないレベルであった。
Figure 2005187941
Figure 2005187941
下記の方法により、フォルステライト質被膜を有さない、磁気特性および加工性に優れた方向性電磁鋼板を作製した。
C:0.020mass%、Si:3.31mass%、Mn:0.060mass%およびSb:450 massppmを含み、さらにインヒビター形成成分としてAl:300 massppmおよびN:70 massppm含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造法にて製造した。該鋼スラブを1200℃に加熱した後、熱間圧延により板厚1.8mmの熱延板に仕上げ、950℃で60秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚0.27mmの冷延板に仕上げ、露点が-45℃の乾燥雰囲気下で880℃、10sの条件で再結晶焼鈍を施し、その後仕上げ焼鈍を実施した。
焼鈍分離剤は、表10に従い再結晶焼鈍の前または後に塗布した。塗布は、ロールコータ−を用いて行い、到達板温250℃で焼き付けた後放冷した。焼き付けはプロパン直火焼き付けで行った。仕上げ焼鈍においては860℃で45時間 N2雰囲気中で保持することにより二次再結晶させた後、1200℃で5時間 H2雰囲気中で保持することにより純化を行った。焼鈍分離剤の成分および塗布条件としては、実施例1と同様に、表5に示す各No.に対応する条件にて行った。
その後、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、仕上げ焼鈍後の焼鈍分離効果をそれぞれ調査し、結果が良好であったサンプルについては、後続の工程をさらに施し、製品板とした。
後続の工程においては、絶縁被膜の塗布・焼き付けおよび歪取り焼鈍を行った。絶縁被膜は一般に使用されている有機樹脂を含有したクロム酸塩系のものを使用し、300℃の温度で焼き付けた。歪取り焼鈍については窒素雰囲気中で750℃、2時間の条件で実施した。
表10に焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、仕上げ焼鈍後の焼鈍分離効果、磁気特性、絶縁被膜特性および仕上げ焼鈍後のAl,C,N,S,Se含有量を示す。No.14および19は焼鈍分離剤の粘度が本発明範囲外であるために塗布性が著しく悪く、塗布できていない部分で鋼板の密着が発生した。No.15は高温で安定な化合物が含有されておらず、反応性の高いAl化合物の量が多いため、塗液が安定せず均一な被膜が形成されなかった。その結果、外観不良となった。
No.1〜4は、焼鈍分離剤の主成分が本発明外のため、鋼板への密着性が不十分であった。No.5は、焼鈍分離剤塗布量が不充分であるため、仕上げ焼鈍時に鋼板の密着が発生した。No.17は焼鈍分離剤の塗布量が多すぎたため、剥離量が多かった。No.1-1,4-1,5, 14および19は鋼板の密着により磁気特性および耐曲げ剥離性の評価は不可能であった。
No.1,4,6,11および16は焼鈍分離剤の塗布順序を再結晶焼鈍の前と後との2通り実施した。本発明の焼鈍分離剤は焼鈍分離剤塗布工程の順序に関係なく良好な焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、および仕上げ焼鈍時の焼鈍分離効果が得られている。比較例であるNo.1および4では焼鈍分離剤の塗布順序によって、焼鈍分離効果に違いが見られた。これは実施例1と同様の理由で、仕上げ焼鈍時の焼鈍分離剤付着量の差異に起因しているものと考えられる。
本発明に従う焼鈍分離剤を適用したものは良好な焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、仕上げ焼鈍後の焼鈍分離効果、磁気特性、絶縁被膜特性および地鉄の不純物の純化を示していることが分かる。なお、No.12は造膜成分であるAl化合物が少ないため、焼鈍分離剤の鋼板への密着性がやや劣っているものの、焼鈍分離効果には問題がなかった。特に、被膜特性については実施例1、2に示したフォルステライト質被膜よりも良好な特性を示した。これより、高温焼鈍による純化を要する、インヒビターを利用するタイプの方向性電磁鋼板においても、本発明の焼鈍分離剤が有利に適用できることが分かる。
Figure 2005187941
下記の方法により、フォルステライト質被膜を有さない、磁気特性および加工性に優れた方向性電磁鋼板を作製した。
C:0.018mass%、Si:3.32mass%、Mn:0.070mass%およびSb:300massppmを含み、さらにAl:40massppm、N:25massppm、S:15 massppmおよびSe:10 massppm未満にそれぞれ抑制した、インヒビター形成成分を含まない鋼スラブを連続鋳造法にて製造した。ここで残部は鉄および不可避的不純物とした。該鋼スラブを1200℃に加熱した後、熱間圧延により板厚1.8mmの熱延板に仕上げ、950℃で60秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚0.35mmの冷延板に仕上げ、露点が-45℃の乾燥雰囲気下で880℃×10sの条件で再結晶焼鈍を施し、その後仕上げ焼鈍を実施した。
焼鈍分離剤は、表11に従い再結晶焼鈍前または後に塗布した。塗布は、ロールコータ−を用いて行い、到達板温250℃で焼き付けた後放冷した。焼き付けはプロパン直火焼き付けで行った。仕上げ焼鈍においては875℃で45時間 N2雰囲気中で保持することにより二次再結晶させ、その後1000℃で5時間 Ar雰囲気中で保持した。仕上げ焼鈍後、酸化性雰囲気にて脱炭焼鈍を施し、地鉄中のC量を低減した。
その後、焼鈍分離剤の成分および塗布条件としては、実施例1と同様に、表5に示す各No.に対応する条件にて行った。その後、焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、仕上げ焼鈍後の焼鈍分離効果をそれぞれ調査し、結果が良好であったサンプルについては、後続の工程をさらに施し、製品板とした。
後続の工程においては、絶縁被膜の塗布・焼き付けおよび歪取り焼鈍を行った。絶縁被膜は一般に使用されている有機樹脂を含有したクロム酸塩系のものを使用し、300℃の温度で焼き付けた。歪取り焼鈍については窒素雰囲気中で750℃、2時間の条件で実施した。
表11に焼鈍分離剤の塗布性、乾燥後の焼鈍分離剤の密着性、仕上げ焼鈍後の焼鈍分離効果、磁気特性、絶縁被膜特性および仕上げ焼鈍後のAl,C,N,S,Se含有量を示す。実施例3と同様、本発明に従う焼鈍分離剤を適用した鋼では、焼鈍分離剤塗布工程の順序に関係なく良好な結果が得られた。
Figure 2005187941
表12に記載の焼鈍分離剤を適用して、方向性電磁鋼板を作製した。製造工程は表13に記載のとおりであり、工程AおよびB(一回の仕上げ焼鈍による方法)は実施例3、工程CおよびD(二回のバッチ焼鈍による方法)は実施例1の鋼スラブおよび製造条件を適用した。焼鈍分離剤についても、主成分以外の成分や塗布条件は実施例1によった。なお、No.6は光散乱法で実質的に散乱が認識されず、実質的に溶液と判断した。
結果を表13に示すが、本発明の焼鈍分離剤はいずれも優れた結果を示す。中でも、高温で安定な化合物として、Si化合物を含有する場合の焼鈍分離効果が高く、中でもSi化合物単独で高温で安定な化合物として用いることが好適である。すなわち、表13に示したNo.1〜5、7と塗布量および粘度が同様で、コロイド溶液状のSi化合物(コロイダルシリカ)を単独で用いた実施例1(表6のNo.13)や実施例3(表10のNo.13)が最も良好な特性を示し、表13に示した本実施例の結果より良好であった。
Figure 2005187941
Figure 2005187941
表14に記載された成分の各鋼スラブを溶鋼より連続鋳造法により製造し、実施例5と同様の要領で表15の分類に従い、方向性電磁鋼板を作製した。ただし、No.2については二次再結晶させる前のC量はとくに調整せず、したがって脱炭処理も省略した。また、No.1およびNo.7については再結晶焼鈍を露点30℃の酸化性雰囲気で行い、二次再結晶焼鈍前のC量を100〜150massppmに調整した。
焼鈍分離剤および塗布条件は、表5のNo.13に従った。
結果を表15に示す。磁気特性は鋼板の成分にも依存するが、いずれも各成分において期待される磁気特性を実現している。
Figure 2005187941
Figure 2005187941
本発明による方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤は良好な塗布性および鋼板への密着性を有しており、焼鈍分離剤塗布過程およびそれ以後の工程において安定的な操業を確保することができる。また、密着性を達成しながら、純化や脱炭の阻害も伴なわず、しかも被膜除去作業も不要である、などの優れた操業性も有する。
この焼鈍分離剤を方向性電磁鋼板の製造工程に適用することにより、磁気特性およびフォルステライト被膜特性に優れた方向性電磁鋼板およびフォルステライト被膜を有さない磁気特性および加工性に優れた方向性電磁鋼板の製造が容易に可能になる。

Claims (20)

  1. Al化合物を溶液またはコロイド溶液の状態で含有し、さらに、高温で安定な化合物を含有し、粘度が25 (mPa・s)以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
  2. 前記焼鈍分離剤が、前記高温で安定な化合物を、溶液またはコロイド溶液の状態で含有することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
  3. 前記Al化合物の含有量が下記式(1)で表される固形分比率で40〜95mass%であることを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
    Al化合物の固形分比率=(前記Al化合物の固形分)/{(前記Al化合物の固形分)+(前記高温で安定な化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(1)
    ただし、前記Al化合物の固形分はAl2O3に換算し、前記高温で安定な化合物は、前記焼鈍分離剤を塗布した後に焼き付けた場合に生成される主要化合物に換算するものとする。
  4. 前記高温で安定な化合物が、Si化合物、Sr化合物、Ca化合物、Zr化合物、Ti化合物およびBa化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり
    前記Al化合物の含有量が下記式(2)で表される固形分比率で40〜95mass%であることを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
    Al化合物の固形分比率=(Al化合物の固形分)/{(Al化合物の固形分)+(前記少なくとも1種の化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(2)
    ここで各化合物の固形分は下記の各化合物の重量に換算された値:
    Al化合物・・・Al2O3、 Si化合物・・・SiO2
    Sr化合物・・・SrO、 Ca化合物・・・CaO、
    Zr化合物・・・ZrO2、 Ti化合物・・・TiO2
    Ba化合物・・・BaO。
  5. 前記Al化合物が、水酸基および有機酸基を有するAl化合物、および、水酸基および有機酸基を有するAl化合物の脱水反応物の、いずれか一方または両方であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
  6. 前記Al化合物が、塩基性酢酸Al、塩基性ギ酸Al、塩基性塩酸Al、塩基性硝酸Al、塩基性シュウ酸Al、塩基性スルファミン酸Al、塩基性乳酸Alおよび塩基性クエン酸Alから選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
  7. 前記焼鈍分離剤が、さらにSまたはSを含有する化合物を、前記焼鈍分離剤を塗布した後に焼き付けた場合について求められた固形分比率で25mass%以下含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
  8. 前記SまたはSを含有する化合物が、硫酸Sr、硫酸Mgおよび硫化Mgから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7に記載の方向性電磁鋼板用焼鈍分離剤。
  9. 鋼板に焼鈍分離剤を塗布し、塗布された鋼板を焼鈍する、方向性電磁鋼板の焼鈍方法であって、
    前記焼鈍分離剤が、Al化合物を溶液またはコロイド溶液の状態で含有し、さらに、高温で安定な化合物を含有し、粘度が25 (mPa・s)以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
  10. 前記焼鈍分離剤が、前記高温で安定な化合物を、溶液またはコロイド溶液の状態で含有することを特徴とする請求項9に記載の方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
  11. 前記Al化合物の含有量が下記式(1)で表される固形分比率で40〜95mass%であることを特徴とする請求項9または10に記載の方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
    Al化合物の固形分比率=(前記Al化合物の固形分)/{(前記Al化合物の固形分)+(前記高温で安定な化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(1)
    ただし、前記Al化合物の固形分はAl2O3に換算し、前記高温で安定な化合物は、前記焼鈍分離剤を塗布した後に焼き付けた場合に生成される主要化合物に換算するものとする。
  12. 前記高温で安定な化合物が、Si化合物、Sr化合物、Ca化合物、Zr化合物、Ti化合物およびBa化合物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなり
    前記Al化合物の含有量が下記式(2)で表される固形分比率で40〜95mass%であることを特徴とする請求項9または10に記載の方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
    Al化合物の固形分比率=(Al化合物の固形分)/{(Al化合物の固形分)+(前記少なくとも1種の化合物の固形分(和))} ・・・・・・ 式(2)
    ここで各化合物の固形分は下記の各化合物の重量に換算された値:
    Al化合物・・・Al2O3、 Si化合物・・・SiO2
    Sr化合物・・・SrO、 Ca化合物・・・CaO、
    Zr化合物・・・ZrO2、 Ti化合物・・・TiO2
    Ba化合物・・・BaO。
  13. 前記Al化合物が、水酸基および有機酸基を有するAl化合物、および、水酸基および有機酸基を有するAl化合物の脱水反応物の、いずれか一方または両方であることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
  14. 前記Al化合物が、塩基性酢酸Al、塩基性ギ酸Al、塩基性塩酸Al、塩基性硝酸Al、塩基性シュウ酸Al、塩基性スルファミン酸Al、塩基性乳酸Alおよび塩基性クエン酸Alから選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
  15. 前記焼鈍分離剤が、さらにSまたはSを含有する化合物を、前記焼鈍分離剤を塗布した後に焼き付けた場合について求められた固形分比率で25mass%以下含有することを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
  16. 前記SまたはSを含有する化合物が、硫酸Sr、硫酸Mgおよび硫化Mgから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項15に記載の方向性電磁鋼板の焼鈍方法。
  17. C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含む溶鋼から作製したスラブを最終板厚まで圧延して鋼板とする工程と、
    前記鋼板に再結晶焼鈍を施す工程と、
    前記鋼板にバッチ焼鈍を請求項9〜16のいずれかに記載の方法で施す第1のバッチ焼鈍工程とを有し、
    ここで、第1のバッチ焼鈍工程において焼鈍前に塗布する上記焼鈍分離剤を第1の焼鈍分離剤と呼ぶものとし、かつ、
    ここで前記再結晶焼鈍は、前記第1の焼鈍分離剤の塗布の前に施すか、あるいは、前記第1の焼鈍分離剤の塗布の後であって前記バッチ焼鈍の前に施すかのいずれかであって、かつ、第1の焼鈍分離剤の片面当りの塗布量を0.005〜5g/m2とし、
    その後、前記鋼板に連続焼鈍を施す工程と、
    前記鋼板にMgOを含有する第2の焼鈍分離剤を塗布し、その後バッチ焼鈍を施す第2のバッチ焼鈍工程とを有する
    ことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  18. C:0.08mass%以下、Si:2.0〜8.0mass%、Mn:0.005〜1.0mass%を含む溶鋼から作製したスラブを最終板厚まで圧延して鋼板とする工程と、
    前記鋼板に再結晶焼鈍を施す工程と、
    前記鋼板にバッチ焼鈍を請求項9〜16のいずれかに記載の方法で施す仕上げ焼鈍工程とを有し、
    ここで前記再結晶焼鈍は、前記仕上げ焼鈍工程における焼鈍分離剤の塗布の前に施すか、あるいは、該焼鈍分離剤の塗布の後であって前記バッチ焼鈍の前に施すかのいずれかであって、かつ、前記焼鈍分離剤の片面当りの塗布量を0.005〜5g/m2とする
    ことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  19. 前記スラブが、Alを150ppm以下、N,S,Seを各々50ppm以下に低減した組成を有する溶鋼から作製したスラブであることを特徴とする請求項17または18に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  20. スラブを最終板厚まで圧延して鋼板とする前記工程が、
    前記スラブを熱間圧延して熱延鋼板とする工程と、
    必要に応じて前記熱延鋼板を焼鈍する熱延板焼鈍を施す工程と、
    1回の冷間圧延、もしくは、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚とする工程とを有することを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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