JP2005180486A - 歯付きベルト - Google Patents

歯付きベルト

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真二 内ヶ島
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Abstract

【課題】 歯付きベルトの耐久性を向上させる。
【解決手段】 歯付きベルト10は、歯ゴム層12と接着ゴム層22と背ゴム層16を有する。接着ゴム層16中には、心線18が埋設する。心線18は、ベルトの長手方向に延びる。接着ゴム層16中には、短繊維40が混入する。短繊維40は、ベルトの厚さ方向に配向する。歯ゴム層12および背ゴム層16には、短繊維は混入しない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車の歯付きベルトに関する。
近年、内燃機関の性能が向上されるにつれ、クランク軸の回転数は上がりつつある。また、内燃機関は、年々小型化され、それに伴い歯付きベルトも小型化されつつある。したがって、動力を伝達するための歯付きベルトには、高い負荷が作用されるようになってきている。歯付きベルトは、高い負荷が作用すると、早期に歯欠けを起こす等の問題が生じる。
そこで従来、例えば特許文献1に記載するように、歯ゴム層と背ゴム層の間に接着ゴム層を設ける歯付きベルトが知られている。この歯付きベルトは、接着ゴム層によってゴム層と心線との接着性を高め、心線がゴム層から剥離しないようにすることにより、歯欠けを防止している。
しかし、この歯付きベルトは、ゴム層自身の強度は低いため、充分に歯欠け等を防止することはできない。そこで、歯付きベルトのゴム層自身の強度を高めるために、例えば、ゴム層全体に短繊維を混入させることが考えられる。
しかし、ゴム層全体に短繊維を混入させると、その短繊維が起点となって背ゴム層にクラックを発生させるので、ベルト寿命を充分に延ばすことはできない。また、プーリと短繊維が混入された高剛性の歯ゴム層が噛み合うと、大きな騒音が発生する場合がある。
特許第3055897号
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、ベルトの歯欠けや背ゴム層からのクラックを防止し、高負荷動力を伝達することができる歯付きベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る歯付きベルトは、一方の面に長手方向に沿って歯部および歯底部が交互に形成される歯ゴム層と、歯ゴム層の他方の面に設けられる背ゴム層と、歯ゴム層と背ゴム層との間に設けられ、ベルトの厚さ方向に配向された短繊維が混入された接着ゴム層と、接着ゴム層の中に埋設され、長手方向に延びる心線とを備える。これにより、耐久性が高い歯付きベルトを得ることができる。
短繊維の繊維長さは4mm(4000μm)以下であることが好ましい。
歯ゴム層の外表面側にさらに歯表面ゴム層が設けられる場合、歯表面ゴム層には、短繊維が混入されていないことが好ましい。さらに、歯ゴム層に短繊維が混入されていることが好ましい。これにより、歯付きベルトの耐久性はさらに向上する。この場合、さらに歯ゴム層には、接着ゴムに混入された短繊維と異なる方向に配向される短繊維が混入されることが好ましい。
心線は、互いに離間するように巻き付けられ、隣接する心線の間隔が約0.2から0.4mmであることが好ましい。
本発明に係る歯付きベルトの製造方法は、歯形に形成され凹部を有する金型に、帆布に歯ゴムシートが接合され歯形に沿うように予め成形された予成形帆布を金型に取り付ける予成形帆布取付工程と、歯ゴムシート上に、心線が互いに離間するように凹部が並ぶ方向に巻き付けられる心線巻付工程と、心線の上に短繊維が配合された接着ゴムシートを取り付ける第1のゴム取付工程と、接着ゴムシートの上にさらに背ゴムシートを取り付ける第2のゴム取付工程と、金型を加硫釜内に入れ、背ゴムシート側から内側に向けて圧力を付勢するとともに加硫釜内の温度を上昇させ、加硫することによりベルトスリーブを成型する加硫工程を備え、加硫工程において、接着ゴムシートを心線同士の間から内側に流入させ、接着ゴムシートによって歯ゴムシートおよび背ゴムシートを接着させるとともに、接着ゴムシート内に心線を埋設させることを特徴とする。これにより、耐久性の高い歯付きベルトを製造することができる。
加硫工程において、短繊維はベルトの厚さ方向に配向されることが好ましい。また、予成形帆布は、帆布と歯ゴムシートの間に接合される歯表面ゴムシートを備えることが好ましい。
本発明によれば、例えば、ベルトに高負荷がかかる場合においても、歯付きベルトの歯欠け等による破断は有効に防止することができる。
図1および図2は本発明の第1の実施形態の歯付きベルト10を示す。歯付きベルト10は無端状ベルトであり、ベルト本体13を有する。ベルト本体13は、ゴム成分を例えばH−NBRとする加硫ゴムから形成される。ベルト本体13は、歯ゴム層12、接着ゴム層22、背ゴム層16により一体的に形成される。なお、歯付きベルト10の幅は例えば13mm程度である。
歯ゴム層12の一方の面には、長手方向に沿って歯部14および歯底部15が交互に一体的に形成される。歯ゴム層12の歯部14および歯底部15の外表面は帆布20によって覆われる。帆布20は、例えばアラミド繊維の織物によって形成される。
歯ゴム層12の他方の面には、背ゴム層16が設けられる。歯ゴム層12と背ゴム層16の間には、接着ゴム層22が設けられる。接着ゴム層22のベルト10の厚さ方向の厚さW(図2参照)は、歯部14の歯先部34付近の横断面において他の部分に比べて大きくなる。一方、歯先部34付近の横断面以外においては、厚さWは略等しい。
接着ゴム層22には、短繊維40が略均等に無数に混入される一方、歯ゴム層12および背ゴム層16には短繊維は混入されない。接着ゴム層22の短繊維40は、ベルト10の厚さ方向に配向される。短繊維40は、例えばアラミド短繊維、ナイロン短繊維であり、好ましくは変成ナイロンミクロファイバーである。
変成ナイロンミクロファイバーは、ナイロン繊維にポリオレフィンをグラフト共重合した共重合体から成る。ナイロン繊維としては微細径の6−ナイロンが好適に用いられるが、この他に6,6−ナイロンあるいは6,10ナイロン等を用いても良い。また、ポリオレフィンとしてはポリエチレンが好適に用いられるが、ポリエチレンに限定されず、ポリプロピレン等を用いても良い。
短繊維40が例えばナイロン短繊維、特に変成ナイロンミクロファイバーである場合、繊維長さLFは約4000μm以下であり、繊維径DFは1.5μm以下であり、繊維径DFに対する繊維長さLFの比の値(LF/DF)は10以上であり、短繊維40の混入量は、接着ゴム層22のゴム成分100重量部に対して約20から40重量部であるが、好ましくは、繊維長さLFは約1000μm以下であり、繊維径DFは1.0μm以下であり、かつ比の値(LF/DF)は500以上1500以下の範囲内にある。
また、短繊維40が、例えばアラミド短繊維である場合、繊維長さLFは1mmから3mm程度であり、繊維径DFは30μm程度であり、短繊維40の混入量は接着ゴム層22のゴム成分100重量部に対して約5から10重量部が好ましい。
接着ゴム層22の中には、長手方向に延びる心線18が埋設される。心線18は例えばガラスコードであり、互いに離間するように螺旋状に巻き付けられる。心線18は、例えば、その径が0.9mmであり、1インチ(約25.4mm)の間に、20から22本埋設されるように巻き付けられる。すなわち、隣接する心線同士の間隔Lは、例えば約0.2mmから約0.4mmである。
図3および図4は、それぞれ歯付きベルト10の製造過程を順に示すもので、それぞれ対応する部分には、図1および図2と同符号が記されている。
歯付きベルト10の製造においては、まず予成型帆布56が用意される。予成型帆布56は、帆布20’が歯形に沿うように予め成型され、その後、歯ゴムシート12’が帆布20’に押圧され接合されることにより、形成される。
図3は、歯付きドラム(金型)65に予成型帆布56、心線18’、接着ゴムシート22’、背ゴムシート16’を巻き付ける工程を示す。歯付きドラム65は円筒形状を有し、その外表面は歯形に形成され凹部66および凸部67を有する。歯付きドラム65の外表面には、予成型帆布56が、その凸部27がドラムの凹部66に合うように巻き付けられる。
予成型帆布56が巻き付けられた後、予成型帆布56の歯ゴムシート12’の上面に心線18’が螺旋状に巻き付けられる。巻き付けられた心線18’の上には、短繊維40が配合された接着ゴムシート22’が巻き付けられる。ここで、接着ゴムシート22’に混入される短繊維40は、接着ゴムシート22’と平行方向であって、歯付きドラム65の周方向に配向される。接着ゴムシート22’上には、背ゴムシート16’が取り付けられる。
歯ゴムシート12’、接着ゴムシート22’、背ゴムシート16’の配合は、すべて同一であって、本実施形態においては、そのゴム成分は水素添加ニトリルゴム(H−NBR)であり、水素添加率はすべて95%である。ただし、接着ゴムシート22’には、短繊維40が配合されている。歯ゴムシート12’、接着ゴムシート22’、背ゴムシート16’の厚さは、それぞれ1.5mm,0.5mm,1.0mmである。
なお、短繊維40が、変成ナイロンミクロファイバーである場合、接着ゴムシート22’は、以下のように製造される。すなわち、まずゴム成分(H−NBR)の一部にナイロン短繊維およびポリオレフィンが配合された後、撹拌等されることにより、ポリオレフィンが、ナイロン短繊維にグラフト重合させられる。次に、残りのゴム成分(H−NBR)の全部および加硫剤等の他の成分も配合され、さらに練り合わされ、この練り合わせにより、グラフト重合は細分化されて、上述した繊維長さと繊維径を有する変成ナイロンミクロファイバーが接着ゴムシート内に均等に分布させられる。なお、この練り合わせは例えばカレンダー等で行われるので、接着ゴムシート22’の短繊維は、一方向に配向する。
これらのゴムシート等が取り付けられた歯付きドラム65は、加硫釜(図示せず)内に収容される。加硫釜内は、例えば蒸気により温度が上昇させられるとともに、加硫釜内に設けられた加硫バッグ等によって外側から内側に向けて圧力が付勢される。
この加熱によりゴムシート12’,22’,16’は流動性を増し、また、ゴムシート22’,16’は加圧により内側に押圧される。これにより、図4に示すように接着ゴムシート22’は、隣接する心線18’の間から内側に流入させられる。
接着ゴムシート22’が内側に流入させられるとき、短繊維40も内側に流入される。ここで、短繊維40は、内側に流入される時、流れに合わせて、その長さ方向が流入方向に向く。したがって、短繊維40は、この流入時にベルト10の厚さ方向に配向される。
加圧加熱が進むと、ゴムシート12’,22’,16’は、加硫させられ、歯ゴムシート12’および背ゴムシート16’は、接着ゴムシート22’によって接着させられるとともに、接着ゴムシート22’内に心線18’が完全に埋設される。これにより、加硫ゴムから形成されるベルトスラブ10’が得られ、このベルトスラブ10’は、歯付きドラム65から取り外され研磨後裁断されることにより、歯付きベルト10(図1参照)が得られる。なお、歯ゴムシート12’、接着ゴムシート22’、背ゴムシート16’は、歯付きベルト10においては、図4に示すようにそれぞれ歯ゴム層12、接着ゴム層22、背ゴム層16となる。
以上の製造方法においては、心線を剛性の高い接着ゴム層に完全に埋設させることができ、また短繊維を厚さ方向に容易に配向させることができるので、本実施形態の歯付きベルト10を容易に製造することができる。
なお、本製造方法においては、隣接する心線同士の間隔が狭すぎると、加圧加温時における短繊維40および接着ゴムシートの流れが阻害され、短繊維40および接着ゴムシートは心線18’内側に充分に流入されない。また、心線間隔を広げすぎると、歯付きベルト10に埋設される心線18の巻き付けられる回数が少なくなり、ベルト強度が低下させられる。したがって、心線同士の間隔Lは、上述したように約0.2mmから約0.4mmが好ましい。
なお、本実施形態において、予成型帆布56は、型を使って予め成型する構成について述べたが、予成型帆布(予成形帆布)は、歯形に成形されていれば、他の方法によって成形されていても良い。
図5に本発明の第2の実施形態の歯付きベルト80を示す。第2の実施形態において、第1の実施形態の歯付きベルト10と同一の部材については同一の符号を付す。
第2の実施形態の歯付きベルト80のベルト本体13は、背ゴム層16、接着ゴム層22、歯ゴム層12に加え、歯表面ゴム層81を有する。歯表面ゴム層81は、歯ゴム層12の外表面側、すなわち、歯ゴム層12と帆布20の間に設けられる。歯表面ゴム層81には、短繊維が混入されない。
本実施形態においては、背ゴム層16および接着ゴム層22は、第1の実施形態と同様の構成を有するが、歯ゴム層12には、第1の実施形態と異なり、短繊維40が略均等に無数に混入される。歯ゴム層12の短繊維40は、接着ゴム層22に混入された短繊維40と同様の構成を有し、例えばアラミド短繊維、ナイロン短繊維であり、好ましくは変成ナイロンミクロファイバーである。
歯ゴム層12に混入される短繊維40は、歯ゴム層12の歯部14および歯底部15の輪郭面を形成する母線に対して直角方向に層状に配向する。すなわち、歯ゴム層12に混入される短繊維40は、歯ゴム層12の歯部14および歯底部15に接近した部分では、ベルトの長さ方向に沿って配向する。また、各歯部14の中心部分では、短繊維40は、ベルトの厚さ方向に沿って配向する。
ただし、歯ゴム層12に混入された短繊維40は、上述のようにベルトの長手方向に沿って配向されるのではなく、例えば、ベルトの幅方向に沿って配向していても良い。この場合においては、短繊維40は、歯部14および歯底部15の輪郭面を形成する母線に対して略平行に配向する。
第2の実施形態の歯付きベルト80の製造方法について、第1の実施形態の製造方法と相違する点を、図6を参照して説明する。
第2の実施形態の製造方法において、第1の実施形態と相違する点は、予成型帆布56に、帆布20および歯ゴムシート12’のみならず、帆布20と歯ゴムシート12’の間に歯表面ゴムシート81’が設けられている点である。
すなわち、まず、帆布20’が歯形に沿うように予め成形され、その予め成形された帆布20’には、歯表面ゴムシート81’が押圧され接合される。歯表面ゴムシート81’上には、さらに短繊維40が混入された歯ゴムシート12’が押圧され接合される。
歯ゴムシート12’に混入された短繊維40は、接合前においては、歯ゴムシート12’と平行に1方向に配向するが、歯ゴムシート12’が押圧され接合されることにより、図6に示すように歯形に沿うように、すなわち、帆布20’に対して略平行方向に配向する。
本実施形態においても、予成型帆布56、心線18’、接着ゴムシート22’、背ゴムシート16’は、順に歯付きドラム65に取り付けられる。ここで、予成型帆布56および接着ゴムシート22’は、短繊維40が歯付きドラム65の周方向を向くように取り付けられる。背ゴムシート16’が取り付けられた後、加温加圧等により、第1の実施形態と同様に、歯付きベルト80(図5参照)が製造される。
なお、本実施形態においても、歯表面ゴム81’、歯ゴムシート12’、接着ゴムシート22’および背ゴムシート16’の配合は、すべて同一であって、そのゴム成分は水素添加ニトリルゴム(H−NBR)であり、水素添加率はすべて95%である。ただし、歯ゴムシート12’および接着ゴムシート22’には、第1の実施形態における接着ゴムシート22’と同様に短繊維40が配合される。歯表面ゴム81’、歯ゴムシート12’、接着ゴムシート22’、背ゴムシート16’の厚さは、それぞれ0.5mm,1.0mm,0.5mm,1.0mmである。
以下、図7〜9を参照して、比較例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1の歯付きベルトは、第1の実施形態の歯付きベルトの実施例であって、背ゴムシート、接着ゴムシート、歯ゴムシートの厚さは、それぞれ1.5mm,0.5mm,1.0mmであった。実施例1の製造方法においては、上述したように、歯ゴムシートが接合された予成型帆布が使用された。
Figure 2005180486
上記表1において、※1ないし※3は以下の事項を示す。
※1、※2 日本ゼオン株式会社製の商品名、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系高飽和重合ゴム
※3 配合材料の種類およびゴム成分100重量部に対する配合材料の重量部(単位はphr)
また、表中の−−−は、未配合を示す。
実施例1に使用された背ゴムシート、接着ゴムシート、歯ゴムシートには、表1に示す配合ゴムAが使用された。配合ゴムAは、水素添加率95%のH−NBR(ゴム成分)100重量部に対して、ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛10重量部、老化防止剤1.5重量部、カーボンブラック20重量部、メタクリル酸亜鉛25重量部、過酸化物加硫剤18重量部、加硫助剤6重量部、可塑剤10重量部が配合されていた。
ただし、接着ゴムシートには、さらに変成ミクロフナイロンァイバーが24.5重量部配合されていた。変成ミクロフナイロンァイバーは、上述のように、ナイロン繊維にポリエチレンをグラフト重合させた後に、細分化して形成した。変成ナイロンミクロファイバーにおいて、繊維長さLFは約1000μm以下であり、繊維径DFは1.0μm以下であった。
[実施例2]
実施例2の歯付きベルトは、第2の実施形態の歯付きベルトの実施例であって、背ゴムシート、接着ゴムシート、歯ゴムシート、歯表面ゴムシートの厚さは、それぞれ0.5mm,1.0mm,0.5mm,1.0mmであった。実施例2の製造においては、上述したように、歯ゴムシートおよび歯表面ゴムシートが接合された予成型帆布が使用され、歯ゴム層の短繊維は、ベルトの長手方向に沿って配向した。
実施例2に使用された背ゴムシート、接着ゴムシート、歯ゴムシート、歯表面ゴムシートには、表1に示す配合ゴムAが使用された。ただし、接着ゴムシート、歯ゴムシートには、さらに変成ミクロフナイロンァイバーが24.5重量部配合されていた。変成ナイロンミクロファイバーにおいて、繊維長さLF、繊維径DFは実施例1と同条件であった。
[比較例]
比較例の歯付きベルトは、歯ゴム層、接着ゴム層、および背ゴム層に短繊維が混入されていない例である。比較例の歯付きベルトの製造においては、歯ゴムシートおよび接着ゴムシートが帆布に接合された予成型帆布が使用された。すなわち、比較例の歯付きベルトは、歯付きドラムに予成型帆布、心線、背ゴムシートが巻き付けられ、加硫成型されることにより、製造された。
ここで、比較例に使用された歯ゴムシートおよび背ゴムシートには、配合ゴムAが使用され、接着ゴムシートには、配合ゴムBが使用された。
配合ゴムBは、水素添加率99%のH−NBR100重量部に対して、ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛10重量部、老化防止剤1.5重量部、カーボンブラック20重量部、メタクリル酸亜鉛25重量部、過酸化物加硫剤15重量部、イオウ1.8重量部、可塑剤10重量部が配合されていた。
図7は、実施例1,2および比較例の歯付きベルトを評価した試験結果を示す。評価試験は、図8に示すサーボパルサー試験機74を用いて行われた。サーボパルサー試験機74は、歯付きベルトの歯形に対応する凹凸形状を有する金属製チップ75と、クランプ77を有した。評価試験には歯付きベルトの10歯を部分的に採取した試験片76を用いた。試験片76は上下方向に延び、上端を固定させるとともに、試験片76の下端の1歯76aを金属製チップ75に噛み合わせた。金属製チップ75と試験片76の下端は、クランプ77によって左右から動かないように挟み込まれた。
金属製チップ75と試験片76を挟み込んだクランプ77は、下方向に周期的に正弦波の荷重が負荷された。ここで、クランプに負荷された荷重は、0から所定荷重までが周期的に負荷され、正弦波の周波数は、1Hzであった。本試験においては、それぞれの実施例、比較例において、所定荷重が数回変更され、それぞれの所定荷重における1歯76aの破断までの正弦波の周期回数(サイクル数)が測定された。なお、試験は120℃の雰囲気下で行われた。
図7のグラフにおいて、縦軸が所定荷重を、横軸が1歯76aの破断までの荷重のサイクル数を示す。図7に示すように、同程度の所定荷重を周期的に負荷した場合、比較例に比べ、実施例1,2は、破断までのサイクル数が多かった。すなわち、比較例1,2の歯付きベルトは、比較例に比べ、ベルト強度が強く、一定の荷重が負荷し回転させられたときの耐久性が向上していることが理解できる。
図9は、高負荷試験の結果を示す。高負荷試験は、図10に示す走行試験装置に歯付きベルトが掛け回されて行われた。走行試験装置は、原動歯付きプーリ91、従動歯付きプーリ92、アイドラプーリ93、およびアイドラ歯付きプーリ94を有した。歯付きベルト95は、原動歯付きプーリ91、従動歯付きプーリ92に掛け回された。ベルトは、100℃の雰囲気下で時計回りに回転させられ、ベルトの緩み側には、外側からアイドラプーリ93によって、内側からアイドラ歯付きプーリ94によってテンションが付与された。
本試験においては、歯付きベルト95に所定の荷重を負荷し、回転させた場合におけるベルトの破断までの回転回数(1歯にかかる繰り返し荷重回数)を測定することにより評価した。図9のグラフにおいて、縦軸には1歯に負荷される歯荷重を、横軸には破断に至るまでの回転回数を示す。
図9から明らかなように、同程度の荷重が負荷された場合、実施例2の歯付きベルトは、比較例に比べ、ベルトが多く回転した後、つまり荷重が多く負荷された後、破断に至った。すなわち、本試験により、実施例2の歯付きベルトは、一定の荷重が負荷された条件下で回転させられたとき、比較例に比べ寿命が長くなると理解できる。
上述したように、本発明に係る歯付きベルトは、他のゴム層より剛性が高い接着ゴム層によって、心線の周りが取り囲まれている。これにより、歯付きベルトの歯元部の強度は向上され、実施例に示したように、歯付きベルトの歯欠け等による破断は有効に防止される。また、接着ゴム層の短繊維が配向するベルトの厚さ方向は、ベルト回転時、ベルトの歯元部に作用する負荷方向と同一であるので、ベルトの耐久性は著しく向上する。さらに、背ゴム層には短繊維が混入されていないので、背ゴムからのクラックは生じにくい。
また、第2の実施形態の歯付きベルトにおいては、歯ゴム層に短繊維を混入させたことにより、実施例に示したようにさらに耐久性が向上する。さらに、歯ゴム層の短繊維が混入される方向は、ベルト回転時、ベルトの歯部に負荷がかかる方向と略直角であるので、これにより歯の変形は防止され、著しく耐久性は向上する。また、プーリと噛み合う歯表面ゴム層には短繊維は混入されていないので、歯表面の剛性は低下させられ、これにより、騒音の発生が有効に防止される。さらに、帆布と歯ゴム層の間には、歯表面ゴム層が接合されているので、帆布と短繊維が混入されたゴム層との接着不良も防止される。
本発明に係る第1の実施形態の歯付きベルトの側面図を示す。 図1におけるII−II線上に沿う断面図を示す。 第1の実施形態において、歯付きドラムに予成型帆布、心線、接着ゴムシート、および背ゴムシートを巻き付ける工程の部分断面図を示す。 第1の実施形態において、加熱加圧により加硫成形された歯付きベルトの部分断面図を示す。 本発明に係る第2の実施形態の歯付きベルトの側面図を示す。 第2の実施形態において、歯付きドラムに予成型帆布、心線、接着ゴムシート、および背ゴムシートを巻き付ける工程の部分断面図を示す。 サーボパルサー試験機による歯付きベルトの評価の結果を示す。 サーボパルサー試験機の模式図を示す。 高負荷試験の結果を示す。 走行試験装置の模式図を示す。
符号の説明
10,80 歯付きベルト
12 歯ゴム層
16 背ゴム層
18 心線
22 接着ゴム層
40 短繊維
56 予成型帆布(予成形帆布)
81 歯表面ゴム層

Claims (10)

  1. 一方の面に長手方向に沿って歯部および歯底部が交互に形成される歯ゴム層と、
    前記歯ゴム層の他方の面に設けられる背ゴム層と、
    前記歯ゴム層と背ゴム層との間に設けられ、ベルトの厚さ方向に配向された短繊維が混入された接着ゴム層と、
    前記接着ゴム層の中に埋設され、長手方向に延びる心線とを備えることを特徴とする歯付きベルト。
  2. 前記短繊維の繊維長さが約4mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  3. 前記歯ゴム層の外表面側にさらに歯表面ゴム層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  4. 前記歯表面ゴム層には、短繊維が混入されないことを特徴とする請求項3に記載の歯付きベルト。
  5. 前記歯ゴム層に短繊維が混入されていることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  6. 前記歯ゴム層には、前記接着ゴムに混入された短繊維と異なる方向に配向される短繊維が混入されることを特徴とする請求項5に記載の歯付きベルト。
  7. 前記心線は、互いに離間するように巻き付けられ、前記隣接する心線の間隔が約0.2から約0.4mmであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
  8. 歯形に形成され凹部を有する金型に、帆布に歯ゴムシートが接合され前記歯形に沿うように予め成形された予成形帆布を前記金型に取り付ける予成形帆布取付工程と、
    前記歯ゴムシート上に、心線が互いに離間するように前記凹部が並ぶ方向に巻き付けられる心線巻付工程と、
    前記心線の上に短繊維が配合された接着ゴムシートを取り付ける第1のゴム取付工程と、
    前記接着ゴムシートの上にさらに背ゴムシートを取り付ける第2のゴム取付工程と、
    前記金型を加硫釜内に入れ、前記背ゴムシート側から内側に向けて圧力を付勢するとともに前記加硫釜内の温度を上昇させ、加硫することによりベルトスリーブを成型する加硫工程を備え、
    前記加硫工程において、前記接着ゴムシートを前記心線同士の間から内側に流入させ、前記接着ゴムシートによって前記歯ゴムシートおよび前記背ゴムシートを接着させるとともに、前記接着ゴムシート内に前記心線を埋設させることを特徴とする歯付きベルトの製造方法。
  9. 前記加硫工程において、前記短繊維がベルトの厚さ方向に配向されることを特徴とする請求項8に記載のベルトの製造方法。
  10. 前記予成形帆布は、前記帆布と前記歯ゴムシートの間に接合される歯表面ゴムシートを備えることを特徴とする請求項8に記載のベルトの製造方法。

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