JP2005180220A - 内燃機関の燃焼温度推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内燃機関の筒内(燃焼室内)における燃焼温度を簡易な構成で精度良く推定し得る内燃機関の燃焼温度推定方法を提供すること。
【解決手段】 この方法は、燃料噴射開始時期が到来する毎に、筒内ガスの状態が断熱変化することを原則的に利用して着火時における燃焼前の筒内ガス温度(着火時圧縮筒内ガス温度Tpump)を推定し、燃料の燃焼による発熱量を吸気中のガス成分の濃度比率から求められる燃焼に関与する燃焼後の筒内ガスのモル数及び定圧比熱の積で除することで燃焼による筒内ガスの温度上昇量(燃焼起因温度上昇量ΔTburn)を推定し、筒内の燃焼速度に影響を与える因子である燃料噴射圧力及びエンジン回転速度に基づいて同燃焼速度の増大による筒内ガスの温度上昇量(燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_velo)を推定する。そして、Tflame=Tpump+ΔTburn+ΔTb_veloなる式にて最高燃焼温度Tflameを推定する。
【選択図】 図11

Description

本発明は、内燃機関の筒内(燃焼室内)における燃焼温度を推定する燃焼温度推定方法に関する。
火花点火式内燃機関、ディーゼル機関等の内燃機関から排出されるNOx等のエミッションの量は、筒内における燃焼温度(最高燃焼温度、最高火炎温度)に強い相関を有している。従って、NOx等のエミッションの排出量を低減するためには燃焼温度を所定温度に制御することが有効である。一方、この燃焼温度を実測することは非常に困難である。よって、燃焼温度を所定温度に制御するためには同燃焼温度を精度良く推定する必要がある。
このため、下記特許文献1に記載の内燃機関の燃焼室内温度状態推定装置は、機関の燃焼室から排出される排ガスの温度を同燃焼室外で検出する排気温度センサを備え、この排気温度センサが検出した燃焼室外排気温度検出値に基づいて、この検出値と相関性の高い燃焼終了後の燃焼室内温度(従って、上記筒内における燃焼温度)を推定するようになっている。
特開2002−54491号公報
上記装置においては、筒内における燃焼温度の推定に際し、燃焼室外排気温度と同燃焼温度との間に強い相関があることを前提としている。しかしながら、実際には両者間に常に強い相関があるわけではないから、この結果、上記燃焼温度を精度良く推定できない場合がある。また、排気温度センサが必須の構成となっているため、製造コストが増大し、且つ構成が複雑化するという問題がある。
本発明は、かかる課題に対処するためになされたものであって、その目的は、内燃機関の筒内(燃焼室内)における燃焼温度を簡易な構成で精度良く推定し得る内燃機関の燃焼温度推定方法を提供することにある。
本発明による内燃機関の燃焼温度推定方法では、先ず、少なくとも筒内に存在する筒内ガスが同筒内で圧縮されることを利用して、着火時における燃焼前の筒内ガス温度である着火時圧縮筒内ガス温度が推定される。ここにおいて、着火時は、例えば、火花点火式内燃機関については点火プラグの点火時であり、ディーゼル機関については燃料噴射時期(少なくとも1回のパイロット噴射の後にメイン噴射が実行される場合においてはメイン噴射時期)から所定の着火遅れ時間が経過した時点である。
この着火時圧縮筒内ガス温度は、例えば、圧縮行程(及び膨張行程)における燃焼前の筒内ガスの状態(即ち、温度、圧力)が断熱変化するとの仮定のもと、ポリトロープ指数を用いた断熱変化を表す一般的な式と、上記着火時における筒内容積とに基づいて正確、且つ容易に求めることができる。
また、この推定方法では、少なくとも前記筒内に吸入されるガスの組成と、噴射された燃料の燃焼による発熱量とに基づいて、燃焼による前記筒内ガスの温度上昇量である燃焼起因温度上昇量が推定される。一般に、燃焼による筒内ガスの温度上昇量(従って、燃焼起因温度上昇量)は、燃料の燃焼による発熱量を、燃焼後の同燃焼に関与した筒内ガスの比熱(定圧比熱)と、燃焼後の同燃焼に関与した筒内ガスの量(モル数)とで除することで求めることができる。
ここで、上記燃焼に関与した筒内ガスの定圧比熱、及びモル数は、筒内に吸入されるガス(以下、「吸気」と云うこともある。)の組成(吸気を構成する複数成分(例えば、酸素、不活性ガス)の濃度割合)により変化する値であって、例えば、吸気中の不活性ガスの濃度割合の増大により共に増大する値である(詳細は後述する。)。従って、この燃焼起因温度上昇量は、吸気の組成(例えば、吸気中の不活性ガスの濃度割合等)に基づいて正確に求められ得る上記燃焼に関与した筒内ガスの定圧比熱及びモル数、並びに燃料の燃焼による発熱量に基づいて精度良く求めることができる。
更に、この推定方法では、筒内の燃焼速度に影響を与える因子に基づいて同燃焼速度の増大による前記筒内ガスの温度上昇量である燃焼速度起因温度上昇量が推定される。一般に、ディーゼル機関においては、着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも後の時点(即ち、膨張行程に対応する時点)である場合が多い。膨張行程では、筒内ガス温度は時間経過に従って低下する。
従って、この場合、着火時点(即ち、燃焼開始時点)から筒内ガス温度が最高燃焼温度に達するまでの時間が短いほど同最高燃焼温度が高くなる。換言すれば、燃焼開始後における筒内の燃焼速度が大きいほど筒内ガスの(最高)燃焼温度が高くなる。かかる筒内ガスの温度上昇量が前記筒内の燃焼速度に影響を与える因子に基づいて燃焼速度起因温度上昇量として求められる。
前記筒内の燃焼速度に影響を与える因子としては、例えば、前記燃料の噴射圧力、前記機関の回転速度、前記筒内に吸入されるガスのスワール比、前記機関に過給機が配設されている場合における同過給機による過給圧、及び前記筒内に吸入されるガス中の酸素濃度が挙げられる。
そして、この推定方法では、前記着火時圧縮筒内ガス温度に、前記燃焼起因温度上昇量と前記燃焼速度起因温度上昇量とを加えた値を筒内における(最高)燃焼温度として推定される。このようにして推定される筒内における最高燃焼温度は、以下のごとく、種々の実際の現象を精度良く表す値となり得る。
即ち、例えば、燃料の噴射時期を遅らせることで(膨張行程にある)着火時が遅れると、同着火時の筒内容積の増大により上記推定される着火時圧縮筒内ガス温度が低下し、この結果、上記推定される筒内における最高燃焼温度が低下する。この推定結果は、燃料噴射時期を遅らせるとNOx発生量が減少するという実際の現象に沿うものである。
また、例えば、EGR率(吸気量に対するEGRガス量の割合)の増大により吸気中の不活性ガス(例えば、CO等)の濃度を増大させると、上述のごとく上記燃焼に関与した筒内ガスの定圧比熱及びモル数が共に増大するから上記推定される燃焼起因温度上昇量が低下し、この結果、上記推定される筒内における最高燃焼温度が低下する。この推定結果は、EGR率を増大させるとNOx発生量が減少するという実際の現象に沿うものである。
また、例えば、燃料の噴射圧力を増大させ、且つ機関の回転速度を大きくすることで筒内の燃焼速度を速くすると、上記推定される燃焼速度起因温度上昇量が増大し、この結果、上記推定される筒内における最高燃焼温度が増大する。この推定結果は、燃料の噴射圧力を増大させ、且つ機関の回転速度を大きくするとNOx発生量が増加するという実際の現象に沿うものである。以上、説明したように、上記本発明による燃焼温度推定方法によれば、筒内における最高燃焼温度を簡易な構成で実際の種々の現象に沿うように精度良く推定することができる。
上記本発明による燃焼温度推定方法においては、前記筒内に吸入されるガスの温度と、同吸入されるガスの組成と、前記燃焼前の筒内ガス温度を上昇せしめる因子とに基づいて推定される前記着火時圧縮筒内ガス温度の上昇量と、に基づいて同着火時圧縮筒内ガス温度を推定することが好適である。この場合、前記燃焼前の筒内ガス温度を上昇せしめる因子としては、例えば、前記燃料の噴射に先立ってパイロット噴射が行われる場合における同パイロット噴射された燃料の燃焼による発熱量、及びグロープラグへの通電が行われる場合における同通電による発熱量が挙げられる。
上記着火時圧縮筒内ガス温度は、当然に吸気温度により変化する。また、断熱変化する筒内ガスに使用すべきポリトロープ指数は吸気の組成(従って、筒内ガスの組成)により変化するから、(ポリトロープ指数を用いた断熱変化を表す一般的な式に基づく)上記着火時圧縮筒内ガス温度は、吸気の組成によっても変化する。
更には、燃焼前の筒内ガスに上記グロープラグへの通電等による熱量が与えられる場合、上記着火時圧縮筒内ガス温度は、同熱量に相当する分だけ上昇する。かかる筒内ガスの温度上昇量が上記着火時圧縮筒内ガス温度の上昇量として求められる。
以上のことから、筒内に吸入されるガス(吸気)の温度、同吸入されるガス(吸気)の組成、及び、上記着火時圧縮筒内ガス温度の上昇量は、上記着火時圧縮筒内ガス温度に影響を与える値(パラメータ)となり得る。従って、上記のように、上記着火時圧縮筒内ガス温度の推定に際し、筒内ガスが筒内で圧縮されることに加えて上記3つのパラメータを考慮することで同着火時圧縮筒内ガス温度がより一層精度良く推定され得、この結果、筒内における(最高)燃焼温度もより一層精度良く推定され得る。
また、上記本発明による燃焼温度推定方法においては、前記着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも前である場合、同着火時が同圧縮上死点に対応する時期と一致するものと仮定して、前記着火時圧縮筒内ガス温度を推定することが好適である。
着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも前である場合(即ち、着火時が圧縮行程に対応する時点である場合)、着火後の(即ち、燃焼中、或いは燃焼後の)筒内ガスそのものが圧縮上死点に対応する時期まで更に圧縮され続け、この結果、筒内における最高燃焼温度も圧縮上死点に対応する時期まで上昇していくと考えることができる。換言すれば、この場合における筒内における最高燃焼温度は、着火時が同圧縮上死点に対応する時期と一致する場合における最高燃焼温度と一致する。
従って、上記のように、着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも前である場合、同着火時が同圧縮上死点に対応する時期と一致するものと仮定して着火時圧縮筒内ガス温度を推定することで、着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも前である場合における筒内における最高燃焼温度が、更に一層精度良く推定され得る。
以下、本発明の実施形態に係る内燃機関の燃焼温度推定方法を実施するとともに、同方法により推定された燃焼温度を利用して筒内にて燃焼により発生するNOx発生量を推定する内燃機関(ディーゼル機関)の制御装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は、係る内燃機関の制御装置を4気筒内燃機関(ディーゼル機関)10に適用したシステム全体の概略構成を示している。このシステムは、燃料供給系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20の各気筒の燃焼室(筒内)にガスを導入するための吸気系統30、エンジン本体20からの排ガスを放出するための排気系統40、排気還流を行うためのEGR装置50、及び電気制御装置60を含んでいる。
エンジン本体20の各気筒の上部には燃料噴射弁(噴射弁、インジェクタ)21が配設されている。各燃料噴射弁21は、図示しない燃料タンクと接続された燃料噴射用ポンプ22に燃料配管23を介して接続されている。また、各気筒の上部には、燃料噴射弁21に隣接するようにグロープラグ24が配設されている。各グロープラグ24は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、機関が暖機運転状態等の所定の運転状態にあるときにのみ同電気制御装置60からの信号により通電されて発熱し、各筒内に存在する筒内ガスに所定量の熱を供給するようになっている。
燃料噴射用ポンプ22は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、同電気制御装置60からの駆動信号(後述する(指令)基本燃料噴射圧力Pcrbaseに応じた指令信号)により燃料の実際の噴射圧力(吐出圧力)が同指令基本燃料噴射圧力Pcrbaseになるように同燃料を昇圧するようになっている。
これにより、燃料噴射弁21には、燃料噴射用ポンプ22から前記基本燃料噴射圧力Pcrbaseまで昇圧された燃料が供給されるようになっている。また、燃料噴射弁21は、電気制御装置60と電気的に接続されていて、同電気制御装置60からの駆動信号(後述する(指令)燃料噴射量(質量)qfinに応じた指令信号)により所定時間だけ開弁し、これにより各気筒の燃焼室内に前記指令基本燃料噴射圧力Pcrbaseにまで昇圧された燃料を前記指令燃料噴射量qfinだけ直接噴射するようになっている。
吸気系統30は、エンジン本体20の各気筒の燃焼室にそれぞれ接続された吸気マニホールド31、吸気マニホールド31の上流側集合部に接続され同吸気マニホールド31とともに吸気通路を構成する吸気管32、吸気管32内に回動可能に保持されたスロットル弁33、電気制御装置60からの駆動信号に応答してスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流において吸気管32に順に介装されたインタクーラー34と過給機35のコンプレッサ35a、及び吸気管32の先端部に配設されたエアクリーナ36とを含んでいる。
排気系統40は、エンジン本体20の各気筒にそれぞれ接続された排気マニホールド41、排気マニホールド41の下流側集合部に接続された排気管42、排気管42に配設された過給機35のタービン35b、及び排気管42に介装されたディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、「DPNR」と称呼する。)43を含んでいる。排気マニホールド41及び排気管42は排気通路を構成している。
DPNR43は、コージライト等の多孔質材料から形成されたフィルタ43aを備え、通過する排気ガス中のパティキュレートを細孔表面にて捕集するフィルタである。DPNR43は、担体としてのアルミナに、カリウムK,ナトリウムNa,リチウムLi,セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa,カルシウムCaのようなアルカリ土類金属、及びランタンLa、イットリウムYのような希土類金属から選ばれた少なくとも一つを白金とともに担持し、NOxを吸収した後に同吸収したNOxを放出して還元する吸蔵還元型NOx触媒としても機能するようになっている。
EGR装置50は、排気ガスを還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51と、排気還流管51に介装されたEGR制御弁52と、EGRクーラー53とを備えている。排気還流管51はタービン35bの上流側排気通路(排気マニホールド41)とスロットル弁33の下流側吸気通路(吸気マニホールド31)を連通している。EGR制御弁52は電気制御装置60からの駆動信号に応答し、再循環される排気ガス量(排気還流量、EGRガス流量)を変更し得るようになっている。
電気制御装置60は、互いにバスで接続されたCPU61、CPU61が実行するプログラム、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)、及び定数等を予め記憶したROM62、CPU61が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM63、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM64、並びにADコンバータを含むインターフェース65等からなるマイクロコンピュータである。
インターフェース65は、空気流量(新気流量)計測手段であって吸気管32に配置された熱線式エアフローメータ71、スロットル弁33の下流であって排気還流管51が接続された部位よりも下流の吸気通路に設けられた吸気温センサ72、スロットル弁33の下流であって排気還流管51が接続された部位よりも下流の吸気通路に配設された吸気管圧力センサ73、クランクポジションセンサ74、アクセル開度センサ75、及び、スロットル弁33の下流であって排気還流管51が接続された部位よりも下流の吸気通路に設けられた吸気酸素濃度センサ76と接続されていて、これらのセンサからの信号をCPU61に供給するようになっている。また、インターフェース65は、燃料噴射弁21、燃料噴射用ポンプ22、スロットル弁アクチュエータ33a、及びEGR制御弁52と接続されていて、CPU61の指示に応じてこれらに駆動信号を送出するようになっている。
熱線式エアフローメータ71は、吸気通路内を通過する吸入空気(新気)の質量流量(単位時間あたりの吸入新気量)を計測し、同質量流量Ga(吸入新気流量Ga)を表す信号を発生するようになっている。吸気温センサ72は、前述した吸気の温度を検出し、同吸気温度Tbを表す信号を発生するようになっている。吸気管圧力センサ73は、吸気の圧力(即ち、吸気管圧力)を検出し、同吸気管圧力Pbを表す信号を発生するようになっている。
クランクポジションセンサ74は、各気筒の絶対クランク角度を検出し、クランク角度CAを表すとともにエンジン10の回転速度であるエンジン回転速度NEをも表す信号を発生するようになっている。アクセル開度センサ75は、アクセルペダルAPの操作量を検出し、アクセル操作量Accpを表す信号を発生するようになっている。吸気酸素濃度センサ76は、吸気中の酸素濃度(即ち、吸気酸素濃度)を検出し、同吸気酸素濃度RO2_inを表す信号を発生するようになっている。
(燃焼温度推定方法の概要)
次に、上記のように構成された内燃機関の制御装置(以下、「本装置」と云うこともある。)による本発明の実施形態に係る燃焼温度推定方法の概要について説明する。図2は、機関10の或る一つの気筒の筒内に吸気マニホールド31からガス(即ち、吸気)が吸入され、筒内に吸入されたガス(筒内ガス)が燃焼後に排気マニホールド41へ排出される様子を模式的に示した図である。
図2に示したように、吸気(従って、筒内ガス)には、吸気管32の先端部からスロットル弁33を介して吸入された新気と、排気還流管51からEGR制御弁52を介して吸入されたEGRガスが含まれる。吸入される新気量(新気質量)と吸入されるEGRガス量(EGRガス質量)の和に対するEGRガス質量の割合(即ち、EGR率)は、運転状態に応じて電気制御装置60(CPU61)により適宜制御されるスロットル弁33の開度、及びEGR制御弁52の開度に応じて変化する。
吸気(即ち、新気、及びEGRガスから構成されるガス)は、吸気行程において開弁している吸気弁Vinを介してピストンの下降に伴って筒内に吸入されて筒内ガスとなる。筒内ガスは、ピストンが下死点に達した時点(以下、「ATDC-180°」と称呼する。)で吸気弁Vinが閉弁することにより筒内に密閉され、その後の圧縮行程においてピストンの上昇に伴って圧縮される。そして、ピストンが圧縮上死点(以下、「ATDC0°」と称呼する。)近傍に達っすると(具体的には、後述する最終燃料噴射時期finjfinが到来すると)、本装置は、前記指令燃料噴射量qfinに応じた所定時間だけ燃料噴射弁21を開弁することで燃料を筒内に直接噴射する。この結果、噴射された燃料は、時間の経過に伴って同筒内ガスと混ざり合いながら混合気となって筒内において拡散していき、所定の着火遅れ時間が経過すると自己着火が発生することに起因して燃焼する。
係る燃焼は、本実施例では、後述するように推定される燃焼領域(以下、「B領域」と云うこともある。図2を参照。)においてのみ発生し、燃焼室内におけるB領域を除いた領域である非燃焼領域(以下、「A領域」と云うこともある。図2を参照。)では発生しないと仮定する。そして、燃焼後に燃焼室内に存在する筒内ガスは、排ガスとなって、排気行程において開弁している排気弁Voutを介してピストンの上昇に伴って排気マニホールド41へ排出される。係る排ガスは、その一部が排気還流管51を介してEGRガスとなって吸気側に還流され、残りの排ガスは排気管42を介して外部へと排出されていく。
以下、本装置が実施する具体的な燃焼温度推定方法について説明していく。この燃焼温度推定方法では、燃料が噴射される対象となる気筒(以下、「燃料噴射気筒」と称呼する。)について上記最終燃料噴射時期finjfinが到来する毎に、その直後(上記所定の着火遅れ時間経過後)において上記B領域にて発生する燃焼による筒内ガスの最高燃焼温度Tflameが推定されていく。本装置は、下記(1)式に従って最高燃焼温度Tflameを求める。
Tflame=Tpump+ΔTburn+ΔTb_velo ・・・(1)
上記(1)式において、Tpumpは着火時における燃焼前の筒内ガス温度である着火時圧縮筒内ガス温度である。ΔTburnは燃焼による筒内ガスの温度上昇量である燃焼起因温度上昇量である。ΔTb_veloは燃焼速度の増大による筒内ガスの温度上昇量である。以下、これらの値の取得方法について個別に説明する。
<着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpの取得>
着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpを取得するため、先ず、圧縮行程、及び膨張行程において筒内ガスと外部との熱交換がないと仮定するものとする。そうすると、係る筒内ガスの状態は断熱変化するから、筒内ガス温度Taは、図3に実線にて示すように、クランク角度CA(ATDC)に応じて変化し、着火時の筒内ガス温度(即ち、着火時圧縮筒内ガス温度Tpump)は、断熱変化を表す一般的な式である下記(2)式に従って求めることができる。
Tpump=Ta0・(Va0/Vig)κ-1 ・・・(2)
上記(2)式において、Ta0は、ATDC-180°における下死点時筒内ガス温度である。ATDC-180°において筒内ガス温度は吸気温度Tbと略等しいと考えられるから、下死点時筒内ガス温度Ta0は、ATDC-180°において吸気温センサ72により検出される吸気温度Tbとして取得することができる。Va0は、ATDC-180°における下死点時筒内容積である。筒内容積Vaは機関10の設計諸元に基づいてクランク角度CAの関数Va(CA)として表すことができるから、この関数に基づいて下死点時筒内容積Va0も求めることができる。
また、上記(2)式において、Vigは着火時における筒内容積である。ここで、着火時は燃料噴射時期から所定の着火遅れ時間が経過した時点であるから、図3に示したように、着火時におけるクランク角度CAigは、上記最終燃料噴射時期finjfinに相当する燃料噴射時クランク角度CAinjから上記着火遅れ時間に相当するクランク角度ΔCAdelayだけ遅角させた値として求めることができる。従って、上記着火時筒内容積Vigは、Va(CAig)として求めることができる。
また、上記(2)式において、κはポリトロープ指数である。ここで、断熱変化する筒内ガスに使用すべきポリトロープ指数κは吸気の組成(従って、筒内ガスの組成)により変化する。従って、本例では、吸気酸素濃度センサ76により検出された吸気酸素濃度RO2_in(具体的には、下死点時(ATDC-180°)に検出された吸気酸素濃度RO2_inである下死点時吸気酸素濃度RO2c)と、吸気酸素濃度からポリトロープ指数を求める関数gとに基づいて、ポリトロープ指数κは、g(RO2c)として求めることができる。
以上のようにして、本装置は、原則的に、着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpを上記(2)式に従って求める。この結果、図3に実線にて示したように、着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpは、着火時(着火時クランク角度CAig)が圧縮上死点(ATDC0°)に対応する時期よりも前である場合(即ち、着火時が圧縮行程に対応する時点である場合)には同着火時が遅れるほど上昇し、一方、着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも後である場合(即ち、着火時が膨張行程に対応する時点である場合)には同着火時が遅れるほど減少する。
ところで、着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも前である場合、着火後の(即ち、燃焼中、或いは燃焼後の)筒内ガスそのものが圧縮上死点に対応する時期まで更に圧縮され続け、この結果、最終的な演算対象である上記(1)式に従う上記最高燃焼温度Tflameも圧縮上死点に対応する時期まで上昇していくと考えられる。即ち、この場合、上記最高燃焼温度Tflameは、着火時が圧縮上死点に対応する時期と一致する場合における最高燃焼温度と一致させる方が好ましい。
そこで、着火時(即ち、着火時クランク角度CAig)が圧縮上死点に対応する時期よりも前である場合、着火時が圧縮上死点に対応する時期と一致するものと仮定し、本装置は、着火時筒内容積Vigの値をVa(CAig)に代えてATDC0°における筒内容積Vtop(一定値)として上記(2)式に従って着火時筒内ガス温度Tpumpを求める。この結果、図3に破線にて示したように、この場合の着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpは、圧縮上死点における筒内ガス温度Ta1(一定値)として推定される。
以上、圧縮行程、及び膨張行程において筒内ガスと外部との熱交換がないと仮定した場合について説明した。しかしながら、実際には、上記グロープラグ24が通電されている場合、圧縮行程、及び膨張行程にある筒内ガスは同グロープラグ24から所定量の熱を受け、この結果、着火時の筒内ガス温度(従って、着火時圧縮筒内ガス温度Tpump)はこの熱量に相当する分だけ上昇する。
そこで、本装置は、グロープラグ24が通電されている場合、上記のように求めた着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpに、上記熱量に相当する筒内ガス温度上昇量ΔTpump(=Tglow(本例では、一定値))を加えた値を最終的な着火時圧縮筒内ガス温度として推定する。以上のように、着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpは、少なくとも、断熱圧縮に係る上記(2)式と、下死点時(ATDC-180°)における吸気温度Tbと、吸気の組成(上記下死点時吸気酸素濃度RO2c)と、上記筒内ガス温度上昇量ΔTpumpとに基づいて、上記最終燃料噴射時期finjfinが到来する毎に推定される。
<燃焼起因温度上昇量ΔTburnの取得>
燃焼による筒内ガスの温度上昇量である燃焼起因温度上昇量ΔTburnを取得するため、噴射された燃料の1molあたりの燃焼について考える。そうすると、燃焼起因温度上昇量ΔTburnは、下記(3)式にて表すことができる。
ΔTburn=Qfuel/(Cp・ngas) ・・・(3)
上記(3)式において、Qfuelは噴射された燃料1molあたりの燃焼による発熱量であって、燃料の組成により一義的に決定される既知の値(定数)である。Cpは1molの燃料の燃焼に関与する燃焼後の筒内ガスの定圧比熱である。ngasは1molの燃料の燃焼に関与する燃焼後の筒内ガスのモル数である。従って、上記(3)式に従って燃焼起因温度上昇量ΔTburnを求めるためには、上記定圧比熱Cp、及び上記モル数ngasを求める必要がある。ここで、吸気中の代表的なガス成分を含んだ燃料(C)1molあたりの燃焼についての化学反応式は下記(4)式にて表される。
Figure 2005180220
上記(4)式において、値m、及び値nは噴射される燃料の組成により一義的に決定される値であって、例えば、ディーゼル機関に使用される標準的な燃料の場合、m=15.75,n=30.55である。α,β,γはそれぞれ、1molの燃料の燃焼に関与する不活性ガスであるCO,HO,Nのモル数である。即ち、ここでは、吸気中のガス成分としてOと、不活性ガスCO,HO,Nの4つの成分に着目している。上記(4)式の右辺から容易に理解できるように、1molの燃料の燃焼に関与する燃焼後の筒内ガスの上記モル数ngas、及び上記定圧比熱Cp(等価定圧比熱)はそれぞれ、下記(5)式、及び下記(6)式にて表すことができる。下記(6)式において、Cp_CO2,Cp_H2O,Cp_N2,はそれぞれ、CO,HO,Nの定圧比熱である。
Figure 2005180220
従って、上記(5)式、及び上記(6)式から理解できるように、上記モル数ngas、及び上記定圧比熱Cpを求めるためには、上記モル数α,β,γを求める必要がある。一方、これらの値は吸気の組成(具体的には、吸気を構成する上記4つの成分の吸気中の濃度(割合))に応じて変化するから、これらの値を求めるためには同4つの成分の吸気中の濃度(割合)を求める必要がある。そこで、以下、上記4つの成分の吸気中の各濃度の取得方法について説明する。
なお、以下において、[X]in、[X]egr、[X]air(X:O,CO,HO,N)は、成分Xの吸気中の質量濃度、成分XのEGRガス中の質量濃度、成分Xの新気中の質量濃度をそれぞれ表すものとする。また、[X]airは既知の値であるものとする(例えば、[CO]air=[HO]air=0、[O]air=0.233、[N]air=0.767)。
また、以下において、Gcylは一吸気行程で筒内に吸入された吸気の総ガス質量(以下、「筒内総ガス量Gcyl」と称呼する。)であり、Gegrは一吸気行程で吸気の一部としてEGR装置50から筒内に吸入されたEGRガスの質量(以下、「EGRガス量」と称呼する。)であり、Gmは一吸気行程で吸気管32の先端部から吸気の一部として筒内に吸入された新気の質量(以下、「吸入新気量」と称呼する。)である。
ここで、筒内総ガス量Gcylは、ATDC-180°における気体の状態方程式に基づく下記(7)式に従って求めることができる。
Gcyl=(Pa0・Va0)/(R・Ta0) ・・・(7)
上記(7)式において、Pa0は、ATDC-180°における下死点時筒内ガス圧力である。ATDC-180°において筒内ガス圧力は吸気管圧力Pbと略等しいと考えられるから、下死点時筒内ガス圧力Pa0は、ATDC-180°において吸気管圧力センサ73により検出される吸気管圧力Pbとして取得することができる。Rは筒内ガスのガス定数である。Ta0、及びVa0はそれぞれ、上記(2)式と同様、下死点時筒内ガス温度、及び下死点時筒内容積である。
また、吸入新気量Gmは、エアフローメータ71により計測される単位時間あたりの吸入新気量(吸入新気流量Ga)と、クランクポジションセンサ74の出力に基づくエンジン回転速度NEと、吸入新気流量Ga及びエンジン回転速度NEを引数とする一吸気行程あたりの吸入新気量を求めるための関数f(Ga,NE)とに基づいて求めることができる。吸入新気流量Ga及びエンジン回転速度NEとしては、ATDC-180°において各センサにより取得される下死点時吸入新気流量Ga0、及び下死点時エンジン回転速度NE0がそれぞれ使用される。
また、上記筒内総ガス量Gcylは上記EGRガス量Gegrと上記吸入新気量Gmの和であるから、EGRガス量Gegrは、上記のように求められ得る筒内総ガス量Gcyl、及び吸入新気量Gmと、下記(8)式とに基づいて求めることができる。
Gegr=Gcyl-Gm ・・・(8)
以下、先ず、吸気中のCOの濃度(以下、「吸気CO濃度」と称呼する。)[CO]inの取得方法について説明する。吸気CO濃度は、筒内に吸入された燃焼前の筒内ガス中のCO濃度に等しいから、筒内総ガス量Gcylに対する、「筒内に吸入された新気中のCO質量
[CO]air・Gm と、筒内に吸入されたEGRガス中のCO質量 [CO]egr・Gegr
の和」の質量割合として、下記(9)式に従って求めることができる。
Figure 2005180220
ここで、EGRガス中のCO濃度[CO]egrは(排気弁Voutを通過する)排ガス中のCO濃度に等しいと考えられ、同排ガス中のCO濃度は燃焼後の筒内ガス中のCO濃度である。燃焼後の筒内ガス中のCO濃度は、「筒内総ガス量Gcylに今回の指令燃料噴射量(質量)qfinc(=qfin)を加えた値」に対する、「筒内に吸入された新気中のCO質量
[CO]air・Gm と、筒内に吸入されたEGRガス中のCO質量 [CO]egr・Gegr
と、燃焼により発生したCO質量の和」の質量割合である。
燃焼により発生したCO質量は、単位質量あたりの燃料の燃焼により発生するCO質量をKCOとすると、KCO・qfinc と表すことができる。また、上記(4)式から理解できるように燃料(C)1molの燃焼によりm
molのCOが発生するから、燃料(C)の分子量をMfuel、COの分子量をMCO(=44)とすると、質量Mfuelの燃料の燃焼により質量(m・MCO)のCOが発生することになる。従って、KCOは、
m・(MCO/Mfuel) として求めることができる。以上より、EGRガス中のCO濃度[CO]egrは下記(10)式に従って求めることができ、下記(10)式を整理すると下記(11)式が得られる。
Figure 2005180220
そして、上記(11)式を上記(9)式に代入すると、下記(12)式が得られ、下記(12)式に従って吸気CO濃度[CO]inを求めることができる。下記(12)式において、RはEGR率であって、R=Gegr/Gcylである。
Figure 2005180220
次に、吸気中のHOの濃度(以下、「吸気HO濃度」と称呼する。)[HO]inの取得方法について説明する。吸気HO濃度[HO]inは、上述した吸気CO濃度[CO]inの取得方法と全く同様にして、上記(9)〜(12)式における[CO]を[HO]に書き換え、且つ、KCOをKHOに書き換えることで求めることができる。即ち、吸気HO濃度[HO]inは、下記(13)式に従って求めることができる。
Figure 2005180220
上記(13)式において、KHOは、単位質量あたりの燃料の燃焼により発生するHO質量である。上記(4)式から理解できるように燃料(C)1molの燃焼により(n/2)
molのHOが発生するから、燃料(C)の分子量をMfuel、HOの分子量をMHO(=18)とすると、質量Mfuelの燃料の燃焼により質量{(n/2)・MHO}のHOが発生することになる。従って、KHOは、
(n/2)・(MHO/Mfuel) として求めることができる。
次に、吸気中のNの濃度(以下、「吸気N濃度」と称呼する。)[N]inの取得方法について説明する。Nは、燃料(C)の燃焼により筒内で発生することはなく、また、筒内で消費されることもない。従って、吸気N濃度[N]inは、上記(9)〜(12)式における[CO]を[N]に書き換え、且つ、KCOの項を削除することで求めることができる。即ち、吸気N濃度[N]inは、下記(14)式に従って求めることができる。
Figure 2005180220
次に、吸気中のOの濃度(以下、「吸気O濃度」と称呼する。)[O]inの取得方法について説明する。筒内ガス中のOは、燃料(C)の燃焼により筒内で消費される。燃焼により消費されるO質量は、単位質量あたりの燃料の燃焼により消費されるO質量をKOとすると、KO・qfinc
と表すことができる。従って、吸気O濃度[O]inは、上記(9)〜(12)式における[CO]を[O]に書き換え、且つ、KCOを「−KO」に書き換えることで求めることができる。即ち、吸気O濃度[O]inは、下記(15)式に従って表すことができる。
Figure 2005180220
ここで、上記(4)式から理解できるように燃料(C)1molの燃焼により(m+n/4) molのOが消費されるから、燃料(C)の分子量をMfuel、Oの分子量をMO(=32)とすると、質量Mfuelの燃料の燃焼により質量{(m+n/4)・MO}のOが消費されることになる。従って、上記(15)式におけるKOは、(m+n/4)・(MO/Mfuel)
として求めることができる。
なお、理論空燃比stoich=KO/[O]airの関係、及び、空気過剰率λ=Gm/(stoich・qfinc)の関係を利用して、上記(15)式からKOとGmを消去すると、下記(16)式が得られ、更には、下記(16)式において「(1/stoich)≒0」の関係を考慮すると、吸気O濃度[O]inは、下記(17)式に従って求めることができる。
Figure 2005180220
以上のようにして、上記4つの成分の吸気中の質量濃度[X]in(X:O,CO,HO,N)をそれぞれ求めることができる。次に、この結果を利用して、上記モル数α,β,γを求める方法について説明する。上記4つの成分の吸気中の質量濃度が求められると、同4つの成分の吸気中の質量濃度の比率
[O]in:[CO]in:[HO]in:[N]in を得ることができる。そして、この4つの成分の吸気中の質量濃度の比率は、筒内に吸入された筒内ガス(より具体的には、上記燃料領域(B領域)に存在するガス)中の同4つの成分の質量濃度の比率として維持されると仮定する。
一方、筒内ガス中の上記4つの成分の質量濃度の比率は、同筒内ガス中の同4つの成分の質量の比率と等しい。また、上記(4)式から理解できるように、同筒内ガス中の同4つの成分のモル数の比率は (m+n/4):α:β:γ であるから、同筒内ガス中の同4つの成分の質量の比率は
(m+n/4)MO:αMCO:βMHO:γMN と表すことができる。以上のことから、下記(18)式が成立する。
Figure 2005180220
上記(18)式を利用すれば、上記モル数α,β,γをそれぞれ、下記(19)〜(21)式に従って求めることができる。
Figure 2005180220
このようにして、上記モル数α,β,γが求められると、上記(5)式、及び上記(6)式に従って上記モル数ngas、及び上記定圧比熱Cpを求めることができ、この結果、上記(3)式に従って燃焼起因温度上昇量ΔTburnを求めることができる。
以上、本装置は、上記(3)〜(21)式を利用して、少なくとも吸気の組成(吸気中のガス成分の濃度比率)と、噴射された燃料の燃焼による発熱量(Qfuel)とに基づいて、上記最終燃料噴射時期finjfinが到来する毎に、燃焼起因温度上昇量ΔTburnを求める。
<燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloの取得>
筒内ガス温度Taが、着火時における温度(即ち、着火時圧縮筒内ガス温度Tpump)から上記燃焼起因温度上昇量ΔTburnだけ上昇して温度(Tpump+ΔTburn)となるまで(即ち、着火時から筒内ガス温度Taが最高燃焼温度Tflameに到達するまで)には所定の時間(以下、「最高温度到達時間」と称呼する。)が必要である。他方、着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも後の時点(即ち、膨張行程に対応する時点)である場合、時間経過に伴なって筒内容積Vaの増大に起因して筒内ガス温度Taが低下していく(燃焼による筒内ガス温度Taの上昇が抑制される)。
従って、上記最高温度到達時間が短いほど筒内ガスの最高燃焼温度Tflameが高くなる。換言すれば、燃焼開始後における筒内の燃焼速度が大きいほど最高燃焼温度Tflameが高くなる。かかる筒内ガスの温度上昇量が燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloに相当する。以下、この燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloの求め方について図4を参照しながら説明する。
筒内の燃焼速度に影響を与える因子としては種々のものが考えられるが、本例では、(今回の)燃料噴射圧力Pcrc(=前記指令基本燃料噴射圧力Pcrbase)、及びエンジン回転速度NE(具体的には、下死点時エンジン回転速度NE0)を選択する。今回の燃料噴射圧力Pcrc、或いは下死点時エンジン回転速度NE0が増大すると、燃焼速度も増大する。
ここで、今回の燃料噴射圧力Pcrc、及び下死点時エンジン回転速度NE0がそれぞれ、基準燃料噴射圧力Pcrref、及び基準エンジン回転速度NErefである場合における燃焼速度を通常燃焼速度と定義する。そして、筒内の燃焼速度が上記通常燃焼速度となるとき、筒内ガスの最高燃焼温度Tflameは、温度(Tpump+ΔTburn)(以下、「通常燃焼速度時最高燃焼温度Tig」と称呼する。)と等しくなるもの(従って、燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_velo=0となるもの)とする。
そうすると、上記通常燃焼速度に相当する最高温度到達時間からの最高温度到達時間短縮量Δtadvは、今回の燃料噴射圧力Pcrc、及び下死点時エンジン回転速度NE0の関数として下記(22)式により表すことができる。
Δtadv=t0+Ka・Pcrc+Kb・NE0 ・・・(22)
上記(22)式において、t0は負の定数、Ka,Kbは正の定数である。t0,Ka,Kbは、今回の燃料噴射圧力Pcrc、及び下死点時エンジン回転速度NE0がそれぞれ、基準燃料噴射圧力Pcrref、及び基準エンジン回転速度NErefとなる場合にΔtadv=0となるように設定される値である。また、上記(22)式により求められる最高温度到達時間短縮量Δtadvに相当するクランク角度CAの進角量であるΔtadv相当進角量ΔCAadvは、同最高温度到達時間短縮量Δtadvと、下死点時エンジン回転速度NE0と、ΔtadvとNE0とを引数とする関数hと、に基づいてh(tadv,NE0)として求めることができる。
そして、図4に示したように、上記着火時クランク角度CAig(従って、着火時筒内容積Vig)において上記通常燃焼速度時最高燃焼温度Tigとなっている筒内ガスが、断熱変化して、同着火時クランク角CAigから上記Δtadv相当進角量ΔCAadvだけ進角したクランク角度である補正着火時クランク角度CAadv(従って、補正着火時筒内容積Vadv(=Va(CAadv)))まで断熱変化により圧縮されて温度Tadvになったものと仮定する。
そうすると、この温度Tadvから上記通常燃焼速度時最高燃焼温度Tigを減じた値は、燃焼速度が上記通常燃焼速度となる場合に比して、筒内ガス温度が最高燃焼温度Tflameに到達する時期が、上記最高温度到達時間短縮量Δtadvに相当する分だけ早くなることに起因して発生する筒内ガス温度の上昇量(従って、上記燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_velo)に相当すると考えることができる。従って、燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloは、下記(23)式に従って求められる。
ΔTb_velo=Tig・(Vig/Vadv)κ-1−Tig ・・・(23)
以上、本装置は、上記(22)式、及び(23)式等を利用して、筒内の燃焼速度に影響を与える因子となる今回の燃料噴射圧力Pcrc、及び下死点時エンジン回転速度NE0に基づいて、上記最終燃料噴射時期finjfinが到来する毎に、燃焼起因温度上昇量ΔTb_veloを求める。
そして、本装置は、上記最終燃料噴射時期finjfinが到来する毎に、上記(1)式に従って、上記着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpに、上記燃焼起因温度上昇量ΔTburnと上記燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloとを加えた値を筒内ガスの最高燃焼温度Tflameとして推定する。以上が、本発明による燃焼温度推定方法の概要である。
(NOx発生量推定方法の概要)
次に、本装置が実施する、上記推定された最高燃焼温度Tflameを使用したNOx発生量推定方法の概要について説明していく。このNOx発生量推定方法では、燃料噴射気筒について上記最終燃料噴射時期finjfinが到来する毎に、その直後の爆発(膨張)行程において上記B領域において燃焼により発生する実NOx発生量NOxactが推定されていく。
実NOx量発生量NOxactは、単位燃料量あたりの燃焼発生NOx量(以下、「燃焼発生NOx率RNOx_burn」と称呼する。)に上記今回の指令燃料噴射量qfincを乗じた値として、下記(24)式に従って求めることができる。
NOxact=RNOx_burn・qfinc ・・・(24)
ここで、上記(24)式における燃焼発生NOx率RNOx_burnは下記(25)式にて推定される。下記(25)式において、eは自然対数の底である。上述したように、RO2cは下死点時吸気酸素濃度であり、qfincは今回の指令燃料噴射量であり、Pcrcは今回の指令燃料噴射圧力(=Pcrbase)であり、Tflameは上記(1)式にて求められる今回の爆発行程における最高燃焼温度である。また、K0〜K4は代表的な公知の所定の重回帰分析に基づいて後述するように決定された適合定数である。
RNOx_burn=eK0・(RO2c)K1・(qfinc)K2・(Pcrc)K3・e(K4/Tflame) ・・・(25)
即ち、上記(25)式は、燃焼発生NOx率RNOx_burnを求めるための実験式である。上記(25)式にて推定される燃焼発生NOx率RNOx_burnは、上記下死点時吸気酸素濃度RO2c、上記今回の指令燃料噴射量qfinc、上記今回の指令燃料噴射圧力Pcrc、及び上記最高燃焼温度Tflameの関数であって、より具体的には、下死点時吸気酸素濃度RO2cのべき乗、今回の指令燃料噴射量qfincのべき乗、今回の指令燃料噴射圧力Pcrcのべき乗、及び、最高燃焼温度Tflameに応じて決定される値を指数とする指数関数、の積に基づいて計算される。
適合定数K0〜K4は、例えば、以下のような実験を行うことにより決定され得る。即ち、先ず、EGR制御弁52を閉状態に維持して機関10を運転させることで、排気弁Voutから排出された排ガス(従って、同排ガス中のNOx)の総てが排気通路から外部へ排出されるようにしておく。これにより、排気通路から外部へ排出される排ガス中のNOx量は上記実NOx発生量NOxactと等しくなるから、NOx排出量を所定のNOx濃度センサの出力に基づいて計測することで実NOx発生量NOxact(従って、燃焼発生NOx率RNOx_burn(=NOxact/qfinc))を計測できるようになる。
次に、この状態にて、上記下死点時吸気酸素濃度RO2c、上記今回の指令燃料噴射量qfinc、上記今回の指令燃料噴射圧力Pcrc、及び上記(1)式にて求められる最高燃焼温度Tflameの各値の組み合わせを種々の所定パターンになるように順次変更していき、そのパターン毎に、燃焼発生NOx率RNOx_burnを順次計測していく。
そして、このような作業(実験)の結果得られた上記各値の組み合わせと、計測された燃焼発生NOx率RNOx_burnの値との関係に関する多数のデータに基づいて、上記公知の所定の重回帰分析を行って上記適合定数K0〜K4を求めることができる。ここにおいて、少なくとも、適合定数K1〜K3は正の値に決定され、適合定数K4は負の値に決定される。
従って、上記(25)式から理解できるように、(25)式に従って推定・計算される燃焼発生NOx率RNOx_burn(従って、実NOx発生量NOxact)は、下死点時吸気酸素濃度RO2c、今回の指令燃料噴射量qfinc、今回の指令燃料噴射圧力Pcrc、及び最高火炎温度Tflameのうちのどの値が増加しても増大する。このことは、以下の実際の現象に沿うものである。
即ち、先ず、吸気酸素濃度RO2_inが増加すると実NOx発生量NOxactが増大する。これは、酸素はNOxを発生させる材料であって燃焼室内の酸素量が多くなると当然にNOxが発生し易くなることに基づく現象である。
また、燃料噴射量qfinが増加すると実NOx発生量NOxactが増大する。これは、燃料噴射量qfinの増加に応じて機関10に与えられる負荷の大きさが増大することから、燃焼室の内壁面温度の上昇に起因して、燃料噴射量qfinが増大するほど(即ち、機関に与えられる負荷が増加するほど)NOxが発生し易くなることに基づく現象である。
また、燃料噴射圧力Pcrが増加すると実NOx発生量NOxactが増大する。これは、燃料噴射圧力Pcrの増加に応じて燃料の噴射速度が増大すること等により同燃料の霧化の程度が大きくなるから、上述した空気過剰率の増大に起因して、燃料噴射圧力Pcrが増大するほど(即ち、噴射された燃料の霧化の程度が大きくなるほど)NOxが発生し易くなることに基づく現象である。
また、最高燃焼温度Tflameが増加すると実NOx発生量NOxactが増大する。これは、ガス温度が高くなるほど窒素からNOxが生成される化学反応が促進されることに基づく現象である。以上のことから、上記(25)式に従って燃焼発生NOx率RNOx_burnを計算すれば、少なくとも上記4つの実際の現象に沿うように同燃焼発生NOx率RNOx_burn(従って、上記(24)式に従う実NOx発生量NOxact)を精度良く推定することができる。以上が、NOx発生量推定方法の概要である。
(燃料噴射制御の概要)
上記NOx発生量推定方法を実施する本装置は、一作動サイクルあたりの目標NOx発生量NOxtを、上記燃料噴射量qfinとエンジン回転速度NEとに基づいて逐次計算する。そして、本装置は、前回推定された実NOx発生量NOxactが目標NOx発生量NOxtに一致するように、最終燃料噴射開始時期finjfin、及びEGR制御弁52の開度をフィードバック制御する。
具体的には、前回推定された上記実NOx発生量NOxactの値が上記目標NOx発生量NOxtよりも大きいとき、今回の燃料噴射気筒についての最終燃料噴射開始時期finjfinを基本燃料噴射時期finjbaseよりも所定量だけ遅らせ、且つ、EGR制御弁52の開度を現時点での値から所定開度だけ大きくする。これにより、今回の燃料噴射気筒についての最高燃焼温度Tflameが低くなるように制御され、この結果、今回の燃料噴射気筒内で発生する実NOx発生量NOxactが上記目標NOx発生量NOxtに一致せしめられる。
一方、前回推定された上記実NOx発生量NOxactの値が上記目標NOx発生量NOxtよりも小さいとき、今回の燃料噴射気筒についての最終燃料噴射開始時期finjfinを基本燃料噴射時期finjbaseよりも所定量だけ早め、且つ、EGR制御弁52の開度を現時点での値から所定開度だけ小さくする。これにより、今回の燃料噴射気筒についての最高燃焼温度Tflameが高くなるように制御され、この結果、今回の燃料噴射気筒内で発生する実NOx発生量NOxactが上記目標NOx発生量NOxtに一致せしめられる。以上が、燃料噴射制御の概要である。
(燃焼発生NOx率RNOx_burnの実際の演算方法)
上記(25)式に従って燃焼発生NOx率RNOx_burnを演算するためには、「べき乗」の演算、及び「掛け算」の演算が必要となる。しかしながら、一般に、マイクロコンピュータを使用して「べき乗」の演算を実行すると計算負荷が増大し、同マイクロコンピュータを使用して「掛け算」の演算を実行すると計算精度が低下する傾向がある。よって、「べき乗」の演算、及び「掛け算」の演算を避けるため、本装置(CPU61)は、実際には、上記(25)式において両辺の自然対数をとることで得られる下記(26)式を利用して、テーブル検索と「足し算」の演算のみで燃焼発生NOx率RNOx_burnを計算する。
log(RNOx_burn)=K0+K1・log(RO2c)+K2・log(qfinc)+K3・log(Pcrc)+K4/Tflame ・・・(26)
即ち、本装置は、上記(26)式の右辺の第2項〜第5項までの各項を求めるために予めROM62にそれぞれ記憶されているテーブルMaplog1(RO2c)、Maplog2(qfinc)、Maplog3(Pcrc)、及びMapinvpro(Tflame)に基づいて、テーブル検索値dataMap1(=K1・log(RO2c))、dataMap2(=K2・log(qfinc))、dataMap3(=K3・log(Pcrc))、及びdataMap4(=K4/Tflame)をそれぞれ決定し、「足し算」を伴う下記(27)式に従って「log(RNOx_burn)」を求める。
log(RNOx_burn)=K0+dataMap1+dataMap2+dataMap3+dataMap4 ・・・(27)
そして、本装置は、上記(27)式に従って求められた「log(RNOx_burn)」から燃焼発生NOx率RNOx_burnを求めるために予めROM62に記憶されているテーブルMapinvlog(log(RNOx_burn))に基づいて同燃料発生NOx率RNOx_burnを求める。これにより、CPU61の計算負荷を軽減できるとともに計算精度の低下を防止できる。
(実際の作動)
次に、上記のように構成された内燃機関の制御装置の実際の作動について説明する。
<燃料噴射量等の制御>
CPU61は、図5にフローチャートにより示した燃料噴射量等の制御を行うためのルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ500から処理を開始し、ステップ505に進んでアクセル開度Accp、エンジン回転速度NE、及び図6に示したテーブル(マップ)Mapqfinから(指令)燃料噴射量qfinを求める。テーブルMapqfinは、アクセル開度Accp及びエンジン回転速度NEと燃料噴射量qfinとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
次いで、CPU61はステップ510に進み、燃料噴射量qfin、エンジン回転速度NE、及び図7に示したテーブルMapfinjbaseから基本燃料噴射時期finjbaseを決定する。テーブルMapfinjbaseは、燃料噴射量qfin及びエンジン回転速度NEと基本燃料噴射時期finjbaseとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
その後、CPU61はステップ515に進んで、燃料噴射量qfin、エンジン回転速度NE、及び図8に示したテーブルMapPcrbaseから基本燃料噴射圧力Pcrbaseを決定する。テーブルMapPcrbaseは、燃料噴射量qfin及びエンジン回転速度NEと基本燃料噴射圧力Pcrbaseとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
次に、CPU61はステップ520に進み、燃料噴射量qfin、エンジン回転速度NE、及び図9に示したテーブルMapNOxtから目標NOx発生量NOxtを決定する。テーブルMapNOxtは、燃料噴射量qfin及びエンジン回転速度NEと目標NOx排出量NOxtとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
次いで、CPU61はステップ525に進んで、前記決定した目標NOx発生量NOxtから後述するルーチンにより求められている最新の(具体的には、前回の燃料噴射時期に演算された)実NOx発生量NOxactを減じた値をNOx発生量偏差ΔNOxとして格納する。
続いて、CPU61はステップ530に進んで、噴射時期補正値Δθを、前記NOx発生量偏差ΔNOxと図10に示したテーブルMapΔθとから決定する。テーブルMapΔθは、NOx発生量偏差ΔNOxと噴射時期補正値Δθとの関係を規定するテーブルであり、ROM62内に格納されている。
次いで、CPU61はステップ535に進み、基本噴射時期finjbaseを噴射時期補正値Δθで補正して最終燃料噴射時期finjfinを決定する。これにより、NOx発生量偏差ΔNOxに応じて噴射時期が補正されることになる。この場合、図10から明らかなように、NOx発生量偏差ΔNOxが正の大きい値になるほど噴射時期補正値Δθが正の大きな値となって最終燃料噴射時期finjfinが進角側となり、同NOx発生量偏差ΔNOxが負の大きい値(絶対値が大きい値)になるほど噴射時期補正値Δθは負の大きな値となって最終燃料噴射時期finjfinが遅角側に移行される。
続いて、CPU61はステップ540に進み、燃料噴射気筒についての噴射開始時期(即ち、上記決定された最終燃料噴射時期finjfin)が到来したか否かを判定し、「No」と判定する場合はステップ595に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、ステップ540の判定において「Yes」と判定する場合、CPU61はステップ545に進んで上記決定された(指令)燃料噴射量qfinの燃料を燃料噴射気筒についての燃料噴射弁21から上記決定された基本燃料噴射圧力Pcrbaseをもって噴射するとともに、続くステップ550にて上記NOx発生量偏差ΔNOxが正の値であるか否かを判定し、「Yes」と判定する場合、ステップ555に進んでEGR制御弁52の開度を現時点での値よりも所定開度だけ小さくした後、ステップ570に進む。
ステップ550の判定において「No」と判定する場合、CPU61はステップ560に進み、上記NOx発生量偏差ΔNOxが負の値であるか否かを判定する。ステップ560の判定において、CPU61は「Yes」と判定する場合、EGR制御弁52の開度を現時点での値よりも所定開度だけ大きくした後にステップ570に進む一方、「No」と判定する場合(即ち、NOx発生量偏差ΔNOxの値が「0」のとき)、EGR制御弁52の開度を変更することなくステップ570に進む。
このようにして、NOx発生量偏差ΔNOxに応じてEGR制御弁52の開度が変更される。そして、ステップ570に進むと、CPU61は実際に噴射した上記燃料噴射量qfinの値を今回の燃料噴射量qfincとして格納し、続くステップ575にて実際の噴射圧力である上記基本燃料噴射圧力Pcrbaseの値を今回の燃料噴射圧力Pcrcとして格納した後、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。以上により、燃料噴射量、燃料噴射時期、燃料噴射圧力、及びEGR制御弁52の開度の制御が達成される。
<最高燃焼温度の計算>
また、CPU61は、図11にフローチャートにより示した最高燃焼温度Tflameの計算を行うためのルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ1100から処理を開始し、ステップ1105に進んで現時点がATDC-180°に一致しているか否かを判定する。
いま、現時点がATDC-180°より前であるものとして説明を続けると、CPU61はステップ1105にて「No」と判定してステップ1145に直ちに進み、燃料噴射気筒についての燃料噴射開始時期(即ち、上記最終燃料噴射時期finjfin)が到来したか否かを判定する。現時点はATDC-180°よりも前であるから、CPU61はステッ1145にて「No」と判定し、ステッ1195に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、CPU61はATDC-180°が到来するまでの間、ステップ1100、1105、1145、1195の処理を繰り返し実行する。そして、ATDC-180°が到来すると、CPU61はステップ1105に進んだとき「Yes」と判定してステップ1110に進むようになり、ステップ1110にて、吸気温センサ72、吸気管圧力センサ73、エアフローメータ71、及びクランクポジションセンサ74によりそれぞれ検出される現時点(即ち、ATDC-180°)での吸気温度Tb、吸気管圧力Pb、吸入新気流量Ga、及びエンジン回転速度NEを、それぞれ、下死点時筒内ガス温度Ta0、下死点時筒内ガス圧力Pa0、下死点時吸入新気流量Ga0、及び下死点時エンジン回転速度NE0として格納する。
次いで、CPU61はステップ1115に進み、吸気酸素濃度センサ76により検出される現時点(即ち、ATDC-180°)での吸気酸素濃度RO2_inを下死点時吸気酸素濃度RO2cとして格納し、続くステップ1120にて、上記(7)式に従って筒内総ガス量Gcylを求める。ここで、下死点時筒内ガス圧力Pa0、及び下死点時筒内ガス温度Ta0としては、ステップ1110にて格納されている値が用いられる。
続いて、CPU61はステップ1125に進んで、上記下死点時吸入新気流量Ga0と、上記下死点時エンジン回転速度NE0と、上記関数fとに基づいて吸入新気量Gmを求め、続くステップ1130にて、ステップ1120にて求めた筒内総ガス量Gcylと、前記吸入新気量Gmと、上記(8)式とに基づいてEGRガス量Gegrを求める。次に、CPU61はステップ1135に進んで、上記吸入新気量Gmと、上記EGRガス量Gegrと、ステップ1135内に記載の式とに基づいてEGR率Rを求め、続くステップ1140にて、上記吸入新気量Gmと、先のステップ570にて格納されている今回の燃料噴射量qfincと、ステップ1140内に記載の式とに基づいて空気過剰率λを求める。そして、CPU61はステップ1145に進んで「No」と判定してステップ1195に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、CPU61は燃料噴射時期(即ち、上記最終燃料噴射時期finjfin)が到来するまでの間、ステップ1100、1105、1145、1195の処理を再び繰り返し実行する。そして、上記最終燃料噴射時期finjfinが到来すると、CPU61はステップ1145にて「Yes」と判定してステップ1150に進むようになり、ステップ1150にて上記最終燃料噴射時期finjfinと上記所定の着火遅れ時間とから着火時クランク角度CAigを求める。
次いで、CPU61はステップ1155を経由して、図12にフローチャートにより示した着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpの計算を行うためのルーチンを実行する。即ち、CPU61はステップ1200から処理を開始し、ステップ1205に進んで、先のステップ1115にて求めた最新の下死点時吸気酸素濃度RO2cと、上記関数gとに基づいてポリトロープ指数κを求める。
次に、CPU61はステップ1210に進み、先のステップ1150にて求めた最新の着火時クランク角度CAigがATDC0°よりも遅れた角度となっているか否かを判定し、「Yes」と判定する場合、ステップ1215に進んで同着火時クランク角度CAigに対応する筒内容積をそのまま着火時筒内容積Vigとして格納する。一方、ステップ1210にて「No」と判定する場合には、CPU61はステップ1220に進んで上死点(ATDC0°)に対応する筒内容積Vtopを着火時筒内容積Vigとして格納する。
続いて、CPU61はステップ1225に進み、グロープラグ24への通電がなされているか否かを判定し、「Yes」と判定する場合、ステップ1230に進んで前記所定値Tglowを筒内ガス温度上昇量ΔTpumpとして格納し、「No」と判定する場合、ステップ1235にて同筒内ガス温度上昇量ΔTpumpの値を「0」に設定する。
そして、CPU61はステップ1240に進んで、先のステップ1110にて求めた最新の下死点時筒内ガス温度Ta0と、上記着火時筒内容積Vigと、上記筒内ガス温度上昇量ΔTpumpと、ステップ1240内に記載の式とに基づいて着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpを求め、ステップ1295を経由して図11のステップ1160に進む。
CPU61はステップ1160に進むと、図13にフローチャートにより示した燃焼起因温度上昇量ΔTburnの計算を行うためのルーチンを実行する。即ち、CPU61はステップ1300から処理を開始し、ステップ1305に進んで、先のステップ1135にて求めた最新のERG率Rと、ステップ1140にて求めた最新の空気過剰率λと、上記(17)式に相当するステップ1305内に記載の式とに基づいて吸気O濃度[O]inを求める。
次いで、CPU61はステップ1310に進み、上記EGR率Rと、上記今回の燃料噴射量qfincと、先のステップ1125にて求めた最新の吸入新気量Gmと、上記(12)式に相当するステップ1310内に記載の式に基づいて吸気CO濃度[CO]inを求める。同様に、CPU61はステップ1315に進んで、上記(13)式に従って吸気HO濃度[HO]inを求め、続くステップ1320にて、上記(14)式に従って吸気N濃度[N]inを求める。
続いて、CPU61はステップ1325に進んで、上記吸気CO濃度[CO]inと、上記吸気O濃度[O]inと、上記(19)式とに基づいて上記モル数αを求め、同様に、続くステップ1330にて上記(20)式に従って上記モル数βを求めるとともに、続くステップ1335にて上記(21)式に従って上記モル数γを求める。
次に、CPU61はステップ1340に進んで、上記求めたモル数α,β,γと、上記(5)式とに基づいて燃焼後筒内ガスモル数ngasを求め、続くステップ1345にて同モル数α,β,γと、上記(6)式とに基づいて燃焼後筒内ガス定圧比熱Cpを求める。そして、CPU61はステップ1350に進んで、上記燃焼後筒内ガスモル数ngasと、上記燃焼後筒内ガス定圧比熱Cpと、上記(3)式とに基づいて燃焼起因温度上昇量ΔTburnを求め、ステップ1395を経由して図11のステップ1165に進む。
CPU61はステップ1165に進むと、図14にフローチャートにより示した燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloの計算を行うためのルーチンを実行する。即ち、CPU61はステップ1400から処理を開始し、ステップ1405に進んで、先のステップ1240にて求めた最新の着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpに、先のステップ1350にて求めた最新の燃焼起因温度上昇量ΔTburnを加えた値を通常燃焼速度時最高燃焼温度Tigとして格納する。
次に、CPU61はステップ1410に進み、先のステップ575にて格納した今回の燃料噴射圧力Pcrcと、先のステップ1110にて格納した最新の下死点時エンジン回転速度NE0と、上記(22)式とに基づいて最高温度到達時間短縮量Δtadvを求め、続くステップ1415にて、同最高温度到達時間短縮量Δtadvと、同下死点時エンジン回転速度NE0と、上記関数hとに基づいてΔtadv相当進角量ΔCAadvを求める。
続いて、CPU61はステップ1420に進み、先のステップ1150にて求めた最新の着火時クランク角度CAigから上記Δtadv相当進角量ΔCAadvだけ進ませた角度を補正着火時クランク角度CAadvとして設定し、続くステップ1425にて上記補正着火時クランク角度CAadvがATDC0°よりも遅れた角度になっているか否かを判定する。
CPU61はステップ1425の判定において、「Yes」と判定する場合、ステップ1430に進んで同補正着火時クランク角度CAadvに対応する筒内容積をそのまま補正着火時筒内容積Vadvとして格納する。一方、ステップ1425にて「No」と判定する場合、CPU61はステップ1435に進んで上死点(ATDC0°)に対応する筒内容積Vtopを補正着火時筒内容積Vadvとして格納する。
次いで、CPU61はステップ1440に進んで、先のステップ1215、或いはステップ1220にて求めた着火時筒内容積Vigと、上記補正着火時筒内容積Vadvと、上記通常燃焼速度時最高燃焼温度Tigと、上記(23)式とに基づいて燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloを求め、ステップ1495を経由して図11のステップ1170に進む。そして、CPU61はステップ1170に進むと、先のステップ1240にて求めた最新の着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpと、先のステップ1350にて求めた最新の燃焼起因温度上昇量ΔTburnと、先のステップ1440にて求めた最新の燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloと、上記(1)式とに基づいて筒内ガスの最高燃焼温度Tflameを求めた後、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以降、CPU61は、次の燃料噴射気筒についてのATDC-180°が到来するまでの間、ステップ1100、1105、1145、1195の処理を繰り返し実行する。以上のようにして、新たな筒内ガスの最高燃焼温度Tflameが燃料噴射開始時期が到来する毎に求められていく。
<NOx発生量の計算>
また、CPU61は、図15にフローチャートにより示した実NOx発生量NOxactの計算を行うためのルーチンを所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU61はステップ1500から処理を開始し、ステップ1505に進んで燃料噴射開始時期(即ち、上記最終燃料噴射時期finjfin)が到来したか否かを判定し、「No」と判定する場合、ステップ1595に直ちに進んで本ルーチンを一旦終了する。
いま、燃料噴射開始時期が到来したものとすると、CPU61はステップ1510に進み、先のステップ1115にて求められている最新の下死点時吸気酸素濃度RO2cと前記テーブルMaplog1とに基づいて前記テーブル検索値dataMap1(=K1・log(RO2c))を求める。
同様に、CPU61はステップ1515に進んで先のステップ570にて格納されている今回の燃料噴射量qfincと前記テーブルMaplog2とに基づいて前記テーブル検索値dataMap2(=K2・log(qfinc))を求め、続くステップ1520にて先のステップ575にて格納されている今回の燃料噴射圧力Pcrcと前記テーブルMaplog3とに基づいて前記テーブル検索値dataMap3(=K3・log(Pcrc))を求め、続くステップ1525にて先のステップ1170にて求めた最新の最高燃焼温度Tflameと前記テーブルMapinvproとに基づいて前記テーブル検索値dataMap4(=K4/Tflame)を求める。
次いで、CPU61はステップ1530に進んで、上記(27)式に従って「log(RNOx_burn)」を求め、続くステップ1535にて、同log(RNOx_burn)と前記テーブルMapinvlogとに基づいて燃焼発生NOx率RNOx_burnを求める。そして、CPU61はステップ1540に進んで、上記今回の燃料噴射量qfincと、上記燃焼発生NOx率RNOx_burnと、上記(24)式に従って実NOx発生量NOxactを求めた後、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。以降、CPU61は次の燃料噴射気筒についての燃料噴射開始時期が到来するまでの間、ステップ1500、1505、1595の処理を繰り返し実行する。
以上のようにして、新たな実NOx発生量NOxactが燃料噴射開始時期が到来する毎に求められていく。そして、この新たな実NOx発生量NOxactは、前述のごとく、図5のステップ525にて使用され、この結果、次の燃料噴射気筒についての最終燃料噴射開始時期finjfin、及びEGR制御弁52の開度が同新たな実NOx発生量NOxactに基づいてフィードバック制御されていく。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る内燃機関の燃焼温度推定方法によれば、燃料噴射開始時期が到来する毎に、筒内ガスの状態が断熱変化することを原則的に利用して着火時における燃焼前の筒内ガス温度(着火時圧縮筒内ガス温度Tpump)を推定し、燃料の燃焼による発熱量Qfuelを、吸気中のガスの組成(ガス成分の濃度比率)から求められる燃焼に関与する燃焼後の筒内ガスのモル数ngas及び定圧比熱Cpの積で除することで燃焼による筒内ガスの温度上昇量(燃焼起因温度上昇量ΔTburn)を推定し、筒内の燃焼速度に影響を与える因子である燃料噴射圧力Pcrc及びエンジン回転速度NE0に基づいて同燃焼速度の増大による筒内ガスの温度上昇量(燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_velo)を推定する。そして、着火時圧縮筒内ガス温度Tpumpに、燃焼起因温度上昇量ΔTburnと燃焼速度起因温度上昇量ΔTb_veloとを加えた値を筒内における最高燃焼温度Tflameとして推定する。従って、上述のごとく、筒内ガスの最高燃焼温度Tflameを簡易な構成で実際の種々の現象に沿うように精度良く推定することができた。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、筒内の燃焼速度に影響を与える因子として、燃料噴射圧力及びエンジン回転速度を採用しているが、筒内に吸入されるガスのスワール比、過給機による過給圧、筒内に吸入されるガス中の酸素濃度のうちの少なくとも1つを筒内の燃焼速度に影響を与える因子として採用してもよい。
また、上記実施形態においては、着火時圧縮筒内ガス温度の上昇量(筒内ガス温度上昇量ΔTpump)を発生させる因子としてグローランプへの通電による発熱量が採用されているが、最終燃料噴射時期finjfin(メイン噴射)に先立ってパイロット噴射が行われる場合におけるパイロット噴射された燃料の燃焼による発熱量を同因子として採用してもよい。この場合、パイロット噴射による燃料の噴射量と、同パイロット噴射の時期(メイン噴射時期とパイロット噴射時期との時間間隔(インターバル))等に基づいてパイロット噴射された燃料の燃焼による発熱量(従って、筒内ガスの温度上昇量)を計算するように構成することが好適である。
本発明の実施形態に係る内燃機関の燃料温度推定方法を実施する内燃機関の制御装置を4気筒内燃機関(ディーゼル機関)に適用したシステム全体の概略構成図である。 或る一つの気筒のシリンダ内(筒内)に吸気マニホールドからガスが吸入され、筒内に吸入された筒内ガスが排気マニホールドへ排出される様子を模式的に示した図である。 圧縮行程、及び膨張行程にて筒内ガスが断熱変化する場合におけるクランク角度と筒内ガス温度との関係を示したグラフである。 燃焼速度の増大により筒内ガスの最高燃焼温度が上昇することを説明するための図である。 図1に示したCPUが実行する燃料噴射量等を制御するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが図5に示したルーチンを実行する際に参照する燃料噴射量を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図5に示したルーチンを実行する際に参照する基本燃料噴射時期を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図5に示したルーチンを実行する際に参照する基本燃料噴射圧力を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図5に示したルーチンを実行する際に参照する目標NOx発生量を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが図5に示したルーチンを実行する際に参照する噴射時期補正値を決定するためのテーブルである。 図1に示したCPUが実行する燃焼温度の計算を実行するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行する着火時圧縮筒内ガス温度の計算を実行するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行する燃焼起因温度上昇量の計算を実行するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行する燃焼速度起因温度上昇量の計算を実行するためのルーチンを示したフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するNOx発生量(実NOx発生量)の計算を実行するためのルーチンを示したフローチャートである。
符号の説明
21…燃料噴射弁、22…燃料噴射用ポンプ、24…グロープラグ、31…吸気マニホールド、32…吸気管、41…排気マニホールド、42…排気管、50…EGR装置、52…EGR制御弁、60…電気制御装置、61…CPU、71…エアフローメータ、72…吸気温センサ、73…吸気管圧力センサ、74…クランクポジションセンサ、76…吸気酸素濃度センサ

Claims (5)

  1. 内燃機関の筒内における燃焼温度を推定する内燃機関の燃焼温度推定方法であって、
    少なくとも前記筒内に存在する筒内ガスが同筒内で圧縮されることを利用して、着火時における燃焼前の筒内ガス温度である着火時圧縮筒内ガス温度を推定し、
    少なくとも前記筒内に吸入されるガスの組成と、噴射された燃料の燃焼による発熱量とに基づいて、燃焼による前記筒内ガスの温度上昇量である燃焼起因温度上昇量を推定し、
    前記筒内の燃焼速度に影響を与える因子に基づいて同燃焼速度の増大による前記筒内ガスの温度上昇量である燃焼速度起因温度上昇量を推定するとともに、
    前記着火時圧縮筒内ガス温度に、前記燃焼起因温度上昇量と前記燃焼速度起因温度上昇量とを加えた値を前記筒内における燃焼温度として推定する内燃機関の燃焼温度推定方法。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃焼温度推定方法において、
    前記筒内に吸入されるガスの温度と、同吸入されるガスの組成と、前記燃焼前の筒内ガス温度を上昇せしめる因子に基づいて推定される前記着火時圧縮筒内ガス温度の上昇量と、
    に基づいて同着火時圧縮筒内ガス温度を推定する内燃機関の燃焼温度推定方法。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の燃焼温度推定方法において、
    前記燃焼前の筒内ガス温度を上昇せしめる因子としての、前記燃料の噴射に先立ってパイロット噴射が行われる場合における同パイロット噴射された燃料の燃焼による発熱量、及びグロープラグへの通電が行われる場合における同通電による発熱量のうち少なくとも1つ、
    に基づいて前記着火時圧縮筒内ガス温度の上昇量を推定する内燃機関の燃焼温度推定方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の内燃機関の燃焼温度推定方法において、
    前記着火時が圧縮上死点に対応する時期よりも前である場合、同着火時が同圧縮上死点に対応する時期と一致するものと仮定して、前記着火時圧縮筒内ガス温度を推定する内燃機関の燃焼温度推定方法。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の内燃機関の燃焼温度推定方法において、
    前記筒内の燃焼速度に影響を与える因子としての、前記燃料の噴射圧力、前記機関の回転速度、前記筒内に吸入されるガスのスワール比、前記機関に過給機が配設されている場合における同過給機による過給圧、及び前記筒内に吸入されるガス中の酸素濃度のうち少なくとも1つ、
    に基づいて前記燃焼速度起因温度上昇量を推定する内燃機関の燃焼温度推定方法。
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