JP2005179705A - レーザcvd装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 局所成膜部が載置台上の基板に対して傾くのを防止することのできるレーザCVD装置を提供する。
【解決手段】 局所成膜部40の底面に、浮上用ガスG2を載置台上のTFT基板に向けて吹き出す通気部61と、例えば約90°ずつ四つに分割された浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dとが設けられている。浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dは、それぞれ浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dにより浮上用ガスG2の圧力または流量が制御される。浮上用ガスG2の吹き出し量の場所によるばらつきを解消し、局所成膜部40が傾くのを防止する。浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dの各々に対応してセンサを取り付け、TFT基板との間の距離を計測し、その計測結果に基づいて浮上用ガスG2の吹き出し量を自動的に調整してもよい。
【選択図】図2
【解決手段】 局所成膜部40の底面に、浮上用ガスG2を載置台上のTFT基板に向けて吹き出す通気部61と、例えば約90°ずつ四つに分割された浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dとが設けられている。浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dは、それぞれ浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dにより浮上用ガスG2の圧力または流量が制御される。浮上用ガスG2の吹き出し量の場所によるばらつきを解消し、局所成膜部40が傾くのを防止する。浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dの各々に対応してセンサを取り付け、TFT基板との間の距離を計測し、その計測結果に基づいて浮上用ガスG2の吹き出し量を自動的に調整してもよい。
【選択図】図2
Description
本発明は、レーザ光により原料ガスを分解して基板上に薄膜を形成するレーザCVD装置に関する。
レーザCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学的気相成長)装置は、半導体製造において、または液晶あるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造において、フォトマスクの欠陥修正、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)基板の配線修正などに用いられている。通常のレーザCVD装置では、低圧・常圧成膜にかかわらず、真空室内に基板などを収容し、真空室内を排気したのちレーザ光を照射するようにしているので、装置全体が大型化する傾向があった。そのため、レーザ光照射位置付近のみを外気から遮断することにより真空室を不要とし、小型化したレーザCVD装置が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
図11は、このような従来の小型化されたレーザCVD装置の一例を表している。このレーザCVD装置では、載置台120上のTFT基板110が載置される位置に対向して局所成膜部140が配置されている。レーザ光LBは、局所成膜部140を通ってTFT基板110へと導かれ、このレーザ光LBの照射位置に向けてノズル151から成膜用の原料ガスG1が供給される。レーザ光LBの照射位置付近は、窒素(N2 )などの外気遮断ガスG4によるガスカーテン方式で外気から遮断されている。原料ガスG1および外気遮断ガスG4は、共通のガス吸引口152から吸引され、図示しない排気装置により排気処理される。このような局所成膜部140は、腕木171を介して支持柱170に固定されており、局所成膜部140とTFT基板110との間隔の設定値dsは、例えば10μmないし100μmの所定の値に固定されている。
しかしながら、このような従来のレーザCVD装置では、例えば図12に示したように、TFT基板110の厚みむらあるいは反りのため、局所成膜部140とTFT基板110との実際の間隔drが変動してしまい、それにつれて原料ガスG1の流れが変動してしまうため、均質な膜を得ることが困難であった。
原料ガスの流れの変動を最小限に抑えるためには、局所成膜部140とTFT基板110との間隔の設定値dsを大きくする必要がある。しかし、局所成膜部140とTFT基板110との間隔の設定値dsを大きくすると原料ガスG1の流速が小さくなり、レーザ光LBにより分解された微粒子状の分解生成物が照射位置の周囲に降り積もり、汚れの原因となってしまうという問題があった。
また、分解生成物の堆積による汚れを防止するには、原料ガスG1の流速を大きくすればよいが、その場合には、ノズル151からの原料ガス吹き出し量が増大することによりノズル151近傍で引き込み流が発生し、外気遮断ガスG4によるガスカーテン作用が崩れ、照射位置付近に外気が侵入して膜質が劣化してしまうという問題が生じていた。
更に、局所成膜部140は固定され、TFT基板110との間隔の設定値dsも固定されているので、TFT基板110の厚みむらあるいは反りのため、TFT基板110と局所成膜部140とが容易に接触してしまい、TFT基板110に損傷を与えるおそれがあった。
このようなTFT基板110と局所成膜部140との接触によるTFT基板110の損傷を防止するためには、例えば特許文献3に記載された静圧浮上方式を応用することが考えられる。静圧浮上方式では、例えば、図13に示したように、多孔質材料よりなる通気部261から浮上用ガスG2を吹き出すことにより、TFT基板110の厚みむらあるいは反りに追随して局所成膜部240を一定の浮上量dで浮上させることができ、TFT基板110と局所成膜部240との間隔の変動を防止することができるという利点を有している。
特開平8−222565号公報
特開平10−280152号公報
特開2001−242300号公報
しかしながら、特許文献3で達成された浮上量は5μmと極めて小さく、浮上量を更に大きくすることが求められていた。
すなわち、成膜開始前には、例えば図13に示したように、局所成膜部240を載置台120の待避部121上で予め浮上させておいたのち、局所成膜部240の下方にTFT基板110を移動させるか、または局所成膜部240をTFT基板110の上方に移動させる。待避部121の高さはTFT基板110の表面と同一面となるように設定されているが、TFT基板110は、通常、基板によって厚みが±10%程度異なっており、例えば厚みが1.1mmであれば変動値は110μmとなる。そのため、待避部121とTFT基板110との境目には、50μm程度の段差122ができてしまう場合がある。その場合、局所成膜部240の浮上量dが5μmしかないと、局所成膜部240が段差122を乗り越えられず、TFT基板110に接触してしまうおそれがある。これを防ぐためには、待避部121上において局所成膜部240を少なくとも50μm、望ましくは100μm程度浮上させておく必要がある。成膜終了後に局所成膜部240をTFT基板110の上方から待避部121へと待避させる場合においても同様である。
浮上量dを大きくするには、例えば、通気部261を構成する多孔質材料の空孔率を大きして浮上用ガスG2の吹き出し量を増やすという方法が可能である。しかしながら、多孔質材料の空孔率を大きくすると、場所による空孔率や表面加工状態のばらつきが大きくなる。そのため、図14に示したように、通気部261の場所により浮上用ガスG2の吹き出し量が異なり、局所成膜部240がTFT基板110に対して傾いてしまうという問題があった。更に、局所成膜部240に設けられた窓(図示せず)なども傾いてしまうため、この窓を通過したレーザ光LBの光軸が曲がり、照射位置がずれて加工精度および位置再現性の低下を招くおそれがあった。また、レーザ光LBの照射位置のずれは、浮上量dが大きいほど大きくなってしまっていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、局所成膜部が載置台上の基板に対して傾くのを防止することのできるレーザCVD装置を提供することにある。
本発明によるレーザCVD装置は、成膜用の基板を支持する載置台と、載置台に支持された基板に向けてレーザ光を発生するレーザ光源と、レーザ光を透過させるための窓を有し、載置台上の基板の表面に対して相対的に変位可能な局所成膜部と、基板上におけるレーザ光の照射位置に向けて成膜用の原料ガスを供給する原料ガス供給機構と、浮上用ガスを基板に向けて吹き出す通気部を有し、局所成膜部を基板に対して浮上させる浮上機構とを備え、浮上機構は、浮上用ガスの吹き出し量を通気部の場所ごとに制御することにより局所成膜部の基板に対する水平度を制御するものである。
本発明のレーザCVD装置によれば、浮上機構が、浮上用ガスの吹き出し量を通気部の場所ごとに制御することにより局所成膜部の基板に対する水平度を制御するようにしたので、局所成膜部を基板に対して常に水平に浮上させ、傾くのを防止することができる。よって、局所成膜部の実質的な浮上量が小さくなってしまうのを防いで、基板の厚みの誤差のために待避部と基板との間に段差がある場合でも局所成膜部が基板に接触するおそれをなくすことができ、また、レーザ光の照射位置のずれをなくして加工精度および位置再現性を高めることができる。更に、局所成膜部を、基板の厚みむらあるいは反りに追随して一定の浮上量で浮上させ、基板と局所成膜部との間隔の変動を防ぐことができる。よって、成膜条件が安定し、基板上に良質な膜を形成することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザCVD装置の断面構成を表している。このレーザCVD装置は、例えば、液晶あるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造において、TFT基板10の配線パターン(図示せず)の欠陥部分にレーザCVD法により例えばタングステン(W)膜を形成し、欠陥部分を修正するのに用いられるものであり、成膜用のTFT基板10を支持する載置台20と、レーザ光LBを発生するレーザ光源30と、載置台20上のTFT基板10の表面に対して相対的に変位可能な局所成膜部40とを備えている。TFT基板10は、例えばガラスにより構成され、厚みは例えば1.1mmであり、厚みの誤差は例えば±10%すなわち110μmである。また、このレーザCVD装置には、成膜用の原料ガスG1を供給する原料ガス供給機構50と、浮上用ガスG2により局所成膜部40をTFT基板10に対して浮上させる浮上機構60と、パージガスG3を窓41に吹き付けるパージガス供給機構70とが設けられている。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザCVD装置の断面構成を表している。このレーザCVD装置は、例えば、液晶あるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造において、TFT基板10の配線パターン(図示せず)の欠陥部分にレーザCVD法により例えばタングステン(W)膜を形成し、欠陥部分を修正するのに用いられるものであり、成膜用のTFT基板10を支持する載置台20と、レーザ光LBを発生するレーザ光源30と、載置台20上のTFT基板10の表面に対して相対的に変位可能な局所成膜部40とを備えている。TFT基板10は、例えばガラスにより構成され、厚みは例えば1.1mmであり、厚みの誤差は例えば±10%すなわち110μmである。また、このレーザCVD装置には、成膜用の原料ガスG1を供給する原料ガス供給機構50と、浮上用ガスG2により局所成膜部40をTFT基板10に対して浮上させる浮上機構60と、パージガスG3を窓41に吹き付けるパージガス供給機構70とが設けられている。
載置台20は、例えばX−Yステージにより構成され、TFT基板10を局所成膜部40に対して相対的に移動させ、TFT基板10上に点在する欠陥部分にレーザ光LBを照射させることができるようになっている。また、載置台20には、TFT基板10の載置、交換などの際に局所成膜部40を待避させるための待避部21が設けられている。
レーザ光源30は、例えば、QスイッチNd:YAGレーザの第3高調波光源により構成されている。また、レーザ光源30と局所成膜部40との間には、照射光学系として、例えば、レーザ光LBを整形する図示しないアパーチャ等と共に、レーザ光LBの進行方向を変更するミラー31およびレーザ光LBを集光する対物レンズ32が配置されている。なお、対物レンズ32は、TFT基板10の欠陥部分の修正状況を観察するための観察部を構成しており、倍率は例えば50倍、作動距離は例えば15mmとすることができる。
局所成膜部40は、略円板状の形状を有し、その中央に窓41および反応室42が設けられている。窓41は、レーザ光LBを透過させるためのものであり、例えば、レーザ光LBに対して透過性を有するガラスなどの透明材料により構成されている。反応室42は、窓41により塞がれると共にTFT基板10側が開放され、原料ガス供給機構50により原料ガスG1が供給されるようになっている。
原料ガス供給機構50は、TFT基板10上におけるレーザ光LBの照射位置に向けて例えばヘキサカルボニルタングステン(0)(W(CO)6 )などの成膜用の原料ガスG1を供給するものである。
原料ガス供給機構50は、原料ガス供給部51と、原料ガス供給路52と、原料ガス吸引口53と、原料ガス排気部54とを備えている。原料ガス供給部51は、原料ガスG1をアルゴン(Ar)ガスなどのキャリアガスと共に供給するものである。原料ガス供給路52は、原料ガスG1をキャリアガスと共に反応室42へと導入するものである。原料ガス吸引口53は、局所成膜部40の載置台20側の面に設けられ、成膜に使用された原料ガスG1およびキャリアガス並びにパージガスG3を吸引するものである。原料ガス排気部54は、原料ガス吸引口53から吸引された原料ガスG1およびキャリアガス並びにパージガスG3を排気処理するものであり、図示しないが有毒ガスの除害装置を含んでいる。また、原料ガス排気部54は、圧力制御用の原料ガス排気弁54Aを備えており、反応室42内のガス分圧および流速を制御し、成膜条件を最適化するようになっている。
浮上機構60は、例えば窒素(N2 )などの浮上用ガスG2により局所成膜部40をTFT基板10に対して浮上させるものである。また、浮上機構60は、浮上用ガスG2により反応室42への外気の侵入を遮断するガスカーテンとしての機能も有しており、窓41と共に反応室42を外気から遮断すると共に、原料ガスG1の分解に伴って生成される一酸化炭素(CO)などの有毒ガスが外部に漏れることを防止できるようになっている。
この浮上機構60は、局所成膜部40の載置台20側の面に、浮上用ガスG2を載置台20上のTFT基板10に向けて吹き出す通気部61を備えている。通気部61には、浮上用ガスG2を吹き出すため、図示しないが多数の空孔が設けられている。通気部61は、浮上用ガスG2を均一に放出するため例えば多孔質材料により構成されていることが好ましい。多孔質材料としては、例えば多孔質金属、多孔質セラミックスあるいは多孔質合成樹脂が好ましく、中でも多孔質アルミニウム(Al)がより好ましい。高い精度で容易に加工することができるからである。また、ロウ付け等により局所成膜部40に高強度で確実に固定することができるからである。通気部61を構成する多孔質材料は、局所成膜部40の浮上量Dを例えば100μm程度に大きくするため、空孔率が大きいものであることが好ましく、例えば35%以上50%以下、具体的には例えば40%とすることができる。ここで、浮上量Dとは局所成膜部40とTFT基板10との間隔をいう。
また、浮上機構60は、浮上用ガスG2の吹き出し量を通気部61の場所ごとに制御することにより、局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を制御するようになっている。これにより、このレーザCVD装置では、局所成膜部40をTFT基板10に対して常に水平に浮上させ、傾くのを防止することができるようになっている。
図2は、局所成膜部40をTFT基板10側から見た底面図であり、通気部61を一部切り欠いて内部の構造を概略的に表している。また、図2では、局所成膜部40および通気部61の識別を容易とするために、それらに図1と同一の斜線をそれぞれ付している。浮上機構60は、例えば約90°ずつ四つに分割された浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dを備えており、これらの浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dは、それぞれ浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dが設けられている。ここで浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dが「分割された」とは、互いに連通していないことをいう。
図1および図2に示した浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dは、浮上用ガス供給部64A,64B,64C,64Dからの浮上用ガスG2を通気部61の場所ごとに別々に供給するものである。浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dの構成は特に限定されず、例えば図2に示したように90°ずつ四つに区切られた扇形の凹部の内部に仕切り(図示せず)が配置されていてもよいし、あるいは、扇形の領域内に連続した溝が何重にも折り返して設けられていてもよい。また、浮上用ガス供給路の数は、必ずしも四つでなくてもよいことは言うまでもない。
図1および図2に示した浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dは、前述したように各々対応する浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dにおける浮上用ガスG2の圧力または流量を制御し、浮上用ガスG2の吹き出し量の場所によるばらつきを解消するものである。また、浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dは、通気部61を介して供給される浮上用ガスG2の圧力または流量を調整することにより、局所成膜部40の浮上量Dを制御する機能も有している。
更に、浮上機構60は、図1に示したように、反応室42方向へ向かって流れてくる浮上用ガスG2を吸引する浮上用ガス吸引口65と、浮上用ガス吸引口65から吸引された浮上用ガスG2を排気処理する浮上用ガス排気部66とを備えている。浮上用ガス排気部66は、図示しないが、有毒ガスの除害装置を含んでいる。
浮上機構60は、加えて、図1に示したように、浮上用ガス吸引口65と浮上用ガス排気部66との間に、浮上用ガス排気弁66Aを備えており、この浮上用ガス排気弁66Aにより、浮上用ガスG2の圧力または流量と浮上用ガス吸引口65からの吸引量とを調整し、局所成膜部40の浮上量Dを制御することができるようになっている。また、浮上用ガス排気弁66Aは、通気部61から吹き出された浮上用ガスG2が反応室42に流れ込む前に排気することにより、原料ガスG1と浮上用ガスG2とが混ざるのを防止して浮上機構60によるガスカーテン作用を維持する外気遮断制御機能も有している。
浮上用ガス吸引口65と原料ガス吸引口53とは、別々に設けられていることが好ましい。原料ガス供給機構50の原料ガス排気弁54Aによる成膜条件の制御と、浮上機構60の浮上用ガス排気弁66Aによる外気遮断の制御とを互いに独立に行うことが可能となり、高品質なタングステン膜を形成することができるからである。
原料ガス吸引口53,浮上用ガス吸引口65および通気部61は、図2に示したように、窓41に近い方からこの順に、窓41を中心とした同心環状に配置されている。通気部61から吹き出された浮上用ガスG2を外側の浮上用吸引口65から排気すると共に、原料ガスG1を内側の原料ガス吸引口53から排気し、原料ガスG1と浮上用ガスG2とが混ざって浮上機構60によるガスカーテン作用が崩れるのを防止するためである。
図1に示したパージガス供給機構70は、窓41に意図しないタングステン(W)膜が形成されてしまうことを防止するため、アルゴン(Ar)ガスなどのパージガスG3を窓41に吹き付けるものである。パージガス供給機構70は、パージガスG3を供給するパージガス供給部71と、パージガスG3を反応室42へと導入するパージガス供給路72とを備えている。
図3ないし図5は、このレーザCVD装置によりTFT基板10の配線パターンの欠陥部分にタングステン(W)膜を形成する工程を順に表すものである。まず、図3(A)に示したように、局所成膜部40を待避部21上に待避させ、浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dを介して通気部61の場所ごとに別々に浮上用ガスG2を供給し、この浮上用ガスG2を通気部61から待避部21に向けて一斉に吹き出させることにより局所成膜部40を浮上させる。このとき、浮上用ガスG2の圧力を0.3MPaとすることにより、局所成膜部40の浮上量Dを100μmに設定する。
ここで、浮上用ガスG2の圧力を一律に例えば0.3MPaとすると、通気部61を構成する多孔質材料の空孔率や表面加工状態のばらつきに起因して、通気部61の場所により浮上用ガスG2の吹き出し量が異なり、局所成膜部40が傾く場合がある。その場合には、例えば、浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dを用いて、吹き出し量の少ない場所では浮上用ガスG2の圧力を高くすることにより吹き出し量を増大させ、吹き出し量の多い場所では浮上用ガスG2の圧力を低くすることにより吹き出し量を減少させるなどの制御を行う。これにより、浮上用ガスG2の吹き出し量の場所によるばらつきを解消し、局所成膜部40が載置台20上のTFT基板10に対して傾くのを防止することができ、設定どおりの100μmの浮上量Dを確保することができる。
次いで、図3(B)に示したように、載置台20にTFT基板10を載置し、TFT基板10を局所成膜部40の下に移動させる。このとき、浮上機構60が、浮上用ガスG2の吹き出し量を通気部61の場所ごとに制御することにより局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を制御するようにしたので、局所成膜部40がTFT基板10に対して常に水平に浮上し、傾くことが防止されている。よって、局所成膜部40の実質的な浮上量Dが小さくなってしまうことがなく、TFT基板10の厚みの誤差のために待避部21とTFT基板10との間に段差がある場合でも局所成膜部40がTFT基板10に接触することはなく、余裕をもって段差を乗り越えることができる。
続いて、図4(A)に示したように、浮上用ガス吸引口65および浮上用ガス排気部66により浮上用ガスG2を排気することにより、局所成膜部40の浮上量Dを20μmとする。
そののち、図4(B)に示したように、載置台20によりTFT基板10を局所成膜部40に対して相対的に移動させ、局所成膜部40をTFT基板10の欠陥部分に対向させる。このとき、局所成膜部40は、浮上機構60により、TFT基板10の反りあるいはうねりに追随して一定の浮上量Dで浮上しながら移動し、局所成膜部40とTFT基板10が接触することはない。また、TFT基板10の移動距離が大きい場合、あるいはTFT基板10を高速で移動させる場合などにおいて載置台20が振動しても、局所成膜部40とTFT基板10が接触することはなく、浮上量Dを増大させる必要なくTFT基板10を長距離にわたり高速で移動させることができる。よって、欠陥修正に要する時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
続いて、同じく図4(B)に示したように、原料ガス供給機構50(図1参照)により、原料ガスG1をキャリアガスと共に反応室42に供給すると共に、パージガス供給機構70により、パージガスG3を窓41に向けて吹き付ける。このとき、原料ガスG1の流速は例えば0.1L/min、キャリアガスの流速は例えば5L/min、原料ガスG1の分圧は例えば44Paとし、パージガスG3の流速は例えば0.2L/minとする。
そののち、図5に示したように、レーザ光源30(図1参照)からのレーザ光LBを局所成膜部40の窓41を介してTFT基板10の欠陥部分に照射し、原料ガスG1を分解して欠陥部分にタングステン(W)膜を形成して修正する。レーザ光LBの照射条件は、例えば、繰り返し2kHz、パルス幅50ns、照射強度50kW/cm2 、ビーム形状は5μm角とする。
以上の工程を繰り返すことにより、TFT基板10の配線パターンの欠陥部分が順次修正される。ここでは、浮上機構60が、浮上用ガスG2の吹き出し量を通気部61の場所ごとに制御することにより局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を制御するようにしたので、局所成膜部40がTFT基板10に対して常に水平に浮上し、傾くことが防止されている。よって、レーザ光LBの照射位置のずれがなくなり、加工精度および位置再現性が高くなる。また、局所成膜部40の浮上量Dは常に一定となり、TFT基板10の厚みむらあるいは反りにより変動することがない。よって、原料ガスG1の流速などの成膜条件が安定すると共に外気が確実に遮断され、TFT基板10上に良質なタングステン(W)膜が形成される。
このように本実施の形態では、浮上機構60が、浮上用ガスG2の吹き出し量を通気部61の場所ごとに制御することにより局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を制御するようにしたので、局所成膜部40をTFT基板10に対して常に水平に浮上させ、傾くのを防止することができる。よって、局所成膜部40の実質的な浮上量Dを確保して、待避部21とTFT基板10との境目に段差がある場合でも余裕をもって段差を乗り越えさせることができ、また、レーザ光LBの照射位置のずれをなくして加工精度および位置再現性を高めることができる。更に、局所成膜部40を、TFT基板10の厚みむらあるいは反りに追随して一定の浮上量Dで浮上させ、TFT基板10と局所成膜部40との間隔の変動を防ぐことができる。よって、成膜条件が安定し、TFT基板10上に良質なタングステン(W)膜が形成される。
〔第2の実施の形態〕
図6は本発明の第2の実施の形態に係るレーザCVD装置の断面構造を表すものであり、図7は、図6に示した局所成膜部40をTFT基板10側から見た底面図である。このレーザCVD装置は、局所成膜部40に、浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dの各々に対応してセンサ67A,67B,67C,67Dが取り付けられていることを除いては、第1の実施の形態で説明したレーザCVD装置と同一である。したがって、同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、図7では、局所成膜部40および通気部61の識別を容易とするために、それらに図6と同一の斜線をそれぞれ付している。
図6は本発明の第2の実施の形態に係るレーザCVD装置の断面構造を表すものであり、図7は、図6に示した局所成膜部40をTFT基板10側から見た底面図である。このレーザCVD装置は、局所成膜部40に、浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dの各々に対応してセンサ67A,67B,67C,67Dが取り付けられていることを除いては、第1の実施の形態で説明したレーザCVD装置と同一である。したがって、同一の構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、図7では、局所成膜部40および通気部61の識別を容易とするために、それらに図6と同一の斜線をそれぞれ付している。
センサ67A,67B,67C,67Dは、TFT基板10との間の距離Lを計測するものである。これにより、このレーザCVD装置では、センサ67A,67B,67C,67Dの計測結果に基づいて、浮上用ガスG2の吹き出し量を通気部61の場所ごとに自動的に調整し、局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を自動的に調整することができるようになっている。なお、センサ67A,67B,67C,67Dとしては、市販の一般的な位置変位センサを用いることが可能である。
このように本実施の形態では、浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dの各々に対応してセンサ67A,67B,67C,67Dを備えたので、センサ67A,67B,67C,67Dの計測結果に基づいて浮上用ガスG2の吹き出し量を通気部61の場所ごとに自動的に調整し、局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を自動的に調整することができる。また、通気部61を交換した場合の局所成膜部40の水平度の調整についても自動的に行うことが可能であり、作業効率を向上させることができる。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例)
上記第1の実施の形態のレーザ加工装置において、局所成膜部40を浮上させた。その際、図2に示したように四つに分割された浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dを介して通気部61の場所ごとに別々に浮上用ガスG2を供給し、通気部61から浮上用ガスG2を一斉に吹き出させることにより局所成膜部40を浮上させ、更に、浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dにより通気部61の場所ごとに浮上用ガスG2の吹き出し量を制御することにより局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を調整した。また、通気部61を構成する多孔質材料の空孔率は40%とし、浮上用ガスG2の圧力を0.3MPaとすることにより局所成膜部40の浮上量Dを100μmに設定した。局所成膜部40の浮上量Dの最も大きい場所と最も小さい場所とでそれぞれ浮上量Dを測定し、その差により局所成膜部40の傾きを調べたところ、1μm以内に抑えられていた。
上記第1の実施の形態のレーザ加工装置において、局所成膜部40を浮上させた。その際、図2に示したように四つに分割された浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dを介して通気部61の場所ごとに別々に浮上用ガスG2を供給し、通気部61から浮上用ガスG2を一斉に吹き出させることにより局所成膜部40を浮上させ、更に、浮上用ガス供給弁63A,63B,63C,63Dにより通気部61の場所ごとに浮上用ガスG2の吹き出し量を制御することにより局所成膜部40のTFT基板10に対する水平度を調整した。また、通気部61を構成する多孔質材料の空孔率は40%とし、浮上用ガスG2の圧力を0.3MPaとすることにより局所成膜部40の浮上量Dを100μmに設定した。局所成膜部40の浮上量Dの最も大きい場所と最も小さい場所とでそれぞれ浮上量Dを測定し、その差により局所成膜部40の傾きを調べたところ、1μm以内に抑えられていた。
(比較例)
図8および図9に示したように、分割されていない環状の浮上用ガス供給路362、浮上用ガス供給弁363および浮上用ガス供給部364を備えたことを除いては上記実施例と同一のレーザCVD装置において、局所成膜部340を浮上させた。更に、通気部61に供給される浮上用ガスG2の圧力を変化させて、局所成膜部340の平均浮上量を調べた。この平均浮上量とは、局所成膜部340の浮上量Dの最も大きい場所と最も小さい場所とでそれぞれ測定した浮上量Dの平均値をとったものである。その結果を図10に示す。図10から分かるように、浮上用ガスG2の圧力を大きくするほど平均浮上量も大きくすることができた。また、浮上用ガスG2の圧力を0.3MPaとしたとき局所成膜部340の平均浮上量は100μmとなった。局所成膜部340の平均浮上量が100μmの場合において、上記実施例と同様にして局所成膜部340の傾きを調べたところ、最も大きい場所での浮上量Dは120μm、最も小さい場所での浮上量Dは80μm、局所成膜部340の傾きは40μmであった。
図8および図9に示したように、分割されていない環状の浮上用ガス供給路362、浮上用ガス供給弁363および浮上用ガス供給部364を備えたことを除いては上記実施例と同一のレーザCVD装置において、局所成膜部340を浮上させた。更に、通気部61に供給される浮上用ガスG2の圧力を変化させて、局所成膜部340の平均浮上量を調べた。この平均浮上量とは、局所成膜部340の浮上量Dの最も大きい場所と最も小さい場所とでそれぞれ測定した浮上量Dの平均値をとったものである。その結果を図10に示す。図10から分かるように、浮上用ガスG2の圧力を大きくするほど平均浮上量も大きくすることができた。また、浮上用ガスG2の圧力を0.3MPaとしたとき局所成膜部340の平均浮上量は100μmとなった。局所成膜部340の平均浮上量が100μmの場合において、上記実施例と同様にして局所成膜部340の傾きを調べたところ、最も大きい場所での浮上量Dは120μm、最も小さい場所での浮上量Dは80μm、局所成膜部340の傾きは40μmであった。
このように、本実施例によれば、局所成膜部40の傾きを1μm以下と極めて小さい値に抑えることができた。これに対して、比較例では、局所成膜部340の傾きは40μmと大きくなると共に、実質的な浮上量Dとしては、設定値(100μm)の80%程度しか得られていなかった。すなわち、浮上用ガスG2の吹き出し量を通気部61の場所ごとに制御するようにすれば、局所成膜部40の傾きを小さくして水平度を高めることができ、更に、実質的な浮上量Dが小さくなるのを防ぐことができることが分かった。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、レーザCVD装置の構成を具体的に挙げて説明したが、レーザCVD装置の構成は上記実施の形態に限られない。例えば、上記実施の形態では、通気部61が一つの部品であり、浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dが分割されている場合について説明したが、通気部61も浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dの各々ごとに分割されていてもよい。なお、浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dは分割されていることが必要である。浮上用ガス供給路62A,62B,62C,62Dが連通している場合、連通している部分の内部では浮上用ガスG2の圧力が均一化されてしまうので、浮上用ガスG2の吹き出し量を場所ごとに制御することが難しくなるからである。
また、例えば、上記実施の形態では、載置台20により、TFT基板10を局所成膜部40に対して移動させる場合について説明したが、レーザ光源30および局所成膜部40をTFT基板10に対して移動させるようにしてもよく、あるいは両方を移動させるようにしてもよい。
更に、上記実施の形態では、図2に示したように円板状の局所成膜部40に、通気部61,原料ガス吸引口53,浮上用ガス吸引口65を環状に形成するようにしたが、通気部61,原料ガス吸引口53,浮上用ガス吸引口65の形状は環状に限定されず、例えば矩形、三角形などとしてもよい。ただし、環状とすれば製造が容易であるので好ましい。
加えて、上記実施の形態ではTFT基板10の欠陥部分にタングステン(W)膜を形成する場合について説明したが、他の材料よりなる膜を形成してもよい。更に、原料ガスG1,キャリアガス,浮上用ガスG2またはパージガスG3は、上記実施の形態で説明したガス種に限られず、他のガスでもよい。
本発明のレーザCVD装置は、上述したTFT基板の欠陥部分の修正またはフォトマスクの欠陥修正などの用途のほか、回路基板の作製などにも適用することができる。
10…TFT基板、20…載置台、21…待避部、30…レーザ光源、40…局所成膜部、41…窓、42…反応室、50…原料ガス供給機構、53…原料ガス吸引口、60…浮上機構、61…通気部、62A,62B,62C,62D…浮上用ガス供給路、63A,63B,63C,63D…浮上用ガス供給弁、64A,64B,64C,64D…浮上用ガス供給部、65…浮上用ガス吸引口、70…パージガス供給機構、G1…原料ガス、G2…浮上用ガス、G3…パージガス
Claims (8)
- 成膜用の基板を支持する載置台と、
前記載置台に支持された基板に向けてレーザ光を発生するレーザ光源と、
前記レーザ光を透過させるための窓を有し、前記載置台上の基板の表面に対して相対的に変位可能な局所成膜部と、
前記基板上における前記レーザ光の照射位置に向けて成膜用の原料ガスを供給する原料ガス供給機構と、
浮上用ガスを前記基板に向けて吹き出す通気部を有し、前記局所成膜部を前記基板に対して浮上させる浮上機構とを備え、
前記浮上機構は、前記浮上用ガスの吹き出し量を前記通気部の場所ごとに制御することにより前記局所成膜部の前記基板に対する水平度を制御する
ことを特徴とするレーザCVD装置。 - 前記浮上機構は、
前記浮上用ガスを前記通気部の場所ごとに別々に供給するため複数に分割された浮上用ガス供給路と、
前記複数に分割された浮上用ガス供給路の各々に対応して配置され、前記浮上用ガスの圧力または流量を制御する複数の浮上用ガス供給弁と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーザCVD装置。 - 前記浮上機構は、前記浮上用ガスの吹き出し量を前記通気部の場所ごとに自動的に調整する
ことを特徴とする請求項2記載のレーザCVD装置。 - 前記浮上機構は、前記複数に分割された浮上用ガス供給路の各々に対応してセンサを備え、前記センサにより前記基板との間の距離を計測し、前記センサの計測結果に基づいて前記浮上用ガスの吹き出し量を前記通気部の場所ごとに自動的に調整する
ことを特徴とする請求項2記載のレーザCVD装置。 - 前記浮上機構は、前記浮上用ガスを吸引する浮上用ガス吸引口を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のレーザCVD装置。 - 前記原料ガス供給機構は、前記局所成膜部の前記基板側の面に、前記原料ガスを吸引する原料ガス吸引口を備え、前記浮上用ガス吸引口と前記原料ガス吸引口とが別々に設けられている
ことを特徴とする請求項5記載のレーザCVD装置。 - 前記原料ガス吸引口、前記浮上用ガス吸引口および前記通気部は、前記窓に近い方からこの順に、前記窓を中心とした同心環状に配置された
ことを特徴とする請求項6記載のレーザCVD装置。 - 前記通気部は、多孔質アルミニウム(Al)により構成された
ことを特徴とする請求項1記載のレーザCVD装置。
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