ところが、特許文献1,2による場合、トナーとは異なり紙粉の極性は不定であるため、文献中に示される構成のみでの紙粉の除去は困難である。
また、特許文献3に示される方法では、湿度により抵抗が変化したり、ユーザにより選択が種々異なる転写紙を所望の電位に帯電させるため、安定して帯電させることが困難である。
即ち、像担持体は転写媒体である転写紙に像担持体上にあるトナー像を転写する際、同時に転写紙側から像担持体表面側に転写紙上に存在する粉体が転移する。転写紙上には、酸性度や白色度を調整するために、炭酸カルシウム、タルク(Mg3(Si4O10)(OH)2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)など数種の添加物が存在し、その極性も不定である。転写紙から像担持体表面への付着は、主に転写紙表面と像担持体表面とが直接接触する非画像部で発生する。転移は、静電的な引力、物理的な表面の付着力等によって生じる。このため、像担持体に付着した紙添加物(紙粉)の極性も不定である。一方、像担持体からの紙粉(粉体)の除去方法について、一般的にはブレードを押し当てて機械的な力のみで掻き落とす方法と、ブラシ、ローラ等で静電的な吸着力と機械的な力とによって除去する方法とがある。前者は、簡易な構成で除去が可能な反面、像担持体の表面状態に依存する場合が多く、表面の平滑性や強度により、成立の可否が左右される。具体的には、表面とブレードとの間に吸着力が発生するような場合、滑らかに摺擦することが困難となり、また、摺擦により多少の負荷が表面にかかるため、像担時体表面にキズを生じさせることがある。後者は、ブレードと比較し、ベルト表面に対する機械的なストレスは少ない。転写残トナーのみを除去する場合であれば、像担持体から転写紙への転写条件等によって、転写残トナーの極性、帯電量は安定し、ブラシクリーニング装置の除去バイアス設定も容易であるが、しかし、紙粉の除去に関しては、前述したように帯電状態が不定であるため良好な条件設定が困難である。
本発明の目的は、像担持体上に転写媒体側から逆に付着した紙粉等の粉体を効率よく除去し、紙粉等の粉体によるシステムへのダメージを減少させることである。
より具体的には、像担持体から転写媒体上にトナーを転写する際、逆に転写媒体側から像担持体上に転移した粉体を、粉体除去手段により除去するに先立ち除去しやすくしてその除去効率を向上させることを目的とする。
また、像担持体上のトナー像が、感光体等の先行像担持体上に形成されたトナー像が転写されることによって形成される場合、転写媒体から像担持体上に転移した粉体を、先行像担持体上にさらに転移させないことを目的とする。
また、これらの目的を実現する上で、像担持体上にキズ等を生じさせず粉体を所望の電荷量に帯電させることを目的とする。
さらに、像担持体上に転移する紙粉等の粉体について、転写媒体の紙種の選択はユーザの判断に委ねられているので、粉体状態は時により異なる点に着目し、粉体除去動作の必要性を転写媒体に存在する粉体量で判断し、必要な場合のみ動作させることで、必要以上のストレスが像担持体にかかることを避けることを目的とする。
また、像担持体から転写媒体への転写後の像担持体上の残トナーと粉体とを、同時に除去することを容易にすることを目的とする。
或いは、像担持体上の粉体が、感光体等の先行像担持体上に転移し難くすることを目的とする。
さらには、電荷量調整手段による動作の有無によらず、良好な転写動作を可能にすることを目的とする。
請求項1記載の発明の画像形成装置は、表面にトナー像を担持して回転駆動される像担持体と、この像担持体上のトナー像を転写媒体上に転写させる転写手段と、この転写手段による転写後に当該転写に際して前記転写媒体から前記像担持体側に転写された粉体を電界作用により除去する粉体除去手段と、前記転写手段による転写位置と前記粉体除去手段による除去位置との間で前記像担持体上の粉体の電荷量を調整する電荷量調整手段と、を備える。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記転写手段による転写後に前記像担持体上に残存するトナーを除去するトナー除去手段を備え、当該トナー除去手段は、前記粉体除去手段を兼用する。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、表面にトナー像を担持して回転駆動される先行像担持体と、前記先行像担持体上のトナー像を前記像担持体上に転写させる先行転写手段と、を備え、前記粉体除去手段は、前記転写手段による転写位置と前記先行転写手段による転写位置との間に配設されている。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一記載の画像形成装置において、前記電荷量調整手段は、前記像担持体に対して非接触の帯電部材よりなる。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の画像形成装置において、前記転写媒体上に存在する粉体量を検知する媒体上粉体量検知手段と、この媒体上粉体量検知手段により検知された粉体量に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定手段と、を備える。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の画像形成装置において、トナー像として形成される画像の面積率を算出する画像面積率算出手段と、この画像面積率算出手段により算出された画像面積率に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定手段と、を備える。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の画像形成装置において、前記像担持体上に存在する粉体量を検知する担持体上粉体量検知手段と、この担持体上粉体量検知手段により検知された粉体量に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定手段と、を備える。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の画像形成装置において、前記転写媒体上に存在する粉体量を検知する媒体上粉体量検知手段と、トナー像として形成される画像の面積率を算出する画像面積率算出手段と、前記像担持体上に存在する粉体量を検知する担持体上粉体量検知手段と、これらの手段により検知又は算出された粉体量及び画像面積率に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定手段と、を備える。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の画像形成装置において、前記動作決定手段は、前記媒体上粉体量検知手段により検知された粉体量が所定値より大きく、かつ、前記画像面積率算出手段により算出された画像面積率が所定値より大きい場合、又は、前記媒体上粉体量検知手段により検知された粉体量が所定値以下であって、かつ、前記担持体上粉体量検知手段により検知された粉体量が所定値より大きい場合に、前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を実行させるようにその動作を決定する。
請求項10記載の発明は、請求項5,7,8又は9記載の画像形成装置において、前記粉体量検知手段は、照射した紫外光の反射に基づき検知する。
請求項11記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記電荷量調整手段は、電荷量調整動作として前記像担持体上の粉体を当該像担持体上のトナーと同極性に帯電し、前記粉体除去手段に対して、トナーと逆極性のバイアスを印加する。
請求項12記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記電荷量調整手段は、電荷量調整動作として前記像担持体上の粉体を当該像担持体上のトナーと逆極性に帯電し、前記粉体除去手段に対して、トナーと同極性のバイアスを印加する。
請求項13記載の発明は、請求項5ないし10の何れか一記載の画像形成装置において、前記動作決定手段により決定される前記電荷量調整手段の電荷量調整動作の実行の有無に応じて前記転写手段に対する転写バイアス条件を決定する転写バイアス決定手段を備える。
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか一記載の画像形成装置において、前記転写媒体は、粉体が紙粉となる転写紙である。
請求項15記載の発明の画像形成方法は、回転駆動される像担持体表面に担持されたトナー像を転写手段により転写媒体上に転写させる画像形成方法において、前記転写手段による転写後に当該転写に際して前記転写媒体から前記像担持体側に転写された粉体の電荷量を電荷量調整手段により調整する電荷量調整動作工程と、この電荷量調整動作工程により電荷量が調整された前記像担持体上の粉体を粉体除去手段による電界作用により除去する粉体除去工程と、を備える。
請求項16記載の発明は、請求項15記載の画像形成方法において、前記転写手段による転写後に前記像担持体上に残存するトナーをトナー除去手段により除去するトナー除去工程を備え、前記トナー除去手段は前記粉体除去手段を兼用し、前記粉体除去工程と前記トナー除去工程とが同一工程として実行される。
請求項17記載の発明は、請求項15又は16記載の画像形成方法において、回転駆動される先行像担持体表面に担持されたトナー像を先行転写手段により前記像担持体上に転写させ、当該像担持体上に転写された担持されたトナー像を前記転写手段により前記転写媒体上に転写させる画像形成方法であって、前記粉体除去工程は、前記転写手段による転写位置と前記先行転写手段による転写位置との間に配設させた前記粉体除去手段により実行される。
請求項18記載の発明は、請求項15ないし17の何れか一記載の画像形成方法において、前記電荷量調整手段として、前記像担持体に対して非接触の帯電部材を用いる。
請求項19記載の発明は、請求項15ないし18の何れか一記載の画像形成方法において、前記転写媒体上に存在する粉体量を媒体上粉体量検知手段により検知する媒体上粉体量検知工程と、この媒体上粉体量検知工程により検知された粉体量に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定工程と、を備える。
請求項20記載の発明は、請求項15ないし18の何れか一記載の画像形成方法において、トナー像として形成される画像の面積率を算出する画像面積率算出工程と、この画像面積率算出工程により算出された画像面積率に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定工程と、を備える。
請求項21記載の発明は、請求項15ないし18の何れか一記載の画像形成方法において、前記像担持体上に存在する粉体量を担持体上粉体量検知手段により検知する担持体上粉体量検知工程と、この担持体上粉体量検知工程により検知された粉体量に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定工程と、を備える。
請求項22記載の発明は、請求項15ないし18の何れか一記載の画像形成方法において、前記転写媒体上に存在する粉体量を媒体上粉体量検知手段により検知する媒体上粉体量検知工程と、トナー像として形成される画像の面積率を算出する画像面積率算出工程と、前記像担持体上に存在する粉体量を担持体上粉体量検知手段により検知する担持体上粉体量検知工程と、これらの工程により検知又は算出された粉体量及び画像面積率に応じて前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を決定する動作決定工程と、を備える。
請求項23記載の発明は、請求項22記載の画像形成方法において、前記動作決定手工程は、前記媒体上粉体量検知工程により検知された粉体量が所定値より大きく、かつ、前記画像面積率算出工程により算出された画像面積率が所定値より大きい場合、又は、前記媒体上粉体量検知工程により検知された粉体量が所定値以下であって、かつ、前記担持体上粉体量検知工程により検知された粉体量が所定値より大きい場合に、前記電荷量調整手段による電荷量調整動作を実行させるようにその動作を決定する。
請求項24記載の発明は、請求項19,21,22又は23記載の画像形成方法において、前記粉体量検知手段として、照射した紫外光の反射に基づき検知する手段を用いるようにした。
請求項25記載の発明は、請求項16記載の画像形成方法において、前記電荷量調整工程では、電荷量調整動作として前記像担持体上の粉体を当該像担持体上のトナーと同極性に帯電し、前記粉体除去手段に対して、トナーと逆極性のバイアスを印加する。
請求項26記載の発明は、請求項17記載の画像形成方法において、前記電荷量調整工程では、電荷量調整動作として前記像担持体上の粉体を当該像担持体上のトナーと逆極性に帯電し、前記粉体除去手段に対して、トナーと同極性のバイアスを印加する。
請求項27記載の発明は、請求項15ないし26の何れか一記載の画像形成方法において、前記動作決定工程により決定される前記電荷量調整手段の電荷量調整動作の実行の有無に応じて前記転写手段に対する転写バイアス条件を決定する転写バイアス決定工程を備える。
請求項28記載の発明は、請求項15ないし27の何れか一記載の画像形成方法において、前記転写媒体として、粉体が紙粉となる転写紙を用いる。
請求項1,15記載の発明によれば、紙粉等の粉体に対する粉体除去手段による電界作用による除去動作前に、電荷量調整手段により粉体の電荷量を調整することで、静電的な力を利用した像担持体からの粉体除去を容易にすることができる。
請求項2,16記載の発明によれば、トナー除去手段が粉体除去手段を兼用するので、構成を簡単化することができる。
請求項3,17記載の発明によれば、像担持体上の画像が、先行像担持体上に形成されたものを転写して得られる場合、例えば中間転写ベルト上の画像が感光体上に形成された画像が転写されることにより得られるような場合には、転写媒体と接触した像担持体上に転移した粉体を先行像担持体上には転移させないことが重要であり、転写媒体と転移した後の像担持体表面が先行像担持体表面と接触する以前に粉体を除去することが望ましいが、電荷量調整手段も、像担持体が先行像担持体と接触する以前に作用させることにより、良好に機能させることができる。
請求項4,18記載の発明によれば、粉体の電荷量を調整する電荷量調整手段が像担持体に接触して表面に粉体が転移してしまうと当該電荷量調整手段に対してもクリーニング手段が必要となってしまうが、電荷量調整手段を像担持体に対し非接触の帯電部材とすることにより、このような不具合を避けることができる。
請求項5,19記載の発明によれば、像担持体上に存在する紙粉等の粉体の量は、使用される転写媒体に含まれる紙粉の量等により異なり、紙粉含有量の少ない転写媒体を用いる場合には、像担持体表面への粉体の転移が少ないものと予測でき、粉体の帯電量を調整する目的に対して、転移した粉体量が少ない場合には、電荷量調整手段を動作させる必要はないことから、転写媒体上の粉体量を検知しその粉体量に応じて電荷量調整手段による電荷量調整動作を行うか否かを決定することにより、必要以上に電荷量調整手段を機能させることを避け、必要以上のストレスが像担持体にかかることを避けることができる。
請求項6,20記載の発明によれば、像担持体上への紙粉等の粉体の転移は主に転写媒体と像担持体とが直接接触する非画像部で発生することから、像担持体上に存在する紙粉等の粉体の量は、作像中の画像面積率等により異なり、画像面積率の高い画像作像の場合には、像担持体表面への粉体の転移が少ないものと考えられ、粉体の帯電量を調整する目的に対して、転移した粉体量が少ない場合には、電荷量調整手段を動作させる必要はないことから、画像面積率を算出しその画像面積率に応じて電荷量調整手段による電荷量調整動作を行うか否かを決定することにより、必要以上に電荷量調整手段を機能させることを避け、必要以上のストレスが像担持体にかかることを避けることができる。
請求項7,21記載の発明によれば、像担持体上に存在する紙粉等の粉体の量は、使用される転写媒体に含まれる紙粉の量等により異なるが、粉体の帯電量を調整する目的に対して、現実に像担持体上に存在する粉体の量が少ない場合には、電荷量調整手段を動作させる必要はないことから、像担持体上の粉体量を検知しその粉体量に応じて電荷量調整手段による電荷量調整動作を行うか否かを決定することにより、必要以上に電荷量調整手段を機能させることを避け、必要以上のストレスが像担持体にかかることを避けることができる。
請求項8,22記載の発明によれば、像担持体上に存在する紙粉等の粉体の量は、使用される転写媒体に含まれる紙粉の量、作像中の画像面積率等により異なるが、粉体の帯電量を調整する目的に対して、像担持体上に存在する粉体の量が少ない場合には、電荷量調整手段を動作させる必要はないことから、転写媒体上や像担持体上の粉体量を検知したり画像面積率を算出したりし、その結果に応じて電荷量調整手段による電荷量調整動作を行うか否かを決定することにより、必要以上に電荷量調整手段を機能させることを避け、必要以上のストレスが像担持体にかかることを避けることができる。
請求項9,23記載の発明によれば、粉体含有量の少ない転写媒体を用い、かつ、画像面積率の高い作像時や、現実に像担持体上の粉体量が少ない時には、必要以上に電荷量調整手段を機能させることを避け、必要以上のストレスが像担持体にかかることを避けることができるとともに、転写媒体上の粉体量が少ない場合であっても現実に像担持体上の粉体量が多い場合には電荷量調整手段を機能させることにより、像担持体上に粉体が累積される可能性に対しても対処することができる。
請求項10,24記載の発明によれば、転写媒体の代表例である転写紙の場合、使用されている填料の目的の一つとして、転写紙の白色度向上があり、紫外線に対して強く発光することから、この現象を利用する場合、紫外光照射により転写媒体上や像担持体上の紙粉量を容易かつ確実に検知することができる。
上述した発明は、基本的には、電荷量調整手段により、像担持体上に存在する粉体を帯電した後、静電気力を利用し粉体除去手段により除去させるものであり、この際、電荷量調整手段により帯電させられる以前の粉体の電荷量は不定であり、+極性のものも−極性のものも存在する。電荷量調整手段により付加される帯電極性により、粉体除去手段に印加されるバイアス極性は異なり、粉体除去手段と像担持体との間に粉体が粉体除去手段が作用する電界方向により力を受ける方向のバイアスを印加する。この場合、+,−極性の何れの極性に電荷量を調整し、何れの極性に粉体除去手段のバイアスをかけても成立するが、トナー極性がマイナスであること、像担持体が先行像担持体と接触するか否かによって、より好ましい極性が異なる。そこで、請求項11,25記載の発明のように、トナーと粉体との両者を容易に除去する目的の場合には、粉体を帯電量調整手段によってトナーと同極性に帯電させ、粉体除去手段に像担持体よりも電位が高くなるような極性のバイアスを印加することによって、トナーと粉体とを同時に除去させることかできる。また、請求項12,26記載の発明のように、像担持体が先行像担持体と接触する場合を考えると、トナーがマイナス極性の場合、先行像担持体に接触する際、像担持体の電位が高くなるように電界が形成されていることから、像担持体上にあるトナー及び粉体がプラス極性であると、先行像担持体に接触したときに、像担持体から先行像担持体へ粉体及びトナーが逆に転移してしまうので、粉体除去手段に印加するバイアスが像担持体に対しプラスである場合(即ち、帯電量調整手段によってマイナス極性に帯電される場合)、粉体が先行像担持体に静電的に転移しやすくなるため、電荷量調整手段による帯電極性をプラスとし、除去手段に印加するバイアスをマイナスとすることにより、先行担持体への転移を生ずることなく、像担持体上の粉体を良好に除去することができる。
請求項13,27記載の発明によれば、先行像担持体上に形成されたトナー像を像担持体上に転写し、さらに転写媒体上にトナーを転写して画像を得る場合、転写媒体へトナーを転写し、像担持体上に残ったトナー及び粉体を除去した後、像担持体は次のトナー像が先行像担持体から転写されるが、像担持体表面には、電荷量調整手段が作用した場合、電位の変化が生じ、電荷量調整手段にプラスバイアスを印加し場合にはその後の像担持体表面はプラスに帯電し、マイナスバイアスを印加した場合には像担持体表面はマイナスに帯電することから、その電位状態の履歴を持った状態で次の画像を転写する場合、転写バイアスに対する転写率の状態が、履歴がない状態と比較して、履歴電位分だけシフトした特性となるので、このような履歴状態を加味した転写バイアスの印加が安定した転写特性を得るために必要であるが、電荷量調整手段を動作させるか否かによって、この転写バイアスを変化させることで安定した転写特性を得ることができる。
請求項14,28記載の発明によれば、転写媒体として最も典型的な転写紙の場合に好適に適用し、像担持体上に転移した紙粉を良好に除去することができる。
本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態の画像形成装置は、中間転写方式でタンデム方式のフルカラーレーザ複写機への適用例を示す。図1はこの複写機の全体的な構成例を示す概略正面図である。この複写機は、大別すると、プリンタ部100、給紙部200、プリンタ部100の上部に固定されたスキャナ部300、スキャナ部300に取り付けられた原稿自動搬送装置(以下、ADFという)400などを備えている。また、複写機内の各装置の動作を制御する制御部(図示せず)も備えている。
スキャナ部300は、コンタクトガラス301上に載置された原稿の画像情報を読取センサ302で読取り、読取った画像情報を制御部に送る。制御部は、受け取った画像情報に基づいてプリンタ部100の露光装置10内に配設された図示しないレーザやLED等を制御してドラム状の感光体(先行像担持体)22Bk,22Y,22M,22Cに向けてレーザ光Lを照射させる。この照射により、各感光体22Bk,22Y,22M,22Cの表面には静電潜像が形成され、所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。これら4つの感光体22Bk,22Y,22M,22Cは、プリンタ部100のタンデム画像形成部20内に配設されている。プリンタ部100は、露光装置10やタンデム画像形成部20の他、次に説明する装置も備えている。即ち、中間転写ユニット30、転写ユニット(転写手段)40、定着装置50、排紙ローラ対80、図示しないトナー供給装置などである。なお、上記現像プロセスについては後述する。
給紙部200は、複数の給紙カセット202、紙搬送路205、これの途中に適宜設けられた複数の搬送ローラ対206などを備えている。各々の給紙カセット202は、カセット内部に収容された転写媒体としての転写紙Pを最上位紙から順次送り出す給紙ローラ203、その際に1枚ずつに分離するための分離ローラ204なども有している。搬送ローラ対206は、給紙カセット202から受け取った転写紙Pを後段の搬送ローラ対206或いはプリンタ部100内の給紙路60に向けて送り出す。本実施の形態の複写機においては、かかる構成の給紙部200による給紙の他に、手差し給紙も可能となっている。そして、この手差し給紙を実現するための、手差しトレイ70もプリンタ部100の側面に設けられている。手差しトレイ70も給紙ローラ71や分離ローラ72を備えており、これらによって転写紙Pをプリンタ部100内の給紙路60内に送り出す。
これらの給紙部200又は手差しトレイ70から給紙路60内に送り込まれた転写紙Pは、給紙路60の途中に設けられたレジストローラ対61に挟まれる。このレジストローラ対61は、挟み込んだ転写紙Pを所定のタイミングで2次転写ニップに送り込む。この2次転写ニップとは、中間転写ユニット30と、2次転写ユニット40との当接によって形成されるニップである。
ユーザは、カラーコピーをとるために、まず、原稿をADF400の原稿台401上にセットし、或いは、ADF400の開操作によって露出させたスキャナ部300のコンタクトガラス301上にセットする。そして、図示しないスタートスイッチを押す。すると、ADF400からコンタクトガラス301上に搬送された原稿或いは初めからコンタクトガラス301上に直接セットされた原稿の画像情報を読み取るために、スキャナ部300の駆動が開始される。具体的には、第1走行体302の走行を開始してその光源から発した光を原稿面で反射させて第2走行体303に向けて送る。そして、同じく走行を開始した第2走行体303のミラーによってこの反射光を受けて結像レンズ304を通して読取りセンサ305に入れて画像情報を読取る。
制御部は、スキャナ部300から画像情報を受け取ると、上述のようなレーザ書込や現像プロセスによって感光体22Bk,22Y,22M,22C上にBk,Y,M,Cトナー像を形成する。なお、記号Bk,Y,M,Cは、各々ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの略である。
図2は、このような複写機におけるプリンタ部100の一部構成を拡大して示す概略正面図である。図2において、タンデム画像形成部20は、4つのプロセスユニット21Bk,21Y,21M,21Cを有している。各プロセスユニット21Bk,21Y,21M,21Cは、使用するトナーの色が互いに異なっているが、その他の構成についてはほぼ同様である。よって、ここではBkトナーを用いるプロセスユニット21Bkだけについてその構成を詳述し、他のプロセスユニットについては説明を省略する。
プロセスユニット21Bkは、感光体Bk、帯電器23Bk、現像器24Bk、除電ランプ26Bk、ドラムクリーニング装置27Bkなどを有している。先行像担持体である感光体22Bkは、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動されながら、帯電器23Bkによってその表面が一様帯電される。そして、一様帯電後の表面に上述のレーザ書込光Lが照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、像形成物質であるBkトナーを用いる現像器24BkによってBkトナー像に現像される。感光体22Bk上のBkトナー像は、後述の像担持体である中間転写ベルト31上に中間転写される。中間転写工程を経た感光体22Bkの表面は、除電ランプ26Bkによって完全に除電された後、ドラムクリーニング装置27Bkによってその表面の転写残トナーがクリーニングされる。他のプロセスユニット21Y,21M,21Cでも同様のプロセスが実施されて、Y,M,Cトナー像が形成される。
一方、中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31、3つの張架ローラ32,33,34、ベルトクリーニング装置37などを備えている。中間転写ベルト31は、3つの張架ローラ32,33,34に張架されながら、何れか一つの張架ローラが図示しない駆動手段によって回転駆動されることにより、図中時計回りに無端移動される。中間転写ローラ36Bkが中間転写ベルト31を感光体22Bk方向に押さえるような配設により、タンデム画像形成部20と中間転写ユニット30との間には、Bk,Y,M,C用の4つの中間転写ニップが形成される。これら中間転写ニップには、図示しない電源によって先行転写手段としての中間転写ローラ36Bk,36Y,36M,36Cに各々中間転写バイアスが印加されることによって中間転写電界が作用する。感光体22Bk,22Y,22M,22C上に形成されたBk,Y,M,Cトナー像は、この中間転写電界やニップ圧の影響を受けて中間転写ベルト31上に中間転写される。この中間転写は、Bk,Y,M,Cトナー像という順で、順次重ね合わされるように行われる。これにより、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせトナー像が形成される。
2次転写ユニット40は、紙搬送ベルト41、2つの張架ローラ42,43などを有している。紙搬送ベルト4は、一方の張架ローラ43が図示しない駆動手段によって回転駆動されることで、図中反時計回りに無端移動される。他方の張架ローラ42は、紙搬送ベルト41と中間転写ユニット30の中間転写ベルト31とを介して張架ローラ34に当接している。転写部上流側の中間転写ベルト31の内側には、ローラ35が当接しており、ローラ35には図示しない電源からトナー極性と同極性のバイアスが印加される。ローラ34と張架ローラ42との当接により、中間転写ユニット30と2次転写ユニット40との間には2次転写ニップが形成されている。この2次転写ニップには、図示しない電源からローラ34に2次転写バイアスが印加され、張架ローラ42を接地することで2次転写電界が作用している。
図1に示したように、プリンタ部100内の給紙路60に給紙された転写紙Pは、レジストローラ対61に挟まれる。このレジストローラ対61は、挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングを見計らって2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップにおいては、中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像が2次転写電界やニップ圧の影響を受けて転写紙P上に2次転写される。転写紙Pは白色を呈しているため、4色重ね合わせトナー像が転写されると、これがフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙Pは、紙搬送ベルト41の無端移動に伴って定着装置50内に送られる。そして、加熱ローラ51と加圧ローラ52との間に挟まれてフルカラー画像が表面に定着された後、排紙ローラ対80を経由して機外の排紙トレイ90上に排出される。
このような基本的な構成において、2次転写後の中間転写ベルト31上には残留する転写残トナーの他、中間転写ベルト31の表面が転写紙Pに接触した際にこの転写紙P側から逆に中間転写ベルト31側に転移した紙粉(粉体)が存在し得る。このような中間転写ベルト31上の紙粉を除去するための粉体除去手段が設けられている。ここに、本実施の形態では、この粉体除去手段は残トナー除去用のトナー除去手段であるベルトクリーニング装置37により兼用されている。このベルトクリーニング装置37は具体的にはブラシローラ等を用いて電界作用により除去するものであり、ブレードクリーニング方式に比較して除去率は若干劣るが、中間転写ベルト31に対するダメージが少なくて済む。このようなベルトクリーニング装置37は、中間転写ベルト31に関する2次転写位置(張架ローラ34部分)と1次転写位置(先頭のBk用1次転写位置)との間、具体的には中間転写ベルト31を支持する一つの張架ローラ33に対向する位置に配設されている。このベルトクリーニング装置37にはバイアス電源44により除去バイアスが印加可能とされている。
さらに、中間転写ベルト31に関する2次転写位置(張架ローラ34部分)とベルトクリーニング装置37との間には中間転写ベルト31上に転移した紙粉の電荷量を調整するために所定極性に帯電する電荷量調整手段としての帯電手段38が設けられている。この帯電手段38は例えば中間転写ベルト31に対して非接触のコロトロンチャージャが用いられている。この帯電手段38にもバイアス電源45によりグリッドバイアスが印加可能とされている。
このような構成において、転写紙Pから中間転写ベルト31側に転移した紙粉は、当該中間転写ベルト31に対向させて設けられた帯電手段38によって残トナーの極性と同一の極性に一律に帯電され、この後、ベルトクリーニング装置37による電界作用(静電的な吸着力)と機械的な力とによる除去動作を受けることにより、当該中間転写ベルト31表面から確実に除去される。この際、より実際的には、後述するように、紙粉は画像のない部分(非画像部)に転移する点、紙種、環境等により転移量が変化する点などから、紙粉量検知手段や画像面積率算出手段を設け、これらの検知・算出結果に応じて帯電手段38による電荷量調整動作を行うか否かを決定することが好ましい。
本実施の形態の場合、中間転写ベルト31上のトナー像は感光体22から転写されたものであり、感光体22と中間転写ベルト31との間には、+の転写バイアスが中間転写ベルト31側に印加されているので、このような状況で、+に帯電された紙粉が存在すると、紙粉は中間転写ベルト31から感光体22側に転移しやすくなってしまい、感光体22を汚染してしまうことになるので、ベルトクリーニング装置37に対する印加バイアスは−、帯電手段38に対する印加バイアスは+となるようにしている。
このような状況下で、例えば、紙粉量の多い転写紙Pを用い、かつ、画像面積率が5%の状態で、通紙試験を行ない、帯電手段38を持たずにベルトクリーニング装置37のみで除去処理を行なった場合と比較した。この結果、帯電手段38を持たない方式の場合、2k枚位から感光体22表面に紙粉が原因と思われる曇りが見られ、5k枚通紙で地汚れが発生したのに対して、帯電手段38を有する本実施の形態の方式の場合には、10k枚通紙後でも異常は見られず、良好なるクリーニング効果が確認できたものである。
次に、中間転写ベルト31上の紙粉量が少ない場合には、帯電手段38を動作させる必要がなく、かつ、不要なストレスを与えないことが好ましいことから、帯電手段38による電荷量調整動作を行うか否かを状況に応じて決定する場合の実施の形態について説明する。このような紙粉量の検知ないしは認識には、中間転写ベルト31上の紙粉量を直接的に検知する方法と、元となる転写紙P上の紙粉量を検知することで中間転写ベルト31上への紙粉量の転移量を予測する方法と、紙粉は中間転写ベルト31の非画像部に付着することから形成すべき画像データに基づき画像面積率を算出し、当該画像面積率から中間転写ベルト31上への紙粉量の転移量を予測する方法とがある。
中間転写ベルト31上の紙粉量を直接的に検知する方法を実現するためには、例えば、図2中に示すように、2次転写位置から帯電手段38の位置に至るまでの箇所で中間転写ベルト31表面上に存在する紙粉量を検知するベルト上紙粉量検知手段(担持体上粉体量検知手段)46を設ければよい。転写紙P上の紙粉量を検知する方法を実現するためには、例えば、図2中に示すように、2次転写位置に向けて給紙搬送される転写紙Pに対してこの転写紙P表面上に存在する紙粉量を検知する紙上紙粉量検知手段(媒体上粉体量検知手段)47を設ければよい。これらの検知手段46,47に関して、より具体的には、転写媒体が転写紙Pの場合、使用されている填料の目的の一つとして、転写紙Pの白色度向上があり、紫外線に対して強く発光することから、この現象を利用し、図3に示すように、紫外線照射装置48により中間転写ベルト31や転写紙Pに対して紫外光照射し、その反射光をセンサ49により検知し、反射光の状態に応じて検知する方式を利用すればよい。この方式によれば、中間転写ベルト31や転写紙Pの紙粉量を容易かつ確実に検知することができる上に、センサ49は正反射光を検知するわけではないので、センサ49は紫外線照射装置48の近傍に設けるのみで感度よく検知動作を行わせることができる。
また、画像面積率に関しては、画像形成すべく入力される画像データに関してその黒画素分を画素数カウント手段(画像面積率算出手段)53により計数する方式を利用すればよい。
本実施の形態では、一例として、これらの3つの方法に基づき検知・算出される紙粉量に関する情報を用いて、帯電手段38による電荷量調整動作を行うか否かを決定するものであり、図4にその制御系の概略構成例を示す。即ち、当該複写機全体を制御するマイクロコンピュータ構成のコントローラ54中には電荷量調整手段動作決定部55が動作決定手段として設けられており、この電荷量調整手段動作決定部55に対しては、紙上紙粉量検知手段47により検知される転写紙P上の紙粉量を表すデータAと、ベルト上紙粉量検知手段46により検知される中間転写ベルト31上の紙粉量を表すデータBと、画素数カウント手段53により算出された画像面積率を表すデータCとが入力され、これらのデータA,B,Cに基づき帯電手段38による電荷量調整動作を行うか否かを決定し、帯電手段38のバイアス電源45に対するバイアス制御部56を制御するように構成されている。
なお、転写紙P上の紙粉量については、転写紙Pのどの部分を測定しても大きな違いはなかった。しかし、中間転写ベルト31上の紙粉量については、中間転写ベルト31と転写紙Pとが接触した場合にその部分が画像部であるか非画像部であるかによって、紙粉量に大きな違いが現れ、画像部にはほとんど紙粉が付着していなかったものである。そこで、図2に示したように固定位置のベルト上紙粉量検知手段46を中間転写ベルト31に向けて設置し、紙粉量を検知する場合、有る程度の時間測定を行い、合計の値によって帯電手段38の動作を決定することが必要である。データCは非画像部が多いほど中間転写ベルト31上の紙粉量は多くなる傾向を示していた。
そこで、コントローラ54により実行される動作決定のアルゴリズムを図5に示す概略フローチャートを参照して説明する。なお、データBに関しては、毎回のデータをそのまま使用せずに過去10回の平均値を使用するものとした。まず、転写紙P上の紙粉量を検知したデータAを所定の閾値T1と比較し(ステップS1)、データAの方が大である場合には(S1のY)、非画像部の量を示すデータCの値を所定の閾値T2と比較し(S2)、データCの方が大であった場合には(S2のY)、帯電手段38をONさせる(S3)。即ち、帯電手段38による電荷量調整動作を行わせるように決定する。一方、転写紙P上の紙粉量の検知データAの値が所定の閾値T1以下の場合(S1のN)、中間転写ベルト31上の紙粉量を示すデータBを所定の閾値T3と比較し(S4)、データBの方が大であった場合には(S4のY)、帯電手段38をONさせる(S3)。即ち、帯電手段38による電荷量調整動作を行わせるように決定する。即ち、この動作制御は、A<T1であり転写紙P上の紙粉量が少ない場合であっても、中間転写ベルト31上に紙粉が蓄積される可能性に対応している。これら以外の場合(S2のN,S4のN)、帯電手段38をOFFさせる(S5,S6)。即ち、帯電手段38による電荷量調整動作を行わせないように決定する。このアルゴリズムにより動作させ、紙粉量が異なる転写紙Pを使用して5K枚ずつの通紙試験を行ったところ、良好なる結果が得られたものである。
ところで、本実施の形態のように、感光体22上に形成されたトナー像を中間転写ベルト31上に転写し、さらに転写紙P上にトナーを転写して画像を得る場合、転写紙Pへトナーを転写し、中間転写ベルト31上に残ったトナー及び紙粉を除去した後、中間転写ベルト31は次のトナー像が感光体22から転写されるが、中間転写ベルト31表面には、帯電手段38が作用した場合、電位の変化が生じ、帯電手段38にプラスバイアスを印加し場合にはその後の中間転写ベルト31表面はプラスに帯電し、マイナスバイアスを印加した場合には中間転写ベルト31表面はマイナスに帯電することから、その電位状態の履歴を持った状態で次の画像を転写する場合、転写バイアスに対する転写率の状態が、履歴がない状態と比較して、履歴電位分だけシフトした特性となる。従って、このような履歴状態を加味した転写バイアスの印加が安定した転写特性を得るために必要である。そこで、本実施の形態では、コントローラ54中に電荷量調整手段動作決定部55により決定される帯電手段38の電荷量調整動作の実行の有無に応じて転写手段36,42に対する転写バイアス条件を決定するための転写バイアス決定手段57が設けられており、帯電手段38がONに決定された場合には(S3)、その履歴電位分をキャンセルさせるように転写バイアス条件を変更決定し(S7)、転写手段のバイアス電源(図示せず)に対する転写バイアス制御部58を制御するように構成されている。これにより、履歴に関係なく、安定した転写特性を得ることができる。
ところで、一般論として、図6に示すように、像担持体73上の電荷量調整手段74、粉体除去手段75及びその後の像担持体73の表面電位を測定する実験を行なった。電荷調整手段74は像担持体73に対し非接触のコロトロンチャージャ(帯電手段38)とし、粉体除去手段75は導電性の繊維(例えば、ナイロン)で構成されたブラシ(ベルトクリーニング装置37)とし、像担持体73の表面電位は表面電位計76により測定するものとした。表面電位計76と電荷量調整手段74の対向位置の像担持体73を挟んで反対側には接地された部材77,78が必要である。コロトロンチャージャ(帯電手段38)に対するグリッドバイアス電位、ブラシ(ベルトクリーニング装置37)に対するブラシ印加電圧を変え、像担持体73上の表面電位とクリーニング性(紙粉除去性)を評価した。結果を表1に示す。
グリッドバイアスの極性とブラシ印加バイアスの極性とが異なる場合に良好なクリーニング性が得られている。また、組合せにより、クリーニング後の電位がプラスの場合とマイナスの場合とが有ることがわかる。図2に示した複写機において表1の条件で行ったところ、先行像担持体である感光体22に対し像担持体である中間転写ベルト31が接触する際、中間転写ベルト31の表面電位がプラスである場合に、紙粉の感光体22上への付着が多く確認されたのに対して、マイナスである場合には非常に少ない量となったものである。
即ち、基本的には、帯電手段(電荷量調整手段)38により、中間転写ベルト(像担持体)31上に存在する粉体を帯電した後、静電気力を利用しベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37により除去させるものであり、この際、帯電手段(電荷量調整手段)38により帯電させられる以前の粉体の電荷量は不定であり、+極性のものも−極性のものも存在する。帯電手段(電荷量調整手段)38により付加される帯電極性により、ベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37に印加されるバイアス極性は異なり、ベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37と中間転写ベルト(像担持体)31との間に粉体がベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37から作用する電界方向により力を受ける方向のバイアスを印加する。この場合、+,−極性の何れの極性に電荷量を調整し、何れの極性にベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37のバイアスをかけても成立するが、トナー極性がマイナスであること、中間転写ベルト(像担持体)31が感光体(先行像担持体)22と接触するか否かによって、より好ましい極性が異なる。そこで、感光体(先行像担持体)22と接触することがなく、トナーと粉体との両者を容易に除去する目的の場合には、粉体を帯電手段(電荷量調整手段)38によってトナーと同極性に帯電させ、ベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37に中間転写ベルト(像担持体)31よりも電位が高くなるような極性のバイアスを印加することによって、トナーと粉体とを同時に除去させることかできる。一方、本実施の形態のように、中間転写ベルト(像担持体)31が感光体(先行像担持体)22と接触する場合を考えると、トナーがマイナス極性の場合、感光体(先行像担持体)22に接触する際、中間転写ベルト(像担持体)31の電位が高くなるように電界が形成されていることから、中間転写ベルト(像担持体)31上にあるトナー及び粉体がプラス極性であると、感光体(先行像担持体)22に接触したときに、中間転写ベルト(像担持体)31から感光体(先行像担持体)22へ粉体及びトナーが逆に転移してしまうので、ベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37に印加するバイアスが中間転写ベルト(像担持体)31に対しプラスである場合(即ち、帯電手段(電荷量調整手段)38によってマイナス極性に帯電される場合)、粉体が感光体(先行像担持体)22に静電的に転移しやすくなるため、帯電手段(電荷量調整手段)38による帯電極性をプラスとしベルトクリーニング装置(粉体除去手段)37に印加するバイアスをマイナスとすることにより、感光体(先行像担持体)22への転移を生ずることなく、中間転写ベルト(像担持体)31上の粉体を良好に除去することができる。
なお、上述の説明では、転写紙P上の紙粉量に関するデータAと中間転写ベルト31上の紙粉量に関するデータBと画像面積率に関するデータCとの3つのデータに基づき帯電手段38による電荷量調整動作を実行するか否かを決定するようにしたが、これらのデータA,B,Cを個別に用い、各々の個別のデータA,B,Cに基づき帯電手段38による電荷量調整動作を実行するか否かを決定するようにしてもよい。
また、上述の説明では、感光体22を先行像担持体とし、中間転写ベルト31を像担持体とする中間転写方式の画像形成装置への適用例として説明したが、感光体22自身を像担持体とし、中間転写ベルト31に代えて転写紙搬送ベルトを用い、4つの感光体22上のトナー像を転写紙搬送ベルトにより搬送される転写紙上に直接転写する直接転写方式の画像形成装置であっても同様に適用することができる。即ち、このような直接転写方式の場合も、転写紙に対する転写動作に際して当該転写紙側から逆に各感光体(像担持体)側への紙粉転移が生ずるので、各感光体に対して静電的な粉体除去手段をトナークリーニング装置と兼用又は別個に設けて紙粉の除去を可能にするとともに、この粉体除去手段による除去動作に先立つ位置で感光体上に転移した粉体(紙粉)の電荷量を調整する帯電手段(電荷量調整手段)を設けてトナーと同極性に帯電し除去しやすくすればよい。