JP2005166807A - 半導体素子の製造方法および基板の個片化方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 回路素子の形成された面と反対側の表面が高い平坦性を有する半導体素子を得ることのできる半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体ウエハ11の一方の表面11aに複数の回路素子および突起電極12を形成し、回路素子および突起電極12で構成される集積回路を1つ含んで成る領域を画するように、半導体ウエハ11の一方の表面11aから深さが半導体ウエハ11の内部に達するダイシング溝14を形成する。ダイシング溝14に充填材を充填して充填層15を形成し、充填層15が露出するまで半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨した後、充填層15を除去して半導体ウエハ11を個片化し、半導体素子1を製造する。半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際には、ダイシング溝14は充填層15で充填されているので、研磨によるうねりの発生を防止し、研磨後における半導体ウエハ11の他方の表面11bの平坦性を確保することができる。
【選択図】 図7

Description

本発明は、1枚の半導体基板から複数の半導体素子を製造する半導体素子の製造方法、および半導体基板などの基板を予め定められる領域毎に個片化する基板の個片化方法に関する。
携帯電話機および集積回路(Integrated Circuit:略称:IC)カードなどの電子機器に搭載される半導体装置は、配線などが形成された配線基板上に、種々の回路素子で構成される電子回路を有する半導体素子が複数個実装されて成る。
半導体装置の製造工程は、半導体ウエハの一方の表面に複数の電子回路のパターンを形成する工程と、電子回路のパターン毎に半導体ウエハを個片化して複数の半導体素子を製造し、得られた半導体素子を直接またはパッケージ化して配線基板上に実装する工程とに大別される。
携帯電話機およびICカードなどの電子機器に対する薄型化の要請から、これらの電子機器に搭載される半導体装置に対しても薄型化が要求されている。半導体装置を薄型化するためには、半導体素子の厚みを薄くすることが必要である。半導体素子の厚みを薄くする場合、通常は、半導体ウエハの他方の表面すなわち電子回路のパターンの形成された面と反対側の表面を、研磨用砥石などを用いて研磨して半導体ウエハ全体の厚みを薄くする。その後、半導体ウエハは、切断によって個片化され、半導体素子に製造される。
近年の携帯電話機およびICカードなどの電子機器に対する薄型化の要求の高まりによって、半導体素子の更なる薄型化が要求されている。また、半導体素子の生産効率を向上させるために、半導体ウエハの大口径化が進められている。しかしながら、口径の大きい半導体ウエハから薄型の半導体素子を製造する場合に、前述の半導体ウエハを研磨して薄くした後に半導体ウエハを切断する方法を用いると、半導体ウエハの抗折強度は、研磨されて薄くなることによって低下するので、製造工程の途中、たとえば研磨後の半導体ウエハを切断に用いられる装置まで搬送する過程で、半導体ウエハが損壊するという問題が生じる。
また、半導体ウエハを研磨する際には、半導体ウエハの研磨によって露出する面すなわち研磨面に細かな亀裂が入る。また、半導体ウエハを切断する際にも、半導体ウエハの切断によって形成される切断面には細かな亀裂が入る。この細かな亀裂の入った部分は、破砕層と呼ばれ、外的な応力が加わった際に半導体ウエハが損壊する原因となる。この研磨および切断によって生じる破砕層は、半導体ウエハの切断後に得られる各半導体素子に残存する。したがって、前述の方法で半導体素子を製造すると、半導体素子の抗折強度が低下し、半導体素子を配線基板上に実装する際に半導体素子が損壊するという問題が発生する。
このような問題を解決する技術として、半導体ウエハの一方の表面から深さが半導体基板の内部に達するダイシング溝を予め形成した後に、半導体ウエハの他方の表面をダイシング溝に至るまで研磨して半導体ウエハを個片化することによって半導体素子を製造する、先ダイシング法と呼ばれる方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
以下、従来の先ダイシング法による半導体素子の製造方法を説明する。図13〜図16は、従来の先ダイシング法による半導体素子の製造における各工程の状態を模式的に示す断面図である。
図13は、半導体ウエハ51の一方の表面51aに、突起電極52を形成した状態を示す図である。半導体ウエハ51の一方の表面51aに、図示しない回路素子と回路素子に電気的に接続される突起電極52とを含む複数の電子回路のパターンを形成する。次いで、突起電極52の形成された半導体ウエハ51の一方の表面51aに、各電子回路を画するように図示しないスクライブラインを形成する。
図14は、ダイシング溝53を形成した状態を示す図である。形成されたスクライブラインに沿って半導体ウエハ51を切削し、半導体ウエハ51の一方の表面51aから深さが半導体ウエハ51の内部に達するダイシング溝53を形成する。
図15は、保護部材54を設けた状態を示す図である。突起電極52の形成された半導体ウエハ51の一方の表面51aに、突起電極52および回路素子を覆うように保護部材54を設ける。保護部材54としては、取扱いの容易さから、基材上に粘着剤が塗布されて成る保護テープが多用される。保護テープは、接着剤が半導体ウエハ51の一方の表面51aに接するように貼着される。
図16は、半導体ウエハ51の他方の表面51bを研磨する様子を示す図である。半導体ウエハ51の保護部材54の設けられた一方の表面51aを研磨用チャックテーブル55に対向させ、保護部材54を介して半導体ウエハ51を研磨用チャックテーブル55に固定する。この状態で、半導体ウエハ51の他方の表面51bをダイシング溝53に至るまで研磨して半導体ウエハ51を個片化し、半導体素子50を得る。半導体ウエハ51の他方の表面51bを研磨する際には、研磨用砥石56を、砥石軸57の軸線58まわりに矢符70方向に回転させながら、図16の紙面に向かって下方向に下降させて半導体ウエハ51の他方の表面51bに押圧し、半導体ウエハ51の他方の表面51bを研磨する。
なお、半導体ウエハ51の一方の表面51aに保護部材54が設けられていない場合に、一方の表面51aが研磨用チャックテーブル55に対向するように半導体ウエハ51を載置して他方の表面51bの研磨を行うと、突起電極52の形成によって生じた半導体ウエハ51の一方の表面51aの凹凸形状が半導体ウエハ51の他方の表面51bに転写されるという問題が生じる。これは、以下の理由による。
半導体ウエハ51の一方の表面51aに保護部材54が設けられていない場合、突起電極52は露出した状態にあるので、半導体ウエハ51は、突起電極52が接するように研磨用チャックテーブル55に載置される。この状態では、半導体ウエハ51の他方の表面51bに研磨用砥石56が押圧される際に、研磨用砥石56から半導体ウエハ51に負荷される荷重は、突起電極52を介して研磨用チャックテーブル55に負荷される。
一方、研磨用チャックテーブル55からは、負荷された荷重に対して抗力が作用する。この研磨用チャックテーブル55からの抗力は、突起電極52を介して半導体ウエハ51に作用するので、半導体ウエハ51から研磨用砥石56に作用する抗力は、突起電極52のある部分の方が、突起電極52のない部分よりも大きくなる。すなわち、半導体ウエハ51の他方の表面51bは、研磨用砥石56の半導体ウエハ51を臨む面56aに対して、均一な力では当接されない。
したがって、研磨用砥石56が半導体ウエハ51の他方の表面51bを押圧する力、すなわち半導体ウエハ51の他方の表面51bに負荷される研磨用砥石56からの押圧力は、突起電極52のある部分と突起電極52のない部分とで異なり、突起電極52のある部分の方が、突起電極52のない部分よりも大きくなる。このため、半導体ウエハ51の他方の表面51bには、半導体ウエハ51の一方の表面51aに形成された突起電極52による凹凸形状が転写される。
研磨用砥石56から半導体ウエハ51の他方の表面51bに負荷される押圧力を突起電極52のある部分と突起電極52のない部分とに拠らず一定にし、半導体ウエハ51の一方の表面51aの凹凸形状が他方の表面51bに転写されることを防ぐためには、半導体ウエハ51の一方の表面51a側を平坦にし、研磨用チャックテーブル55からの抗力が均一に作用するようにしなければならない。
そこで、図16に示すように半導体ウエハ51の一方の表面51aに保護部材54を設け、半導体ウエハ51の一方の表面51aの凹凸を保護部材54で覆うことによって、半導体ウエハ51の一方の表面51a側を平坦にし、研磨用チャックテーブル55からの抗力が半導体ウエハ51の一方の表面51a側全体に均一に加わるようにしている。このことによって、半導体ウエハ51に作用する研磨用チャックテーブル55からの抗力を、突起電極52のある部分と突起電極52のない部分とでほぼ等しくすることができるので、研磨用砥石56が押圧された状態において、研磨用砥石56から半導体ウエハ51の他方の表面51bに負荷される押圧力を、他方の表面51b全体に渡ってほぼ均一にすることができる。
以上のように、特許文献1などに記載の先ダイシング法では、図14に示す工程においてダイシング溝53を形成した後、図16に示す工程において半導体ウエハ51を研磨して薄くする。このようにすることによって、薄くなった半導体ウエハ51を取扱う工程を減少させ、製造工程の途中における半導体ウエハ51の損壊を抑制している。また、特許文献1に記載の技術では、図16に示す研磨工程の後に、半導体ウエハ51の研磨された他方の表面51bを化学的にエッチングし、研磨面の破砕層を除去することによって、抗折強度が高く、かつ薄型の半導体素子を製造している。
特開2002−16021号公報(第3−4頁,第1−6図)
前述の特許文献1などに記載の先ダイシング法では、図16に示す工程において半導体ウエハ51の他方の表面51bを研磨する際には、ダイシング溝53は空洞となっているので、半導体ウエハ51は、ダイシング溝53によって画された半導体素子50となる部分59で保護部材54に接する。このため、前述の保護部材54が設けられていない場合に研磨用砥石56から半導体ウエハ51の他方の表面51bに負荷される押圧力が突起電極52のある部分と突起電極52のない部分とで異なるのと同様に、研磨用砥石56から半導体ウエハ51の他方の表面51bに負荷される押圧力は、ダイシング溝53の形成された部分53aとダイシング溝53によって画された部分59とで異なる。したがって、半導体ウエハ51の他方の表面51bは、保護部材54が設けられていても、研磨用砥石56が押圧された状態では、研磨用砥石56の半導体ウエハ51を臨む表面56aに対して均一な力では当接されない。
また、半導体ウエハ51のダイシング溝53によって画された各部分59は、研磨用砥石56の軸線58まわりの回転に基づき、研磨用砥石56から研磨用砥石56の半導体ウエハ51を臨む表面56aに平行な方向に作用する力によってダイシング溝53の内部側に傾く。
したがって、前述の特許文献1などに記載の先ダイシング法を用いて半導体素子50を製造すると、半導体ウエハ51の研磨された他方の表面51bに、図16に示すようにうねりが生じるという問題がある。
このうねりは、保護部材54として、保護テープのように半導体ウエハ51に接する部分の柔らかいものを用いた場合には、さらに発生しやすくなる。これは、研磨用砥石56からの荷重によって半導体ウエハ51が保護部材54に沈み込み、半導体ウエハ51のダイシング溝53によって画された各部分59がダイシング溝53の内部側に傾きやすくなるためである。特に、保護テープの基材および接着剤の厚みを、半導体ウエハ51の一方の表面51aの凹凸が確実に覆われるように厚くする場合には、うねりの発生が顕著になる。
また、半導体素子は、前述のように直接またはパッケージ化されて配線基板上に実装され、半導体装置に用いられる。前述の半導体装置に対する薄型化の要求を満足するためには、半導体素子と配線基板との接続方法として、フリップチップ接続法を用いる必要がある。また半導体素子をパッケージ化する場合にも、パッケージの厚みを薄くするために、半導体素子とパッケージの配線基板との接続には、フリップチップ接続法を用いる必要がある。
図17は、フリップチップ接続法によって半導体素子50と配線基板60とを接続する様子を模式的に示す断面図である。フリップチップ接続法によって半導体素子50と配線基板60とを接続する場合には、図17に示すように、半導体素子50の表面に設けられた突起電極52と配線基板60の表面に設けられた配線用電極61とを直接対向させて密着させ、半導体素子50の上方からボンディングツール62で荷重を加えるとともに加熱することによって、突起電極52と配線用電極61とを電気的に接続する。
フリップチップ接続法によって半導体素子50と配線基板60とを接続する場合に、半導体素子50の突起電極52の形成された面と反対側のボンディングツール62に接する面、すなわち半導体素子50を構成する半導体ウエハ51の他方の表面51bに、前述の図16に示すようにうねりが生じていると、以下の問題が生じる。半導体ウエハ51の他方の表面51bにうねりが生じている半導体素子50は、他方の表面51b全体をボンディングツール62に接触させることができないので、ボンディングツール62に対して傾いて固定される。このため、半導体素子50の突起電極52の形成された面である半導体ウエハ51の一方の表面51aを、配線基板60の半導体素子50を臨む表面60aに対して平行に対向させることはできない。したがって、半導体素子50に設けられる2つの突起電極52のうち、一方の突起電極52と配線用電極61とは良好に接続することができるけれども、他方の突起電極52と配線用電極61とは良好に接続することができないという問題が生じる。
本発明の目的は、抗折強度が高く、薄型であるとともに、回路素子の形成された面と反対側の表面が高い平坦性を有する半導体素子を得ることのできる半導体素子の製造方法、および個片化された基板表面の平坦性を確保することのできる基板の個片化方法を提供することである。
本発明は、半導体基板の一方の表面に、複数の回路素子を形成する工程と、
予め定められる領域であって、前記回路素子を少なくとも1つ含んで成る領域を画するように、前記半導体基板の一方の表面から深さが前記半導体基板の内部に達するダイシング溝を形成する工程と、
前記ダイシング溝に充填材を充填する工程と、
前記半導体基板の他方の表面を、少なくとも前記ダイシング溝に充填された充填材が露出するまで研磨する工程と、
前記ダイシング溝に充填された充填材を除去し、前記半導体基板を個片化する工程とを含むことを特徴とする半導体素子の製造方法である。
また本発明は、前記ダイシング溝に充填材を充填する工程の後であって、前記半導体基板の他方の表面を、少なくとも前記ダイシング溝に充填された充填材が露出するまで研磨する工程の前に、
前記半導体基板の一方の表面に、前記回路素子を覆うように保護部材を設ける工程をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明は、前記ダイシング溝に充填された充填材を除去し、前記半導体基板を個片化する工程の後に、
前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする。
さらに本発明は、前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程では、
前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面から、それぞれ1μm以上10μm以下の部分をエッチングによって除去することを特徴とする。
さらに本発明は、前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程では、
前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面から、それぞれ30μm以上50μm以下の部分をエッチングによって除去することを特徴とする。
さらに本発明は、前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程では、
エッチングが、エッチング液を用いる化学的エッチングによって行われることを特徴とする。
さらに本発明は、前記ダイシング溝に充填材を充填する工程では、
前記充填材が前記ダイシング溝に充填されて形成される充填層の厚みD1と、前記ダイシング溝の深さD2との比R(D1/D2)が、0.8以上1.0以下であることを特徴とする。
さらに本発明は、前記充填材は、樹脂であることを特徴とする。
さらに本発明は、前記樹脂は、光硬化性樹脂であり、前記ダイシング溝に充填された後、硬化されることを特徴とする。
また本発明は、基板を予め定められる領域毎に個片化する基板の個片化方法であって、
予め定められる領域を画するように、基板の一方の表面から深さが前記基板の内部に達するダイシング溝を形成する工程と、
前記ダイシング溝に充填材を充填する工程と、
前記基板の他方の表面を、少なくとも前記ダイシング溝に充填された充填材が露出するまで研磨する工程と、
前記ダイシング溝に充填された充填材を除去する工程とを含むことを特徴とする基板の個片化方法である。
本発明によれば、半導体素子は、半導体基板の一方の表面に複数の回路素子を形成し、予め定められる領域であって回路素子を少なくとも1つ含んで成る領域を画するように、半導体基板の一方の表面から深さが半導体基板の内部に達するダイシング溝を形成し、ダイシング溝に充填材を充填し、少なくともダイシング溝に充填された充填材が露出するまで半導体基板の他方の表面を研磨した後、ダイシング溝に充填された充填材を除去して半導体基板を個片化することによって製造される。ここで、半導体素子とは、回路素子を1つだけ有するもの、回路素子を複数個有するもの、複数の回路素子で構成される回路を1つだけ有するもの、および複数の回路素子で構成される回路を複数個有するもののいずれをも含む。半導体基板の他方の表面を研磨する際には、ダイシング溝は充填材で充填されている。このことによって、砥石によって半導体基板に荷重をかけて半導体基板の他方の表面を研磨する場合に、砥石から半導体基板のダイシング溝の形成された部分に負荷される押圧力と、砥石から半導体基板のダイシング溝によって画された部分に負荷される押圧力との差を小さくすることができる。また研磨に用いられる砥石から砥石の半導体基板を臨む表面に平行な方向に力が作用する際に、半導体基板のダイシング溝によって画された各部分がダイシング溝の内部側に傾くことを防ぐことができる。したがって、研磨による半導体基板の他方の表面におけるうねりの発生を防止することができるので、研磨後における半導体基板の他方の表面の平坦性を確保することができる。
また、前述のようにダイシング溝を形成した後に、半導体基板の他方の表面を研磨して半導体基板を薄くすることによって、薄くなった半導体基板を取扱う工程を減少させ、製造工程の途中における半導体基板の損壊を抑制することができるので、薄型の半導体素子を歩留良く製造することができる。したがって、薄型であるとともに、半導体基板の他方の表面、すなわち回路素子の形成された面と反対側の表面が高い平坦性を有する半導体素子を得ることができる。
また本発明によれば、ダイシング溝に充填材が充填された半導体基板は、一方の表面に回路素子を覆うように保護部材が設けられた後、他方の表面が研磨される。前述のように、半導体基板の他方の表面を研磨する際にはダイシング溝は充填材で充填されているので、このように半導体基板の一方の表面に保護部材が設けられる場合に、一方の表面が支持基板に対向するように保護部材を介して半導体基板を支持基板に載置し、この状態で半導体基板の他方の表面を研磨しても、砥石から砥石の半導体基板を臨む表面に平行な方向に力が作用する際に、半導体基板のダイシング溝によって画された各部分がダイシング溝の内部側へ傾くことを防ぐことができる。また、回路素子の電極または回路素子に電気的に接続される電極が半導体基板の一方の表面から突出する突起電極として設けられ、半導体基板の一方の表面が凹凸を有する場合であっても、この凹凸は保護部材で覆われるので、半導体基板の一方の表面側を平坦にすることができる。このことによって、一方の表面が支持基板に対向するように半導体基板を載置した状態で半導体基板の他方の表面を研磨する際に、支持基板からの抗力が半導体基板の一方の表面側全体に均一に加わるようにすることができる。このようにして、砥石から半導体基板の他方の表面に負荷される押圧力を突起電極のある部分と突起電極のない部分とに拠らず一定にすることができるので、半導体基板の一方の表面に形成された突起電極による凹凸形状が半導体基板の他方の表面に転写されることを防ぐことができる。したがって、回路素子の形成された面と反対側の表面がさらに高い平坦性を有する半導体素子を製造することができる。
また、ダイシング溝に充填された充填材を除去し、半導体基板を個片化する際には、半導体基板の一方の表面には保護部材が設けられているので、半導体基板は保護部材を介して連なった状態で個片化される。したがって、半導体基板を個片化する工程の後に、個片化された半導体基板に対してエッチングなどの処理を同時に施すことができるので、生産効率を向上させることができる。
また本発明によれば、ダイシング溝に充填された充填材が除去されて個片化された半導体基板は、研磨によって露出した面すなわち研磨面および充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方がエッチングされる。このことによって、研磨の際に半導体基板の研磨面に形成される破砕層とダイシング溝を形成する際に半導体基板のダイシング溝に臨む表面に形成される破砕層との両方またはいずれか一方を、エッチングによって除去することができる。したがって、損壊の原因となる破砕層を低減することができるので、抗折強度の高い半導体素子を製造することができる。
また本発明によれば、半導体基板の研磨面から1μm以上10μm以下の部分および充填材の除去によって露出した面から1μm以上10μm以下の部分は、エッチングによって除去される。したがって、研磨の際に半導体基板の研磨面に形成される破砕層を確実に除去するとともに、ダイシング溝を形成する際に半導体基板のダイシング溝に臨む表面に形成される破砕層を低減することができるので、抗折強度のさらに高い半導体素子を製造することができる。
また本発明によれば、半導体基板の研磨面から30μm以上50μm以下の部分および充填材の除去によって露出した面から30μm以上50μm以下の部分は、エッチングによって除去される。したがって、研磨の際に半導体基板の研磨面に形成される破砕層とダイシング溝を形成する際に半導体基板のダイシング溝に臨む表面に形成される破砕層との両方を確実に除去することができるので、抗折強度の特に高い半導体素子を製造することができる。
また本発明によれば、半導体基板の研磨面および充填材の除去によって露出した面のエッチングは、エッチング液を用いる化学的エッチングによって行われる。このことによって、個片化された半導体基板の角を丸くして曲率を持たせ、いわゆるコーナーRを形成することができるので、半導体素子の抗折強度を向上させることができる。また、このようにエッチング液を用いる化学的エッチングを施す場合に、半導体基板の一方の表面に保護部材を設けることによって、エッチングの際にエッチング液が半導体基板の一方の表面に接触することを防ぐことができるので、半導体基板の一方の表面に設けられる回路素子をエッチング液で汚染することなく、化学的エッチングを施すことができる。
また本発明によれば、充填材がダイシング溝に充填されて形成される充填層の厚みD1と、ダイシング溝の深さD2との比R(D1/D2)は、0.8以上1.0以下である。ここで、前記比R(D1/D2)とは、半導体基板の一方の表面を含む仮想平面αに略垂直な直線であって充填層の露出する面およびダイシング溝の底面に交差する仮想直線L上において、前記仮想直線Lと充填層の露出する面との交点Aから前記仮想直線Lとダイシング溝の底面との交点Bまでの距離を充填層の厚みD1とし、前記仮想直線Lと前記仮想平面αとの交点Cから前記仮想直線Lとダイシング溝の底面との交点Bまでの距離をダイシング溝の深さD2としたときの値である。前記比Rを0.8以上にすることによって、充填層中への空所の発生を抑え、半導体基板の他方の表面を研磨する際の砥石による押圧力に対する充填層の強度を充分に確保することができる。したがって、砥石から半導体基板のダイシング溝の形成された部分に負荷される押圧力と、砥石から半導体基板のダイシング溝によって画された部分に負荷される押圧力とをほぼ等しくすることができる。また砥石から砥石の半導体基板を臨む表面に平行な方向に力が作用する際に、半導体基板のダイシング溝によって画された各部分がダイシング溝の内部側へ傾くことを確実に防ぐことができる。また、前記比Rを1.0以下にする、すなわちダイシング溝に充填される以外の余剰の充填材が半導体基板の一方の表面にはみ出さないように充填層を形成することによって、半導体基板の一方の表面に設けられる回路素子が充填材で汚染されることを防ぐことができる。
また本発明によれば、ダイシング溝に充填される充填材は樹脂であるので、ダイシング溝の底部まで容易に充填することができるとともに、剥離液によって容易に除去することができる。また、このように充填材に樹脂を用い、充填材を剥離液によって除去する場合に、半導体基板の一方の表面に保護部材を設けることによって、充填材を除去する際に剥離液が半導体基板の一方の表面に接触することを防ぐことができるので、半導体基板の一方の表面に設けられる回路素子を剥離液で汚染することなく、充填材を除去することができる。
また本発明によれば、ダイシング溝に充填される充填材は、光硬化性樹脂たとえばレジストであり、ダイシング溝に充填された後、硬化されるので、ダイシング溝に充填材が充填されて形成される充填層は硬い。したがって、半導体基板の他方の表面を研磨する際の砥石による押圧力に対する充填層の強度を充分に確保することができるので、砥石から半導体基板のダイシング溝の形成された部分に負荷される押圧力と、砥石から半導体基板のダイシング溝によって画された部分に負荷される押圧力とをほぼ等しくすることができる。また砥石から砥石の半導体基板を臨む表面に平行な方向に力が作用する際に、半導体基板のダイシング溝によって画された各部分がダイシング溝の内部側へ傾くことを確実に防ぐことができる。
また本発明によれば、基板は、予め定められる領域を画するように、基板の一方の表面から深さが基板の内部に達するダイシング溝を形成し、ダイシング溝に充填材を充填し、少なくともダイシング溝に充填された充填材が露出するまで基板の他方の表面を研磨した後、ダイシング溝に充填された充填材を除去することによって個片化される。基板の他方の表面を研磨する際には、ダイシング溝は充填材で充填されている。このことによって、砥石によって基板に荷重をかけて基板の他方の表面を研磨する場合に、砥石から基板のダイシング溝の形成された部分に負荷される押圧力と、砥石から基板のダイシング溝によって画された部分に負荷される押圧力との差を小さくすることができる。また研磨に用いられる砥石から砥石の基板を臨む表面に平行な方向に力が作用する際に、基板のダイシング溝によって画された各部分がダイシング溝の内部側に傾くことを防ぐことができる。したがって、研磨による基板の他方の表面におけるうねりの発生を防止することができるので、個片化された基板の他方の表面の平坦性を確保することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明するけれども、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の実施の一形態である半導体素子の製造方法として、以下では複数の回路素子が集積して形成されて成る集積回路を有する半導体素子1の製造方法について説明する。図1〜図12は、半導体素子1の製造における各工程の状態を模式的に示す図である。
図1(a)は、半導体ウエハ11の一方の表面11aに、突起電極12およびスクライブライン13を形成した状態を示す断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す突起電極12およびスクライブライン13の形成された半導体ウエハ11を、一方の表面11a側から見て示す平面図であり、図1(a)は、図1(b)に示す切断面線I−Iから見て示す断面図に相当する。なお、図1(b)では、図が錯綜して理解が困難になるので、図1(a)に示す突起電極12の一部のみを記載し、スクライブライン13を直線で表す。
半導体基板である半導体ウエハ11の一方の表面11aに、図示しない複数の回路素子を形成する。回路素子は、数個ずつが集積して形成され、図示しない電気配線によって電気的に接続されて複数の集積回路を構成する。集積回路を構成する回路素子としては、ダイオードおよびトランジスタなどの能動素子、ならびにコンデンサおよび抵抗などの受動素子が挙げられる。半導体ウエハ11の一方の表面11aに設けられた各集積回路の予め定められる位置に、回路素子に直接または電気配線を介して電気的に接続される突起電極12をそれぞれ形成する。突起電極12は、半導体ウエハ11の一方の表面11aから突出するように形成される。このように突起電極12が半導体ウエハ11の一方の表面11aから突出して設けられることによって、半導体ウエハ11の一方の表面11aは、凹凸を有する状態になる。
半導体ウエハ11は、シリコンなどの半導体材料から成る基板である。突起電極12は、鉛(化学式:Pb)−錫(化学式:Sn)系はんだ、または金(化学式:Au)などの導電性材料で形成される。本実施形態では、半導体ウエハ11として、一方の表面11aから他方の表面11bまでの距離である厚みT1が725μmであるものを用い、突起電極12として、半導体ウエハ11の一方の表面11aからの高さHが20μmであるものを形成する。
半導体ウエハ11の突起電極12の形成された一方の表面11aに、予め定められる領域であって、複数の回路素子および突起電極12で構成される集積回路を1つ含んで成る領域を画するようにダイヤモンドカッタなどによって切込みを入れ、スクライブライン13を形成する。本実施形態では、スクライブライン13は、図1(b)の紙面に向かって上下方向に直線的に延びて、また左右方向に直線的に延びて格子状に形成され、スクライブライン13によって画される各領域には、2つの突起電極12が設けられた1つの集積回路が含まれる。
図2(a)は、ダイシング溝14を形成した状態を示す断面図である。図2(b)は、図2(a)に示すダイシング溝14の形成された半導体ウエハ11を、一方の表面11a側から見て示す平面図であり、図2(a)は、図2(b)に示す切断面線I−Iから見て示す断面図に相当する。なお、図2(b)では、図2(a)に示す突起電極12は、図が錯綜して理解が困難になるので、一部のみを記載する。
形成されたスクライブライン13に沿って、半導体ウエハ11を一方の表面11aからダイヤモンドブレードなどによって切削し、他方の表面11bに達しない溝を形成する。これによって、半導体ウエハ11の一方の表面11aから深さが半導体ウエハ11の内部に達するダイシング溝14が形成される。ダイシング溝14は、スクライブライン13と同様に、予め定められる領域であって、複数の回路素子および突起電極12で構成される集積回路を1つ含んで成る領域を画するように、図2(b)の紙面に向かって上下方向に直線的に延びて、また左右方向に直線的に延びて、半導体ウエハ11の端部まで形成される。
本実施形態では、ダイシング溝14は、図2(b)に示す切断面線I−Iから見て示す断面形状および切断面線II−IIから見て示す断面形状が、いずれも図2(a)に示すように凹字型になるように形成される。すなわち、本実施形態によるダイシング溝14は、底面14aが半導体ウエハ11の一方の表面11aに対して略平行になっており、壁面14bが半導体ウエハ11の一方の表面11aに対して略垂直になっている。
ダイシング溝14の深さD2は、後述する図7に示す工程において半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨することによって半導体素子1となる部分毎に半導体ウエハ11を切断するためには、図9に示す半導体素子1の厚みT2の少なくとも1.0倍以上である必要があり、前記厚みT2の1.0〜1.2倍程度であることが好ましい。ここで、ダイシング溝14の深さD2とは、半導体ウエハ11の一方の表面11aを含む仮想平面αからダイシング溝14の底面14aまでの距離のことである。また図9に示す半導体素子1の厚みT2とは、半導体素子1を構成する半導体ウエハ11の一方の表面11aから他方の表面11bまでの距離のことである。
ただし、本実施の形態のように、後述する図9に示す工程において、半導体ウエハ11の研磨された面11bに対してエッチングを施す場合には、ダイシング溝14の深さD2は、エッチングによって除去される部分の厚みの分だけ前記厚みT2よりも大きいことが必要であり、前記厚みT2の1.2倍程度であることが好ましい。本実施形態では、半導体素子1として、前記厚みT2が100μmであるものを製造することとし、ダイシング溝14を深さD2が120μm程度になるように形成する。
なお、ダイシング溝14は、底面14aが半導体ウエハ11の一方の表面11aを含む仮想平面αに対して略平行になるように形成される必要はなく、たとえば、図3に示すように、図2(b)に示す切断面線I−Iから見て示す断面形状および切断面線II−IIから見て示す断面形状がいずれもU字型になるように、すなわち底面14aが曲率を有するように形成されてもよい。
このように、ダイシング溝14の底面14aが半導体ウエハ11の一方の表面11aを含む仮想平面αに対して略平行でない場合には、前記仮想平面αからダイシング溝14の底面14aまでの距離である前述のダイシング溝14の深さD2は、ダイシング溝14の各所において異なる。このような場合には、ダイシング溝14の深さD2の最小値、すなわち前記仮想平面αからダイシング溝14の底面14aまでの最短距離D2minが、半導体素子1の前記厚みT2の1.0〜1.2倍程度であることが好ましい。たとえば、図3に示すようにダイシング溝14の底面14aが曲率を有するように構成される場合には、前記仮想平面αから底面14aの曲率開始点Pまでの距離が前記最小値D2minであり、この値が半導体素子1の前記厚みT2の1.0〜1.2倍程度になるようにダイシング溝14を形成することが好ましい。
図4(a)は、充填層15を形成した状態を示す断面図である。図4(b)は、ダイシング溝14に充填材を充填する様子を示す図であり、図4(a)は、図4(b)に示す切断面線I−Iから見て示す断面図に相当する。なお、図4(b)では、図4(a)に示す突起電極12は、図が錯綜して理解が困難になるので、一部のみを記載する。
形成されたダイシング溝14に充填材を充填し、充填層15を形成する。ダイシング溝14は、前述のように半導体ウエハ11の端部まで形成されているので、ダイシング溝14に充填材を充填する際には、図4(b)に示すように、半導体ウエハ11の外縁に樹脂などから成る充填材充填用枠16を設置した状態で、ディスペンサ17によってダイシング溝14に充填材を供給することが好ましい。このようにすることによって、半導体ウエハ11の端部に形成されたダイシング溝14から充填材が流出することを防ぐことができる。
本実施の形態では、ディスペンサ17を図4(b)の紙面に向かって上下方向または左右方向に直線的に移動させながら、ダイシング溝14に充填材を供給する。このとき、図4(b)の紙面に向かって上下方向に延びて形成されたダイシング溝14と左右方向に延びて形成されたダイシング溝14とが交差する部分では、供給量を少なくしてダイシング溝14に充填される充填材の量を調整し、充填材が半導体ウエハ11の一方の表面11aにはみ出さないようにする。
充填材には、後述する図7に示す工程において半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際の研磨用砥石25による押圧力に対して充分な強度を有する充填層15を形成することのできるものであれば、どのような材料を用いてもよいけれども、樹脂を用いることが好ましい。充填材として樹脂を用いることによって、充填材をダイシング溝14の底部まで容易に充填することができるとともに、後述する図8に示す工程において、充填層15を剥離液で容易に除去することができる。
充填材に用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂またはウレタン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、レジストなどの光硬化性樹脂が好適に用いられる。ここで、光硬化性樹脂とは、光照射によって樹脂自体が硬化するもの、および光照射による架橋剤との架橋反応によって硬化するもののいずれをも含む。充填材として光硬化性樹脂を用いる場合には、光硬化性樹脂をダイシング溝14に充填した後、硬化させることによって充填層15を形成する。したがって、充填材として光硬化性樹脂を用いることによって、硬い充填層15を形成することができるので、後述する図7に示す工程において半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際の研磨用砥石25による押圧力に対する充填層15の強度を充分に確保することができる。
充填材がダイシング溝14に充填されて形成される充填層15の厚みD1と、ダイシング溝14の深さD2との比R(D1/D2)は、0.8以上1.0以下であることが好ましい。ここで、前記比R(D1/D2)とは、半導体ウエハ11の一方の表面11aを含む仮想平面αに略垂直な直線であって充填層15の露出する面15aおよびダイシング溝14の底面14aに交差する仮想直線L上において、前記仮想直線Lと充填層15の露出する面15aとの交点Aから前記仮想直線Lとダイシング溝14の底面14aとの交点Bまでの距離を充填層15の厚みD1とし、前記仮想直線Lと前記仮想平面αとの交点Cから前記仮想直線Lとダイシング溝14の底面14aとの交点Bまでの距離をダイシング溝14の深さD2としたときの値である。すなわち、前記比Rは、同一の仮想直線L上におけるD1とD2との比であり、前記仮想直線Lの位置に依存して変化する。
前記比Rを0.8以上にすることによって、充填層15中への空所の発生を抑え、後述する図7に示す工程において半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際の研磨用砥石25による押圧力に対する充填層15の強度を充分に確保することができる。また、前記比Rを1.0以下にする、すなわちダイシング溝14に充填される以外の余剰の充填材が半導体ウエハ11の一方の表面11aにはみ出さないように充填層15を形成することによって、半導体ウエハ11の一方の表面11aに設けられる複数の回路素子および突起電極12で構成される集積回路が充填材で汚染されることを防ぐことができる。
なお、充填材にレジストなどの光硬化性樹脂を用いる場合には、ダイシング溝14に充填された光硬化性樹脂が硬化された後の充填層15において、前記比Rが0.8以上1.0以下であることが好ましい。
図5は、半導体ウエハ11の一方の表面11aに保護部材18を設けた状態を示す断面図である。充填層15の形成された半導体ウエハ11の一方の表面11aに、複数の回路素子および突起電極12で構成される集積回路を覆うように、保護部材18を設ける。このとき、充填層15も保護部材18で覆われる。このように、半導体ウエハ11の一方の表面11aに保護部材18を設けることによって、半導体ウエハ11の一方の表面11aに形成された突起電極12による凹凸を保護部材18で覆い、半導体ウエハ11の一方の表面11a側を平坦にすることができる。
保護部材18としては、突起電極12によって形成された半導体ウエハ11の一方の表面11aの凹凸を覆うことのできる構造を有するものであれば、どのような材料を用いてもよい。保護部材18には、取扱いの容易さから、基材の一方の表面に粘着剤が塗布されて成る保護テープが好適に用いられる。保護テープの基材としては、有機物、たとえばポリエステルまたはポリイミドなどの樹脂が用いられる。基材に塗布される粘着剤としては、たとえばアクリル系樹脂などが用いられる。本実施の形態では、突起電極12として、前述のように半導体ウエハ11の一方の表面11aからの高さHが20μmであるものを形成するので、保護テープとしては、たとえば、基材の厚みが100〜300μmであり、基材の一方の表面に粘着剤が塗布されて形成される粘着剤層の厚みが30〜60μmであるものが用いられる。保護部材18として保護テープを用いる場合には、以下のようにして半導体ウエハ11の一方の表面11aに保護部材18を設けることができる。
図6は、半導体ウエハ11の一方の表面11aに、保護テープ18aを貼付ける様子を示す図である。半導体ウエハ11の他方の表面11b、すなわち突起電極12の形成された面11aと反対側の表面11bを貼付け用テーブル19に固定する。この状態で、複数の回路素子および突起電極12で構成される集積回路が保護テープ18aで覆われるように、保護テープ18aを半導体ウエハ11の一方の表面11aに供給する。保護テープ18aは、粘着剤層が半導体ウエハ11の一方の表面11aに接するように供給される。貼付けローラ20を、保護テープ18aの半導体ウエハ11を臨む面と反対側の表面に押圧した状態で、軸線21まわりに矢符22で示される反時計回り方向に回転させながら、半導体ウエハ11の一方の表面11aに平行な矢符23で示される方向に移動させる。貼付けローラ20による押圧力によって、保護テープ18aは、半導体ウエハ11の一方の表面11aに貼着される。
図7(a)は、半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨した状態を示す断面図である。図7(b)は、研磨用砥石25によって半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する様子を示す図である。
半導体ウエハ11の他方の表面11b、すなわち保護部材18の設けられた面11aと反対側の表面11bを、少なくともダイシング溝14に充填された充填材である充填層15が露出するまで研磨する。これによって、半導体ウエハ11は、半導体素子1となる部分30毎に切断される。半導体ウエハ11の半導体素子1となる部分30は、図7(a)に示すように充填層15によって接着された状態になっており、半導体ウエハ11は、後述する図8に示す工程において充填層15が除去されることによって個片化される。
半導体ウエハ11の他方の表面11bの研磨には、研磨用砥石25を用いて研削する方法が好適に用いられる。研磨用砥石25を用いて半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する場合には、図7(b)に示すように、半導体ウエハ11の保護部材18の設けられた一方の表面11aを研磨用チャックテーブル24に対向させ、保護部材18を介して半導体ウエハ11を研磨用チャックテーブル24に固定する。この状態で、研磨用砥石25を、砥石軸26の軸線27まわりに矢符28方向に回転させながら、図7(b)の紙面に向かって下方向に下降させて半導体ウエハ11の他方の表面11bに押圧し、半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する。すなわち、研磨用砥石25によって半導体ウエハ11に荷重をかけて半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する。研磨用砥石25の軸線27方向の位置を調整することによって、研磨用砥石25による半導体ウエハ11の他方の表面11bの研磨量を制御し、半導体ウエハ11を所望の厚みにすることができる。
本実施の形態では、図7に示す工程において半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際に、ダイシング溝14には充填材が充填され、充填層15が形成されている。したがって、研磨用砥石25から半導体ウエハ11のダイシング溝14の形成された部分29に負荷される押圧力と、研磨用砥石25から半導体ウエハ11のダイシング溝14によって画された部分30に負荷される押圧力との差は小さい。また、半導体ウエハ11のダイシング溝14によって画された各部分30は、研磨用砥石25から研磨用砥石25の半導体ウエハ11を臨む表面25aに平行な方向に力が作用する場合においても、ダイシング溝14の内部側に傾くことがない。
特に、前述の図4に示す工程において、充填層15の厚みD1とダイシング溝14の深さD2との比R(D1/D2)が0.8以上になるように充填層15を形成することによって、半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際の研磨用砥石25による押圧力に対する充填層15の強度を充分に確保することができるので、研磨用砥石25から半導体ウエハ11のダイシング溝14の形成された部分29に負荷される押圧力と、研磨用砥石25から半導体ウエハ11のダイシング溝14によって画された部分30に負荷される押圧力とをほぼ等しくすることができる。また研磨用砥石25から研磨用砥石25の半導体ウエハ11を臨む表面25aに平行な方向に力が作用する際に、半導体ウエハ11のダイシング溝14によって画された各部分30がダイシング溝14の内部側へ傾くことを確実に防ぐことができる。
また、前述のように充填層15を光硬化性樹脂で形成することによって、硬い充填層15を形成し、半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際の研磨用砥石25による押圧力に対する充填層15の強度を充分に確保することができる。このことによって、前記比R(D1/D2)が0.8以上になるように充填層15を形成する場合と同様に、研磨用砥石25から半導体ウエハ11のダイシング溝14の形成された部分29に負荷される押圧力と、研磨用砥石25から半導体ウエハ11のダイシング溝14によって画された部分30に負荷される押圧力とをほぼ等しくすることができる。また研磨用砥石25から研磨用砥石25の半導体ウエハ11を臨む表面25aに平行な方向に力が作用する際に、半導体ウエハ11のダイシング溝14によって画された各部分30がダイシング溝14の内部側へ傾くことを確実に防ぐことができる。
したがって、本実施の形態では、研磨による半導体ウエハ11の他方の表面11bにおけるうねりの発生を防止することができるので、研磨後における半導体ウエハ11の他方の表面11bの平坦性を確保することができる。
図8は、充填層15を除去した状態を示す断面図である。露出した充填層15をダイシング溝14から除去し、半導体ウエハ11をダイシング溝14によって画された部分30毎に個片化する。充填層15を除去する際、半導体ウエハ11の一方の表面11aには保護部材18が設けられているので、半導体ウエハ11は保護部材18を介して連なった状態で個片化される。したがって、後述する図9に示す工程において、個片化された半導体ウエハ11に対して同時にエッチング処理を施すことができるので、生産効率を向上させることができる。
充填層15は、樹脂で形成される場合には、前述のように剥離液によって容易に除去することができる。剥離液としては、OMR(商品名;東京応化工業株式会社製)などが用いられる。本実施の形態では、半導体ウエハ11の一方の表面11aは保護部材18で覆われているので、充填層15を剥離液によって除去する際に、剥離液が半導体ウエハ11の一方の表面11aに接触することはない。したがって、半導体ウエハ11の一方の表面11aに設けられる回路素子および突起電極12を剥離液で汚染することなく、充填層15を除去することができる。
図9は、半導体ウエハ11の研磨面41および充填層15の除去によって露出した面42をエッチングした状態を示す断面図である。半導体ウエハ11の研磨面41すなわち前述の図7に示す工程における他方の表面11bの研磨によって露出した面41と、図8に示す工程における充填層15の除去によって露出した面42とをエッチングする。これによって、半導体素子1を得る。
図10は、エッチング前の半導体ウエハ11とエッチング後の半導体ウエハ11とを対比して示す図である。図10(a)は、図8に示す充填層15が除去された状態に相当し、図10(b)は、図9に示す半導体ウエハ11の研磨面41と充填層15の除去によって露出した面42とがエッチングされた状態に相当する。
図10(a)に示すように、エッチング前の半導体ウエハ11には、半導体ウエハ11の研磨面41に破砕層31が存在し、充填層15の除去によって露出した面42に破砕層32が存在する。半導体ウエハ11の研磨面41に存在する破砕層31は、前述の図7に示す工程における研磨の際に形成されたものである。充填層15の除去によって露出した面42に存在する破砕層32は、前述の図2に示す工程においてダイシング溝14を形成する際に、半導体ウエハ11のダイシング溝14に臨む表面に形成されたものである。
図10(a)に示す破砕層31,32の存在する半導体ウエハ11に対して、前述の図9に示す工程においてエッチングを施すことによって、図10(b)に示すように研磨の際に半導体ウエハ11の研磨面41に形成される破砕層31およびダイシング溝14を形成する際に半導体ウエハ11のダイシング溝14に臨む表面に形成され、充填層15の除去によって露出する破砕層32を除去することができる。したがって、損壊の原因となる破砕層を低減することができるので、抗折強度の高い半導体素子1を製造することができる。
なお、図10(b)では、図9に示すエッチング工程においてエッチングされる半導体ウエハ11の量すなわちエッチング量が、図10(a)に示す半導体ウエハ11の研磨面41に存在する破砕層31の厚みs1および充填層15の除去によって露出した面42に存在する破砕層32の厚みs2のいずれよりも大きく、破砕層31と破砕層32との両方が除去される場合を示している。エッチング量が破砕層31の厚みs1よりも小さいと、破砕層31の一部は除去されない。エッチング量が破砕層32の厚みs2よりも小さいと、破砕層32の一部は除去されない。したがって、半導体素子1の抗折強度を向上させるためには、図9に示すエッチング工程におけるエッチング量は、破砕層31の厚みs1および破砕層32の厚みs2の少なくともいずれか一方よりも大きいことが好ましく、破砕層31の厚みs1および破砕層32の厚みs2のいずれよりも大きいことがさらに好ましい。
半導体ウエハ11の研磨面41に形成される破砕層31の厚みs1は、たとえば図7に示す研磨工程において用いられる研磨用砥石25の番手が2000番相当である場合には、1μm程度である。また、図2に示すダイシング工程において半導体ウエハ11のダイシング溝14に臨む表面に形成され、図8に示す工程における充填層15の除去によって露出する破砕層32の厚みs2は、30μm程度である。したがって、図9に示すエッチング工程におけるエッチング量は、半導体ウエハ11の研磨面41および充填層15の除去によって露出した面42からそれぞれ1μm以上10μm以下であることが好ましく、30μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
エッチング量を1μm以上10μm以下とし、半導体ウエハ11の研磨面41から1μm以上10μm以下の部分および充填層15の除去によって露出した面42から1μm以上10μm以下の部分をエッチングによって除去することによって、研磨の際に半導体ウエハ11の研磨面41に形成される破砕層31を確実に除去するとともに、ダイシング溝14を形成する際に半導体ウエハ11のダイシング溝14に臨む表面に形成され、充填層15の除去によって露出する破砕層32を低減することができる。したがって、抗折強度のさらに高い半導体素子1を製造することができる。
また、エッチング量を30μm以上50μm以下とし、半導体ウエハ11の研磨面41から30μm以上50μm以下の部分および充填層15の除去によって露出した面42から30μm以上50μm以下の部分をエッチングによって除去することによって、図10(b)に示すように半導体ウエハ11の研磨面41の破砕層31と充填層15の除去によって露出した面42の破砕層32との両方を確実に除去することができる。したがって、抗折強度の特に高い半導体素子1を製造することができる。
半導体ウエハ11の研磨面41および充填層15の除去によって露出した面42のエッチングは、ドライエッチングおよびウエットエッチングのいずれで行われてもよく、エッチング液を用いる化学的エッチングによって行われることが好ましい。エッチング液としては、ふっ酸(HF)などが用いられる。半導体ウエハ11の研磨面41および充填層15の除去によって露出した面42をエッチング液によって化学的にエッチングすることによって、個片化された半導体ウエハ11の角を丸くして曲率を持たせ、いわゆるコーナーRを形成することができるので、半導体素子1の抗折強度を向上させることができる。
本実施の形態では、半導体ウエハ11の一方の表面11aには保護部材18が設けられているので、エッチング液による化学的エッチングの際に、エッチング液が半導体ウエハ11の一方の表面11aに接触することはない。したがって、半導体ウエハ11の一方の表面11aに設けられる回路素子および突起電極12をエッチング液で汚染することなく、半導体ウエハ11の研磨面41および充填層15の除去によって露出した面42に対して化学的エッチングを施すことができる。
図11は、ダイシングテープ33を貼着した状態を示す断面図である。半導体素子1を構成する半導体ウエハ11の他方の表面11b、すなわち保護部材18が設けられた面11aと反対側の表面11bに、粘着性のテープであるダイシングテープ33を貼付ける。これによって、半導体素子1は、保護部材18とダイシングテープ33との両方を介して連なった状態になる。
ダイシングテープ33としては、基材の一方の表面上に粘着剤が塗布されて成るテープ状のものが好適に用いられる。ダイシングテープ33の基材としては、たとえばポリエステルまたはポリオレフィンなどの樹脂が用いられる。基材に塗布される粘着剤としては、たとえばアクリル系樹脂などが用いられる。本実施の形態では、ダイシングテープ33として、たとえば、基材の厚みが100〜200μmであり、基材の一方の表面に粘着剤が塗布されて形成される粘着剤層の厚みが20〜50μmであるものが用いられる。
図12は、保護部材18を除去した状態を示す断面図である。半導体素子1を構成する半導体ウエハ11の一方の表面11aに設けられた保護部材18を除去する。保護部材18として、図6に示す保護テープ18aを用いる場合には、剥離用のテープによって保護テープ18aを剥離することができる。保護部材18を除去することによって、半導体素子1は、半導体ウエハ11の他方の表面11bに貼着されたダイシングテープ33を介して連なった状態になる。半導体素子1は、この状態で保持され、必要に応じてダイシングテープ33から個別に取外され、半導体装置の配線基板またはパッケージの配線基板と接続される。
以上のように、本実施形態の半導体素子1の製造方法では、図7に示す研磨工程において、研磨用砥石25によって荷重をかけて半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際には、ダイシング溝14は充填材で充填され、充填層15が形成されている。このことによって、前述のように、研磨による半導体ウエハ11の他方の表面11bにおけるうねりの発生を防止し、研磨後における半導体ウエハ11の他方の表面11bの平坦性を確保することができる。
すなわち、図9に示す本実施の形態による半導体素子1は、半導体ウエハ11の他方の表面11bである、回路素子および突起電極12の形成された面11aと反対側の表面11bが高い平坦性を有する。このことによって、半導体素子1を半導体装置の配線基板またはパッケージの配線基板とフリップチップ接続法によって接続する際に、半導体素子1を構成する半導体ウエハ11の他方の表面11b全体をボンディングツールに接触させ、ボンディングツールに対して平行に固定することができるので、半導体素子1の突起電極12の形成された面である半導体ウエハ11の一方の表面11aを、配線基板の半導体素子1を臨む表面に対して平行に対向させることができる。したがって、半導体素子1に設けられる突起電極12と配線基板に設けられる配線用電極とを良好に接続することができる。
また、本実施形態の半導体素子1の製造方法では、図2に示す工程においてダイシング溝14を形成した後に、図7に示す工程において半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨して半導体ウエハ11を薄くする。このことによって、薄くなった半導体ウエハ11を取扱う工程を減少させ、製造工程の途中における半導体ウエハ11の損壊を抑制することができるので、薄型の半導体素子1を歩留良く製造することができる。したがって、薄型であるとともに、半導体ウエハ11の他方の表面11b、すなわち回路素子および突起電極12の形成された面11aと反対側の表面11bが高い平坦性を有する半導体素子1を得ることができる。
また、本実施の形態では、前述のように、半導体ウエハ11の一方の表面11aには、保護部材18が設けられるので、半導体ウエハ11の一方の表面11aに形成された突起電極12による凹凸は保護部材18で覆われ、半導体ウエハ11の一方の表面11a側は平坦である。このことによって、図7(b)に示すように一方の表面11aが支持基板である研磨用チャックテーブル24に対向するように半導体ウエハ11を載置した状態で、半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する際に、研磨用チャックテーブル24からの抗力が半導体ウエハ11の一方の表面11a側全体に均一に加わるようにすることができる。このようにして、研磨用砥石25から半導体ウエハ11の他方の表面11bに負荷される押圧力を突起電極12のある部分と突起電極12のない部分とに拠らず一定にすることができるので、半導体ウエハ11の一方の表面11aに形成された突起電極12による凹凸形状が半導体ウエハ11の他方の表面11bに転写されることを防ぐことができる。したがって、半導体ウエハ11の一方の表面11aに保護部材18が設けられない場合に比べ、半導体ウエハ11の他方の表面11b、すなわち回路素子および突起電極12の形成された面11aと反対側の表面11bがさらに高い平坦性を有する半導体素子1を製造することができる。
以上に述べたように、本実施の形態では、半導体素子1は、複数の回路素子で構成される集積回路を1つ有するけれども、これに限定されることなく、複数の回路素子で構成される集積回路を複数個有してもよい。また、半導体素子1は、回路素子を1つだけ有するものであってもよく、また電気配線によって相互に接続されない複数の回路素子を有するものであってもよい。
本発明の実施の他の形態である基板の個片化方法は、半導体材料から成る半導体基板または樹脂などの絶縁性材料から成る絶縁性基板などの種々の基板を、予め定められる領域毎に個片化する方法であり、実施の第1形態の半導体素子1の製造方法のうち、図2に示すダイシング溝14を形成する工程と、図4に示す充填層15を形成する工程と、図7に示す半導体ウエハ11の他方の表面11bを少なくとも充填層15が露出するまで研磨する工程と、図8に示す充填層15を除去する工程とを少なくとも含む。
すなわち、本発明の実施の他の形態である基板の個片化方法では、図2に示す工程と同様にして、予め定められる領域を画するように、基板の一方の表面から深さが基板の内部に達するダイシング溝を形成する。ダイシング溝は、実施の第1形態と同様に、図1に示す工程と同様にして予め定められる領域を画するようにスクライブラインを形成した後に形成されてもよい。
形成されたダイシング溝に、図4に示す工程と同様にして充填材を充填し、充填層を形成した後、図7に示す工程と同様にして、基板の他方の表面を、少なくともダイシング溝に充填された充填材すなわち充填層が露出するまで研磨する。基板の他方の表面は、実施の第1形態と同様に、図5に示す工程と同様にして基板の一方の表面に保護部材を設けた後に研磨されることが好ましい。
露出した充填層を、図8に示す工程と同様にしてダイシング溝14から除去する。これによって、基板は、予め定められる領域毎に個片化される。
本実施形態の基板の個片化方法では、実施の第1形態の半導体素子1の製造方法と同様に、基板の他方の表面を研磨する際には、ダイシング溝は充填材で充填され、充填層が形成されている。このことによって、図7に示す工程と同様に研磨用砥石によって基板に荷重をかけて基板の他方の表面を研磨する場合に、砥石から基板のダイシング溝の形成された部分に負荷される押圧力と、砥石から基板のダイシング溝によって画された部分に負荷される押圧力との差は小さい。また基板のダイシング溝によって画された各部分は、研磨に用いられる砥石から砥石の基板を臨む表面に平行な方向に力が作用する場合においても、ダイシング溝の内部側に傾くことがない。したがって、研磨による基板の他方の表面におけるうねりの発生を防止することができるので、個片化された基板の他方の表面の平坦性を確保することができる。
図1(a)は、半導体ウエハ11の一方の表面11aに、突起電極12およびスクライブライン13を形成した状態を示す断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す突起電極12およびスクライブライン13の形成された半導体ウエハ11を、一方の表面11a側から見て示す平面図である。 図2(a)は、ダイシング溝14を形成した状態を示す断面図である。図2(b)は、図2(a)に示すダイシング溝14の形成された半導体ウエハ11を、一方の表面11a側から見て示す平面図である。 ダイシング溝14の他の形状を模式的に示す断面図である。 図4(a)は、充填層15を形成した状態を示す断面図である。図4(b)は、ダイシング溝14に充填材を充填する様子を示す図である。 半導体ウエハ11の一方の表面11aに保護部材18を設けた状態を示す断面図である。 半導体ウエハ11の一方の表面11aに、保護テープ18aを貼付ける様子を示す図である。 図7(a)は、半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨した状態を示す断面図である。図7(b)は、研磨用砥石25によって半導体ウエハ11の他方の表面11bを研磨する様子を示す図である。 充填層15を除去した状態を示す断面図である。 半導体ウエハ11の研磨面41および充填層15の除去によって露出した面42をエッチングした状態を示す断面図である。 エッチング前の半導体ウエハ11とエッチング後の半導体ウエハ11とを対比して示す図である。 ダイシングテープ33を貼着した状態を示す断面図である。 保護部材18を除去した状態を示す断面図である。 半導体ウエハ51の一方の表面51aに、突起電極52を形成した状態を示す図である。 ダイシング溝53を形成した状態を示す図である。 保護部材54を設けた状態を示す図である。 半導体ウエハ51の他方の表面51bを研磨する様子を示す図である。 フリップチップ接続法によって半導体素子50と配線基板60とを接続する様子を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 半導体素子
11 半導体ウエハ
11a 半導体ウエハ11の一方の表面
11b 半導体ウエハ11の他方の表面
12 突起電極
13 スクライブライン
14 ダイシング溝
15 充填層
18 保護部材
24 研磨用チャックテーブル
25 研磨用砥石
26 砥石軸

Claims (10)

  1. 半導体基板の一方の表面に、複数の回路素子を形成する工程と、
    予め定められる領域であって、前記回路素子を少なくとも1つ含んで成る領域を画するように、前記半導体基板の一方の表面から深さが前記半導体基板の内部に達するダイシング溝を形成する工程と、
    前記ダイシング溝に充填材を充填する工程と、
    前記半導体基板の他方の表面を、少なくとも前記ダイシング溝に充填された充填材が露出するまで研磨する工程と、
    前記ダイシング溝に充填された充填材を除去し、前記半導体基板を個片化する工程とを含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
  2. 前記ダイシング溝に充填材を充填する工程の後であって、前記半導体基板の他方の表面を、少なくとも前記ダイシング溝に充填された充填材が露出するまで研磨する工程の前に、
    前記半導体基板の一方の表面に、前記回路素子を覆うように保護部材を設ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記ダイシング溝に充填された充填材を除去し、前記半導体基板を個片化する工程の後に、
    前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の半導体素子の製造方法。
  4. 前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程では、
    前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面から、それぞれ1μm以上10μm以下の部分をエッチングによって除去することを特徴とする請求項3記載の半導体素子の製造方法。
  5. 前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程では、
    前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面から、それぞれ30μm以上50μm以下の部分をエッチングによって除去することを特徴とする請求項3記載の半導体素子の製造方法。
  6. 前記半導体基板の前記研磨によって露出した面および前記充填材の除去によって露出した面のうちの少なくともいずれか一方をエッチングする工程では、
    エッチングが、エッチング液を用いる化学的エッチングによって行われることを特徴とする請求項3〜5のうちのいずれか1つに記載の半導体素子の製造方法。
  7. 前記ダイシング溝に充填材を充填する工程では、
    前記充填材が前記ダイシング溝に充填されて形成される充填層の厚みD1と、前記ダイシング溝の深さD2との比R(D1/D2)が、0.8以上1.0以下であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の半導体素子の製造方法。
  8. 前記充填材は、樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の半導体素子の製造方法。
  9. 前記樹脂は、光硬化性樹脂であり、前記ダイシング溝に充填された後、硬化されることを特徴とする請求項8記載の半導体素子の製造方法。
  10. 基板を予め定められる領域毎に個片化する基板の個片化方法であって、
    予め定められる領域を画するように、基板の一方の表面から深さが前記基板の内部に達するダイシング溝を形成する工程と、
    前記ダイシング溝に充填材を充填する工程と、
    前記基板の他方の表面を、少なくとも前記ダイシング溝に充填された充填材が露出するまで研磨する工程と、
    前記ダイシング溝に充填された充填材を除去する工程とを含むことを特徴とする基板の個片化方法。
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