JP2005154710A - 高分子固体電解質とその製造方法、およびそれを用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents

高分子固体電解質とその製造方法、およびそれを用いた固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 メタノールなどの燃料クロスオーバーが少なく、高出力を達成できる高分子固体電解質材、高分子固体電解質膜、およびその製造方法ならびにそれを用いた高性能な固体高分子型燃料電池等を提供する。
【解決手段】 少なくとも、高分子多官能アルコール及び、水酸基と反応可能な多官能架橋剤からなる架橋体と、イオン性基を有するポリマーとから構成される高分子固体電解質材である。また、少なくとも、高分子多官能アルコールからなる架橋体及び、無機のプロトン伝導体から構成される高分子固体電解質材である。この電解質材からなる電解質膜、この電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子固体電解質材、それからなる電解質膜、その製造法、およびそれを用いた固体高分子型燃料電池に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつエネルギー効率が高く、環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
固体高分子型燃料電池においては、水素ガスを燃料とする従来の固体高分子型燃料電池(以下、PEFCともいう)に加えて、メタノールを直接供給するダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCともいう)も注目されている。DMFCは、従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソードとの間でイオン伝導体となる電解質膜とが、膜―電極複合体(MEA)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる電極触媒層とから構成されている。たとえば固体高分子型燃料電池のアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは電解質膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性、イオン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、電解質膜を通して伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、イオン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
特に、固体高分子型燃料電池の中でも、メタノールなどの有機溶媒を燃料とするDMFC用電解質膜においては、水素ガスを燃料とする従来のPEFC用の電解質膜に要求される性能に加えて、燃料のメタノール水溶液透過抑制も要求される。電解質膜のメタノール透過は、メタノールクロスオーバー(以下、MCOと略すこともある)、ケミカルショートとも呼ばれ、電池出力およびエネルギー効率が低下するという問題を引き起こす。
これまで、固体高分子型燃料電池の電解質膜においては、例えばパーフルオロスルホン酸系高分子膜の“ナフィオン”(Nafion、デュポン社の登録商標。以下同様。)が用いられてきた。しかし、“ナフィオン”は多段階合成を経て製造されるフッ素系ポリマーの膜であるため非常に高価なものとなっており、かつ、クラスター構造を形成するために水と親和性の高いメタノールなどの燃料が膜を透過しやすい、すなわちメタノールなどの燃料クロスオーバーが大きいという問題があった。また、膨潤によって膜の機械強度が低下するという問題もあった。そこで、これら高分子膜を電解質膜として実用化するためには、安価でメタノールなどの燃料クロスオーバーの抑制された高分子固体電解質膜が市場から望まれていた。
非フッ素系ポリマーをベースとした高分子プロトン伝導体についても既にいくつかの取り組みがなされている。1950年代には、スチレン系の陽イオン交換樹脂が検討された。しかし、通常燃料電池に使用する際の形態である膜としての強度が十分ではなかったため十分な電池寿命を得るには至らなかった。スルホン化芳香族ポリエーテルエーテルケトンを電解質膜に用いた燃料電池の検討もなされている。非特許文献1の中で、有機溶媒に難溶性の芳香族ポリエーテルエーテルケトン(以降、PEEKと略称することがある。)が、高度にスルホン化することにより有機溶媒に可溶となり成膜が容易になることが紹介されている。しかし、これらのスルホン化PEEKは、同時に親水性も向上し、水溶性となったり、あるいは吸水時の強度低下などを引き起こす。燃料電池は通常燃料と酸素の反応により水を副生するか、あるいはDMFCにおいては燃料自体がメタノールなどの燃料水溶液等であることから、スルホン化PEEKが水溶性となる場合にはそのまま燃料電池用電解質膜へ利用するには適さない。
また、非特許文献2には、芳香族ポリエーテルスルホンであるPSF(UDELP−1700)やPESのスルホン化物について記載されている。PSFおよびPESは、それぞれ下記式(F1)および下記式(F2)の構造を有するポリマーである。
Figure 2005154710
この非特許文献2には、スルホン化PSFは完全に水溶性となってしまい、電解質膜としての評価ができないと説明されている。スルホン化PESについては水溶性とはならないけれども、高吸水率の問題から架橋構造の導入を提案している。しかしこれらはいずれも上述した高プロトン伝導性、メタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果、経済性を全て同時に満たすものではなく、更に高度な要求を満たす高分子材料の開発が待ち望まれていた。
下記一般式(I)で表されるポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)を架橋したものは、水/アルコールの浸透気化法分離膜に用いることができる(非特許文献3参照)。
(一般式I)
Figure 2005154710
しかし、PVAは高分子固体電解質として用いるにはプロトン伝導性が著しく低い。
そのため、非特許文献4の中では、ポリスチレンスルホン酸とPVAとからなる均質膜を熱処理して得られる陽イオン交換膜の検討がなされている。このPVA系架橋膜においては、熱処理するにつれてポリスチレンスルホン酸を酸触媒としたPVAの分子間脱水縮合により水に不溶となるものの、同時に可とう性が減少し、固くかつ脆くなってしまうため補強剤を用いることが提案されている。
また、非特許文献4の中では、PVA、スルホン化剤および架橋剤の混合物を熱処理して得られるスルホン酸基含有PVAを用いた電解質膜の検討がなされている。しかし、この中の架橋系PVAにおいてはスルホン化剤の量を増やしても“ナフィオン”に比べ1桁低いプロトン伝導度しか得られておらず、“ナフィオン”との複合膜としての利用が提案されている。
さらに、非特許文献5の中では、PVAおよびタングステン酸の混合物を熱処理して得られる電解質膜の検討がなされている。しかし、この中のタングステン酸/PVA膜においてはPVA重量に対して最大でも48%のタングステン酸しか導入していないため、常温で伝導度が1mS/cm以下と極めて低い膜しか得られていない。また、珪酸化合物の量は明記されていないが、少量のみ添加したと記載されており、さらに熱処理温度に関しても100℃で実施しており、充分な架橋反応が進行し、膜の膨潤を抑えているとは考えにくい。その結果、MCOも“Nafion”より大きなものしか得られておらず、イゾブチルアルデヒド処理による膨潤抑制が提案されている。
特開2001−158806公報 Polymer, vol. 28, 1009 (1987) Journal of Membrane Science, 83 (1993) 211-220 Ji-Won Rhimet et al., Journal of Applied Polymer Science, Vol.68, 1717(1998) 工業化学雑誌、70巻、3号、393頁(1967) 第44回電池討論会予稿集、246頁(2002)
これら従来の技術においては、得られる電解質膜が高価であったり、イオン伝導度が不足したり、あるいはメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果が不十分である等の問題点があった。本発明の目的は、安価で機械強度が良好であり、メタノールなどの燃料水溶液等に膨潤することがなく、高プロトン伝導性とメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果が両立され、高性能な燃料電池に適した高分子固体電解質材、それからなる電解質膜、およびそれを用いた高性能な固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は次のように特定される。
すなわち、「少なくとも、高分子多官能アルコール及び、水酸基と反応可能な多官能架橋剤からなる架橋体と、イオン性基を有するポリマーとから構成されることを特徴とする高分子固体電解質材」あるいは「少なくとも、高分子多官能アルコールからなる架橋体及び、無機のプロトン伝導体から構成されることを特徴とする高分子固体電解質材」であり、また、その種々の派生あるいは改良された態様である。
本発明によれば、メタノールなどの燃料クロスオーバーを抑制し、イオン伝導性が高く、高出力を達成できる新規な高分子電解質材、それからなる電解質膜、およびその製造方法ならびにそれを用いた高性能な固体高分子型燃料電池を提供でき、その実用性は高い。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の高分子固体電解質材の一態様は、少なくとも、高分子多官能アルコール及び、水酸基と反応可能な多官能架橋剤からなる架橋体と、イオン性基を有するポリマーとから構成されることを特徴とする。
即ち、本発明の高分子固体電解質材においては、イオン性基を有するポリマーが、少なくとも高分子多官能アルコールおよび水酸基と反応可能な多官能架橋剤から誘導されてなる3次元架橋体の中に保持されて存在しているので、通常容易にメタノールなどの燃料水溶液に膨潤してしまうイオン性基を有するポリマーの分子鎖が、メタノールなどの燃料水溶液に全く膨潤しない3次元架橋体と分子レベルで混和し、拘束されて存在するものである。このように3次元架橋体によって拘束されることにより、高いプロトン伝導性を維持したまま、メタノールなどの燃料水溶液に対する膨潤が抑制されてMCO等の燃料透過が低減し、膜の強度低下も抑えられるという効果を奏するものである。
本発明においてMCO等の燃料透過低減が達成された要因は現段階で必ずしも明確ではないが、次のように推測される。従来のイオン性基を有するポリマーを単独で高分子固体電解質材として用いた場合、高いイオン伝導性を得るためにイオン性基の含有量を増加すると、高分子固体電解質材が膨潤し、内部に径の大きな水のクラスターができ、高分子固体電解質材中に自由水が多くなる。自由水の中ではメタノールなどの燃料の移動が容易に行なわれるため、十分なメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果が得られず、従来のものでは高イオン伝導性とメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果を両立することが出来なかった。これに対して本発明の高分子固体電解質材では、3次元架橋体によってイオン性基を有するポリマーの分子鎖が拘束されていることにより、メタノールなどの燃料水溶液に対する膨潤を抑制できるため、高プロトン伝導性とメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果を両立することができる。また、膨潤変形などによる燃料電池性能低下を阻止する効果もある。
本発明の高分子固体電解質材中の3次元架橋体は、高分子多官能アルコールが多官能架橋剤によって架橋された物であり、その高分子多官能アルコールは、特に限定されるものではないが、水酸基を多数有することが必要である。水酸基の数が不足する場合は、架橋度も不足し、電解質材の膨潤が抑えられずMCOなどの燃料透過を抑制できないだけでなく、含水時に機械強度が低下する場合さえある。
高分子多官能アルコールの具体例としては、ポリビニルアルコールのようなポリ酢酸ビニルケン化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体のようなポリ酢酸ビニル共重合体ケン化物、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、キチン、キトサンなどのような多糖類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールは、酸性下での耐加水分解性に優れており好ましく用いられる。
この高分子多官能アルコールは、その水酸基の少なくとも一部が修飾されていてもよい。ここで修飾とは水酸基が他の置換基に変換されることを意味する。修飾の具体例としては水酸基のウレタン化、エステル化およびエーテル化などが挙げられる。水酸基のウレタン化を行う方法の一例としては、水酸基と尿素を反応させる方法および水酸基と各種イソシアネート化合物を反応させる方法が挙げられる。水酸基のエステル化を行う方法の一例としては、水酸基と各種酸化合物または各種酸ハライド化合物を反応させる方法が挙げられる。水酸基のエーテル化を行う方法の一例としては、水酸基とハロゲン基を有する化合物を反応させる方法および水酸基と炭素炭素多重結合を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
水酸基を修飾することにより、高分子固体電解質材に種々の物性を付与することができる。例えばウレタン化を行った場合は、水素結合の付与による耐熱性向上、燃料クロスオーバーの低減、膨潤抑制などの効果が得られる。エステル化やエーテル化を行った場合は、エステル化剤やエーテル化剤の種類にもよるが、一般には溶剤への溶解性の向上や疎水性付与による膨潤抑制、燃料クロスオーバー低減などの効果が得られる。特にウレタン化は耐熱性向上効果が大きく好ましい修飾である。
水酸基の修飾を行う場合、修飾率は0.5%〜95%が好ましく、1%〜75%がより好ましく、2〜50%がさらに好ましい。修飾率が低すぎると修飾の効果が十分に得られず、また修飾率が高すぎるとプロトン伝導性が低下する傾向があり好ましくない。
本発明において修飾率とは高分子多官能アルコール中の全水酸基数に対する修飾された水酸基数の割合である。なお後述の架橋反応に費やされた水酸基数は、修飾された水酸基数には含まないものとする。
次に、本発明において高分子多官能アルコールの架橋のために使用される多官能架橋剤について説明する。この多官能架橋剤は、水酸基と反応可能な官能基を複数有するものであれば特に限定されるものではない。
このような官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸ハライド基、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、シラノール基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン酸エステル基、アルケニル基等が挙げられる。これらの官能基は架橋剤中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。組み合わせは取り扱い性、電解質材の機械強度、メタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果などにより適宜決められる。中でも、取り扱い性、耐加水分解性の点から少なくともカルボン酸基およびイソシアネート基を含むものがより好ましく用いられる。
本発明において使用される多官能カルボン酸架橋剤は、特に限定されるものではなく、二官能カルボン酸架橋剤でも三官能以上の多官能カルボン酸架橋剤でも構わない。二官能カルボン酸架橋剤の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ポリアクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂肪族、芳香族、脂環族の二官能性カルボン酸、および例えばテトラフルオロコハク酸のようなこれら二官能性カルボン酸の炭素鎖部分がフッ素化されたもの、さらにはスルホコハク酸のようなそれら二官能性カルボン酸のスルホン化物などが挙げられる。
中でも、電解質材の機械強度、プロトン伝導度、メタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果のバランスから炭素数2〜8の二官能カルボン酸がより好ましく、具体的にはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸が挙げられる。さらに、イオン伝導性の点から、具体的には炭素数2〜8の二官能性カルボン酸の炭素鎖部分がフッ素化されたものがより好ましく用いられ、イオン伝導性およびメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果の点からテトラフルオロコハク酸が最も好ましい。
また、本発明において高分子多官能アルコールの架橋のために使用される多官能イソシアネート架橋剤は、特に限定されるものではなく、二官能イソシアネート架橋剤でも三官能以上の多官能イソシアネート架橋剤でも構わない。二官能イソシアネート架橋剤の例としては、“ネットワークポリマー”、第17巻(第2号)、19〜26頁(1996年)に記載のある分子内に2個以上のイソシアナト基を有する化合物、“機能性ポリウレタン”(発行所;株式会社シーエムシー、発行年;1989年)、3〜24頁に記載のある分子内に2個以上のイソシアナト基を有する化合物を挙げることができる。
それらの中でも下記式(1)〜(20)の化合物がより好適であり、式(1)〜(12)の化合物はさらに好適である。 また、これらの化合物のイソシアネート変性体、これらの化合物のウレチジンジオン変性体、これらの化合物のビウレット変性体、およびこれらの化合物(過剰量)を活性水素含有化合物に付加させて得られるウレタンプレポリマーも同様に好適である。
Figure 2005154710
Figure 2005154710
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次に、本発明に使用されるイオン性基を有するポリマーについて説明する。このポリマー中に存在するイオン性基は、負電荷を有する原子団であれば特に限定されるものではないが、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基が好ましく用いられる。ここで、スルホン酸基とは−SO2(OH)、スルホンイミド基とは−SO2NHSO2R(ここで、Rは有機基を意味する。)、硫酸基は−OSO2(OH)、ホスホン酸基は−PO(OH)2、リン酸基は−OPO(OH)2およびこれらの塩のことを意味する。これらのイオン性基は前記高分子固体電解質材中に2種類以上含むことができ、組み合わせることにより好ましくなる場合がある。組み合わせはポリマーの構造などにより適宜決められる。中でも、高プロトン伝導度の点から、少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基及びホスホン酸基のうちの1種以上を有することがより好ましく、耐加水分解性およびコストの点から少なくともスルホン酸基を有することが最も好ましい。
このようなポリマーを形成するためのモノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、エチレングリコールメタクリレートホスフェートなどのモノマーを用いることができるが、これらに限定されるものではない。このようなイオン性基を有するモノマーにイオン性基を持たないモノマーを共重合させて使用することも可能である。このような共重合体の好ましい具体例としては、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、アクリロニトリル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、スチレン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸/(メタ)アクリル酸共重合体などがあげられる。
また、芳香族ポリマーに対して高分子反応でイオン性基を導入することも可能である。芳香族ポリマーへのホスホン酸基の導入は、例えば、Polymer Preprints, Japan , 51, 750 (2002) 等に記載の方法によって可能である。芳香族ポリマーへのリン酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有するポリマーのリン酸エステル化によって可能である。芳香族ポリマーへの硫酸基の導入は、例えばヒドロキシル基を有するポリマーの硫酸エステル化によって可能である。芳香族ポリマーへのスルホンイミド基の導入は、例えばスルホン酸基を有するポリマーをアルキルスルホンアミドで処理することによって可能である。
芳香族ポリマーをスルホン化する方法、すなわちスルホン酸基を導入する方法としては、たとえば特開平2−16126号公報あるいは特開平2−208322号公報等に記載の方法が公知である。具体的には、例えば、芳香族ポリマーをクロロホルムでクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させたり、濃硫酸や発煙硫酸中で反応することによりスルホン化することができる。スルホン化剤には芳香族ポリマーをスルホン化するものであれば特に制限はなく、上記以外にも三酸化硫黄等を使用することができる。この方法により芳香族ポリマーをスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはスルホン化剤の使用量、反応温度および反応時間により、容易に制御できる。
スルホン化の度合いはスルホン酸基密度の値として示すことができる。本発明の高分子固体電解質材におけるスルホン酸基密度は特に限定されるものではないが、プロトン交換能および耐水性の点から0.1〜5.0mmol/gであることが好ましく、さらに好ましくは、1.0〜3.5mmol/gである。スルホン酸基密度が、0.1mmol/gより低いと、伝導度が低いため出力性能が低下することがあり、5.0mmol/gより高いと燃料電池用電解質膜として使用する際に、十分な高分子の耐水性および含水時の機械的強度が得られないことがあるのでそれぞれ好ましくない。
ここで、スルホン酸基密度とは乾燥した高分子固体電解質材の単位グラム当たりに導入されたスルホン酸基のモル量であり、値が大きいほどスルホン化の度合いが高いことを示す。スルホン酸基密度は、1H−NMRスペクトロスコピー、元素分析、中和滴定、原子吸光光度計等により測定が可能であるが、本発明においては、高分子固体電解質材の溶解性に関係なくスルホン酸基密度の測定が可能であることから、元素分析または中和滴定により特定する。
中和滴定の手順は下記のとおりである。測定は3回以上行ってその平均をとるものとする。
(1) 高分子固体電解質材をミルにより粉砕し、粒径を揃えるため、目50メッシュの網ふるいにかけ、ふるいを通過したものを測定試料とする。
(2) サンプル管(蓋付き)を精密天秤で秤量する。
(3) 前記(1)の電解質材 約0.1gをサンプル管に入れ、40℃で16時間、真空乾燥する。
(4) 高分子固体電解質材入りのサンプル管を秤量し、高分子固体電解質材の乾燥重量を求める。
(5) 塩化ナトリウムを30重量%メタノール水溶液に溶かし、飽和食塩溶液を調製する。
(6) 高分子固体電解質材に前記(5)の飽和食塩溶液を25mL加え、24時間撹拌してイオン交換する。
(7) 生じた塩酸を0.02mol/L水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。指示薬として市販の滴定用フェノールフタレイン溶液(0.1体積%)を2滴加え、薄い赤紫色になった点を終点とする。
(8) スルホン酸基密度は下記の式により求める。
スルホン酸基密度(mmol/g)=
〔水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mmol/ml)×滴下量(ml)〕/試料の乾燥重量(g)
本発明に使用されるイオン性基を有するポリマーとしては、特に限定されるものではないが、具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミドアルカンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコールスルホン酸エステルなど主鎖が脂肪族の炭化水素系ポリマーや、例えば“ナフィオン”のようなパーフルオロスルホン酸系ポリマー、さらにスルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリアミド、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリエーテルイミド、スルホン化ポリイミダゾール、スルホン化ポリオキサゾール、スルホン化ポリフェニレンなどの主鎖が芳香族の炭化水素系ポリマーが挙げられる。中でも、高スルホン酸基密度を有する点から、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミドアルカンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコールスルホン酸エステル、パーフルオロスルホン酸系ポリマーから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。また、スチレンスルホン酸(共)重合体、アクリルアミドアルカンスルホン酸(共)重合体、ビニルスルホン酸(共)重合体、および、パーフルオロスルホン酸系ポリマーから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明の高分子固体電解質材の別の態様は、少なくとも、高分子多官能アルコールからなる架橋体及び、無機のプロトン伝導体から構成されることを特徴とする。
即ち、本発明の高分子固体電解質材においては、無機のプロトン伝導体が、少なくとも高分子多官能アルコールからなる3次元架橋体の中に保持されて存在しているので、通常容易にメタノールなどの燃料水溶液に溶解し、高分子固体電解質材から溶出してしまう無機のプロトン伝導体が、メタノールなどの燃料水溶液を用いても全く膨潤しない3次元架橋体と分子レベルで混和し、拘束されて存在するものである。このように3次元架橋体によって拘束されることにより、高いプロトン伝導性を維持したまま、メタノールなどの燃料水溶液に対する膨潤が抑制されてMCO等の燃料透過が低減し、膜の強度低下も抑えられるという効果を奏するものである。
本発明においてMCO等の燃料透過低減が達成された要因は現段階で必ずしも明確ではないが、次のように推測される。無機のプロトン伝導体を高分子固体電解質材に用いた場合、高いイオン伝導性を得るために無機のプロトン伝導体の含有量を増加すると、高分子固体電解質材が膨潤し、内部に径の大きな水のクラスターができ、高分子固体電解質材中に自由水が多くなる。自由水の中ではメタノールなどの燃料の移動が容易に行なわれるため、十分なメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果が得られなかった。また、無機のプロトン伝導体も高分子固体電解質材から溶出しまうため、高い伝導度も得られなかったため、従来のものでは高イオン伝導性とメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果を両立することが出来なかった。これに対して本発明の高分子固体電解質材では、架橋体の種類や無機のプロトン伝導体、さらに製膜条件を鋭意検討した結果、高分子多官能アルコールからなる3次元架橋体を高温で熱処理することにより、架橋体が緻密化され、多量の無機のプロトン伝導体を包括固定できることを見出した。それによって、高プロトン伝導性とメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果を両立することができた。また、膨潤変形などによる燃料電池性能低下を阻止する効果もある。
本発明の高分子固体電解質材中の無機のプロトン伝導体は、常温付近で高いプロトン伝導性を示す物質であれば特に限定されるものではないが、これらの物質の特徴としては、水和あるいは水分を保持した状態で安定に存在し、その水がプロトンの供給源および伝導経路となって高プロトン伝導性を発現することである。
このような化合物としては具体的には、α−Zr(HPO4)・nH2O、γ−Zr(PO4)(H2PO4)・2H2O、α−Zrスルホフェニルリン酸塩、あるいはγ−Zrスルホフェニルリン酸塩等のような層状化合物、SnO2・2H2O、あるいはSb25・5.4H2O等のような水和酸化物、一般的に構造式Ha[XM1240]・nH2O(ここで、aは整数、XはSi、P、As、S、Fe、Coなどのヘテロ元素、MはMo、W、Vなどのポリ元素を表す。)で表されるヘテロポリ酸、ならびにCsHSO4、Rb3H(SeO42等のような水和物を持たない化合物が挙げられ、好ましく用いられる。
なかでもヘテロポリ酸は、分子サイズが充分に大きく、また高分子多官能アルコールの水酸基と水素結合あるいは共有結合を形成するため、メタノールなどの燃料水溶液中での膜からの溶出を防ぐことも可能となるため、長期にわたってメタノールなどの燃料水溶液中で使用される高分子固体電解質膜においては特に好ましく用いることができる。
ヘテロポリ酸のなかでもタングストケイ酸、タングストリン酸、あるいはモリブドリン酸が酸性度が大きく最も好ましく用いることが出来る。
ヘテロポリ酸の使用量は、高分子固体電解質材中に含まれるM/C(ここで、MはMo、W、Vなどのポリ元素、Cは炭素を表す。)のモル比で、好ましくは0.04以上、0.24以下、さらに好ましくは0.08以上、0.2以下、特に好ましくは0.11以上、0.17以下である。0.04未満であると、プロトン伝導性が不足してしまう。一方、0.24を超えると架橋された膜材料が脆性となり割れやすくなったり、無機のプロトン伝導体が溶出してしまう場合がある。なお、このM/Cのモル比は元素分析やICP発光分析等により容易に分析することが出来る。
本発明の高分子固体電解質材には本発明の目的を阻害しない範囲において、他の成分、例えば導電性若しくはイオン伝導性を有さない不活性なポリマーや有機あるいは無機の化合物、が含有されていても構わない。
本発明の高分子固体電解質材は、燃料電池用として使用する際には、通常膜の状態で使用されるが、他の形状で使用することもできる。以下、本発明の高分子固体電解質材からなる電解質膜について説明する。
本発明の高分子固体電解質膜は、(A)少なくとも、高分子多官能アルコールおよび水酸基と反応可能な多官能架橋剤からなる3次元架橋体と、イオン性基を有するポリマーからなる高分子固体電解質材、あるいは、(B)少なくとも、高分子多官能アルコールからなる架橋体及び、無機のプロトン伝導体からなる高分子固体電解質材から構成され、その膜を作製する方法に特に制限はないが、溶液状態より製膜した後、熱処理して架橋化する方法等が採用される。その製法の一例を具体的に説明する。
まず前記(A)の場合について説明する。均一に溶解した高分子多官能アルコールの水溶液に、イオン性基を有するポリマーと共に多官能架橋剤を加え、攪拌したのち、キャスト液とする。キャスト液のPVA濃度は、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10重量%前後である。キャスト液をガラス板や樹脂板上にキャストし、水分を蒸発させ、次に真空乾燥する。キャストはドクターブレードなどを使用して行うことができる。水分蒸発は、ホットプレートまたは真空乾燥炉などにより加熱して行い、その加熱温度は好ましくは100℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。真空乾燥の際の温度は好ましくは100℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。加熱温度および真空乾燥の際の温度が高すぎるとメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果が不十分となる場合がある。
次いで架橋処理をおこなうために、得られた膜を熱処理する。この熱処理の温度は好ましくは50〜250℃、さらに好ましくは80〜230℃、特に好ましくは120〜220℃である。熱処理時間は、好ましくは5分〜12時間、さらに好ましくは30分〜6時間、特に好ましくは1時間前後である。熱処理温度が低すぎると、架橋度が不足する。一方、高すぎると膜材料の劣化を生じやすくなる。熱処理時間が5分未満であると、架橋度が不足する。一方、12時間を超えると膜材料の劣化を生じやすくなる。
中でも、40℃以下で製膜した後、80℃以上で熱処理した場合に機械強度に優れ、低膨潤率で、高プロトン伝導度と低MCOが両立された特に高性能な高分子固体電解質が得られる。またこの条件では、後述する全光線透過率を40%以下、0%以上とすることができるために好ましい。
上記調製で得られる高分子固体電解質膜には、イオン性基を有するポリマーとともに、高分子多官能アルコールの架橋構造体が存在するので、水に浸漬した状態で電解質膜として使用できる。高分子固体電解質膜の膜厚は、特に制限はないが通常10〜500μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには500μmより薄い方が好ましい。
架橋剤の使用量は、高分子多官能アルコール中の水酸基に対し、好ましくは1〜50モル%、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは3〜10モル%である。1モル%未満であると、架橋された膜材料が水溶性となってしまう。一方、50モル%を超えると架橋された膜材料が脆性となり割れやすくなる。
次に(B)について説明する。均一に溶解した高分子多官能アルコールの水溶液に、無機のプロトン伝導体を加え、攪拌したのち、キャスト液とする。キャスト液のPVA濃度は、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10重量%前後である。キャスト液をガラス板や樹脂板上にキャストし、水分を蒸発させ、次に真空乾燥する。キャストはドクターブレードなどを使用して行うことができる。水分蒸発は、ホットプレートまたは真空乾燥炉などにより加熱して行い、その加熱温度は好ましくは100℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。真空乾燥の際の温度は好ましくは100℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。加熱温度および真空乾燥の際の温度が高すぎるとメタノールなどの燃料クロスオーバー抑制効果が不十分となる場合がある。
次いで架橋処理をおこなうために、得られた膜を熱処理する。この熱処理の温度は好ましくは105〜200℃、さらに好ましくは105〜150℃、特に好ましくは105〜130℃である。熱処理時間は、好ましくは5分〜12時間、さらに好ましくは30分〜6時間、特に好ましくは1〜2時間である。熱処理温度が105℃未満であると、架橋度が不足し、燃料クロスオーバー抑制効果および膨潤抑制が不足する場合がある。一方、高すぎると膜材料の劣化を生じやすくなる。熱処理時間が5分未満であると、架橋度が不足する。一方、12時間を超えると膜材料の劣化を生じやすくなる。
中でも、40℃以下で製膜した後、105℃以上で熱処理した場合に機械強度に優れ、低膨潤率で、高プロトン伝導度と低MCOが両立された特に高性能な高分子固体電解質が得られる。またこの条件では、後述する全光線透過率を40%以下、0%以上とすることができるために好ましい。
上記調製で得られる高分子固体電解質膜には、無機のプロトン伝導体とともに、高分子多官能アルコールの架橋構造体が存在するので、水に浸漬した状態で電解質膜として使用できる。高分子固体電解質膜の膜厚は、特に制限はないが通常10〜500μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには500μmより薄い方が好ましい。
無機のプロトン伝導体の使用量は、高分子多官能アルコールに対し、好ましくは50〜300重量%、さらに好ましくは100〜250重量%、特に好ましくは140〜2100重量%である。50重量%未満であると、プロトン伝導性が不足してしまう。一方、300重量%を超えると架橋された膜材料が脆性となり割れやすくなったり、無機のプロトン伝導体が溶出してしまう場合がある。
本発明の高分子固体電解質材から構成される高分子固体電解質膜は、全光線透過率が40%以下、0%以上であることが好ましく、35%以下、0%以上であることがより好ましい。全光線透過率が40%以下、0%以上である場合には、無色の場合と比較して高分子固体電解質膜を目視等で認識することが容易であるので、例えば水中に浸漬した高分子固体電解質膜を拾い上げる際などに、顕著に作業が容易となり、ひいては製造コスト低減につながるものであり、好ましい。
ここで全光線透過率とは試験片の平行入射光束に対する全透過光束の割合である。本発明においては、高分子固体電解質膜の全光線透過率は、デジタルSMカラーコンピューター(スガ試験機製:SM−7−CH)を使用し、ASTM−D1003に準じて測定する。
本発明の高分子固体電解質膜は、前記した本発明の高分子固体電解質材で構成されているので、乾燥膜を水浸漬したときの膨潤率が小さいという特長を有する。具体的には、乾燥膜を水浸漬したときの膨潤率が101%〜140%であることが好ましく、101%〜130%がより好ましく、101%〜125%がさらに好ましい。膨潤率が大きすぎると、燃料電池としての使用時に高分子固体電解質膜のサイズ変化が大きいために触媒の剥離などが生じて出力低下が起こったり、出力が安定しなかったりする場合がある。この点からすると膨潤率は100%、すなわち全く膨潤しないことが最も好ましいが、全く膨潤しない場合は伝導度が小さくなりすぎる傾向があるので好ましくは101%以上である。
なお、ここで前記膨潤率とは、50℃、10hPa以下の圧力で24時間以上乾燥させた高分子固体電解質膜(3cm×3cm程度の大きさとする)の面積(S1)と、この膜を純水に25℃、48時間以上浸漬した直後の膜の面積(S2)とから求められる比であって、式で表すと下記のとおりである。
膨潤率(%)=100×S2/S1
また、本発明の電解質材(膜)を製造する際に、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範囲内であれば併用することができる。
本発明の高分子固体電解質材は、プロトン伝導性とメタノールなどの燃料遮断性に優れているので、燃料電池、特に液体供給型DMFCの高分子固体電解質膜材料として非常に有用である。また、本発明の高分子固体電解質膜は、多孔質粒子に担持された触媒微粒子を含む電極と組合せた場合に触媒活性が高く、特に耐メタノール性の点から液体供給型DMFC用として非常に有用である。
本発明の高分子固体電解質材からなる電解質膜を、燃料電池中の電解質膜として用いる際の電解質膜と電極の接合法についても特に制限はなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, 269.記載の化学メッキ法、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
固体高分子型燃料電池には水素を燃料とするものと、メタノールなどの有機溶媒を燃料とするもの(液体供給型DMFC)があり、特に限定されるものではないが、炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルおよびこれらの水溶液若しくは水懸濁液から選ばれた少なくとも1種を燃料とする直接形燃料電池に、本発明の高分子固体電解質膜は特に好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次の通りである。
(1)スルホン酸基密度の測定方法
純水で十分洗浄後、乾燥した高分子固体電解質膜サンプルについてスルホン酸基密度を元素分析により測定した。C、H、Nの分析は全自動元素分析装置varioELで、また、Sの分析はフラスコ燃焼法・酢酸バリウム滴定で実施した。組成比から高分子固体電解質単位グラムあたりのスルホン酸基密度(mmol/g)を算出した。
(2)高分子固体電解質膜のイオン伝導度の測定法
安藤電気社製LCRメータ(AG−4311B)を使用し、25℃において、2端子法で定電位インピーダンス測定を行い、Nykist図からイオン伝導度を求めた。交流振幅は500mVとした。サンプルは幅10mm程度、長さ10〜30mm程度の膜を用いた。サンプルは測定直前まで水中に浸漬したものを用いた。電極として直径100μmの白金線(2本)を使用した。電極はサンプル膜の表側と裏側に、互いに平行にかつサンプル膜の長手方向に対して直交するように配置した。
(3)高分子固体電解質膜のメタノール透過量(MCO)の測定法
H型セル間にサンプル膜を挟み、一方のセルには純水を入れ、他方のセルには1Mメタノール水溶液を入れた。セルの容量は各80mLであった。またセル間の開口部面積は1.77cm2であった。20℃において両方のセルを撹拌した。1時間,2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)で測定し定量した。グラフの傾きから単位時間、単位面積あたりのメタノール透過量を求めた。
(4)高分子固体電解質膜の全光線透過率の測定法
デジタルSMカラーコンピューター(スガ試験機製:SM−7−CH)を使用し、ASTM−D1003に準じて全光線透過率(%)を測定した。
(5)高分子固体電解質膜の膨潤率の測定法
高分子固体電解質膜サンプル(3cm×3cm程度の大きさのもの)を、50℃、10hPa以下の圧力で24時間以上乾燥させた直後にその面積(S1)を測定し、この乾燥膜を純水に25℃、48時間以上浸漬した直後にその膜の面積(S2)を測定し、下記式から膨潤率を算出した。
膨潤率(%)=100×S2/S1
(6)高分子固体電解質膜中のM/C(Mはヘテロポリ酸中のポリ元素、Cは炭素)のモル比の測定方法
充分に水で洗浄した後、乾燥した膜について、元素分析により測定した。Cの分析は、全自動分析装置vaioELにより、また、ヘテロポリ酸中のポリ元素(Mo、W等)の分析は日立ICP発光分析装置P−4010により定量し、算出した。
[比較例1](“ナフィオン117”の評価)
市販のパーフルオロスルホン酸系高分子製電解質膜“ナフィオン117”(デュポン社製)を用い、イオン伝導度、MCOおよび全光線透過率を評価した。“ナフィオン117”は100℃の5%過酸化水素水中にて30分間、続いて100℃の5%希硫酸中にて30分間浸漬した後、100℃の脱イオン水でよく洗浄した後に測定した。スルホン酸基密度は0.9mmol/g、メタノール透過量は5.6μmol/cm2/min、イオン伝導度は5.4S/cm2であった。また全光線透過率は92%であり目視による視認性に劣っていた。実際、水中に浸漬した5cm角の“ナフィオン117”膜を目視で確認して拾い上げることは非常に困難であった。膨潤率は128%であった。
[実施例1](PVA/テトラフルオロコハク酸/ポリスチレンスルホン酸からの架橋膜の作製)
ポリビニルアルコール(PVA)(Mw=124,000〜186,000、アルドリッチ株式会社製)、テトラフルオロコハク酸(ACROS ORGANICS社製)およびポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Mw=1,000,000、アルドリッチ株式会社製)を、PVA/テトラフルオロコハク酸/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム=67.5/7.5/25の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をガラス板上に塗付し、25℃、200hPaで2日間かけてキャストした。得られたキャスト膜を200℃で1時間熱処理し、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M塩酸に浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られたPVA系架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は、70μmであった。
この電解質膜のスルホン酸基密度は1.3mmol/g、メタノール透過量は0.8μmol/cm2/min、イオン伝導度は4.5S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は少し劣るものの、MCOはかなり抑制されていた。また、全光線透過率は28%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は116%であった。
[実施例2](PVA/スルホコハク酸/ポリスチレンスルホン酸からの架橋膜の作製)
PVA(Mw=124,000〜186,000、アルドリッチ株式会社製)、スルホコハク酸(アルドリッチ株式会社製)およびポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Mw=1,000,000、アルドリッチ株式会社製)を、PVA/スルホコハク酸/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム=67.5/7.5/25の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をガラス板上に塗布し、25℃、200hPaで2日間かけてキャストした。得られたキャスト膜を200℃で1時間熱処理し、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M塩酸に浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られたPVA系架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は、70μmであった。
この電解質膜のスルホン酸基密度は1.5mmol/g、メタノール透過量は2.7μmol/cm2/min、イオン伝導度は5.7S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は同等で、MCOが低かった。また、全光線透過率は31%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は117%であった。
[実施例3](PVA/ヘキサメチレンジイソシアネート/ポリスチレンスルホン酸からの架橋膜の作製)
PVA(Mw=124,000〜186,000、アルドリッチ株式会社製)、ヘキサメチレンジイソシアネート(アルドリッチ株式会社製)およびポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Mw=1,000,000、アルドリッチ株式会社製)を、PVA/ヘキサメチレンジイソシアネート/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム=67.5/7.5/25の割合で水と混合して3重量%水溶液とし、この水溶液をガラス板上に塗布し、25℃、200hPaで2日間かけてキャストした。得られたキャスト膜を200℃で1時間熱処理し、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M塩酸に浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られたPVA系架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は、70μmであった。
この電解質膜のスルホン酸基密度は1.2mmol/g、メタノール透過量は2.9μmol/cm2/min、イオン伝導度は5.2S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は同等で、MCOが低かった。また、全光線透過率は33%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は116%であった。
[実施例4](PVA/ポリアクリル酸/ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸からの架橋膜の作製)
PVA(Mw=124,000〜186,000、アルドリッチ株式会社製)、ポリアクリル酸(Mw=2,000、アルドリッチ株式会社製)およびポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ株式会社製ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(Mw=2,000,000)をNa型に置換したもの)を、PVA/ポリアクリル酸/ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム=56/14/30の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をガラス板上に塗布し、40℃で7日間かけてキャストした。得られたキャスト膜を200℃で1時間熱処理し、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M塩酸に浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られたPVA系架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は、70μmであった。
この電解質膜のスルホン酸基密度は1.4mmol/g、メタノール透過量は3.9μmol/cm2/min、イオン伝導度は5.2S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は同等で、MCOが低かった。また、全光線透過率は34%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は114%であった。
[実施例5]
スチレンスルホン酸ナトリウム(0.03mol)とアクリル酸(0.03mol)を水(100mL)に溶解し、ペルオキソ二硫酸カリウム(0.6mmol)を開始剤とし、50℃で8時間ラジカル重合を行った。重合溶液をアセトン中に投入して重合物を沈殿させた。沈殿物をアセトンでよく洗浄した後、十分真空乾燥させた後、再び水に溶解しアセトンに投入した。沈殿物をアセトンで洗浄し、再度十分真空乾燥させた。得られた共重合体を、以下、P(SSNa−AA)と表記する。
PVA(Mw=124,000〜186,000、アルドリッチ株式会社製)、P(SSNa−AA)およびスルホコハク酸を、PVA/P(SSNa−AA)/スルホコハク酸=70/30/16(重量比)の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をポリスチレンシャーレ上に塗布し、25℃、7日間かけてキャストした。得られたキャスト膜をポリスチレンシャーレから剥がし、ガラス板上に載せ、さらに、130℃で1時間熱処理し(常圧)、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M塩酸に1時間浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られた架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は80μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量(MCO)は3.4μmol/cm2/min、イオン伝導度は8.0S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は大きく、MCOは小さかった。また、全光線透過率は27%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は113%であった。
[実施例6〜11]
水溶液中のPVA/P(SSNa−AA)/スルホコハク酸の組成割合、膜製造時の熱処理条件を表1に記載のとおりに変更した他は、実施例5と同様に行った。得られた架橋膜(高分子固体電解質膜)のメタノール透過量、イオン伝導度および全光線透過率は表1に示すとおりであった。
Figure 2005154710
[実施例12]
PVA:尿素(モル比1:1)を窒素雰囲気下、150℃で約30分反応させた後、メタノール中に沈殿させたものを、さらに水−メタノール系で再沈を繰り返して精製した。得られたウレタン化PVAの修飾率(ウレタン化度)を元素分析値より求めたところ3.3%であった。以下、このウレタン化PVAを、U−PVA−Lと表記する。
U−PVA−L、実施例1で用いたポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)およびテトラフルオロコハク酸を、U−PVA−L/PSSNa/テトラフルオロコハク酸=72/20/8(重量比)の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をポリスチレンシャーレ上に塗布し25℃、7日間かけてキャストした。得られたキャスト膜をポリスチレンシャーレから剥がし、ガラス板上に載せ、さらに、250℃で1.5時間熱処理し(常圧)、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M希硫酸に12時間浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られた架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は55μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量(MCO)は0.22μmol/cm2/min、イオン伝導度は1.2S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は小さいものの、MCOが非常に小さく、伝導度とMCOの比率が“ナフィオン117”よりも優れていた。また、全光線透過率は23%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は117%であった。
[実施例13]
U−PVA−L、実施例1で用いたポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)およびスルホコハク酸を、U−PVA−L/PSSNa/スルホコハク酸=72/20/8(重量比)の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をポリスチレンシャーレ上に塗布し25℃、7日間かけてキャストした。得られたキャスト膜をポリスチレンシャーレから剥がし、ガラス板上に載せ、さらに、220℃で1時間熱処理し(常圧)、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M希硫酸に12時間浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られた架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は55μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量(MCO)は0.45μmol/cm2/min、イオン伝導度は3.1S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は小さいものの、MCOが非常に小さく、伝導度とMCOの比率が“ナフィオン117”よりも優れていた。また、全光線透過率は25%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は113%であった。
[実施例14]
PVA、スルホコハク酸、テトラフルオロコハク酸および実施例1で用いたポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)を63.75/7.5/3.75/25(重量比)の割合で水と混合して、7重量%水溶液とし、この水溶液をポリスチレンシャーレ上に塗布し25℃、7日間かけてキャストした。得られたキャスト膜をポリスチレンシャーレから剥がし、ガラス板上に載せ、さらに、200℃で3時間熱処理し(常圧)、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を0.1M塩酸に12時間浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られた架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は40μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量(MCO)は1.4μmol/cm2/min、イオン伝導度は9.0S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度が大きく、かつMCOが小さく、優れた特性を有していた。また、全光線透過率は15%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は117%であった。
[実施例15及び比較例2](膜電極複合体の作製および評価)
炭素繊維クロス基材に20%ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液を用いて撥水処理を行ったのち、焼成して電極基材を作製した。この電極基材上に、Pt−Ru担持カーボンと“ナフィオン”溶液からなるアノード電極触媒塗液を塗工、乾燥してアノード電極を、また、Pt担持カーボンと“ナフィオン”溶液からなるカソード電極触媒塗液を塗工、乾燥してカソード電極を作製した。
実施例14で作製した高分子固体電解質膜を、作製したアノード電極とカソード電極で夾持し加熱プレスすることで膜電極複合体(MEA)を作製した(実施例15)。また、比較例1で使用した市販の電解質膜“ナフィオン117”を、作製したアノード電極とカソード電極で夾持し加熱プレスすることで膜電極複合体(MEA)を作製した(比較例2)。
得られたMEAをエレクトロケム社製セルに挟み、アノード側に30重量%メタノール水溶液、カソード側に空気を流し、かつ、MEAに定電流を流し、その時の電圧を測定すことにより、MEA評価を行った。電流を順次増加させ電圧が10mV以下になるまで測定を行った。各測定点での電流と電圧の積が出力となるが、実施例14の高分子電解質膜を使用したMEA(実施例15)の方が“ナフィオン117”膜を使用したMEA(比較例2)より最高出力(mW/cm2)で約2倍、エネルギー容量(Wh)で約3倍の値を示し、優れた特性を有していた。
[実施例16]
PVA、エチレングリコールおよび実施例1で用いたポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)を、PVA/エチレングリコール/PSSNa=64/7/29(重量比)の割合で水と混合して、7重量%水溶液とし、この水溶液をポリスチレンシャーレ上に塗布し25℃で7日間かけてキャストした。得られたキャスト膜をポリスチレンシャーレから剥がし、ガラス板上に載せ、さらに、130℃で1時間熱処理し(常圧)、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M希硫酸に12時間浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られた架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は55μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量(MCO)は1.2μmol/cm2/min、イオン伝導度は3.2S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は小さいものの、MCOが十分に小さく、伝導度とMCOの比率が“ナフィオン117”膜よりも優れていた。全光線透過率は29%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した該高分子固体電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は119%であった。
[実施例17]
キトサン(ナカライテスク社製)、テトラフルオロコハク酸(ACROS ORGANICS社製)およびポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Mw=1,000,000、アルドリッチ株式会社製)を、キトサン/テトラフルオロコハク酸/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム=67.5/7.5/25の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をガラス板上に塗付し、25℃、200hPaで2日間かけてキャストした。得られたキャスト膜を200℃で1時間熱処理し、PVA系架橋膜を作製した。得られた膜を1M塩酸に浸漬して酸型にした後、水で十分に洗浄した。得られたPVA系架橋膜(高分子固体電解質膜)の膜厚は、70μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量は1.5μmol/cm2/min、イオン伝導度は3.2S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度は少し劣るものの、MCOはかなり抑制されていた。また、全光線透過率は28%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は120%であった。
[実施例18]
U−PVA−L、タングストケイ酸水和物(STA、MERCK社製)を、U-PVA-L/STA=40/60(重量比)の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をポリスチレンシャーレ上に塗布し25℃、7日間かけてキャストした。得られた透明なキャスト膜をポリスチレンシャーレから剥がし、“テフロン”(登録商標)シートに挟んで、120℃で1時間熱処理し(常圧)、PVA系架橋膜を得た。得られた膜は黒色化していた。得られた架橋膜の膜厚は、20μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量(MCO)は0.18μmol/cm2/min、イオン伝導度は7.0S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度が大きいにもかかわらず、MCOが非常に小さく、伝導度とMCOの比率が“ナフィオン117”よりもかなり優れていた。特にMCOが大きく低減していた。また、全光線透過率は24%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は113%であった。M/C(=W/C)のモル比は0.12であった。
[実施例19]
PVA(Mw=124,000〜186,000、アルドリッチ株式会社製)、タングストリン酸水和物(PWA、ナカライテスク社製)を、PVA/PWA=33/67(重量比)の割合で水と混合して7重量%水溶液とし、この水溶液をポリスチレンシャーレ上に塗布し25℃、7日間かけてキャストした。得られた透明なキャスト膜をポリスチレンシャーレから剥がし、“テフロン”(登録商標)シートに挟んで、105℃で1時間熱処理し(減圧)、PVA系架橋膜を得た。得られた膜は黒色化していた。得られた架橋膜の膜厚は、35μmであった。
この電解質膜のメタノール透過量(MCO)は0.81μmol/cm2/min、イオン伝導度は3.4S/cm2であった。“ナフィオン117”に比べイオン伝導度が小さいものの、MCOが非常に小さく、伝導度とMCOの比率が“ナフィオン117”よりも優れていた。特にMCOが大きく低減していた。また、全光線透過率は28%であり目視による視認性に優れていた。実際、水中に浸漬した電解質膜を目視で確認して拾い上げることは容易であった。膨潤率は118%であった。M/C(=W/C)のモル比は0.16であった。
本発明の高分子固体電解質材は、種々の電気化学装置(例えば、燃料電池、水電解装置、クロロアルカリ電解装置等)で用いられる高分子固体電解質部品(例えば、高分子固体電解質膜)に適用可能である。中でも燃料電池、さらに固体高分子型燃料電池、特に液体供給型DMFCにおける高分子固体電解質膜用に非常に有用である。
また、本発明の固体高分子型燃料電池の用途としては、特に限定されないが、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯機器、掃除機等の家電、乗用車、バス、トラックなどの自動車や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源として好ましく用いられる。

Claims (26)

  1. 少なくとも、高分子多官能アルコール及び、水酸基と反応可能な多官能架橋剤からなる架橋体と、イオン性基を有するポリマーとから構成されることを特徴とする高分子固体電解質材。
  2. 少なくとも、高分子多官能アルコールからなる架橋体及び、無機のプロトン伝導体から構成されることを特徴とする高分子固体電解質材。
  3. 高分子多官能アルコールが、ポリ酢酸ビニルケン化物、ポリ酢酸ビニル共重合体ケン化物、ヒドロキシアルキルセルロース、キチン、及びキトサンから選ばれる1種あるいは2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子固体電解質材。
  4. 高分子多官能アルコールが、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子固体電解質材。
  5. 高分子多官能アルコールの水酸基の少なくとも一部が修飾されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  6. 高分子多官能アルコールの水酸基の少なくとも一部がウレタン化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  7. 多官能架橋剤が多官能カルボン酸であることを特徴とする請求項1または3〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  8. 多官能カルボン酸が、炭素数2〜8の二官能カルボン酸及び/又はその誘導体であることを特徴とする請求項7に記載の高分子固体電解質材。
  9. 炭素数2〜8の二官能カルボン酸及び/又はその誘導体がフッ素を含有することを特徴とする請求項8に記載の高分子固体電解質材。
  10. 多官能架橋剤が多官能イソシアネートであることを特徴とする請求項1または3〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  11. イオン性基を有するポリマーが、少なくとも、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、及びホスホン酸基から選ばれる1種あるいは2種以上を有することを特徴とする請求項1または3〜10のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  12. イオン性基を有するポリマーが、少なくともスルホン酸基を有することを特徴とする請求項1または3〜10のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  13. スルホン酸基密度が0.1〜5.0mmol/gであることを特徴とする請求項12に記載の高分子固体電解質材。
  14. スルホン酸基密度が1.0〜3.5mmol/gであることを特徴とする請求項12に記載の高分子固体電解質材。
  15. イオン性基を有するポリマーが、スチレンスルホン酸(共)重合体、アクリルアミドアルカンスルホン酸(共)重合体、ビニルスルホン酸(共)重合体、および、パーフルオロスルホン酸系ポリマーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  16. イオン性基を有するポリマーが、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミドアルカンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコールスルホン酸エステル、および、パーフルオロスルホン酸系ポリマーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  17. 無機のプロトン伝導体がヘテロポリ酸であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  18. 無機のプロトン伝導体が、タングストケイ酸、タングストリン酸、モリブドリン酸から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  19. 高分子多官能アルコールの重量に対して、無機のプロトン伝導体を50重量%以上含むことを特徴とする請求項2〜6、17及び18のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  20. 高分子固体電解質材中に含まれるM/C(ここで、Mはヘテロポリ酸中のポリ元素、Cは炭素を表す。)のモル比が0.04以上であることを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の高分子固体電解質材。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載の高分子固体電解質材からなる高分子固体電解質膜。
  22. 高分子固体電解質膜の全光線透過率が40%以下、0%以上であることを特徴とする請求項21に記載の高分子固体電解質膜。
  23. 少なくとも、高分子多官能アルコール、水酸基と反応可能な多官能架橋剤およびイオン性基を有するポリマーからなる混合物を、40℃以下で製膜した後、80℃以上で熱処理する工程を経ることにより請求項21又は22に記載の高分子固体電解質膜を製造することを特徴とする高分子固体電解質膜の製造法。
  24. 少なくとも、高分子多官能アルコール及び、無機のプロトン伝導体からなる混合物を、40℃以下で製膜した後、105℃以上で熱処理する工程を経ることにより請求項21又は22に記載の高分子固体電解質膜を製造することを特徴とする高分子固体電解質膜の製造法。
  25. 請求項1〜20のいずれかに記載の高分子固体電解質材からなる高分子固体電解質部品、または請求項21若しくは22に記載の高分子固体電解質膜を用いることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  26. 炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルおよびこれらの水溶液若しくは水懸濁液から選ばれた少なくとも1種を燃料に用いることを特徴とする請求項25に記載の固体高分子型燃料電池。

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