JP2005146139A - アクリル系重合体粉末、アクリルゾル及び成形物 - Google Patents

アクリル系重合体粉末、アクリルゾル及び成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】貯蔵安定性に優れ、かつそれから得られる成形物が機械的強度、柔軟性及び可塑剤保持性に優れ、さらに、塩ビゾルから得られる成形物と違って、焼却時に塩化水素ガスを発生しないアクリルゾルを与えることができるアクリル系重合体粉末、該アクリルゾル及び成形物を提供すること。
【解決手段】シェル部が架橋構造よりなる層を有する重合体粒子を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるアクリル系重合体粉末、該アクリル系重合体粉末を含有するアクリルゾル、及び該アクリルゾルから得られる成形物。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリルゾルに好適なアクリル系重合体粉末、該アクリル系重合体粉末及び可塑剤を含有するアクリルゾル、及び該アクリルゾルから得られる成形物に関する。
現在、工業的に広く用いられているプラスチゾル組成物は、ポリ塩化ビニル(塩ビ)パウダー及び充填剤を可塑剤に分散させて得られる塩ビゾル組成物であり、用途により、さらに顔料、熱安定剤、発泡剤、希釈剤などを配合して使用されている。該塩ビゾル組成物は、自動車用、カーペット用、壁紙用、床用等のコーティング剤、含浸剤、コーキング剤などとして、多くの分野において種々の目的で使用されている。
一方、塩ビゾル組成物の焼却時に発生する塩化水素ガスは、焼却炉を著しく損傷させるという難点を有しており、さらには最近の環境問題上、酸性雨の原因となるばかりでなく地球のオゾン層の破壊原因物質ともなっており、各商品分野でこのような塩ビゾル組成物に代る難点のないプラスチゾル組成物の出現が待たれている。
このような要求に対し、燃焼時に塩化水素ガスを発生しないプラスチゾルとして、アクリルゾル組成物が提案され、均一組成系のアクリルポリマー粒子を用いたものがよく知られている(例えば、特許文献1参照。)が、ジオクチルフタレートのような汎用可塑剤を用いた場合には、前記粒子の該可塑剤への溶解性が高く、混合後数分間でアクリルゾル組成物の粘度上昇が起きて成膜不能となるため、実用上使用することができないという問題があった。またアクリルゾル組成物の貯蔵安定性を向上させるために、アクリルポリマーに可塑剤との相溶性の低い単量体成分を共重合させる方法が提案されているが、このようなアクリルゾルを用いる場合には、得られる皮膜表面に可塑剤がブリードアウトしやすいという問題点を有していた。このように、アクリルポリマー粒子を用いた場合、貯蔵安定性と成膜後の可塑剤保持性(耐ブリードアウト性)との関係は相反するものであり、均一構造の重合体粒子ではこれを満足することは不可能であった。
そこでコアシェル構造粒子を用いたアクリルゾル組成物が提案されており(例えば、特許文献2参照。)、そこでは重合体骨格に酸を含有させたアクリル系重合体が用いられている。しかしながらここで提案されているアクリル系重合体は、可塑剤に対する相溶性が低く、フタル酸エステル系可塑剤のように極性の低い可塑剤を用いた場合には可塑化状態が不良となり、良好な塗膜を得ることができない。その他、同じくコアシェル構造粒子を用いたプラスチゾル組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)が、ここではコアシェル構造粒子といっても、均一構造粒子を製造し、これを後にアルカリ加水分解処理を行うことによって、粒子のごく表面部のエステル基をカルボキシル基に変換するというものである。したがって、シェル部の厚みは極めて薄く、実質的に粒子の体積の1%前後かそれ以下に過ぎない。したがってシェル部の役割として期待される貯蔵安定性の改良効果は極めて低い。また、アルカリ加水分解により導入されたシェル部は酸価が非常に高くなっており、可塑剤に対する相溶性が極めて低く、成膜性を著しく低下させる。またこのような高酸価のシェル部を有する構造粒子はプラスチゾル組成物中で粒子同士が凝集構造を取り易く、その結果、プラスチゾル組成物は低せん断速度では粘性が高くなり、作業性が低下する傾向になる。
またコアシェル構造粒子を用いたプラスチゾル組成物の他の例が提案されている(例えば、特許文献4及び特許文献5参照。)。ここでは基本的に可塑剤に対する相溶性を示すコア部と、可塑剤に対して相溶性を示さないシェル部とからなるコアシェル重合体を用いることにより、ごく基本的な性能(低レベルの貯蔵安定性、低レベルの可塑剤保持性など)を実現している。しかしながら工業的に実用化するためには極めて高い性能(高レベルの貯蔵安定性、高レベルの可塑剤保持性、高レベルの機械的性能(引張強度、引張伸度など)など)が要求されることになり、その点において、特許文献4及び特許文献5により提案された重合体は、可塑剤との相溶性のバランスが最適化されておらず、貯蔵安定性、塗膜の可塑剤保持性及び塗膜の柔軟性のいずれも低レベルであり、工業的な実用化には不適当である。
またアクリルゾル組成物の貯蔵安定性改良のため、アクリルポリマー粒子全体を架橋させる方法が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。しかしながら粒子全体を架橋すると引張強度、引張伸度などの機械的性能が著しく低下し、工業的な実用化には不適当である。このようにプラスチゾル組成物の最も基本的な性質である貯蔵安定性、可塑剤保持性及び塗膜柔軟性を並立させるために種々の検討がなされているものの、塩ビゾル代替材料としてはいずれも低レベルで工業的な実用レベルに達していないのが現状であった。
特公昭55−16177号公報(特許請求の範囲) 特開平5−279539号公報(特許請求の範囲及び実施例(段落番号0060)) 特開平6−322225号公報(特許請求の範囲) 特開平7−233299号公報(特許請求の範囲) 特開平8−295850号公報(特許請求の範囲) 特開平10−168268号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、かつそれから得られる成形物が機械的強度、柔軟性及び可塑剤保持性に優れ、さらに、塩ビゾルから得られる成形物と違って、焼却時に塩化水素ガスを発生しないアクリルゾルを与えることができるアクリル系重合体粉末、該アクリルゾル及びその成形物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、シェル部が架橋構造よりなる層を有する重合体粒子からなるアクリル系重合体粉末をアクリルゾルの成分として使用することによって上記の問題点が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)アクリル系重合体粒子を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるアクリル系重合体粉末であって、アクリル系重合体粒子が、前段階重合体(I−a)を含むラテックス中で、後段階重合体(I−b)を形成させて得られる多段階重合体粒子(I)であって、
前段階重合体(I−a)が、メタクリル酸メチル単位10〜90質量%及びメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位90〜10質量%である、1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される共重合体であり、
後段階重合体(I−b)が、メタクリル酸メチル単位50〜99.99質量%、メタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなる1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される架橋重合体であり、
前段階重合体(I−a)/後段階重合体(I−b)の質量比が50/50〜95/5であるアクリル系重合体粉末、
(2)アクリル系重合体粒子を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるアクリル系重合体粉末であって、アクリル系重合体粒子が、前段階重合体(II−a)を含むラテックス中で、中段階重合体(II−b)を形成させて、さらに後段階重合体(II−c)を成形させて得られる多段階重合体粒子(II)であって、
前段階重合体(II−a)が、アクリル酸メチルエステル単位50〜99.99質量%、アクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなる、1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される架橋重合体であり、
中段階重合体(II−b)が、メタクリル酸メチル単位50〜100質量%と、アクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位50質量%以下からなる1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される重合体であり、
後段階重合体(II−c)が、メタクリル酸メチル単位50〜99.99質量%、メタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなる1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される架橋重合体であり、
前段階重合体(II−a)/中段階重合体(II−b)/後段階重合体(II−c)の質量比が10〜30/30〜85/5〜50であるアクリル系重合体粒子(II)であるアクリル系重合体粉末、
(3)凝固乾燥が噴霧乾燥である前記(1)または(2)に記載のアクリル系重合体粉末、
(4)すべての重合を乳化重合法によって行う前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のアクリル系重合体粉末、
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のアクリル系重合体粉末及び可塑剤を含有するアクリルゾル、並びに
(6)前記(5)記載のアクリルゾルから得られる成形物、
に関する。
本発明により、貯蔵安定性に優れたアクリル系重合体粉末が提供される。さらに、該アクリル系重合体粉末より、機械的強度、柔軟性、可塑剤保持性に優れ、焼却時に塩化水素ガスを発生しないアクリルゾル及びその成形物が提供される。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明のアクリル系重合体粉末は、多段階重合体粒子(I)および/または(II)を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるものであるが、多段階重合体粒子(I)については前段階重合体(I−a)を含むラテックス中で、後段階重合体(I−b)を形成させて得られる。
前段階重合体(I−a)は、1段階の重合反応で形成されるか、又はそれにより得られる重合体粒子を含有するラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応を行うことにより形成される共重合体であり、前段階に含まれる各段階(1段階のみからなる場合も含む)の重合反応により形成される共重合体が、いずれも、メタクリル酸メチル単位10〜90質量%とメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位90〜10質量%とを含むものである。メタクリル酸メチル単位の割合は、20〜80質量%であるのが好ましく、30〜70質量%であるのがより好ましい。前段階重合体(I−a)のメタクリル酸メチル単位が10質量%未満では、本発明のアクリル系重合体粒子を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるアクリル系重合体粉末と可塑剤とを含有するアクリルゾル(以下、単に、「アクリルゾル」という場合がある)から形成される皮膜の強度が低下して好ましくなく、メタクリル酸メチル単位が90質量%を超えると、皮膜表面の耐ブリードアウト性や柔軟性が低下して好ましくない。
後段階重合体(I−b)は、前段階重合体(I−a)の粒子を含むラテックス中で、1段階の重合反応で形成されるか、又はそれにより得られる重合体粒子を含有するラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応を行うことにより形成される架橋重合体であり、後段階に含まれる各段階(1段階のみからなる場合も含む)の重合反応により形成される架橋重合体が、いずれも、メタクリル酸メチル単位50〜99.99質量%とメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単量体からなる単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%を含むものである。後段階重合体(I−b)のメタクリル酸メチル単位の割合は、55〜95質量%であるのが好ましく、60〜90質量%であるのがより好ましい。後段階重合体(I−b)のメタクリル酸メチル単位が50質量%未満であると、得られるアクリルゾルの貯蔵安定性が低下して好ましくない。後段階重合体(I−b)のメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な多官能性単量体単位は0.02〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。多官能性単量体単位が0.01質量%未満では貯蔵安定性改良効果が発現しにくく好ましくない。また、10質量%を超えると、アクリルゾルから形成される皮膜の強度が低下し好ましくない。
上記で、メタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体の例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸メチルを除くメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及びメタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のマレイミド系化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;などが挙げられ、中でも、ガラス転移温度(Tg)の調整や金属との密着性の向上に適することから、メタクリル酸イソブチル等のメタクリル酸エステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及びメタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸が好ましい。これらの他の単量体は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができ、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
本発明において使用される多段階重合体粒子(I)の前段階重合体(I−a)を製造した場合の重量平均分子量(Mw)は、用途に応じて適宜選択されるが、いずれも、50,000〜3,000,000の範囲内であるのが好ましく、100,000〜2,000,000の範囲内であるのがより好ましい。重量平均分子量が50,000以上であると成形される皮膜の強度が向上し、また3,000,000以下であると可塑剤との溶解速度が適切となり生産性が向上する。重量平均分子量の調整はメルカプタン類等の連鎖移動剤を用いて行うことができ、該メルカプタン類としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等を挙げることができる。
後段階重合体(I−b)に関し、多官能性単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリールフタレート、ジアリールマレート、ジビニルアジペート、アリールアクリレート、アリールメタクリレート、トリアリールシアヌレート、トリアリールイソシアヌレートなどが挙げられ、中でも、分子量が250以上のものが好ましく、構成するポリエチレングリコールが400〜600の平均分子量を有するポリアルキレングリコールジメタクリレートがより好ましい。
多段階重合体粒子(I)に占める前段階重合体(I−a)/後段階重合体(I−b)の質量比は、50/50〜95/5の範囲内であり、60/40〜90/10の範囲内であるのがより好ましい。後段階重合体(I−b)の割合が5質量%未満では、得られるアクリルゾルの貯蔵安定性改良効果が発現しにくく、また50質量%を超えると、アクリルゾルから成形される皮膜の強度が低下し好ましくない。
本発明のアクリル系重合体粉末は、多段階重合体粒子(I)および/または(II)を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるものであるが、多段階重合体粒子(II)については前段階重合体(II−a)を含むラテックス中で中段階重合体(II−b)を形成し、さらに後段階重合体(II−c)を形成させて得られる。
前段階重合体(II−a)は、1段階の重合反応で形成されるか、又はそれにより得られる重合体粒子を含有するラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応を行うことにより形成される架橋重合体であり、前段階に含まれる各段階(1段階のみからなる場合も含む)の重合反応により形成される架橋重合体が、いずれも、アクリル酸メチルエステル単位50〜99.99質量%、アクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%を含むものである。上記各共重合体の単量体単位組成は、いずれも、アクリル酸メチルエステル単位60〜99.95質量%、該他の単量体単位39.95質量%以下及び多官能性単量体単位0.05〜5質量%であるのが好ましく、アクリル酸メチルエステル単位70〜99.9質量%、該他の単量体単位29.9質量%以下及び多官能性単量体単位0.1〜3質量%であるのがより好ましい。アクリル酸メチルエステル単位が50質量%未満の場合には、アクリルゾルから形成される皮膜の耐寒性が低下する。また、多官能性単量体単位が0.01質量%未満の場合には、アクリルゾルから形成される皮膜の強度が低下し、10質量%を超えると、該皮膜の耐寒性が低下する。
前段階重合体(II−a)に関し、アクリル酸メチルエステルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、中でも炭素数1〜4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル及びアクリル酸n−ブチルがより好ましい。
前段階重合体(II−a)に関し、アクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のマレイミド系化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;などが挙げられ、中でも、ガラス転移温度(Tg)の調整や金属との密着性の向上に適することから、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及びメタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸が好ましい。これらの他の単量体は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができ、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
前段階重合体(II−a)に関し、多官能性単量体としては、後段階重合体(I−b)の製造に用いるメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な多官能性単量体として例示したものと同様なものが挙げられる。
中段階重合体(II−b)は、前段階重合体(II−a)の粒子を含むラテックス中で、1段階の重合反応で形成されるか、又は該ラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応を行うことにより形成される(共)重合体であり、中段階に含まれる各段階(1段階のみからなる場合も含む)の重合反応により形成される(共)重合体が、いずれも、メタクリル酸メチル単位50〜100質量%とアクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位50質量%以下とを含むものである。中段階重合体(II−b)のメタクリル酸メチル単位の割合は、60〜100質量%であるのが好ましく、70〜100質量%であるのがより好ましい。後段階重合体(II−b)のメタクリル酸メチル単位が50質量%未満であると、得られるアクリルゾルの貯蔵安定性が低下して好ましくない。
中段階重合体(II−b)に関し、アクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体としては、後段階重合体(I−b)の製造に用いるメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体として例示したものと同様なものが挙げられる。
後段階重合体(II−c)は、中段階重合体(II−b)の粒子を含むラテックス中で、1段階の重合反応で形成されるか、又は該ラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応を行うことにより形成される架橋重合体であり、後段階に含まれる各段階(1段階のみからなる場合も含む)の重合反応により形成される架橋重合体が、いずれも、メタクリル酸メチル単位50〜99.99質量%、メタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%を含むものである。後段階重合体(II−c)のメタクリル酸メチル単位の割合は、55〜95質量%であるのが好ましく、60〜90質量%であるのがより好ましい。後段階重合体(II−c)のメタクリル酸メチル単位が50質量%未満であると、得られるアクリルゾルの貯蔵安定性が低下して好ましくない。後段階重合体(II−c)のメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な多官能性単量体単位は0.02〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。多官能性単量体単位が0.01質量%未満では貯蔵安定性改良効果が発現しにくく好ましくない。また、10質量%を超えると、アクリルゾルから形成される皮膜の強度が低下し好ましくない。
後段階重合体(II−c)に関し、メタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単量体としては、後段階重合体(I−b)の製造に用いるメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体として例示したものと同様なものが挙げられる。
後段階重合体(II−c)に関し、多官能性単量体としては、後段階重合体(I−b)の製造に用いるメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な多官能性単量体として例示したものと同様なものが挙げられる。
本発明において使用される多段階重合体粒子(II)の中段階重合体(II−b)を単独で製造した場合の重量平均分子量(Mw)は、用途に応じて適宜選択されるが、いずれも、50,000〜3,000,000の範囲内であるのが好ましく、100,000〜2,000,000の範囲内であるのがより好ましい。重量平均分子量が50,000以上であると成形される皮膜の強度が向上し、また3,000,000以下であると可塑剤との融解速度が適切となり生産性が向上する。重量平均分子量の調整は多段階重合体粒子(I)について記述したのと同様な連鎖移動剤を用いて行うことができる。
多段階重合体粒子(II)に占める前段階重合体(II−a)/中段階重合体(II−b)/後段階重合体(II−c)の質量比は、10〜30/30〜85/5〜50の範囲内であり、20〜30/50〜80/5〜40の範囲内であるのがより好ましい。後段階重合体(II−c)の割合が5質量%未満では、得られるアクリルゾルの貯蔵安定性が低下し、また50質量%を超えると、アクリルゾルから形成される皮膜の強度が低下し好ましくない。
本発明に使用する多段階重合体粒子(I)および/または(II)の平均粒子径については特に制限はないが、0.05〜30μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜2μmの範囲内であることがより好ましい。平均粒子径が0.05μm以上であれば、ゾル状態での貯蔵安定性が良く、30μm以下であれば均一なゾル状態とすることができ、ゾル調製の所要時間が短縮でき、生産性が向上しやすくなる。
なお、アクリル系重合体粒子の場合のみでなく、アクリル系重合体粉末の場合も含め、本明細書における平均粒子径は算術平均粒子径を意味する。
本発明に使用する多段階重合体粒子(I)および/または(II)は、例えば乳化重合法やシード重合法のような公知の重合方法により、ラテックス状態で製造することができるが、乳化重合法で製造するのが好ましい。
例えば、前段階重合体(I−a)は、1段階の乳化重合反応で形成させるか、又はそれにより得られる重合体粒子を含有するラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の乳化重合反応を行うことにより形成させることができ、後段階重合体(I−b)は、前段階重合体(I−a)の粒子を含むラテックス中で、1段階の乳化重合反応で形成させるか、又はそれにより得られる重合体粒子を含有するラテックス中で互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の乳化重合反応を行うことにより形成させることができる。多段階重合体粒子(II)も多段階重合体粒子(I)と同様な手法で製造することができる。
乳化重合に用いることのできる乳化剤は、例えば、アニオン系乳化剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ノニオン系乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等;ノニオン・アニオン系乳化剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩等;反応性乳化剤であるアルキルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、酸性リン酸メタクリル酸エステル、アルキルアリールフェノキシポリエチレングリコール、ナトリウム−ω−アクリロイルオキシアルキル(トリアルキル)アンモニウム−パラトルエンスルホネート、ナトリウム−ポリスチレンフェニルエーテルスルフェート、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物、ナトリウム−スルホコハク酸アルキルアルケニルエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホネート、アルキルフェノキシエトキシエチルスルホネート、ナトリウム−ジアルキルスルホサクシネート、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、ノニルプロペニルフェノールエチレンオキシド10モル付加体硫酸エステルアンモニウム塩の1種または2種以上を用いることができる。上記に例示したノニオン系乳化剤及びノニオン・アニオン系乳化剤の例示化合物におけるオキシエチレン単位の平均繰返し数は、乳化剤の発泡性が極端に大きくならないようにするために、30以下であるのが好ましく、20以下であるのがより好ましく、10以下であるのがさらに好ましい。
乳化重合に際しては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、パースルホキシレート/有機過酸化物、過硫酸塩/亜硫酸塩等のレドックス系開始剤のいずれの重合開始剤を用いてもよい。また、必要であれば、公知の連鎖移動剤を用いてもよい。
乳化重合において、単量体、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤等は、目的とする段階の重合反応に応じて、一括添加、分割添加、連続添加等公知の任意の方法で添加することができる。
本発明で用いるラテックスは、多段階重合体粒子(I)若しくは多段階重合体粒子(II)を含有するラテックス、又は多段階重合体粒子(I)を含有するラテックスと多段階重合体粒子(II)を含有するラテックスとを任意の割合で混合したラテックスである。
また、本発明で用いるラテックスは、粒子径分布の異なるアクリル系重合体粒子をそれぞれ含有する複数の、例えば2種もしくは3種のラテックスを混合したラテックスであってもよい。
上記ラテックスを凝固乾燥させる方法は、特に制限されない。具体的には、例えば上記ラテックスを噴霧乾燥法により粉体化する方法や、該ラテックスに酸又は塩を加えてアクリル系重合体を凝固し、この凝固物を乾燥させて粉体化する方法によってアクリル系重合体粉末を得ることができる。これらの凝固乾燥法中、アクリル系重合体粉末の平均粒子径、粒子径分布及び形状(球形が好ましい)を整えやすい利点を有する噴霧乾燥法が好ましい。
このアクリル系重合体粉末は、主として可塑剤と混合してアクリルゾルを調製するのに用いられるが、本発明のアクリル系重合体粉末の平均粒子径は5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmの範囲内であることがより好ましい。平均粒子径が5μm以上である場合には、アクリル系重合体粒子がアクリルゾル調製時に微粉として舞いにくく取扱いが容易となり、100μm以下である場合には、ブツ欠点が生じにくく、外観を保持し、また皮膜の強度も向上しやすくなる(ブツが起点となりにくく亀裂が生じにくい)。
また、本発明のアクリルゾルは、アクリル系重合体粉末の空隙率が70%以下である場合には可塑剤のアクリル系重合体粉末への吸収が抑えられて、流動性が向上し、ダイラタンシー等が生じにくく、成形加工性が向上するので好ましい。したがって、本発明のアクリル系重合体粉末の空隙率は70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
なお、本発明では、空隙率はアクリル系重合体粉末の一定体積(粒子間空間体積を含む)に占める粒子間空間体積の比率を表すものとし、水銀圧入法によって該粉末の細孔体積を測定することによって求めることができる。
本発明においては、上記アクリル系重合体粉末を可塑剤と混合してアクリルゾルとする。この際用いるアクリル系重合体粉末は粒子径の異なるアクリル系重合体粉末を2種以上ブレンドしたものであってもよい。
本発明のアクリルゾルに使用できる可塑剤は特に制限されないが、ジメトキシエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジエトキシエチルフタレート、ジブトキシエチルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤、ジフェニルオクチルホスフェート、トリブチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート、トリ2−エチルヘキシルフォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、トリスイソプロピルフェニルフォスフェート、レゾルシノ−ルビスジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビスクレジルフォスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、ジ2−ヘキシルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、ジ2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル系可塑剤、ジ2−ヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステル系可塑剤、トリ2−エチルヘキシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤、フマル酸ジブチル等のフマル酸エステル系可塑剤、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル系可塑剤、オレイン酸ブチル等のオレイン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を用いることができる。
これらの可塑剤は単独で又は2種以上組み合わせて用いられ、アクリルゾルから得られる成形物に難燃性を付与することが求められる場合にはリン酸エステル系可塑剤を用いることが好ましい。
アクリル系重合体粉末と可塑剤との混合比率は、アクリル系重合体粉末100質量部当たり、可塑剤50〜500質量部であるのが好ましく、50〜200質量部であるのがより好ましい。
本発明のアクリルゾルは、さらに充填剤を含有することができる。使用することのできる充填剤としては、例えば、炭化カルシウム、バライタ、クレー、コロイダルシリカ、マイカ粉、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、ガラス粉末、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、二酸化チタン、カーボンブラック、金属石鹸、染料、顔料などを挙げることができる。充填剤の含有量は、アクリル系重合体粉末100質量部当たり50〜500質量部の割合であるのが好ましい。
本発明のアクリルゾルには、上記のほかに、希釈剤として例えばミネラルタービン等の溶剤を加えてオルガノゾルとすることもできる。さらに目的に応じて各種の添加剤を含有させることができる。かかる添加剤としては、例えば、接着促進剤、レベリング剤、タック防止剤、離型剤、消泡剤、発泡剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、香料等を挙げることができ、これらは各単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの成分の含有量は、一般に、アクリル系重合体粉末100質量部に対して0.01〜20質量部であるのが好ましい。
本発明のアクリルゾルは本発明のアクリル系重合体粉末、可塑剤、及び必要に応じて充填剤やその他の添加剤を混合することにより調製することができる。
本発明のアクリルゾル中の固形分含量については特に制限はないが、アクリルゾルの流動性等の観点から、アクリルゾル全体に対し、20〜80質量%程度であるのが好ましい。
本発明のアクリルゾルを用いて発泡製品を作る場合には、一般に、発泡状態の均一性に優れた発泡製品を得ることができる。アクリルゾルを用いて発泡製品を作る方法としては、機械的に気泡をアクリルゾル中に混合して気泡ゾルを形成させ、これをゲル化させる方法(機械的発泡法)、低沸点の炭化水素をマイクロカプセル中に封入したマイクロカプセル型発泡剤をアクリルゾルに配合しゲル化させる方法、高温でガスを発生する熱分解型発泡剤をアクリルゾルに配合しゲル化させる方法等があり、いずれを用いても上記効果を達成し得るが、熱分解型発泡剤を用いる方法が上記効果の達成においてもっとも好ましい。
熱分解型発泡剤を用いる場合には、上記アクリル系重合体粉末、可塑剤及び熱分解型発泡剤を含有するアクゾルを調製し、これを加熱発泡させることにより発泡成形物(発泡体)を形成する。熱分解型発泡剤としては従来から知られている熱分解型発泡剤を、特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p−トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロジニトリル、アゾジアミノベンゼン、アゾヘキサヒドロベンゾジニトリル、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、t−ブチルアミノニトリル、p−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾン等の有機系熱分解型発泡剤、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系熱分解型発泡剤を挙げることができる。これらは各単独で又は2種以上任意に組み合わせて用いることができる。これらの熱分解型発泡剤中、取扱いやすく、ガス発生量が多いなどの点から、アゾジカルボンアミド系の熱分解型発泡剤が好ましい。
熱分解型発泡剤の添加量は、目的とする発泡体や発泡体層の発泡倍率(比重)、発泡体や積層体の用途、発泡剤のガス発生量などに応じて変化するが、通常、アクリルゾル100質量部に対して、0.05〜30質量部であるのが好ましく、0.1〜20質量部であるのがより好ましい。
また、本発明では、上記した熱分解型発泡剤を用いて発泡体を製造するに当たって、発泡を円滑に行わせて、より均一で微細な気泡を有する発泡体を得るために、発泡助剤を併用してもよい。その場合の発泡助剤としては、それぞれの熱分解型発泡剤に対して従来から用いられている発泡助剤を用いることができる。例えば、アゾ系発泡剤、重炭酸ナトリウム、ヒドラジン系発泡剤に対してはカルボン酸金属塩、炭酸カルシウム等の炭酸金属塩、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、タルク等の鉱物などの発泡助剤を用いることができ、また、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに対しては尿素系化合物、有機酸などの発泡助剤を用いることができる。
本発明のアクリルゾルを用いた加工方法としては、ディップコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、カーテンフローコーティング等のコーティングや、ディップモールディング、キャストモールディング、スラッシュモールディング、ローテーショナルモールディング等の成形法のほか、浸漬、刷毛塗り、スプレー、静電塗装等の各種の加工方法が可能である。
本発明のアクリルゾルを用いて成形物であるゲルを形成させるには、アクリルゾルを適当なゲル形成温度及び処理時間条件下に保つことが必要である。ゲル形成温度は70〜260℃の範囲内であり、処理時間は10秒〜90分の範囲内であるのが好ましい。本発明のアクリルゾルは、このゲル化条件で均一な膜を形成することができる。また用途によっては、硬化皮膜に、さらに印刷、エンボス加工、発泡処理などを行うこともできる。
本発明のアクリルゾルは、塗料、インキ、接着剤、シーリング剤、車両アンダーコート等として応用することができ、これらを雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成型品に応用することができる。また、例えば紙や布などのシート状物に適用すれば、壁紙、人工皮革、敷物、医療用シート、防水シート等を得ることができ、金属板に適用すれば防蝕性金属板とすることができる。
以下に本発明を参考例、実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。
以下の参考例、実施例及び比較例における物性値の測定または評価は、以下の方法により行った。
(1)平均粒子径
堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−300を用いて測定した。
(2)貯蔵安定性
アクリルゾル調製1時間後の25℃での粘度(V1)と35℃、10日間放置後の25℃での粘度(V2)とを、BM型粘度計(トキメック社製)でローターNo.4を用い、30rpmで測定し、次式から粘度保持性を求め、下記の評価基準にしたがって貯蔵安定性を評価した。
粘度保持性=V2/V1
[貯蔵安定性の評価基準]
○:粘度保持性が2未満であり、貯蔵安定性が極めて良好である。
△:粘度保持性が2以上3未満であり、貯蔵安定性がほぼ良好である。
×:粘度保持性が3以上であり、貯蔵安定性が極めて不良である。
(3)硬度
圧縮成形機を用いて、150℃にて厚さ3mmのシ−トを形成した後、JIS K6253に準じて、A型硬度計(オスカ−製)を用いて測定した。
(4)引張り強度及び引張り伸度
圧縮成形機を用いて、150℃にて厚さ1mmのシートを形成した後、オートグラフAG−2000B(島津製作所製)を用いて、JIS K6723に準じて測定した。
(5)耐ブリードアウト性
圧縮成形機を用いて、150℃にて厚さ1mmのシートを形成させた後、25℃、1週間保持後の該皮膜表面における可塑剤のブリードアウト状態を目視観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
[耐ブリードアウト性の評価基準]
○:可塑剤のブリードアウトなし
×:可塑剤のブリードアウトあり
また参考例、実施例及び比較例中に用いた化合物名及びその略称[( )内]を下記に示す。
メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n−ブチル(nBMA)、メタクリル酸イソブチル(iBMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEMA)、アクリル酸n−ブチル(BA)、メタクリル酸(MAA)、アリールメタクリレート(ALMA)、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(PEG9G)、n−オクチルメルカプタン(n−OM)、過硫酸カリウム(KPS)、ジイソノニルフタレート(DINP)、レゾルシノールビスジフェニルフォスフェート(RDP)。
また、以下に示す参考例、実施例及び比較例中に用いた「部」は質量部を表す。
参考例1
アクリル系重合体粒子(a−1)の製造
(ア)攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.06質量部及び炭酸ナトリウム0.6質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、MMA20質量%及びiBMA80質量%からなる単量体混合物30質量部を投入し、10分間攪拌した後、KPS0.03質量部を投入し120分攪拌を続け、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(イ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA35質量%及びiBMA65質量%からなる単量体270質量部およびn−OM0.027質量部からなる混合物を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(ウ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA50質量%、iBMA44質量%、MAA3質量%及び2HEMA3質量%からなる単量体混合物240質量部を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(エ)次に、同反応器内に、KPS0.01質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA75質量%、iBMA24.5質量%及びPEG9G0.5質量%からなる単量体混合物60質量部を20分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系重合体粒子(a−1)を含むラテックスを得た。このアクリル系重合体粒子(a−1)は多段階重合体粒子(I)に属する。また、このアクリル系重合体粒子(a−1)の平均粒子径は0.81μmであった。概要を表1に示す。
参考例2
アクリル系重合体粒子(a−2)の製造
(ア)攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.03質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.03質量部及び炭酸ナトリウム0.6質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.036質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA40質量%、iBMA30質量%及びnBMA30質量%からなる単量体混合物180質量部を45分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(イ)次に、同反応器内に、KPS0.036質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA70質量%、iBMA13質量%、nBMA13質量%、MAA2質量%及び2HEMA2質量%からなる単量体180質量部およびn−OM0.018質量部からなる混合物を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(ウ)次に、同反応器内に、KPS0.048質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA64.9質量%、iBMA17.5質量%、nBMA17.5質量%及びALMA0.1質量%からなる単量体混合物240質量部を120分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系重合体粒子(a−2)を含むラテックスを得た。このアクリル系重合体粒子(a−2)は多段階重合体粒子(I)に属する。また、このアクリル系重合体粒子(a−2)の平均粒子径は0.49μmであった。概要を表1に示す。
参考例3
アクリル系重合体粒子(a−3)の製造
(ア)攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.12質量部及び炭酸ナトリウム0.8質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.3質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA30質量%、BA68.8質量%、PEG9G1質量%及びALMA0.2質量%からなる単量体混合物180質量部を60分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(イ)次に、同反応器内に、KPS0.3質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA93質量%、BA5質量%及びMAA2質量%からなる単量体300質量部およびn−OM0.030質量部からなる混合物を180分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(ウ)次に、同反応器内に、KPS0.12質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA89質量%、BA10質量%及びPEG9G1質量%からなる単量体混合物120質量部を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系重合体粒子(a−3)を含むラテックスを得た。このアクリル系重合体粒子(a−3)は多段階重合体粒子(II)に属する。また、このアクリル系重合体粒子(a−3)の平均粒子径は0.56μmであった。概要を表1に示す。
参考例4
アクリル系重合体粒子(a−4)の製造
(ア)攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.06質量部及び炭酸ナトリウム0.6質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、MMA20質量%及びiBMA80質量%からなる単量体混合物30質量部を投入し、10分間攪拌した後、KPS0.03質量部を投入し120分攪拌を続け、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(イ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA35質量%及びiBMA65質量%からなる単量体270質量部およびn−OM0.027質量部からなる混合物を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(ウ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA50質量%、iBMA44質量%、MAA3質量%及び2HEMA3質量%からなる単量体混合物240質量部を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(エ)次に、同反応器内に、KPS0.01質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA75質量%、iBMA22.5質量%、MAA2質量%及びPEG9G0.5質量%からなる単量体混合物60質量部を20分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系重合体粒子(a−4)を含むラテックスを得た。このアクリル系重合体粒子(a−4)は多段階重合体粒子(I)に属する。また、このアクリル系重合体粒子(a−4)の平均粒子径は0.79μmであった。概要を表1に示す。
比較参考例1
アクリル系重合体(a−5)の製造
(ア)攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.06質量部及び炭酸ナトリウム0.6質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、MMA20質量%及びiBMA80質量%からなる単量体混合物30質量部を投入し、10分間攪拌した後、KPS0.03質量部を投入し120分攪拌を続け、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(イ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA35質量%及びiBMA65質量%からなる単量体270質量部およびn−OM0.027質量部からなる混合物を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(ウ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA50質量%、iBMA44質量%、MAA3質量%及び2HEMA3質量%からなる単量体混合物240質量部を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(エ)次に、同反応器内に、KPS0.01質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA75質量%及びiBMA25質量%からなる単量体混合物60質量部を20分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系重合体粒子(a−5)を含むラテックスを得た。このアクリル系重合体(a−5)は多段階重合体粒子(I)にも多段階重合体粒子(II)にも属さない。また、このアクリル系重合体粒子(a−5)の平均粒子径は0.83μmであった。概要を表1に示す。
比較参考例2
アクリル系重合体(a−6)の製造
(ア)攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.06質量部及び炭酸ナトリウム0.6質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、MMA20質量%及びiBMA80質量%からなる単量体混合物30質量部を投入し、10分間攪拌した後、KPS0.03質量部を投入し120分攪拌を続け、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(イ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA35質量%及びiBMA65質量%からなる単量体270質量部およびn−OM0.027質量部からなる混合物を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(ウ)次に、同反応器内に、KPS0.027質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA50質量%、iBMA44質量%、MAA3質量%及び2HEMA3質量%からなる単量体混合物240質量部を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(エ)次に、同反応器内に、KPS0.01質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA60質量%、iBMA20質量%及びPEG9G20質量%からなる単量体混合物60質量部を20分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系重合体粒子(a−6)を含むラテックスを得た。このアクリル系重合体粒子(a−6)は多段階重合体粒子(I)にも多段階重合体粒子(II)にも属さない。また、このアクリル系重合体粒子(a−6)の平均粒子径は0.80μmであった。概要を表1に示す。
比較参考例3
アクリル系重合体粒子(a−7)の製造
(ア)攪拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水900質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.12質量部及び炭酸ナトリウム0.8質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、KPS0.3質量部を投入し、5分間攪拌した後、MMA30質量%、BA68.8質量%、PEG9G1質量%及びALMA0.2質量%からなる単量体混合物180質量部を60分かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(イ)次に、同反応器内に、KPS0.3質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA93質量%、BA5質量%及びALMA2質量%からなる単量体300質量部およびn−OM0.030質量部からなる混合物を180分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(ウ)次に、同反応器内に、KPS0.12質量部を投入して5分間攪拌した後、MMA89質量%、BA10質量%及びPEG9G1質量%からなる単量体混合物120質量部を60分間かけて連続的に滴下供給し、添加終了後、重合率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、アクリル系重合体粒子(a−7)を含むラテックスを得た。このアクリル系重合体(a−7)は多段階重合体粒子(I)にも多段階重合体粒子(II)にも属さない。また、このアクリル系重合体粒子(a−7)の平均粒子径は0.56μmであった。概要を表1に示す。
実施例1
アクリル系重合体粒子(a−1)を含むラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、平均粒子径18μmのアクリル系重合体粉末(A−1)を得た。該粉末(A−1)100質量部にDINP100質量部を加え、二軸脱泡ミキサー(小平製作所社製)で混合後、脱気してアクリルゾルを調製した後に、貯蔵安定性、耐ブリードアウト性、硬度、引張り強度、及び引張り伸度を評価した。結果を表2に示す。
実施例2
アクリル系重合体粒子(a−2)を含むラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、平均粒子径24μmのアクリル系重合体粉末(A−2)を得た。該粉末(A−2)100質量部にDINP100質量部を加え、二軸脱泡ミキサー(小平製作所社製)で混合後、脱気してアクリルゾルを調製した後に、貯蔵安定性、耐ブリードアウト性、硬度、引張り強度、及び引張り伸度を評価した。結果を表2に示す。
実施例3
アクリル系重合体粒子(a−3)を含むラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、平均粒子径30μmのアクリル系重合体粉末(A−3)を得た。該粉末(A−3)100質量部にRDP100質量部を加え、二軸脱泡ミキサー(小平製作所社製)で混合後、脱気してアクリルゾルを調製した後に、貯蔵安定性、耐ブリードアウト性、硬度、引張り強度、及び引張り伸度を評価した。結果を表2に示す。
実施例4
アクリル系重合体粒子(a−4)を含むラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、平均粒子径30μmのアクリル系重合体粉末(A−4)を得た。該粉末(A−4)100質量部にRDP100質量部を加え、二軸脱泡ミキサー(小平製作所社製)で混合後、脱気してアクリルゾルを調製した後に、貯蔵安定性、耐ブリードアウト性、硬度、引張り強度、及び引張り伸度を評価した。結果を表2に示す。
比較例1
アクリル系重合体粒子(a−5)を含むラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、平均粒子径16μmのアクリル系重合体粉末(A−5)を得た。該粉末(A−5)100質量部にDINP100質量部を加え、二軸脱泡ミキサー(小平製作所社製)で混合後、脱気してアクリルゾルを調製した後に、貯蔵安定性、耐ブリードアウト性、硬度、引張り強度、及び引張り伸度を評価した。結果を表2に示す。
比較例2
アクリル系重合体粒子(a−6)を含むラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、平均粒子径23μmのアクリル系重合体粉末(A−6)を得た。該粉末(A−6)100質量部にDINP100質量部を加え、二軸脱泡ミキサー(小平製作所社製)で混合後、脱気してアクリルゾルを調製した後に、貯蔵安定性、耐ブリードアウト性、硬度、引張り強度、及び引張り伸度を評価した。結果を表2に示す。
比較例3
アクリル系重合体粒子(a−7)を含むラテックスをスプレードライヤー[L−8型、大川原化工機(株)製]を用いて粉体化し、平均粒子径34μmのアクリル系重合体粉末(A−7)を得た。該粉末(A−7)100質量部にDINP100質量部を加え、二軸脱泡ミキサー(小平製作所社製)で混合後、脱気してアクリルゾルを調製した後に、貯蔵安定性、耐ブリードアウト性、硬度、引張り強度、及び引張り伸度を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005146139
Figure 2005146139
本発明により、貯蔵安定性に優れたアクリル系重合体粉末が提供される。さらに、該アクリル系重合体粉末より、機械的強度、柔軟性、可塑剤保持性に優れ、焼却時に塩化水素ガスを発生しないアクリルゾル及びその成形物が提供される。該アクリルゾルは、例えば、塗料、インキ、接着剤、シーリング剤、車両アンダーコート等として応用することができ、該成形物は、例えば、雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成形品に応用することができる。また、該成形物を例えば紙や布などのシート状物に適用すれば、壁紙、人工皮革、敷物、医療用シート、防水シート等を得ることができ、金属板に適用すれば防蝕性金属板とすることができる。













































Claims (6)

  1. アクリル系重合体粒子を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるアクリル系重合体粉末であって、アクリル系重合体粒子が、前段階重合体(I−a)を含むラテックス中で、後段階重合体(I−b)を形成させて得られる多段階重合体粒子(I)であって、
    前段階重合体(I−a)が、メタクリル酸メチル単位10〜90質量%及びメタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位90〜10質量%である、1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される共重合体であり、
    後段階重合体(I−b)が、メタクリル酸メチル単位50〜99.99質量%、メタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなる1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される架橋重合体であり、
    前段階重合体(I−a)/後段階重合体(I−b)の質量比が50/50〜95/5であるアクリル系重合体粉末。
  2. アクリル系重合体粒子を含有するラテックスを凝固乾燥して得られるアクリル系重合体粉末であって、アクリル系重合体粒子が、前段階重合体(II−a)を含むラテックス中で、中段階重合体(II−b)を形成させて、さらに後段階重合体(II−c)を成形させて得られる多段階重合体粒子(II)であって、
    前段階重合体(II−a)が、アクリル酸メチルエステル単位50〜99.99質量%、アクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなる、1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される架橋重合体であり、
    中段階重合体(II−b)が、メタクリル酸メチル単位50〜100質量%と、アクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位50質量%以下からなる1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される重合体であり、
    後段階重合体(II−c)が、メタクリル酸メチル単位50〜99.99質量%、メタクリル酸メチルエステルと共重合可能な他の単官能性単量体単位49.99質量%以下及び多官能性単量体単位0.01〜10質量%からなる1段階又は互いに単量体組成の異なる連続した2段階以上の重合反応によって形成される架橋重合体であり、
    前段階重合体(II−a)/中段階重合体(II−b)/後段階重合体(II−c)の質量比が10〜30/30〜85/5〜50であるアクリル系重合体粒子(II)であるアクリル系重合体粉末。
  3. 凝固乾燥が噴霧乾燥である請求項1または2に記載のアクリル系重合体粉末。
  4. すべての重合を乳化重合法によって行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系重合体粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系重合体粉末及び可塑剤を含有するアクリルゾル。
  6. 請求項5記載のアクリルゾルから得られる成形物。

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