JP2005112824A - フッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体とその製造法、及び高分子化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 波長300nm以下の光、特にF2エキシマレーザー(157nm)等の真空紫外光に対して透過性の高い高分子化合物を得る上で有用な新規なフッ素原子含有重合性不飽和単量体の製造法を提供する。
【解決手段】 下記式(1)
【化1】
(式中のアダマンタン環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物に、下記式(2)
CH3−M (2)
[式中、Mは金属原子又は−MgX1基(X1はハロゲン原子を示す)を示す]
で表されるメチル化剤を作用させ、得られた反応生成物に、下記式(3)
【化2】
(式中、R1はフッ素原子又はフルオロアルキル基を示し、X2はハロゲン原子を示す)
で表される不飽和アシルハライドを反応させて、下記式(4)
【化3】
(式中、R1は前記に同じ。式中のアダマンタン環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】 下記式(1)
【化1】
(式中のアダマンタン環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物に、下記式(2)
CH3−M (2)
[式中、Mは金属原子又は−MgX1基(X1はハロゲン原子を示す)を示す]
で表されるメチル化剤を作用させ、得られた反応生成物に、下記式(3)
【化2】
(式中、R1はフッ素原子又はフルオロアルキル基を示し、X2はハロゲン原子を示す)
で表される不飽和アシルハライドを反応させて、下記式(4)
【化3】
(式中、R1は前記に同じ。式中のアダマンタン環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物を得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は半導体の微細加工などを行う際に用いるフォトレジスト用樹脂の単量体成分等として有用な新規なフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体とその製造法、及びこの単量体に対応する繰り返し単位を含む高分子化合物に関する。
半導体の製造に用いられるリソグラフィの露光光源は、年々短波長になってきており、波長248nmのKrFエキシマレーザーから波長193nmのArFエキシマレーザーへと移り、次世代の露光光源として波長157nmのF2エキシマレーザーが有望視されている。従来のKrFエキシマレーザー露光用やArFエキシマレーザー露光用のレジストに用いられる樹脂は、真空紫外光(190nm以下の波長の光)に対して充分な透過性を示さない。そこで、このような真空紫外光に対する透過性の高い樹脂として、分子内にフッ素原子を含有する高分子化合物がいくつか提案されている(特許文献1〜4参照)。しかしながら、これらの樹脂においても、真空紫外光に対する透過性(透明性)は必ずしも充分とは言えない。また、露光に用いる光に対する透明性に加え、光照射により照射部が酸によってアルカリ可溶性に変化する性質(酸脱離性)、ドライエッチング耐性(耐エッチング性)及び基板に対する密着性(基板密着性)などの特性をバランスよく備えた樹脂はほとんど無い。
一方、機能性高分子の原料として有用と期待されるα−フルオロアルキル−2−アダマンチルアクリレート類の製造方法として、α−フルオロアルキルアクリル酸誘導体を2−アダマンタノール類と反応させることによりα−フルオロアルキル−2−アダマンチルアクリレート類を得る方法が知られている(特許文献5参照)。しかし、この方法によりアダマンタン環の2位にアルキル基を有するα−フルオロアルキル−2−アダマンチルアクリレート類を得ようとする場合には、原料となる2−アルキル−2−アダマンタノール類の調製が煩雑であるという欠点がある。なお、前記特許文献1には、化学増幅型のレジスト用樹脂の重合単位を形成する単量体の1例として、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン[=α−トリフルオロメチルアクリル酸2−メチル−2−アダマンチル]を示す化学構造式が記載されているが、この文献には、この化合物の物性値もこの化合物をいかにして製造するかについても何ら記載がないだけでなく、この単量体を用いたポリマーの合成例もない。
本発明の目的は、波長300nm以下の光、特にF2エキシマレーザー(157nm)等の真空紫外光に対して透過性の高い高分子化合物の単量体等として有用な新規なフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体とその製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリマーに高い透明性と優れた酸脱離性及び耐エッチング性を付与できるとともに、フォトレジストとして要求される諸機能を付与するための他の単量体と容易に共重合できる新規なフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体とその製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対して高い透明性を有すると共に、酸脱離性及び耐エッチング性に優れた高分子化合物を提供することにある。
本発明の他の目的は、露光に用いる光に対して高い透明性を有するとともに、酸脱離性、耐エッチング性、基板密着性等の諸特性をバランスよく備えた高分子化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、アダマンタノン化合物にメチル化剤を作用させ、得られた反応生成物に特定の不飽和アシルハライドを反応させると、フォトレジスト用高分子化合物の単量体として有用な新規なフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体が収率良く得られることを見出すとともに、この化合物がフォトレジストとして要求される諸機能を付与しうる他の単量体と容易に共重合できること、及びこの共重合により、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対する透明性が高く、しかも酸脱離性、耐エッチング性及び基板密着性等の諸特性をバランスよく備えた高分子化合物が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
(式中のアダマンタン環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物に、下記式(2)
CH3−M (2)
[式中、Mは金属原子又は−MgX1基(X1はハロゲン原子を示す)を示す]
で表されるメチル化剤を作用させ、得られた反応生成物に、下記式(3)
(式中、R1はフッ素原子又はフルオロアルキル基を示し、X2はハロゲン原子を示す)
で表される不飽和アシルハライドを反応させて、下記式(4)
(式中、R1は前記に同じ。式中のアダマンタン環は置換基を有していてもよい)
で表される化合物を得ることを特徴とするフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体の製造法を提供する。
で表される化合物に、下記式(2)
CH3−M (2)
[式中、Mは金属原子又は−MgX1基(X1はハロゲン原子を示す)を示す]
で表されるメチル化剤を作用させ、得られた反応生成物に、下記式(3)
で表される不飽和アシルハライドを反応させて、下記式(4)
で表される化合物を得ることを特徴とするフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体の製造法を提供する。
本発明は、さらに、上記のフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体に対応する繰り返し単位を含む高分子化合物を提供する。この高分子化合物は、さらに、基板密着性機能及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明によれば、波長300nm以下の光、特にF2エキシマレーザー(157nm)等の真空紫外光に対して透過性の高い高分子化合物の単量体として有用な新規なフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体とその収率のよい製造法が提供される。また、ポリマーに高い透明性と優れた酸脱離性及び耐エッチング性を付与できるとともに、フォトレジストとして要求される諸機能を付与するための他の単量体と容易に共重合できる新規なフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体とその収率のよい製造法が提供される。
本発明の高分子化合物は、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対して高い透明性を有すると共に、酸脱離性に優れる。また、フォトレジストとして用いた場合に、酸脱離性、耐エッチング性、基板密着性、親水性等の諸特性をバランスよく発揮する。そのため、該高分子化合物を含むフォトレジスト用樹脂組成物を用いることにより、半導体の製造において微細なパターンを高い精度で形成することができる。
本発明の製造法では、式(1)で表される化合物に式(2)で表されるメチル化剤を作用させ、得られた反応生成物に、式(3)で表される不飽和アシルハライドを反応させる。式(1)中のアダマンタン環は置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシ(ハロ)アルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、オキソ基、ニトロ基、シアノ基、保護基で保護されていてもよいアシル基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル基などのC1-10アルキル基(好ましくは、C1-5アルキル基)などが挙げられる。ハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基などのクロロアルキル基;トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基などのフルオロアルキル基(例えばC1-10フルオロアルキル基、好ましくはC1-5フルオロアルキル基)などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル基などが挙げられる。アリール基の芳香環は、例えば、フッ素原子などのハロゲン原子、メチル基などのC1-4アルキル基、トリフルオロメチル基などC1-5ハロアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基などのC1-4アルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基などのアシル基等の置換基を有していてもよい。ヒドロキシ(ハロ)アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−ヒドロキシエチル基など[好ましくは、ヒドロキシ−C1-4アルキル基、ヒドロキシ−C1-4ハロアルキル基等]が挙げられる。
前記ヒドロキシル基や、ヒドロキシ(ハロ)アルキル基におけるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル基など)等の、ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基などの芳香族アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基など)など、及び、分子内にヒドロキシル基(ヒドロキシメチル基を含む)が2以上存在するときには、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(例えば、メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基など)などが例示できる。
前記アミノ基の保護基としては、例えば、前記ヒドロキシル基の保護基として例示したアルキル基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。また、カルボキシル基、スルホ基の保護基としては、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ基などのC1-6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ヒドラジノ基、アルコキシカルボニルヒドラジノ基、アラルキルカルボニルヒドラジノ基などが挙げられる。
前記アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基などの芳香族アシル基などが挙げられる。アシル基の保護基としては有機合成分野で慣用の保護基を使用できる。アシル基の保護された形態としては、例えば、アセタール(ヘミアセタールを含む)などが挙げられる。
式(1)で表される化合物の代表例として、例えば、2−アダマンタノン、5,7−ジメチル−2−アダマンタノン、1,5−ジメチル−2−アダマンタノンなど挙げられる。
式(2)中、Mにおける金属原子としては、リチウムなどのアルカリ金属、セリウム、チタン、銅などの遷移金属原子などが挙げられる。該金属原子は配位子を有していてもよい。配位子としては、塩素原子などのハロゲン原子、イソプロポキシ基などのアルコキシ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基、シアノ基、アルキル基、リチウム原子などのアルカリ金属原子などが挙げられる。式(2)で表される化合物のうち、Mが−MgX1基である化合物(有機マグネシウム化合物)は、一般にグリニヤール試薬と称される。グリニヤール試薬は通常の方法により調製できる。X1におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
式(2)で表されるメチル化剤の代表的な例として、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヨージド、メチルリチウムなどが挙げられる。有機マグネシウム化合物はハロゲン化銅と組み合わせて用いることもできる。
式(3)中、R1はフッ素原子又はフルオロアルキル基を示し、X2はハロゲン原子を示す。R1におけるフルオロアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6程度(好ましくは1〜3程度)の直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基などが挙げられる。このようなフルオロアルキル基の代表的な例として、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル、ヘプタフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフロオロヘキシル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフロオロヘキシル基などが挙げられる。R1としては、フッ素原子又は炭素数1〜3のフルオロアルキル基が好ましく、中でもトリフルオロメチル基が好ましい。X2におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
式(3)で表される不飽和アシルハライドの代表的な例として、例えば、2−フルオロアクリル酸クロリド、2−フルオロアクリル酸ブロミド等の2−フルオロアクリル酸ハライド;2−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド、2−トリフルオロメチルアクリル酸ブロミド等の2−トリフルオロメチルアクリル酸ハライドなどが挙げられる。
式(1)で表される化合物と式(2)で表されるメチル化剤との反応(前段の反応)は、溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサン、トルエン等の炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。式(2)で表されるメチル化剤の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して1〜1.5モル程度である。反応温度は、原料の種類によっても異なるが、通常−100℃〜150℃程度の範囲から選択できる。式(2)の化合物として、Mが−MgX1で表される基を示す化合物を用いる場合には、反応温度は、一般に0〜150℃、好ましくは20〜120℃程度である。
式(1)の化合物と式(2)のメチル化剤との反応で得られる反応混合物は、そのまま、式(3)で表される化合物との反応(後段の反応)に供することができるが、希釈や濃縮、溶媒交換等の処理を施した後に後段の反応に供してもよい。後段の反応において、式(3)で表される不飽和アシルハライドの使用量は、前段で使用した式(1)で表される化合物1モルに対して、通常1〜1.5モル程度である。後段の反応温度は、例えば0〜150℃程度、好ましくは20〜120℃程度である。
上記反応により、対応する前記式(4)で表される新規なフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体が生成する。反応生成物は、抽出、水洗、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの手段により分離精製できる。
式(4)で表されるフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体の代表的な例として、例えば、2−(2−フルオロ−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン、2−(2−フルオロ−2−プロペノイルオキシ)−2,5,7−トリメチルアダマンタン、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2,5,7−トリメチルアダマンタンなどが挙げられる。
こうして得られるフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体は不飽和アシル基の不飽和部位において重合して高分子化合物を与える。この単量体は、不飽和アシル基の2位の位置(カルボニル基のα位)の炭素原子にフッ素原子又はフッ素原子含有基が結合しているため、波長300nm以下の光、特に真空紫外光に対する高い透明性をポリマーに付与するとともに、分子内に脂環式炭素環であるアダマンタン環を有しているので、優れた耐エッチング性を付与できる。また、この単量体は、不飽和アシルオキシ基が結合している炭素原子の隣接位に少なくとも1つの水素原子が結合した炭素原子が存在するので、酸により脱離反応が進行して前記不飽和アシルオキシ基に相当するカルボン酸とオレフィン化合物とが生成しアルカリ可溶性となることから、酸脱離性付与機能を有している。さらに、この単量体は、フォトレジストとして要求される諸機能(例えば、基板密着性、親水性、透明性、耐エッチング性等)を付与するために用いられる各種単量体、例えば他のアクリル系単量体やビニルエーテル系単量体、環状不飽和単量体などと共重合しやすい。そのため、例えば真空紫外光等に対する透明性に優れ、しかも酸脱離性、基板密着性、親水性、耐エッチング性等の特性をバランスよく具備した高分子化合物を容易に調製することができる。
本発明の高分子化合物は、上記本発明の式(4)で表されるフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体に対応する繰り返し単位(モノマー単位)を含んでいる。該繰り返し単位は1種であってもよく2種以上であってもよい。このような高分子化合物は、上記フッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体を重合に付すことにより得ることができる。
本発明の高分子化合物は、レジストとして要求される諸機能を充分にバランスよく具備するため、上記フッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体に対応する繰り返し単位に加えて、他の繰り返し単位を有していてもよい。このような他の繰り返し単位は、該繰り返し単位に対応する重合性不飽和単量体(例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエーテル類等)を本発明の重合性アダマンタン誘導体と共重合させることにより形成できる。前記他の繰り返し単位としては、例えば、基板密着性及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位、酸脱離性機能を高める繰り返し単位、耐エッチング性機能を高める繰り返し単位、透明性を高める繰り返し単位などが挙げられる。前記親水性機能には、レジスト溶媒やアルカリ現像液に対する溶解性を高める機能が含まれる。また、上記高分子化合物の調製に際しては、共重合を円滑に進行させたり、共重合体組成を均一にするために用いる単量体をコモノマーとして用いることもできる。
基板密着性及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位は、極性基を有する重合性不飽和単量体をコモノマーとして用いることによりポリマーに導入できる。前記極性基として、例えば、保護基を有していてもよいヒドロキシル基、保護基を有していてもよいカルボキシル基、保護基を有していてもよいアミノ基、保護基を有していてもよいスルホ基、ラクトン環含有基などが挙げられる。前記保護基としては有機合成の分野で慣用のもの(例えば、前記例示の保護基)を使用できる。極性基を有する重合性不飽和単量体としてはレジストの分野で公知の化合物を使用できる。極性基を有する重合性不飽和単量体の代表的な例として、例えば、γ,γ−ジメチル−α−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン、1−ビニルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オンなどの分子内にラクトン環を含有する重合性単量体[(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエーテル類等]、2−トリフルオロアクリル酸 4−ヒドロキシシクロヘキシルなどのヒドロキシル基が結合した脂環式炭素環を有する重合性単量体[(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエーテル類等]などが挙げられる。
酸脱離性機能を高める繰り返し単位は、例えば、(1)エステルを構成する酸素原子の隣接位に、第3級炭素を有する炭化水素基や2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基などが結合した(メタ)アクリル酸エステル誘導体、(2)エステルを構成する酸素原子の隣接位に炭化水素基(脂環式炭化水素基、脂肪族炭化水素基、これらが結合した基など)を有しており、且つ該炭化水素基に−COORe基(Reは第3級炭化水素基、2−テトラヒドロフラニル基又は2−テトラヒドロピラニル基を示す)が直接又は連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステル誘導体などをコモノマーとして用いることによりポリマーに導入できる。このような(メタ)アクリル酸エステル誘導体としてはレジストの分野で公知の化合物を使用できる。
耐エッチング性機能を高める繰り返し単位は、例えば、分子内に脂環式構造を有する重合性単量体をコモノマーとして用いることによりポリマーに導入できる。また、真空紫外光等に対する透明性を高める繰り返し単位は、例えば、分子内にフッ素原子を有する重合性単量体をコモノマーとして用いることによりポリマーに導入することができる。
本発明の高分子化合物において、式(4)で表されるフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体に対応する繰り返し単位の割合は特に限定されないが、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、一般には1〜80モル%、好ましくは5〜75モル%、さらに好ましくは10〜70モル%程度である。酸脱離性機能を有する繰り返し単位の総割合は、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、例えば5〜80モル%、好ましくは10〜60モル%程度である。基板密着性機能及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位の割合は、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、例えば20〜95モル%、好ましくは40〜90モル%程度である。
上記フッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体を(共)重合に付して高分子化合物を得るに際し、重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、アクリル系ポリマーを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができるが、特に溶液重合が好適である。溶液重合の際、均質なポリマーを得るため滴下重合法を用いてもよい。
重合溶媒としては公知の溶媒を使用でき、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル類などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。また、重合開始剤として公知の重合開始剤を使用できる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
重合により得られたポリマーは、沈殿又は再沈殿により精製できる。沈殿又は再沈殿溶媒は有機溶媒及び水の何れであってもよく、また混合溶媒であってもよい。沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、例えば、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、カルボン酸(酢酸など)、これらの溶媒を含む混合溶媒等が挙げられる。
高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、例えば1000〜500000程度、好ましくは3000〜50000程度であり、分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.5〜2.5程度である。なお、前記Mnは数平均分子量を示し、Mn、Mwともにポリスチレン換算の値である。
フォトレジスト用樹脂組成物は、上記の高分子化合物と光酸発生剤とを混合することにより調製できる。フォトレジスト用樹脂組成物は、レジスト性能を損なわない範囲で、前記高分子化合物以外のポリマーを含んでいてもよい。
光酸発生剤としては、露光により効率よく酸を生成する慣用乃至公知の化合物、例えば、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(例えば、ジフェニルヨードヘキサフルオロホスフェートなど)、スルホニウム塩(例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネートなど)、スルホン酸エステル[例えば、1−フェニル−1−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ−1−ベンゾイルメタン、1,2,3−トリスルホニルオキシメチルベンゼン、1,3−ジニトロ−2−(4−フェニルスルホニルオキシメチル)ベンゼン、1−フェニル−1−(4−メチルフェニルスルホニルオキシメチル)−1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルメタンなど]、オキサチアゾール誘導体、s−トリアジン誘導体、ジスルホン誘導体(ジフェニルジスルホンなど)、イミド化合物、オキシムスルホネート、ジアゾナフトキノン、ベンゾイントシレートなどを使用できる。これらの光酸発生剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
光酸発生剤の使用量は、光照射により生成する酸の強度やポリマーおける各繰り返し単位の比率などに応じて適宜選択でき、例えば、高分子化合物100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択できる。
フォトレジスト用樹脂組成物は、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂など)などのアルカリ可溶成分、着色剤(例えば、染料など)、有機溶媒(例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エステル類、アミド類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、グリコールエーテルエステル類、これらの混合溶媒など)、塩基性化合物(ヒンダードアミン化合物など)、界面活性剤、溶解阻止剤、増感剤、安定剤などを含んでいてもよい。
こうして得られるフォトレジスト用樹脂組成物を基材又は基板上に塗布し、乾燥した後、所定のマスクを介して、塗膜(レジスト膜)に光線を露光して(又は、さらに露光後ベークを行い)潜像パターンを形成し、次いで現像することにより、微細なパターンを高い精度で形成できる。
基材又は基板としては、シリコンウエハ、金属、プラスチック、ガラス、セラミックなどが挙げられる。フォトレジスト用樹脂組成物の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータなどの慣用の塗布手段を用いて行うことができる。塗膜の厚みは、例えば0.01〜20μm、好ましくは0.05〜1μm程度である。
露光には、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線などが利用でき、半導体レジスト用では、通常、g線、i線、エキシマレーザー(例えば、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArCl、F2、Kr2、KrAr、Ar2等)などが使用される。露光エネルギーは、例えば0.1〜1000mJ/cm2程度である。
光照射により光酸発生剤から酸が生成し、この酸により、例えば前記高分子化合物の酸脱離性基の脱離部位が速やかに脱離して、可溶化に寄与するカルボキシル基等が生成する。そのため、水又はアルカリ現像液による現像により、所定のパターンを精度よく形成できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、ポリマーの構造式中の括弧の右下の数字は該繰り返し単位(モノマー単位)に対応する単量体の仕込みモル%を示す。重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、検出器として屈折率計(RI)を用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたGPC測定により、標準ポリスチレン換算で求めた。GPCは、昭和電工(株)製のカラムKF−806L(商品名)を3本直列につないだものを使用し、カラム温度40℃、RI温度40℃、溶離液の流速0.8ml/分の条件で行った。
製造例1
温度計を備えた3つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジオール11.6g(0.1mol)、トリエチルアミン12.1g(0.12mol)、テトラヒドロフラン200mlを入れ、窒素気流下、氷冷しつつ撹拌した。この混合液中に、2−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド19.0g(0.12mol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、濃縮残渣に純水を300ml加え、酢酸エチル300mlで2回抽出した。有機層を合わせ、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液300ml、10重量%食塩水300mlでそれぞれ洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、下記式(5)で表される2−トリフルオロメチルアクリル酸 4−ヒドロキシシクロヘキシル[=1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−ヒドロキシシクロヘキサン]13.8g(0.058mol)を得た。
温度計を備えた3つ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジオール11.6g(0.1mol)、トリエチルアミン12.1g(0.12mol)、テトラヒドロフラン200mlを入れ、窒素気流下、氷冷しつつ撹拌した。この混合液中に、2−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド19.0g(0.12mol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、濃縮残渣に純水を300ml加え、酢酸エチル300mlで2回抽出した。有機層を合わせ、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液300ml、10重量%食塩水300mlでそれぞれ洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、下記式(5)で表される2−トリフルオロメチルアクリル酸 4−ヒドロキシシクロヘキシル[=1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−ヒドロキシシクロヘキサン]13.8g(0.058mol)を得た。
なお、下記実施例において単量体として用いたγ,γ−ジメチル−α−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン[下記式(6)]は、α−ヒドロキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトンと酢酸ビニルとから、特開2003−73321号公報記載の方法に準じて合成し、減圧蒸留にて精製したものを用いた。
また、1−ビニルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン[下記式(7)]は、1−ヒドロキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オンと酢酸ビニルから、特開2003−73321号公報記載の方法に準じて合成し、アルミナカラムクロマトグラフィーにて精製したものを用いた。
実施例1
反応は全て窒素雰囲気下で行った。温度計を備えた3つ口フラスコに、1M−メチルマグネシウムブロミド−テトラヒドロフラン溶液110mlを入れた。この溶液に、室温で撹拌しつつ、2−アダマンタノン15gとテトラヒドロフラン200mlの混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を加熱還流させつつ2時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、撹拌しつつ、2−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド18gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を加熱還流させながら2時間撹拌した。反応液を室温まで放冷した後、10重量%食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで2回抽出を行った。有機層を合わせ、10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、10重量%食塩水500mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式(8)で表される2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン[=2−(2−(トリフルオロメチル)アクリロイルオキシ)−2−メチルアダマンタン]16.7gを得た。
[2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタンのスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:1.58(m, 1H), 1.61(m, 1H), 1.69(s, 3H), 1.73(m, 2H), 1.76(m, 1H), 1.79(m, 1H), 1.83(m, 2H), 1.89(m, 1H), 1.91(m, 1H), 2.02(m, 1H), 2.04(m, 1H), 2.36(m, 2H), 6.34(m, 1H), 6.66(m , 1H)
反応は全て窒素雰囲気下で行った。温度計を備えた3つ口フラスコに、1M−メチルマグネシウムブロミド−テトラヒドロフラン溶液110mlを入れた。この溶液に、室温で撹拌しつつ、2−アダマンタノン15gとテトラヒドロフラン200mlの混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を加熱還流させつつ2時間撹拌した。反応液を室温まで放冷し、撹拌しつつ、2−トリフルオロメチルアクリル酸クロリド18gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を加熱還流させながら2時間撹拌した。反応液を室温まで放冷した後、10重量%食塩水500mlを加え、酢酸エチル500mlで2回抽出を行った。有機層を合わせ、10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、10重量%食塩水500mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式(8)で表される2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン[=2−(2−(トリフルオロメチル)アクリロイルオキシ)−2−メチルアダマンタン]16.7gを得た。
[2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタンのスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:1.58(m, 1H), 1.61(m, 1H), 1.69(s, 3H), 1.73(m, 2H), 1.76(m, 1H), 1.79(m, 1H), 1.83(m, 2H), 1.89(m, 1H), 1.91(m, 1H), 2.02(m, 1H), 2.04(m, 1H), 2.36(m, 2H), 6.34(m, 1H), 6.66(m , 1H)
実施例2
下記構造の高分子化合物の合成
還流管、撹拌子、3方コックを備えた100ml丸底フラスコに、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン4.70g(16.3mmol)、γ,γ−ジメチル−α−ビニルオキシ−γ−ブチロラクトン3.64g(23.3mmol)、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−ヒドロキシシクロヘキサン1.66g(7.0mmol)、及び開始剤[和光純薬工業(株)製、商品名「V−65」]0.10gを入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)5.0gに溶解させた。続いて、フラスコ内を乾燥窒素置換した後、反応系の温度を60℃に保ち、窒素雰囲気下、3時間撹拌した。反応液をテトラヒドロフラン30.0gで希釈し、続いてヘキサン450gと酢酸エチル50gの混合液500gに滴下して、生じた沈殿物を濾過することで精製を行った。回収した沈殿物を減圧乾燥後、テトラヒドロフラン35gに溶解し、続いてヘキサン450gと酢酸エチル50gの混合液500gに滴下して、生じた沈殿物を濾別することで精製を繰り返した。減圧乾燥後に得られたポリマーは6.7gであった。このポリマーをGPC分析したところ、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が7200、分子量分布が2.06であった。また、13C−NMR(CDCl3中)分析の結果、ポリマーの組成は34:46:20(モル比)(構造式の左から順)であった。
下記構造の高分子化合物の合成
実施例3
下記構造の高分子化合物の合成
原料モノマーとして、2−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−2−メチルアダマンタン4.79g(16.6mmol)、1−ビニルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン4.94g(23.7mmol)、1−(2−トリフルオロメチル−2−プロペノイルオキシ)−4−ヒドロキシシクロヘキサン1.70g(7.1mmol)を使用したほかは、実施例2と同様の手順で高分子化合物を合成した。減圧乾燥後に得られたポリマーは6.5gであった。このポリマーをGPC分析したところ、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が6900、分子量分布が1.95であった。また、13C−NMR(CDCl3中)分析の結果、ポリマーの組成は33:44:23(モル比)(構造式の左から順)であった。
下記構造の高分子化合物の合成
評価試験
(ポリマーの透過率)
上記実施例2及び3で得られた各ポリマーについて、該ポリマー1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)10gに溶解させ、0.2μmのフィルターで濾過してポリマー溶液を調製した。これらのポリマー溶液をMgF2基板上にスピンコートにより塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で120秒間ベークし、膜厚100nmのポリマー膜を作製した。このポリマー膜の波長157nmにおける光の透過率を真空紫外光度計[日本分光(株)製、VUV−200S]を使用して測定したところ、何れの場合も45%以上であった。
(ポリマーの透過率)
上記実施例2及び3で得られた各ポリマーについて、該ポリマー1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)10gに溶解させ、0.2μmのフィルターで濾過してポリマー溶液を調製した。これらのポリマー溶液をMgF2基板上にスピンコートにより塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で120秒間ベークし、膜厚100nmのポリマー膜を作製した。このポリマー膜の波長157nmにおける光の透過率を真空紫外光度計[日本分光(株)製、VUV−200S]を使用して測定したところ、何れの場合も45%以上であった。
(レジストの調製及びパターンの形成)
上記実施例2及び3で得られた各ポリマーについて、該ポリマー100重量部とトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート10重量部とを溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と混合して、ポリマー濃度17重量%のフォトレジスト用樹脂組成物を調製した。この組成物をシリコンウエハーにスピンコーティング法により塗布し、厚み300nm(0.3μm)の感光層を形成した。ホットプレートにより温度100℃で150秒間プリベークした後、波長247nmのKrFエキシマレーザーを用い、マスクを介して、照射量30mJ/cm2で露光した後、100℃の温度で60秒間ポストベークした。次いで、0.3Mのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により60秒間現像し、純水でリンスしたところ、0.20μmのライン・アンド・スペースパターンが得られた。
上記実施例2及び3で得られた各ポリマーについて、該ポリマー100重量部とトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート10重量部とを溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と混合して、ポリマー濃度17重量%のフォトレジスト用樹脂組成物を調製した。この組成物をシリコンウエハーにスピンコーティング法により塗布し、厚み300nm(0.3μm)の感光層を形成した。ホットプレートにより温度100℃で150秒間プリベークした後、波長247nmのKrFエキシマレーザーを用い、マスクを介して、照射量30mJ/cm2で露光した後、100℃の温度で60秒間ポストベークした。次いで、0.3Mのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により60秒間現像し、純水でリンスしたところ、0.20μmのライン・アンド・スペースパターンが得られた。
Claims (4)
- 請求項2記載のフッ素原子含有重合性アダマンタン誘導体に対応する繰り返し単位を含む高分子化合物。
- さらに、基板密着性機能及び/又は親水性機能を有する繰り返し単位を含む請求項3記載の高分子化合物。
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