JP2005105974A - 火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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光夫 人見
Satoru Matsuzaki
覚 松▲崎▼
Hiroyuki Maeda
広幸 前田
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Abstract

【課題】 リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、ノッキングの発生を抑制することによって、更に大きな燃費改善効果を得る。
【解決手段】 火花点火式エンジン1の制御装置において、先行気筒2Aから排出されるガスが後続気筒2Bに導入され、その排ガスが排気通路20に導かれるような2気筒接続状態とし、先行気筒2Aでリーン空燃比での成層燃焼を行わせ、その既燃ガスを後続気筒2Bに導入させて新たに供給された燃料とともに均質燃焼を行わせる特殊運転モードを有し、空燃比制御手段と、点火制御手段と、ノッキング検知手段とを備え、特殊運転モード中、後続気筒2Bでアシスト点火を伴う圧縮自己着火を行わせ、高負荷側領域で後続気筒2BのEGR率を増大させるとともに、着火アシストリタードを行って耐ノック性を高め、更にノッキングが検知されたときには、先行気筒2Aの空燃比をよりリッチ側に変更する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、火花点火式エンジンの制御装置に関し、より詳しくは、多気筒エンジンにおいて燃費改善及びコスト低減が図られるように各気筒での燃焼がなされる火花点火式エンジンの制御装置に関するものである。
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費改善を図る技術が研究されており、燃焼室内に直接燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)を備え、低回転低負荷域等では上記インジェクタから圧縮行程で燃料を噴射することにより成層燃焼を行わせ、これによって超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなエンジンにおいては、排気ガス浄化用の触媒として通常の三元触媒(HC,CO及びNOxに対して理論空燃比付近で浄化性能の高い触媒)だけではリーン運転時にNOxに対して充分な浄化性能が得られないため、酸素過剰雰囲気でNOxを吸着して酸素濃度低下雰囲気でNOxの離脱、還元を行うリーンNOx触媒を設けている。そして、このようなリーンNOx触媒を用いる場合、リーン運転中にリーンNOx触媒のNOx吸着量が増大したときは、例えば上記引用文献1に示されるように主燃焼以外に膨張行程中に追加燃料を噴射することで排気ガスの空燃比をリッチ化するとともにCOを生成し、これによってNOxの離脱、還元を促進するようにしている。
特開平10−274085号公報
上記のようなリーン運転を行うエンジンでは、リーン運転中のNOx浄化性能の確保のために上記リーンNOx触媒を必要とする。そして、高負荷域等の理論空燃比で運転される領域での排気浄化のために三元触媒も必要であって、この三元触媒に加えて上記リーンNOx触媒が設けられ、かつ、このリーンNOx触媒はNOx吸着量をある程度確保するために比較的大容量が必要となり、また、三元触媒と比べて高価であるため、コスト的に不利である。
しかも、上記リーンNOx触媒の浄化性能を維持するためには、上述のようにNOx吸着量が増大するような所定の期間毎に、NOxの離脱、還元のため追加燃料の供給等による一時的な空燃比のリッチ化を行う必要があり、これにより、リーン燃焼による燃費改善効果が目減りしてしまうことになる。
このような課題に対し、本願出願人は、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行う多気筒エンジンの制御装置において、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路が構成され、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせるように燃焼状態等を制御することを考えた(特願2002−024548号)。以下このような燃焼を行う運転モードを特殊運転モードという。
少なくとも低負荷低回転域で特殊運転モードを適用すると、先行気筒ではリーン空燃比での燃焼が行われ、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、また、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスと新たに供給された燃料とともに均質燃焼が行われて、ポンピングロス低減による燃費改善効果が得られる。しかも、後続気筒での空燃比を実質的な理論空燃比(既燃ガス中の残存酸素量と燃焼に供される燃料との関係が理論空燃比の関係にある)とすれば、排気通路には三元触媒を設けるだけで充分に排気浄化がなされ、従来リーン空燃比での燃焼を行う場合に必要とされていたリーンNOx触媒が不要となり、コスト低減と一層の燃費改善を図ることができる。
特に特殊運転モードにおいて、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行うと更に燃費改善効果が高くなる。圧縮自己着火は、点火プラグによる強制点火を行わず、圧縮行程後半で燃焼室内を高温、高圧とすることによって燃料に自己着火させるものである。圧縮自己着火を行わせると、燃焼室全体に亘り一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、燃費改善に一層有利となる。後続気筒で圧縮自己着火を行わせるためには、燃焼室内を高温、高圧にする必要があるが、特殊運転モードでは先行気筒からの高温の既燃ガスを後続気筒に導入するため、圧縮自己着火が可能となる。
特殊運転モードは、先行気筒と後続気筒とで消費される空気(酸素)量を先行気筒のみで吸気するので、低出力(低負荷低回転)領域に適している。しかし、燃費改善効果をより多く得るためには、その適用領域をより高出力(高負荷ないし高回転)領域に拡大することが望まれる。ところが、高出力になるほど後続気筒の筒内温度が高くなり、ノッキングが発生し易くなるので、特殊運転モードの適用領域をあまり拡大することができなかった。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、ノッキングの発生を抑制することによって、更に大きな燃費改善効果が得られる火花点火式エンジンの制御装置を提供するものである。
請求項1の発明は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンの制御装置において、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路が構成され、運転モードとして、少なくとも、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせる特殊運転モードを有し、上記各気筒での空燃比を設定する空燃比制御手段と、上記各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を設定する点火制御手段と、エンジンのノッキングを検知するノッキング検知手段とを備え、上記特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、上記点火制御手段がアシスト点火の時期を遅らせる着火アシストリタードを行って耐ノック性を高め、更に上記ノッキング検知手段によってノッキングが検知されたときには、上記空燃比制御手段が、上記先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更することを特徴とする。
この構成によると、特殊運転モードにおいて、先行気筒ではリーン空燃比での燃焼が行われ、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、また、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて均質燃焼が行われて、ポンピングロス低減による燃費効果が得られる。
また、後続気筒での空燃比を実質的な理論空燃比とすれば、排気通路には三元触媒を設けるだけで充分に排気浄化がなされるのでリーンNOx触媒が不要となり、コスト低減と一層の燃費改善を図ることができる。
更に、特殊運転モードでの運転中、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせると、より燃費改善効果を高めることができる。また、圧縮自己着火させる直前に、点火プラグで火花を発生させるアシスト点火を行うと、安定して圧縮自己着火を行わせることができるとともに、その点火時期を調節することによって、圧縮自己着火の着火タイミングを制御することができる。
本発明の構成によると、このように特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR(排気再循環)率を増大させるので、不活性ガス量が増大し、燃焼温度が下がる。その結果、ノッキングの発生を抑制することができる。
なお、特に記す場合を除き、当明細書ではEGR率を筒内に吸入した新気量に対するEGRガス量の比率とする。特に特殊運転モードにおける後続気筒の場合、主たるEGRガスとして、先行気筒から後続気筒に送られる既燃ガス中のEGR相当分(不活性ガス)とする(これを特に内部EGRという)。更に、排気管から分岐したEGR通路によって排気を吸気側に導いたもの(外部EGR)や、吸排気時のガス流によって排気を再循環させたもの(従来の一般的な内部EGR)を付加しても良い。
更に上記点火制御手段がアシスト点火の時期を遅らせる着火アシストリタードを行う。着火アシストリタードを行うと、圧縮自己着火のタイミングも遅れるので、燃焼温度が低下し、耐ノック性が高められる。この着火アシストリタードは、ノッキングが発生したとき(ノッキング検知手段によってノッキングが検知されたとき)から行う(請求項2)ようにしても良く、ノッキングの発生しやすい状態のときに予め行うようにしても良い。
そして更にノッキングが発生したときには、上記空燃比制御手段が、上記先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する。先行気筒の空燃比をリッチ側(但し理論空燃比よりはリーン)に変更すると、先行気筒で消費される新気量が増大するとともに、後続気筒で消費される新気量が減少する。つまり後続気筒の内部EGR率が高くなる。その結果、燃焼温度が更に低下し、ノッキングの発生を一層抑制することができる。
それでもなおノッキングが発生したときには先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、後続気筒での燃焼を行わないようにする(請求項2)。こうすることで、後続気筒でのノッキングを確実に防止することができる。
以上のように、ノッキングの発生状況に応じて耐ノック性を段階的に強化するようにしているので、比較的高負荷域であっても、ノッキングの発生を可及的に抑制することができる。換言すれば、耐ノック性を段階的に強化するようにしているので、特殊運転モードが適用できる運転領域を高負荷側へ可及的に拡大することができ、大幅な燃費低減を図ることができる。
請求項1の構成において、吸気通路から各気筒の吸気ポートに新気を導入するとともに各気筒の排気ポートから排出される排気ガスを上記排気通路に導く各気筒独立状態となるガス流通経路が構成され、運転モードとして、ガス流通経路を上記各気筒独立状態として各気筒で燃焼を行わせる通常運転モードを有し、上記着火アシストリタードは、上記ノッキング検知手段によってノッキングが検知されるのに伴って開始し、この着火アシストリタード中、更にノッキングが検知されたときには、上記先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する制御を行い、この先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する制御中、更にノッキングが検知されたときには、運転モードを上記特殊運転モードから上記通常運転モードに切換える(請求項3)ようにしても良い。
この構成によると、耐ノック性を最も高くする手段として、運転モードを特殊運転モードから通常運転モードに切換えるようにしている。通常運転モードは、従来の一般的なエンジンの燃焼形態であって、各気筒に外気温程度の新気を吸気して燃焼を行わせる。従って特殊運転モードよりも後続気筒の筒内温度が低くなり、耐ノック性を充分高めることができる。また、通常運転モードで点火時期をリタードさせれば確実にノッキングが回避できる。
請求項4の発明は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンの制御装置において、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路が構成され、運転モードとして、少なくとも、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせる特殊運転モードを有し、上記各気筒での空燃比を設定する空燃比制御手段と、上記各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を設定する点火制御手段と、エンジンのノッキングを検知するノッキング検知手段とを備え、上記特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、上記点火制御手段がアシスト点火の時期を遅らせる着火アシストリタードを行い、この着火アシストリタード中、上記ノッキング検知手段によってノッキングが所定回数以上連続して検知されたときには、上記先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、上記後続気筒での燃焼を行わないようにすることを特徴とする。
この構成によると、請求項1の構成と同様、特殊運転モードにおいて、熱効率の向上とポンピングロスの低減によって大幅な燃費改善効果が得られるとともに、後続気筒での空燃比を実質的な理論空燃比とすることによってリーンNOx触媒が不要となり、コスト低減と一層の燃費改善を図ることができる。更に、特殊運転モードでの運転中、後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせ、燃費改善効果を高めることができる。
そして、特殊運転モードでの運転中、後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、点火制御手段が着火アシストリタードを行うことによって耐ノック性を高めることができる。
ところでノッキングの形態として、発生しても1回乃至数回以内に収まるもの(いわゆる一発ノック)がある。一発ノックは負荷が比較的急に増大した場合に起こり易いが、上記構成によると、ノッキングが所定回数以上連続して発生したときに上記先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、上記後続気筒での燃焼を行わないようにしている。つまり一発ノックに対しては対応を保留するので、ノッキング抑制制御が頻繁に切換わることを防止している。そして、ノッキングが所定回数以上連続して発生したときに先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、後続気筒での燃焼を行わないようにして確実にノッキングを防止するようにしている。
請求項5の発明は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンの制御装置において、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路と、吸気通路から各気筒の吸気ポートに新気を導入するとともに各気筒の排気ポートから排出される排気ガスを上記排気通路に導く各気筒独立状態となるガス流通経路とが構成され、運転モードとして、低負荷低回転の運転領域で選択され、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせる特殊運転モードと、高負荷ないし高回転側の運転領域で選択され、ガス流通経路を上記各気筒独立状態として各気筒で燃焼を行わせる通常運転モードとを有し、上記各気筒での空燃比を設定する空燃比制御手段と、上記各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を設定する点火制御手段と、エンジンのノッキングを検知するノッキング検知手段とを備え、上記特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、その運転領域から所定以上の負荷増大率で上記通常運転モードとすべき運転領域に移行したときには、上記先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、上記後続気筒での燃焼を行わないようにする制御を所定期間行った後、上記通常運転モードに移行することを特徴とする。
この構成によると、請求項1の構成と同様、特殊運転モードにおいて、熱効率の向上とポンピングロスの低減によって大幅な燃費改善効果が得られるとともに、後続気筒での空燃比を実質的な理論空燃比とすることによってリーンNOx触媒が不要となり、コスト低減と一層の燃費改善を図ることができる。更に、特殊運転モードでの運転中、後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせ、燃費改善効果を高めることができる。
そして、特殊運転モードでの運転中、後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、点火制御手段が着火アシストリタードを行うことによって耐ノック性を高めることができる。
更に、その運転領域から所定以上の負荷増大率で通常運転モードとすべき運転領域に移行したとき(一発ノックが起こり易い)は、先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、後続気筒での燃焼を行わないようにする制御を所定期間行った後、上記通常運転モードに移行するようにしているので、通常運転モードに切換えるための時間を待つことなく、速やかに一発ノックを抑制することができる。この所定期間の制御は、ノッキングの発生に伴って行っても良いし、ノッキングの発生に拘わらず行うようにしても良い。後者の場合は、瞬間的に負荷が急増した場合の通常運転モードへの移行を一旦保留することにもなるので、その後すぐ負荷が急減して特殊運転モードとすべき運転領域に復帰する、スパイク的な変化があった場合、ガス流通経路を2気筒接続状態のままとすることができる。なお、上記所定期間は、予め定められた時間であっても、ノッキングが収まるまでの期間など、ノッキングの度合に応じて変動するものであっても良い。
以上のように本発明の火花点火式エンジンの制御装置は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンの制御装置において、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路が構成され、運転モードとして、少なくとも、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせる特殊運転モードを有し、上記各気筒での空燃比を設定する空燃比制御手段と、上記各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を設定する点火制御手段と、エンジンのノッキングを検知するノッキング検知手段とを備え、上記特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、上記点火制御手段がアシスト点火の時期を遅らせる着火アシストリタードを行って耐ノック性を高め、更に上記ノッキング検知手段によってノッキングが検知されたときには、上記空燃比制御手段が、上記先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更することを特徴とするので、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、ノッキングの発生を抑制することによって、更に大きな燃費改善効果を得ることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態による装置を備えたエンジン全体の概略平面図であり、図2はエンジン本体1の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示す断面図である。
これらの図において、エンジン本体1は複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。
各気筒2A〜2Dの燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備されている。点火プラグ7は、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでおり、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射するインジェクタ9(燃料噴射弁)が設けられている。インジェクタ9は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、このインジェクタ9には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート11、11a,11b及び排気ポート12、12a,12bが開口し、これらのポートに吸気通路15、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31b、後続気筒排気弁32、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32b(これらの弁は従来エンジンの吸排気弁に相当する)が設けられている。更にその上方にはカムシャフト33,34が設けられている。またエンジン本体1にはノッキングの発生時の振動を検出する圧電素子からなるノックセンサ27が設けられている。
そして、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっている(図8参照)。
排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程が重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)へ既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。当実施形態の4気筒エンジンでは、1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が重なる(図8参照)ので、1番気筒2Aと2番気筒2B、及び、4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2A及び4番気筒2Dが先行気筒、2番気筒2B及び3番気筒2Cが後続気筒となる。
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路及び気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。
先行気筒である1番気筒2A及び4番気筒2Dには、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2B及び3番気筒2Cには、それぞれ、新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒からの既燃ガスを導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路に送り出すための排気ポート12とが配設されている。
図1に示す例では、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室の一方側半部に並列的に設けられる一方、1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bならびに2番,3番気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11b及び排気ポート12が、燃焼室の他方側半部に並列的に設けられている。
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。なお、吸気通路15における集合部より上流の共通吸気通路には吸気流量を検出するエアフローセンサ19が設けられている。
1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび2番,3番気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間及び3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間にそれぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端が接続されている。
気筒間ガス通路22には、酸素濃度に応じて出力がリニアに変化するリニアO2センサ25が設けられており、その出力に応じ、所定のリーン空燃比とされる先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量がフィードバック制御される。
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するO2センサ23が設けられている。O2センサ23は、理論空燃比付近で出力が急変するλO2センサであり、このO2センサ23の出力に基いて後続気筒2B,2C(各気筒独立状態のときは気筒2A,2Dを含む)に対する燃料噴射量がフィードバック制御される。さらにO2センサ23の下流の排気通路20には排気浄化用の三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λがλ=1)付近にあるときにHC,CO及びNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。
その他、図1及び図2には示さないが、エンジン回転数を検出する回転数センサ28及びアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ29(それぞれ図3参照)が設けられている。
各気筒の吸・排気ポートを開閉する各弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、先行気筒排気弁32a及び既燃ガス排出弁32bが設けられ、また、2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11b及び排気ポート12にはそれぞれ後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32が設けられている。これらの各弁は、各気筒が吸気行程または排気行程にあるときにカムシャフト33,34に一体成形されたカムに押し下げられて開く。
弁停止機構35は、各弁を作動状態と停止状態とに切換えるもので、後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31b、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32bに設けられている。その機構は従来から知られているため詳しい図示は省略するが、例えば、カムと弁軸との間に介装されたタペットに作動油の給排が可能な油圧室が設けられ、この油圧室に作動油が供給されている状態ではカムの作動が弁に伝えられて弁が開閉作動され、油圧室から作動油が排出されたときにはカムの作動が弁に伝えられなくなることで弁が停止されるようになっているものである。後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aの弁停止機構35に対する作動油給排用の通路36には、第1コントロール弁37が設けられており、既燃ガス導入弁31bおよび既燃ガス排出弁32bに対する作動油給排用の通路38には、第2コントロール弁39が設けられている(図3参照)。
図3は当実施形態における制御系統のブロック図である。この図において、マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)40には、エアフローセンサ19、O2センサ23、リニアO2センサ25、ノックセンサ27、回転数センサ28及びアクセル開度センサ29からの信号がそれぞれ入力される。このECU40から、点火回路8、各インジェクタ9、多連スロットル弁17のアクチュエータ18及び第1,第2のコントロール弁37,39のそれぞれに対して制御信号が出力される。
上記ECU40は、運転状態に応じて運転モードを切換え、最適な燃焼状態となるようにガス流通経路の切換えや燃焼制御を行うものであって、運転状態判別手段41、弁停止機構制御手段42、空燃比制御手段43及び点火制御手段46を備えている。
運転状態判別手段41は、図4に示すように、エンジンの運転領域が低負荷低回転側の運転領域Aと、高負荷側ないし高回転側の運転領域Bとに分けられた制御用マップを有し、上記回転数センサ28及びアクセル開度センサ29等からの信号により調べられるエンジンの運転状態(エンジン回転数及びエンジン負荷)が上記運転領域A,Bのいずれの領域にあるかを判別するものである。そして、運転状態判別手段41は、この判別に基づき、低負荷低回転側の運転領域Aでは、排気行程にある先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒2B,2Cに導入して燃焼させる特殊運転モードを選択し、高負荷側ないし高回転側の運転領域Bでは、各気筒2A〜2Dをそれぞれ独立させ燃焼させる通常運転モードを選択するようになっている。
また、運転状態判別手段41は、運転状態が特殊運転モード領域Aにある場合に、この領域Aのうちの低負荷側運転領域A1、中負荷運転領域A2、高負荷側運転領域A3のいずれにあるかを判別するようになっている。
弁停止機構制御手段42は、特殊運転モードでは気筒間ガス通路22を介して先行気筒2A,2Dの既燃ガスを後続気筒2B,2Cに導入させる2気筒接続状態とし、通常運転モードでは各気筒2A〜2Dにそれぞれ新気を導入させる各気筒独立状態とするように吸・排気流通状態を変更すべく弁停止機構35を制御するもので、具体的には制御モードが特殊運転モード(運転領域A)、通常運転モード(運転領域B)のいずれにあるかに応じ、上記各コントロール弁37,39を制御することにより、各弁停止機構35を次のように制御する。
特殊運転モード:第1排気弁32a及び第1吸気弁31aを停止状態
第2排気弁32b及び第2吸気弁31bを作動状態
通常運転モード:第1排気弁32a及び第1吸気弁31aを作動状態
第2排気弁32b及び第2吸気弁31bを停止状態
空燃比制御手段43は、運転モードや運転状態に応じで各気筒2A〜2Dの空燃比を適正に設定するものであり、吸入空気量制御手段44及び燃料噴射制御手段45を備える。
吸入空気量制御手段44は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。
すなわち、吸入空気量制御手段44は、運転状態に応じてスロットル開度を制御することにより、各気筒内に所定量の新気(吸入新気)を吸入するように制御する。この吸入新気の量(吸入新気量Vv)は、図5に示すように、特殊運転モードとされる運転領域Aでは、先行気筒2A,2Dでの燃焼により消費される新気量(消費新気量Vf)と後続気筒2B,2Cでの燃焼により消費される新気量(残存新気量Va)との和であり、各気筒の行程容積(1行程でピストンが排除する容積)Vsの範囲内で設定されている。また、この吸入新気量Vvは、先行気筒2A,2Dおよび後続気筒2B,2Cの2気筒に噴射される燃料の総噴射量に対して理論空燃比となるように設定され、要求出力に応じた燃料の燃焼に必要な量であって、エンジンの負荷増大に伴って増大されるようになっている。
燃料噴射制御手段45は、各気筒2A〜2Dに設けられたインジェクタ9からの燃料噴射量及び噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御する。特殊運転モードにおいて、燃料噴射制御手段45は、エンジンの負荷が増大するのに応じて上記先行気筒2A,2Dおよび後続気筒2B,2Cの2気筒に噴射される燃料の総噴射量を負荷に応じて増大させるように調整しつつ、この特殊運転モードにおいて一対の気筒の両方に対する燃料噴射量の和が先行気筒2A,2Dに導入される空気の量に対して理論空燃比となる量に調整するとともに、燃料の総噴射量を各気筒2A〜2Dに分配することにより先行気筒2A,2Dに噴射する燃料を調整して先行・後続の各気筒における燃焼の割合を制御する。すなわち、燃料噴射制御手段45は、上記先行気筒2A,2Dに噴射する燃料を制御することによりこの先行気筒2A,2Dで消費される新気量を制御して、この結果、先行気筒2A,2Dから後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス中に含まれる新気量(残存新気量Va)を制御することになる。なお、当実施形態では新気量は標準大気状態での容積として表しており、新気重量を標準状態の空気密度で除したものをいう。
そして燃料噴射制御手段45は、負荷が増大するに伴い先行気筒2A,2Dでの空燃比を、高負荷になるほど順次リッチ側に移行するように設定する。即ち、エンジンの運転状態が低負荷側運転領域A1にあると判定された場合には、理論空燃比よりも大きい超リーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略3倍(空燃比A/F≒45、空気過剰率λ≒3)以上になるように設定する。またエンジンの運転状態が中負荷運転領域A2にあると判定された場合には、低負荷側運転領域A1にある場合よりも小さい(リッチ側の)リーン空燃比であって、好ましくは理論空燃比の略2倍ないし3倍程度(A/F≒30〜45、λ≒2〜3)となるように設定する。そしてエンジンの運転状態が高負荷側運転領域A3にあると判定された場合には、中負荷運転領域A2にある場合よりもリッチ側のリーン空燃比であって、好ましくは理論空燃比の略2倍(A/F≒30、λ≒2)よりも小さくなるように設定する。
ところで、先行気筒2A,2Dの空燃比をリッチ化するということは、吸入新気量Vvに占める先行消費新気量Vfの割合を増大させることになる。これはまた、後続気筒2B,2Cに導かれる不活性ガスの割合を増大(EGR率を増大)させることでもある。上述のように、(吸入新気量Vv)=(先行消費新気量Vf)+(残存新気量Va)という関係があるので、先行気筒2A,2Dの空燃比をリッチ化すると先行消費新気量Vfの割合が増大し、残存新気量Vaの割合が減少する。当実施形態では、特殊運転モードにおける後続気筒の内部EGR率を、残存新気量Vaに対する先行消費新気量Vfの割合とする。つまり(後続気筒の内部EGR率)=(先行消費新気量Vf)/(残存新気量Va)×100とする。またこの関係を先行気筒の空気過剰率λで表すと、(後続気筒の内部EGR率)=1/((先行気筒の空気過剰率λ)−1)×100となる。
図6は後続気筒の内部EGR率と先行気筒の空気過剰率λとの関係を示す図である。特性70で示すように、後続気筒の内部EGR率は先行気筒の空気過剰率λの減少(負荷の増大)に応じて反比例的に増大する。
図6において、エンジンの運転状態が低負荷側運転領域A1にあると判定された場合には、先行気筒2A,2Dの空気過剰率λが略3以上(例えばポイント71)になるように設定されているので、後続気筒2B,2Cの内部EGR率は略50%以下となる。またエンジンの運転状態が中負荷運転領域A2にあると判定された場合には、先行気筒2A,2Dの空気過剰率λが略2〜3程度(例えばポイント72)になるように設定されているので、後続気筒2B,2Cの内部EGR率は略50〜100%となる。そしてエンジンの運転状態が高負荷側運転領域A3にあると判定された場合には、先行気筒2A,2Dの空気過剰率λが略2以下(例えばポイント73)になるように設定されているので、後続気筒2B,2Cの内部EGR率は略100%以上となる。
後続気筒2B,2Cの内部EGR率を高めると、後続気筒2B,2Cに導入される不活性ガス量が増大し、後続気筒2B,2Cの吸気温度は上昇するものの、結果的に自着火し難くなり、ノッキングの発生を抑制することができる。つまり当実施形態では、高負荷となるに従って後続気筒2B,2Cの内部EGR率を高め、耐ノック性を高めている。
更に、高負荷側運転領域A3でノッキングが発生した場合には、必要に応じて更に先行気筒の空燃比をリッチ側に変更し、後続気筒の内部EGR率を高める(図6中に示す矢印)ことによってノッキングを抑制する。そして、それでもなおノッキングが収まらない場合には、先行気筒2A,2Dの空気過剰率λを1(理論空燃比)とするとともに、後続気筒2B,2Cでの燃料噴射を停止し、燃焼を行わせないようにする。
燃料噴射制御手段45による特殊運転モードでの燃料噴射のタイミングは次のように設定される。先行気筒2A,2Dでは圧縮行程で燃料を噴射して混合気の成層化を行わせ、点火時期に燃料が点火プラグ7付近に偏在するように設定する。後続気筒2B,2Cでは先行気筒からの既燃ガスを導入する吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように設定する。
再び図3を参照して、点火制御手段46は、運転状態に応じて各気筒2A〜2Dの点火時期の制御および点火停止等の制御を行う。特殊運転モードにおいては次のように制御される。先行気筒2A,2Dでは圧縮上死点付近で強制点火を行い、点火プラグ7付近に偏在する燃料を成層燃焼させる。そして後続気筒2B,2Cでは圧縮自己着火を行わせるので強制点火を停止する。但し、安定して圧縮自己着火を行わせ、また着火時期を調節するため、着火直前にアシスト点火を行う。
なお、後続気筒2B,2C内の温度等の状態を判別する手段を設け、特殊運転モードの中で後続気筒2B,2C内の温度等の状態を判別し、後続気筒2B,2C内の温度が比較的高くて圧縮自己着火が可能であるとされた場合に、上記のように圧縮自己着火を実行するように制御する一方、後続気筒2B,2C内温度が比較的低くて圧縮自己着火が不可能であるとされた場合、圧縮上死点付近の所定時期に強制点火を行わせるように点火時期を設定するように制御してもよい。
アシスト点火時期を設定するため、点火制御手段46は着火アシスト用点火制御手段47とノッキング判定手段48とを備える。着火アシスト用点火制御手段47は、圧縮自己着火が最適なタイミングでなされるようにアシスト点火時期を設定する。通常は例えば圧縮上死点(TDC)前15°CA(クランク角)に設定されている。そして、運転状態が高負荷側運転領域A3にあってノッキングが発生したときには着火アシストリタード(点火時期を遅らせる)を行う。
図7は、アシスト点火を伴う圧縮自己着火を行う場合の後続気筒2B,2Cの筒内圧特性を示す図である。横軸に後続気筒2B,2Cのクランク角(°CA)を示す。0°CAは圧縮上死点(TDC)である。縦軸に後続気筒2B,2Cの筒内圧を示す。特性81はアシスト点火SA1(−15°CA)を行ったときの筒内圧を示す。同様に特性82はアシスト点火SA2(−10°CA)の場合、特性83はアシスト点火SA2(−5°CA)の場合を示す。この図に示すように、アシスト点火時期を遅らせるに従って、筒内圧が最大(ピーク)となる時期も遅れる。TDC後は、燃焼室4の容積が増大に転じる(膨張行程)ので、筒内圧のピークが遅れるほど燃焼は緩やかになる。従って筒内温度が低下し、ノッキングが起こりにくくなる。つまり着火アシストリタードを行うと耐ノック性が向上する。しかし一方では、アシスト点火時期を遅らせるに従って筒内圧のピーク値が低下し、出力が低下する。従って、その遅らせ量(リタード量)は、エンジンの特性に応じて耐ノック性を向上しつつ出力低下を最小限に留められるような値に設定される。
ノッキング判定手段48は、ノックセンサ27からの信号に基づき、ノッキングが発生したか、或いは収まったかの判定を行う。
続いて当実施形態のエンジン1の作動を説明する。特殊運転モードでは、各気筒の燃焼サイクルは図8に示すようになる。図8は特殊運転モードにおける各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。図8の各段は各気筒2A〜2Dの燃焼サイクルを示す。EXは排気行程、INは吸気行程であり、また、Fは燃料噴射、Sは強制点火、SAはアシスト点火を表し、図中の星マークは圧縮自己着火が行われることを表している。図8に示すように、先行気筒2A,2Dの排気行程EXと後続気筒2B,2Cの吸気行程INとが同時期になされるようになっており、そのときに先行気筒2A,2Dからの既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導かれる(白抜き矢印で示す)。
ガス流通経路としては上述のように先行気筒排気弁32a及び後続気筒吸気弁31aが停止状態、既燃ガス排出弁32b及び既燃ガス導入弁31bが作動状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図9に示すようになり、先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出されるガスのみが排気通路20に導かれるような2気筒接続状態とされる。
この状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され(図9中の矢印a)、先行気筒2A,2DではリニアO2センサ25により検出される空燃比が空燃比制御手段43で設定された空燃比となるように燃料噴射量がフィードバック制御されつつ圧縮行程で燃料が噴射され、かつ、所定点火時期に点火が行われて、超リーン空燃比での成層燃焼が行われる(図8参照)。
その後、先行気筒2A,2Dの吸気行程と後続気筒2B,2Cの排気行程が重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスがガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入される(図8中の白抜き矢印及び図9中の矢印b)。そして、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて、実質的な理論空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、吸気行程で燃料が噴射される。そして吸気行程から圧縮行程に至る間に噴霧を均質化し、圧縮行程上死点前にアシスト点火を行って圧縮自己着火を行わせる(図8参照)。
後続気筒2B,2Cで圧縮自己着火を行わせると、燃焼室4全体に亘り一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、燃費改善に一層有利となる。後続気筒2B,2Cで圧縮自己着火を行わせるためには、燃焼室4内を高温、高圧にする必要があるが、2気筒接続状態とすることにより、後続気筒2B,2Cには先行気筒2A,2Dから高温の既燃ガスが導入されるので、圧縮自己着火が可能となっている。
このように、先行気筒2A,2Dでは超リーンでの成層燃焼により熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、一方、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dと同様にポンピングロス低減効果が得られるとともに、圧縮自己着火による燃焼により熱効率が高められるとともに、これらの作用により、燃費が大幅に改善されることとなる。
また、先行気筒2A,2Dでは超リーン空燃比とされることでNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから既燃ガスが導入されることでNOxの発生が充分に抑制される。このような点からもエミッションの向上に有利となる。
しかも、後続気筒2B,2Cから排出される理論空燃比の既燃ガスのみが排気通路20に導かれるため、排気通路20には三元触媒24を設けるだけで充分に排気浄化がなされ、従来リーン空燃比での燃焼を行う場合に必要とされていたリーンNOx触媒が不要となりコスト低減が図られる。
図10は、主に特殊運転モードにおけるノッキング抑制に関する制御の概略フローチャートである。制御がスタートすると、まずステップS1で各センサ信号を読み取り、運転状態が運転領域Aにあると判定(ステップS3でYES)されるとステップS5に移行し、特殊運転モードの制御を行う。そして更に運転状態が高負荷側運転領域A3にあると判定(ステップS9でYES)されるとステップS13に移行し、ノッキング有無の判定を行う。ステップS13でYES、つまりノッキングが発生していると判定されると、ステップS15に移行し、ノッキング抑制要求レベルFが、1加算された後、ステップS21に移行する。ここでノッキング抑制要求レベルFは、ノッキング抑制の要求度合を示す指標である。ノッキング抑制要求レベルFは0〜3の値をとり、この値が大であるほどノッキング抑制要求レベルが高い、即ちよりノッキングが起こり難くなるような制御が求められることを示す。ノッキングが発生していない通常時にはF=0(初期値)となっている。
遡って、ステップS13でNOと判定されたときには続いてステップS17でF=0であるか否かの判定がなされ、YESであればそのままステップS21に移行する。ステップS17でNOと判定されたときは、現時点ではノッキングが発生していないが、ノッキング抑制要求レベルFが0ではないことを示す。後述するように、ノッキング抑制要求レベルFが0でないときには、その値に応じてノッキングの抑制制御を行うので、例えばその制御によってノッキングが収まった場合にはステップS13でNOかつステップS17でNOと判定される。このときは、ステップS19に移行し、ノッキング抑制要求レベルFの値を1減算してステップS21に移行する。
そしてステップS21(及びステップS29)でノッキング抑制要求レベルFの判定を行う。F=0と判定された(ステップS21で0)時には通常の制御を行う。即ち着火アシストのリタードを行わず(ステップS23)、高負荷側運転領域A3における通常の先行気筒空燃比(ステップS31)とする。またF=1と判定されたとき(ステップS21で1or2、かつステップS29でYES)には着火アシストのリタードを行い(ステップS25)、高負荷側運転領域A3における通常の先行気筒空燃比(ステップS31)とする。このように着火アシストリタードを行うことで、耐ノック性が向上する。F=2と判定されたとき(ステップS21で1or2、かつステップS29でNO)には着火アシストのリタードを行う(ステップS25)とともに、先行気筒2A,2Dの空燃比を更に低減する(空気過剰率λを1に近づける)。これによって後続気筒2B,2Cの内部EGR率が増加するので、耐ノック性が更に向上する。そしてF=3と判定されたとき(ステップS21で3)には先行気筒2A,2Dで理論空燃比(空気過剰率λ=1)での燃焼を行わせ、後続気筒2B,2Cでの燃焼を行わない。従って後続気筒2B,2Cでの燃料噴射を停止し、着火アシストも行わない(ステップS27、S35)。このように後続気筒2B,2Cでの燃焼を行わないので、ノッキングの発生は確実に抑制される。
以上のように、ノッキングの発生状況に応じて耐ノック性を段階的に強化するようにしているので、常に最小限の耐ノック性向上策を選択しながらノッキングの発生を可及的に抑制することができる。こうすることによって、特殊運転モードを適用する運転領域を高負荷側へ可及的に拡大することができ、大幅な燃費低減を図ることができる。
遡って、ステップS3でNOと判定されると、ステップS7に移行して通常運転モードの制御を行い、リターンする。その際にはノッキング抑制要求レベルFを初期値の0とする(ステップS11)。またステップS9でNOと判定されたときもステップS11を経由してリターンする。
通常運転モードでは、上述のように先行気筒排気弁32a及び後続気筒吸気弁31aが作動状態、既燃ガス排出弁32b及び既燃ガス導入弁31bが停止状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図11に示すようになり、実質的に各気筒2A〜2Dの吸気ポート11,11a及び排気ポート12a,12が独立し、吸気通路15から各気筒2A〜2Dの吸気ポート11,11aに新気が導入されるとともに各気筒2A〜2Dの排気ポート12a,12から排気通路20に既燃ガスが排出される。
通常運転モードでは、負荷に応じて最適な吸排気時期に制御されるとともに、理論空燃比もしくはそれよりリッチとなるように吸入空気量及び燃料噴射量が制御され、強制点火によって均質燃焼がなされる。従って、高負荷ないし高回転の運転領域Bにおいて高出力が得られる。
ところで、特殊運転モードから通常運転モードに切換える形態として、比較的高い負荷増大率(素早いアクセルの踏み込み)で、運転状態が高負荷側運転領域A3から運転領域Bに移行する場合がある(例えば図4に示す運転状態55から運転状態56への移行)。このようなときにも通常運転モードに切換えるまでのタイムラグの間に一時的なノッキング(一発ノック)が発生しやすい。そこで当実施形態では、高負荷側運転領域A3から所定以上の負荷増大率で運転領域Bに移行したときは、先行気筒2A,2Dの空燃比を理論空燃比とするとともに、後続気筒2B,2Cでの燃焼を行わないようにする制御を所定期間行った後、通常運転モードに移行するようにしている。こうすることで、通常運転モードに切換えるための時間を待つことなく、速やかに一発ノックを抑制することができる。
この所定期間の制御は、ノッキングの発生に伴って行っても良いし、ノッキングの発生に拘わらず行うようにしても良い。後者の場合は、瞬間的に負荷が急増した場合の通常運転モードへの移行を一旦保留することにもなるので、その後すぐ負荷が急減(アクセルの戻し)して運転領域Aに復帰するようなスパイク的な変化があった場合、ガス流通経路を2気筒接続状態のままとすることができる。なお、上記所定期間は、予め定められた時間であっても、ノッキングが収まるまでの期間など、ノッキングの度合に応じて変動するものであっても良い。
次に、特殊運転モードにおけるノッキング抑制に関する制御の変形例について説明する。図12は、その制御の概略フローチャートである。制御がスタートすると、まずステップS51で各センサ信号を読み取り、運転状態が運転領域Aにあると判定(ステップS53でYES)されるとステップS55に移行し、特殊運転モードの制御を行う。そして更に運転状態が高負荷側運転領域A3にあると判定(ステップS59でYES)されるとステップS61に移行し、ノッキング有無の判定を行う。ステップS61でYES、つまりノッキングが発生していると判定されると更にステップS63に移行し、ノッキング回数をカウントする。そしてノッキングが連続複数回(その回数は予め適宜設定されている)発生したとき(ステップS65でYES)には、先行気筒2A,2Dで理論空燃比(空気過剰率λ=1)での燃焼を行わせ、後続気筒2B,2Cでの燃焼を行わない。従って後続気筒2B,2Cでの燃料噴射を停止し、着火アシストも行わない(ステップS67、S69)。このように後続気筒2B,2Cでの燃焼を行わないので、ノッキングの発生は確実に抑制される。遡って、ノッキングが発生していないとき(ステップS61でNO)や、発生してもすぐに収まった一発ノックであると判断されるとき(ステップS65でNO)には、着火アシストのリタードを行い(ステップS71)、高負荷側運転領域A3における通常の先行気筒空燃比(ステップS73)とする。即ち着火アシストリタードを行うことで、予め耐ノック性を向上させておき、ノッキングの発生を抑制する。
この変形例によれば、一発ノックに対しては対応を保留するので、ノッキング抑制制御が頻繁に切換わることが防止される。そして、ノッキングが所定回数以上連続して発生したときには確実にノッキングを抑制することができる。
更に遡ってステップS53でNOと判定されたときにはステップS57に移行し、通常モードの制御を行ってリターンする。またステップS59でNOと判定されたときには特にノッキング抑制制御を行わずにリターンする。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態やその変形例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、種々の変形が可能である。例えば、図10に示す制御において、ステップS21でノッキング抑制要求レベルFがF=3と判定されたときには通常運転モードに切換えるようにしても良い。通常運転モードでは、各気筒2A〜2Dに外気温程度の新気を吸気して燃焼を行わせる。従って通常運転モードよりも後続気筒2B,2Cの筒内温度が低くなり、耐ノック性を充分高めることができる。
上記実施形態では、先行気筒2A,2Dから導入される既燃ガス中の不活性ガスの割合を高めて後続気筒2B,2Cの内部EGR率を高めるようにしたが、これに加え、吸排気時のガス流によって排気を再循環させて更に内部EGR率を高めるようにしても良い。また、分岐排気通路21又は排気通路20と気筒間ガス通路22とを連通するEGR通路を設けるとともに、そのEGR通路中にEGR弁を設けて後続気筒2B,2Cで外部EGRを行い、これによって、又はこれと上記内部EGR率増大策とを併用して後続気筒2B,2CのEGR率を高めるようにしても良い。
運転モードとして、必ずしも通常運転モードと特殊運転モードに限定するものではなく、それ以外のモードを有しても良い。また特殊運転モードの中でも、上記実施形態のように運転領域を3段階に分割するものでなく、2段階又は4段階以上に分割するものであっても良い。或いは明確に区分された運転領域(A1〜A3など)を設けず、運転領域A内の運転状態に応じて先行気筒2A,2Dの空燃比等を連続的に変化させるようにしても良い。
エンジン本体1は4気筒エンジンに限らず、それ以上の気筒数を有するエンジンに適用することができ、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒単位で先行気筒と後続気筒を設定しても良い。また後続気筒への燃料噴射は、必ずしも燃焼室4内に燃料噴射するインジェクタ9によるものでなくても良く、例えば気筒間ガス通路22に何らかの燃料供給機構を設けても良い。
本発明の一実施形態による装置を備えたエンジン全体の概略平面図である。 エンジン本体等の概略断面図である。 制御系統のブロック図である。 運転領域を示す説明図である。 吸入新気量、消費新気量、残存新気量の関係を示す説明図である。 後続気筒の内部EGR率と先行気筒の空気過剰率との関係を示す特性図である。 アシスト点火を伴う圧縮自己着火を行う場合の後続気筒の筒内圧特性を示す図である。 特殊運転モードにおける各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。 特殊運転モードにおける実質的な燃焼状態を示す説明図である。 主に特殊運転モードにおけるノッキング抑制に関する制御の概略フローチャートである。 通常運転モードにおける実質的な燃焼状態を示す説明図である。 図10に示すフローチャートの変形例である。
符号の説明
1 エンジン本体
2A,2D 1番,4番気筒(先行気筒)
2B,2C 2番,3番気筒(後続気筒)
11,11a,11b 吸気ポート
12、12a,12b 排気ポート
20 排気通路
22 気筒間ガス通路
27 ノックセンサ(ノッキング検知手段)
40 ECU
43 空燃比制御手段
46 点火制御手段

Claims (5)

  1. 各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンの制御装置において、
    排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路が構成され、
    運転モードとして、少なくとも、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせる特殊運転モードを有し、
    上記各気筒での空燃比を設定する空燃比制御手段と、
    上記各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を設定する点火制御手段と、
    エンジンのノッキングを検知するノッキング検知手段とを備え、
    上記特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、
    上記点火制御手段がアシスト点火の時期を遅らせる着火アシストリタードを行って耐ノック性を高め、
    更に上記ノッキング検知手段によってノッキングが検知されたときには、上記空燃比制御手段が、上記先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する
    ことを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  2. 上記着火アシストリタードは、上記ノッキング検知手段によってノッキングが検知されるのに伴って開始し、
    この着火アシストリタード中、更にノッキングが検知されたときには、上記先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する制御を行い、
    この先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する制御中、更にノッキングが検知されたときには、上記先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、上記後続気筒での燃焼を行わないようにする
    ことを特徴とする請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  3. 吸気通路から各気筒の吸気ポートに新気を導入するとともに各気筒の排気ポートから排出される排気ガスを上記排気通路に導く各気筒独立状態となるガス流通経路が構成され、
    運転モードとして、ガス流通経路を上記各気筒独立状態として各気筒で燃焼を行わせる通常運転モードを有し、
    上記着火アシストリタードは、上記ノッキング検知手段によってノッキングが検知されるのに伴って開始し、
    この着火アシストリタード中、更にノッキングが検知されたときには、上記先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する制御を行い、
    この先行気筒の空燃比をよりリッチ側に変更する制御中、更にノッキングが検知されたときには、運転モードを上記特殊運転モードから上記通常運転モードに切換える
    ことを特徴とする請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  4. 各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンの制御装置において、
    排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路が構成され、
    運転モードとして、少なくとも、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせる特殊運転モードを有し、
    上記各気筒での空燃比を設定する空燃比制御手段と、
    上記各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を設定する点火制御手段と、
    エンジンのノッキングを検知するノッキング検知手段とを備え、
    上記特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、上記点火制御手段がアシスト点火の時期を遅らせる着火アシストリタードを行い、
    この着火アシストリタード中、上記ノッキング検知手段によってノッキングが所定回数以上連続して検知されたときには、上記先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、上記後続気筒での燃焼を行わないようにする
    ことを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  5. 各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンの制御装置において、
    排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出されるガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態となるガス流通経路と、
    吸気通路から各気筒の吸気ポートに新気を導入するとともに各気筒の排気ポートから排出される排気ガスを上記排気通路に導く各気筒独立状態となるガス流通経路とが構成され、
    運転モードとして、低負荷低回転の運転領域で選択され、ガス流通経路を上記2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒で理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で成層燃焼を行わせ、この先行気筒から後続気筒にリーン空燃比の既燃ガスを導入させて新たに供給された燃料とともに上記後続気筒で均質燃焼を行わせる特殊運転モードと、
    高負荷ないし高回転側の運転領域で選択され、ガス流通経路を上記各気筒独立状態として各気筒で燃焼を行わせる通常運転モードとを有し、
    上記各気筒での空燃比を設定する空燃比制御手段と、
    上記各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を設定する点火制御手段と、
    エンジンのノッキングを検知するノッキング検知手段とを備え、
    上記特殊運転モードでの運転中、上記後続気筒でアシスト点火を伴う圧縮自己着火による燃焼を行わせる場合において、比較的高負荷側の運転領域では上記後続気筒でのEGR率を増大させるとともに、その運転領域から所定以上の負荷増大率で上記通常運転モードとすべき運転領域に移行したときには、上記先行気筒の空燃比を理論空燃比とするとともに、上記後続気筒での燃焼を行わないようにする制御を所定期間行った後、上記通常運転モードに移行する
    ことを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
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