JP3951852B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの制御装置に関し、より詳しくは、多気筒エンジンにおいて燃費改善及びエミッション向上のために各気筒の燃焼状態を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費改善を図る技術が知られており、例えば特開平10−274085号公報に示されるように、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低回転低負荷域等では上記燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射することにより成層燃焼を行わせ、これによって超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている。
【0003】
このようなエンジンにおいては、排気ガス浄化用の触媒として通常の三元触媒(HC,CO及びNOxに対して理論空燃比付近で浄化性能の高い触媒)だけではリーン運転時にNOxに対して充分な浄化性能が得られないため、上記公報にも示されるように、酸素過剰雰囲気でNOxを吸着して酸素濃度低下雰囲気でNOxの離脱、還元を行うリーンNOx触媒を設けている。そして、このようなリーンNOx触媒を用いる場合、リーン運転中にリーンNOx触媒のNOx吸着量が増大したときは、例えば上記公報に示されるように主燃焼以外に膨張行程中に追加燃料を噴射することで排気ガスの空燃比をリッチ化するとともにCOを生成し、これによってNOxの離脱、還元を促進するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のリーン運転を行うエンジンでは、リーン運転中のNOx浄化性能の確保のために上記リーンNOx触媒を必要とする。そして、高負荷域等の理論空燃比で運転される領域での排気浄化のために三元触媒も必要であって、この三元触媒に加えて上記リーンNOx触媒が設けられ、かつ、このリーンNOx触媒はNOx吸着量をある程度確保するために比較的大容量が必要となり、また、三元触媒と比べて高価であるため、コスト的に不利である。
【0005】
しかも、上記リーンNOx触媒の浄化性能を維持するためには、上述のようにNOx吸着量が増大するような所定の期間毎に、NOxの離脱、還元のため追加燃料の供給等による一時的な空燃比のリッチ化を行う必要があり、これにより、リーン燃焼による燃費改善効果が目減りしてしまうことになる。
【0006】
そこで、本願出願人は、かかる課題に鑑み、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行う多気筒エンジンにおいて、低負荷低回転域では、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に導入し、この後続気筒から排出されるガスを三元触媒を備えた排気通路に導くようにするとともに、この2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒において理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して理論空燃比とした状態で燃焼を行わせるように燃焼状態等を制御(特殊運転モードという)する一方、高負荷高回転域では、通常通り、各気筒毎を理論空燃比で燃焼を行わせるように燃焼状態等を制御(通常運転モードという)することを考えた(特願2002−024548号)。
【0007】
これによると、低負荷低回転域において特殊運転モードとされることにより、先行気筒ではリーン空燃比での燃焼が行われ、熱効率が高められるとともにポンピングロス(ポンプ損失)が低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、また、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて理論空燃比とされた状態で燃焼が行われて、ポンピングロス低減による燃費効果が得られる。しかも、後続気筒から排出される理論空燃比の既燃ガスのみが三元触媒を備えた排気通路に導かれるため、三元触媒だけで充分に排気浄化性能が確保され、リーンNOx触媒も不要となる。
【0008】
また、出願人は、上記のような燃焼状態等の制御において、特に特殊運転モード時に、先行気筒から後続気筒に高温の既燃ガスが導入されるのを利用して、後続気筒において既燃ガスに燃料を供給して圧縮自己着火により燃焼を行わせることにより熱効率を高め、これにより燃費の改善を図ることも考えている(特願2002−29836号)。
【0009】
ところで、上記のように各気筒の燃焼状態等を制御する場合には、特に特殊運転モードにおいて、気筒間の生成トルクに差が生じることが考えられる。すなわち、後続気筒については、先行気筒から排出される(押し出される)既燃ガスがそのまま送り込まれるため、先行気筒に比してポンピングロスの低減効果が大きくなる。また、上述のように、後続気筒において圧縮自己着火による燃焼が行われる場合には、先行気筒に比べて後続気筒の方が熱損失が少なくなる。従って、このようなポンピングロスを含む気筒間の熱効率の差異により、先行気筒と後続気筒との間にトルク差が生じることが考えられる。しかしながら、このような気筒間のトルク差は、NVH性能(騒音振動防止性能)を低下させる要因の一つとなるため、何らかの対策を講じる必要がある。
【0010】
本発明は以上のような課題を考慮してなされたものであり、リーン燃焼による燃費改善効果をもたせつつ、リーンNOx触媒を必要とせず三元触媒を用いるだけで、排気浄化性能を向上することすることができ、しかも、各気筒間の生成トルクの均衡を保つことができるエンジンの制御装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、各気筒にそれぞれ新気を導入する各気筒独立状態と、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において先行気筒の既燃ガスを気筒間ガス通路を介して後続気筒に導入する2気筒接続状態とに吸気および排気の流通経路が切換え可能に構成され、かつ、この流通経路を前記各気筒独立状態として各気筒においてそれぞれ独立して燃焼を行わせる通常運転モードと、前記2気筒接続状態として先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒に導入して燃焼を行わせる特殊運転モードとに運転モードを切換え可能に構成される多気筒のエンジンの制御装置であって、前記特殊運転モードにあるときに、先行気筒への吸入空気量に基づき、先行気筒では理論空燃比よりも所定量だけ大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせ、かつ後続気筒では、先行気筒から導出されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して理論空燃比とした状態で燃焼を行わせ得るように先行気筒および後続気筒に対する燃料噴射量の総和を求める総燃料噴射量演算手段と、先行気筒と後続気筒との生成トルクが均等となるようにエンジンの運転状態に応じて後続気筒に対する先行気筒の空燃比の比率を設定する比率設定手段と、この比率設定手段で設定される比率と前記総燃料噴射量演算手段において求められる燃料噴射量の総和とに基づいて先行気筒および後続気筒に対する最終的な燃料噴射量を求める最終燃料噴射量演算手段とを備えているものである。
【0012】
この発明によると、例えばエンジンの低負荷低回転域において、前記特殊運転モードの燃焼制御が実行されることにより、先行気筒ではリーン空燃比での燃焼が行われて、熱効率が高められるとともにポンピングロス(ポンプ損失)が低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、かつ後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて理論空燃比とされた状態で燃焼が行われることにより、少なくともポンピングロス低減による燃費効果が得られる。また、後続気筒から排出される理論空燃比の既燃ガスのみが排気通路に導かれるため、三元触媒だけで充分に排気浄化性能が確保される。一方、高負荷・高回転の運転領域では、通常運転モードに設定されることにより出力性能が確保される。
【0013】
また、前記特殊運転モードでは、エンジンの運転状態に応じて、先行気筒と後続気筒との生成トルクが均等となるように各気筒に対する燃料噴射量が求められて噴射されることにより、ポンピングロスを含む熱効率の差異に起因する先後気筒間における生成トルク差の発生が解消、あるいは抑制され、NVH性能(騒音振動防止性能)が高められる。
【0014】
なお、比率設定手段で設定する空燃比の比率は、先行気筒および後続気筒のトルク差を実験的に求め、そのデータから定めてもよいし、また、先行気筒および後続気筒におけるポンプ損失又は熱効率に関連するパラメータに基づいて定めるようにしてもよい。
【0015】
この発明においては、前記比率設定手段において求められる空燃比の比率に基づく先行気筒および後続気筒の燃焼状態が正常燃焼可能な範囲内にあるか否かを事前に判定する可燃判定手段をさらに備え、可燃判定手段における判定結果が肯定的な場合にのみ前記比率設定手段において設定された比率に基づいて燃料噴射量を演算するように前記最終燃料噴射量演算手段が構成されているのが好ましい。
【0016】
すなわち、理論的に先後気筒間のトルクバランスを保ち得るような空燃比の比率が求められた場合であっても、当該比率によると先行気筒又は後続気筒において正常な燃焼を行うことが困難となる場合もあり、上記の構成によると、そのような比率が求められた場合には、該比率に基づく燃料噴射量の演算が禁止される。これにより、先後気筒間のトルクバランスを保ち得るような空燃比の比率に基づいて無制限に燃料噴射量が設定されることによる弊害、つまり失火や異常燃焼(ノッキング)の発生を未然に防止することが可能となる。
【0017】
なお、可燃判定手段における判定結果が否定的である場合には、各気筒において正常燃焼が行われる範囲内で予め設定された比率に基づいて各気筒に対する最終燃料噴射量を演算するように前記最終燃料噴射量演算手段を構成すればよい。
【0018】
このようにすれば、失火や異常燃焼(ノッキング)の発生を防止して、先行気筒および後続気筒での燃焼を正常に行わせることができる。
【0019】
また、前記発明においては、特殊運転モードにあるときに、後続気筒における燃焼を圧縮自己着火で行わせるか強制点火で行わせるかをエンジンの運転状態に応じて選択する着火制御手段を備え、前記強制点火による燃焼か圧縮自己着火による燃焼かに応じて、設定する空燃比の比率を変更するように前記比率設定手段が構成されているのが好ましい。
【0020】
このようにすれば、前記特殊運転モードであって、後続気筒で圧縮自己着火により燃焼が行われる場合には、後続気筒における燃焼効率がさらに向上し、より一層の燃費改善効果が得られる。また、このように後続気筒において圧縮自己着火が行われる場合には、後続気筒の熱効率が向上するため先行気筒と後続気筒のトルク差が大きくなるが、圧縮自己着火が行われない場合とは異なる空燃比の前記比率、つまり後続気筒の熱効率の向上を加味した比率が設定されることにより、圧縮自己着火が行われない場合と同様に、先後気筒間における生成トルク差の発生が良好に解消、あるいは抑制される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示し、図2はエンジン本体の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示している。これらの図において、エンジン本体1は複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。
【0023】
各気筒2A〜2Dの燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。この点火プラグ7には、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。
【0024】
燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁9が設けられている。この燃料噴射弁9は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、後述のパルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、この燃料噴射弁9には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0025】
また、各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート11、11a,11b及び排気ポート12、12a,12bが開口し、これらのポートに吸気通路15、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートが吸気弁31、31a,31b及び排気弁32、32a,32bにより開閉されるようになっている。
【0026】
そして、各気筒2A〜2Dが所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなる燃焼サイクルを行うようになっており、4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、図6に示すように上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって燃焼サイクルが行われるようになっている。なお、図6において、EXは排気行程、INは吸気行程、Fは燃料噴射、Sは点火をそれぞれ表している。
【0027】
排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程が重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)へ既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。当実施形態では、図6に示すように1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が重なるので、1番気筒2Aと2番気筒2B、及び4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2A及び4番気筒2Dが先行気筒、2番気筒2B及び3番気筒2Cが後続気筒となる。
【0028】
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路及び気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。
【0029】
先行気筒である1番気筒2A及び4番気筒2Dには、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2B及び3番気筒2Cには、それぞれ、新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒からの既燃ガスを導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路に送り出すための排気ポート12とが配設されている。
【0030】
図1に示す例では、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室の左半部側に並列的に設けられる一方、1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bならびに2番,3番気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11b及び排気ポート12が、燃焼室の右半部側に並列的に設けられている。
【0031】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。なお、吸気通路15における集合部より上流の共通吸気通路には吸気流量を検出するエアフローセンサ19が設けられている。
【0032】
1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび2番,3番気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間及び3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間には、それぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端が接続されている。
【0033】
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には理論空燃比検出用の排気ガス濃度検出手段であるO2センサ23が設けられ、さらにその下流の排気通路20には、排気浄化用の三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λがλ=1)付近にあるときにHC,CO及びNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。また、O2センサ23は、排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するもので、特に理論空燃比付近で出力が急変するλO2センサにより構成されている。
【0034】
上記気筒間ガス通路22には、排気ガス中の酸素濃度の変化(空燃比の変化)に対して出力がリニアに変化するリニアO2センサ25が設けられている。
【0035】
各気筒の吸・排気ポートを開閉する吸・排気弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。すなわち、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bにはそれぞれ吸気弁31、第1排気弁32a及び第2排気弁32bが設けられ、また、2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11b及び排気ポート12にはそれぞれ第1吸気弁31a、第2吸気弁31b及び排気弁32が設けられている。そして、各気筒の吸気行程や排気行程が上述のような所定の位相差をもって行われるように、これら吸・排気弁がそれぞれカムシャフト33,34等からなる動弁機構により所定のタイミングで開閉するように駆動される。
【0036】
さらに、これらの吸・排気弁のうちで第1排気弁32a、第2排気弁32b、第1吸気弁31a及び第2吸気弁31bに対しては、各弁を作動状態と停止状態とに切換える弁停止機構35が設けられている。この弁停止機構35は、従来から知られているため詳しい図示は省略するが、例えば、カムシャフト33,34のカムと弁軸との間に介装されたタペットに作動油の給排が可能な油圧室が設けられ、この油圧室に作動油が供給されている状態ではカムの作動が弁に伝えられて弁が開閉作動され、油圧室から作動油が排出されたときにはカムの作動が弁に伝えられなくなることで弁が停止されるようになっている。
【0037】
上記第1排気弁32aの弁停止機構35と第1吸気弁31aの弁停止機構35とに対する作動油給排用の通路36には第1コントロール弁37が、また第2排気弁32bの弁停止機構35と第2吸気弁31bの弁停止機構35とに対する作動油給排用の通路38には第2コントロール弁39がそれぞれ設けられている(図3参照)。
【0038】
図3はエンジンの駆動、制御系統の構成を示している。この図において、マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)40には、エアフローセンサ19、O2センサ23及びリニアO2センサ25からの信号が入力されるとともに、エンジンの冷却水温度を検出する水温センサ51からの信号が入力され、さらに運転状態を判別するためにエンジン回転数を検出する回転数センサ52及びアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ53等からの信号も入力されている。また、このECU40から、各燃料噴射弁9と、多連スロットル弁17のアクチュエータ18と、上記第1,第2のコントロール弁37,39とに対して制御信号が出力されている。
【0039】
上記ECU40は、その機能構成として運転状態判別手段41、温度状態判別手段42、モード設定手段43、弁停止機構制御手段44、吸入空気量制御手段45、燃料制御手段46および点火制御手段47等を備えている。
【0040】
運転状態判別手段41は、図5に示すようにエンジンの運転領域が低速低負荷側の領域Aと高速側ないし高負荷側の領域Bとに分けられた制御用マップを有し、低速低負荷側の領域Aを特殊運転モード領域、高速側ないし高負荷側の領域Bを通常運転モード領域とする。そして、上記回転数センサ52及びアクセル開度センサ53等からの信号より調べられるエンジンの運転状態(エンジン回転数及びエンジン負荷)が上記領域A,Bのいずれにあるかを判別する。
【0041】
温度状態判別手段42は、水温センサ51からの信号によってエンジンの温度状態を判別するものであり、水温(エンジン温度)が所定値以下の低温時か所定温度より高い高温時かを判別するようになっている。
【0042】
モード設定手段43は、運転状態判別手段41による判別に基づき、前記特殊運転モード領域Aでは、排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒に導入して燃焼させる特殊運転モードを選択し、前記通常運転モード領域領域Bでは、各気筒をそれぞれ独立させて燃焼させる通常運転モードを選択する。
【0043】
弁停止機構制御手段44は、モード設定手段43によるモードの設定に応じ、特殊運転モードでは気筒間ガス通路22を介して先行気筒(1番、4番気筒)2A,2Dの既燃ガスを後続気筒(2番、3番気筒)2B,2Cに導入させる各気筒独立状態とするように吸・排気流通状態を変更すべく弁停止機構35を制御するもので、具体的には、運転状態が領域A,Bのいずれかにあるかに応じ、上記コントロール弁37,39を制御することにより、各弁停止機構35を次のように制御する。
領域A:(特殊運転モード)
第1排気弁32a及び第1吸気弁31aを停止状態
第2排気弁32b及び第2吸気弁31bを作動状態
領域B:(通常運転モード)
第1排気弁32a及び第1吸気弁31aを作動状態
第2排気弁32b及び第2吸気弁31bを停止状態
【0044】
吸入空気量制御手段45は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードとされる運転領域Aでは、後続気筒2B,2Cに対する分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で、先行気筒2A,2Dから導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料との比がリーン空燃比とされつつ燃焼が行われるので、先行、後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気が先行気筒2A,2Dに供給されるようにスロットル開度を調節する。
【0045】
燃料制御手段46は、各気筒2A〜2Dに設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量及び噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御し、また、点火制御手段47は、運転状態に応じた点火時期の制御を行う。そして、モード設定手段43により設定されるモードに応じて、燃焼状態の制御(燃料の制御および点火の制御)が変更される。
【0046】
すなわち、特殊運転モードが設定された場合には、先行気筒2A,2Dに対しては、空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上とするように燃料噴射量を制御するとともに、圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼を行わせるように噴射時期を設定し、かつ、圧縮上死点付近で強制点火を行わせるように点火時期を設定する。一方、後続気筒2B,2Cに対しては、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して理論空燃比とするように燃料噴射量を制御する。また、既燃ガスが多い状況下で着火、燃焼が可能なように噴射時期を設定し、例えば着火性確保のため圧縮行程で燃料を噴射するように噴射時期を設定するとともに、圧縮上死点付近の所定時期に強制点火を行わせるように点火時期を設定する。
【0047】
また、通常運転モードが選択された場合には、各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下とするように燃料噴射量を制御し、例えば、この領域Bのうちの大部分の領域において理論空燃比とし、全開負荷及びその付近の運転領域で理論空燃比よりリッチとする。そして、この場合に、各気筒2A〜2Dに対して吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように噴射時期を設定し、かつ、各気筒2A〜2Dとも強制点火を行わせるようにする。
【0048】
なお、特殊運転モードが選択された場合には、一対の気筒の両方に対する燃料噴射量の総和が先行気筒2A,2Dに導入される空気量に対して理論空燃比となる量であって、かつ先行気筒2A,2Dの生成トルクと後続気筒2B,2Cの生成トルクとが均等になるように、先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量と後続気筒2A,2Dに対する燃料噴射量の割合が調整される。
【0049】
この点にき、図4に基づき燃料制御手段46のより詳細な構成について説明する。すなわち、燃料制御手段46は、その機能構成として、同図に示すように総燃料噴射量演算部55、最終燃料噴射量演算部56、トルクバランス空燃比設定部57、可燃判定部58および分割比演算部59を有している。
【0050】
総燃料噴射量演算部55は、エアフローセンサ19により検出される吸入空気量に基づいて燃料噴射弁9から噴射する燃料噴射量を求めるものであり、特に、特殊運転モードが選択された場合には、先行気筒に対する燃料噴射量と後続気筒に対する燃料噴射量の総和(総燃料噴射量)を求める。この場合には、上述のように燃料噴射量の総和が先行気筒2A,2Dに導入される空気量に対して理論空燃比となるように燃料噴射量が求められる。
【0051】
最終燃料噴射量演算部56は、最終的に制御する燃料噴射量を決定するもので、通常運転モードが選択された場合には、総燃料噴射量演算部55において求められる総燃料噴射量をそのまま最終的な燃料噴射量とする。一方、特殊運転モードが選択された場合には、総燃料噴射量と後述する分配比とから先行気筒および後続気筒に対する燃料噴射量をそれぞれ演算し、これを最終的な燃料噴射量とする。
【0052】
トルクバランス空燃比設定部57、可燃判定部58および分割比演算部59は、特殊運転モードが選択された場合に機能するもので、トルクバランス空燃比設定部57は、回転数センサ52及びアクセル開度センサ53等からの信号より調べられるエンジンの運転状態(エンジン回転数及びエンジン負荷)に応じて予め記憶されたマップから先行気筒の空燃比を求める。マップは、例えば、ポンピングロスを含む熱効率の差に起因して先行気筒と後続気筒との間に生じる生成トルクの差を予め実験的に求め、このトルク差が「0」となり得るように設計上の空燃比(つまり、理論空燃比よりも大きいリーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上となる空燃比であって設計上求められる値)を補正し、これをエンジンの運転状態に対応付けたものである。
【0053】
可燃判定部58は、トルクバランス空燃比設定部57で求められた空燃比の比率に基づいて燃焼が正常に行われ得るか否かを水温センサ51からの信号により判別されるエンジン温度とマップ等から事前に判定するものであり、その結果を分割比演算部59に出力するものである。
【0054】
分割比演算部59は、前記マップから求められる先行気筒の空燃比と後続気筒の空燃比(理論空燃比)との比率から先行・後続気筒に対する燃料(前記総燃料噴射量)の分配比を定めるもので、可燃判定部58での判定結果が肯定的である場合、つまり正常燃焼が行われると判定された場合には、トルクバランス空燃比設定部57で求められた空燃比の比率に基づいて燃料の分割比を求め、その結果を最終燃料噴射量演算部56に出力する。一方、可燃判定部58での判定結果が否定的である場合、すなわち失火やノッキングなどが生じる虞れがあるような場合には、先行・後続気筒において正常燃焼が行われ得る範囲内で予め設定された分配比、例えば先行気筒の空燃比を設計上の値(トルク差に基づく補正前の値)とした場合の分配比を最終燃料噴射量演算部56に出力するものである。なお、当実施形態では、この分割比演算部59および前記最終燃料噴射量演算部56により本願発明の最終燃料噴射量手段が構成されている。
【0055】
次に、以上のような実施形態の装置の作用を、図6〜図8を参照しつつ説明する。
【0056】
低負荷低回転側の運転領域Aでは、特殊運転モードとされ前述のように第1排気弁32a及び第1吸気弁31aが停止状態、第2排気弁32b及び第2吸気弁31bが作動状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図7に示すように、先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出される既燃ガスのみが三元触媒24を備えた排気通路20に導かれるような2気筒接続状態とされる。
【0057】
この状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され(図7中の矢印a)、先行気筒2A,2Dでは空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ圧縮行程で燃料が噴射され、かつ、所定点火時期に点火が行われて、リーン空燃比での成層燃焼が行われる(図6参照)。
【0058】
その後、先行気筒2A,2Dの排気行程と後続気筒2B,2Cの吸気行程が重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスが気筒間ガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入される(図6中の白抜き矢印及び図7中の矢印b)。そして、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて理論空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、適当なタイミング(例えば圧縮行程)で燃料が噴射され、かつ、所定点火時期に点火が行われて燃焼が行われる(図6参照)。そして、後続気筒2B,2Cでの燃焼後の既燃ガスは、三元触媒24を備えた排気通路20に排出される(図7中の矢印c)。
【0059】
このように、先行気筒2A,2Dではリーン空燃比での成層燃焼が行われることにより熱効率が高められるとともに、成層燃焼を行わない通常のエンジンと比べて吸気負圧が小さくなることでポンピングロスが低減され、これらの相乗効果で大幅に燃費が改善される。一方、後続気筒2B,2Cでは、空燃比が略理論空燃比とされつつ燃焼が行われることにより、先行気筒2A,2Dのようにリーン空燃比で成層燃焼が行われるものと比べると熱効率では多少劣るものの、先行気筒2A,2Dから押し出された既燃ガスが送り込まれるため、先行気筒2A,2Dよりもさらにポンピングロスが低減され、これにより燃費改善効果が充分に得られる。
【0060】
しかも、後続気筒2B,2Cから排気通路20に排出される既燃ガスは理論空燃比に対応した値となるため、従来のリーンバーンエンジンのようにリーンNOx触媒を設ける必要がなく、三元触媒24だけで充分に排気浄化性能が確保されることとなる。そして、このようにリーンNOx触媒を設ける必要がないことから、リーンNOx触媒のNOx吸蔵量増大時におけるNOxの放出、還元のための一時的な空燃比のリッチ化を行う必要がなく、燃費改善の目減りが避けられる。さらに、リーンNOx触媒の硫黄被毒の問題が生じることもない。
【0061】
また、先行気筒2A,2Dでは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上のリーン空燃比とされることでNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから既燃ガスが導入されることで多量のEGRが行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制される。このような点からもエミッションの向上に有利となる。
【0062】
さらに、先行気筒2A,2Dおよび後続気筒2B,2Cに対しては、エンジンの運転状態に応じて気筒間の生成トルクが均等となるように燃料噴射量が制御され(総燃料が分配され)、これによりNVH性能(騒音振動防止性能)が良好に高められる。すなわち、先行気筒2A,2Dと後続気筒2B,2Cの間には、上記のようにポンピングロスを含む熱効率の差が存在するため、先行気筒2A,2Dおよび後続気筒2B,2Cに対して燃料噴射量を均等に制御すると、気筒間の生成トルク差により振動や騒音が発生することが考えられるが、上記実施形態の装置によると、燃料制御手段46により上述したように燃焼噴射量が制御されるため、先行気筒2A,2Dと後続気筒2B,2Cとの間にトルク差が生じることが殆どなく、従って、トルク差に起因する振動等の発生が有効に防止されることとなる。
【0063】
その上、燃料制御手段46において燃料噴射量(分配比)を設定する過程では、先行・後続気筒において正常に燃焼が行われるか否かを自演に判定し(可燃判定部58での判定)、正常燃焼が行われない虞れがある場合には、正常燃焼が可能な範囲で燃料噴射量を決定するようにしているので、生成トルクが均等になるように燃料噴射量を制御することによる弊害、例えば失火やノッキングの発生を有効に防止することができる。つまり、生成トルクの均一化を優先すると、先行気筒又は後続気筒の空燃比が正常燃焼可能な範囲をこえるような範囲で燃料噴射量(分配比)が設定されることも考えられ、この場合には、失火やノッキングなどを招くことが考えられる。しかし、この実施形態の装置によると、上記のような判定が事前に行われた上で燃料噴射量が決定されるので、常に、正常燃焼が可能な範囲で先行・後続気筒に対する燃料噴射量が制御されることとなる。従って、失火やノッキングの発生を防止して、正常な運転状態を確保することができる。
【0064】
一方、高負荷側ないし高回転側の運転領域Bでは、通常運転モードとされ前述のように第1排気弁32a及び第1吸気弁31aが作動状態、第2排気弁32b及び第2吸気弁31bが停止状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図8に示すようになり、実質的に各気筒2A〜2Dの吸気ポート31,31a及び排気ポート12a,12が独立し、吸気通路15から各気筒2A〜2Dの吸気ポート31,31aに新気が導入されるとともに各気筒2A〜2Dの排気ポート31,31aから排気通路20に既燃ガスが排出される。そしてこの場合は、理論空燃比もしくはそれよりリッチ(λ≦1)となるように吸入空気量及び燃料噴射量が制御されることにより、出力性能が確保される。
【0065】
なお、本発明の装置の具体的構成は、上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。
【0066】
例えば、特殊運転モードにおいて、エンジンの温度状態の判別に基づき、低温時には後続気筒での燃焼を強制点火により行わせる強制点火モードとし、高温時には後続気筒での燃焼を圧縮自己着火により行わせる圧縮自己着火モードとし、とくに圧縮自己着火モードにおいては吸気行程で燃料を噴射するように制御してもよい。すなわち、特殊運転モードでは、先行気筒2A,2Dから排出された高温の既燃ガスが短い気筒間ガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに直ちに導入されるため、後続気筒2B,2Cでは吸気行程で燃料室内の温度が高くなり、この状態からさらに圧縮行程で圧力、温度が上昇することにより、圧縮行程終期の上死点付近では混合気が自己着火し得る程度にまで燃焼室内の温度が上昇する。しかも、上記既燃ガスは先行気筒2A,2Dから排出されて均一に分布し、さらに吸気行程で噴射された燃料も圧縮行程終期までの間に燃焼室全体に均一に分散するため、理想的な同時圧縮自己着火条件を満たすような均一な混合気分布状態が得られる。従って、高温時には後続気筒での燃焼を圧縮自己着火モードとして圧縮自己着火とすることにより燃焼を急速に行わせ、これにより熱効率を大幅に向上させることができる。
【0067】
なお、このような圧縮自己着火モードにおいても、先行気筒2A,2Dおよび後続気筒2B,2Cに対して気筒間の生成トルクが均等となるように燃料噴射量が制御されることによりNVH性能(騒音振動防止性能)が高められ、その結果、良好な運転状態を確保することが可能となるが、この場合には、トルクバランス空燃比設定部57に空燃比の比率を求めるためのマップとして強制点火モードとは別に圧縮自己着火モードのものを記憶させておき、選択されたモードに対応するマップに基づいて空燃比の比率を設定するように構成することが必要となる。つまり、圧縮自己着火では、熱損失が少なく、また急速燃焼により気筒内温度が上昇し難いため、強制点火の場合に比べて熱効率が良くなる。そのため、圧縮自己着火モードでは、強制点火モードに比べて先行気筒2A,2Dと後続気筒2B,2Cとの間の生成トルク差がさらに大きくなると考えられ、強制点火の場合と共通のマップに基づいて空燃比の比率を求めるだけでは、先行・後続気筒間のトルク差を完全に解消することが困難なためである。
【0068】
なお、点火モードの切換については、上述のように特殊運転モード領域Aの全体でエンジンの温度状態の判別に基づいて高温時に圧縮自己着火モード、低温時に強制点火モードとするように制御する以外に、例えば、エンジンの低速域(図5の領域Aのうちの低速域)でのみエンジンの温度状態に応じて圧縮自己着火モードと強制点火モードとを切換え、特殊運転モード領域Aのうちで自己着火が行われ易い高速、高負荷側の領域ではエンジンの温度状態に関わらず圧縮自己着火モードとするようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、先行・後続気筒の燃料噴射量を決定する基礎となるマップ(空燃比の比率を設定するトルクバランス空燃比設定部57に記憶されたマップ)の値は、先行気筒2A,2Dと後続気筒2B,2Cの生成トルク差を実験的に求め、このトルク差が「0」となり得るように設計上の空燃比(理論空燃比よりも大きいリーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上となる空燃比であって設計上求められる値)を補正したものであるが、勿論、先行・後続気筒のポンピングロス、熱効率に関するパラメータから設計値を用いて理論的(演算)に求めた値を用いてもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明の制御装置は、各気筒においてそれぞれ独立して燃焼を行わせる通常運転モードと、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒に導入して燃焼を行わせる特殊運転モードとに切換え可能に構成され、例えば低負荷低回転の運転領域では特殊運転モードに設定されることにより、先行気筒ではリーン空燃比での燃焼が行われて、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、かつ上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて理論空燃比とされた状態で燃焼が行われることにより、少なくともポンピングロス低減による燃費効果が得られる。また、後続気筒から排出される理論空燃比の既燃ガスのみが排気通路に導かれるため、三元触媒だけで充分に排気浄化性能が確保される。一方、高負荷・高回転の運転領域では、通常運転モードに設定されることにより出力性能が確保される。そして、特殊運転モードでは、エンジンの運転状態に応じて、先行気筒と後続気筒との生成トルクが均等となるように各気筒に対する燃料噴射量が求められて噴射されることにより、ポンピングロスや熱効率の差異に起因する先後気筒間における生成トルク差の発生が解消、あるいは抑制され、その結果、NVH性能(騒音振動防止性能)が高められることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御装置を備えたエンジン全体の概略平面図である。
【図2】エンジン本体等の概略断面図である。
【図3】制御系統のブロック図である。
【図4】燃料制御手段の機能構成を示すブロック図である。
【図5】運転領域を示す説明図である。
【図6】各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【図7】低負荷低回転時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図8】高負荷、高低回転側の運転領域にある時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2A〜2D 気筒
9 燃料噴射弁
11 吸気ポート
11a 第1吸気ポート
11b 第2吸気ポート
12 排気ポート
12a 第1排気ポート
12b 第2排気ポート
15 吸気通路
20 排気通路
22 気筒間ガス通路
24 三元触媒
31 吸気弁
31a 第1吸気弁
31b 第2吸気弁
32 排気弁
32a 第1排気弁
32b 第2排気弁
35 弁停止機構
40 ECU
41 運転状態判別手段
42 温度状態判別手段
43 モード設定手段
44 弁停止機構制御手段
45 吸入空気量制御手段
46 燃料制御手段
47 点火制御手段
55 総燃料噴射量演算部(総燃料噴射量演算手段)
56 最終燃料噴射量演算部(最終燃料噴射量演算手段)
57 トルクバランス空燃比設定部(比率設定手段)
58 可燃判定部(可燃判定手段)
59 分割比演算部(最終燃料噴射量演算手段)

Claims (5)

  1. 各気筒にそれぞれ新気を導入する各気筒独立状態と、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において先行気筒の既燃ガスを気筒間ガス通路を介して後続気筒に導入する2気筒接続状態とに吸気および排気の流通経路が切換え可能に構成され、かつ、この流通経路を前記各気筒独立状態として各気筒においてそれぞれ独立して燃焼を行わせる通常運転モードと、前記2気筒接続状態として先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒に導入して燃焼を行わせる特殊運転モードとに運転モードを切換え可能に構成される多気筒のエンジンの制御装置であって、
    前記特殊運転モードにあるときに、先行気筒への吸入空気量に基づき、先行気筒では理論空燃比よりも所定量だけ大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせ、かつ後続気筒では、先行気筒から導出されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して理論空燃比とした状態で燃焼を行わせ得るように先行気筒および後続気筒に対する燃料噴射量の総和を求める総燃料噴射量演算手段と、先行気筒と後続気筒との生成トルクが均等となるようにエンジンの運転状態に応じて後続気筒に対する先行気筒の空燃比の比率を設定する比率設定手段と、この比率設定手段で設定される比率と前記総燃料噴射量演算手段において求められる燃料噴射量の総和とに基づいて先行気筒および後続気筒に対する最終的な燃料噴射量を求める最終燃料噴射量演算手段とを備えていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの制御装置において、
    前記空燃比の比率は、先行気筒および後続気筒におけるポンプ損失又は熱効率に関連するパラメータに基づいて定められていることを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 請求項1又は2記載のエンジンの制御装置において、
    前記比率設定手段において求められる空燃比の比率に基づく先行気筒および後続気筒の燃焼状態が正常燃焼可能な範囲内にあるか否かを事前に判定する可燃判定手段をさらに備え、前記最終燃料噴射量演算手段は、可燃判定手段における判定結果が肯定的な場合にのみ前記比率設定手段において設定された比率に基づいて燃料噴射量を演算することを特徴とするエンジンの制御装置。
  4. 請求項3記載のエンジンの制御装置において、
    前記可燃判定手段における判定結果が否定的である場合には、前記最終燃料噴射量演算手段は、各気筒において正常燃焼が行われる範囲内で予め設定された比率に基づいて各気筒に対する最終燃料噴射量を演算することを特徴とするエンジンの制御装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のエンジンの制御装置において、
    前記特殊運転モードにあるときに、後続気筒における燃焼を圧縮自己着火で行わせるか強制点火で行わせるかをエンジンの運転状態に応じて選択する着火制御手段を備え、前記比率設定手段は、前記強制点火による燃焼か圧縮自己着火による燃焼かに応じて、設定する空燃比の比率を変更するように構成されていることを特徴とするエンジンの制御装置。
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