JP2005091840A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、オゾンや窒素酸化物の発生量が少なく、低電力である帯電方法を用いて、さらに長期的に安定した画像形成を行うことが出来る画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【解決手段】 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 図1
【解決手段】 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いる画像形成装置及び画像形成方法に関し、更に詳しくは、複写機やプリンターの分野で用いられる電子写真方式の画像形成に用いる画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
有機感光体はセレン系感光体、アモルファスシリコン感光体のような無機感光体に比して素材の選択の幅が広いこと、環境適性に優れていること、生産コストが安いこと等の大きなメリットがあり、近年無機感光体に代わって電子写真感光体の主流となっている。
他方カールソン法に基づく画像形成方法においては、電子写真感光体上に帯電、静電潜像を形成し、トナー画像を形成した後、該トナー画像を転写紙に転写し、これを定着して最終画像が形成される。
上記帯電手段の部材として従来代表的に用いられている帯電部材はコロナ放電器が最もよく知られている。コロナ放電器は安定した帯電を行えるという利点を有する。しかし、コロナ放電器は高電圧を印加しなければならないため、イオン化された酸素、オゾン、水分、酸化窒素化合物等の発生量が多いため、有機感光体(以後感光体とも云う)の劣化を招いたり、人体に悪影響を及ぼす等の問題点を有している。
そこで、近年、コロナ放電器を利用しない接触帯電方式を利用することが検討されている。具体的には帯電部材である磁気ブラシや導電性ローラに電圧を印加して、被帯電体である感光体に接触させ、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電方式を用いればコロナ放電器を用いた非接触帯電方式と比較して低電圧化がはかれ、オゾン発生量も減少する。
接触帯電方法は、感光体に102〜1010Ω・cm程度の抵抗を持つ帯電部材に、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加し、感光体に加圧当接させ、電荷を付与する方法である。この帯電方法は、パッシェンの法則に従い、帯電部材から被帯電体への放電によって行われるため、あるしきい値以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。この接触帯電方法は、コロナ帯電方法と比較すると、帯電部材への印加電圧が低くなり、オゾン及び窒素酸化物の発生量が減少する。
しかしながら、帯電ローラ等との直接接触により、電子写真感光体表面に繰り返し帯電を行なうと、電子写真感光体に発生した小さな凹凸や汚染等が発生し、その結果、該凹凸や汚染等の部分に電荷が集中し、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を引き起こしやすく、画像ボケも発生しやすい。特に高温高湿、低温低湿等の厳しい条件下でこれらの問題が発生しやすい。
又、前記接触帯電と共に感光体上の残留トナーを除去するクリーニングブレードを用いないクリーニングレスの画像形成装置が公開されている(特許文献1)。該画像形成装置は、前記帯電手段の他に、補助帯電手段を備えており、補助帯電手段は、残留トナーを帯電し、現像手段での残留トナーの回収効率を高める作用を有するが、反面、補助帯電手段を設けることにより、前記した絶縁破壊や黒ポチがより発生しやすい。
前記した絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止する為に、導電性支持体のアルミ基体表面をアルマイト加工処理し、電子写真感光体の電荷リークに対する抵抗力を強め、例え感光層に発生した凹凸や汚染等が発生しても、導電性支持体からの電荷リークを防止することが提案されている(特許文献2)。
しかしながらアルマイト加工処理のアルミ基体を用いた電子写真感光体はアルマイト加工処理とその後の経時条件のわずかな変動でアルマイト層が変質し、前記した電荷リークの防止効果が安定して得られにくいと云う問題の他に、アルマイト層と感光層との間が電荷トラップサイトとなりやすく、長期的な使用により、徐々に残留電位が蓄積する傾向が認められる。
特開2000−199990号公報
特開平5−80567号公報
本発明は、オゾンや窒素酸化物の発生量が少なく、低電力である帯電方法を用いて、さらに長期的に安定した画像形成を行うことが出来る画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
又、本発明の目的は、接触帯電方式の画像形成装置に用いられる電子写真感光体に有機感光体を用い、該有機感光体の繰り返し使用中に発生しやすい電子写真特性(感度や残留電位等)の劣化を防止し、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、鮮鋭性が良好な長期的に安定した画像形成を行うことが出来る画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
本発明者等は接触帯電方式の画像形成装置に特有の上記課題について鋭意検討の結果、接触帯電方式の画像形成装置で発生しやすい電荷リークによる絶縁破壊や黒ポチの発生を抑制し、繰り返し使用に際して帯電電位や残留電位等の電子写真特性を安定して得る為には、有機感光体の表面に付着しやすいトナー成分を少なくし、有機感光体の表面を常にクリーンな状態にすることが、有機感光体に帯電手段や補助帯電手段が接触しても電荷リークを発生しにくくすることを見出し本発明に到達した。即ち、トナー成分中の揮発成分や残存モノマー量が多いトナーを用いると、接触帯電及び補助帯電の両帯電手段を有する接触帯電方式では、有機感光体に絶縁破壊や黒ポチが発生しやすいことを見出し、本発明を完成した。
本発明の目的は、下記構成のいずれかを採ることにより達成される。
(請求項1)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項2)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段、前記帯電手段より上流に位置していて、該電子写真感光体面上のトナーを帯電する少なくとも1つ以上の補助帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項3)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項4)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段、前記帯電手段より上流に位置していて、該電子写真感光体面上のトナーを帯電する少なくとも1つ以上の補助帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項5)
前記トナーが重合トナーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項6)
前記有機感光体が導電性支持体上に中間層、電荷発生層と電荷輸送層を有し、中間層が金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項7)
前記金属酸化物粒子がTiO2、ZrO2、ZnO及びAl2O3から選択された少なくとも1種の粒子を含有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
(請求項8)
前記TiO2粒子がアナターゼ形酸化チタン顔料であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
(請求項9)
前記アナターゼ形酸化チタン顔料が、ニオブ元素を100ppm〜2.0質量%含有するアナターゼ形酸化チタン顔料であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
(請求項10)
前記金属酸化物粒子の数平均一次粒子が5〜400nmであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項11)
前記中間層に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂を含有することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項12)
前記中間層の体積抵抗が108Ω・cm以上であることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項13)
トナーを回収する専用のクリーニング手段を有しないことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項14)
請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
(請求項1)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項2)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段、前記帯電手段より上流に位置していて、該電子写真感光体面上のトナーを帯電する少なくとも1つ以上の補助帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項3)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項4)
電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段、前記帯電手段より上流に位置していて、該電子写真感光体面上のトナーを帯電する少なくとも1つ以上の補助帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
(請求項5)
前記トナーが重合トナーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項6)
前記有機感光体が導電性支持体上に中間層、電荷発生層と電荷輸送層を有し、中間層が金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項7)
前記金属酸化物粒子がTiO2、ZrO2、ZnO及びAl2O3から選択された少なくとも1種の粒子を含有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
(請求項8)
前記TiO2粒子がアナターゼ形酸化チタン顔料であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
(請求項9)
前記アナターゼ形酸化チタン顔料が、ニオブ元素を100ppm〜2.0質量%含有するアナターゼ形酸化チタン顔料であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
(請求項10)
前記金属酸化物粒子の数平均一次粒子が5〜400nmであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項11)
前記中間層に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂を含有することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項12)
前記中間層の体積抵抗が108Ω・cm以上であることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項13)
トナーを回収する専用のクリーニング手段を有しないことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(請求項14)
請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
本発明の画像形成装置及び画像形成方法を用いることにより、接触帯電方式で発生しやすい低温低湿、高温高湿での残留電位の上昇や帯電電位の変動を防止し、又絶縁破壊や画像欠陥を防止し、画像濃度、カブリ、鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することができる。
以下、本発明の主要構成要件である電子写真感光体、トナー及び画像形成装置の構成について記載する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
又、電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
本発明の有機感光体は、導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有し、該中間層の膜厚が5〜25μm、電荷輸送層の膜厚が5〜20μmであることが好ましい。
接触帯電方式に用いられる有機感光体は、前記したように有機感光体に発生した凹凸や汚染等の部分に電荷が集中しやすく、その結果、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を引き起こしやすく、画像ボケも発生しやすい。このような接触帯電特有の電荷の集中を防止するには、感光層の単位膜厚当たりの電界強度を小さくし、例え感光体表面に凹凸や汚染が発生しても電荷リークを防止することが重要である。本発明は感光層の単位膜厚当たりの電界強度を小さくするため、有機感光体を導電性支持体上に少なくとも中間層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する構成とし、該中間層の膜厚が5〜25μm、電荷輸送層の膜厚が5〜20μmとすることにより、感光層、特に電荷輸送層の電界強度を小さくすることにより、絶縁破壊や黒ポチを防止し、併せて、残留電位や帯電電位が安定した鮮鋭性が良好な有機感光体を提供できる。
中間層の膜厚が5μm未満では、絶縁破壊や黒ポチが発生しやすく、25μmを超えると、画像ボケが発生しやすく、鮮鋭性が劣化しやすい。一方、電荷輸送層の膜厚が5μm未満だと絶縁破壊や黒ポチが発生しやすく、20μmを超えると、画像ボケが発生しやすく、鮮鋭性が劣化しやすい。中間層の膜厚は7〜15μmがより好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は8〜18μmがより好ましい。
本発明の中間層は金属酸化物粒子を含有することが好ましい。金属酸化物粒子しては、例えば、酸化セリウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる。これらの中でも、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)が好ましく、特に酸化チタンが特に好ましく用いられる。
又、これらの金属酸化物粒子は、例えばチタンカップリング剤、シランカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等の疎水化処理剤により疎水化されたものが好ましい。
これらの金属酸化物粒子を中間層に含有させることにより、接触帯電により発生しやすい絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥、画像ボケの発生を防止し、長期的に安定した性能を有する有機感光体を提供することができる。
金属酸化物粒子は数平均一次粒子径が5〜400nmの範囲の微粒子が好ましい。特に、10nm〜200nmが好ましい。数平均一次粒子径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。
前記酸化チタン粒子は、結晶形としては、アナターゼ形、ルチル形、ブルッカイト形及びアモルファス形等があるが、中でもアナターゼ形酸化チタン顔料が本発明の粒子として最も好ましい。
本発明では中間層にニオブ元素を100ppm〜2.0質量%含有するアナターゼ形酸化チタン顔料が好ましい。アナターゼ形酸化チタン顔料中にニオブ元素を上記範囲内で含有させることにより、アナターゼ形酸化チタン顔料の整流特性が長期間の感光体使用中も安定して発揮され、絶縁破壊や黒ポチの発生を防止し、温湿度の環境条件が変化しても、帯電特性や感度特性の変化が小さい。
アナターゼ形酸化チタン顔料のニオブ元素の含有量は300ppm〜1.8質量%がより好ましい。
本発明のアナターゼ形酸化チタン粒子全体のニオブ元素濃度はICP(誘導結合プラズマ発光分析法)による定量分析により分析できる。
本発明のアナターゼ形酸化チタン顔料は公知の硫酸法で製造することができる。即ち、硫酸チタン、硫酸チタニルを含む溶液を加熱して加水分解させ含水二酸化チタンスラリーを作製し、該二酸化チタンスラリーを脱水焼成して得られる。以下、ニオブ元素を含有したアナターゼ形酸化チタン顔料の製造方法を記載する。
まず、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水二酸化チタンスラリーに、硫酸ニオブ(水溶性のニオブ化合物)を添加する。添加量は、スラリー中のチタン量(二酸化チタン換算)に対し、ニオブイオンとして0.15〜5質量%の硫酸ニオブが適当である。具体的には、(i)硫酸チタニル水溶液に硫酸ニオブをニオブイオンとして0.15〜5質量%加えたものを加水分解して得た含水二酸化チタンスラリー、あるいは(ii)硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水二酸化チタンスラリーに、硫酸ニオブをニオブイオンとして0.15〜5質量%加えたスラリーを用いることができる。
上記ニオブイオン等を含む含水二酸化チタンスラリーを脱水して焼成する。焼成温度は一般に850〜1100℃が適当である。焼成温度が850℃未満では焼成が十分に行われない。また、1100℃を上回ると粒子の焼結が生じ、顔料の分散性が著しく損なわれる。スラリーに加えられたニオブイオンは焼成中に粒子表面に偏析し、ニオブ酸化物として表面層に多く含まれる。この製造方法により、一次粒子の平均粒径が0.01〜10μmであって、ニオブ元素を100ppm〜2質量%含有したアナターゼ形酸化チタン顔料を得ることができる。
尚、四塩化チタンを用いて、ガス焼結法により酸化チタン顔料を形成する方法もあり、この場合、原料のガス成分に他の金属ハロゲン成分を持ち込まなければ、ニオブ等の他の金属元素の含有量をゼロ(ほとんど含有しない)としたアナターゼ酸化チタン顔料を作製することもできる。
本発明のアナターゼ形酸化チタンはアナターゼ化度は90〜100%が好ましい。上記方法により、アナターゼ化度がほぼ100%のアナターゼ形酸化チタンを作製することができる。又、この範囲のニオブ元素を含有するアナターゼ形酸化チタンを含有する本発明の中間層は、整流性が良好且つ安定して達成され、本発明の前記したような効果が良好に達成される。
ここで、アナターゼ化度とは、酸化チタンの粉末X線回析において、アナターゼの最強干渉線(面指数101)の強度IAとルチルの最強干渉線(面指数110)の強度IRを測定し、以下の式で求められる値である。
アナターゼ化度(%)=100/(1+1.265×IR/IA)
アナターゼ化度を90〜100%の範囲に作製するには、酸化チタンの作製において、チタン化合物として硫酸チタン、硫酸チタニルを含む溶液を加熱して加水分解させるとアナターゼ化度がほぼ100%のアナターゼ形酸化チタンが得られる。又、四塩化チタン水溶液をアルカリを用いて中和すればアナターゼ化度が高いアナターゼ形酸化チタンが得られる。
アナターゼ化度(%)=100/(1+1.265×IR/IA)
アナターゼ化度を90〜100%の範囲に作製するには、酸化チタンの作製において、チタン化合物として硫酸チタン、硫酸チタニルを含む溶液を加熱して加水分解させるとアナターゼ化度がほぼ100%のアナターゼ形酸化チタンが得られる。又、四塩化チタン水溶液をアルカリを用いて中和すればアナターゼ化度が高いアナターゼ形酸化チタンが得られる。
アナターゼ形酸化チタン顔料は、反応性有機ケイ素化合物による表面処理を行うことが好ましい。反応性有機ケイ素化合物によるアナターゼ形酸化チタン顔料の表面処理は以下の様な湿式法で行うことできる。尚、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
即ち、有機溶剤や水に対して前記反応性有機ケイ素化合物を溶解または懸濁させた液に前記アナターゼ形酸化チタン顔料を添加し、この混合液を数分から1昼夜程度メディア分散する。そして場合によっては混合液に加熱処理を施した後に、濾過等の工程を経た後乾燥し、表面を有機ケイ素化合物で被覆したアナターゼ形酸化チタン顔料を得る。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタンを分散させた懸濁液に前記反応性有機ケイ素化合物を添加しても構わない。
尚、前記表面処理に用いられる反応性有機ケイ素化合物の量は、前記表面処理時の仕込量にてアナターゼ形酸化チタン顔料100質量部に対し、反応性有機ケイ素化合物を0.1〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部用いることが好ましい。表面処理量が上記範囲よりも少ないと表面処理効果が十分に付与されず、中間層内における酸化チタン粒子の整流作用や分散性等が悪くなる。また、表面処理量が上記範囲を超えてしまうと、電子写真特性を劣化させ、その結果残留電位上昇や帯電電位の低下を招いてしまう。
本発明で用いられる反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
一般式(1)
(R)n−Si−(X)4-n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
(R)n−Si−(X)4-n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
また、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
又、好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。特にメチルハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
本発明の酸化チタンの表面処理の他の1つはフッ素原子を有する有機ケイ素化合物により表面処理を施された酸化チタン粒子である。該フッ素原子を有する有機ケイ素化合物による表面処理、前記した湿式法で行うのが好ましい。
尚、本発明において酸化チタン粒子表面が反応性有機ケイ素化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
上記アナターゼ形酸化チタン顔料の表面処理の他の1つは、アルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理が挙げられる。
このアルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とはアナターゼ形酸化チタン表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。
なお、アルミナ及びシリカの処理は同時に行っても良いが、特にアルミナ処理を最初に行い、次いでシリカ処理を行うことが好ましい。また、アルミナとシリカの処理をそれぞれ行う場合のアルミナ及びシリカの処理量は、アルミナよりもシリカの多いものが好ましい。
アナターゼ形酸化チタンのアルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面処理は湿式法で行うことができる。例えば、シリカ、又はアルミナの表面処理を行ったアナターゼ形酸化チタンは以下の様に作製することができる。
アナターゼ形酸化チタンを用いる場合、酸化チタン粒子(数平均一次粒子径:50nm)を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ、又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の表面処理酸化チタンを得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
なお、上記表面処理に用いられる金属酸化物の量は、前記表面処理時の仕込量にて酸化チタン粒子100質量部に対して、0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部の金属酸化物が用いられる。尚、前述のアルミナとシリカを用いた場合も例えばアナターゼ形酸化チタン粒子の場合、酸化チタン粒子100質量部に対して各々1〜10質量部用いることが好ましく、アルミナよりもシリカの量が多いことが好ましい。
又、中間層は実質的に絶縁層であることが好ましい。ここで絶縁層とは、体積抵抗が1×108以上である。本発明の中間層及び保護層の体積抵抗は1×108〜1015Ω・cmが好ましく、1×109〜1014Ω・cmがより好ましく、更に好ましくは、2×109〜1×1013Ω・cmである。体積抵抗は下記のようにして測定できる。
測定条件;JIS:C2318−1975に準ずる。
測定器:三菱油化社製Hiresta IP
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
測定条件:測定プローブ HRS
印加電圧:500V
測定環境:30±2℃、80±5RH%
体積抵抗が1×108未満では中間層の電荷ブロッキング性が低下し、黒ポチの発生が増大し、電子写真感光体の電位保持性も劣化し、良好な画質が得られない。一方1015Ω・cmより大きいと繰り返し画像形成で残留電位が増大しやすく、良好な画質が得られない。
中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等の金属酸化物粒子、バインダー樹脂、分散溶媒等から構成される。
中間層は、バインダー樹脂100質量部に対し、金属酸化物粒子を10〜10,000質量部、好ましくは50〜1,000質量部の割合で含有させる。該金属酸化物粒子をこの範囲で用いることにより、該金属酸化物粒子の分散性を良好に保つことができ、絶縁破壊や黒ポチが発生せず、電位変動が小さい良好な中間層を形成することができる。
一方、これらの粒子を分散し、中間層の層構造を形成するバインダー樹脂としては、粒子の良好な分散性を得る為にポリアミド樹脂が好ましいが、特に以下に示すポリアミド樹脂が好ましい。
即ち、中間層にはバインダー樹脂に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂が好ましい。該融解熱は0〜30J/gがより好ましく、0〜20J/gが最も好ましい。一方、前記吸水率が5質量%を超えると、中間層中の含水率が上昇し、絶縁破壊や黒ポチが発生しやすく、残留電位の上昇、カブリの発生等、電子写真特性も低下しやすい。該吸水率は4質量%以下がより好ましい。
上記樹脂の融解熱はDSC(示差走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetory)にて測定する。但し、DSCの測定値と同じ測定値が得られれば、DSC測定法にこだわらない。該融解熱はDSC昇温時の吸熱ピーク面積から求める。
一方、樹脂の吸水率は水中浸漬法による質量変化又はカールフィッシャー法により求める。
中間層のバインダー樹脂としてはアルコール可溶性ポリアミド樹脂が好ましい。電子写真感光体の中間層のバインダー樹脂としては、中間層を均一な膜厚で形成するために、溶媒溶解性の優れた樹脂が必要とされている。このようなアルコール可溶性のポリアミド樹脂としては、前記した6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂が知られているが、これらの樹脂は吸水率が高く、このようなポリアミドを用いた中間層は環境依存性が高くなる傾向にあり、その結果、たとえば高温高湿や低温低湿下の帯電特性や感度等が変化しやすく、絶縁破壊や黒ポチも発生しやすい。
アルコール可溶性ポリアミド樹脂には、上記のような欠点を改良し、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を与えることにより、従来のアルコール可溶性ポリアミド樹脂の欠点を改良し、外部環境が変化しても、又有機感光体の長時間連続使用を行っても、良好な電子写真画像を得ることができる。
以下、融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下の特性を有するアルコール可溶性ポリアミド樹脂について説明する。
前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造を全繰り返し単位構造の40〜100モル%含有するポリアミド樹脂が好ましい。
ここで、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造について説明する。前記繰り返し単位構造とはポリアミド樹脂を形成するアミド結合単位を意味する。このことを、繰り返し単位構造がアミノ基とカルボン酸基の両方を持つ化合物の縮合により形成されるポリアミド樹脂(タイプA)と、ジアミノ化合物とジカルボン酸化合物の縮合で形成されるポリアミド樹脂(タイプB)の両方の例で説明する。
即ち、タイプAの繰り返し単位構造は一般式(2)で表され、Xに含まれる炭素数が繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。一方タイプBの繰り返し単位構造は一般式(3)で表され、Yに含まれる炭素数もZに含まれる炭素数も、各々繰り返し単位構造におけるアミド結合単位の炭素数である。
一般式(2)中、R1は水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Xは置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、lは自然数を示す。
一般式(3)中、R2、R3は各水素原子、置換又は無置換のアルキル基、Y、Zは各置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を示し、m、nは自然数を示す。
前記のごとく、炭素数が7〜30の繰り返し単位構造は置換又は無置換の、アルキレン基、2価のシクロアルカンを含む基、2価の芳香族基及びこれらの混合構造を有する化学構造等が挙げられるが、これらの中で2価のシクロアルカンを含む基を有する化学構造が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7〜30であるが、好ましくは9〜25、更には11〜20が良い。またアミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率は40〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、更には80〜100モル%が良い。
前記炭素数が7より小だと、ポリアミド樹脂の吸湿性が大きく、電子写真特性、特に繰り返し使用時の電位の湿度依存性が大きく、更に黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。30より大であるとポリアミド樹脂の塗布溶媒への溶解が悪くなり、中間層の塗布膜形成に適さない。
又、アミド結合間の炭素数が7〜30の繰り返し単位構造が全繰り返し単位構造中に占める比率が40モル%より小さいと、上記効果が小さくなる。
本発明の好ましいポリアミド樹脂としては下記一般式(4)で示される繰り返し単位構造を有するポリアミドが挙げられる。
一般式(4)中、Y1は2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基、Z1はメチレン基、mは1〜3、nは3〜20を示す。
上記一般式(4)中、Y1の2価のアルキル置換されたシクロアルカンを含む基は下記化学構造が好ましい。即ち、Y1が下記化学構造を有する本発明のポリアミド樹脂は、黒ポチ改善効果が著しい。
上記化学構造において、Aは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R4は置換基で、アルキル基を示し、pは1〜5の自然数を示す。但し、複数のR4は同一でも、異なっていても良い。
本発明のポリアミド樹脂の具体例としては下記のような例が挙げられる。
上記具体例中の()内の%は繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
上記具体例の中でも、一般式(4)の繰り返し単位構造を有するN−1〜N−4のポリアミド樹脂が特に好ましい。
又、ポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチ等の画像欠陥が発生しやすい。
前記ポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)社製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができるが、以下に合成例の一例を挙げる。
例示ポリアミド樹脂(N−1)の合成
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
攪拌機、窒素、窒素導入管、温度計、脱水管等を備えた重合釜にラウリルラクタム215質量部、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン112質量部、1,12−ドデカンシカルボン酸153質量部及び水2質量部を混合し、加熱加圧下、水を留出させながら9時間反応させた。重合物を取り出し、C13−NMRにより共重合組成を求めたところ、N−1の組成と一致した。尚、上記合成された共重合のメルトフローインデックス(MFI)は(230℃/2.16kg)の条件で、5g/10minであった。
前記ポリアミド樹脂を溶解し、塗布液を作製する溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミドの溶解性と作製された塗布液の塗布性の点で優れている。これらの溶媒は全溶媒中に30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、更には50〜100質量%が好ましい。前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
一方、電荷輸送層の構成は公知の構成を用いて得ることができる。電荷輸送物質及びバインダーを適切に選択して、電荷輸送層を形成することが必要である。
電荷輸送物質(CTM)としては、例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを併用して用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて、最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。
又、電荷輸送層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは電子写真感光体中ないしは電子写真感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、前記バリヤー機能を備えた中間層を設けることが好ましい。
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、前記バリヤー機能を備えた中間層を設けることが好ましい。
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
以下に機能分離負帯電有機感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる結晶構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θの27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θの7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシン、同2θの12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜1μmが好ましい。0.01μm未満では十分な感度特性が得られず、残留電位が上昇しやすい。一方、1μmを超えると絶縁破壊や黒ポチが発生しやすい。
電荷輸送層
本発明の電荷輸送層には前記した膜厚が、5〜20μmの電荷輸送層を用いる。該膜厚が5μm未満では、絶縁破壊や黒ポチ等が発生しやすく、20μmを超えると画像がボケやすく鮮鋭性が劣化しやすい。
本発明の電荷輸送層には前記した膜厚が、5〜20μmの電荷輸送層を用いる。該膜厚が5μm未満では、絶縁破壊や黒ポチ等が発生しやすく、20μmを超えると画像がボケやすく鮮鋭性が劣化しやすい。
上記では本発明の最も好ましい感光体の層構成を例示したが、本発明では上記以外の感光体層構成でも良い。
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
又、これらの各層の塗布溶液は塗布工程に入る前に、塗布溶液中の異物や凝集物を除去するために、金属フィルター、メンブランフィルター等で濾過することが好ましい。例えば、日本ポール社製のプリーツタイプ(HDC)、デプスタイプ(プロファイル)、セミデプスタイプ(プロファイルスター)等を塗布液の特性に応じて選択し、濾過をすることが好ましい。
次に有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられる。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
本発明の画像形成装置は前記した有機感光体と揮発性物質の全量が350ppm以下のトナーを有する現像手段を併用することにより、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を防止し、鮮鋭性が良好な長期的に安定した画像形成を行うことが出来る。即ち、接触帯電方式に用いられる有機感光体は、有機感光体表面に発生した凹凸や汚染等の部分に電荷が集中し、その結果、絶縁破壊や黒ポチ等の画像欠陥の発生を引き起こしやすく、画像ボケも発生しやすい。このような接触帯電特有の電荷の集中を防止するには、有機感光体の表面の汚染や凹凸の原因となるトナー中の揮発性物質を少なくすることにより、感光体表面に凹凸や汚染を発生することを防止することが重要である。
即ち、本発明者等は、トナー中に残存する揮発性物質の全量や重合性単量体の量を制御することが接触帯電を有する画像形成装置で発生しやすい絶縁破壊等の問題を解決する重要な因子であることを見出した。接触帯電部材を用いる画像形成装置においては、接触帯電部材が有機感光体上の残留トナーを押圧することにより、有機感光体上にトナー成分等が付着しやすい。この有機感光体上の付着物を解析した結果、重合性単量体等を含む揮発性物質の含有量が多いトナーが付着していることが分かってきた。即ち、トナー中に残存した重合性単量体等を含む揮発性物質は、有機感光体との接着力が強く、有機感光体上の残留トナーの除去が不十分となりやすい。特にクリーニングブレード等の専用のクリーニング手段を持たず、現像手段等で残留トナーを回収する画像形成装置では、前記残留トナーの除去が不十分となりやすく、その結果残留トナーが感光体上に付着して、感光体表面に小さな凹凸を形成しやすい。これら残留トナーの蓄積で生成した凹凸と接触帯電部材の接触で有機感光体の絶縁破壊が発生しやすく、該絶縁破壊が一度でも発生すると、その有機感光体は使用出来なくなる。
トナー中の揮発性物質と重合性単量体の残存量について鋭意検討した結果、トナー中の揮発性物質全量が350ppm以下、好ましくは100〜300ppm、揮発性物質中の重合性単量体量が50ppm以下、好ましくは1〜20ppm、より好ましくは2〜10ppmにすることにより本発明の目的が達成できることを見出した。
トナー中に含まれる揮発性物質の例としては、未反応の重合性単量体や連鎖移動剤、トナー製造時の副生成物、製造に用いた有機溶剤等を挙げることができる。
重合性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの重合性単量体、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの架橋性の重合性単量体を挙げることができる。
連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタンなど、トナー製造時の副生成物としては、例えば、ブタノール、ドデカノール、ドデカナール、アクリル酸エステル、ベンズアルデヒドなど、製造に用いた有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを挙げることができる。
揮発性物質の全量および重合性単量体の量を上記の範囲にする方法としては、単純に加熱することや重合時間を延長すること、さらには重合開始剤量を増量する等種々の方法がある。しかし、これらの方法では完全ではなく、本発明者らは鋭意検討した結果、重合工程で重合開始剤を複数回添加すること、連鎖移動剤として炭素数5〜10のアルキルメルカプタンを使用すること、乾燥工程で減圧乾燥を行うことで本発明の目的を達成できることを見出した。
即ち、本発明では水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用して重合反応を行うが、この際、重合開始剤により供給されるラジカルが少なくなると、重合性単量体の重合転化率が向上せず、最終的に微量の重合性単量体が残存する。このため、複数回に分けて重合開始剤を添加し、ラジカルを複数回供給することで残存する重合性単量体を減少させ、揮発性物質及び重合性単量体の残存量を低減することができることを見出した。具体的には、重合転化率が90%以上進行した時点でさらに重合開始剤を追加添加することが好ましい。重合転化率は、重合中の試料から、一定量をサンプリングし、この質量を精密に測定した後、乾燥させて、乾燥後の質量を測定して、仕込量との関係を踏まえて、質量法により測定することができる。
追加で添加する水溶性重合開始剤は初期に添加された水溶性重合開始剤の10〜100質量%が好ましく、さらに好ましくは、20〜80質量%である。この添加量が過小の場合には残存量を低減する効果がなく、過度の場合には末端基に重合開始剤端部が付着し、帯電性に影響を与えることがある。
しかし、上記方法だけではトナー中の残存揮発性物質の量を上記範囲にすることは難しく、重合工程で用いる連鎖移動剤として炭素数5〜10のアルキルメルカプタンを使用し、さらに、乾燥工程時に減圧乾燥を行うことで達成できることを見出した。
本発明において、トナー中に残存する揮発性物質及び重合性単量体の定量に用いられるヘッドスペース式とは、トナーを開閉容器中に封入し、複写機等の熱定着時程度に加温し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、揮発成分量を測定するとともに、本発明のヘッドスペース法では、MS(質量分析)も行うものである。結着樹脂由来の不純物や微量の添加物量を測定する方法としては、溶媒により結着樹脂又はトナーを溶解して、ガスクロマトグラフに注入する方法も良く知られているが、この方法では溶媒のピークに不純物や測定しようとする微量の添加物成分のピークが隠れてしまうことがあり、トータルの揮発性成分量を測定するには適さない。本発明で用いるヘッドスペース法ではガスクロマトグラフにより、揮発成分の全ピークを観測することを可能にするとともに、電磁気的相互作用を利用した分析方法を用いることによって残存成分の定量化により高度な精度を付与することを達成したものである。
以下に、ヘッドスペース法による測定法を詳細に説明する。
〈測定方法〉
1.試料の採取
20mlヘッドスペース用バイアルに0.8gの試料を採取する。試料量は、0.01gまで秤量する(単位質量あたりの面積を算出するのに必要)。専用クリンパーを用いてバイアルをセプタムを用いてシールする。
2.試料の加温
170℃の恒温槽に試料を立てた状態で入れ、30分間加温する。
3.ガスクロマトグラフ分離条件の設定
質量比で15%になるようにシリコンオイルSE−30でコーティングした担体を内径3mm、長さ3mのカラムに充填したものを分離カラムとして用いる。該分離カラムをガスクロマトグラフに装着し、Heをキャリアとして、50ml/分で流す。分離カラムの温度を40℃にし、15℃/分で260℃まで昇温させながら測定する。260℃到達後5分間保持する。
4.試料の導入
バイアルビンを恒温槽から取り出し、直ちにガスタイトシリンジで1mlを注入する。
5.計算
この発明においては、n−ヘキサンのピークからn−ヘキサデカンのピークの間に検出される物質を揮発性物質の全量として定量する。
〈測定方法〉
1.試料の採取
20mlヘッドスペース用バイアルに0.8gの試料を採取する。試料量は、0.01gまで秤量する(単位質量あたりの面積を算出するのに必要)。専用クリンパーを用いてバイアルをセプタムを用いてシールする。
2.試料の加温
170℃の恒温槽に試料を立てた状態で入れ、30分間加温する。
3.ガスクロマトグラフ分離条件の設定
質量比で15%になるようにシリコンオイルSE−30でコーティングした担体を内径3mm、長さ3mのカラムに充填したものを分離カラムとして用いる。該分離カラムをガスクロマトグラフに装着し、Heをキャリアとして、50ml/分で流す。分離カラムの温度を40℃にし、15℃/分で260℃まで昇温させながら測定する。260℃到達後5分間保持する。
4.試料の導入
バイアルビンを恒温槽から取り出し、直ちにガスタイトシリンジで1mlを注入する。
5.計算
この発明においては、n−ヘキサンのピークからn−ヘキサデカンのピークの間に検出される物質を揮発性物質の全量として定量する。
重合性単量体の定量には、重合に用いた重合性単量体を基準物質とし、予め検量線を作製し、それぞれ各成分の濃度を求める。
6.機材
(1)ヘッドスペース条件
ヘッドスペース装置
ヒューレットパッカード株式会社製HP7694
「Head Space Sampler」
温度条件
トランスファーライン:200℃
ループ温度:200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
(2)GC/MS条件
GC ヒューレットパッカード株式会社製HP5890
MS ヒューレットパッカード株式会社製HP5971
カラム:HP−624 30m×0.25mm
オーブン温度:40℃で3分保持し、この後10℃/minで200℃まで16分で昇温する。この後、200℃で保持する。
6.機材
(1)ヘッドスペース条件
ヘッドスペース装置
ヒューレットパッカード株式会社製HP7694
「Head Space Sampler」
温度条件
トランスファーライン:200℃
ループ温度:200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
(2)GC/MS条件
GC ヒューレットパッカード株式会社製HP5890
MS ヒューレットパッカード株式会社製HP5971
カラム:HP−624 30m×0.25mm
オーブン温度:40℃で3分保持し、この後10℃/minで200℃まで16分で昇温する。この後、200℃で保持する。
測定モード:SIM
本発明における実際の測定では、前記のオーブン温度プログラムで、基準サンプルのn−ヘキサン、n−ヘキサデカンの前測定を行い、両物質のピークの検出時間を事前に確認する。その後、サンプル測定を前記オーブン温度プログラムで行い、n−ヘキサンのピーク検出時間からn−ヘキサデカンのピーク検出時間の間に検出される物質のピーク総面積を、トルエン検量線で換算する。1ピーク当たりトルエン換算量で0.1ppm(ppmとは百万分の1を意味する)以上のピークを対象とする。この間に検出される揮発性物質と重合性単量体を定量する。
本発明における実際の測定では、前記のオーブン温度プログラムで、基準サンプルのn−ヘキサン、n−ヘキサデカンの前測定を行い、両物質のピークの検出時間を事前に確認する。その後、サンプル測定を前記オーブン温度プログラムで行い、n−ヘキサンのピーク検出時間からn−ヘキサデカンのピーク検出時間の間に検出される物質のピーク総面積を、トルエン検量線で換算する。1ピーク当たりトルエン換算量で0.1ppm(ppmとは百万分の1を意味する)以上のピークを対象とする。この間に検出される揮発性物質と重合性単量体を定量する。
次に、本発明に係る特定化合物について説明する。
(結着樹脂)
本発明のトナーを構成する結着樹脂としては、以下に説明する重合性単量体を重合して得られたもので、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、この結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)で2,000〜1,000,000のものが好ましい。
本発明のトナーを構成する結着樹脂としては、以下に説明する重合性単量体を重合して得られたもので、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、この結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)で2,000〜1,000,000のものが好ましい。
(着色剤)
本発明のトナーを構成する着色剤としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を用いることができる。
本発明のトナーを構成する着色剤としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を用いることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉を挙げることができる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独又は複数を選択併用することが可能である。又、顔料の添加量はトナー全体量に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
有機顔料及び染料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等を挙げることができる。
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等を挙げることができる。
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等を挙げることができる。
又、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、又、これらの混合物も用いることができる。
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独又は複数を選択併用することが可能である。又、顔料の添加量は、トナー全体量に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素株式会社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達株式会社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等を挙げることができる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素株式会社製の「プレンアクトAL−M」等を挙げることができる。
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
(重合性単量体)
本発明に係る結着樹脂の作製に用いられる重合性単量体としては、疎水性単量体を必須構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。又、下記の酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有する単量体を少なくとも1種類含有するのが望ましい。
本発明に係る結着樹脂の作製に用いられる重合性単量体としては、疎水性単量体を必須構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。又、下記の酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有する単量体を少なくとも1種類含有するのが望ましい。
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。又、要求される特性を満たすように、1種又は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。又、要求される特性を満たすように、1種又は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体等を挙げることができる。
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等を挙げることができる。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等を挙げることができる。
ビニルエーテル系単量体としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等を挙げることができる。
モノオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。
ジオレフィン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができる。
(2)架橋性単量体
結着樹脂の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものを挙げることができる。
結着樹脂の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものを挙げることができる。
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、例えば、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物等を挙げることができる。
酸性極性基を有する単量体としては、例えば、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物等を挙げることができる。
(a)の−COO基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
(b)の−SO3H基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては例えば、スルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
(4)塩基性極性基を有する単量体
塩基性極性基を有する単量体としては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有する単量体として好ましい。
塩基性極性基を有する単量体としては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有する単量体として好ましい。
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等
(重合開始剤)
本発明に係るラジカルを供給できる重合開始剤としては、水溶性であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。更に、上記重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
(重合開始剤)
本発明に係るラジカルを供給できる重合開始剤としては、水溶性であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。更に、上記重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50〜90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いることで、室温又はそれ以上の温度で重合することも可能である。
(連鎖移動剤)
本発明に係る連鎖移動剤としては、炭素数5〜10のアルキルメルカプタンを用いることができる。
本発明に係る連鎖移動剤としては、炭素数5〜10のアルキルメルカプタンを用いることができる。
炭素数5〜10のアルキルメルカプタンとしては、具体的には、n−ペンチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ノニルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
連鎖移動剤の使用量は、ラジカル重合性単量体組成物に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜4質量%がより好ましい。0.01質量%未満では効果を発揮するのが難しく、5質量%を越えると未反応の状態で連鎖移動剤が残存し好ましくない。
(水系媒体)
本発明に係る水系媒体とは、水、有機溶媒、これらの混合液等が挙げられるが、水系溶媒であることが好ましい。水系溶媒とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる結着樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
本発明に係る水系媒体とは、水、有機溶媒、これらの混合液等が挙げられるが、水系溶媒であることが好ましい。水系溶媒とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる結着樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
《トナーの製造方法》
本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーは結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を含む。トナー粒子の他に滑り剤など外添剤を含むこともある。又、トナー粒子は荷電調節剤などの内添剤といわれる添加剤を含むこともある。
トナーの製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合粒子を凝集/融着する方法、結着樹脂を溶解し、液中分散させる溶解懸濁法等を挙げることができるが、揮発性物質をトナー中に残存させにくいトナーの製造方法としては、乳化重合粒子を凝集/融着する方法が好ましい。
本発明のトナーの製造方法の一例を以下に示す。
トナーの製造工程は、主に、以下に示す工程より構成されている。
1:離型剤及び/又は結晶性ポリエステルが最外層以外の領域(中心部または中間層)に含有されている複合樹脂粒子を得るための多段重合工程
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程
3:トナー粒子の分散液系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を減圧乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に、必要に応じ外添剤を添加する工程
から構成される。
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程
3:トナー粒子の分散液系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を減圧乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に、必要に応じ外添剤を添加する工程
から構成される。
以下、各工程について、詳細に説明する。
〔多段重合工程〕
多段重合工程は、多段重合法により、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成することにより、複合樹脂粒子を製造する工程である。
多段重合工程は、多段重合法により、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成することにより、複合樹脂粒子を製造する工程である。
本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。
〈二段重合法〉
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、二段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と1層の被覆層より構成されるものである。
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、二段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と1層の被覆層より構成されるものである。
この方法を具体的に説明すると、先ず、離型剤を単量体Lに溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体に油滴分散させた後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、三段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と2層の被覆層から構成されるものである。
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、三段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と2層の被覆層から構成されるものである。
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、溶液に添加するとともに、上記水系媒体に、離型剤を単量体Mに溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、離型剤を含有する結着樹脂(単量体Mの重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第3段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の結着樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、第2段重合を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体に、離型剤を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒子または被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
なお、離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有しないものを得るためにも採用することができる。
この重合工程で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃である。
また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲にあることが好ましい。
〔塩析/融着工程〕
この塩析/融着工程は、前記多段重合工程によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に進行させる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
この塩析/融着工程は、前記多段重合工程によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に進行させる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
本発明でいう塩析とは、水溶液中に分散した状態にある複合樹脂粒子を塩の作用を利用して凝集させることをいう。また、融着とは、上記塩析によって凝集した樹脂粒子同士の粒子間界面を消失させることをいう。本発明の塩析/融着とは、塩析と融着の2つの工程が順次に起こること、または順次におこさせる行為をさす。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する結着樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
この塩析/融着工程では、複合樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
着色剤粒子は、水溶液中に分散された状態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散される水系媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を減圧乾燥処理する工程である。
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を減圧乾燥処理する工程である。
この工程で使用される減圧乾燥機としては、例えば、減圧スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。具体的には、減圧可能な静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機或いは攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
減圧乾燥時の条件は、乾燥温度がトナーに用いた結着樹脂のTg以下であればよく、減圧度、乾燥時間等は特に限定されず、適宜設定することができる。
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
本発明のトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。このため、本発明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
更に、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、転写体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性および巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像が得られる。
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水溶液中に油滴分散を行うことが好ましい。界面活性剤としては特に限定されず使用することができ、例えば、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水溶液中に油滴分散を行うことが好ましい。界面活性剤としては特に限定されず使用することができ、例えば、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、具体的には、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)等を挙げることができる。
又、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は他の目的で使用してもよい。
(凝集剤)
本発明で用いられる凝集剤としては、下記に示す金属塩の中から選択されるものが好ましい。
本発明で用いられる凝集剤としては、下記に示す金属塩の中から選択されるものが好ましい。
金属塩としては、一価の金属、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えば、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等を挙げることができる。
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等を挙げることができる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17,601」(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
本発明に係るトナーの製造方法では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然のことながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
凝集剤として用いる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
(離型剤)
本発明のトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中において融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中において融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
該離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を挙げることができる。これらの中で好ましい化合物としては、下記一般式(5)で表されるエステル系化合物を挙げることができる。
一般式(5)
R1−(OCO−R2)n
一般式(5)において、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。R2は、炭素数1〜40が好ましく、16〜30がより好ましく、18〜26がさらに好ましい。
R1−(OCO−R2)n
一般式(5)において、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。R2は、炭素数1〜40が好ましく、16〜30がより好ましく、18〜26がさらに好ましい。
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
上記化合物の添加量は、トナー全体量に対し1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、は3〜15質量%がさらに好ましい。
(水に無限溶解する溶媒)
水に対して無限溶解する溶媒としては、本発明では形成された結着樹脂を溶解しないものの中から選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。これらの中では、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
水に対して無限溶解する溶媒としては、本発明では形成された結着樹脂を溶解しないものの中から選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。これらの中では、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
(荷電制御剤)
本発明のトナーは結着樹脂及び着色剤を含有するものであるが、必要に応じて荷電制御剤等を含有することもできる。
本発明のトナーは結着樹脂及び着色剤を含有するものであるが、必要に応じて荷電制御剤等を含有することもできる。
該荷電制御剤としては、種々の公知のものの中で、水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等を挙げることができる。
(外添剤)
又、本発明のトナーは、形成したトナーに外添剤を添加し、高速撹拌等の方法で外添剤をトナー表面に付着させて用いることができる。外添剤をトナー表面に付着させることによりより良好な画像を得ることができる。
又、本発明のトナーは、形成したトナーに外添剤を添加し、高速撹拌等の方法で外添剤をトナー表面に付着させて用いることができる。外添剤をトナー表面に付着させることによりより良好な画像を得ることができる。
この外添剤としては、例えば、無機微粒子や有機微粒子等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
無機微粒子としては、具体的には、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機微粒子が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることがより好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
疎水化度=〔a/(a+50)〕×100%
有機微粒子としては、具体的には、スチレン樹脂微粒子、スチレンアクリル樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子ウレタン樹脂微粒子等が好ましく用いられる。
有機微粒子としては、具体的には、スチレン樹脂微粒子、スチレンアクリル樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子ウレタン樹脂微粒子等が好ましく用いられる。
この外添剤の添加量は、トナー中に対し0.1〜5.0質量%が好ましく、0.5〜4.0質量%がより好ましい。又、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
(現像剤)
本発明のトナーは、一成分現像剤、或いは二成分現像剤として用いることができる。
本発明のトナーは、一成分現像剤、或いは二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μmの磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも用いることができる。
又、本発明のトナーは、磁性粒子であるキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス」(シンパティック株式会社製)により測定することができる。
又、キャリアとしては、磁性粒子を樹脂でコーティングしたもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることもできる。コーティング用の樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等を挙げることができる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
次に、本発明の接触帯電方式を用いた画像形成装置について説明する。
図1は、本発明に係る接触帯電方式を用いた画像形成装置1の断面概略図である。画像形成装置1は内部に、感光体カートリッジ2、現像カートリッジ3、外部からの画像信号に基づいて変調されたレーザビームを偏向させながら射出する露光装置4、記録紙を供給する給紙装置5、転写ローラ6、定着器7および排紙トレイ8が配設されている。
感光体カートリッジ2は、内部に円筒体の外周面に有機光導電材料の薄膜層を形成して成る感光体21、帯電ブラシ22等を備えている。現像カートリッジ3は、内部に図示せぬ現像スリーブ、攪拌ローラ、およびトナーとキャリアが収容されたトナータンクを備えており、現像スリーブには図示せぬ現像電源から現像バイアスが印加される。両カートリッジには、画像形成装置1への着脱の際に機械的接触による不具合が発生するのを防止するために、画像形成装置1への挿入時には閉状態とされ、画像形成装置1からの取り出し時には開状態とされる図示せぬ保護カバーが設けられている。
画像形成プロセスは周知であるため、以下に、簡略に示すに留める。まず、感光体21表面は帯電ブラシ22により所定の電圧で均一に帯電される。露光装置4は、変調されたレーザビーム(図中に破線矢印で示す)を発生し、このレーザビームを図示せぬポリゴンミラーにより偏向して、感光体21上を偏向走査し、前記帯電面に画像情報に応じた静電潜像を順次に形成していく。トナータンク内のトナーは、攪拌ローラで攪拌された後、現像スリーブ上に供給され、感光体21との対向部で、前記静電潜像に対応したトナー像を形成する。同時に、感光体21表面の露光を受けていない部分(非画像部)に存在する残留トナーは、現像スリーブに印加される現像バイアス電圧と感光体21の表面電位との電位差を利用して、現像カートリッジに静電力により回収される。一方、トナー像は、感光体21と対向して配設されている転写ローラ6によって、記録紙上に静電転写される。なお、記録紙は給紙装置5から図中実線矢印で示される搬送路に沿って運ばれてくる。次いで、この記録紙は定着器7に搬送され、ここで未定着トナー像が記録紙上に熱定着される。最後に、所望の画像を形成した記録紙は、排紙トレイ8より排出される。以上一連のプロセスを繰り返すことで、原稿の複製が多量かつ高速にできるわけである。
帯電ブラシ22の上流側には、感光体上の残留トナーに感光体の帯電極性と同極性に帯電させるプレ帯電フィルム24(シート状の部材で、感光体上の帯電ムラを均一化する部材、同時に残留トナーも帯電する:本発明のトナーを帯電する補助帯電手段)、帯電ならし部材25、26(スポンジ状部材で、感光体上の残留トナーを分散し、帯電ムラを均一化する部材、同時に残留トナーも帯電する:本発明のトナーを帯電する補助帯電手段)が設置されており、これら帯電ブラシ、プレ帯電フィルム、帯電ならし部材は感光体に接触している。又、帯電ブラシは感光体の回転によって感光体との接触部に送られてきた残留トナーを機械的に撹拌し、判読不可能な状態となるまで感光体表面に拡散させる。また、帯電ブラシは、感光体の帯電極性と反対の極性(逆極性)の残留トナーを静電的に吸着して回収し、感光体の帯電極性と同極性(正規の極性)に帯電させて感光体表面に吐出する。
図2は、画像形成装置1に着脱自在な感光体カートリッジ2の断面概略図である。感光体カートリッジ2は、開閉可能な(図示されず)保護カバー付きケーシング28内に、像担持体としての感光体21、この感光体21の周りに当接配置された帯電ブラシ22、帯電ブラシ22に所定電圧を印加する電源接続部材23、プレ帯電フィルム24、帯電ならし部材(スポンジ状の帯電部材)25、26、電源接続部材27を収容する。尚、保護カバー付きケーシング28には図示されていない露光光入射窓、現像手段取り付け口及び画像形成装置に装着時に保護カバーが開放し、感光体と転写手段が近接或いは接触する機構を有する。
感光体21は図示せぬ駆動装置により図中矢印方向に回転する。帯電ブラシ22は、毛状の繊維からなる導電糸をブラシ支持体に植設したものである。この帯電ブラシ22は感光体21の表面に接触した状態で、図示せぬ駆動装置により図中矢印方向、つまり感光体21との接触部において、感光体21回転方向に対して同方向に回転する。画像形成時には、帯電ブラシ22に図示せぬ帯電電源より電圧が印加され、これによって感光体21表面を均一に所定極性に帯電させる。一方、非画像形成時には、帯電電源より前記画像形成時と逆の極性の電圧が帯電ブラシ22に印加される。なお、トナーの帯電極性は、画像形成時の帯電電圧の極性と同一である。よって非画像形成時に、帯電ブラシ22内に蓄積されたトナーを静電的反発力により、感光体21上に吐出させることができる。
プレ帯電フィルム24は感光体上の残留トナーに、現像手段で回収されやすいように、正規の極性を付与する為に設けられている。帯電ならし部材25、26もプレ帯電フィイル無と同様な機能を有するが、同時に、残留トナーを感光体上で拡散させる機能、帯電ブラシ22による感光体上に帯電ムラを補う機能も有している。
尚、上記画像形成装置は、モノクロのレーザプリンタを示したが、カラーのレーザプリンタやコピーにも同様に適用可能である。
又、前記画像形成装置は、好ましい例として、クリーナレスの画像形成装置を例示したが、即ち、感光体上の残留トナーを除去又は回収する為の主機能を有するクリーニング装置、或いはクリーニング部材(例えばクリーニングブレード等)を有しないクリーナレスの画像形成装置を例示したが、残留トナーを回収するための専用のクリーニング装置を備える画像形成装置であってもよい。即ち、本発明は、クリーナレス型でない画像形成装置にも適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。但し、下記文中の「部」は「質量部」を示す。
以下のようにして、評価に用いる感光体を作製した。
感光体1の作製
中間層1
洗浄済み円筒状アルミニウム基体(切削加工により表面粗さRz:1.0μmに加工した)上に、下記中間層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚10μmの中間層1を形成した。
中間層1
洗浄済み円筒状アルミニウム基体(切削加工により表面粗さRz:1.0μmに加工した)上に、下記中間層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚10μmの中間層1を形成した。
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5ミクロン、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。
(中間層分散液の作製)
バインダー樹脂:(例示ポリアミドN−1) 1部
ニオブ元素を0.5質量%含有したアナターゼ形酸化チタンA1(一次粒径35nm;表面処理は、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 3.0部
イソプロピルアルコール 10部
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
バインダー樹脂:(例示ポリアミドN−1) 1部
ニオブ元素を0.5質量%含有したアナターゼ形酸化チタンA1(一次粒径35nm;表面処理は、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 3.0部
イソプロピルアルコール 10部
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液を作製した。
電荷発生層
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
B形オキシチタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルで、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、28.7°に顕著な回折ピークを有するチタニルフタロシン顔料) 20部
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学(株)社製) 10部
メチルエチルケトン 700部
シクロヘキサノン 300部
電荷輸送層
下記成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学(株)社製) 10部
メチルエチルケトン 700部
シクロヘキサノン 300部
電荷輸送層
下記成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、感光体1を作製した。
電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−α−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 70部
ポリカーボネート樹脂「ユーピロン−Z300」(三菱ガス化学社製)
100部
酸化防止剤(下記化合物A) 2部
テトラヒドロフラン/トルエン(体積比8/2) 750部
感光体2〜5の作製
アルミニウム基体の表面粗さRz、中間層の粒子、バインダー樹脂、乾燥膜厚、電荷輸送層の電荷輸送物質及び膜厚等を表1のように変更した以外は感光体1と同様にして感光体2〜5を作製した。
ポリカーボネート樹脂「ユーピロン−Z300」(三菱ガス化学社製)
100部
酸化防止剤(下記化合物A) 2部
テトラヒドロフラン/トルエン(体積比8/2) 750部
感光体2〜5の作製
アルミニウム基体の表面粗さRz、中間層の粒子、バインダー樹脂、乾燥膜厚、電荷輸送層の電荷輸送物質及び膜厚等を表1のように変更した以外は感光体1と同様にして感光体2〜5を作製した。
尚、前記感光体1〜5の作製と同時に、各感光体の中間層塗布液を用いて、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレート支持体上に各中間層塗布液を塗布し、前記感光体の乾燥条件と同じ条件で乾燥膜厚10μmの中間層を形成して体積抵抗測定用試料を作製し、各中間層の体積抵抗を測定した。その結果、感光体1〜5の中間層の体積抵抗は全て1×108Ω・cm以上であった。
表中、
A1はニオブ元素を0.5質量%含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:100%)
A2はニオブ元素を1.0質量%含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:95%)
A3はニオブ元素を300ppm含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:100%)
A4はニオブ元素を1.8質量%含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:92%)
尚、表中、表面処理とは粒子の表面に施した表面処理に用いた物質を示す。
A1はニオブ元素を0.5質量%含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:100%)
A2はニオブ元素を1.0質量%含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:95%)
A3はニオブ元素を300ppm含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:100%)
A4はニオブ元素を1.8質量%含有したアナターゼ形酸化チタン(アナターゼ化度:92%)
尚、表中、表面処理とは粒子の表面に施した表面処理に用いた物質を示す。
又、表中の融解熱、吸水率の測定は以下のようにして行った。
融解熱の測定条件
測定機:島津製作所「島津熱流速示差走査熱量計DSC−50」を用いて測定した。
測定機:島津製作所「島津熱流速示差走査熱量計DSC−50」を用いて測定した。
測定条件:測定試料を上記測定機に設定し、室温(24℃)から測定開始、200℃迄5℃/分で昇温し、次いで室温まで5℃/分で冷却する。これを2回連続で行い、2回めの昇温時の融解による吸熱ピーク面積より融解熱を算出する。
吸水率の測定条件
測定対象の試料を70〜80℃で3〜4時間で十分に乾燥させ、その質量を精密に秤量する。次に、20℃に維持したイオン交換水に試料を投入し、一定時間経過後に引き上げ試料表面の水を清潔な布で拭き取り、質量を測定する。以上の操作を質量増が飽和するまで繰り返し、その結果得られた試料の増加質量(増加分)を初期の質量で除した値を吸水率とした。
測定対象の試料を70〜80℃で3〜4時間で十分に乾燥させ、その質量を精密に秤量する。次に、20℃に維持したイオン交換水に試料を投入し、一定時間経過後に引き上げ試料表面の水を清潔な布で拭き取り、質量を測定する。以上の操作を質量増が飽和するまで繰り返し、その結果得られた試料の増加質量(増加分)を初期の質量で除した値を吸水率とした。
表中、炭素数が7以上の単位構造の比率とは、繰り返し単位構造のアミド結合間の炭素数が7以上の繰り返し単位構造の比率(モル%)を示す。
本発明に用いるトナー及び該トナーを用いた現像剤を作製した。
《トナー粒子調製》
〔トナー粒子1の調製〕
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
〔トナー粒子1の調製〕
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
この界面活性剤溶液に、イオン交換水300gに重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる重合性単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水100gにKPS3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。この段階での重合転化率は98%であった。これを「樹脂粒子(1H)」とする。
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
次いで、この乳化液にイオン交換水150gに重合開始剤(KPS)5.0gを溶解した開始剤溶液とイオン交換水750gとを添加し、この系を80℃にて加熱攪拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水50gにKPSの1.5gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。これを「樹脂粒子(1HM)」とする。
上記「樹脂粒子(1HM)」を乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲まれなかった例示化合物19)を主成分とする粒子(400〜1000nm)が観察された。
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した「樹脂粒子(1HM)」に、イオン交換水200gに重合開始剤(KPS)6.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水65gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱し2時間攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。この樹脂粒子を「樹脂粒子(1HML)」とする。
上記調製した「樹脂粒子(1HM)」に、イオン交換水200gに重合開始剤(KPS)6.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水65gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱し2時間攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。この樹脂粒子を「樹脂粒子(1HML)」とする。
〈ラテックス(1L)の調製〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、イオン交換水400gに重合開始剤(KPS)14.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水200gにKPSの4.4gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱し2時間撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。このラテックスを「ラテックス(1L)」とする。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、イオン交換水400gに重合開始剤(KPS)14.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水200gにKPSの4.4gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱し2時間撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。このラテックスを「ラテックス(1L)」とする。
この「ラテックス(1L)」を構成する樹脂粒子は、数平均分子量(Mn)で11,000に分子量ピークを有するものであり、またこの樹脂粒子の質量平均粒径は128nmであった。
(着色剤の分散)
アニオン系界面活性剤Aの90.0gを、イオン交換水1600gに撹拌、溶解した。この溶液を撹拌しながら、C.I.ピグメントブルー15:3を400g徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液1」という。)を調製した。この「着色剤分散液1」における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で110nmであった。
アニオン系界面活性剤Aの90.0gを、イオン交換水1600gに撹拌、溶解した。この溶液を撹拌しながら、C.I.ピグメントブルー15:3を400g徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液1」という。)を調製した。この「着色剤分散液1」における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で110nmであった。
(凝集・融着工程)
前記調製した「樹脂粒子(1HML)」420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、上記調製した「着色剤分散液1」166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.0に調整した。
前記調製した「樹脂粒子(1HML)」420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、上記調製した「着色剤分散液1」166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.0に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を、攪拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この水溶液を60分間かけて90℃まで昇温し、粒子の成長を開始した。その状態で、「コールターカウンターTA−2」にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmになった時点で、停止剤として塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成処理として、液温度98℃にて2時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させた。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却した。
(シェリング工程)
上記により、凝集・融着を行った粒子に、前記調製した「ラテックス(1L)」96gを添加し、3時間に亘り加熱、撹拌を継続し、「樹脂粒子(1HML)」の凝集粒子表面に「ラテックス(1L)」をシェリングさせた。次いで、塩化ナトリウム40.2gを添加し、8℃/分の降温条件で30℃まで冷却し、次いで、塩酸を添加してpHを2.0に調整して、撹拌を停止した。
上記により、凝集・融着を行った粒子に、前記調製した「ラテックス(1L)」96gを添加し、3時間に亘り加熱、撹拌を継続し、「樹脂粒子(1HML)」の凝集粒子表面に「ラテックス(1L)」をシェリングさせた。次いで、塩化ナトリウム40.2gを添加し、8℃/分の降温条件で30℃まで冷却し、次いで、塩酸を添加してpHを2.0に調整して、撹拌を停止した。
(乾燥工程)
以上のようにしてシェリングした融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、減圧乾燥機を用いて乾燥を行い、トナー粒子中の残存揮発性物資と重合性単量体を除去した後、ヘンシェルミキサーで解砕し、45μmメッシュの篩で篩分けすることにより「トナー粒子1」を調製した。なお、乾燥は約10kPaに減圧し、45℃で10時間保持して行った。
以上のようにしてシェリングした融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、減圧乾燥機を用いて乾燥を行い、トナー粒子中の残存揮発性物資と重合性単量体を除去した後、ヘンシェルミキサーで解砕し、45μmメッシュの篩で篩分けすることにより「トナー粒子1」を調製した。なお、乾燥は約10kPaに減圧し、45℃で10時間保持して行った。
〔トナー粒子2の調製〕
「トナー粒子1」の調製で用いた連鎖移動剤のn−ペンチルメルカプタンをn−オクチルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子2」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で用いた連鎖移動剤のn−ペンチルメルカプタンをn−オクチルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子2」を調製した。
〔トナー粒子3の調製〕
「トナー粒子1」の調製で用いた連鎖移動剤のn−ペンチルメルカプタンをn−デシルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子3」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で用いた連鎖移動剤のn−ペンチルメルカプタンをn−デシルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子3」を調製した。
〔トナー粒子4の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥温度を45℃から30℃に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子4」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥温度を45℃から30℃に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子4」を調製した。
〔トナー粒子5の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から5時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子5」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から5時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子5」を調製した。
〔トナー粒子6の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から5時間に、乾燥温度を45℃から30℃に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子6」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から5時間に、乾燥温度を45℃から30℃に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子6」を調製した。
〔トナー粒子7の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から20時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子7」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から20時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子7」を調製した。
〔トナー粒子8の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した核粒子の調製、中間層の形成、外層の形成、ラテックスの調製を以下のように変更し、乾燥工程の乾燥時間を10時間から20時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子8」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で設定した核粒子の調製、中間層の形成、外層の形成、ラテックスの調製を以下のように変更し、乾燥工程の乾燥時間を10時間から20時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子8」を調製した。
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
この界面活性剤溶液に、イオン交換水300gに重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる重合性単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水50gにKPSの3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃にて加熱撹拌して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水50gにKPSの3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。この段階での重合転化率は99%であった。これを「樹脂粒子(8H)」とする。
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子(8H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子(8H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
次いで、この乳化液にイオン交換水150gに重合開始剤(KPS)5.0gを溶解した開始剤溶液とイオン交換水750gとを添加し、この系を80℃にて加熱攪拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水25gにKPSの1.5gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて加熱撹拌して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水25gにKPSの1.5gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。これを「樹脂粒子(8HM)」とする。
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した「樹脂粒子(8HM)」に、イオン交換水200gに重合開始剤(KPS)6.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水32.5gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水32.5gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して2時間攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は99%であった。この樹脂粒子を「樹脂粒子(8HML)」とする。
上記調製した「樹脂粒子(8HM)」に、イオン交換水200gに重合開始剤(KPS)6.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水32.5gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水32.5gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して2時間攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は99%であった。この樹脂粒子を「樹脂粒子(8HML)」とする。
〈ラテックス(8L)の調製〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、イオン交換水400gに重合開始剤(KPS)14.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水200gにKPSの4.4gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水100gにKPSの3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して2時間撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。この段階での重合転化率は99%であった。このラテックスを「ラテックス(8L)」とする。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、イオン交換水400gに重合開始剤(KPS)14.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水200gにKPSの4.4gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水100gにKPSの3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して2時間撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。この段階での重合転化率は99%であった。このラテックスを「ラテックス(8L)」とする。
〔トナー粒子9の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した核粒子の調製、中間層の形成、外層の形成、ラテックスの調製を以下のように変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子9」を調製した。
「トナー粒子1」の調製で設定した核粒子の調製、中間層の形成、外層の形成、ラテックスの調製を以下のように変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子9」を調製した。
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「樹脂粒子(9H)」とする。
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる単量体混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である「前記樹脂粒子(9H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる単量体混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である「前記樹脂粒子(9H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
次いで、この乳化液に重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240gに溶解した開始剤溶液とイオン交換水750gとを添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「樹脂粒子(9HM)」とする。
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した「樹脂粒子(9HM)」に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200gに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この樹脂粒子を「樹脂粒子(9HML)」とする。
上記調製した「樹脂粒子(9HM)」に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200gに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この樹脂粒子を「樹脂粒子(9HML)」とする。
〈ラテックス(9L)の調製〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水400gに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後
、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(9L)」とする。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水400gに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後
、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(9L)」とする。
〔トナー粒子10の調製〕
上記「トナー粒子1」の調製において、連鎖移動剤として用いたn−ペンチルメルカプタンをn−ドデシルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして、「トナー粒子10」を調製した。
上記「トナー粒子1」の調製において、連鎖移動剤として用いたn−ペンチルメルカプタンをn−ドデシルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして、「トナー粒子10」を調製した。
〔トナー粒子11の調製〕
上記「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の減圧条件(約10kPa)を常圧条件に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして、「トナー粒子11」を調製した。
上記「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の減圧条件(約10kPa)を常圧条件に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして、「トナー粒子11」を調製した。
《トナー、現像剤の調製》
上記調製した「トナー粒子1〜11」に対して、それぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1〜11」を調製した。
上記調製した「トナー粒子1〜11」に対して、それぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1〜11」を調製した。
次いで、上記調製した各トナーに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、それぞれトナー濃度が6%の「現像剤1〜11」を調製した。
上記のようにして調製した各トナーの詳細を、表2に示す。
評価
以上のようにして得た感光体1〜5及び現像剤1〜11を表3のように組み合わせ、基本的に図1、2に記載の構造を有するEPSONLP−2400(エプソン(株)販売:A4紙16枚/分のプリンター)に各々装着し、高温高湿(30℃80%RH)と低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、それぞれ評価項目を変えて評価した。評価結果を表3に示す。
以上のようにして得た感光体1〜5及び現像剤1〜11を表3のように組み合わせ、基本的に図1、2に記載の構造を有するEPSONLP−2400(エプソン(株)販売:A4紙16枚/分のプリンター)に各々装着し、高温高湿(30℃80%RH)と低温低湿(10℃20%RH)の環境下で、それぞれ評価項目を変えて評価した。評価結果を表3に示す。
帯電条件
プレ帯電フィルム:800〜850V
帯電ならし部材:800〜850V
ブラシ帯電部材:800〜850V
露光条件
露光部電位目標:−50V未満にする露光量に設定。
プレ帯電フィルム:800〜850V
帯電ならし部材:800〜850V
ブラシ帯電部材:800〜850V
露光条件
露光部電位目標:−50V未満にする露光量に設定。
露光ビーム:ドット密度600dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)の像露光を行った。レーザは780nmの半導体レーザを使用
現像条件:非磁性一成分現像剤を用いた反転現像
評価項目及び評価方法
評価項目及び評価基準
残留電位の評価(べた黒画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にある画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の印刷を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた黒画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し残留電位の上昇が小さい。
現像条件:非磁性一成分現像剤を用いた反転現像
評価項目及び評価方法
評価項目及び評価基準
残留電位の評価(べた黒画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にある画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の印刷を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた黒画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し残留電位の上昇が小さい。
◎;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V〜150V(実用上問題なし)
×;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
帯電電位の評価(べた白画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にある画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の印刷を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた白画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し帯電電位の変化が小さい。
○;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が50V〜150V(実用上問題なし)
×;べた黒画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
帯電電位の評価(べた白画像の電位変化)
低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)環境下で、画素率が7%の文字画像、ハーフトーン画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にある画像をA4で1枚間欠モードにて1万枚の印刷を行い、初期と1万枚後の現像位置でのべた白画像部の電位変化(|ΔV|)を評価した。|ΔV|が小さい方が繰り返し帯電電位の変化が小さい。
◎;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V未満(良好)
○;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V〜150V(実用上問題なし)
×;べた白画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
画像濃度;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。多数枚のコピーで残留電位が増加すると、画像濃度が低下する。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
○;べた白画像部の電位変化|ΔV|が50V〜150V(実用上問題なし)
×;べた白画像部の電位変化|ΔV|が150Vより大きい(実用上問題有り)
画像濃度;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。多数枚のコピーで残留電位が増加すると、画像濃度が低下する。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
◎:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.2より高い(良好)
○:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.0以上、1.2以下(実用上問題なし)
×:低温低湿、高温高湿の何れかで黒ベタ画像が1.0未満(実用上問題あり)
カブリ;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
カブリ濃度はべた白画像をマクベス社製RD−918を使用し反射濃度で測定した。該反射濃度は相対濃度(印刷していないA4紙の濃度を0.000とする)で評価した。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
○:低温低湿、高温高湿とも黒ベタ画像が1.0以上、1.2以下(実用上問題なし)
×:低温低湿、高温高湿の何れかで黒ベタ画像が1.0未満(実用上問題あり)
カブリ;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(HH:30℃80%RH)で評価
カブリ濃度はべた白画像をマクベス社製RD−918を使用し反射濃度で測定した。該反射濃度は相対濃度(印刷していないA4紙の濃度を0.000とする)で評価した。各1万枚コピー後のべた黒画像部で測定した。
◎;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010未満(良好)
○;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010以上、0.020以下(実用上問題ないレベル)
×;低温低湿、高温高湿の何れかで濃度が0.020より高い(実用上問題となるレベル)
絶縁破壊;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)で評価
○;LL又はHHで電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生なし。
○;低温低湿、高温高湿とも濃度が0.010以上、0.020以下(実用上問題ないレベル)
×;低温低湿、高温高湿の何れかで濃度が0.020より高い(実用上問題となるレベル)
絶縁破壊;低温低湿(LL:10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)で評価
○;LL又はHHで電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生なし。
×;LL又はHHで電荷リークによる感光体の絶縁破壊が発生した。
周期性の画像欠陥(高温高湿(30℃80%RH))
周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチ、黒筋状の画像欠陥が、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
周期性が感光体の周期と一致し、目視できる黒ポチ、黒筋状の画像欠陥が、A4サイズ当たり何個あるかで判定した。
◎;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:全ての印刷画像が5個/A4以下(良好)
○;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:6個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
鮮鋭性
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)の両環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
○;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:6個/A4以上、10個/A4以下が1枚以上発生(実用上問題なし)
×;0.4mm以上の画像欠陥の頻度:11個/A4以上が1枚以上発生(実用上問題有り)
鮮鋭性
画像の鮮鋭性は、低温低湿(10℃20%RH)、高温高湿(30℃80%RH)の両環境において画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
◎;画像ボケの発生がなく、3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○;画像ボケの発生が軽微であり、3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×;画像ボケが発生し、3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
○;画像ボケの発生が軽微であり、3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
×;画像ボケが発生し、3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
表3より、本発明の構成、即ち、電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられる揮発性物質の全量が350ppm以下のトナーとの組み合わせ1〜8、12〜15は、高温高湿、低温低湿での残留電位、帯電電位の安定性に優れており、このことから画像濃度が十分で且つカブリ濃度が小さい。しかも絶縁破壊も発生せず、黒ポチ等の改良効果が顕著であり、その結果鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ている。特に、中間層に金属酸化物粒子にニオブ元素を含有するアナターゼ形酸化チタン及び融解熱0〜20J/g以下で、吸水率4質量%以下のポリアミド樹脂を用いた中間層の有機感光体と揮発性物質の全量が300ppm以下且つ重合性単量体の量が20ppm以下のトナーとの組み合わせ1〜3、7、8、12〜14は各評価項目の改良効果が著しい。一方、トナーの揮発性物質の全量が350ppmを超えた組み合わせ9では絶縁破壊が発生し、10、11では絶縁破壊に加え、黒ポチの発生も多く、鮮鋭性も劣化している。
1 画像形成装置
2 感光体カートリッジ
3 現像カートリッジ
4 露光装置
5 給紙装置
6 転写ローラ
7 定着器
8 排紙トレイ
21 感光体
22 帯電ブラシ
23、27 電源接続部材
24 プレ帯電フィルム
25、26 帯電ならし部材
2 感光体カートリッジ
3 現像カートリッジ
4 露光装置
5 給紙装置
6 転写ローラ
7 定着器
8 排紙トレイ
21 感光体
22 帯電ブラシ
23、27 電源接続部材
24 プレ帯電フィルム
25、26 帯電ならし部材
Claims (14)
- 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段、前記帯電手段より上流に位置していて、該電子写真感光体面上のトナーを帯電する少なくとも1つ以上の補助帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体上に帯電部材を接触させて帯電する帯電手段、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナー像に顕像化する現像手段、該トナー像を転写材に転写する転写手段、前記帯電手段より上流に位置していて、該電子写真感光体面上のトナーを帯電する少なくとも1つ以上の補助帯電手段を有する画像形成装置において、該電子写真感光体が有機感光体であり、現像手段に用いられるトナーが結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有し、該トナーのヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 前記トナーが重合トナーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記有機感光体が導電性支持体上に中間層、電荷発生層と電荷輸送層を有し、中間層が金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記金属酸化物粒子がTiO2、ZrO2、ZnO及びAl2O3から選択された少なくとも1種の粒子を含有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記TiO2粒子がアナターゼ形酸化チタン顔料であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記アナターゼ形酸化チタン顔料が、ニオブ元素を100ppm〜2.0質量%含有するアナターゼ形酸化チタン顔料であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記金属酸化物粒子の数平均一次粒子が5〜400nmであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記中間層に融解熱0〜40J/gで、且つ吸水率5質量%以下のポリアミド樹脂を含有することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記中間層の体積抵抗が108Ω・cm以上であることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- トナーを回収する専用のクリーニング手段を有しないことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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