JP3384231B2 - 電子写真感光体及びそれを用いる画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体及びそれを用いる画像形成装置

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JP3384231B2
JP3384231B2 JP06419096A JP6419096A JP3384231B2 JP 3384231 B2 JP3384231 B2 JP 3384231B2 JP 06419096 A JP06419096 A JP 06419096A JP 6419096 A JP6419096 A JP 6419096A JP 3384231 B2 JP3384231 B2 JP 3384231B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改善された下引き
層を有する電子写真感光体及びそれを用いる画像形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真装置は、高速でかつ高印字品質
が得られることから、複写機およびレーザービームプリ
ンター等の分野において利用されている。電子写真装置
に用いられる感光体として、有機光導電材料を用いた有
機感光体(OPC)の開発が進められ、現在では広く普
及してきている。また、感光体の構成も電荷移動型錯体
構造や電荷発生材料を結着樹脂中に分散させた単層型の
感光体から、電荷発生層と電荷輸送層とを分離した機能
分離型の感光体構成へと変遷し、感光体の性能が向上し
てきた。この機能分離型感光体構成において、現在で
は、アルミニウム基体の上に、下引き層を形成し、その
後、電荷発生層および電荷輸送層を形成する構成が主流
となっている。
【0003】電子写真装置の進歩に伴い、感光体の性能
において、より高品位な画質が要求されるようになって
きた。感光体の繰り返し安定性や環境安定性の改善に対
しては、電荷発生層、電荷輸送層および下引き層のいず
れの層も感度、画質や繰り返し安定性等の電子写真特性
のそれぞれに重要な影響を与えている。さらに基体は、
コスト低減や画質欠陥の改善等を目的として、押出し管
やED管、EI管等、各種のものが用いられるようにな
ってきた。さらに、干渉縞の発生を低減させるために、
基体の表面を粗面化処理する方法も検討が行われてき
た。
【0004】しかしながら、基体の表面には、通常、晶
出物やピックアップ、凹み等の多数の欠陥を有してい
る。例えば、低コストパイプとして用いられているED
管にはピックアップと呼ばれるアルミニウム基体表面の
むしれが存在している。このような表面欠陥があると、
感光体の成膜状態に不均一な箇所が生じ、感光体を帯電
する時に局所的な電場の集中を引き起こし、電荷リーク
を引き起こす原因となっている。さらに、帯電ロールを
用いる接触帯電プロセスに用いた場合には、導電性基体
の上記表面欠陥もしくは塗膜欠陥が原因となり、帯電ロ
ールとの間で電荷リークが生じ、リーク点に黒点または
白点状のスポット欠陥を引き起こす。この現象が著しい
場合には、帯電ロール自体の帯電能の低減を引き起こ
し、感光体の軸方向全体に及ぶ帯電不良を来すことにな
る。
【0005】また、感光体によっては、干渉縞を防止す
るためにアルミニウム基体にホーニング処理、粗切削、
エッチング処理等を施して粗面化する場合があるが、粗
面化したことにより局所的に基体表面に異常突起を引き
起こしてしまう場合がある。このような場合にも、画質
欠陥が生じ、帯電ロールと感光体との接触において電流
リークが生じることが問題となっている。これらの問題
に対しては、基体表面に十分な基体隠蔽能力とキャリア
ブロッキング性を有する下引き層を形成したり、導電層
を形成し、基体の欠陥を隠蔽する方法が効果的である。
【0006】基体表面に形成する下引き層としては、各
種の樹脂、例えば、特開昭52−10138号公報には
マレイン酸エステル共重合体が、特開昭52−2083
6号公報にはポリエステル樹脂が、特開昭52−256
638号公報には共重合ナイロンが、特開昭52−10
0240号公報にはポリビニルアルコールが、特開昭5
2−121325号公報にはエポキシ樹脂が、また特開
昭54−26379号公報にはスチレン−ブタジエン樹
脂が、それぞれ提案されている。しかしながら、これら
の樹脂単独で下引き層を形成した場合には、電気特性に
おいて残留電位の増加や環境変動の増大等の2次障害を
生じ、また黒点もしくは白点等の画質欠陥の改善効果も
十分なレベルでないことが多かった。
【0007】また、下引き層の樹脂中に金属酸化物微粒
子や金属微粒子を添加することにより、下引き層の抵抗
を低減させ、電気特性の向上と画質の改善を狙う試みも
行われてきた。しかし、金属微粒子を添加した場合に
は、下引き層中に導電路を形成し、基板側からホールの
注入を引き起こすことにより、かぶりや白抜け等の問題
を有していた。
【0008】帯電ロールを用いる接触帯電プロセスに用
いた場合には、通常のスコロトロンを用いた場合では画
質欠陥を生じない感光体においても、帯電ロールとの間
で電荷リークが生じやすく、このため、黒点または白点
状のスポット欠陥を引き起こしたり、著しい場合には、
帯電ロール自体の帯電能の低減を引き起こし、感光体の
軸方向全体に及ぶ帯電不良をきたしてしまう。このリー
クを防止するためには、下引き層を可能な限り厚膜化す
ることが有効であるが、従来の下引き層の材料では1μ
m程度の膜厚までは良好な電気特性が得られても、それ
以上に厚膜化すると残留電位が著しく上昇し、使用に耐
え得ないレベルになってしまうのが通常である。接触帯
電ロールによる電流リークが生じないようにするために
は、下引き層の膜厚は3μm程度以上に厚くすることが
望まれるが、このように厚膜化しても、電気特性や画質
等において障害の発生しない下引き層が求められてい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記した実情に鑑み、より高画質で電気特性へ
の悪影響のない下引き層の材料を提供することを目的と
してなされたものである。すなわち、本発明の目的は、
電気特性に優れ、また画質欠陥の少ない電子写真感光体
を提供することにある。また、本発明の他の目的は、接
触帯電方式の画像形成方法に使用する際に、画質欠陥の
ない画像を形成できる電子写真感光体を用いる画像形成
装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高画質で
電気特性への悪影響のない下引き層形成用材料について
鋭意検討した結果、下引き層に電子輸送性有機顔料とポ
リビニルアセタール樹脂とフェノール樹脂とを含有させ
ることにより、上記目的を達成できることを見出し、本
発明を完成するに至った。本発明は、導電性基体と感光
層との間に下引き層を設けた電子写真感光体において、
該下引き層が、電子輸送性有機顔料、ポリビニルアセタ
ール樹脂及びフェノール樹脂とを含有することを特徴と
する。本発明において、上記ポリビニルアセタール樹脂
としては、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ま
しい。
【0011】本発明の画像形成装置は、上記した電子写
真感光体及び帯電器を有することを特徴とするものであ
り、また、それを用いる画像形成方法としては、上記し
た電子写真感光体を帯電し、像露光し、現像し、転写定
着する工程を有し、帯電器をその電子写真感光体の表面
に接触させ、外部より電荷を供給して帯電させる方式に
適応しうるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性
基体の上に下引き層が形成され、さらにその上に感光層
が形成された構成を有する。この感光層は、どのような
層構成を有するものであってもよいが、電荷発生層およ
び電荷輸送層の順に形成された積層型感光体が、繰り返
し安定性や環境変動等の性能に優れているので好まし
い。以下、主として上記積層型感光体について説明す
る。
【0013】導電性基体としては、銅、アルミニウム、
ニッケル、鉄等の金属の他に、表面に金属を蒸着するか
導電性粉を分散した塗膜を形成するなどにより導電化処
理されたプラスチック或いは紙等の筒状、ベルト状或い
はシート状の基体を用いることができる。干渉縞防止の
ために、導電性基体表面は、エッチング、陽極酸化、ウ
エットブラスティング法、サンドブラスティング法、粗
切削、センタレス切削等の方法を用いて粗面化処理を行
うことができる。
【0014】本発明においては、上記の導電性基体の上
に、下引き層が設けられる。本発明の下引き層には、少
なくとも電子輸送性有機顔料、ポリビニルアセタール樹
脂及びフェノール樹脂が含まれる。ポリビニルアセター
ル樹脂とフェノール樹脂との混合物からなる樹脂は、反
応して硬化するものであるから、その成膜後は、電荷発
生層および電荷輸送層を形成するための塗布液を塗布す
る際にも溶出することがない。また、この樹脂は、構成
成分としてポリビニルアセタール樹脂を含有しているた
めに顔料の分散性に優れている。さらに、樹脂中に電子
輸送性有機顔料が添加されていることから、電荷発生層
で形成された電子を速やかに基体側に移動させ、下引き
層中に電子が蓄積して残留電位の上昇を防止することが
でき、安定した電気特性を有するものが得られるという
利点がある。
【0015】従来、下引き層に酸化錫や酸化アンチモン
或いはそれらの混合物等の低抵抗微粒子を添加すること
により電気特性の安定化を計ることが行われているが、
この場合には、導電性基体側からのホールの注入に対す
る抵抗性がないため、白抜け、かぶり等の画質欠陥を生
じるという問題があったが、電荷輸送性有機顔料の場合
には、導電性基体からのホールの注入に対しては十分な
抵抗層として働くために、ホールの注入に起因する画質
欠陥を防止することができる。
【0016】また、従来より硬化性樹脂として提案され
ている、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等
の樹脂を単独で用いる場合には、ブチラール樹脂と比較
して十分な分散性が得られない。また、ブチラール樹脂
とイソシアネートを混合して形成された硬化膜は、特開
昭62−276560号公報〜特開昭62−27656
3号公報等に開示されているが、一般にイソシアネート
を用いた場合には、繰り返しの使用や環境の変化により
感光体の残留電位の上昇を招く場合が多い。また、特開
昭61−240247号公報には、フェノール樹脂とア
セタール変性ポリビニルアルコールの混合物を用いた下
引き層が開示されているが、十分な安定した電気特性を
有するものは得られていない。これに対して、本発明で
は、電子輸送性顔料を用いた下引き層に、ポリビニルア
セタール樹脂及びフェノール樹脂との混合樹脂の硬化膜
を用いることにより、分散性および電気特性の両立に有
効である。
【0017】本発明に使用されるポリビニルアセタール
樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニル
ホルマール樹脂等があげられる。このポリビニルブチラ
ール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にブチルアルデ
ヒドを反応させることにより得られ、また、ポリビニル
ホルマール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にホルム
アルデヒドを反応させることにより得られる。これらの
ポリビニルアセタール樹脂において、その構造中に、ビ
ニルアセタール50〜75モル%、ポリビニルアルコー
ル10〜50モル%およびポリ酢酸ビニル0〜15モル
%を含有するものが好ましい。ポリビニルアセタール樹
脂の中では、分散性や電気特性等の点で、ポリビニルブ
チラール樹脂がより好ましい。
【0018】本発明に使用されるフェノール樹脂として
は、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−アル
キルフェノール、p−フェニルフェノール、クロルフェ
ノール、ビスフェノールA、フェノールスルホン酸、レ
ゾルシン等のフェノール性水酸基を有するものに、ホル
マリン、フルフラール等のアルデヒド類または加熱する
とホルマリンを発生するヘキサメチレンテトラミン、酸
性で開環してアルデヒド基を有するアセタール類を付加
重合したもの及びそれらの変性樹脂等が挙げられる。
【0019】本発明の下引き層には、電子輸送性有機顔
料が使用されるが、その有機顔料が正孔輸送性のもので
あるか、或いは電子輸送性のものであるかは、正孔の輸
送性が高いか、または電子の輸送性が高いかによって判
別される。より具体的な判別法としては、例えば、判別
すべき有機顔料を結着樹脂に分散した数μm〜10μm
程度の塗膜について、正帯電および負帯電の両者を用い
て帯電を行い、いずれの帯電電極の方がより高い感度を
示すかにより判別するものであって、負帯電の方が高い
感度を示せば電子輸送性有機顔料と判別する方法であ
る。
【0020】また、顔料の種類によっては、単一の顔料
ではキャリアを生成できないものがある。この場合の判
別方法は、判別したい有機顔料を分散した数μm〜10
μmの塗膜上に、異なる材料からなるサブミクロンオー
ダーの電荷発生層を成膜し、電荷発生層が感度を有する
波長の光照射を行ってキャリアを形成することにより、
下層の輸送極性を求めたい有機顔料にキャリアを注入さ
せ、その際いずれの帯電極性でより大きな電位減衰を生
じるかによって判別する方法である。また、この他に、
有機顔料を分散した数μm〜10μm程度の塗膜上に、
サブミクロン〜1μm程度の薄い電荷輸送層を成膜し、
判別したい有機顔料が感度を有する光を照射することに
より、顔料/薄層電荷輸送層界面でキャリアを形成し、
有機顔料層にキャリアを注入させ、いずれの帯電極性で
より大きな電位減衰を生じるかによって判別する方法が
ある。
【0021】このようにして判別される電子輸送性有機
顔料の化合物例としては、ペリレンテトラカルボン酸ジ
イミド顔料、ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾール
顔料、多環キノン顔料、アントラキノンアクリドン顔
料、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾール顔料等
があげられる。さらに具体的には、ペリレンテトラカル
ボン酸ジイミド顔料としては、下記の例示化合物No.
1−1〜No.1−10があげられ、ペリレンテトラカ
ルボン酸ジイミダゾール顔料としては、下記の例示化合
物No.2−1〜No.2−7があげられ、アントラキ
ノンアクリドン顔料としては、下記の例示化合物No.
3−1〜No.3−40があげられ、多環キノン顔料と
しては、下記の例示化合物No.4−1〜No.4−4
1があげられ、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾ
ール顔料としては、下記の例示化合物No.5−1〜N
o.5−6があげられる。
【0022】(ペリレンテトラカルボン酸ジイミド顔料
の具体例)
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】(ペリレンテトラカルボン酸ジイミダゾー
ル顔料の具体例)
【化3】
【0025】(アントラキノンアクリドン顔料の具体
例)
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】(多環キノン顔料の具体例)
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミダゾ
ール顔料の具体例)
【化16】
【0038】本発明の下引き層において、電子輸送性有
機顔料は、全重量中5〜90重量%の割合で含有され、
通常、0.001〜0.5μmの粒径のものが使用され
る。また、ポリビニルアセタール樹脂とフェノール樹脂
の全樹脂成分中、フェノール樹脂は3〜50重量%の範
囲で含有される。下引き層中には、光散乱を生じさせて
干渉縞の発生を防止する目的、分散性向上等の目的によ
り、電子輸送性顔料とは異なる各種の有機微粉末または
無機微粉末を添加することができる。特に、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の
白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム
等の体質顔料としての無機顔料やテフロン樹脂粒子、ベ
ンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効で
ある。使用する添加微粉末の粒径としては、0.01〜
3μmのものが用いられる。粒径が大きすぎると下引き
層の凹凸が激しくなるためと電気的に部分的な不均一性
が大きくなり、画質欠陥を生じ易くなる。また、小粒径
すぎると、十分な光散乱効果が得られない。これらの微
粉末は、必要に応じて添加されるものであり、添加する
場合には、下引き層の固形分に対して重量比で1〜70
重量%、より好ましくは5〜60重量%の範囲で添加さ
れる。
【0039】下引き層は膜厚を厚くすることによって、
基材の凹凸の隠蔽性が高まるため、一般に膜厚を厚くす
るとスポット状の画質欠陥は低減する方向にあるが、そ
れと同時に残留電位の上昇等の電気的特性も悪くなるた
め、膜厚としては0.1〜3μmの範囲に制限されてい
た。しかしながら、本発明における下引き層は、厚膜化
を行っても電気特性上の劣化が少ないので、10μmの
範囲まで設定することが可能である。さらに、膜厚の厚
い方が、接触帯電方式のような電流リークを生じやすい
帯電方式においても、リーク欠陥が生じにくくなる。し
たがって、本発明においては、下引き層の膜厚を2〜1
0μmの範囲に設定することが可能である。
【0040】下引き層形成用の塗布液を形成するには、
樹脂成分を溶解した溶液中に電子輸送性有機顔料等を添
加して分散処理を行う。添加微粉末を樹脂中に分散させ
る方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボール
ミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイ
ントシェーカー等の方法を用いることができる。
【0041】本発明において、上記下引き層の上に設け
る電荷発生層は、電荷発生物質を真空蒸着により形成す
るか、有機溶剤および結着樹脂と共に分散し、塗布する
ことにより形成される。電荷発生物質としては、非晶質
セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−
砒素合金、その他のセレン化合物およびセレン合金、酸
化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電材料、無金属フタ
ロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニ
ン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、クロ
ロインジウムフタロシアニン等の各種フタロシアニン顔
料、スクエアリウム系、芳香族多環化合物系、アゾ系、
ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料およ
び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は、一般
に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料
では、α、β等を始めとして各種の結晶型が知られてい
るが、目的に適合した感度が得られる顔料であれば、い
ずれの結晶型でも用いることができる。
【0042】電荷発生層に用いる結着樹脂としては、次
のものを例示することができる。すなわち、ビスフェノ
ールAタイプ、ビスフェノールZタイプまたはビスフェ
ノールCタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステ
ル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデ
ン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコ
ーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド
樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカ
ルバゾール等があげられる。
【0043】これらの結着樹脂は、単独または2種以上
混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着
樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範
囲が好ましい。また、電荷発生層の膜厚は、一般には
0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの
範囲に設定される。電荷発生材料を樹脂中に分散させる
方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミ
ル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイ
ドミル等の方法を用いることができる。
【0044】また、上記電荷発生層上に形成される電荷
輸送層に用いる電荷輸送物質としては、下記のものが例
示できる。2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニ
ル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾ
ール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、
1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノ
スチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラ
ゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、ト
リ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,
4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベ
ンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニ
ル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等
の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチル
アミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェ
ニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリ
アジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−
1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、
2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリ
ン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシ
フェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p
−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニル
アニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、
N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ
−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸
送物質;クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等
のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合
物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,
5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレ
ノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、
ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;および上記し
た化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等
をあげることができる。これらの電荷輸送材料は、1種
または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0045】電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、具
体的には、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステ
ル樹脂、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタ
イプまたはビスフェノールCタイプ等のポリカーボネー
ト樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホ
ン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素化ゴム等の
絶縁性樹脂或いはポリビニルカルバゾール、ポリビニル
アントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリ
マー等およびこれらの共重合体樹脂があげられる。
【0046】電荷輸送層は、上記した電荷輸送物質およ
び結着樹脂を、適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、
乾燥することによって形成することができる。電荷輸送
層の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ア
セトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、ク
ロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水
素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリ
コール、ジエチルエーテル等の環状或いは直鎖状エーテ
ル、或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。電荷輸送
材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範
囲が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜
50μm、好ましくは10〜40μmの範囲に設定す
る。
【0047】電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性
ガス、或いは光、熱による感光体の劣化を防止する目的
で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添
加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤とし
ては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラ
フェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノ
ン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの
誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられ
る。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾ
トリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペ
リジン等の誘導体があげられる。
【0048】本発明の電子写真感光体には、感度の向
上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目
的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させ
ることができる。本発明において使用可能な電子受容性
物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン
酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブ
ロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシア
ノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロ
ベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリ
ニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香
酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等をあげることがで
きる。これらの中で、フルオレノン系、キノン系やC
l、CN、NO2 等の電子吸引性置換基を有するベンゼ
ン誘導体が特に好ましい。感光層を形成するための塗工
は、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレ
ード塗布法、ローラー塗布法等の塗布法を用いて行うこ
とができる。乾燥は、加湿処理方法を用いない場合に
は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好まし
い。加熱乾燥は、30〜200℃の温度で5分〜2時間
の範囲で行うことが望ましい。
【0049】感光層の上には、必要に応じて表面保護層
を形成することができる。表面保護層としては、絶縁性
樹脂保護層或いは絶縁性樹脂中に抵抗調整剤を添加した
低抵抗保護層がある。低抵抗保護層としては、例えば、
絶縁性樹脂中に導電性微粒子を分散させた層があげられ
る。この導電性微粒子としては、電気抵抗が109 Ω・
cm以下であって、白色、灰色もしくは青白色を呈する
平均粒径0.3μm以下、好ましくは0.1μm以下の
微粒子が適当であり、例えば、酸化モリブデン、酸化タ
ングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸
化インジウム、酸化錫とアンチモン或いは酸化アンチモ
ンとの固溶体または混合物、或いは単一粒子中にこれら
の金属酸化物を混合したもの、或いは被覆したものがあ
げられる。中でも、酸化錫、酸化錫とアンチモン或いは
酸化アンチモンとの固溶体は、電気抵抗を適切に調整す
ることが可能であり、かつ保護層を実質的に透明にする
ことが可能であるので好ましい(特開昭57−3084
7号公報、特開昭57−128344号公報参照)。絶
縁性樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエ
ステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート
等の縮合系樹脂、およびポリビニルケトン、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド等のビニル重合体等があげられ
る。
【0050】本発明の電子写真感光体は、ライトレンズ
系複写機、近赤外光または可視光に発光するレーザービ
ームプリンター、デジタル複写機、LEDプリンター、
レーザーファクシミリ等の電子写真装置に用いることが
できる。また、本発明の電子写真感光体には、一成分
系、二成分系の正規現像剤或いは反転現像剤とも合わせ
て用いることができる。
【0051】本発明により得られた電子写真感光体は、
導電性基体の欠陥の隠蔽性に優れ、アルミニウム基体が
有している晶出物やピックアップ等の欠陥及び干渉縞防
止処理時のブラスティング処理等に発生する異状突起に
起因する電荷リークの発生が抑制され、コロトロン帯電
のみならず帯電ローラーや帯電ブラシ、フィルム帯電等
を用いた接触帯電方式においても、電流リークの発生が
少ない良好な特性が得られる。例えば、導電性弾性ロー
ラーを電子写真感光体の表面に接触させる方式では、感
光体表面に数百ボルトから2Kボルト程度の直流電圧を
外部より印加して帯電される。また、帯電の均一性を向
上させるために、直流電圧に交流電圧を重畳して帯電用
部材に印加してもよい。
【0052】次に、本発明の画像形成装置について説明
する。図1は、本発明の電子写真感光体を用いる画像形
成装置の一例を示すものであって、装置の外部に設けら
れた電源2から電圧が供給される帯電器3が、感光体ド
ラム1に表面に接触するように配設されている。感光体
ドラム1の周囲には、画像入力装置4、現像器5、圧力
転写器または静電転写器6、クリーナー装置9、除露光
器10が設けられている。なお、7は用紙、8は定着装
置である。本発明の画像形成装置において、帯電器とし
ては、帯電ロールが図示されているが、帯電ブラシ、ブ
レード型のフィルム帯電器であってもよい。帯電器には
装置の外部に設けられた電源2から直流電圧が印加され
るが、帯電の均一性を向上させるために、直流電圧に交
流電圧を重畳して印加してもよい。
【0053】本発明における画像形成方法は、例えば、
次のようにして実施される。すなわち、感光体ドラム1
の表面を、装置の外部に設けられた電源2から、一般に
50〜2000Vの範囲の直流電圧を印加した帯電器3
により帯電させる。例えば、導電性弾性ローラーを感光
体表面に接触させる方式の場合には、1〜2KV程度の
直流電圧を印加させればよい。次いで原稿像を照射する
光学系や、レーザー、LED等の画像入力装置4からの
光により露光し、静電潜像を形成させる。形成された静
電潜像は、現像器5によってトナー可視化され、トナー
像に変換させる。この場合、現像は磁気ブラシ法を採用
することができる。トナー像は、その後、圧力転写器ま
たは静電転写器6によって用紙7に転写され、定着装置
8によって定着される。一方、転写後の感光体ドラム1
表面に残留したトナーは、ブレードを用いたクリーナー
装置9により除去され、そして感光体ドラム1表面に僅
かに残った電荷は除露光器10により消去される。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部にn−ブチルアルコール600重
量部を混合し攪拌した。さらに、フェノール樹脂(SK
103、住友ジュレス社製)8重量部を加えて攪拌し
た。さらにこの溶液に、電子輸送性顔料として前記例示
化合物No.4−6を120重量部加え、サンドミルを
用いて3時間分散処理を行い、下引き層形成用塗布液を
得た。この塗布液を、液体ホーニング処理によりRa=
0.18μmに粗面化された30mmφのED管アルミ
ニウム基体の上にリング塗布装置を用いて塗布し、15
0℃で1時間硬化処理を行って、膜厚5μmの下引き層
を形成した。電荷発生材料として、塩化ガリウムフタロ
シアニン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹
脂(VMCH、日本ユニカー社製)2重量部、酢酸ブチ
ル180重量部からなる混合液をサンドミルを用いて4
時間分散処理した。得られた分散液を上記下引き層の上
に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層
を形成した。次に、N,N′−ジフェニル−N,N′−
ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニ
ル]−4,4′−ジアミン4重量部とビスフェノールZ
ポリカーボネート樹脂(分子量4万)6重量部とをクロ
ルベンゼン80重量部に加えて溶解した。得られた溶液
を、上記電荷発生層の上に塗布し120℃で30分間乾
燥を行うことにより、膜厚20μmの電荷輸送層を形成
し、3層からなる電子写真感光体を作製した。得られた
電子写真感光体を、接触帯電方式を有するプリンター
(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装着し
て複写操作を行った。その際の電子写真感光体の残留電
位および画質に関して得られた結果を表1に示す。
【0055】[電子輸送性の確認]実施例1において、
導電性基体上に本発明における下引き層、電荷発生層を
成膜したドラムを用意した。このドラムをスコロトロン
を用いて−200Vに帯電して780nmの光照射を行
い、電荷発生層により光キャリアを励起させたところ、
10V・m2 /mJの光減衰特性が得られた。一方、こ
の同じドラムを+200Vに帯電して同様の光照射を行
っても全く光減衰は認められなかった。したがって、本
発明における下引き層に用いている有機顔料(例示化合
物No.4−6)は電子輸送性有機顔料であることが確
認された。
【0056】比較例1 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)30重量部にn−ブチルアルコール600重
量部を混合し攪拌した。この塗布液を、液体ホーニング
処理によりRa=0.18μmに粗面化された30mm
φのED管アルミニウム基体の上に、リング塗布装置を
用いて塗布し、150℃で30分間の硬化処理を行っ
て、膜厚4μmの下引き層を形成した。さらに、実施例
1と同様の方法で電荷発生層および電荷輸送層を順次形
成し、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感
光体を実施例1と同様の方法で評価を行い、表1に示す
結果を得た。
【0057】比較例2 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部にn−ブチルアルコール500重
量部を混合し攪拌した。さらにフェノール樹脂(SK1
03、住友ジュレス社製)8重量部を加え、攪拌して下
引き層形成用塗布液を得た。この塗布液を、液体ホーニ
ング処理によりRa=0.18μmに粗面化された30
mmφのED管アルミニウム基体の上に、リング塗布装
置を用いて塗布し、150℃で1時間の硬化処理を行っ
て、膜厚5μmの下引き層を形成した。さらに、実施例
1と同様の方法で電荷発生層および電荷輸送層を順次形
成し、電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感
光体を実施例1と同様の方法で評価を行い、表1に示す
結果を得た。
【0058】比較例3 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部にn−ブチルアルコール600重
量部を混合し攪拌した。さらにこの溶液に、電子輸送性
顔料として例示化合物No.4−6を120重量部加
え、サンドミルを用いて3時間分散処理を行い、下引き
層形成用塗布液を得た。この塗布液を、液体ホーニング
処理によりRa=0.18μmに粗面化された30mm
φのED管アルミニウム基体の上にリング塗布装置を用
いて塗布し、150℃で30分間の硬化処理を行って、
膜厚5μmの下引き層を形成した。
【0059】比較例4 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部にn−ブチルアルコール600重
量部を混合し攪拌した。得られた溶液に、イソシアネー
ト化合物(GR4000K、関西ペイント社製)8重量
部を加え、撹拌した。さらにこの溶液に、電子輸送性顔
料として例示化合物No.4−6を120重量部加え、
サンドミルを用いて3時間分散処理を行い、下引き層形
成用塗布液を得た。この塗布液を、液体ホーニング処理
によりRa=0.18μmに粗面化された30mmφの
ED管アルミニウム基体の上にリング塗布装置を用いて
塗布し、150℃で1時間の硬化処理を行って、膜厚5
μmの下引き層を形成した。
【0060】比較例5 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部にn−ブチルアルコール600重
量部を混合し攪拌した。実施例1におけるフエノール樹
脂の代わりに、硬化剤としてアセチルアセトンジルコニ
ウムブチレート(ZC540、松本製薬社製)18重量
部を加え、撹拌して溶解させた。さらにこの溶液に、電
子輸送性有機顔料として例示化合物No.4−6を12
0重量部加え、サンドミルを用いて3時間分散処理を行
い、下引き層形成用塗布液を得た。この塗布液を、液体
ホーニング処理によりRa=0.18μmに粗面化され
た30mmφのED管アルミニウム基体の上にリング塗
布装置を用いて塗布し、150℃で1時間の硬化処理を
行って、膜厚5μmの下引き層を形成した。この場合、
下引き層には塗布時に多数の亀裂が発生した。
【0061】
【表1】
【0062】実施例1で得られた下引き層を有する電子
写真感光体は、接触帯電装置を有するプリンターによる
プリントテストを行った場合に、リーク放電等に起因す
る画質異常は見られなかった。また、実施例1の電子写
真感光体は、残留電位が低く、安定した電気特性が得ら
れた。一方、比較例1および2の電子写真感光体は、低
感度であり残留電位が高いため、画像が得られなかっ
た。また、比較例3の電子写真感光体は、暗減衰が大き
く十分に高い帯電電位は得られなかった。比較例4の電
子写真感光体は、高い残留電位を有するものであり、さ
らに比較例5の電子写真感光体は、下引き層に亀裂が発
生し、その影響が画質にも現れた。
【0063】実施例2 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)16重量部にシクロヘキサノン550重量部
を混合し攪拌した。さらにフェノール樹脂(プライオー
フェンJ−325、大日本インキ化学社製)8重量部を
加えて攪拌した。さらにこの溶液に、電子輸送性有機顔
料として前記例示化合物No.1−5を60重量部加
え、ボールミルを用いて20時間の分散処理を行い、下
引き層形成用塗布液を得た。この塗布液を、液体ホーニ
ング処理によりRa=0.18μmに粗面化された30
mmφのED管アルミニウム基体の上にリング塗布装置
を用いて塗布し、170℃で1時間の硬化処理を行っ
て、膜厚4μmの下引き層を形成した。電荷発生材料と
して、ヒドロキシガリウムフタロシアニン15重量部、
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水
化学社製)10重量部、n−ブチルアルコール300重
量部からなる混合液をサンドミルによって4時間分散処
理した。得られた分散液を上記下引き層の上に塗布し、
乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次
に、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェ
ニル−4−アミン4重量部とビスフェノールZポリカー
ボネート樹脂(分子量4万)6重量部とをクロルベンゼ
ン80重量部に加えて溶解した。得られた溶液を、上記
電荷発生層の上に塗布し、乾燥することにより、膜厚2
0μmの電荷輸送層を形成し、3層からなる電子写真感
光体を作製した。得られた電子写真感光体を、接触帯電
方式を有するプリンター(PC−PR1000/4R、
日本電気社製)に装着して複写操作を行った。その際の
電子写真感光体の残留電位および画質に関して得られた
結果を表2に示す。
【0064】実施例3〜9 電子輸送性有機顔料として、実施例2に用いた例示化合
物No.1−5の代わりに、それぞれ表2に示す有機顔
料(前記例示化合物番号で示す。)を用いた以外は、実
施例2と同様の方法で電子写真感光体を作製し、それら
の評価を同様に行った。得られた結果を表2に示す。 比較例6〜8 電子輸送性有機顔料として、実施例2に用いた例示化合
物No.1−5の代わりに、表2に示す正孔輸送性有機
顔料を用いた以外は、実施例2と同様の方法で電子写真
感光体を作製し、それらの評価を同様に行った。得られ
た結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】実施例10 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水
化学社製)16重量部にn−ブチルアルコール600重
量部を攪拌して混合した。さらにフェノール樹脂(プラ
イオーフェンJ−325、大日本インキ化学社製)8重
量部を加えて攪拌した。さらにこの溶液に、電子輸送性
有機顔料として前記例示化合物No.4−6を120重
量部加え、サンドミルを用いて3時間の分散処理を行
い、下引き層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を、
液体ホーニング処理によりRa=0.18μmに粗面化
された30mmφのED管アルミニウム基体の上にリン
グ塗布装置を用いて塗布し、150℃で1時間硬化処理
を行って、下引き層を形成した。この場合、下引き層の
膜厚をそれぞれ1〜8μmの範囲で変化させた下引き層
を得た。電荷発生材料として、ヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン15重量部、ポリビニルブチラール樹脂(エ
スレックBM−S、積水化学社製)10重量部、n−ブ
チルアルコール300重量部からなる混合液をサンドミ
ルによって4時間分散処理した。得られた分散液を上記
下引き層の上に塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電
荷発生層を形成した。次に、N,N−ビス(3,4−ジ
メチルフェニル)ビフェニル−4−アミン4重量部とビ
スフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)6
重量部とをクロルベンゼン80重量部に加えて溶解し
た。得られた溶液を、上記電荷発生層の上に塗布し、乾
燥することにより、膜厚20μmの電荷輸送層を形成
し、3層からなる電子写真感光体を作製した。得られた
電子写真感光体を、接触帯電方式を有するプリンター
(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装着し
て複写操作を行った。その際の電子写真感光体の残留電
位および画質に関して得られた結果を表3に示す。
【0067】比較例9 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水
化学社製)16重量部にn−ブチルアルコール600重
量部を混合し攪拌した。さらにエポキシ樹脂(エピクロ
ンP439、大日本インキ化学社製)8重量部を加えて
攪拌した。この溶液には、電子輸送性顔料を加えること
なく、下引き層形成用塗布液とした。この塗布液を、液
体ホーニング処理によりRa=0.18μmに粗面化さ
れた30mmφのED管アルミニウム基体の上にリング
塗布装置を用いて塗布し、150℃で1時間硬化処理を
行って、下引き層を形成した。この場合、下引き層の膜
厚を膜厚を1〜5μmの範囲で変化させた下引き層を得
た。さらに、実施例10と同様の方法で、電荷発生層お
よび電荷輸送層を順次形成し、3層からなる電子写真感
光体を作製した。得られた電子写真感光体を実施例10
と同様の方法で評価した。得られた結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】上記表3に見られるように、下引き層に電
子輸送性有機顔料を用いた実施例10の電子写真感光体
は、下引き層の膜厚を厚く変化させても、電気特性はい
ずれも良好な特性を示した。一方、下引き層に電子輸送
性有機顔料を用いない比較例9の電子写真感光体では、
下引き層の膜厚の増加とともに、感度の低減および残留
電位の大幅な上昇があり、画像を得ることができなくな
った。
【0070】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、上記のとお
り、電子輸送性有機顔料、ポリビニルアセタール樹脂お
よびフェノール樹脂を下引き層の形成に用いることによ
り、安定した低い残留電位が得られ、接触帯電方式を用
いても電流リークがなく、かつ優れた画質の複写画像を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を用いる画像形成装
置の概略の構成図である。
【符号の説明】
1…感光体ドラム、2…電源、3…帯電器、4…画像入
力装置、5…現像器、6…圧力転写器または静電転写
器、7…用紙、8…定着装置、9…クリーナー装置、1
0…除露光器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−208853(JP,A) 特開 昭59−36259(JP,A) 特開 平8−30007(JP,A) 特開 平6−236062(JP,A) 特開 平5−150535(JP,A) 特開 平3−33858(JP,A) 特開 平1−303444(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体と感光層との間に下引き層を
    設けた電子写真感光体において、該下引き層が、電子輸
    送性有機顔料、ポリビニルアセタール樹脂及びフェノー
    ル樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニ
    ルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1記載
    の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 電子輸送性有機顔料が、多環キノン顔料
    であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光
    体。
  4. 【請求項4】 電子輸送性有機顔料が、ペリレン系顔料
    であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光
    体。
  5. 【請求項5】 電子輸送性有機顔料が、ナフタレンテト
    ラカルボン酸ジイミダゾール顔料であることを特徴とす
    る請求項1記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 接触帯電方式の画像形成装置に、請求項
    1ないし請求項5のいずれかに記載の電子写真感光体を
    用いることを特徴とする画像形成装置。
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