JP2005077153A - マイクロアレイ製造方法およびその製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、基板上に多種多様なスポットを形成し得るマイクロアレイの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、試料溶液の基板への固定率を向上させることを目的とする。さらに、本発明は、このような製造方法に好適に用いられる製造装置の提供を目的とする。
【解決手段】 基板上にスポットが配列されたマイクロアレイの製造方法であって、
前記基板上に、二種類以上の液滴を、少なくとも一部が前記基板上で重なり合うように吐出して、スポットを形成する工程を含むことを特徴とするマイクロアレイの製造方法により課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロアレイ等の製造技術に関し、特に、多種多様な生体試料を高密度に配列させ得るマイクロアレイの製造方法およびその製造装置に関する。
近年、DNAの塩基配列の解読、及び遺伝子情報の機能解析が課題となっており、遺伝子発現パターンのモニタリング、新規遺伝子のスクリーニングをするための技術として、DNAマイクロアレイが利用されている。同アレイは、プローブDNAを調製し、スライドガラスなどの基板上に高密度にスポッティングした後、蛍光標識したターゲットDNAのうちプローブDNAと相補的な塩基配列を有するターゲットDNAをハイブリダイズさせ、蛍光パターンを観察することにより、遺伝子発現量を評価するものである。
従来は、このようなプローブDNAの固定化は、接触ピンにより行われていた。例えば、特許文献1(特開2000−287670号公報)に接触ピンを用いたDNAチップの製造装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ピンの数が限られており、しかも、マイクロアレイ基板と試料溶液を収容するウェルプレートとの間で頻繁にヘッドを移動させる必要があった。また、基板上に高密度にスポットを形成するには、スポット形状、スポット間距離等を精密に制御する必要があり、装置の高度な制御性が求められる。
このような状況下、液滴吐出法(いわゆるインクジェット方式を利用した吐出方法)によるマイクロアレイの形成法が着目されている。例えば、特許文献2(特開2001−186880号公報)には、インクジェット方式を利用して、DNAを含む試料溶液を、同一スポットに複数回吐出する方法が開示されている。
このようにマイクロアレイの製造技術が発展する中、一方で、マイクロアレイの製造技術では種々の性質を有する試料を扱うことになるため、多様な試料、又は濃度等の多様な条件に柔軟に対応し得るマイクロアレイのさらなる製造技術が求められている。
また、DNA又はタンパク質等の生体試料を用いたマイクロアレイを製造する場合、生体試料を基板に固定するには、試料溶液を供給後に、一定時間溶液状態で保持することが好ましいとされる。
しかしながら、生体試料溶液に使用される溶媒は乾燥が早く、基板への固定化が不十分となる場合があった。
特開2000−287670号公報 特開2001−186880号公報
本発明は、基板上に多種多様なスポットを形成し得るマイクロアレイの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、試料溶液の基板への固定率を向上させることを目的とする。さらに、本発明は、このような製造方法に好適に用いられる製造装置の提供を目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明のマイクロアレイの製造方法は、基板上にスポットが配列されたマイクロアレイの製造方法であって、前記基板上に、二種類以上の液滴を、少なくとも一部が前記基板上で重なり合うように吐出して、スポットを形成する工程を含むことを特徴としている。
本発明の方法によれば、二種以上の液滴を用いて少なくとも一部が重なり合うスポットを形成するため、基板上で、種々の液滴の混合が可能となり、また、スポットの形状、サイズ(大きさ)、及び濃度を適宜調整し得る。したがって、使用する液の性質等に応じた濃度の調整等を、基板上で行うことが可能となり、また、種々の条件に応じた微妙な調整等に対しても柔軟な対応が可能となる。また、液中の成分を基板上に固定化するために、基板上で一定時間溶液状態で保持することが好ましい場合がある。このような場合に、乾燥・蒸発等により減少した液を補給することも可能となる。また、完全に乾燥させると変質等してしまうような成分を用いた場合にも、適宜液を補給することが可能となるので、成分の変質・劣化等を防止することが可能となる。
本発明の他の態様に係る製造方法は、基板上にスポットが配列されたマイクロアレイの製造方法であって、前記基板上に、第一液と第二液とから各々構成される液滴を、少なくとも一部が前記基板上で重なり合うように吐出して、スポットを形成する工程を含むことを特徴としている。
本発明の方法によれば、二種の液滴を用いて少なくとも一部が重なり合うスポットを形成するため、基板上で、液滴の混合が可能となり、また、スポットの形状、サイズ(大きさ)、及び濃度を適宜調整し得る。したがって、使用する液の性質等に応じた濃度の調整等を、基板上で行うことが可能となり、また、種々の条件に応じた微妙な調整等に対しても柔軟な対応が可能となる。また、液中の成分を基板上に固定化するために、基板上で一定時間溶液状態で保持することが好ましい場合がある。このような場合に、乾燥・蒸発等により減少した液を補給することも可能となる。また、完全に乾燥させると変質等してしまうような成分を用いた場合にも、適宜液を補給することが可能となるので、成分の変質・劣化等を防止することが可能となる。
なお、第一液と第二液とは、基板上の略同位置に吐出されることが好ましい。
前記第一液が試料溶液であり、前記第二液が希釈溶媒であることが好ましい。これにより、試料溶液の濃度調整が可能となる。また、試料溶液中の試料を基板上に固定化するために、試料溶液を基板上に、一定時間溶液状態で保持することが好ましい場合がある。このような場合に、乾燥・蒸発等により減少した溶媒を補給することも可能となる。また、完全に乾燥させると変質等してしまうような試料を用いた場合にも、適宜溶媒を補給することが可能となるので、試料の変質・劣化等を防止することが可能となる。
ここで、試料溶液としては、例えば、生体試料(生体分子及びその類縁体を含む)溶液が好適に用いられる。具体的には、細胞、タンパク質、核酸等の生体分子の他、人工的に合成されたオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、PNA(peptide nucleic acid)等の類縁体をも含む。なお、以下、生体試料及びその類縁体を簡略のため生体関連物質とも称する。
前記第一液の液滴及び/又は前記第二液の液滴の吐出が、複数回繰り返されてもよい。これにより、スポットの濃度、形状、又はサイズの調整の幅がさらに広がる。
先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔を、先に吐出される液滴の蒸発速度と、後に吐出される液滴の吐出量と、前記後に吐出される液滴自身によるスポットサイズとの関係により決定することが好ましい。これにより、スポットサイズ及び濃度を種々に調整することが可能となる。
前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、先に吐出される液滴のスポット形状及び/又はサイズの変化に基づいて定められることが好ましい。これにより、スポットサイズ及び濃度を種々に調整することが可能となる。
前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、先に吐出される液滴のスポット径及び/又は高さの値を算出する工程と、前記スポット径及び/又は高さの値が所定の基準値に達したか否かを判断する工程と、により決定されることが好ましい。これにより、液滴追加のタイミングの判断が容易となる。また、スポットサイズ及び濃度を種々に調整することが可能となる。
前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、前記基板上に形成されたスポットの体積を算出し、前記体積が所定の基準値に達したか否かを判断することにより決定されることが好ましい。これにより、液滴追加のタイミングの判断が容易となる。また、スポットサイズ及び濃度を種々に調整することが可能となる。
前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、前記基板上に形成されたスポットを観察し、観察されたスポット形状と基準の形状とを比較することにより決定されることが好ましい。これにより、液滴追加のタイミングの判断が容易となる。また、スポットサイズ及び濃度を種々に調整することが可能となる。
前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔において、前記基板が所定温度に保持されることが好ましい。これにより、溶媒の蒸発量、蒸発速度等を制御することが可能となり、より正確に液滴追加のタイミングを計ることが可能となる。
前記第一液の液滴及び前記第二液の液滴がほぼ同時に吐出されてもよい。これにより、マイクロアレイ基板の製造時間の短縮を図ることが可能となる。
前記第一液が標準試料溶液であり、前記第二液が希釈溶媒であり、前記第一液の液滴及び/又は前記第二液の液滴の吐出を複数回繰り返すことで、濃度の異なる略同径の品質管理用スポットを2種以上形成することが好ましい。これによれば、多種類の品質管理用スポットを形成することが可能となるので、より確実に品質管理が可能となり、信頼性の高いマイクロアレイを提供し得る。なお、標準試料は、特に限定されず、例えば検査結果が事前に明確になっているDNAやタンパク質等を用いることができる。
本発明のマイクロアレイの製造装置は、基板上に試料溶液及び希釈溶媒を個別に吐出可能な液滴吐出手段と、前記液滴吐出手段から吐出され、前記基板上に形成された前記試料溶液及び/又は前記希釈溶液からなるスポットを観察する観察手段と、前記観察手段により観察されたスポットの形状及び/又はサイズの変化に基づいて、前記液滴吐出手段に収容される前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう駆動信号を送信する、前記液滴吐出手段の駆動を制御する制御手段と、を含むことを特徴としている。
かかる構成によれば、適切なタイミングで、追加吐出を行うことが可能となり、多様な形状、サイズ(大きさ)、及び濃度のスポットを調整し得る。
前記観察手段により吐出後所定時間経過後に観察されるスポット径及び/又は高さと吐出直後のスポット径及び/又は高さの値を算出し、前記スポット径及び/又は高さの値が所定の基準値に達したか否かを判別し、前記基準値に達している場合には、前記制御手段にその旨の信号を送信する判別手段をさらに含み、前記制御手段が、前記判別手段から送信される信号に応じて、前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう前記液滴吐出手段に駆動信号を送信することが好ましい。
かかる構成によれば、液滴追加のタイミングが適切かつ容易に制御することが可能となる。
前記観察手段により吐出後所定時間経過後に観察されるスポットの体積を算出し、前記体積が前記基準値に達したか否かを判別し、前記基準値に達している場合には、前記制御手段にその旨を送信する判別手段をさらに含み、前記制御手段が、前記判別手段から送信される信号に応じて、前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう前記液滴吐出手段に駆動信号を送信することが好ましい。
かかる構成によれば、液滴追加のタイミングが適切かつ容易に制御することが可能となる。
吐出後所定時間経過後に前記観察手段により観察されるスポットの形状と、基準値の形状とを比較する比較手段をさらに含み、前記制御手段が、前記比較結果に応じて、前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう前記液滴吐出手段に駆動信号を送信することが好ましい。
かかる構成によれば、液滴追加のタイミングが適切かつ容易に制御することが可能となる。
前記液滴吐出手段が、液体を収容する複数の収容室と、前記収容室と流路により連結され、当該収容室から供給される前記液体を吐出する複数の吐出口と、を備えた液滴吐出ヘッドであり、前記収容室のいずれかに少なくとも前記試料溶液及び前記希釈溶媒が各々収容されており、前記試料溶液の吐出及び/又は前記希釈溶液の吐出を複数回繰り返すことで、スポットのサイズ及び/又はスポット内の含有試料濃度が制御されたスポットを二種以上形成し得るよう構成されていることが好ましい。
前記液滴吐出ヘッドが、表面に1又は複数の電極を有する第1の基板と、前記第1の基板の前記電極が設置されている部位と微小ギャップを介して対向するように配置され、前記電極との電位差に対応する静電力によって弾性変形する振動板と、該振動板の変位により加圧室内の圧力を加減して、該加圧室内に充填されている液体をノズル孔に押出す1又は複数の加圧室を有する第2の基板と、前記加圧室から押出された前記液体を吐出するための1又は複数のノズル孔を有する第3の基板と、前記第1の基板の他面側に配置され、前記液体を収容するための収容室を有する収容部とを備え、前記第1の基板及び前記第2の基板に、前記収容部から前記加圧室を繋ぐ流路を有することが好ましい。
かかる液滴吐出ヘッドは、発熱を併有しないいわゆる静電駆動方式を採用しているので、例えば、試料溶液中に熱により変性等しやすい生体分子等が含まれる場合にも、このような生体分子等にダメージを与えることなく、基板表面上に安定した吐出が可能となる。また、かかる液滴吐出ヘッドは、複数の収容室、加圧室、ノズル、及びこれらを繋ぐ流路を各々一の基板上に備えているので、一括して加工することができ、簡略な工程で得られるので、最終的なマイクロアレイの生産効率の向上に寄与することが可能となる。なお、ピエゾ方式を用いてもよく、この場合にも発熱を併有しないので、熱による試料溶液の変性等を防止し得る。
以下、本発明に係るマイクロアレイの製造方法について、図1〜図11を参照しながら説明する。
本発明のマイクロアレイの製造方法は、基板上に、二種類以上の異なる液滴を、少なくとも一部が基板上で重なり合うように吐出して、スポットを形成する工程を含むものである。
本実施形態においては、液滴として、第一液から構成される液滴と第二液から構成される液滴を用いた場合を例に採り説明する。
ここで、第一液及び第二液は、互いに異なる液であればよく、特に限定するものではない。本実施形態においては、特に、第一液として例えば生体関連物質含有溶液等の試料溶液を、第二液として例えば希釈溶媒を用いた場合について説明する。
なお、第一液の吐出及び第二液の吐出は、各々一度ずつ行われてもよく、また複数繰り返し行われてもよい。
図1〜図4は、本発明に係るマイクロアレイの製造方法を概略的に説明する断面図である。同図を用いて、本発明のマイクロアレイの製造方法の概要について説明する。
図1(a)に示すように、まず、液滴吐出手段100(図示せず)より第一液(例:生体試料溶液)60aを基板10上に滴下する。これにより基板10の表面上にスポット50が形成される。次に、図1(b)に示すように、吐出間隔をほぼ空けずに、この形成されたスポット50上に、液滴吐出手段100より第二液(例:希釈溶媒)60bを滴下する。これにより、図1(c)に示すように、基板10上で、生体試料の濃度を調整(希釈化)することが可能となる。なお、ここで、液滴吐出手段100としては、例えば後述するような液滴吐出ヘッドが好適に用いられる。
生体試料溶液と希釈溶媒の滴下の順序は、特に限定されず、例えば、図2(a)に示すように、予め第二液(例:希釈溶媒)60bを滴下し、形成しておいた第二液からなるスポット50上に、図2(b)に示すように、第一液(例:生体試料溶液)60aを滴下してもよい。例えば、希釈溶媒上に生体試料溶液を滴下した場合には、最終的に形成されるスポット(図2(c)参照)内の濃度の均一化がより図りやすい傾向にある。
また、生体試料溶液と希釈溶媒の滴下は、図1及び図2で示したように、間隔を空けず(ほぼ同時)に行われてもよいが、所定の間隔をあけて(所定時間経過後に)行われてもよい。滴下の間隔を適宜調整することで、スポット50のサイズ及び濃度等を適宜調整することが可能となる。
さらに、上記図1及び図2で示した工程を繰り返すことにより、スポットの大きさが略同一で、かつ、濃度の異なるスポットを形成することが可能となる。すなわち、例えば、同一スポットを形成する際に用いられる、液体の吐出量及び合計吐出回数を予め決めておき、生体試料溶液の吐出回数と希釈溶媒の吐出回数を適宜選択することで、スポットの大きさが略同一で、濃度の異なるスポットを形成することが可能となる。
具体的には、例えば合計吐出回数を4回とした場合に、図3(a)に示すように、生体試料溶液を1回滴下して、形成したスポット上に、さらに、希釈溶媒を3回滴下した場合と、図3(b)に示すように、生体試料溶液を2回滴下し、希釈溶媒を2回滴下した場合、図3(c)に示すように、生体試料溶液を3回滴下し、希釈溶媒を1回滴下した場合とで、濃度の調整を適宜図ることが可能となる。この際、例えば、生体試料溶液の吐出(滴下)量と希釈溶媒の吐出量を調整することで、さらに、細かな試料の濃度調整が可能となる。なお、いうまでもなく、生体試料溶液と希釈溶液の吐出の順序は、限定されるものではない。
また、本発明によれば、先の液滴吐出と後の液滴吐出とを行う間隔を調整することで、液滴吐出を複数回繰り返しても、最初に形成したスポットと略同一のサイズ及び/又は濃度のスポットを形成することも可能となる。
例えば、図4(a)に示すように、まず、基板10上に液滴吐出手段100より生体試料溶液を吐出することにより、スポット50を形成する。次に、このスポット50を一定時間(t秒)、所定温度で放置する。この放置の間に、形成されたスポット50中の溶媒の一部が蒸発・乾燥等して、スポット形状が全体的に小さくなる(図4(b))。蒸発量がある一定量に達したら、最初に形成したスポットと略同一のスポットサイズとなる量の希釈溶媒を滴下する(図4(c))。
ここで、時間tは、例えば予め、次に滴下する希釈溶媒の滴下量を決定しておき、この量の液滴を滴下した場合に、当初のスポットサイズと略同一となるサイズを実験的に確認することで算出してもよく、または、スポット中の溶媒の蒸発量等に基づき、計算により算出してもよい。また、両者を組み合わせてもよい。
このような工程によれば、最初に形成したスポットとほぼ同じ濃度及び/又はサイズのスポットを形成することが可能となる。
なお、乾燥・蒸発後のスポットの断面形状は、必ずしも、図4(b)に示されるような断面半円状となるものではなく、例えば、後述するような、中央が窪んだ形状となる場合もあり、特に限定されるものではない。
次に、本実施形態の製造方法における、液滴の吐出間隔(先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔)の決定方法について、説明する。
液滴の吐出間隔は、先に吐出される液滴の蒸発速度、後に吐出される液滴の吐出量、及び後に吐出される液滴の追加により形成されるスポットサイズ等の様々な因子を考慮して定められる。
具体的には、液滴の吐出間隔は、先に吐出される液滴のスポット形状及び/又はサイズの変化に基づいて定められる。
図5は、本実施形態の製造方法における、液滴の吐出間隔の決定方法の一例を説明するための図である。
同図に示すように、まず、CCD(Charged-Coupled Device)カメラ等の観察手段により、先に基板上に吐出された液滴の光像を取り込む(S1)。次に、取り込んだ光像を、AD変換機によりデジタル信号に変換する(S2)。変換されたデジタル信号は、画像データとして、一旦メモリに蓄積され(S3)、この画像データより特徴点が抽出される(S4)。次に、得られた特徴点間の距離を算出し、算出した値と基準値を比較する(S5)。算出した値が基準値に達していた場合には、液滴吐出手段に駆動信号が送られ、液滴吐出手段から所定の液体が吐出される(S6)。
なお、ここで、特徴点は、例えば、観察されるスポットの高さ又はスポット径を算出するのに必要な点をいう。特徴点の抽出法については、後に詳述する。
また、上記例においては、吐出間隔の決定に、観察されるスポットの高さ又はスポット径を利用したが、これに限定されるものではなく、例えば、観察されるスポットの断面積又は体積等をパラメータとして用いてもよい。
さらに、このようなパラメータを用いる代わりに、得られた画像データと基準画像データとを直接比較することで、吐出間隔を決定してもよい。
本発明の製造方法は、例えば、以下のマイクロアレイ製造装置により、好適に行うことができる。
図6は、本実施形態のマイクロアレイ製造装置の具体例について説明する図である。同図に示すマイクロアレイ製造装置は、液滴吐出ヘッド100、CCDカメラ(観察手段)140、移動作業台510、Y方向駆動部材520、X方向駆動部材530、基台550、制御ユニット200を備え、構成されている。また、移動作業台510上には、マイクロアレイに用いられる基板10が、例えば6枚載置されている。この基板10上に所望の試料溶液(プローブ溶液)をスポッティングすることにより、マイクロアレイを製造できる。
Y軸方向駆動部材520は、制御ユニット200内に設置されたY軸方向駆動モータ220aに接続されている。Y軸方向駆動モータ220aは、例えばステッピングモータ等であり、制御ユニット200内に設置されたCPU210からY軸方向に対向する動作信号が供給されると、Y軸方向駆動部材520を駆動させる。Y軸方向駆部材520が駆動されると、移動作業台510はY軸方向駆動部材520の方向に沿って移動する。
X軸方向駆動部材530は、制御ユニット200内に設置されたX軸方向駆動モータ220bに接続されている。X軸方向駆動モータ220bは、例えばステッピングモータ等であり、制御ユニット200内に設置されたCPU210からX軸方向に対応する駆動信号が供給されると、液滴吐出ヘッド100をX軸方向に移動させる。
すなわち、移動作業台510をY軸方向に駆動し、液滴吐出ヘッド100をX軸方向に駆動することによって、液滴吐出ヘッド100を基板10上の所望の場所に自在に移動させることができる。
観察手段としてのCCDカメラ140は、移動作業台510の上方の基板10上のスポット(図示せず)を観察できる位置に設置される。CCDカメラ140により、捉えられた画像データは、CPU210に送られ、前述したような処理がなされる。
CPU210は、試料溶液の吐出タイミング、吐出回数等を制御する為の駆動信号を液滴吐出ヘッド100に供給する。さらに、CPU210は、Y軸方向駆動モータ220a及びX軸方向駆動モータ220bのそれぞれに対して、これらの動作を制御する為の駆動信号を供給する。
このような構成を備えるマイクロアレイ製造装置であれば、より多くの種類の試料溶液を基板10上に吐出することができ、作業効率を顕著に向上させることが可能となる。
なお、CCDカメラの位置は、上記例示に限定されるものではなく、移動作業台510の側方のスポットの断面形状が捉えられる位置に設置されていてもよい。また、基台550上に固定されていてもよいが、スポットの形状を捉えやすいという観点からは、移動作業台510上に設置されていることが好ましい。また、液滴吐出ヘッド100に隣接する位置に液滴吐出ヘッド100と共に移動可能に構成されていてもよい。
また、基台550上には、液滴吐出ヘッド100のノズルの先端にまで液体を補充するための吸引装置560を備えていてもよい。
図7は、制御ユニット200に含まれるCPU210が所定のプログラムに従って命令を実行することにより実現される機能ブロック図である。同図に示すように、本実施形態のマイクロアレイの製造装置は、液滴を吐出する液滴吐出手段100、基板10上に形成されたスポット50の光像を画像信号(電気信号)に変換する観察手段140、得られた画像信号をメモリに蓄積し、蓄積された画像データからスポット形状及び/又はサイズ等を求めるのに必要な特徴点を抽出する画像認識手段150、スポットの形状及び/又はサイズの変化量を算出し、吐出するか否かを判別する判別手段160、及び、液滴吐出手段100の駆動を制御する制御手段170等を備えている。
観察手段140は、基板10上に形成されたスポット50を観察する手段であり、例えば、CCD(Charged-Coupled Device)カメラが挙げられる。観察手段140では、スポット50の光像が画像信号に変換され、画像認識手段150に送信される。観察手段140の設置位置は特に限定するものではないが、形状変化の判定が容易という観点からは、スポット50の上面又は側面を観測し得る位置に設置されることが好ましい。
得られた画像信号は、次に、画像認識手段150において、画像データとしてメモリに蓄積される。この画像データから、スポット50の特徴点が抽出される。この抽出された特徴点から、スポットサイズの変化量を算出し、算出されたパラメータが判別手段160に送信される。
判別手段160では、予め定められた基準値とパラメータ(変化量)の比較がなされ、例えば、この変化量が基準値に達した場合に、制御手段170にその旨の信号が送られる。
制御手段170では、判別手段160からの信号に応じて、液滴吐出手段100内の所定の吐出口(ノズル)を駆動するための駆動信号を送信する。
なお、画像認識手段150、及び、後述する判別手段160、制御手段170は、コンピュータシステムによって構成されている。
このような製造装置によれば、スポット50の形状及び/又はサイズ変化に応じて、液滴吐出ヘッドの駆動を制御し得るので、スポット50内の溶媒が乾燥、蒸発した際に希釈溶媒を追加することも可能となり、生体分子の基板表面への固着をより確実にすることが可能となる。また、スポットサイズ、スポットの濃度等も適宜制御し得る。
次に、特徴点の抽出及び変化量の算出方法の一例について説明する。
図8は、特徴点及び変化量算出の一例を示す説明図である。例えば、同図(a)に示すように、基板上に形成されたスポットが半球状である場合には、スポットの形状を断面画像として捉え、例えば、特徴点として、スポットの中心点Aと中心点Aを通る垂線とスポットの外周との交点Bを抽出する。
この点Aと点Bから、AB間の距離xを算出し、この値をパラメータとして使用してもよい。この値xを、予め定めておいた基準値x0と比較して、基準値x0に達したときに、制御手段170にその旨を送信し、新たな液滴を吐出するよう定められてもよい。なお、基準値x0は、例えば、溶媒の蒸発速度を測定し定められる値であってもよい。また、溶媒の蒸発速度、後に追加する液滴の量、及び、後に追加する液滴により形成されるスポットのサイズ等を考慮して定められていてもよい。
また、液滴抽出直後のスポット50aの最大高さx1を点Aと点B1の距離として算出し、所定時間経過後のスポット50bの最大高さx2を点Aと点B2との距離として算出し、両者の差(x1−x2)を求め、これをパラメータとして用いることもできる。なお、この差(x1−x2)は、絶対値として求められてもよい。
この差(x1−x2)を、予め定めておいた基準値x0と比較して、基準値x0に達したときに、制御手段170にその旨を送信し、新たな液滴を吐出するよう設定してもよい。
また、図8(b)に示すように、スポットの形状を上面から観察し、スポット50aの中心点Aから、外周上の任意の点Cまでの距離をパラメータとして使用してもよい。さらに、液滴吐出直後の中心点Aから外周上の任意の点C1までの距離y1と、所定時間経過後のスポット50bにおける中心点Aから外周上の任意の点C2までの距離y2との差(y1−y2)を求め、この差(y1−y2)を、新たな液滴を吐出するか否かの判別のパラメータとしてもよい。
なお、スポットの外周上の特徴点Cは、複数点抽出し、得られる平均値を利用してもよい。
また、図8(a)においては、一定時間経過後のスポット形状が略半球状の場合について説明したが、吐出する溶液(又は希釈溶媒)の性質によっては、スポット形状が歪む場合もある。例えば、図8(c)に示すように、スポットの形状に凹部が形成される場合には、窪みの最下点D2を特徴点として使用してもよく、吐出直後のD2に対応するスポット外周上の点D1との差(x3−x4)を液滴吐出の判別のためのパラメータとして使用してもよい。
このように、特徴点は、スポットの形状に応じて任意に抽出される。
また、他の方法として、側面観察又は上面観察における画像データより面積を抽出し、面積の値を判別のためのパラメータとして使用してもよい。さらに、複数箇所より、スポットを撮影することにより、スポットの形状の3Dデータを求め、体積の値を算出することにより、体積の値を判別のためのパラメータとして使用してもよい。
また、上記スポットの変化量の判断は、オペレータが目視により行い、オペレータが制御装置に駆動信号を送信するタイミングを指示してもよい。さらに、一度オペレータにより決定したタイミング(間隔)により、自動的に吐出するよう設定してもよい。
次に、本実施形態の製造装置に好適に用いられる液滴吐出ヘッドの一例について説明する。
図9は、本発明に用いられる液滴吐出ヘッドの一例を概略的に説明する上面図である。図10は、図9におけるa点〜j点に沿って液滴吐出ヘッドの断面を説明する断面図を示す。図11は、本発明に用いられる液滴吐出ヘッドの動作機構を説明するための概念図である。
図9及び図10に示すように、本発明に用いられる液滴吐出ヘッド100は、DNA及びタンパク質などの生体試料(生体分子)を含む試料溶液、希釈溶媒等を収容し得る複数の収容室101を備えている。これらの収容室101に設けられた供給孔(図示せず)から供給される、試料溶液としてのDNAやタンパク質等の生体試料溶液は、各々マイクロチャンネル131を通じて、加圧室105に導入され、振動板109の弾性変位による内部圧力の変動によってノズル孔106から液滴として吐出される。
図10に示すように、本発明に用いられる液滴吐出ヘッド100は、電極108が形成された第1の基板(以下、電極基板という)、試料溶液を吐出するための圧力を付与する加圧室105を備えた第2の基板(以下、加圧室基板という)、ノズル孔106を有する第3の基板(以下、ノズル基板という)、及び上記試料溶液を収容するための収容室101を有する収容部120で要部が構成されている。また、必要に応じて、収容室101と加圧室105を繋ぐマイクロチャンネル131(以下、単に流路ともいう)が形成された流路基板が含まれていてもよい。
次に、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの構成及び動作機構について、図11を参照しながら説明する。また、同図においては、説明の便宜上、流路基板は記載せず、収容部、電極基板、加圧室基板、及びノズル基板の4層構造からなる液滴吐出ヘッドについて記載する。また、同図では、単一の加圧室105のみを図示する。
加圧室基板122には、ノズル基板123と対向する面に、断面凹部形状の加圧室105と、収容部120に設けられた収容室101からの試料溶液を各加圧室105に供給するための流路102、103、104が形成されている。加圧室105の形状は、特に限定されず、例えば、面方位を(110)のシリコン基板を用い、水酸化カリウム水溶液などで異方性エッチングを行った場合には、加圧室105はシリコン基板に垂直な面に対して約35度の角度をなす斜面から構成される断面舟型になる。同基板の表面及び裏面には熱酸化法によって例えば約1μmの膜厚に成膜されたシリコン酸化膜が成膜されていてもよい。また、流路102a、103、104についても、特に形状は限定されず、例えばエッチングにより、加圧室105と同時に形成してもよい。なお、収容室101からの試料溶液は、基板に対して垂直方向に設けられた流路102aを通過して、流路102aの下方に接続する流路103に一旦溜り、小径の流路104を介して、加圧室105に送られる。
加圧室105を構成する材料は、特に限定するものではなく、ガラス、シリコン、樹脂等のいずれも用いられるが、微細加工性等の観点からは、例えばガラス基板又はシリコン基板を用いることが好ましく、特に耐久性の観点からは、シリコン基板が好ましい。
尚、このようなシリコン基板としては、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、SOI基板の何れであってもよい。また、シリコン酸化膜の成膜法としては、熱酸化法に限らず、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル・ゲル法、CVD法などの各種の成膜技術を利用できる。
ノズル基板123には、各々の加圧室105で押圧された試料溶液を外部に吐出するためのノズル孔106が、加圧室105に対応する位置に形成されている。ノズル基板123としては、例えば、シリコン基板又はガラス基板を用いることができるが、特に、シリコン基板が好適である。ノズル基板123をシリコン基板にすることによって、生体関連物質との親和性を確保でき、また、加工性にも優れる。ノズル基板123の加圧室基板122が接合するのと反対側の面(以下、ノズル面という)のノズル孔106付近は、撥水処理されていることが好ましい。ノズル面が撥水処理されていることで、ノズル孔106間のクロスコンタミネーションを防止し得る。
電極基板121の加圧室基板122に対向する面には、加圧室105に対応する位置に、加圧室基板122の加圧室105の底部に設けられた振動板109とほぼ一定の微小ギャップを形成せしめるだけの凹部が形成されている。微小ギャップの間隔は液滴吐出ヘッド100を静電駆動するために必要かつ十分な間隔であることが必要であり、例えば、0.2μmが好適である。当該凹部の底面には加圧室基板122との間で静電力を形成せしめるための細長い電極108が成膜されている。電極108を成膜するには、例えば、スパッタ法を用いてインジウム・ティン・オキサイドを約0.1μmの厚さで成膜すればよい。
加圧室基板122、電極基板121、及びノズル基板123として、ホウケイ酸ガラス及びシリコン基板を組合わせて用いた場合には、各基板同士は、例えば陽極接合にて接合することができる。陽極接合によれば、静電気の吸引力で強力に接合できるため、簡便に接合し得る。
また、加圧室基板122、電極基板121、及びノズル基板123として、シリコン基板を用いた場合には、各基板同士は、例えば接着剤等を用いて接合することができる。また、ガラス基板を用いた場合には、希フッ酸溶液等を用いて、両基板間を接合することができる。
電極基板121と加圧室基板122とを陽極接合するには、例えば、ホウケイ酸ガラス基板からなる電極基板121と、シリコン基板からなる加圧室基板122とを用い、電極基板121と加圧室基板122とを流路102a、102bが繋がり、加圧室105が電極108に対応するように精密に位置合わせをしつつ、適度な圧着力で両者を重ね合わせて、300℃〜500℃近くに昇温させ、1×10-4Torr程度の真空若しくは窒素雰囲気下において、シリコン基板側が正電位となるように両基板間に200V〜1000Vの直流電圧を印加する。すると、ホウケイ酸ガラス基板に含まれているアルカリ金属イオンであるナトリウムイオンがホウケイ酸ガラス基板の反対側(図示左側)の表面に偏析する。一方、同基板中に残留する多量のマイナスイオンがシリコン基板との接合面に空間電荷層を形成して、シリコン基板とホウケイ酸ガラス基板との間に強い静電吸引力を誘起し、両者を強力に接合せしめる。なお、ホウケイ酸ガラス基板は、アルカリイオンを多く含み、陽極接合に好適であるだけでなく、熱膨張係数がシリコン基板とほぼ一致するため、基板の接合面における歪みが少ない確実な接合が得られる。
加圧室基板122と電極基板121とを接合した後、両者の微小ギャップを維持するために、エポキシ樹脂などの適度な弾力性と絶縁性に優れた支持部材110を同基板の上端部において、微小ギャップの間に挿嵌する。
尚、陽極接合にホウケイ酸ガラス基板を用いる場合には、同ガラス基板中にMgO,Al23,CaOなどを添加することにより、同ガラス基板の熱膨張係数をシリコン基板の熱膨張係数に合わせて陽極接合時の熱応力を低減するように調整してもよく、また、シリコン基板温度よりもホウケイ酸ガラス基板温度の方をやや高めに設定することで熱応力による基板の変形量の差を小さくし、接合面における反りをなるべく生じないようにするのが好ましい。
シリコン基板からなる加圧室基板122とノズル基板123は、生体関連物質に影響を及ぼさない接着剤により接合する。なお、電極基板121やノズル基板123として、表面を酸化処理したシリコン基板を用いてもよい。特に、電極基板121にシリコン基板を用いる場合には、電極108が成膜されるべき箇所にp型若しくはn型の不純物を拡散することで、電極108の役割を担う電極層を形成することができる。
収容部120には、貫通穴が形成されており、電極基板121と接合することにより、試料溶液を収容(貯留)する収容室101が形成されている。収容室101の基板平面と平行な面における断面形状は、円形状であっても、四角形状であってもよく、特に限定されない。ただし、試料溶液の損失を防止するという観点からは、円形状であることが好ましい。また、本実施形態では、収容部は、基板上に設けた貫通孔により形成しているが、これに限定されず、各加圧室に繋がる流路に連結し得る貫通孔を備えた凹部を複数有する容器であってもよい。
収容部120の材料についても、特に限定されず、ガラス、シリコン、樹脂等のいずれを用いてもよいが、加工性等の観点から、例えばアクリル樹脂(例:ポリメチルメタクリレート(PMMA))又はポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂が用いられる。収容部120と電極基板121の接合は、両基板を所定の位置に調整し、生体試料に影響を与えないような接着剤により接着固定することにより行われる。
また、電極基板121と収容部120との間に流路基板124が形成されていてもよい。このような流路基板124は、例えば、シリコン基板又はガラス基板により構成され、例えばエッチングにより溝を形成することで、電極基板に形成された流路102bと収容室101を繋ぐマイクロチャンネル(流路)131を形成し得る。
なお、本実施形態では、液滴吐出ヘッドとして、静電駆動方式を例示したが、本発明はこれに限らず、ピエゾ素子を用いた圧電駆動方式であってもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、第一液(例:試料溶液)と第二液(例:希釈溶媒)を組合せて一つのスポットを形成することで、スポットの大きさ及び濃度を種々調整することが可能となる。また、本発明によれば、試料を基板上に固定化する過程で、希釈溶媒を補給することで、試料の乾燥を防止することが可能となる。したがって、本発明は、試料として、乾燥により、変性又は劣化し易い傾向にあるタンパク質等の生体分子にも、好適に用いることができる。また、基板への固定化に時間を有するような試料を用いた場合であっても、希釈溶媒を補給することで、溶液状態を長時間保持することが可能となるので、固定化に必要な時間を十分確保することが可能となり、試料の基板への固定率を高めることが可能となる。
また、液滴吐出ヘッドは、ガラス基板とシリコン基板を主要構成部材としているため、半導体製造プロセス等で利用されているリソグラフィ工程を用いて容易に設計、加工することができ、さらに、デバイスパラメータの変更はフォトマスクのパターンを変更するだけで済むため、設計変更に便利である。特に、蛋白質等を含む溶液の粘性は通常のインクと比較すると、蛋白質等の種類に応じて粘性、表面張力などの物性的特性が著しく異なるため、液滴吐出ヘッドのノズル径、ノズルピッチ等の各寸法を最適化する必要があるが、フォトマスクのパターンを変更するだけで容易に設計変更できるため、便利である。さらに、半導体製造プロセスによれば、高精度な微細加工が可能となるため、寸法精度がよく、マイクロアレイ(プローブアレイ)を製造する際の液滴スポットの大きさにばらつきがない。また、半導体製造プロセスを流用しているため、低コストで生産性に優れている。
また、静電力で駆動するため、蛋白質等の生体分子を変性させるおそれもなく、さらに装置構成を極めて簡素化できるため、液滴吐出ヘッドの小型化が可能でデッドボリュームを小さくできる。また、ノズルの狭ピッチ化により、高密度のスポット形成が可能である。さらに、静電駆動によれば、アクチュエータの信頼性が高く、長寿命である上に、高周波駆動が可能となり、高速吐出が可能となる。
さらに、本実施形態のマイクロアレイの製造装置によれば、基板上に滴下されたスポットの形状及び/又はサイズの変化に応じて、追加する液滴のタイミングを調整することが可能となる。
また、より多くの種類のプローブ溶液(生体関連物質含有溶液)を基板上に吐出することができ、作業効率を顕著に向上させることが可能となる。
図1は、本実施形態のマイクロアレイの製造方法を概略的に説明する断面図である。 図2は、本実施形態のマイクロアレイの製造方法を概略的に説明する断面図である。 図3は、本実施形態のマイクロアレイの製造方法を概略的に説明する断面図である。 図4は、本実施形態のマイクロアレイの製造方法を概略的に説明する断面図である。 図5は、本実施形態の製造方法における、液滴の吐出間隔の決定方法の一例を説明するための図である。 図6は、本実施形態のマイクロアレイ製造装置の具体例について説明する図である。 図7は、制御ユニット200に含まれるCPU210が所定のプログラムに従って命令を実行することにより実現される機能ブロック図である。 図8は、変化量抽出の一例を示す説明図である。 図9は、本発明に用いられる液滴吐出ヘッドの一例を概略的に説明する上面図である。 図10は、図9におけるa点〜j点に沿って液滴吐出ヘッドの断面を説明する断面図を示す。 図11は、本発明に用いられる液滴吐出ヘッドの動作機構を説明するための概念図である。
符号の説明
10 基板、50 スポット、60a 第一液、60b 第二液、100 液摘吐出手段

Claims (17)

  1. 基板上にスポットが配列されたマイクロアレイの製造方法であって、
    前記基板上に、二種類以上の液滴を、少なくとも一部が前記基板上で重なり合うように吐出して、スポットを形成する工程を含むことを特徴とするマイクロアレイの製造方法。
  2. 基板上にスポットが配列されたマイクロアレイの製造方法であって、
    前記基板上に、第一液と第二液とから各々構成される液滴を、少なくとも一部が前記基板上で重なり合うように吐出して、スポットを形成する工程を含むことを特徴とするマイクロアレイの製造方法。
  3. 前記第一液が試料溶液であり、前記第二液が希釈溶媒である、請求項2に記載のマイクロアレイの製造方法。
  4. 前記第一液の液滴及び/又は前記第二液の液滴の吐出が、複数回繰り返される、請求項2又は請求項3に記載のマイクロアレイの製造方法。
  5. 先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔を、
    先に吐出される液滴の蒸発速度と、後に吐出される液滴の吐出量と、前記後に吐出される液滴自身によるスポットサイズとの関係により決定する、
    請求項2乃至4のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  6. 前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、先に吐出される液滴のスポット形状及び/又はサイズの変化に基づいて定められる、請求項2乃至4のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  7. 前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、
    先に吐出される液滴のスポット径及び/又は高さの値を算出する工程と、
    前記スポット径及び/又は高さの値が所定の基準値に達したか否かを判断する工程と、
    により決定される、請求項2乃至4のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  8. 前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、前記基板上に形成されたスポットの体積を算出し、前記体積が所定の基準値に達したか否かを判断することにより決定される、請求項2乃至4のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  9. 前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔が、前記基板上に形成されたスポットを観察し、観察されたスポット形状と基準の形状とを比較することにより決定される、請求項2乃至4のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  10. 前記先の液滴吐出と後の液滴吐出との吐出間隔において、前記基板が所定温度に保持される、請求項5乃至8のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  11. 前記第一液の液滴及び前記第二液の液滴がほぼ同時に吐出される、請求項2乃至9のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  12. 前記第一液が標準試料溶液であり、前記第二液が希釈溶媒であり、前記第一液の液滴及び/又は前記第二液の液滴の吐出を複数回繰り返すことで、濃度の異なる略同径の品質管理用スポットを2種以上形成する、請求項2乃至11のいずれかに記載のマイクロアレイの製造方法。
  13. 基板上に試料溶液及び希釈溶媒を個別に吐出可能な液滴吐出手段と、
    前記液滴吐出手段から吐出され、前記基板上に形成された前記試料溶液及び/又は前記希釈溶液からなるスポットを観察する観察手段と、
    前記観察手段により観察されたスポットの形状及び/又はサイズの変化に基づいて、前記液滴吐出手段に収容される前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう駆動信号を送信する、前記液滴吐出手段の駆動を制御する制御手段と、
    を含むことを特徴とするマイクロアレイの製造装置。
  14. 前記観察手段により吐出後所定時間経過後に観察されるスポット径及び/又は高さの値を算出し、前記スポット径及び/又は高さの値が所定の基準値に達したか否かを判別し、前記基準値に達している場合には、前記制御手段にその旨の信号を送信する判別手段をさらに含み、
    前記制御手段が、前記判別手段から送信される信号に応じて、前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう前記液滴吐出手段に駆動信号を送信する、請求項13に記載のマイクロアレイの製造装置。
  15. 前記観察手段により吐出後所定時間経過後に観察されるスポットの体積の値を算出し、前記体積が所定の基準値に達したか否かを判別し、前記基準値に達している場合には、前記制御手段にその旨を送信する判別手段をさらに含み、
    前記制御手段が、前記判別手段から送信される信号に応じて、前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう前記液滴吐出手段に駆動信号を送信する、請求項13に記載のマイクロアレイの製造装置。
  16. 吐出後所定時間経過後に前記観察手段により観察されるスポットの形状と、基準値の形状とを比較する比較手段をさらに含み、
    前記制御手段が、前記比較結果に応じて、前記試料溶液又は前記希釈溶媒のいずれか一方の追加吐出を行うよう前記液滴吐出手段に駆動信号を送信する、請求項13に記載のマイクロアレイの製造装置。
  17. 前記液滴吐出手段が、液体を収容する複数の収容室と、前記収容室と流路により連結され、当該収容室から供給される前記液体を吐出する複数の吐出口と、を備えた液滴吐出ヘッドであり、
    前記収容室のいずれかに少なくとも前記試料溶液及び前記希釈溶媒が各々収容されており、
    前記試料溶液の吐出及び/又は前記希釈溶液の吐出を複数回繰り返すことで、スポットのサイズ及び/又はスポット内の含有試料濃度が制御されたスポットを二種以上形成し得るよう構成された、
    請求項13乃至16のいずれかに記載のマイクロアレイの製造装置。
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