JP2005033429A - 受信機、コンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送路特性推定値の精度を安定させることができ、受信データの品質向上を図ることができる受信機を実現する。
【解決手段】パイロット信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る遅延プロファイル算出手段と、遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去するフィルタリング手段と、フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る離散フーリエ変換部36と、フィルタ通過範囲を制御するフィルタ制御部37とを備え、フィルタ通過範囲は、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含むことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】パイロット信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る遅延プロファイル算出手段と、遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去するフィルタリング手段と、フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る離散フーリエ変換部36と、フィルタ通過範囲を制御するフィルタ制御部37とを備え、フィルタ通過範囲は、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含むことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システムに係り、特に、伝送路等化を行う受信機、並びにその受信機をコンピュータを利用して実現するためのコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、周波数領域等化方式を用いる無線通信システムの一つとしてSC−FDE(Single Carrier with Frequency Domain Equalization)方式を用いたシステムが知られている。SC−FDE方式は、時間領域で信号を作成し、周波数領域で伝送路特性を推定して受信信号の伝送路等化を行う伝送方式であり、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式と同様に自パス干渉の影響を軽減することができるものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図6は、SC−FDE方式の従来の無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。図6において、送信機1では、先ずパイロット信号挿入部11が送信データにパイロット信号を付加する。このパイロット信号は、受信機側との間で予め整合された既知の信号である。次いで、CP(Cyclic Prefix)挿入部12がパイロット信号、データのそれぞれの先頭にCPを挿入する。このCP付きの送信信号はアンテナ13から無線送信される。図7は、このCP付きの送信信号の伝送フレームの構成例を示す図である。図7の例では、パイロット信号の末尾の32シンボルがパイロット信号の先頭部分(CP部分)に複写され、また、データの末尾の32シンボルがデータの先頭部分(CP部分)に複写されている。なお、CPの系列長NCPは、伝送路の最大遅延時間(最大伝送遅延時間)より長い時間に対応する長さに設定される。図7の例では、CPの系列長NCPは32シンボルである。また、パイロット信号の系列長Npは128シンボル、データの系列長Ndは256シンボルである。
【0004】
受信機21では、送信機1から無線送信された信号がアンテナ21により受信される。CP除去部22は、この受信信号からCPを除去する。次いで、選択部23が、CP除去後の受信信号に含まれるパイロット信号を伝送路推定部240へ出力し、データを等化部25へ出力する。伝送路推定部240は、受信パイロット信号に基づいて周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果である伝送路特性推定値を等化部25へ出力する。等化部25は、伝送路推定部240から供給される伝送路特性推定値を用いて受信データを周波数領域で等化し出力する。
【0005】
図8は、図6に示される従来の伝送路推定部240の構成を示すブロック図である。この図8の構成は、例えば非特許文献2に開示されている。
図8において、伝送路推定部240には、CPが除去された系列長Npのパイロット信号pr(n)が入力される。次いで、離散フーリエ変換(DFT)部31が系列長Npのパイロット信号pr(n)に対してNpポイントの離散フーリエ変換を行う。ここで、離散フーリエ変換のサンプリング時間は1シンボル分の時間である。次いで、この変換後のパイロット信号Pr(f)に対して乗算器32により所定信号を乗じることによって、(1)式に示される周波数領域における伝送路特性推定値H(f)が得られる。
【0006】
【数1】
【0007】
但し、Pt(f)は周波数領域における既知のパイロット信号、*は複素共役の表記である。
【0008】
次いで、逆離散フーリエ変換(IDFT)部33が伝送路特性推定値H(f)を逆離散フーリエ変換して遅延プロファイルh(n)を出力する。この遅延プロファイルh(n)は、周波数領域で推定された伝送路特性が時間領域に変換されたものである。次いで、遅延プロファイルh(n)に対して乗算器34により所定のフィルタhFilter(n)を乗じる。このフィルタhFilter(n)は、CPの系列長NCP内の成分のみを通過させるものである。これにより、遅延プロファイルh(n)からCPの系列長NCPの範囲外の時間領域にある雑音成分が除去される。
【0009】
次いで、補間部35がフィルタhFilter(n)を通過後の遅延プロファイルをデータの系列長Ndに適合させるために、データの系列長Ndに不足する時間領域を0で補間する。例えば、上記図7の伝送フレームが用いられた場合、パイロット信号の系列長Npが128シンボルであり、遅延プロファイルh(n)は128シンボル分の長さを有するものとなる。そして、フィルタhFilter(n)を通過後の遅延プロファイルは、先頭からCPの系列長NCPである32シンボル分の時間領域にある成分のみが抽出されたものとなる。したがって、フィルタhFilter(n)を通過後の遅延プロファイルには、先頭から32シンボル分の時間以降の時間領域の値がない。しかし、データの系列長Ndは256シンボルであるので、先頭から32シンボル分の時間以降の224シンボル分の時間領域の値を0で補間する。
【0010】
次いで、DFT部36がこの補間後の遅延プロファイルを逆離散フーリエ変換して周波数領域における伝送路特性推定値HI(f)を出力する。この伝送路特性推定値HI(f)は、上記図6の等化部25へ出力され、等化部25において受信データの周波数領域等化に使用される。
【0011】
【非特許文献1】
D. Falconer, S. L. Ariyavisitakul, A. Benyamin−Seeyar , B. Eidson, “Frequency Domain Equalization for Single−Carrier Broadband Wireless Systems,” IEEE Commun. Mag., Vol. 40, No. 4, pp. 58−66, April 2002.
【非特許文献2】
A. Czylwik, “Low Overhead Pilot−Aided Synchronization for Single Carrier Modulation with Frequency Domain Equalization,” Proc. GLOBECOM ’98, pp. 2068−2073, Sydney, Australia, Nov. 1998.
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の受信機では、伝送路推定部240においてフィルタhFilter(n)により遅延プロファイルh(n)からCPの系列長NCP内の成分のみを通過させ、それ以外の成分を除去するが、この構成では伝送路特性推定値の精度が悪くなる場合がある。例えば、先行波のパスタイミングに対して非シンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位で到来する遅延波がある場合には、伝送路特性推定値の精度が劣化して受信データの品質が低下するという問題が生じている。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、伝送路特性推定値の精度を安定させることができ、受信データの品質向上を図ることができる受信機を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、本発明の受信機をコンピュータを利用して実現するためのコンピュータプログラムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の受信機は、既知信号及び送信データを格納する伝送フレームを用いて送信機から送信された信号を受信し、周波数領域で伝送路特性を推定して前記受信信号を伝送路等化する受信機において、前記既知信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る遅延プロファイル算出手段と、前記遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去するフィルタリング手段と、前記フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して前記伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る離散フーリエ変換手段と、前記フィルタ通過範囲を制御するフィルタ制御手段とを備え、前記フィルタ通過範囲は、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含むことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の受信機においては、前記フィルタ通過範囲は、前記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルの末尾から所定時間溯った位置までの第2の通過範囲をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の受信機においては、前記送信機から送信される信号の伝送遅延時間に応じたフィルタ通過範囲を予め複数格納するフィルタ条件記憶手段を備え、前記フィルタ制御手段は、前記フィルタ条件記憶手段に格納されているフィルタ通過範囲の中から、制御入力に対応する所定のフィルタ通過範囲を選択することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の受信機においては、前記フィルタリング後の遅延プロファイルに対して、前記送信データの長さに不足する時間領域をゼロで補間する補間手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の受信機においては、前記伝送フレーム内において、既知信号領域の先頭に前記既知信号の末尾部分が複写されているか、又は、送信データ領域の先頭に前記送信データの末尾部分が複写されているか、又は、前記既知信号に係る複写及び前記送信データに係る複写の双方が行われていることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の受信機においては、前記複写部分の長さは、前記最大伝送遅延時間に対応する長さ以上であることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載のコンピュータプログラムは、既知信号及び送信データを格納する伝送フレームを用いて送信機から送信された信号を受信し、周波数領域で伝送路特性を推定して前記受信信号を伝送路等化する受信機における伝送特性推定処理を行うためのコンピュータプログラムであって、前記既知信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る機能と、前記遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去する機能と、前記フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して前記伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る機能と、前記フィルタ通過範囲を、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含むように制御する機能とをコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載のコンピュータプログラムにおいては、前記フィルタ通過範囲として、前記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルの末尾から所定時間溯った位置までの第2の通過範囲をさらに含むように制御する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載のコンピュータプログラムにおいては、前記フィルタ通過範囲の制御時において、前記送信機から送信される信号の伝送遅延時間に応じた前記フィルタ通過範囲が予め複数格納された記憶手段から、制御入力に対応する所定の前記フィルタ通過範囲を選択することを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載のコンピュータプログラムにおいては、前記フィルタリング後の遅延プロファイルに対して、前記送信データの長さに不足する時間領域をゼロで補間する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする。
これにより、前述の受信機がコンピュータを利用して実現できるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態においては、SC−FDE方式の無線通信システムを例に挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による受信機2を備えたSC−FDE方式の無線通信システムの概略構成を示す図である。図1において、送信機1は上記図6の従来の構成と同様であり、先ずパイロット信号挿入部11が、受信機側との間で予め整合された既知のパイロット信号を送信データに付加する。次いで、CP(Cyclic Prefix)挿入部12がパイロット信号、データのそれぞれの先頭にCPを挿入し、このCP付きの送信信号がアンテナ13から無線送信される。このCP付きの送信信号の伝送フレームの構成は、例えば上記した図7の構成である。そして、CPの系列長NCP(図7の例では32シンボル)は、伝送路の最大遅延時間(最大伝送遅延時間)より長い時間に対応する長さに設定される。また、図7の例ではパイロット信号の系列長Npは128シンボル、データの系列長Ndは256シンボルである。
【0026】
図1に示される受信機2において、上記図6の従来の構成と異なっているのは伝送路推定部24のみであり、その他の構成は従来と同様である。
送信機1から送信された信号は受信機2のアンテナ21により受信され、この受信信号はCP除去部22に入力される。次いで、CP除去部22が、入力された受信信号からCPを除去する。次いで、選択部23が、CP除去後の受信信号に含まれるパイロット信号を伝送路推定部24へ出力し、データを等化部25へ出力する。伝送路推定部24は、受信パイロット信号に基づいて周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果である伝送路特性推定値を等化部25へ出力する。等化部25は、伝送路推定部24から供給される伝送路特性推定値を用いて受信データを周波数領域で等化し出力する。
【0027】
図2は、図1に示す伝送路推定部24の構成を示すブロック図である。図2において、伝送路推定部24には、CPが除去された系列長Npのパイロット信号pr(n)が入力される。次いで、離散フーリエ変換(DFT)部31が系列長Npのパイロット信号pr(n)に対してNpポイントの離散フーリエ変換を行う。ここで、離散フーリエ変換のサンプリング時間は1シンボル分の時間である。次いで、この変換後のパイロット信号Pr(f)に対して乗算器32により所定信号を乗じることによって、上記(1)式に示される周波数領域における伝送路特性推定値H(f)が得られる。
【0028】
次いで、逆離散フーリエ変換(IDFT)部33が伝送路特性推定値H(f)を逆離散フーリエ変換して遅延プロファイルh(n)を出力する。この遅延プロファイルh(n)は、周波数領域で推定された伝送路特性が時間領域に変換されたものである。次いで、遅延プロファイルh(n)に対して乗算器34により、フィルタ制御部37から供給されるフィルタを乗じる。フィルタ条件記憶部38には、予め複数のフィルタ通過範囲が格納されており、フィルタ制御部37は、フィルタ条件記憶部38に格納されているフィルタ通過範囲の中から、制御入力に対応する所定のフィルタ通過範囲を選択する。そして、該選択したフィルタ通過範囲を有するフィルタを乗算器34へ出力する。この乗算器34によるフィルタリングにより、遅延プロファイルh(n)から雑音成分が除去される。なお、フィルタ制御部37から供給されるフィルタの通過範囲の詳細については後述する。
【0029】
次いで、補間部35がフィルタ通過後の遅延プロファイルをデータの系列長Ndに適合させるために、データの系列長Ndに不足する時間領域を0で補間する。次いで、DFT部36がこの補間後の遅延プロファイルを逆離散フーリエ変換して周波数領域における伝送路特性推定値HNE−I(f)を出力する。この伝送路特性推定値HNE−I(f)は、上記図1の等化部25へ出力され、等化部25において受信データの周波数領域等化に使用される。
【0030】
次に、上述した遅延プロファイルh(n)から雑音成分を除去するためのフィルタの通過範囲について詳細に説明する。
先行波のパスタイミングに対してシンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換のサンプリング時間単位で到来する遅延波のみである場合には、CPの系列長NCPが最大伝送遅延時間より長い時間に対応する長さであることから、遅延プロファイルh(n)において、遅延波に対応する応答成分がCPの系列長NCPの時間範囲内に収まる。したがって、フィルタリングによりCPの系列長NCP内の成分のみを通過させても問題はない。
【0031】
しかし、先行波のパスタイミングに対して非シンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位で到来する遅延波がある場合には、遅延プロファイルh(n)において、当該遅延波に対応する応答時間の幅がシンボル時間単位で遅延する場合に比して大きくなる。このため、CPの系列長NCPの時間と同じ程度の遅延時間をもって到来する遅延波がある場合において、その遅延時間が非シンボル時間単位であるときは、遅延プロファイルh(n)において、当該遅延波に対応する応答成分がCPの系列長NCPの時間を超えて出現することがある。
【0032】
したがって、従来のようにフィルタリングによりCPの系列長NCP内の成分のみを通過させると、遅延プロファイルh(n)からCPの系列長NCPの範囲外の時間領域にある雑音成分が除去されるだけでなく、CPの系列長NCPの時間を超えて出現する応答成分までもが除去されてしまう。この結果、得られた伝送路特性推定値は精度不十分なものなので、当該伝送路特性推定値により伝送路等化が行われた受信データはその品質が低下することとなる。
【0033】
このような知見に基づき、本実施形態においては、遅延プロファイルh(n)から雑音成分を除去するためのフィルタの通過範囲を、遅延プロファイルh(n)の先頭からCPの系列長NCPの時間以上の範囲(第1の通過範囲)を含むようにする。これにより、CPの系列長NCPの時間と同じ程度の遅延時間をもって到来する遅延波がある場合においてその遅延時間が非シンボル時間単位であっても、当該遅延波に対応する応答成分が保存されるので、伝送路特性推定値の精度が劣化することはなくなる。
【0034】
また、先行波のパスタイミングに対して非常に短い遅延をもって到来する遅延波がある場合において、その遅延時間が非シンボル時間単位であるときは、遅延プロファイルh(n)において、当該遅延波に対応する応答成分が遅延プロファイルh(n)の末尾部分に出現することがある。これに対応するために、遅延プロファイルh(n)から雑音成分を除去するためのフィルタの通過範囲を、上記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルh(n)の末尾から所定時間溯った位置までの範囲(第2の通過範囲)をさらに含むようにするのがより好ましい。これにより、先行波のパスタイミングに対して非常に短い遅延をもって到来する遅延波がある場合においてその遅延時間が非シンボル時間単位であっても、当該遅延波に対応する応答成分が保存されるので、伝送路特性推定値の精度が劣化することはなくなる。
【0035】
図3は、上述した遅延プロファイルの雑音除去及び補間の具体例を示す図である。図3(a)には遅延プロファイルh(n)が示されている。図3(b)には雑音除去及び補間後の遅延プロファイルが示されている。図3において1サンプリング時間は1シンボル時間に対応している。この図3の例は、上記図7の伝送フレームが用いられた場合のものであり、パイロット信号の系列長Npが128シンボルであるので、図3(a)の遅延プロファイルh(n)は128シンボル分の長さを有している。また、CPの系列長NCPは32シンボルであり、データの系列長Ndは256シンボルである。
【0036】
図3(a)において、雑音除去用のフィルタの第1の通過範囲は、遅延プロファイルh(n)の先頭(n=0)から{(NCP+1)+Nf}までの範囲である。但し、Nfは、先行波に対する遅延波に対応する応答時間の幅の大きさに応じて設定される値である。
また、第2の通過範囲は、遅延プロファイルh(n)の末尾(n=256)からNbまで溯った範囲である。
上記Nf及びNbの値は例えば実測値に基づいて決定される。
【0037】
そして、雑音除去のためのフィルタリングにより図3(a)の遅延プロファイルh(n)から上記第1及び第2の通過範囲内にある成分が抽出される。次いで、それら抽出された成分を用いて、系列長Ndが256シンボルであるデータに適合する遅延プロファイルの作成が行われる。ここで、第1の通過範囲に対応する時間領域と第2の通過範囲に対応する時間領域に挟まれた時間領域(図3(b)の[Nd−{(NCP+1)+Nf+Nb}]で示された領域)については、遅延プロファイルの値が0で補間される。これにより、図3(b)に示される遅延プロファイルが得られる。
【0038】
上記した図3(a)の遅延プロファイルh(n)にはCPの系列長NCPの32シンボル時間を超えて出現する応答成分があるが、この応答成分が図3(b)の雑音除去及び補間後の遅延プロファイルにおいて保存されている。また、図3(a)の遅延プロファイルh(n)には末尾部分に応答成分が出現しているが、この応答成分が図3(b)の雑音除去及び補間後の遅延プロファイルにおいて保存されている。この結果、得られた伝送路特性推定値は良好なものとなり、伝送路等化後の受信データの品質が保たれる。
【0039】
なお、上記図2のフィルタ条件記憶部38には、例えば実測値に基づいて予め算出された上記Nf及びNbの値が、その算出条件(実測条件等)に対応付けて格納される。そして、フィルタ制御部37は、フィルタ条件記憶部38に格納されているNf及びNbの値の中から、制御入力される算出条件に対応するNf及びNbの値を選択して乗算器34へ出力するフィルタを構成する。
【0040】
図4及び図5は、本実施形態による受信機2の伝送路等化後の受信データについてのBER(Bit Error Rate)のEb/N0特性をシミュレーションした結果のグラフ図である。このシミュレーション条件は、等平均強度2パスレイリー環境下で遅延時間τSを変化させている。また、図7の伝送フレーム構成を用い、各パスのフェージングはフレーム間で独立、フレーム内で一定のレイリーフェージングを用いている。
また、従来技術との比較のために、従来の受信機200の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性をシミュレーションした結果のグラフを図9及び図10に示している。これら図9及び図10のシミュレーション条件は、上記図4及び図5のものと同じである。
【0041】
従来のBERのEb/N0特性では、図9に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である30.5シンボルの場合、すなわちCPの系列長NCPの時間と同じ程度の遅延時間をもって到来する遅延波であってその遅延時間が非シンボル時間単位の場合に、BERのEb/N0特性が劣化している。また、図10に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である1.5シンボルの場合、すなわち先行波のパスタイミングに対して非常に短い遅延をもって到来する遅延波であってその遅延時間が非シンボル時間単位の場合に、BERのEb/N0特性が劣化している。
【0042】
しかしながら、本実施形態によるシミュレーション結果では、上述した第1の通過範囲のフィルタリングにより、図4に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である30.5シンボルの場合において、BERのEb/N0特性は劣化せず、良好である。また、上述した第2の通過範囲のフィルタリングにより、図5に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である1.5シンボルの場合において、BERのEb/N0特性は劣化せず、良好である。
【0043】
上述したように本実施形態によれば、先行波に対する遅延波の遅延時間が非シンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位となるような無線通信環境に対応して伝送路特性推定値の精度を安定させることができ、受信データの品質向上を図ることが可能となる。この結果、無線通信システムの信頼性が向上する。
【0044】
なお、図1及び図2に示される受信機2は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この受信機2はメモリおよびDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などの演算処理装置により構成され、受信機2の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0045】
また、図1及び図2に示す受信機2が行う各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより周波数領域等化方式による受信処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0046】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0047】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態においては、図7に示されるように伝送フレーム内のパイロット信号と送信データの双方に対してCPを付加したが、パイロット信号又は送信データのいずれかのみにCPを付加するようにしてもよい。或いは、CPを全く付加しない構成であってもよいが、伝送路等化の精度向上の観点から、パイロット信号又は送信データのいずれかにCPを付加することが好ましい。さらに好ましくはパイロット信号と送信データの双方に対してCPを付加するのがよい。
【0048】
なお、上述した実施形態においては、SC−FDE方式の無線通信システムに適用したが、周波数領域等化方式を用いる他の無線通信システムにも同様に適用することができる。
【0049】
また、本発明の受信機は、携帯電話や自動車電話などの移動通信サービスシステム、その他各種の無線通信サービスシステムに適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、先行波に対する遅延波の遅延時間が離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位となるような無線通信環境に対応して伝送路特性推定値の精度を安定させることができ、受信データの品質向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による受信機2を備えたSC−FDE方式の無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す伝送路推定部24の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による遅延プロファイルの雑音除去及び補間の具体例を示す図である。
【図4】図1に示す受信機2の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第1のシミュレーション結果である。
【図5】図1に示す受信機2の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第2のシミュレーション結果である。
【図6】SC−FDE方式の従来の無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】CP付きの送信信号の伝送フレームの構成例を示す図である。
【図8】図6に示す従来の伝送路推定部240の構成を示すブロック図である。
【図9】図6に示す従来の受信機200の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第1のシミュレーション結果である。
【図10】図6に示す従来の受信機200の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第2のシミュレーション結果である。
【符号の説明】
2…受信機、21…アンテナ、22…CP除去部、23…選択部、24…伝送路推定部、25…等化部、31…離散フーリエ変換(DFT)部(遅延プロファイル算出手段)、32…乗算器(遅延プロファイル算出手段)、33…逆離散フーリエ変換(IDFT)部(遅延プロファイル算出手段)、34…乗算器(フィルタリング手段)、35…補間部、36…離散フーリエ変換(DFT)部、37…フィルタ制御部、38…フィルタ条件記憶部
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システムに係り、特に、伝送路等化を行う受信機、並びにその受信機をコンピュータを利用して実現するためのコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、周波数領域等化方式を用いる無線通信システムの一つとしてSC−FDE(Single Carrier with Frequency Domain Equalization)方式を用いたシステムが知られている。SC−FDE方式は、時間領域で信号を作成し、周波数領域で伝送路特性を推定して受信信号の伝送路等化を行う伝送方式であり、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式と同様に自パス干渉の影響を軽減することができるものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図6は、SC−FDE方式の従来の無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。図6において、送信機1では、先ずパイロット信号挿入部11が送信データにパイロット信号を付加する。このパイロット信号は、受信機側との間で予め整合された既知の信号である。次いで、CP(Cyclic Prefix)挿入部12がパイロット信号、データのそれぞれの先頭にCPを挿入する。このCP付きの送信信号はアンテナ13から無線送信される。図7は、このCP付きの送信信号の伝送フレームの構成例を示す図である。図7の例では、パイロット信号の末尾の32シンボルがパイロット信号の先頭部分(CP部分)に複写され、また、データの末尾の32シンボルがデータの先頭部分(CP部分)に複写されている。なお、CPの系列長NCPは、伝送路の最大遅延時間(最大伝送遅延時間)より長い時間に対応する長さに設定される。図7の例では、CPの系列長NCPは32シンボルである。また、パイロット信号の系列長Npは128シンボル、データの系列長Ndは256シンボルである。
【0004】
受信機21では、送信機1から無線送信された信号がアンテナ21により受信される。CP除去部22は、この受信信号からCPを除去する。次いで、選択部23が、CP除去後の受信信号に含まれるパイロット信号を伝送路推定部240へ出力し、データを等化部25へ出力する。伝送路推定部240は、受信パイロット信号に基づいて周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果である伝送路特性推定値を等化部25へ出力する。等化部25は、伝送路推定部240から供給される伝送路特性推定値を用いて受信データを周波数領域で等化し出力する。
【0005】
図8は、図6に示される従来の伝送路推定部240の構成を示すブロック図である。この図8の構成は、例えば非特許文献2に開示されている。
図8において、伝送路推定部240には、CPが除去された系列長Npのパイロット信号pr(n)が入力される。次いで、離散フーリエ変換(DFT)部31が系列長Npのパイロット信号pr(n)に対してNpポイントの離散フーリエ変換を行う。ここで、離散フーリエ変換のサンプリング時間は1シンボル分の時間である。次いで、この変換後のパイロット信号Pr(f)に対して乗算器32により所定信号を乗じることによって、(1)式に示される周波数領域における伝送路特性推定値H(f)が得られる。
【0006】
【数1】
【0007】
但し、Pt(f)は周波数領域における既知のパイロット信号、*は複素共役の表記である。
【0008】
次いで、逆離散フーリエ変換(IDFT)部33が伝送路特性推定値H(f)を逆離散フーリエ変換して遅延プロファイルh(n)を出力する。この遅延プロファイルh(n)は、周波数領域で推定された伝送路特性が時間領域に変換されたものである。次いで、遅延プロファイルh(n)に対して乗算器34により所定のフィルタhFilter(n)を乗じる。このフィルタhFilter(n)は、CPの系列長NCP内の成分のみを通過させるものである。これにより、遅延プロファイルh(n)からCPの系列長NCPの範囲外の時間領域にある雑音成分が除去される。
【0009】
次いで、補間部35がフィルタhFilter(n)を通過後の遅延プロファイルをデータの系列長Ndに適合させるために、データの系列長Ndに不足する時間領域を0で補間する。例えば、上記図7の伝送フレームが用いられた場合、パイロット信号の系列長Npが128シンボルであり、遅延プロファイルh(n)は128シンボル分の長さを有するものとなる。そして、フィルタhFilter(n)を通過後の遅延プロファイルは、先頭からCPの系列長NCPである32シンボル分の時間領域にある成分のみが抽出されたものとなる。したがって、フィルタhFilter(n)を通過後の遅延プロファイルには、先頭から32シンボル分の時間以降の時間領域の値がない。しかし、データの系列長Ndは256シンボルであるので、先頭から32シンボル分の時間以降の224シンボル分の時間領域の値を0で補間する。
【0010】
次いで、DFT部36がこの補間後の遅延プロファイルを逆離散フーリエ変換して周波数領域における伝送路特性推定値HI(f)を出力する。この伝送路特性推定値HI(f)は、上記図6の等化部25へ出力され、等化部25において受信データの周波数領域等化に使用される。
【0011】
【非特許文献1】
D. Falconer, S. L. Ariyavisitakul, A. Benyamin−Seeyar , B. Eidson, “Frequency Domain Equalization for Single−Carrier Broadband Wireless Systems,” IEEE Commun. Mag., Vol. 40, No. 4, pp. 58−66, April 2002.
【非特許文献2】
A. Czylwik, “Low Overhead Pilot−Aided Synchronization for Single Carrier Modulation with Frequency Domain Equalization,” Proc. GLOBECOM ’98, pp. 2068−2073, Sydney, Australia, Nov. 1998.
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の受信機では、伝送路推定部240においてフィルタhFilter(n)により遅延プロファイルh(n)からCPの系列長NCP内の成分のみを通過させ、それ以外の成分を除去するが、この構成では伝送路特性推定値の精度が悪くなる場合がある。例えば、先行波のパスタイミングに対して非シンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位で到来する遅延波がある場合には、伝送路特性推定値の精度が劣化して受信データの品質が低下するという問題が生じている。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、伝送路特性推定値の精度を安定させることができ、受信データの品質向上を図ることができる受信機を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、本発明の受信機をコンピュータを利用して実現するためのコンピュータプログラムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の受信機は、既知信号及び送信データを格納する伝送フレームを用いて送信機から送信された信号を受信し、周波数領域で伝送路特性を推定して前記受信信号を伝送路等化する受信機において、前記既知信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る遅延プロファイル算出手段と、前記遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去するフィルタリング手段と、前記フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して前記伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る離散フーリエ変換手段と、前記フィルタ通過範囲を制御するフィルタ制御手段とを備え、前記フィルタ通過範囲は、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含むことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の受信機においては、前記フィルタ通過範囲は、前記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルの末尾から所定時間溯った位置までの第2の通過範囲をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載の受信機においては、前記送信機から送信される信号の伝送遅延時間に応じたフィルタ通過範囲を予め複数格納するフィルタ条件記憶手段を備え、前記フィルタ制御手段は、前記フィルタ条件記憶手段に格納されているフィルタ通過範囲の中から、制御入力に対応する所定のフィルタ通過範囲を選択することを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載の受信機においては、前記フィルタリング後の遅延プロファイルに対して、前記送信データの長さに不足する時間領域をゼロで補間する補間手段を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の受信機においては、前記伝送フレーム内において、既知信号領域の先頭に前記既知信号の末尾部分が複写されているか、又は、送信データ領域の先頭に前記送信データの末尾部分が複写されているか、又は、前記既知信号に係る複写及び前記送信データに係る複写の双方が行われていることを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の受信機においては、前記複写部分の長さは、前記最大伝送遅延時間に対応する長さ以上であることを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載のコンピュータプログラムは、既知信号及び送信データを格納する伝送フレームを用いて送信機から送信された信号を受信し、周波数領域で伝送路特性を推定して前記受信信号を伝送路等化する受信機における伝送特性推定処理を行うためのコンピュータプログラムであって、前記既知信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る機能と、前記遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去する機能と、前記フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して前記伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る機能と、前記フィルタ通過範囲を、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含むように制御する機能とをコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載のコンピュータプログラムにおいては、前記フィルタ通過範囲として、前記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルの末尾から所定時間溯った位置までの第2の通過範囲をさらに含むように制御する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載のコンピュータプログラムにおいては、前記フィルタ通過範囲の制御時において、前記送信機から送信される信号の伝送遅延時間に応じた前記フィルタ通過範囲が予め複数格納された記憶手段から、制御入力に対応する所定の前記フィルタ通過範囲を選択することを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載のコンピュータプログラムにおいては、前記フィルタリング後の遅延プロファイルに対して、前記送信データの長さに不足する時間領域をゼロで補間する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする。
これにより、前述の受信機がコンピュータを利用して実現できるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態においては、SC−FDE方式の無線通信システムを例に挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による受信機2を備えたSC−FDE方式の無線通信システムの概略構成を示す図である。図1において、送信機1は上記図6の従来の構成と同様であり、先ずパイロット信号挿入部11が、受信機側との間で予め整合された既知のパイロット信号を送信データに付加する。次いで、CP(Cyclic Prefix)挿入部12がパイロット信号、データのそれぞれの先頭にCPを挿入し、このCP付きの送信信号がアンテナ13から無線送信される。このCP付きの送信信号の伝送フレームの構成は、例えば上記した図7の構成である。そして、CPの系列長NCP(図7の例では32シンボル)は、伝送路の最大遅延時間(最大伝送遅延時間)より長い時間に対応する長さに設定される。また、図7の例ではパイロット信号の系列長Npは128シンボル、データの系列長Ndは256シンボルである。
【0026】
図1に示される受信機2において、上記図6の従来の構成と異なっているのは伝送路推定部24のみであり、その他の構成は従来と同様である。
送信機1から送信された信号は受信機2のアンテナ21により受信され、この受信信号はCP除去部22に入力される。次いで、CP除去部22が、入力された受信信号からCPを除去する。次いで、選択部23が、CP除去後の受信信号に含まれるパイロット信号を伝送路推定部24へ出力し、データを等化部25へ出力する。伝送路推定部24は、受信パイロット信号に基づいて周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果である伝送路特性推定値を等化部25へ出力する。等化部25は、伝送路推定部24から供給される伝送路特性推定値を用いて受信データを周波数領域で等化し出力する。
【0027】
図2は、図1に示す伝送路推定部24の構成を示すブロック図である。図2において、伝送路推定部24には、CPが除去された系列長Npのパイロット信号pr(n)が入力される。次いで、離散フーリエ変換(DFT)部31が系列長Npのパイロット信号pr(n)に対してNpポイントの離散フーリエ変換を行う。ここで、離散フーリエ変換のサンプリング時間は1シンボル分の時間である。次いで、この変換後のパイロット信号Pr(f)に対して乗算器32により所定信号を乗じることによって、上記(1)式に示される周波数領域における伝送路特性推定値H(f)が得られる。
【0028】
次いで、逆離散フーリエ変換(IDFT)部33が伝送路特性推定値H(f)を逆離散フーリエ変換して遅延プロファイルh(n)を出力する。この遅延プロファイルh(n)は、周波数領域で推定された伝送路特性が時間領域に変換されたものである。次いで、遅延プロファイルh(n)に対して乗算器34により、フィルタ制御部37から供給されるフィルタを乗じる。フィルタ条件記憶部38には、予め複数のフィルタ通過範囲が格納されており、フィルタ制御部37は、フィルタ条件記憶部38に格納されているフィルタ通過範囲の中から、制御入力に対応する所定のフィルタ通過範囲を選択する。そして、該選択したフィルタ通過範囲を有するフィルタを乗算器34へ出力する。この乗算器34によるフィルタリングにより、遅延プロファイルh(n)から雑音成分が除去される。なお、フィルタ制御部37から供給されるフィルタの通過範囲の詳細については後述する。
【0029】
次いで、補間部35がフィルタ通過後の遅延プロファイルをデータの系列長Ndに適合させるために、データの系列長Ndに不足する時間領域を0で補間する。次いで、DFT部36がこの補間後の遅延プロファイルを逆離散フーリエ変換して周波数領域における伝送路特性推定値HNE−I(f)を出力する。この伝送路特性推定値HNE−I(f)は、上記図1の等化部25へ出力され、等化部25において受信データの周波数領域等化に使用される。
【0030】
次に、上述した遅延プロファイルh(n)から雑音成分を除去するためのフィルタの通過範囲について詳細に説明する。
先行波のパスタイミングに対してシンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換のサンプリング時間単位で到来する遅延波のみである場合には、CPの系列長NCPが最大伝送遅延時間より長い時間に対応する長さであることから、遅延プロファイルh(n)において、遅延波に対応する応答成分がCPの系列長NCPの時間範囲内に収まる。したがって、フィルタリングによりCPの系列長NCP内の成分のみを通過させても問題はない。
【0031】
しかし、先行波のパスタイミングに対して非シンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位で到来する遅延波がある場合には、遅延プロファイルh(n)において、当該遅延波に対応する応答時間の幅がシンボル時間単位で遅延する場合に比して大きくなる。このため、CPの系列長NCPの時間と同じ程度の遅延時間をもって到来する遅延波がある場合において、その遅延時間が非シンボル時間単位であるときは、遅延プロファイルh(n)において、当該遅延波に対応する応答成分がCPの系列長NCPの時間を超えて出現することがある。
【0032】
したがって、従来のようにフィルタリングによりCPの系列長NCP内の成分のみを通過させると、遅延プロファイルh(n)からCPの系列長NCPの範囲外の時間領域にある雑音成分が除去されるだけでなく、CPの系列長NCPの時間を超えて出現する応答成分までもが除去されてしまう。この結果、得られた伝送路特性推定値は精度不十分なものなので、当該伝送路特性推定値により伝送路等化が行われた受信データはその品質が低下することとなる。
【0033】
このような知見に基づき、本実施形態においては、遅延プロファイルh(n)から雑音成分を除去するためのフィルタの通過範囲を、遅延プロファイルh(n)の先頭からCPの系列長NCPの時間以上の範囲(第1の通過範囲)を含むようにする。これにより、CPの系列長NCPの時間と同じ程度の遅延時間をもって到来する遅延波がある場合においてその遅延時間が非シンボル時間単位であっても、当該遅延波に対応する応答成分が保存されるので、伝送路特性推定値の精度が劣化することはなくなる。
【0034】
また、先行波のパスタイミングに対して非常に短い遅延をもって到来する遅延波がある場合において、その遅延時間が非シンボル時間単位であるときは、遅延プロファイルh(n)において、当該遅延波に対応する応答成分が遅延プロファイルh(n)の末尾部分に出現することがある。これに対応するために、遅延プロファイルh(n)から雑音成分を除去するためのフィルタの通過範囲を、上記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルh(n)の末尾から所定時間溯った位置までの範囲(第2の通過範囲)をさらに含むようにするのがより好ましい。これにより、先行波のパスタイミングに対して非常に短い遅延をもって到来する遅延波がある場合においてその遅延時間が非シンボル時間単位であっても、当該遅延波に対応する応答成分が保存されるので、伝送路特性推定値の精度が劣化することはなくなる。
【0035】
図3は、上述した遅延プロファイルの雑音除去及び補間の具体例を示す図である。図3(a)には遅延プロファイルh(n)が示されている。図3(b)には雑音除去及び補間後の遅延プロファイルが示されている。図3において1サンプリング時間は1シンボル時間に対応している。この図3の例は、上記図7の伝送フレームが用いられた場合のものであり、パイロット信号の系列長Npが128シンボルであるので、図3(a)の遅延プロファイルh(n)は128シンボル分の長さを有している。また、CPの系列長NCPは32シンボルであり、データの系列長Ndは256シンボルである。
【0036】
図3(a)において、雑音除去用のフィルタの第1の通過範囲は、遅延プロファイルh(n)の先頭(n=0)から{(NCP+1)+Nf}までの範囲である。但し、Nfは、先行波に対する遅延波に対応する応答時間の幅の大きさに応じて設定される値である。
また、第2の通過範囲は、遅延プロファイルh(n)の末尾(n=256)からNbまで溯った範囲である。
上記Nf及びNbの値は例えば実測値に基づいて決定される。
【0037】
そして、雑音除去のためのフィルタリングにより図3(a)の遅延プロファイルh(n)から上記第1及び第2の通過範囲内にある成分が抽出される。次いで、それら抽出された成分を用いて、系列長Ndが256シンボルであるデータに適合する遅延プロファイルの作成が行われる。ここで、第1の通過範囲に対応する時間領域と第2の通過範囲に対応する時間領域に挟まれた時間領域(図3(b)の[Nd−{(NCP+1)+Nf+Nb}]で示された領域)については、遅延プロファイルの値が0で補間される。これにより、図3(b)に示される遅延プロファイルが得られる。
【0038】
上記した図3(a)の遅延プロファイルh(n)にはCPの系列長NCPの32シンボル時間を超えて出現する応答成分があるが、この応答成分が図3(b)の雑音除去及び補間後の遅延プロファイルにおいて保存されている。また、図3(a)の遅延プロファイルh(n)には末尾部分に応答成分が出現しているが、この応答成分が図3(b)の雑音除去及び補間後の遅延プロファイルにおいて保存されている。この結果、得られた伝送路特性推定値は良好なものとなり、伝送路等化後の受信データの品質が保たれる。
【0039】
なお、上記図2のフィルタ条件記憶部38には、例えば実測値に基づいて予め算出された上記Nf及びNbの値が、その算出条件(実測条件等)に対応付けて格納される。そして、フィルタ制御部37は、フィルタ条件記憶部38に格納されているNf及びNbの値の中から、制御入力される算出条件に対応するNf及びNbの値を選択して乗算器34へ出力するフィルタを構成する。
【0040】
図4及び図5は、本実施形態による受信機2の伝送路等化後の受信データについてのBER(Bit Error Rate)のEb/N0特性をシミュレーションした結果のグラフ図である。このシミュレーション条件は、等平均強度2パスレイリー環境下で遅延時間τSを変化させている。また、図7の伝送フレーム構成を用い、各パスのフェージングはフレーム間で独立、フレーム内で一定のレイリーフェージングを用いている。
また、従来技術との比較のために、従来の受信機200の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性をシミュレーションした結果のグラフを図9及び図10に示している。これら図9及び図10のシミュレーション条件は、上記図4及び図5のものと同じである。
【0041】
従来のBERのEb/N0特性では、図9に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である30.5シンボルの場合、すなわちCPの系列長NCPの時間と同じ程度の遅延時間をもって到来する遅延波であってその遅延時間が非シンボル時間単位の場合に、BERのEb/N0特性が劣化している。また、図10に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である1.5シンボルの場合、すなわち先行波のパスタイミングに対して非常に短い遅延をもって到来する遅延波であってその遅延時間が非シンボル時間単位の場合に、BERのEb/N0特性が劣化している。
【0042】
しかしながら、本実施形態によるシミュレーション結果では、上述した第1の通過範囲のフィルタリングにより、図4に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である30.5シンボルの場合において、BERのEb/N0特性は劣化せず、良好である。また、上述した第2の通過範囲のフィルタリングにより、図5に示されるように、遅延時間τSが非シンボル時間単位である1.5シンボルの場合において、BERのEb/N0特性は劣化せず、良好である。
【0043】
上述したように本実施形態によれば、先行波に対する遅延波の遅延時間が非シンボル時間単位、すなわち離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位となるような無線通信環境に対応して伝送路特性推定値の精度を安定させることができ、受信データの品質向上を図ることが可能となる。この結果、無線通信システムの信頼性が向上する。
【0044】
なお、図1及び図2に示される受信機2は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この受信機2はメモリおよびDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などの演算処理装置により構成され、受信機2の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0045】
また、図1及び図2に示す受信機2が行う各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより周波数領域等化方式による受信処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0046】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0047】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態においては、図7に示されるように伝送フレーム内のパイロット信号と送信データの双方に対してCPを付加したが、パイロット信号又は送信データのいずれかのみにCPを付加するようにしてもよい。或いは、CPを全く付加しない構成であってもよいが、伝送路等化の精度向上の観点から、パイロット信号又は送信データのいずれかにCPを付加することが好ましい。さらに好ましくはパイロット信号と送信データの双方に対してCPを付加するのがよい。
【0048】
なお、上述した実施形態においては、SC−FDE方式の無線通信システムに適用したが、周波数領域等化方式を用いる他の無線通信システムにも同様に適用することができる。
【0049】
また、本発明の受信機は、携帯電話や自動車電話などの移動通信サービスシステム、その他各種の無線通信サービスシステムに適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、先行波に対する遅延波の遅延時間が離散フーリエ変換の非サンプリング時間単位となるような無線通信環境に対応して伝送路特性推定値の精度を安定させることができ、受信データの品質向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による受信機2を備えたSC−FDE方式の無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す伝送路推定部24の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による遅延プロファイルの雑音除去及び補間の具体例を示す図である。
【図4】図1に示す受信機2の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第1のシミュレーション結果である。
【図5】図1に示す受信機2の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第2のシミュレーション結果である。
【図6】SC−FDE方式の従来の無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】CP付きの送信信号の伝送フレームの構成例を示す図である。
【図8】図6に示す従来の伝送路推定部240の構成を示すブロック図である。
【図9】図6に示す従来の受信機200の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第1のシミュレーション結果である。
【図10】図6に示す従来の受信機200の伝送路等化後の受信データについてのBERのEb/N0特性の第2のシミュレーション結果である。
【符号の説明】
2…受信機、21…アンテナ、22…CP除去部、23…選択部、24…伝送路推定部、25…等化部、31…離散フーリエ変換(DFT)部(遅延プロファイル算出手段)、32…乗算器(遅延プロファイル算出手段)、33…逆離散フーリエ変換(IDFT)部(遅延プロファイル算出手段)、34…乗算器(フィルタリング手段)、35…補間部、36…離散フーリエ変換(DFT)部、37…フィルタ制御部、38…フィルタ条件記憶部
Claims (10)
- 既知信号及び送信データを格納する伝送フレームを用いて送信機から送信された信号を受信し、周波数領域で伝送路特性を推定して前記受信信号を伝送路等化する受信機において、
前記既知信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る遅延プロファイル算出手段と、
前記遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去するフィルタリング手段と、
前記フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して前記伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る離散フーリエ変換手段と、
前記フィルタ通過範囲を制御するフィルタ制御手段とを備え、
前記フィルタ通過範囲は、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含む
ことを特徴とする受信機。 - 前記フィルタ通過範囲は、前記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルの末尾から所定時間溯った位置までの第2の通過範囲をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の受信機。
- 前記送信機から送信される信号の伝送遅延時間に応じたフィルタ通過範囲を予め複数格納するフィルタ条件記憶手段を備え、
前記フィルタ制御手段は、前記フィルタ条件記憶手段に格納されているフィルタ通過範囲の中から、制御入力に対応する所定のフィルタ通過範囲を選択する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の受信機。 - 前記フィルタリング後の遅延プロファイルに対して、前記送信データの長さに不足する時間領域をゼロで補間する補間手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの項に記載の受信機。
- 前記伝送フレーム内において、既知信号領域の先頭に前記既知信号の末尾部分が複写されているか、又は、送信データ領域の先頭に前記送信データの末尾部分が複写されているか、又は、前記既知信号に係る複写及び前記送信データに係る複写の双方が行われていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの項に記載の受信機。
- 前記複写部分の長さは、前記最大伝送遅延時間に対応する長さ以上であることを特徴とする請求項5に記載の受信機。
- 既知信号及び送信データを格納する伝送フレームを用いて送信機から送信された信号を受信し、周波数領域で伝送路特性を推定して前記受信信号を伝送路等化する受信機における伝送特性推定処理を行うためのコンピュータプログラムであって、
前記既知信号に基づいて離散フーリエ変換により周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定結果を逆離散フーリエ変換により時間領域に変換して遅延プロファイルを得る機能と、
前記遅延プロファイルからフィルタ通過範囲外の時間領域にある成分を除去する機能と、
前記フィルタリング後の遅延プロファイルを離散フーリエ変換により周波数領域に変換して前記伝送路等化に使用される伝送路特性推定値を得る機能と、
前記フィルタ通過範囲を、遅延プロファイルの先頭から最大伝送遅延時間以上の第1の通過範囲を含むように制御する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 前記フィルタ通過範囲として、前記第1の通過範囲に加えて、遅延プロファイルの末尾から所定時間溯った位置までの第2の通過範囲をさらに含むように制御する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータプログラム。
- 前記フィルタ通過範囲の制御時において、前記送信機から送信される信号の伝送遅延時間に応じた前記フィルタ通過範囲が予め複数格納された記憶手段から、制御入力に対応する所定の前記フィルタ通過範囲を選択することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のコンピュータプログラム。
- 前記フィルタリング後の遅延プロファイルに対して、前記送信データの長さに不足する時間領域をゼロで補間する機能をコンピュータに実現させることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかの項に記載のコンピュータプログラム。
Priority Applications (1)
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JP2003195199A JP2005033429A (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | 受信機、コンピュータプログラム |
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JP (1) | JP2005033429A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010268044A (ja) * | 2009-05-12 | 2010-11-25 | Fujitsu Ltd | 受信装置 |
JP2013509753A (ja) * | 2009-10-28 | 2013-03-14 | 中▲興▼通▲訊▼股▲ふん▼有限公司 | マルチアンテナシステムにおけるチャネル推定方法及びその装置 |
CN108321821A (zh) * | 2018-02-12 | 2018-07-24 | 山东大学 | 基于sod-irk的时滞电力***稳定性判别方法 |
-
2003
- 2003-07-10 JP JP2003195199A patent/JP2005033429A/ja not_active Withdrawn
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