JP2005023950A - プッシュオープンヒンジ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】折畳式携帯電話機を開くためのボタン操作力を小さくして、オープン操作を容易にしても、確実に閉じられるようにする。
【解決手段】トーションスプリング11の固定端を、操作部筐体に固定する。作用端を、表示部筐体に固定されたホルダ6の溝部に係止する。操作部筐体を閉じる直前の位置で、トーションスプリング11の作用端がバネ受部7の溝部に落ち、ホルダ6にはトルクがかからなくなる。この状態で可動カム5の突起部を固定カム2のカム溝に係合させて、表示部筐体を閉じる。開くときは、可動カム5が離れる直前に、トーションスプリング11の作用端が、バネ受部7の溝部からホルダ6の溝部に戻り、ホルダ6にトルクがかかって、表示部筐体が開く。閉じた状態での可動カム5にはトルクがかかっていないので、固定カム2と可動カム5の係合力は弱くてもよく、解除のためにボタン1を押す力も小さくなる。
【選択図】 図1
【解決手段】トーションスプリング11の固定端を、操作部筐体に固定する。作用端を、表示部筐体に固定されたホルダ6の溝部に係止する。操作部筐体を閉じる直前の位置で、トーションスプリング11の作用端がバネ受部7の溝部に落ち、ホルダ6にはトルクがかからなくなる。この状態で可動カム5の突起部を固定カム2のカム溝に係合させて、表示部筐体を閉じる。開くときは、可動カム5が離れる直前に、トーションスプリング11の作用端が、バネ受部7の溝部からホルダ6の溝部に戻り、ホルダ6にトルクがかかって、表示部筐体が開く。閉じた状態での可動カム5にはトルクがかかっていないので、固定カム2と可動カム5の係合力は弱くてもよく、解除のためにボタン1を押す力も小さくなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プッシュオープンヒンジ装置に関し、特に、折り畳まれた筐体をボタン操作によりワンタッチで開くことができる携帯電話機のプッシュオープンヒンジ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
折畳式携帯電話機は、図6に示すように、表示部筐体18と操作部筐体19を、ヒンジ機構20で開閉自在に結合してある。通話時などには、ヒンジ機構のオープンボタンを押す操作によりワンタッチで開くことができ、使用後には両筐体を折り畳むようになっている。開き方向のトルクに抗して表示部筐体を折り畳むと、固定カムの突起部と回転カムの溝部が、圧縮スプリングの弾力によって押し付けられながら係合するので、表示部筐体と操作部筐体は、折り畳まれた状態でロックされる。
【0003】
オープンボタンを押すと、シャフトが圧縮スプリングに抗してヒンジ軸方向内側に移動するので、シャフトが回転カムを押し、固定カムの突起部から回転カムの溝部が外れる。トーションスプリングの開き方向のトルクによって、表示部筐体が回転して開く。表示部筐体が所定の角度まで開くと、固定カムの突起部と回転カムの溝部が、圧縮スプリングによって押し付けられながら係合するので、表示部筐体が開いた状態でロックされる。
【0004】
トーションスプリングを利用したプッシュオープンヒンジ装置では、全開状態から全閉状態に折り畳むと、固定カムと回転カムが開き方向のトルクを上回る力で係合するので、トーションスプリングの開き方向のトルクは封じられ、表示部筐体が閉じた状態でロックされる。オープンボタンを押すことにより、固定カムと回転カムの係合が解除され、トーションスプリングの開き方向のトルクにより、全開位置または中間停止位置まで、表示部筐体が開く。以下に、従来のプッシュオープンヒンジ装置の具体例をいくつか示す。
【0005】
特許文献1に開示された「ポップアップヒンジ」は、展開係止手段と折畳係止手段とを同一部材で兼用して小型化し、部品点数や組立工数を削減したものである。図7(a)に示すように、ポップアップヒンジの展開係止手段と折畳係止手段は、シリンダと、シリンダ内に収納されているカムから構成されている。シリンダ内にはカム溝が形成されている。カムは、開き方向のトルクを発生するトーションスプリングの軸方向の弾性力により、常にシリンダ内面側に押されている。トーションスプリングのトルクにより、ヒンジで結合している表示部筐体と操作部筐体が開く方向に、常に力が働いている。
【0006】
特許文献2に開示された「ヒンジユニット」は、折り畳み可能な機器の開閉機構に用いるヒンジユニットであり、ワンタッチで開くことができ、動作が確実で長寿命なものである。ヒンジユニットを装着した機器を、開いた状態から閉じる方向に回転させると、図7(b)に示すように、コイルスプリングが捻られて、開く方向のトルクが発生する。機器が閉じた位置では、コイルスプリングの軸方向の弾性力により、ロック機構の突起と溝が相互に嵌り込み、閉じた状態が安定に維持される。ボタンを押すとロックが解除され、コイルスプリングによる開く方向のトルクにより機器が開く。ロック機構の突起部同志が当接することによって、開いた状態が安定に維持される。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−161336号公報
【特許文献2】
特開2001−223479号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のプッシュオープンヒンジ装置では、閉じた状態におけるカムの係合力を強くしなければ、トーションスプリングのトルクに打ち勝つことができない。確実に閉じようとすると、カムの係合力を十分に強くする必要がある。その結果、カムの係合を解除するために強い力が必要になり、ボタンを押す力を強くすることになって、ボタン操作の容易性が犠牲となる。ボタン操作力が弱くてもよいようにすると、確実な閉止ができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決して、ボタン操作力を弱くして操作を容易にしても、折畳式電話機を確実に閉じられるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、第1筐体と連動して回転する可動カムと、第2筐体に固定され可動カムに係合する固定カムと、固定カムと可動カムの係合を解除する手段とを具備するプッシュオープンヒンジ装置に、トーションスプリングと、トーションスプリングの固定端を第2筐体に固定する手段と、トーションスプリングの作用端を係合する溝部を有し第1筐体に固定されたホルダと、溝部を有しホルダに内接して第2筐体に固定されたバネ受部とを備え、第1筐体と第2筐体の全開状態から全閉直前までの状態においては、トーションスプリングの作用端はホルダの溝部に係合し、第1筐体と第2筐体の全閉直前の状態から全閉状態においては、トーションスプリングの作用端はバネ受部の溝部に係合する構成とした。このように構成したことにより、全閉位置の直前でトーションスプリングのトルクを封止でき、固定カムと可動カムとの係合力を小さくしても、確実な閉止が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、トーションスプリングの固定端を、操作部筐体に固定し、作用端を、表示部筐体に固定されたホルダの溝部に係止し、操作部筐体を閉じる直前の位置で、トーションスプリングの作用端をバネ受け部の溝部に落としてホルダにトルクがかからなくし、カムを係合させて、表示部筐体を閉じ、カムが離脱した位置で、トーションスプリングの作用端を、バネ受け部の溝部からホルダの溝部に戻し、ホルダにトルクをかけて、表示部筐体を開くようにした携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置である。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図である。図1(a)は、プッシュオープンヒンジ装置の前面分解斜視図である。図1(b)は、プッシュオープンヒンジ装置の裏面分解斜視図である。図1において、ボタン1は、筐体を開くための押しボタンである。固定カム2は、操作部筐体に固定されるカムである。ほぼ円筒形で、外周の突起と溝により、機器本体に固定される。開口側端面(図1(a)右側)には開口があり、開口周囲の端面にカム面がある。カム面には、全開閉用のカム溝と中間位置用のカム溝がある。カム溝以外の面は斜面部となっている。底面(図1(a)左側)には、シャフト3を通してEリング9で固定する穴がある。シャフト3は、両端に平坦部があり、回転しないように固定カム2に固定される。プランジャー4は、固定カム2の底面の穴を貫通して、ボタン1に取り付けられる。可動カム5は、シャフト3が貫通して回転可能に取り付けられている。第1圧縮スプリング12により固定カム2へ押し付けられ、固定カム2のカム溝に係合する。ボタン1の押下により、プランジャー4に押され、軸方向に移動し、固定カム2との係合が離脱する。プランジャー4と可動カム5の間には、第2圧縮スプリング17が設けられており、プランジャー4を固定カム2に押し付けている。
【0014】
ホルダ6は、表示部筐体に固定される部材である。シャフト3が貫通して、可動カム5と係合して、ともに回転する。バネ受部とストッパとEリング10で規制されて、軸方向へは移動しない。バネ受部7は、トーションスプリング11の作用端と係合して、トルクを封止する部材である。シャフト3に回転を規制され、ストッパ8とEリング10で、軸方向の動きも規制される。ストッパ8は、バネ受部7などの部材を軸方向に動かないように固定する部材である。シャフト3に回転を規制されて取り付けられている。Eリング9は、シャフト3の一端を固定カム2の底面で固定する部材である。Eリング10は、シャフト3の他端をストッパ8の底面で固定する部材である。
【0015】
可動カム5とホルダ6の間に設けられている第1圧縮スプリング12は、可動カム5を固定カム2に押し付け、可動カム5の突起部を固定カム2のカム溝に係合させる。バネ受部7とストッパ8の間に、トーションスプリング11が設けられている。トーションスプリング11の固定端は、ストッパ8に固定されている。トーションスプリング11の作用端は、ホルダ6に係止されている。ホルダ6が固定されている表示部筐体が開く方向に回転するようにトルクを発生する。表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ20°になるところまで閉じられると、作用端がホルダ6から抜けて、バネ受部7の溝に落ち込み、トルクが封止される。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の断面図である。図2において、トーションスプリング11は、可動カムを介して表示部筐体に開き方向のトルクをかけるねじりバネである。第1圧縮スプリング12は、可動カムを固定カムに押し付けるためのバネである。第2圧縮スプリング17は、プランジャーを固定カムに押し付けるためのバネである。図3は、プッシュオープンヒンジ装置の可動カムの動作説明図である。円周方向を直線に展開して示してある。図4は、プッシュオープンヒンジ装置のトーションスプリングの動作説明図である。円周方向を直線に展開して示してある。図4において、作用端13は、トーションスプリング11の作用端である。溝14は、ホルダ6の溝である。溝15は、バネ受部7の溝である。
【0017】
上記のように構成された本発明の第1の実施の形態における携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置の動作を説明する。最初に、図1と図2と図3を参照しながら、プッシュオープンヒンジ装置の機能の概要を説明する。可動カム5は、第1圧縮スプリング12の弾性力により、固定カム2に常に押し付けられている。全開位置(表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ165°の位置)では、図2(d)に示すように、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝に嵌っている。このとき、図3(d)に示すように、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝の斜面を押し付けながら止まっている。表示部筐体は、操作部筐体に当たって限界まで開いているので、操作部筐体による抵抗力とカム溝の斜面の抵抗力が釣り合って、ガタの無い状態で安定して全開状態を保持している。
【0018】
表示部筐体と操作部筐体を閉じる方向に力を加えると、可動カム5の突起部が、固定カム2のカム溝の斜面を押す力が大きくなり、第1圧縮スプリング12の弾性力に打ち勝って、可動カム5の突起部がカム溝から離脱する。図3(c)に示すように、突起部は、固定カム2の全開位置用のカム溝から離脱すると、隣り合った中間位置用のカム溝に嵌り始めるので、表示部筐体は抵抗無く閉じられていく。表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ125°になると、可動カム5の突起部は、固定カム2の中間位置用のカム溝に完全に嵌るので、図3(c)に示すように、表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ125°で安定して止まる。ただし、表示部筐体と操作部筐体が当たっていないので、可動カム5とホルダ6がスプライン結合していることによる多少のガタは残る。この状態は、図2(a)に類似の状態であり、図2では違いを示せないので、図3(c)にのみ示してある。
【0019】
さらに、表示部筐体と操作部筐体を閉じる方向に力を加えると、第1圧縮スプリングの弾性力に打ち勝って、可動カム5の突起部が固定カム2のカム溝の斜面から離脱する。図3(b)に示すように、可動カム5の突起部は、さらに固定カム2の斜面を登りながら動くことになるので、表示部筐体はほぼ125°の中間停止位置に戻ろうとする力に抵抗して閉じられていくこととなる。表示部筐体と操作部筐体の開き角度が、ほぼ20°になると、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝に嵌る。このとき、トーションスプリング11の作用端は、ホルダ6の溝から抜けて、バネ受部7の溝に落ち、ホルダ6は、トーションスプリング11のトルクを受けなくなる。したがって、表示部筐体には、トーションスプリング11による開き方向の回転モーメントが無くなる。この動作の詳細は後述する。
【0020】
第1圧縮スプリング12の弾性力で、可動カム5の突起部が、固定カム2のカム溝に落ち込む際に、カム溝の斜面から受ける力で、表示部筐体は全閉状態まで閉じられる。このときも、図2(a)と図3(a)に示すように、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝の斜面を押し付けながら止まっている。表示部筐体は、操作部筐体に当たって限界まで閉じているので、操作部筐体による抵抗力とカム溝の斜面の抵抗力が釣り合って、ガタの無い状態で安定して全閉状態を保持している。全閉時は、トーションスプリング11のトルクが、全閉の直前20°の位置で封止されるので、第1圧縮スプリング12と可動カム5による全閉時の閉方向への引き込み力は、トーションスプリング11で相殺されることがなく、第1圧縮スプリング12の弾性力が弱くても、安定して閉状態を保持できる。
【0021】
表示部筐体と操作部筐体が全閉状態のとき、ボタン1を押すと、図2(b)に示すように、プランジャー4の突起部の斜面が可動カム5の突起部を押し、可動カム5の突起部を回転させながら固定カム2のカム溝から押し出す。単に、可動カム5を軸方向に押すと、トーションスプリング11のトルクがホルダ6にかからず、開くことができないからである。第1圧縮スプリング12の弾性力は弱いので、ボタン1を押す力は弱くてもよく、操作性がよい。突起部がカム溝から出る直前に、トーションスプリング11の作用端が、バネ受部7のカム溝から出て、ホルダ6のカム溝に落ち込むので、ホルダ6は、トーションスプリング11のトルクを再び受けるようになる。したがって、表示部筐体には、トーションスプリング11による開き方向の回転モーメントが加わって、開き始める。
【0022】
表示部筐体がほぼ125°まで開くと、可動カム5の突起部がプランジャー4の突起部に阻止されて、回転が止まる。ボタン1を戻すと、可動カム5の突起部が固定カム2の中間位置用のカム溝に嵌り、表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ125°で安定して止まる。この状態では、トーションスプリング11のトルクは小さいので、第1圧縮スプリング12の弾性力は弱くても、安定に保持できる。ボタン1をすぐに戻した場合も同様である。表示部筐体がほぼ125°まで開いた状態で、再びボタン1を押すと、プランジャー4が可動カム5を押し、トーションスプリング11のトルクと表示部筐体の重量によって、突起部を固定カム2の中間位置用のカム溝から押し出し、表示部筐体は全開状態になる。
【0023】
次に、図4を参照しながら、トーションスプリング11のトルク封止動作を説明する。図4(a)に示すように、表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°より大きい場合は、ホルダ6の溝14の中に、トーションスプリング11の作用端13が入っている。トーションスプリング11のトルクは、図4の右方向にかかっている。ホルダ6が回転して、表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°に近くなると、図4(b)、(c)に示す状態になる。表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°になると、作用端13は、溝14と溝15の中間に来て、図4(d)に示す状態になる。表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°より小さくなると、作用端13は、バネ受部7の溝15に落ちて、図4(e)、(f)に示す状態になる。この状態では、トーションスプリング11のトルクは、バネ受部7が受けるので、ホルダ6にトルクはかからない。全閉状態では、図4(g)に示す状態になる。
【0024】
表示部筐体と操作部筐体が全閉状態から開く際には、図4(g)に示す状態から、図4(c)に示す状態まで、ボタン1または手の力で遷移させると、トーションスプリング11のトルクがホルダ6にかかるようになり、表示部筐体と操作部筐体が自動的に開く。
【0025】
表示部筐体にホルダを固定し、操作部筐体に固定カムを固定する例を説明したが、表示部筐体に固定カムを固定し、操作部筐体にホルダを固定してもよい。
【0026】
上記のように、本発明の第1の実施の形態では、携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置を、トーションスプリングの固定端を、操作部筐体に固定し、作用端を、表示部筐体に固定されたホルダの溝部に係止し、操作部筐体を閉じる直前の位置で、トーションスプリングの作用端をバネ受け部の溝部に落としてホルダにトルクがかからなくし、カムを係合させて、表示部筐体を閉じ、カムが離脱した位置で、トーションスプリングの作用端を、バネ受部の溝部からホルダの溝部に戻し、ホルダにトルクをかけて、表示部筐体を開くように構成したので、カム係合力を弱くしてボタン操作を容易にして、折畳式電話機を確実に閉じることができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、解除カムが螺旋状に動いて可動カムを押して、全開状態まで開く携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置である。
【0028】
図5は、本発明の第2の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図である。図5(a)は、プッシュオープンヒンジ装置の前面分解斜視図である。図5(b)は、プッシュオープンヒンジ装置の裏面分解斜視図である。第2の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じである。解除カムを備える点が、第1の実施の形態と異なる。図5において、固定カム2は、開口部内周に螺旋状の溝を有する。解除カム16は、プランジャーに押されて可動カム5を押し、カムの係合を解除する部材である。解除カムと可動カムの間には、第2圧縮スプリング17が設けられている。第2圧縮スプリング17は、解除カムとプランジャーを、固定カムへ押し付ける。
【0029】
上記のように構成された本発明の第2の実施の形態における携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置の動作を説明する。プッシュオープンヒンジ装置の機能の概要は、第1の実施の形態と同じである。解除カム16の動作のみを説明する。第2圧縮スプリングは、解除カム16とプランジャー4を、固定カム2へ押し付ける。可動カム5は、第1圧縮スプリング12により固定カム2へ押し付けられ、可動カム5の突起部は、固定カム5の平面部に当接するか、カム溝に係合する。ボタン1を押すと、可動カム5は、プランジャー4と解除カム16に押され、軸方向に移動し、固定カム2と離れる。解除カム16は、固定カム2の開口部内周に沿って回転しながら、軸方向に螺旋状に動く。ボタン1を押し切った状態を続けると、全閉位置から全開位置まで止まることなく開く。これを、ボタン押し切り動作という。ボタン1を押して、すぐにボタン1を離すと、可動カム5は、プランジャー4と解除カム16に押されて、軸方向に移動するので、可動カム5の突起部が固定カム2のカム溝から離れ、中間位置用のカム溝に嵌る。したがって、中間停止位置まで開いて停止し、その状態が保持される。これを、ワンプッシュ動作という。
【0030】
解除カム16を、固定カム2の内部で螺旋運動させることで、開き角度が165°程度になった状態で、可動カム5の突起部が解除カム16の突起部の背面へ衝突して、表示部筐体の開きが中断される現象を防ぐことができる。螺旋の角度を、軸方向に対して鋭角とすることで、ボタン1を押すのに必要な力を弱くすることができる。すなわち、可動カム5の突起部を固定カム2のカム溝から離脱させる際に、軸方向に近い小さい角度の方向に離脱させることで、ボタン1を押すための操作力を弱くすることができる。
【0031】
ボタン1を押すと、軸方向に近い小さい角度で動く解除カム16によって、全閉位置から全閉直前位置のトーションスプリング11のトルク封止位置まで、可動カム5が強制的に押し戻される。トーションスプリング11のトルク封止位置を越えると、トーションスプリング11のトルクがホルダ6にかかり、表示部筐体が自動的に開く。
【0032】
上記のように、本発明の第2の実施の形態では、携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置を、解除カムが、螺旋状に動いて可動カムを押して、全開状態まで開く構成としたので、ボタンを1回押すだけで全開させることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明では、第1筐体と連動して回転する可動カムと、第2筐体に固定され可動カムに係合する固定カムと、固定カムと可動カムの係合を解除する手段とを具備するプッシュオープンヒンジ装置に、トーションスプリングと、トーションスプリングの固定端を第2筐体に固定する手段と、トーションスプリングの作用端を係合する溝部を有し第1筐体に固定されたホルダと、溝部を有しホルダに内接して第2筐体に固定されたバネ受部とを備え、第1筐体と第2筐体の全開状態から全閉直前までの状態においては、トーションスプリングの作用端はホルダの溝部に係合し、第1筐体と第2筐体の全閉直前の状態から全閉状態においては、トーションスプリングの作用端はバネ受部の溝部に係合する構成としたので、全閉位置の直前でトーションスプリングのトルクを封止でき、カム係合力を小さくしても確実な閉止が可能となり、ボタン操作力を小さくすることも可能となる。
【0034】
また、固定カムの内側に螺旋状の溝を設け、螺旋状の溝に沿って動く解除カムにより可動カムを押す手段を備えたので、ボタンを1回押すだけで全開させることができ、ボタン操作力をさらに小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図、
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の断面図、
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の可動カムの動作説明図、
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置のトーションスプリングの動作説明図、
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図、
【図6】従来のプッシュオープンヒンジ装置を備えた携帯電話の斜視図、
【図7】従来のプッシュオープンヒンジ装置の概念図である。
【符号の説明】
1 ボタン
2 固定カム
3 シャフト
4 プランジャー
5 可動カム
6 ホルダ
7 バネ受部
8 ストッパ
9 Eリング
10 Eリング
11 トーションスプリング
12 第1圧縮スプリング
13 作用端
14 溝
15 溝
16 解除カム
17 第2圧縮スプリング
18 表示部筐体
19 操作部筐体
20 ヒンジ機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、プッシュオープンヒンジ装置に関し、特に、折り畳まれた筐体をボタン操作によりワンタッチで開くことができる携帯電話機のプッシュオープンヒンジ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
折畳式携帯電話機は、図6に示すように、表示部筐体18と操作部筐体19を、ヒンジ機構20で開閉自在に結合してある。通話時などには、ヒンジ機構のオープンボタンを押す操作によりワンタッチで開くことができ、使用後には両筐体を折り畳むようになっている。開き方向のトルクに抗して表示部筐体を折り畳むと、固定カムの突起部と回転カムの溝部が、圧縮スプリングの弾力によって押し付けられながら係合するので、表示部筐体と操作部筐体は、折り畳まれた状態でロックされる。
【0003】
オープンボタンを押すと、シャフトが圧縮スプリングに抗してヒンジ軸方向内側に移動するので、シャフトが回転カムを押し、固定カムの突起部から回転カムの溝部が外れる。トーションスプリングの開き方向のトルクによって、表示部筐体が回転して開く。表示部筐体が所定の角度まで開くと、固定カムの突起部と回転カムの溝部が、圧縮スプリングによって押し付けられながら係合するので、表示部筐体が開いた状態でロックされる。
【0004】
トーションスプリングを利用したプッシュオープンヒンジ装置では、全開状態から全閉状態に折り畳むと、固定カムと回転カムが開き方向のトルクを上回る力で係合するので、トーションスプリングの開き方向のトルクは封じられ、表示部筐体が閉じた状態でロックされる。オープンボタンを押すことにより、固定カムと回転カムの係合が解除され、トーションスプリングの開き方向のトルクにより、全開位置または中間停止位置まで、表示部筐体が開く。以下に、従来のプッシュオープンヒンジ装置の具体例をいくつか示す。
【0005】
特許文献1に開示された「ポップアップヒンジ」は、展開係止手段と折畳係止手段とを同一部材で兼用して小型化し、部品点数や組立工数を削減したものである。図7(a)に示すように、ポップアップヒンジの展開係止手段と折畳係止手段は、シリンダと、シリンダ内に収納されているカムから構成されている。シリンダ内にはカム溝が形成されている。カムは、開き方向のトルクを発生するトーションスプリングの軸方向の弾性力により、常にシリンダ内面側に押されている。トーションスプリングのトルクにより、ヒンジで結合している表示部筐体と操作部筐体が開く方向に、常に力が働いている。
【0006】
特許文献2に開示された「ヒンジユニット」は、折り畳み可能な機器の開閉機構に用いるヒンジユニットであり、ワンタッチで開くことができ、動作が確実で長寿命なものである。ヒンジユニットを装着した機器を、開いた状態から閉じる方向に回転させると、図7(b)に示すように、コイルスプリングが捻られて、開く方向のトルクが発生する。機器が閉じた位置では、コイルスプリングの軸方向の弾性力により、ロック機構の突起と溝が相互に嵌り込み、閉じた状態が安定に維持される。ボタンを押すとロックが解除され、コイルスプリングによる開く方向のトルクにより機器が開く。ロック機構の突起部同志が当接することによって、開いた状態が安定に維持される。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−161336号公報
【特許文献2】
特開2001−223479号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のプッシュオープンヒンジ装置では、閉じた状態におけるカムの係合力を強くしなければ、トーションスプリングのトルクに打ち勝つことができない。確実に閉じようとすると、カムの係合力を十分に強くする必要がある。その結果、カムの係合を解除するために強い力が必要になり、ボタンを押す力を強くすることになって、ボタン操作の容易性が犠牲となる。ボタン操作力が弱くてもよいようにすると、確実な閉止ができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決して、ボタン操作力を弱くして操作を容易にしても、折畳式電話機を確実に閉じられるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、第1筐体と連動して回転する可動カムと、第2筐体に固定され可動カムに係合する固定カムと、固定カムと可動カムの係合を解除する手段とを具備するプッシュオープンヒンジ装置に、トーションスプリングと、トーションスプリングの固定端を第2筐体に固定する手段と、トーションスプリングの作用端を係合する溝部を有し第1筐体に固定されたホルダと、溝部を有しホルダに内接して第2筐体に固定されたバネ受部とを備え、第1筐体と第2筐体の全開状態から全閉直前までの状態においては、トーションスプリングの作用端はホルダの溝部に係合し、第1筐体と第2筐体の全閉直前の状態から全閉状態においては、トーションスプリングの作用端はバネ受部の溝部に係合する構成とした。このように構成したことにより、全閉位置の直前でトーションスプリングのトルクを封止でき、固定カムと可動カムとの係合力を小さくしても、確実な閉止が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、トーションスプリングの固定端を、操作部筐体に固定し、作用端を、表示部筐体に固定されたホルダの溝部に係止し、操作部筐体を閉じる直前の位置で、トーションスプリングの作用端をバネ受け部の溝部に落としてホルダにトルクがかからなくし、カムを係合させて、表示部筐体を閉じ、カムが離脱した位置で、トーションスプリングの作用端を、バネ受け部の溝部からホルダの溝部に戻し、ホルダにトルクをかけて、表示部筐体を開くようにした携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置である。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図である。図1(a)は、プッシュオープンヒンジ装置の前面分解斜視図である。図1(b)は、プッシュオープンヒンジ装置の裏面分解斜視図である。図1において、ボタン1は、筐体を開くための押しボタンである。固定カム2は、操作部筐体に固定されるカムである。ほぼ円筒形で、外周の突起と溝により、機器本体に固定される。開口側端面(図1(a)右側)には開口があり、開口周囲の端面にカム面がある。カム面には、全開閉用のカム溝と中間位置用のカム溝がある。カム溝以外の面は斜面部となっている。底面(図1(a)左側)には、シャフト3を通してEリング9で固定する穴がある。シャフト3は、両端に平坦部があり、回転しないように固定カム2に固定される。プランジャー4は、固定カム2の底面の穴を貫通して、ボタン1に取り付けられる。可動カム5は、シャフト3が貫通して回転可能に取り付けられている。第1圧縮スプリング12により固定カム2へ押し付けられ、固定カム2のカム溝に係合する。ボタン1の押下により、プランジャー4に押され、軸方向に移動し、固定カム2との係合が離脱する。プランジャー4と可動カム5の間には、第2圧縮スプリング17が設けられており、プランジャー4を固定カム2に押し付けている。
【0014】
ホルダ6は、表示部筐体に固定される部材である。シャフト3が貫通して、可動カム5と係合して、ともに回転する。バネ受部とストッパとEリング10で規制されて、軸方向へは移動しない。バネ受部7は、トーションスプリング11の作用端と係合して、トルクを封止する部材である。シャフト3に回転を規制され、ストッパ8とEリング10で、軸方向の動きも規制される。ストッパ8は、バネ受部7などの部材を軸方向に動かないように固定する部材である。シャフト3に回転を規制されて取り付けられている。Eリング9は、シャフト3の一端を固定カム2の底面で固定する部材である。Eリング10は、シャフト3の他端をストッパ8の底面で固定する部材である。
【0015】
可動カム5とホルダ6の間に設けられている第1圧縮スプリング12は、可動カム5を固定カム2に押し付け、可動カム5の突起部を固定カム2のカム溝に係合させる。バネ受部7とストッパ8の間に、トーションスプリング11が設けられている。トーションスプリング11の固定端は、ストッパ8に固定されている。トーションスプリング11の作用端は、ホルダ6に係止されている。ホルダ6が固定されている表示部筐体が開く方向に回転するようにトルクを発生する。表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ20°になるところまで閉じられると、作用端がホルダ6から抜けて、バネ受部7の溝に落ち込み、トルクが封止される。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の断面図である。図2において、トーションスプリング11は、可動カムを介して表示部筐体に開き方向のトルクをかけるねじりバネである。第1圧縮スプリング12は、可動カムを固定カムに押し付けるためのバネである。第2圧縮スプリング17は、プランジャーを固定カムに押し付けるためのバネである。図3は、プッシュオープンヒンジ装置の可動カムの動作説明図である。円周方向を直線に展開して示してある。図4は、プッシュオープンヒンジ装置のトーションスプリングの動作説明図である。円周方向を直線に展開して示してある。図4において、作用端13は、トーションスプリング11の作用端である。溝14は、ホルダ6の溝である。溝15は、バネ受部7の溝である。
【0017】
上記のように構成された本発明の第1の実施の形態における携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置の動作を説明する。最初に、図1と図2と図3を参照しながら、プッシュオープンヒンジ装置の機能の概要を説明する。可動カム5は、第1圧縮スプリング12の弾性力により、固定カム2に常に押し付けられている。全開位置(表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ165°の位置)では、図2(d)に示すように、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝に嵌っている。このとき、図3(d)に示すように、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝の斜面を押し付けながら止まっている。表示部筐体は、操作部筐体に当たって限界まで開いているので、操作部筐体による抵抗力とカム溝の斜面の抵抗力が釣り合って、ガタの無い状態で安定して全開状態を保持している。
【0018】
表示部筐体と操作部筐体を閉じる方向に力を加えると、可動カム5の突起部が、固定カム2のカム溝の斜面を押す力が大きくなり、第1圧縮スプリング12の弾性力に打ち勝って、可動カム5の突起部がカム溝から離脱する。図3(c)に示すように、突起部は、固定カム2の全開位置用のカム溝から離脱すると、隣り合った中間位置用のカム溝に嵌り始めるので、表示部筐体は抵抗無く閉じられていく。表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ125°になると、可動カム5の突起部は、固定カム2の中間位置用のカム溝に完全に嵌るので、図3(c)に示すように、表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ125°で安定して止まる。ただし、表示部筐体と操作部筐体が当たっていないので、可動カム5とホルダ6がスプライン結合していることによる多少のガタは残る。この状態は、図2(a)に類似の状態であり、図2では違いを示せないので、図3(c)にのみ示してある。
【0019】
さらに、表示部筐体と操作部筐体を閉じる方向に力を加えると、第1圧縮スプリングの弾性力に打ち勝って、可動カム5の突起部が固定カム2のカム溝の斜面から離脱する。図3(b)に示すように、可動カム5の突起部は、さらに固定カム2の斜面を登りながら動くことになるので、表示部筐体はほぼ125°の中間停止位置に戻ろうとする力に抵抗して閉じられていくこととなる。表示部筐体と操作部筐体の開き角度が、ほぼ20°になると、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝に嵌る。このとき、トーションスプリング11の作用端は、ホルダ6の溝から抜けて、バネ受部7の溝に落ち、ホルダ6は、トーションスプリング11のトルクを受けなくなる。したがって、表示部筐体には、トーションスプリング11による開き方向の回転モーメントが無くなる。この動作の詳細は後述する。
【0020】
第1圧縮スプリング12の弾性力で、可動カム5の突起部が、固定カム2のカム溝に落ち込む際に、カム溝の斜面から受ける力で、表示部筐体は全閉状態まで閉じられる。このときも、図2(a)と図3(a)に示すように、可動カム5の突起部は、固定カム2のカム溝の斜面を押し付けながら止まっている。表示部筐体は、操作部筐体に当たって限界まで閉じているので、操作部筐体による抵抗力とカム溝の斜面の抵抗力が釣り合って、ガタの無い状態で安定して全閉状態を保持している。全閉時は、トーションスプリング11のトルクが、全閉の直前20°の位置で封止されるので、第1圧縮スプリング12と可動カム5による全閉時の閉方向への引き込み力は、トーションスプリング11で相殺されることがなく、第1圧縮スプリング12の弾性力が弱くても、安定して閉状態を保持できる。
【0021】
表示部筐体と操作部筐体が全閉状態のとき、ボタン1を押すと、図2(b)に示すように、プランジャー4の突起部の斜面が可動カム5の突起部を押し、可動カム5の突起部を回転させながら固定カム2のカム溝から押し出す。単に、可動カム5を軸方向に押すと、トーションスプリング11のトルクがホルダ6にかからず、開くことができないからである。第1圧縮スプリング12の弾性力は弱いので、ボタン1を押す力は弱くてもよく、操作性がよい。突起部がカム溝から出る直前に、トーションスプリング11の作用端が、バネ受部7のカム溝から出て、ホルダ6のカム溝に落ち込むので、ホルダ6は、トーションスプリング11のトルクを再び受けるようになる。したがって、表示部筐体には、トーションスプリング11による開き方向の回転モーメントが加わって、開き始める。
【0022】
表示部筐体がほぼ125°まで開くと、可動カム5の突起部がプランジャー4の突起部に阻止されて、回転が止まる。ボタン1を戻すと、可動カム5の突起部が固定カム2の中間位置用のカム溝に嵌り、表示部筐体と操作部筐体の開き角度がほぼ125°で安定して止まる。この状態では、トーションスプリング11のトルクは小さいので、第1圧縮スプリング12の弾性力は弱くても、安定に保持できる。ボタン1をすぐに戻した場合も同様である。表示部筐体がほぼ125°まで開いた状態で、再びボタン1を押すと、プランジャー4が可動カム5を押し、トーションスプリング11のトルクと表示部筐体の重量によって、突起部を固定カム2の中間位置用のカム溝から押し出し、表示部筐体は全開状態になる。
【0023】
次に、図4を参照しながら、トーションスプリング11のトルク封止動作を説明する。図4(a)に示すように、表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°より大きい場合は、ホルダ6の溝14の中に、トーションスプリング11の作用端13が入っている。トーションスプリング11のトルクは、図4の右方向にかかっている。ホルダ6が回転して、表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°に近くなると、図4(b)、(c)に示す状態になる。表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°になると、作用端13は、溝14と溝15の中間に来て、図4(d)に示す状態になる。表示部筐体と操作部筐体の開き角度が20°より小さくなると、作用端13は、バネ受部7の溝15に落ちて、図4(e)、(f)に示す状態になる。この状態では、トーションスプリング11のトルクは、バネ受部7が受けるので、ホルダ6にトルクはかからない。全閉状態では、図4(g)に示す状態になる。
【0024】
表示部筐体と操作部筐体が全閉状態から開く際には、図4(g)に示す状態から、図4(c)に示す状態まで、ボタン1または手の力で遷移させると、トーションスプリング11のトルクがホルダ6にかかるようになり、表示部筐体と操作部筐体が自動的に開く。
【0025】
表示部筐体にホルダを固定し、操作部筐体に固定カムを固定する例を説明したが、表示部筐体に固定カムを固定し、操作部筐体にホルダを固定してもよい。
【0026】
上記のように、本発明の第1の実施の形態では、携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置を、トーションスプリングの固定端を、操作部筐体に固定し、作用端を、表示部筐体に固定されたホルダの溝部に係止し、操作部筐体を閉じる直前の位置で、トーションスプリングの作用端をバネ受け部の溝部に落としてホルダにトルクがかからなくし、カムを係合させて、表示部筐体を閉じ、カムが離脱した位置で、トーションスプリングの作用端を、バネ受部の溝部からホルダの溝部に戻し、ホルダにトルクをかけて、表示部筐体を開くように構成したので、カム係合力を弱くしてボタン操作を容易にして、折畳式電話機を確実に閉じることができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、解除カムが螺旋状に動いて可動カムを押して、全開状態まで開く携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置である。
【0028】
図5は、本発明の第2の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図である。図5(a)は、プッシュオープンヒンジ装置の前面分解斜視図である。図5(b)は、プッシュオープンヒンジ装置の裏面分解斜視図である。第2の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じである。解除カムを備える点が、第1の実施の形態と異なる。図5において、固定カム2は、開口部内周に螺旋状の溝を有する。解除カム16は、プランジャーに押されて可動カム5を押し、カムの係合を解除する部材である。解除カムと可動カムの間には、第2圧縮スプリング17が設けられている。第2圧縮スプリング17は、解除カムとプランジャーを、固定カムへ押し付ける。
【0029】
上記のように構成された本発明の第2の実施の形態における携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置の動作を説明する。プッシュオープンヒンジ装置の機能の概要は、第1の実施の形態と同じである。解除カム16の動作のみを説明する。第2圧縮スプリングは、解除カム16とプランジャー4を、固定カム2へ押し付ける。可動カム5は、第1圧縮スプリング12により固定カム2へ押し付けられ、可動カム5の突起部は、固定カム5の平面部に当接するか、カム溝に係合する。ボタン1を押すと、可動カム5は、プランジャー4と解除カム16に押され、軸方向に移動し、固定カム2と離れる。解除カム16は、固定カム2の開口部内周に沿って回転しながら、軸方向に螺旋状に動く。ボタン1を押し切った状態を続けると、全閉位置から全開位置まで止まることなく開く。これを、ボタン押し切り動作という。ボタン1を押して、すぐにボタン1を離すと、可動カム5は、プランジャー4と解除カム16に押されて、軸方向に移動するので、可動カム5の突起部が固定カム2のカム溝から離れ、中間位置用のカム溝に嵌る。したがって、中間停止位置まで開いて停止し、その状態が保持される。これを、ワンプッシュ動作という。
【0030】
解除カム16を、固定カム2の内部で螺旋運動させることで、開き角度が165°程度になった状態で、可動カム5の突起部が解除カム16の突起部の背面へ衝突して、表示部筐体の開きが中断される現象を防ぐことができる。螺旋の角度を、軸方向に対して鋭角とすることで、ボタン1を押すのに必要な力を弱くすることができる。すなわち、可動カム5の突起部を固定カム2のカム溝から離脱させる際に、軸方向に近い小さい角度の方向に離脱させることで、ボタン1を押すための操作力を弱くすることができる。
【0031】
ボタン1を押すと、軸方向に近い小さい角度で動く解除カム16によって、全閉位置から全閉直前位置のトーションスプリング11のトルク封止位置まで、可動カム5が強制的に押し戻される。トーションスプリング11のトルク封止位置を越えると、トーションスプリング11のトルクがホルダ6にかかり、表示部筐体が自動的に開く。
【0032】
上記のように、本発明の第2の実施の形態では、携帯電話のプッシュオープンヒンジ装置を、解除カムが、螺旋状に動いて可動カムを押して、全開状態まで開く構成としたので、ボタンを1回押すだけで全開させることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明では、第1筐体と連動して回転する可動カムと、第2筐体に固定され可動カムに係合する固定カムと、固定カムと可動カムの係合を解除する手段とを具備するプッシュオープンヒンジ装置に、トーションスプリングと、トーションスプリングの固定端を第2筐体に固定する手段と、トーションスプリングの作用端を係合する溝部を有し第1筐体に固定されたホルダと、溝部を有しホルダに内接して第2筐体に固定されたバネ受部とを備え、第1筐体と第2筐体の全開状態から全閉直前までの状態においては、トーションスプリングの作用端はホルダの溝部に係合し、第1筐体と第2筐体の全閉直前の状態から全閉状態においては、トーションスプリングの作用端はバネ受部の溝部に係合する構成としたので、全閉位置の直前でトーションスプリングのトルクを封止でき、カム係合力を小さくしても確実な閉止が可能となり、ボタン操作力を小さくすることも可能となる。
【0034】
また、固定カムの内側に螺旋状の溝を設け、螺旋状の溝に沿って動く解除カムにより可動カムを押す手段を備えたので、ボタンを1回押すだけで全開させることができ、ボタン操作力をさらに小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図、
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の断面図、
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の可動カムの動作説明図、
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置のトーションスプリングの動作説明図、
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるプッシュオープンヒンジ装置の概念図、
【図6】従来のプッシュオープンヒンジ装置を備えた携帯電話の斜視図、
【図7】従来のプッシュオープンヒンジ装置の概念図である。
【符号の説明】
1 ボタン
2 固定カム
3 シャフト
4 プランジャー
5 可動カム
6 ホルダ
7 バネ受部
8 ストッパ
9 Eリング
10 Eリング
11 トーションスプリング
12 第1圧縮スプリング
13 作用端
14 溝
15 溝
16 解除カム
17 第2圧縮スプリング
18 表示部筐体
19 操作部筐体
20 ヒンジ機構
Claims (2)
- 第1筐体と連動して回転する可動カムと、第2筐体に固定され前記可動カムに係合する固定カムと、前記固定カムと前記可動カムの係合を解除する手段とを具備するプッシュオープンヒンジ装置において、トーションスプリングと、前記トーションスプリングの固定端を前記第2筐体に固定する手段と、前記トーションスプリングの作用端を係合する溝部を有し前記第1筐体に固定されたホルダと、溝部を有し前記ホルダに内接して前記第2筐体に固定されたバネ受部とを備え、前記第1筐体と前記第2筐体の全開状態から全閉直前までの状態においては、前記トーションスプリングの作用端は前記ホルダの溝部に係合し、前記第1筐体と前記第2筐体の全閉直前の状態から全閉状態においては、前記トーションスプリングの作用端は前記バネ受部の溝部に係合することを特徴とするプッシュオープンヒンジ装置。
- 前記固定カムの内側に螺旋状の溝を設け、前記螺旋状の溝に沿って動く解除カムにより前記可動カムを押す手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のプッシュオープンヒンジ装置。
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